JP3601963B2 - ポリオレフィン管用分岐管 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン管に使用する分岐管に係り、特にポリオレフィン管からなる水道管路の所定位置に水を断水させることなく分岐管を設けるためのポリオレフィン管用分岐管に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水道管路に使用する分岐管は、接続対象の配管に装着する胴体部を周方向において2分割もしくは3分割しており、分割した胴体部の1つの部分に分岐する本体部を設けている。分岐管は胴体部の各部分を相互にボルト・ナットで結合固定することにより配管に装着しており、胴体部の内面には配管との間を水密にシールするゴムパッキンを装着している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の構成において、分岐する本体部の口径が大きな分岐管を配管に接合する場合には、配管の管壁に穿孔する孔が配管の内径とほぼ同径となるものがある。このような場合には、穿孔部における配管の強度が弱くなるために、地震等による地盤変動によって配管に軸心方向の引張力が作用すると、穿孔部において破断したり、変形や亀裂が生じて漏水する問題があった。
【0004】
ところで、樹脂管(ポリエチレン製等)においては、地震時に発生する管体の歪みが最大で1.5%であるとしており、新たに敷設する管や通水を停止した断水状態の既設管に分岐管を設ける場合には、接続する配管の端部内に補強用のインナーコアを挿入し、インナーコアに相応する部分において配管の外周を強く締め付けて分岐管と配管を結合し、胴体部と配管との結合力を、1.5%の歪みを生起する引張力にも耐えるように高めている。
【0005】
しかし、不断水状態で分岐管を装着する場合には、配管を切断することはできず、配管の管壁に穿孔して分岐するので、配管内に補強用のインナーコアを挿入することができず、分岐管の胴体部により配管の外周を強く締め付けると、管が変形して漏水する問題があった。
【0006】
本発明は上記した課題を解決するものであり、配管に係る引張力を受け止めて穿孔部に引張力が作用することを防止するポリオレフィン管用分岐管を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、本発明のポリオレフィン管用分岐管は、ポリオレフィン製の配管の途中において新たな管路を不断水状態で分岐するものであって、配管に装着する胴体部と、分岐する本体部とからなり、胴体部を周方向において複数部分に分割形成するとともに、各部分を相互に締め付ける連結手段によって結合し、胴体部の内面に配置して配管の外周面との間をシールするシール材を、本体部に対応して配管に穿孔した開口部の周囲を囲んで設け、胴体部の内面に周方向に沿って形成する溝部をシール材より外側に設け、溝部内に配置するロック部材に配管の外周面に係合する歯部を形成し、ロック部材に対する溝部の当接面を配管の軸心方向における外側に向かって縮径するテーパ面に形成したものである。
【0008】
上記した構成により、配管に軸心方向の引張力、例えば設計値として予測する最大歪みの1.5%の歪みを生起する引張力が作用しても、ロック部材が溝部のテーパ面に案内されて縮径し、配管に食い込んだ歯部において配管に加わる軸心方向の引張力をロック部材で受け止める。この状態において、配管に加わる軸心方向の引張力は、双方のロック部材を介して胴体部が受け止めるので、穿孔した開口部を含む配管には引張力が作用せず、開口部において破断したり長孔化が生じて漏水することがない。しかも、ロック部材はシール材より外側において配管に係合するので、シール材が当接する配管の部位にも引張力は作用せず、変形が生じて漏水することもない。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。図1〜図3において、配管1は水道管路をなし、ポリオレフィン製の管からなり、配管1の途中には分岐管2を設けている。分岐管2は、不断水状態で管路を分岐するものであり、配管1に装着する胴体部3と、分岐する本体部4とからなる。分岐管2は、胴体部3を周方向において複数部分3a,3b,3cに分割形成するとともに、胴体部3の一部分3aに本体部4を設けており、胴体部3の各部分3a,3b,3cを連結手段をなすボルト・ナット5により相互に締め付けることにより配管1に固定している。
【0010】
胴体部3の各部分3a,3b,3cの内面に形成した凹部6には、配管1の外周面との間をシールするシールリング7を配置しており、シールリング7はゴム材等の弾性部材により形成している。シールリング7は、本体部4に対応して配管1に穿孔した開口部8の周囲を囲んで配置するものであり、本実施の形態においては、胴体部3の各部分3a,3b,3cの周縁に沿って設けている。
【0011】
また、胴体部3の各部分3a,3b,3cの内面には、配管1の周方向に沿って溝部9を形成しており、溝部9はシールリング7より外側に位置している。溝部9には環状のロック部材10を配置しており、ロック部材10に対する溝部9の当接面は配管1の軸心方向における外側に向かって縮径するテーパ面9aをなしている。ロック部材10は一つ割り、もしくは複数に分割形成した形状をなし、内周面に配管1の外周面に係合する歯部11を有している。
【0012】
以下、上記した構成における作用を説明する。配管1に軸心方向の引張力が作用すると、その力に応じて配管1が伸長する。この引張力は、配管1に及ぼす最大歪みが1.5%となるものを最大値として、設計上において想定する。配管1に引張力が作用すると、歯部11において配管1の外周面に係合するロック部材10は、溝部9のテーパ面9aを押圧し、その反作用として径方向の力を受けるとともにテーパ面9aに案内されて縮径し、配管1に歯部11を食い込ませる。
【0013】
この状態において、配管1に加わる軸心方向の引張力は、ロック部材10が歯部11において受け止め、双方のロック部材10を介して胴体部3が受け止めるので、穿孔した開口部8の付近における配管1には引張力が作用せず、開口部8において破断したり長孔化が生じたりすることがなく、ロック部材10がシールリング7より外側において配管1に係合するので、シールリング7が当接する配管1の部位にも引張力は作用せず、変形が生じて漏水することもない。
【0014】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、配管に加わる引張力をロック部材を介して胴体部で受け止めて、穿孔した開口部を含む配管に引張力が作用することを防止するので、例えば予測値としての最大歪みの1.5%の歪みを生起する引張力が作用しても、開口部における破断や長孔化が生起しない。しかも、ロック部材がシール材より外側において配管に係合するので、シール材が当接する配管の部位にも引張力は作用せず、変形が生じて漏水することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す分岐管の断面図である。
【図2】同実施の形態におけるロック部材およびシール材の配置形態を示す拡大図である。
【図3】同実施の形態を示す分岐管の正面図である。
【符号の説明】
1 配管
2 分岐管
3 胴体部
4 本体部
5 ボルト・ナット
7 シールリング
8 開口部
9 溝部
10 ロック部材
11 歯部

Claims (1)

  1. ポリオレフィン製の配管の途中において新たな管路を不断水状態で分岐するものであって、配管に装着する胴体部と、分岐する本体部とからなり、胴体部を周方向において複数部分に分割形成するとともに、各部分を相互に締め付ける連結手段によって結合し、胴体部の内面に配置して配管の外周面との間をシールするシール材を、本体部に対応して配管に穿孔した開口部の周囲を囲んで設け、胴体部の内面に周方向に沿って形成する溝部をシール材より外側に設け、溝部内に配置するロックリングに配管の外周面に係合する歯部を形成し、ロックリングに対する溝部の当接面を配管の軸心方向における外側に向かって縮径するテーパ状に形成したことを特徴とするポリオレフィン管用分岐管。
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