JP3601752B2 - 金属超微粒子担持光触媒及びその製造方法 - Google Patents

金属超微粒子担持光触媒及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属粒子を光触媒表面に担持させた金属担持光触媒に関し、更に詳細には、金属粒子をナノスケールの金属超微粒子にまで極小化することにより金属の量子サイズ効果を顕著に発現させて、光触媒効率を飛躍的に向上させた金属超微粒子担持光触媒及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
二酸化チタンの光触媒反応は1972年にネイチャーに発表され、本田・藤島効果として世界に知られるところとなった。それ以来、植物のみが行ってきた光合成を光照射下で二酸化チタンにより実現しようとする研究が活発化してきた。折しも中東における石油問題が日本国内に経済的パニックを引き起こし、地球温暖化という世界的な環境問題が端緒となって、二酸化チタンを用いて水から水素を得る分解反応や有機物水溶液等の分解反応の研究が世界的規模で行われるようになってきた。
【0003】
この光触媒のメカニズムは二酸化チタンの半導体としての光触媒特性に依っている。二酸化チタンにそのバンドギャップ・エネルギーより大きなエネルギーの光、例えば紫外線を照射すると、価電子帯にある電子が励起されて伝導帯に遷移し、価電子帯には正電荷の正孔が残されて電子−正孔の対が生成される。この電子と正孔は二酸化チタン中を動きながら触媒表面に到達し、電子は外部物質を直接還元するだけでなく、空気中の酸素からO (スーパーオキサイドアニオン)を作り、このアニオンが外部物質に強力に作用するとも云われている。正孔は外部の有機物を直接酸化分解するだけでなく表面に付着する水分子を酸化して水酸ラジカルという強酸化物を作り、この水酸ラジカルの酸化力により外部物質を酸化する。前記O はこの酸化過程にも深く関与していると云われるが、その詳細な反応回路は現在もなお研究対象となっている。このように光で生成された電子−正孔対により有機物は二酸化炭素と水にまで分解されるのである。
【0004】
この研究の中で、二酸化チタン単体では電子と正孔が外部物質を酸化還元する前に最結合して消滅する場合があるから、その光触媒効率に限界があることが指摘されていた。具体的には、二酸化チタンは常態が粉末であり、その一粒を考えてみると、その表面および内部には無数の点欠陥・面欠陥等の格子欠陥が入っている。紫外線により二酸化チタンに誘起された電子と正孔はその移動過程で格子欠陥に遭遇すると、その格子欠陥に捕獲されて再結合してしまう。また表面に移動できても電子と正孔が接近すると再結合する場合もある。これを改善するには格子欠陥のない二酸化チタンの作製技術と表面で電子−正孔を分離する技術を開発しなければならない。前者については結晶成長技術の改良が逐次なされてきており、また本発明とは直接関係しないのでここではその詳細を省略する。
【0005】
表面で電子−正孔を分離する技術に関しては、励起電子を集電する電極を二酸化チタン上に形成して、二酸化チタン表面に正孔を、金属電極表面に電子をそれぞれ分離集電する光触媒が提案された。このようにすれば金属電極上に効率的に電子を集電でき、しかも正孔と電子を分離できるので再結合の確率が低くなると考えられたのである。この種の光触媒を金属担持光触媒といい、従来から触媒として用いられているPt(白金)やCu(銅)等の金属を二酸化チタン上に形成して作製された。金属単体でも触媒作用を有するものならば、二酸化チタンの触媒作用と相乗効果を発揮できるだろうというアイデアである。
【0006】
金属を二酸化チタン等の半導体上に担持させる方法には、光析出法、混合法、含浸法、化学析出法、同時沈澱法等が開発されてきたが、担持金属粒子の粒径はミクロン程度の金属微粒子にとどまっていた。また、これらの方法では二酸化チタン粒子1個当りに担持される金属微粒子の個数も数十個の範囲に留まるのが常であった。この担持密度の限界は、製法上の問題と同時に担持される金属微粒子のサイズが大きいことにもよっている。つまり、金属微粒子の粒径が大きいためにそれほど多くの金属微粒子が1個の二酸化チタン粒子上に付着しないことも原因の一つである。金属の担持効果については、例えば水素発生反応では二酸化チタン単体よりもPt担持二酸化チタンが有効であることが報告され、また金属や半導体の種類を変えることによって反応活性度や反応選択性も変化できることが分かってきた。しかし、これら従来の金属担持光触媒の触媒効率は二酸化チタン単体よりも約2〜4倍程度に増強されるに過ぎなかった。即ち、この効率は二酸化チタンの効率と金属微粒子の効率の和程度でしかないことを意味している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
発明者等はなぜミクロンサイズの金属微粒子では触媒効率がそれほど増強されないかについて理論的に検討してみた。
二酸化チタン中に生じた電子を金属電極中に効率的に取り込むためには、二酸化チタンと金属の界面における電子遷移の障壁をできるだけ小さくすることが望まれる。ところが金属微粒子の粒径がミクロンサイズ(約0.1μm以上)の場合には、その電子状態は大きな固体結晶(バルク結晶)とほぼ同じバンド構造となる。つまり、価電子帯と伝導帯が一定のバンドギャップを隔てて画然と形成され、伝導帯では自由電子が底から最上端のフェルミ準位まで順に密に詰まった構造となる。他方、二酸化チタンはバルクな結晶であるからその電子状態は当然バンド構造をとる。バンド構造においては、バンドを構成するエネルギー準位はほぼ連続的に密に配置され、各準位に対応した波動関数はその物質内に鋭く局在している。換言すると、波動関数がその物質外に裾をはみ出すことがないため、その準位に滞在する電子は物質外に放出される確率がかなり小さくなる。
【0008】
この状態で、第12図に示すように、二酸化チタンが紫外線照射を受けて電子が伝導帯に励起され電子−正孔対が生成されたとしよう。この電子が外部物質を還元したりスーパーオキサイドアニオンを生成するためには、電子が迅速に二酸化チタンから金属中に移動し、更に金属から金属外の外部物質に移動する必要がある。ところが上述したように金属微粒子はミクロンサイズであるから、電子状態が大きな結晶と同様のバンド構造をとるだけでなく、波動関数も金属微粒子内に鋭く局在した構造をとる。従って、二酸化チタンの伝導帯に上った電子は金属の波動関数に乗ることが容易でないから、金属の伝導帯に移動することも簡単ではない。また電子が金属に何とか移動できても、金属から外部物質に移動することも同様に容易でないため、金属の外部に出る前に金属の伝導帯にあるフェルミ準位の上に素早く落ちてしまう事が多く、外部物質と反応する機会は更に少なくなる。言い換えれば、バンド構造のように伝導帯の準位密度が大きい場合には、電子がフェルミ準位の上にまで落ちる時間(緩和時間)が極端に短くなり、波動関数の局在性とともに電子の外部への移動を阻止するのである。つまり、ミクロンサイズでは電子は外部に出にくいから金属内に電子が過剰に蓄積されることとなり、その反発電場によって逆に二酸化チタン内の電子が金属中に移動することを阻止する結果となってしまう。
結局、金属微粒子の粒径がミクロンサイズの領域では、エネルギーのバンド構造と波動関数の局在性によって電子が二酸化チタン又は金属微粒子中に留まり、金属外部に放出される確率が小さくなると結論できる。同時に、ミクロンサイズの金属微粒子の場合には、1個の二酸化チタン粒子上に担持される金属微粒子の個数も数十個が限界であり、これらのことが金属担持光触媒の触媒効率を制限していた理由である。
【0009】
次に、本発明者等は従来の金属担持光触媒の製造方法を逐次確認することにした。第1に半導体を担持金属塩水溶液中に懸濁させ還元剤を加えて光照射する光析出法、第2に半導体を担持金属塩水溶液中に浸漬して乾燥後還元処理する含浸法、第3に半導体を担持金属塩水溶液中で激しく撹拌して還元剤を加える化学析出法、第4に半導体原料に担持金属塩水溶液を加え同時沈澱させた後焼成する同時沈澱法を試験した。これらに共通することは担持金属塩水溶液を使用する点であり、これらの方法では二酸化チタン上に粒径が0.1μm以上のミクロンサイズの金属微粒子を形成することしかできなかった。又、他の方法として、半導体と担持金属粉末を乳鉢中でよく練り合わせる混練法、半導体と担持金属粉末を容器に入れ振とう器等で振り混ぜる振り混ぜ法、半導体と担持金属粉末を各々別々に反応物溶液に加え懸濁混合させる金属粉添加法を試験してみた。しかし、同様にミクロンサイズの金属微粒子が二酸化チタン上に形成できるだけであり、しかも1個の二酸化チタン粒子上に数十個の金属微粒子を担持できるだけであった。従って、これらの従来製法では金属担持光触媒の触媒効率を格段に向上させることは困難である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記欠点を解消するためになされたものであり、本発明に係る金属超微粒子担持光触媒は、金属超微粒子が光触媒物質に担持されていることを基本構成としている。特に、金属超微粒子の粒径は量子サイズ効果を顕著に発現できる範囲に設定され、数値的には金属超微粒子の平均粒径が1〜10nmの範囲内にあることを特徴とする。更に、光触媒微粒子1個当りに担持する金属超微粒子の平均個数を100個以上にすることを特徴とする。
【0011】
金属超微粒子担持光触媒の製造方法として、加熱により還元可能な有機金属化合物と光触媒物質の混合液を乾燥した後、残留物を焼成して光触媒物質表面に金属超微粒子を強固に担持させる方法を提供する。
更に具体的にはコロイド調整法、即ち、有機金属錯体の疎水コロイドと光触媒物質である金属酸化物半導体粉末粒子を親水溶媒中で混合させて疎水コロイドを金属酸化物半導体粉末粒子表面に付着させ、この混合液を乾燥させた後、残留物を焼成して金属超微粒子担持光触媒を製造する方法を提供する。
また、有機金属化合物のコロイド溶液と光触媒粉末を互いに対向状に噴霧して光触媒粉末粒子の表面に有機金属化合物コロイドを多数付着させ、このコロイド付着光触媒粉末粒子を落下する途中で加熱処理して金属超微粒子を光触媒粉末粒子表面に強固に担持させ、この金属超微粒子担持光触媒を連続的に製造してゆく金属超微粒子担持光触媒の製法を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者等は金属担持二酸化チタンの光触媒機能を増強するために鋭意研究した結果、ナノスケールの金属超微粒子を二酸化チタン表面に担持させることにより、二酸化チタン単体よりも光触媒機能を約10倍に、更に好条件では約100倍以上にまで増強できることが分かった。従って、ミクロンスケールの金属微粒子を担持した二酸化チタンと比較した場合でも、触媒効率を約3〜25倍位にまで増強することができる。これは金属を微粒子から超微粒子へ転換すること、即ち粒径をミクロンスケールからナノスケールに、換言すれば粒径をミクロンスケール(約0.1μm以上)の1/10〜1/100程度にまで極小化することによって達成できるのである。本発明で用いられる金属超微粒子の平均粒径は1〜10nm、より好ましくは1〜5nmである。これより大きくすると後述する量子サイズ効果の発現が小さくなって光触媒効率の増強が顕著でなくなり、また粒径を更に小さくすると原子サイズに近接するため金属超微粒子の作製が技術的に困難になると同時に極めてコスト高になってしまう。
【0013】
光触媒物質として二酸化チタン等の微粒子状の粉末を利用した場合には、光触媒微粒子1個に担持できる金属超微粒子の個数、つまり金属超微粒子の担持密度がその粒径とともに重要な要素となる。本発明ではナノスケールにまで極少化された金属超微粒子を用いることにより、光触媒微粒子1個に多数の金属超微粒子を担持させることを可能にした。即ち、ミクロンスケールの金属微粒子からナノスケールの金属超微粒子へと粒径の極少化を実現したことにより、担持密度の劇的な向上を達成したのである。本発明者等の研究によれば、光触媒微粒子1個当りに担持される金属超微粒子の平均個数は100個以上、好ましくは200個以上に設定することが望まれる。担持密度が100個以上であれば量子サイズ効果との相乗効果により光触媒効率を従来より顕著に増大化できる。200個以上であれば光触媒効率の格段の増加を達成できる。もちろん担持密度を更に増加できれば、光触媒効率の更なる増大化を図ることが可能となる。
【0014】
金属超微粒子により初めて発現する量子サイズ効果について以下に検討する。例えば直径1nmの超微粒子を考えると、その中に金属原子は原子のサイズに依存するが約10〜100個程度しか存在しない。又直径10nmの金属超微粒子になると約10000〜100000個の原子を含有すると考えられる。このように原子数の少ない金属超微粒子では、金属の電子エネルギー状態はバンド構造から次第に離散的になり始め、エネルギー準位が広範囲に分布する。例えば伝導帯を考えてみると、伝導帯を構成する多数のエネルギー準位が密に固まった状態から互いに離散しながら上下に広範囲に分布するようになる。この準位の離散化は電子の緩和時間、即ちその準位からフェルミ準位に落ちるまでの時間を長くする効果を奏する。つまり、電子が準位に滞在する時間が長くなるのである。同時に、エネルギー準位に対応した波動関数が左右に裾を延ばしながら金属外部にもはみ出し、同時にピークが低くなる効果も有する。。つまりこの波動関数に乗った電子は量子トンネル効果により容易に外部に移動できることになる。本発明において量子サイズ効果という場合には、上記したようにエネルギー準位の離散化と波動関数の非局在化による量子トンネル効果の発現を意味する。
【0015】
図1に金属超微粒子を二酸化チタン上に担持した場合のエネルギー状態が示されている。二酸化チタンに紫外線を照射すると電子−正孔対が形成され、価電子帯に正孔を残して伝導帯に電子が励起される。エネルギーの大きな紫外線で励起された場合には電子は伝導帯の高い位置に遷移するが、次第にエネルギーを失いながら伝導帯の底に落ちてくる。金属のエネルギー準位はある程度密に離散化しているため、二酸化チタンの伝導帯の底に対応したエネルギー準位が必ず存在する。しかもその準位の波動関数は左右に長く裾を引いており、左端は二酸化チタン中に右端は金属外部にまで延びている。つまり、二酸化チタンと金属のエネルギー準位は金属の波動関数を介して共鳴的に連続していることになる。二酸化チタンの伝導帯にある励起電子はその金属の波動関数に乗って一気に金属を介して外部に量子トンネル効果により放出される。二酸化チタンと金属が共鳴状態にあるため、この量子トンネル効果を共鳴トンネリングと称している。このとき金属中の準位は離散化しているので電子の緩和時間は長く、従って電子は金属のフェルミ準位の上に落ちる前に容易に金属外に放出されるのである。
【0016】
二酸化チタンの価電子帯にある正孔は二酸化チタン表面に移動し、外部物質Dを酸化する。また外部物質を酸化するだけでなく、表面に付着した水を酸化して水酸ラジカルという強酸化物を生成し、この水酸ラジカルが外部物質を酸化分解しているとも考えられている。一方、金属外に共鳴トンネリングで放出された電子は外部物質Aを直接還元するだけでなく、空気中の酸素を還元してO というスーパーオキサイドアニオンを生成し、このアニオンが前記外部物質Dの分解にも関与していると考えられている。
特に、本発明では二酸化チタンから金属に移動した励起電子は金属中に蓄積されずに直ちに外部に放出されるから外部に反発電場が形成されず、紫外線照射による励起電子を次々と吸引することができる点で優れた還元力を有している。
【0017】
二酸化チタンに限らず、本発明で用いられる光触媒の種類は、酸化還元しようとする分解対象物質によって決まる。この分解対象物質が還元される物質の場合には還元電位が存在し、酸化される物質の場合には酸化電位が存在する。これらの還元電位と酸化電位が光触媒物質の価電子帯と伝導帯の間にあるエネルギーギャップ内に位置している必要がある。詳しく述べると、図1に示すように、還元電位はギャップ内の上側に位置し、酸化電位はギャップ内の下側に位置するような光触媒物質を選択することが望まれる。この場合に、励起電子は伝導帯の底から還元電位に落ちて対象物質を還元し、正孔は価電子帯の上端から酸化電位に登って対象物質を酸化できる。但し、本発明では金属超微粒子の共鳴トンネリングが効力を発揮するから、還元電位は伝導帯の底の位置にあってもよい。又、近年の研究では、電子はOを還元してスーパーオキサイドアニオンO にし、正孔は水を酸化して水酸ラジカルを形成し、これらのO と水酸ラジカルが対象物質を分解すると考えられている。従って、還元電位としてO電位、酸化電位としてOH電位を選んで光触媒物質を選択することもできる。即ち、紫外線の照射によって電子−正孔対が生成され、電子によって空気中や水中の酸素を還元してスーパーオキサイドアニオンを生成し、正孔によって表面に付着した水を酸化して水酸ラジカルを生成する光触媒物質であればよい。
【0018】
光触媒物質としては半導体が適当である。絶縁体ではギャップエネルギーが大きすぎて通常の紫外線では電子−正孔対を生成するのが困難であり、またギャップエネルギーの小さな物質では禁制帯内に酸化および還元電位を配置させることが困難になるととも、水溶液に溶解し易くなるために不適である。
半導体の中でも金属酸化物半導体が本発明には適切である。金属酸化物は金属単体と比較して極めて安定な物質であるため、他物質との反応性が低くて安全でもあり、しかも電子の授受を十分に行うことができる物質である。従って、これらの性質を満足する金属酸化物半導体が本発明の光触媒物質として利用でき、例えば、WO、CdO、In、AgO、MnO、Cu、Fe、V、TiO、ZrO、RuO,Cr、CoO、NiO、SnO、CeO、Nb、KTaO、SrTiO、KNbO17等を含む公知の物質から分解対象物質に応じて選択することができる。この中でも、生成される電子−正孔密度やスーパーオキサイドアニオン・水酸ラジカル密度および材質としての耐腐食性・安全性等の観点からTiO、SrTiO、KNbO17が好ましく、特に二酸化チタンであるTiOが最も望ましい。
【0019】
光触媒物質は大きな固体物質であるより微粒子である方が好ましい。微粒子はその表面積が極めて大きいから環境汚染物質と接触する確率が大きくなると同時に、多数の金属超微粒子を表面に担持することが出来るからである。また、微粒子の方が紫外線等の有効受光面積が大きくなり、光触媒効率がバルク物質より格段に高くなる。通常、金属酸化物は粉体であるから、二酸化チタンのような金属酸化物半導体が本発明には適する。粒径としては30nm〜1000nm、より好ましくは50nm〜500nmである。これより小さいと超微粒子に近づいて行くため製造に特殊な技術とコストがかかり、これより大きいと比表面積が小さくなって環境汚染物質・人体毒性物質・悪臭物質等との反応性が悪くなる。
例えば二酸化チタンを10nm程度に超微粒子化することは可能であるが、独立した粒子として存在せず、二酸化チタン超微粒子が集合して団子状に固まり、結局前述のような大きな二酸化チタンの塊となる。この場合にはゴツゴツしているため表面積は単一固体よりは大きくなるから、反応性はより高くなる。本発明はこのような光触媒微粒子も包含する。光触媒微粒子の形態は金属超微粒子を担持できる限り特に制限されず、例えば球状・ペレット状・粒状などの形態で使用できる。
【0020】
担持される金属超微粒子は遷移金属であればよい。遷移金属元素とは不完全なd殻を有する元素で原子番号21(Sc)〜29(Cu)、39(Y)〜47(Ag)、57(La)〜79(Au)および89(Ac)〜理論的には111までの4グループからなる金属元素である。d殻が不完全であるために最外殻がd電子により方向性を有し、その結果光触媒物質からやってくる励起電子を金属超微粒子表面で捕まえ易く、スーパーオキサイドアニオンを生成し易い。
金属単体で触媒として利用できる金属が望ましく、また安全性の観点から考えるとAu、Pt、Ag、Pdが好ましく、金属としての安定性の観点からAu、Pt、Pdがより好ましい。
【0021】
本発明の特徴は、微粒子や大きな結晶からなる光触媒物質の表面に金属超微粒子を担持形成する方法を確立したことである。従来の製法ではミクロンサイズの金属微粒子を担持させることはできたが、ナノスケールの金属超微粒子を形成担持することは不可能であった。この従来製法の限界が光触媒効率の向上を阻害していた原因でもあった。
上述したように、従来製法が金属塩または金属粉を原料として使用していたのに対し、本発明では加熱により還元可能な有機金属化合物を用いることにより、光触媒効率の飛躍的な向上を達成したのである。加熱により還元可能とは、加熱すると有機金属化合物から金属だけが単離でき、換言すれば他の有機物部分が分離されてしまうことである。有機金属化合物の中でも、特に有機金属錯体が本発明の目的に適している。しかし、加熱により還元可能な有機金属化合物で有れば特に制限されないことは云うまでもない。
【0022】
例えば、エチルリチウム、p−ジメチルアミノフェニルリチウム等のLi系化合物;n−プロピルナトリウム、2−メチルフリルナトリウム等のNa糸化合物;エチルカリウム、フェニルカリウム等のK系化合物;エチルルビジウム、トリフェニルメチルルビジウム等のRb系化合物;エチルセシウム、ベンジルセシウム等のCs系化合物;ジメチルベリリウム、イソプロピルベリリウムメトキシド等のBe系化合物;メチルマグネシウムヨージド、ジメチルマグネシウム等のMg系化合物;ジメチルカルシウム、ヨウ化フェニルカルシウム等のCa糸化合物;ヨウ化エチルストロンチウム、ジメチルストロンチウム等のSr系化合物;ジメチルバリウム、フェニルバリウムヨージド等のBa系化合物;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛イソキノリネート等のZn系化合物;ジイソブチルカドミウム、ジフェニルカドミウム等のCd系化合物;臭化メチル水銀、メチル水銀ヨージド、ビス(トリフルオロメチル)等のHg系化合物;ジメチルひ素、フェニルジクロロひ素等のAs系化合物;ジメチルブロモアンチモン、トリメチルアンチモン等のSb系化合物;ジメチルビスマス、トリメチルビスマス等のBi系化合物;メチルセレノシアネート、ジメチルセレニド等のSe系化合物;ジメチルテルリド、β−ジメチルテルリドジクロリド等のTe系化合物;ポロニウムカルボニル、ジメチルポロニウム等のPo系化合物;トリシクロオクチルボラン、2,4−ジメチルボラジン等のB系化合物;トリメチルアルミニウム、ジメチルアミノジメチルアルミニウム等のAl系化合物;トリメチルガリウム、フェニルジブロモガリウム等のGa系化合物;トリメチルインジウム、ジフェニルブロモインジウム等のIn系化合物;ジメチルブロモタリウム、ジメチルメトキシタリウム等のTl系化合物;銅トリカルボニル、フェニル銅、ビス(クロロ銅)アセチレン等のCu系化合物;イソブテニル銀、フェニル銀等のAg系化合物;メチルジブロモ金、トリメチル金、ジイソプロピルシアノ金等のAu系化合物;ジクロロー(シクロオクタジエン−1,5)−パラジウム、π−シクロペンタジエニル−π−シクロペンテニルパラジウム等のPd系化合物;π−シクロペンタジエニル−π−アリルー白金、ジクロロー(シクロオクタ−1,5−ジエン)−白金等のPt系化合物;メチル−ペンタ(カルボニル)−レニウム、クロロ−ビス(フェニルアセチレン)−レニウム等のRe系化合物;π−シクロペンタジエニル−ジ(エチレン)−ロジウム、オクタ(カルボニル)−ジロジウム等のRh系化合物;ペンタ(カルボニル)−ルテニウム、π−シクロペンタジエニル−メチル−ジ(カルボニル)−ルテニウム等のRu系化合物;シクロペンタジエニル−トリ(カルボニル)テクネチウム等のTc系化合物;メチル−トリクロローチタニウム、ジーπ−シクロペンタジエニルチタニウム、トリーイソプロポキシーフェニルーチタニウム等のTi系化合物;ヘキサ(カルボニル)−バナジウム、ジーπ−シクロペンタジエニル−ジクロローバナジウム等のV系化合物;ヘキサ(カルボニル)タングステン、トリ(カルボニル)−(ベンゼン)−タングステン等のW系化合物;シクロペンタジエニルトリクロロジルコニウム等のZr系化合物;π−アリル−トリ(カルボニル)コバルト、ジーπ−シクロペンタジエニルコバルト等のCo系化合物;π−シクロペンタジエニル−クロロージ(ニトロオシル)クロム、トリ(カルボニル)−(チオフェン)クロム、ジベンゼンクロム等のCr系化合物;ジブロモテトラ(カルボニル)鉄、テトラ(カルボニル)−(アクリロニトリル)鉄等のFe系化合物;トリ(カルボニル)−イリジウム等のIr系化合物;ブロモペンタ(カルボニル)マンガン等のMn系化合物;トリ(カルボニル)−(ベンゼン)−モリブデン等のMo系化合物;テトラトリ(カルボニル)ニッケル、ジアクリロニトリルニッケル等のNi系化合物;(ベンゼン)−(シクロヘキサジエン−1,3)オスミウム等のOs系化合物;メチルトリクロロシラン、メチルジフルオロシラン等のSi系化合物;ヘキサエチルジゲルマニウム、アリルゲルマニウムトリクロリド等のGe系化合物;エチルスズトリクロリド、(2−シアノ−1−メチルエチル)トリフェニルスズ等のSn系化合物;トリエチル−n−プロピル鉛、トリエチル鉛メトキシド等のPb系化合物等が挙げられる。
【0023】
上述したように金属としては安定性および安全性の観点から、特にAu系化合物、Ag系化合物、Pd系化合物、Rh系化合物又はPt系化合物の少なくとも1種を用いることが好ましい。より好ましくはAu、Ag、Pd、Rh又はPtと硫黄含有有機物との化合物であり、更に最も好ましくはAu、Pd、Rh又はPtと硫黄含有有機物との化合物である。例えば、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、ヘキサデシルメルカプタン、オクタデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、チオグリコール酸ブチル等のチオグリコール酸類、そのほかトリメチロールプロパントリスチオグリコレート、チオグリセロール、チオ酢酸、チオ安息香酸、チオグリコール、チオジプロピオン酸、チオ尿素、t−ブチルフェニルメルカプタン、t−ブチルベンジルメルカプタン等が挙げられる。更にその他、バルサム金(C1018SAuCl1−3)、バルサム白金(C1018SPtCl1−3)、バルサムパラジウム(C1018SPdCl1−3)、バルサムロジウム(C1018SRhCl1−3)等が利用できる。
【0024】
上記の有機金属化合物と二酸化チタン等の光触媒物質の粉末を適当な公知の親水溶媒中に分散させると有機金属化合物の疎水コロイド等が形成でき、この有機金属化合物コロイド粒子が光触媒粉末粒子の表面に多数付着する。この混合液を乾燥させ、残った固体残留物を焼成すると、有機金属化合物のうち有機物は逃散し、金属だけがナノスケールの超微粒子となって光触媒微粒子の表面に担持されるのである。混合液自体を加熱して溶媒を蒸発させ、更に加熱により固形の残留物を焼成する等、乾燥・焼成が一連の工程となる場合も含む。
光触媒物質が大きな固形物質の場合には、有機金属化合物だけを溶媒中に分散して有機金属化合物コロイドを形成し、この混合液中に光触媒物質を浸漬したり、又この混合液を光触媒物質表面に噴霧や塗布等で塗着させ、その後取り出して焼成すると金属超微粒子を光触媒物質表面に担持形成できる。
また別の製法として、上記の有機金属化合物のコロイド溶液と光触媒粉末を互いに対向させて噴霧すると、光触媒粉末粒子の表面にコロイドが多数付着し、このコロイド付着光触媒粉末粒子を落下する途中で加熱処理すると、容器の底に金属超微粒子担持光触媒微粒子を連続的に堆積させることができる。
【0025】
有機金属化合物の溶液濃度は、最終製品等に応じて適宜設定できるが、通常は0.1重量%以上とし、好ましくは0.5〜50重量%とする。溶媒は有機金属化合物の種類により適宜選択でき、アルコール類、エステル類、芳香族類等の公知の有機溶媒を使用することができる。
【0026】
本発明の効果を損なわない範囲で、助触媒等の公知の添加剤が混合溶液中に含まれていてもよい。助触媒としては、例えばV、Mo、W、Nb、Cr、Ta等又はこれらの酸化物、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs、Fr)、アルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)、その他重アルカリ金属類が挙げられる。
【0027】
本発明における焼成温度は、通常は有機金属化合物の還元析出温度以上であって、且つ還元されて析出する金属の融点未満の温度範囲内で適宜変更することができる。更に具体的に述べると、有機金属錯体のような有機金属化合物から金属を単離するためには、有機金属化合物を完全に分解して金属原子だけを残して他の有機物原子を逃散させなければならない。この温度を金属の還元析出温度と定義している。次に、単離された金属原子を集合させて金属超微粒子にまで再配列させなければならない。この上限温度はバルクの金属の融点以下であればよく、好ましくは、析出金属の融点の80%以下、特に70%以下とする。また、焼成雰囲気は酸化雰囲気、また希薄空気でもよく最終製品に応じて適宜選択できる。
【0028】
前述したように、本発明で用いられる光触媒は金属酸化物半導体であり、その中でも二酸化チタンが現在の所最も好ましい。二酸化チタンの結晶構造にはルチル型とアナターゼ型が知られている。約600℃以上に加熱するとアナターゼ型の全てはルチル型に相転移を起こし、冷却後の低温ではルチル型になる。600℃以下でもアナターゼ型の一部はルチル型に相転移する。工業的にはルチル型の方が低コストで製造できるが、従来から金属を担持しない光触媒として用いられる二酸化チタンはアナターゼ型が圧倒的である。
【0029】
何故高価なアナターゼ型が用いられるのかという理由は、還元電位であるO電位が3.13eVであるのに対し、バンドギャップ・エネルギーがルチル型は3.05eVと小さく、アナターゼ型は3.2eVとやや大きいことが原因である。図2にルチル型のバンド構造が示されている。紫外線によって伝導帯に励起された電子は伝導帯の底に落込みながら酸素を還元しようとする。ところが還元電位は伝導帯の底よりやや上にあるため、何等かの外部エネルギーを受けない限り還元できないのである。従って、ルチル型単体では酸素の還元効率は極めて小さい。
これに対し、図3に示されたアナターゼ型の場合には、紫外線によって電子が伝導帯に励起され、その後伝導帯の底に落込んだ場合でも、還元電位は伝導帯の底より下側に位置しているため酸素を還元することができる。
【0030】
本発明は安価なルチル型の二酸化チタンを光触媒として用いた場合でも、アナターゼ型と同等の酸化還元機能を実現することを可能にした。図1では、紫外線により電子が伝導帯に励起された場合、電子は緩和しながら伝導帯の底に落ち、金属準位および還元電位へと水平移動する場合を説明した。しかし、伝導帯の励起準位から緩和する途中で水平位置にある金属準位の波動関数に乗って電子が直ちに金属外へと共鳴トンネリングにより運び出され、還元電位にある酸素を還元する場合も本発明に含まれる。緩和よりも金属超微粒子による共鳴トンネリングが有効的に機能するため、紫外線エネルギーに対応した励起準位から伝導帯の底までの広い範囲内で電子を外部に放出できることになる。即ち、励起電子が伝導帯の底に落ち込む前に、電子のエネルギーを消耗させないで還元準位にそのエネルギーを伝達するのである。金属超微粒子による量子サイズ効果の顕著な発現がルチル型をもアナターゼ型と同様に光触媒として利用できる道を開いた意義は画期的である。
【0031】
本発明において利用できる光源は、光触媒のバンドギャップ・エネルギー以上のエネルギーを有する光源であればよく、通常は紫外線灯が用いられる。特に二酸化チタンを用いる場合には、ルチル型とアナターゼ型があり、各々のギャップエネルギーを波長に換算すると、ルチル型は407nm、アナターゼ型は388nmである。従って、二酸化チタンに対する光源の波長分布は400nmをピーク付近に有することが望ましい。図4の波長分布を有する誘蛾灯は、400nmがピーク近傍にあるためルチル型およびアナターゼ型両方に有効で極めて好ましい。
【0032】
図5の波長分布を有する自然太陽光線は、可視光線が中心であるが、400nmを含んでいるために十分に利用できる。特に自然太陽光線では388nmより407nmの方が光強度が高いのでルチル型の方がアナターゼ型よりも有効である。従って、本発明によりルチル型二酸化チタンを光触媒として利用できることは自然太陽光線を活用できる大きな道を開いたものである。このことは、従来のアナターゼ型の場合には紫外線灯を利用できても、自然太陽光線の場合には触媒効率が極めて低かったことと対照的である。また、従来の光触媒では、屋外での太陽光線の利用は光強度が強いために可能であったが、屋内利用では光強度が弱いため弱点となっていた。しかし、本発明では光触媒効率が格段に増強されているため、太陽光線を光源として屋内における光触媒の利用の拡大を図ることが可能となる。
【0033】
【実施例】
以下に本発明に係る金属超微粒子担持光触媒およびその製造方法の実施例を示し、本発明の特徴とするところを一層明確にする。
【0034】
実施例1
[2種類のPt超微粒子担持光触媒の調製]
有機金属錯体であるバルサムPtの疎水コロイドを親水性のアセトンに分散させて、濃度が2.5重量%の有機金属錯体コロイド溶液を調製した。このコロイド溶液に光触媒微粒子として結晶構造がルチル型で平均粒径300nmの二酸化チタン粉末を混入させて、二酸化チタン微粒子にコロイドを付着させた。このコロイド溶液をパイレックスガラス板に塗布して乾燥し、500℃で30分間焼成し、ガラス板から剥がして金属超微粒子担持光触媒Aを得た。同様に結晶構造がルチル型で平均粒径70nmの二酸化チタン粉末を用いて金属超微粒子担持光触媒Bを得た。
図6はAの、図7はBの透過型電子顕微鏡写真であり、二酸化チタン微粒子上におけるPt超微粒子の担持状態を示している。又、図8はAの高分解能透過型電子顕微鏡による格子像を示し、その格子間隔からPtがルチル型二酸化チタン上に担持されていることを証明している。図9はAおよびBのPt超微粒子の粒径分布を示し、Aの平均粒径が3nm、Bの平均粒径が1.5nmであることを示す。コロイド焼成法によれば平均粒径の小さな金属超微粒子を二酸化チタン上に担持させることができ、本発明の核心部である量子サイズ効果を最も効果的に発現させることができる。
【0035】
実施例2
[実施例1のPt超微粒子担持光触媒の担持密度の測定]
実施例1により得られたサンプルAおよびBのPt超微粒子の担持密度を測定した。この際、二酸化チタン微粒子およびPt超微粒子を球形に近似した。図6のAの電子顕微鏡写真から、直径200nmの二酸化チタン微粒子1個の表面には約120個のPt超微粒子が存在し、1cm当りの担持密度は2×1011個であった。同様に、図7のBの電子顕微鏡写真から、直径50nmの二酸化チタン1個の表面には約300個のPt超微粒子が存在し、担持密度は4×1012個/cmであった。分かりやすさの観点から、本発明では担持密度を光触媒微粒子1個当りの金属超微粒子の個数で表現することにする。
【0036】
実施例3
[6種類の金属超微粒子担持光触媒の光触媒効率の比較]
バルサムPtの代わりにPtブチルメルカプタンを使用して実施例1と同様の方法で、平均粒径300nmの二酸化チタンに金属超微粒子を担持させ、6種類の金属超微粒子担持光触媒を作製した。具体的には、ルチル、アナターゼ、ルチル・Pt、ルチル・Au、アナターゼ・Au、アナターゼ・Pdである。ルチルおよびアナターゼは金属非担持の二酸化チタン単体である。これらの光触媒粉末をこの順にC、D、E、F、G、Hと呼ぶ。
これらの光触媒粉末C〜Hを密封容器内に置いた後、エタノールを密封して、紫外線灯の露光下で1時間後のアセトアルデヒドと酢酸の生成量を測定し、結果を表1に示す。エタノールはアセトアルデヒド次いで酢酸へと分解されるから、アセトアルデヒドと酢酸の生成量の合計が分解力の指標となる。アナターゼDがルチルCの約1.8倍であることから単体ではアナターゼが有効である事が実証された。E、F、G、Hは各々Cの約5倍、約8倍、約9倍、約7倍であり、またDの約3倍、約4倍、約5倍、約4倍も分解力が高いことが分かる。従って、金属超微粒子担持光触媒の分解力が顕著に優れていることが分かった。
【0037】
【表1】
Figure 0003601752
【0038】
実施例4
[金属超微粒子担持光触媒微粒子の連続製造装置]
図10は金属超微粒子を担持した光触媒微粒子の連続製造装置の概略断面図である。本装置の頭頂にある噴霧部2には、有機金属錯体コロイド溶液を噴霧するスプレー機構4と光触媒微粒子を噴霧する微粒子ノズル6が配置されている。例えば二酸化チタン微粒子とPtブチルメルカプタンコロイド溶液を相互に対向状に噴霧すると、二酸化チタン微粒子上にコロイド粒子が多数付着する。このコロイド付着微粒子は自重で第1加熱槽に落下し、そこで約100℃で乾燥される。第1フランジ部10から下は第2加熱槽12で、送流ファン11によりコロイド付着微粒子は強制的に邪魔板13の間を通過させられ、約500℃にまで加熱される。この加熱により有機物は完全に分解されて金属原子が相互に集合しながら金属超微粒子へと再配列する。第2フランジ部14の下には多孔緩衝板16、20があり、その間にファン18が設置されている。ファン18の吸引力により金属超微粒子を担持した光触媒微粒子が多孔緩衝板16、20を通過して行くが、光触媒微粒子同士が結合し合って団子状に大きくなったものはここで遮断され、微粒子のサイズ調製が行われる。光触媒微粒子はバッファ22を介して容器24内に連続的に堆積して行く。気流は多孔緩衝板26を介して外部へと吸引排気される。
【0039】
実施例5
[連続製造装置によるPt担持と従来の光触媒微粒子との比較]
実施例4に示された連続製造装置により平均粒径70nmのルチル型二酸化チタンに平均粒径1.5nmのPt超微粒子を担持させて、金属超微粒子担持光触媒微粒子を作製した。Pt超微粒子の担持密度は二酸化チタン微粒子1個当り600個であった。このPt超微粒子担持光触媒微粒子の光触媒効率を平均粒径70nmのアナターゼ型二酸化チタン単体と平均粒径70nmのルチル型二酸化チタン単体と比較してみた。反応雰囲気として酸素とアルゴンガスの2種類を用意し、スーパーオキサイドアニオンの効果も確かめた。Pt超微粒子担持光触媒微粒子・OをI、アナターゼ・OをJ、アナターゼ・ArをK、ルチル・OをLとする。
4種類とも触媒は0.5gであり、アセトアルデヒドの酢酸への分解効率を見るため、密封容器内のアセトアルデヒド濃度が100ppmから測定を開始し、1ppmになるまで計測を続けた。結果は図11に片対数で示されている。測定開始から同一時刻でのIとJの比較から、Pt担持はアナターゼ単体より触媒効率が約100倍以上も高く、実施例3と比較しても格段に高いことが分かる。この理由は、金属担持密度がかなり大きいこと及びPt超微粒子の粒経が粒ぞろいでかなり小さいことが原因である。また、JとKの比較から、アルゴンガスでは分解が促進せず酸素の存在が効果的であることが証明された。即ち、スーパーオキサイドアニオンの存在が酸化還元過程に有効に作用しているのである。さらに、ルチル単体の場合には酸素中でも触媒効率が一番悪く、図3および4で説明したことが実証されている。
【0040】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例・設計変更等をその技術的範囲内に包含するものである。
【0041】
【発明の効果】
本発明は上記詳述したように、光触媒微粒子に担持される金属を金属超微粒子にまで極少化することにより、光触媒機能を顕著に増強したものである。金属を1〜10nmのナノスケール領域にまで極少化すると、量子サイズ効果の発現によって励起電子を直ちに外部に放出できる。しかも光触媒微粒子1個当りに担持される金属超微粒子の平均個数(担持密度)を100個以上に設定できるから、光触媒反応効率を格段に増強できる。その結果、外部物質に対する酸化還元力を顕著に増強でき、有機物分解力が光触媒微粒子単体やミクロンサイズの金属を担持した光触媒微粒子より格段に優れた光触媒を実現したものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属超微粒子の量子サイス効果を説明するバンド構造の説明図である。
【図2】ルチル型二酸化チタンが酸素を還元しにくいことを説明するバンド構造の概略図である。
【図3】アナターゼ型二酸化チタンが酸素を容易に還元できることを説明するバンド構造の概略図である。
【図4】二酸化チタンのルチル型とアナターゼ型の両方を効率的に励起できる誘蛾灯の紫外線の波長分布図である。
【図5】自然な太陽光線の波長分布図である。
【図6】平均粒径300μmの二酸化チタンにPt超微粒子を担持させた状態の透過型電子顕微鏡写真である。
【図7】平均粒径70μmの二酸化チタンにPt超微粒子を担持させた状態の透過型電子顕微鏡写真である。
【図8】図6の状態の高分解能透過型電子顕微鏡による格子像である。
【図9】図6及び図7のPt超微粒子の粒径分布図である。
【図10】金属超微粒子担持光触媒微粒子の連続製造装置の概略断面図である。
【図11】Pt担持二酸化チタンと二酸化チタン単体によるアセトアルデヒド分解の時間経過図である。
【図12】従来の金属担持光触媒のバンド構造の説明図である。
【符号の説明】
2・・噴霧部
4・・スプレー機構
6・・微粒子ノズル
8・・第1加熱槽
10・・第1フランジ部
11・・送流ファン
12・・第2加熱槽
13・・邪魔板
14・・第2フランジ部
16・・多孔緩衝板
18・・ファン
20・・多孔緩衝板
22・・バッファ
24・・容器
26・・多孔緩衝板

Claims (8)

  1. 純粋なルチル型二酸化チタンからなる光触媒物質にAu、Ag、Pd、Rh、Pt、Ru、Ir及びOsの少なくとも1種からなる金属超微粒子が担持され、前記金属超微粒子の平均粒径が1〜10nmであることを特徴とする金属超微粒子担持光触媒。
  2. 前記光触媒物質が光触媒微粒子である請求項1に記載の金属超微粒子担持光触媒。
  3. 前記金属超微粒子が1〜10nmの平均粒径を有する場合において、量子サイズ効果を発現する請求項1又は2に記載の金属超微粒子担持光触媒。
  4. 前記光触媒微粒子1個当りに担持されている金属超微粒子の平均個数が100個以上である請求項2又は3に記載の金属超微粒子担持光触媒。
  5. 前記光触媒物質は紫外線照射により水酸ラジカルおよび/またはスーパーオキサイドアニオンの生成能力を有する請求項1に記載の金属超微粒子担持光触媒。
  6. 加熱により還元可能な有機金属化合物と純粋なルチル型二酸化チタン粉体からなる光触媒物質の混合液を乾燥した後、残留物を焼成して光触媒物質表面に金属超微粒子を強固に担持させることを特徴とする金属超微粒子担持光触媒の製造方法。
  7. 有機金属化合物が有機金属錯体の疎水コロイドであり、光触媒物質が金属酸化物半導体粉末粒子であり、両物質を親水溶媒中で混合させて疎水コロイドを金属酸化物半導体粉末粒子表面に付着させる請求項6に記載の金属超微粒子担持光触媒の製造方法。
  8. 有機金属化合物のコロイド溶液と光触媒粉末を互いに対向状に噴霧して光触媒粉末粒子の表面に有機金属化合物コロイドを多数付着させ、このコロイド付着光触媒粉末粒子を落下する途中で加熱処理して金属超微粒子を光触媒粉末粒子表面に強固に担持させ、この金属超微粒子担持光触媒を連続的に製造することを特徴とする金属超微粒子担持光触媒の製造方法。
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