JPH0418012B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はソフトゾーンのない軌道輪に焼入れ
る旋回輪軸受の軌道輪の焼入れ方法に関する。

従来の旋回輪軸受の軌道輪の焼入れ方法は第１
図および第２図に示すように、支持台１に旋回輪
軸受の内輪２を取り付け、この内輪２の軌道みぞ
３内の一個所に高周波加熱用のコイル４と高周波
加熱用のコイル４に接続して設けた冷却器５とを
配設し、この高周波加熱用のコイル４と冷却器５
とを定置した状態で内輪２をほぼ一回転し、高周
波加熱用のコイル４によつて加熱された軌道みぞ
３を冷却器５より噴射する冷却水によつて急冷し
て焼入れる。

前記内輪２が一回転に近づくと、軌道みぞ３の
加熱開始位置７は焼入れ済みの範囲となり、この
焼入れ済みの範囲を再加熱することは焼入れ済み
の範囲を焼鈍することになる。従つて、内輪２を
一回転しないで少し手前で止め、軌道みぞ３の全
周面の焼入れは行わない。それゆえ内輪２には加
熱開始位置７と加熱終点位置８との間に焼入れさ
れないソフトゾーン９が存在し、旋回輪軸受は使
用範囲が制約されると共に寿命が短かい。また、
高周波加熱用のコイル４と冷却器５とを軌道みぞ
３内の一個所に配設して内輪２をほぼ一回転する
ので熱処理時間が長く、熱処理コストが高い。

この発明はソフトゾーンのない軌道輪に焼入れ
すると共に熱処理時間が短かい旋回輪軸受の軌道
輪の焼入れ方法を提供することを目的とする。

次にこの発明の実施例を図面に基いて説明す
る。第３図はこの発明によつて製造された内輪１
１と外輪１２とを使用した旋回輪軸受であり、第
４図はこの発明に使用する焼入れ装置の平面図で
あり、第５図は第４図のＢ−Ｂの断面図である。
第４図および第５図において、支持台１３は回転
可能となつており、この支持台１３には環状の凸
部１４が設けられている。前記凸部１４には旋回
輪軸受の軌道輪１１として内輪が嵌合して配設さ
れ、この軌道輪１１は凸部１４によつて芯出しさ
れて半径方向の動きが抑制されている。前記軌道
輪１１は支持台１３に適宜な方法によつて取り付
けられ、この軌道輪１１の軌道みぞ１５内の二個
所に高周波加熱用のコイルが加熱源２１としてそ
れぞれ配設されている。前記二個の加熱源２１は
いずれも円弧状になつており、加熱源２１は軌道
みぞ１５内のほぼ全周に配設されている。前記加
熱源２１の軌道みぞに対向する部分２２は断面が
円弧状になつており、また加熱源２１はいずれも
ピン２３を介してリンク２４に取り付けられてい
る。前記加熱源２１はいずれもピン２３を中心と
して回動可能になつており、また加熱源２１の中
央部には水等の冷却剤の供給路２５が設けられて
いる。そして加熱源２１には供給路２５から軌道
みぞ１５に冷却剤を噴射する供給穴２７が多数設
けられている。

以上のような構成で支持台１３に軌道輪１１を
取り付け、この軌道輪１１の軌道みぞ１５内の二
個所に加熱源２１を配設し、軌道みぞとの間隙を
NCによつて制御された加熱源２１を定置した状
態で軌道輪１１を回動して軌道みぞ１５の全周面
を所定の温度に加熱し、そして加熱された軌道み
ぞ１５の全周面に供給路２５内の冷却剤を供給穴
２７から噴射し、軌道みぞ１５の全周面を急冷し
て同時に焼入れる。

従つて、軌道みぞ１５には焼入れされないソフ
トゾーンがない。

第６図および第７図はこの発明の他の実施例で
あるが回転可能になつている支持台１３には環状
の凸部１４が設けられ、この凸部１４には旋回輪
軸受の軌道輪１２として外輪が嵌合して配設され
ている。前記軌道輪１２は凸部１４によつて芯出
しされて半径方向の動きが抑制され、この軌道輪
１２は支持台１３に取り付けられている。前記軌
道輪１２の軌道みぞ３５内の三個所に高周波加熱
用のコイルが加熱源２１としてそれぞれ配設さ
れ、これらの三個の加熱源２１はいずれも支持台
１３の内周に配設した固定台４１上を移動可能に
なつている。前記加熱源２１はいずれも円弧状に
なつており、加熱源２１は軌道みぞ３５内のほぼ
全周に配設されている。前記加熱源２１の軌道み
ぞに対向する部分２２は断面が円弧状になつてお
り、また加熱源２１の中央部には水等の冷却剤の
供給路２５が設けられている。そして加熱源２１
には供給路２５から軌道みぞ３５に冷却剤を噴射
する供給穴２７が多数設けられている。

以上のような構成で支持台１３に軌道輪１２を
取り付け、この軌道輪１２の軌道みぞ３５内の三
個所に加熱源２１を配設し、軌道みぞ３５との間
隙をNCによつて制御された加熱源２１を定置し
た状態で軌道輪１２を回動して軌道みぞ３５の全
周面を所定の温度に加熱し、そして加熱された軌
道みぞ３５の全周面に供給穴２７から冷却剤を噴
射し、軌道みぞ３５の全周面を急冷して同時に焼
入れる。

従つて、軌道みぞ３５には焼入れされないソフ
トゾーンがない。

第８図および第９図はこの発明で使用する加熱
源の他の実施例であるが、加熱源２１は円弧状に
なつており、この加熱源２１の軌道みぞに対向す
る部分２２は断面が円弧状になつている。前記加
熱源２１の中央部にはガス等の燃料の流通路５１
が設けられ、この加熱源２１には流通路５１から
軌道みぞ３５に向つて燃料を流出する流通穴５２
が多数設けられている。前記流通路５１内には水
等の冷却剤を供給する供給管５３が加熱源２１と
一体になつて配設され、また加熱源２１には供給
管５３から軌道みぞ３５に冷却剤を噴射する供給
穴２７が多数設けられている。

なお、図示の実施例では供給穴２７より冷却剤
を噴射して軌道みぞ１５，３５を焼入れたが、軌
道輪１１，１２を焼入槽内の冷却剤の中に入れて
軌道みぞ１５，３５の全周面を同時に焼入れても
良い。

また、支持台１３に軌道輪１１，１２をチヤツ
クで固定しても良い。

さらに、支持台１３および軌道輪１１，１２を
水平に配置しても垂直に配置しても良い。

また、軌道みぞ１５，３５内の四個所以上に加
熱源２１を配設しても良く、複数個所に加熱源２
１を配設すればよい。

さらに、加熱源２１と軌道輪１１，１２との少
なくとも一方を回動して軌道みぞ１５，３５の全
周面を所定の温度に加熱しても良い。

この発明の旋回輪軸受の軌道輪の焼入れ方法に
よると、軌道輪１１，１２の軌道みぞ１５，３５
内の複数個所に加熱源２１を配設し、該加熱源２
１と軌道輪１１，１２との少なくとも一方を回動
して軌道みぞ１５，３５の全周面を所定の温度に
加熱し、該加熱された軌道みぞ１５，３５の全周
面を冷却剤によつて急冷して同時に焼入れるので
軌道みぞ１５，３５には焼入れされないソフトゾ
ーンがなく、旋回輪軸受は使用範囲が制約されな
いと共に寿命が長い。また、軌道輪１１，１２の
軌道みぞ１５，３５内の複数個所に加熱源２１を
配設し、加熱された軌道みぞ１５，３５の全周面
を冷却剤によつて急冷して同時に焼入れるので熱
処理時間が短く、熱処理コストが安いという効果
を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の旋回輪軸受の軌道輪の焼入れ方
法に使用する焼入れ装置の平面図、第２図は第１
図のＡ−Ａの断面図、第３図は旋回輪軸受の断面
図、第４図はこの発明に使用する焼入れ装置の平
面図、第５図は第４図のＢ−Ｂの断面図、第６図
はこの発明に使用する他の焼入れ装置の平面図、
第７図は第６図のＣ−Ｃの断面図、第８図はこの
発明に使用する他の加熱源の平面図、第９図は第
８図のＤ−Ｄの断面図である。 図中、１１，１２は軌道輪、１３は支持台、１
５，３５は軌道みぞ、２１は加熱源である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 支持台１３に旋回輪軸受の軌道輪を取り付
   け、該軌道輪の軌道みぞ内の復数個所に加熱源２
   １を配設し、該加熱源２１と軌道輪との少なくと
   も一方を回動して軌道みぞの全周面を所定の温度
   に加熱し、該加熱された軌道みぞの全周面を冷却
   剤によつて急冷して同時に焼入れる旋回輪軸受の
   軌道輪の焼入れ方法。 ２ 軌道輪が内輪である特許請求の範囲第１項記
   載の旋回輪軸受の軌道輪の焼入れ方法。 ３ 軌道輪が外輪である特許請求の範囲第１項記
   載の旋回輪軸受の軌道輪の焼入れ方法。 ４ 加熱源２１が高周波加熱用のコイルである特
   許請求の範囲第１項記載の旋回輪軸受の軌道輪の
   焼入れ方法。 ５ 加熱源２１がガス用のトーチである特許請求
   の範囲第１項記載の旋回輪軸受の軌道輪の焼入れ
   方法。 ６ 加熱源２１が軌道みぞ内のほぼ全周に配設さ
   れている特許請求の範囲第１項記載の旋回輪軸受
   の軌道輪の焼入れ方法。 ７ 軌道輪が回動して軌道みぞの全周面を所定の
   温度に加熱する特許請求の範囲第１項記載の旋回
   輪軸受の軌道輪の焼入れ方法。