JP2005272463A - 芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法 - Google Patents

芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005272463A
JP2005272463A JP2005052020A JP2005052020A JP2005272463A JP 2005272463 A JP2005272463 A JP 2005272463A JP 2005052020 A JP2005052020 A JP 2005052020A JP 2005052020 A JP2005052020 A JP 2005052020A JP 2005272463 A JP2005272463 A JP 2005272463A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal
photocatalyst
reaction
aromatic
supported
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005052020A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshio Yoshida
寿雄 吉田
Tadashi Hattori
忠 服部
Kazuko Otake
加寿子 大竹
Masakado Aoki
正矩 青木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nagoya Industrial Science Research Institute
Original Assignee
Nagoya Industrial Science Research Institute
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nagoya Industrial Science Research Institute filed Critical Nagoya Industrial Science Research Institute
Priority to JP2005052020A priority Critical patent/JP2005272463A/ja
Publication of JP2005272463A publication Critical patent/JP2005272463A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】選択性と汎用性に優れる新たな芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】 水の存在下、金属担持光触媒に光を照射して芳香族化合物のベンゼン環を水酸化することにより、芳香族化合物から直接芳香族ヒドロキシ化合物を製造する。金属担持光触媒に対する光照射によって、水が芳香族化合物を水酸化し、結果として芳香族ヒドロキシ化合物が製造される。したがって、温和な条件でしかも高い選択率で芳香族ヒドロキシ化合物を得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法に関する。
フェノールなどのフェノール性水酸基を有するフェノール類は、フェノール樹脂やビスフェノールAなど合成原料として工業上有用な原料である。ベンゼンからフェノールを合成する方法としては、クメン法が確立されており、工業的にはクメン法で製造されている。一方で、クメン法が多段プロセスであることなどから、これに替わる新たなフェノールの製造方法も検討されている。ベンゼンの直接酸化による方法によれば一段階でフェノールを得ることができるため、各種の検討がなされている。
ベンゼンの直接酸化によるフェノールの製造法としては、分子状酸素あるいは過酸化水素により酸化する方法(特許文献1)、一酸化二窒素で酸化する方法(特許文献2)、水で酸化する方法(特許文献3)等がある。しかしながら、従来の反応系では、いずれも、フェノール類の逐次的な酸化を抑制してフェノール類についての高い選択率を得るため、特殊な酸化剤や化合物を用いるか、あるいは過酷な反応条件を用いる必要があった。したがって、現在までのところ、温和な反応条件でしかも汎用性のある触媒や酸化剤を用いて十分な選択性でもってフェノールを直接的に製造できる反応系が見出されてはいない。
特開平7−223984号 特開昭58−146522号 特開平2−101034号
そこで、本発明では、選択性と汎用性に優れる新たな芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、従来フェノール製造における酸化剤としてはほとんど着目されていなかった水に着目し、さらに、金属担持光触媒を用いることで、ベンゼンから高選択率で直接フェノールを製造できることを見出した。そして、当該知見に基づき、以下の発明を完成した。すなわち、本発明によれば以下の手段が提供される。
本発明によれば、芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法であって、芳香族化合物と水を主体とする反応媒体相との存在下、金属担持光触媒に光を照射して前記芳香族化合物の芳香族環を水酸化する水酸化工程を備える、製造方法が提供される。前記水酸化工程を、前記金属担持光触媒を液体の水を主体とする前記反応媒体相に存在させた状態で実施することが好ましい形態である。また、前記水酸化工程を、前記金属担持光触媒と分子状酸素との接触を抑制した状態で実施することが好ましい形態であり、前記水酸化工程を、前記金属担持光触媒と分子状酸素との接触を遮断した状態で実施する形態が、さらに好ましい。また、前記水酸化工程を、当該工程に存在するガスの少なくとも一部を不活性ガスで置換した状態で実施することも好ましい形態である。前記水酸化工程を、実質的に水と金属添加半導体光触媒と芳香族化合物と不活性ガスとのみから構成することが、さらに好ましい形態である。また、前記水酸化工程を、液体の水を主体とする前記反応媒体相に分子状酸素を供給しながら実施することも好ましい形態である。
上記いずれかの製造方法において、前記金属担持光触媒における金属は、Pt、Au及びPdからなる群から選択される1種あるいは2種以上であることが好ましい形態であり、前記金属担持光触媒における光触媒は、酸化チタンであることも好ましい形態である。さらに、前記芳香族化合物は置換基を有する又は置換基を有しない、ベンゼン、フェノール、トルエン及びナフタレンからなる群から選択されるいずれかであることが好ましい。また、上記いずれかの製造方法において、前記金属担持光触媒に対して前記芳香族化合物を連続的に供給し、その水酸化物を連続的に排出して前記水酸化工程を実施することが好ましい。
また、本発明によれば、上記いずれかの製造方法において、前記金属担持光触媒に照射する光は、前記芳香族化合物の吸収帯の波長域の少なくとも一部を含まない波長分布を有する、芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法が提供される。この態様の製造方法においては、照射する光に含まれない前記波長域は、芳香族ヒドロキシ化合物の収率及び/又は選択率に対応して決定することが好ましく、また、前記芳香族化合物の吸収帯は、前記反応媒体相と前記金属担持光触媒存在下における吸収帯であることが好ましい。
また、上記いずれかの製造方法においては、前記金属担持光触媒に照射する光は、390nm以下の波長域の全部あるいは一部を含まない波長分布を有することもできる。
さらに、本発明によれば、上記いずれかの製造方法において、有効な前記芳香族ヒドロキシ化合物の収率及び/又は選択率が得られる程度に前記金属担持光触媒に照射する光の波長分布を選択する工程を備える、芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法も提供される。
照射光の波長分布を制御する場合においては、前記金属担持光触媒における金属は、Pd又はPtとすることができ、さらに、金属担持光触媒としてPd担持光触媒を用い、前記金属担持光触媒に照射する光は、330nm以下の波長域を含まない波長分布を有するようにしてもよい。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。本発明の芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法は、芳香族化合物と水を主体とする反応媒体相との存在下、金属担持光触媒に光を照射して前記芳香族化合物を水酸化する水酸化工程を備えている。本発明によれば、金属担持光触媒に対する光照射によって、水が芳香族化合物を水酸化し、結果として芳香族ヒドロキシ化合物が製造される。この結果、本発明によれば、温和な条件でしかも高い選択率で芳香族ヒドロキシ化合物を得ることができる。このような本発明の効果は、従来の知見及びこれらの知見に基づく予想に反したものである。本発明を理論的に拘束するものではないが、本発明者らは、本発明におけるかかる効果が得られる理由を、次のように推測している。一般に水分子から発生すると想像される活性な酸素種としてはヒドロキシラジカル(OH・)が挙げられるが、これは比較的強力な酸化剤であり非選択的に有機物の任意の部位を酸化してしまい、選択酸化には適さないと認識されている。これに対し、本発明の反応系においては水分子由来の比較的温和でかつ親電子的(求電子的)な性質を持ち合わせた活性種が生成し、電子リッチな芳香環を攻撃し、水素と置換することで水酸基化を達成するものと考えられる。この活性種はいわゆるヒドロキシラジカルとは異なる特殊なヒドロキシラジカル(たとえば表面に吸着したヒドロキシラジカルなど)であることが推察される。金属担持光触媒においては光が吸収され励起電子と正孔が生成し、正孔は光触媒表面に到達し、励起電子は金属微粒子に到達する。本発明では水の存在を必須とし、水を主体とする反応媒体相の存在下、金属担持光触媒に光を照射する。反応媒体相が水を主体とするため、光触媒上の正孔と水とが反応することでこの活性種が効率よく生成し、ついで反応媒体相の水に溶解してきた芳香族化合物あるいは水相との芳香族化合物との界面において芳香族化合物を攻撃する。ヒドロキシル化された際に生成する芳香環由来の水素ラジカルは光触媒上に担持された金属粒子において速やかに水素分子に変換される。このようにして全体としては光エネルギーを得ることにより芳香族化合物と水から芳香族ヒドロキシ化合物と水素が得られる。反応媒体相に分子状酸素が存在している場合は、酸素も酸化剤として働き、生成する芳香族ヒドロキシ化合物の逐次酸化が進行し二酸化炭素が生成し、一方水素分子の生成は見られなくなるが、一定量の芳香族ヒドロキシ化合物も得られる。
本発明の芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法は、芳香族化合物と水を主体とする反応媒体相との存在下、金属担持光触媒に当該触媒による光触媒反応が誘起可能なように光を照射して芳香族化合物の芳香族環を水酸化する水酸化工程を備えている。本水酸化工程によれば、金属担持光触媒と芳香族化合物と水とを反応の必須要素として、芳香族化合物から一段で芳香族ヒドロキシ化合物を得ることができる。以下、本発明方法における芳香族化合物、芳香族ヒドロキシ化合物、金属担持光触媒及び水について説明し、次いで、水酸化工程について説明する。
(芳香族化合物)
本発明に用いられる芳香族化合物は、分子内に少なくとも一つのベンゼン環を有し、当該ベンゼン環に水酸基を導入可能な未置換部位を有するベンゼン系芳香族化合物を包含している。ここに、ベンゼン系芳香族化合物は、単一のベンゼン環を有する芳香族系化合物(以下、単環式芳香族化合物という。)と、二以上のベンゼン環を多価基を介して連結された芳香族化合物(以下、多価式芳香族化合物という。)と二以上のベンゼン環を縮合状態で有する芳香族系化合物(以下、縮合環式芳香族化合物という。)と二以上のベンゼン環が直接連結した芳香族系化合物(以下、環集合式芳香族化合物という。)とを包含している。単環式芳香族化合物としては、ベンゼンの他、一置換ベンゼン、二置換ベンゼン、多置換ベンゼンを挙げることができる。置換基としては、特に限定しないで、各種官能基を含む置換基で置換されていてもよい。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などの各種の直鎖状及び分岐状の飽和あるいは不飽和炭化水素基、シクロアルキル基などの環状の飽和及び不飽和炭化水素基、さらに、ヒドロキシ基、カルボニル基、オキシ基、カルボキシル基、エステル基などの含酸素官能基を有する置換基、シアノ基、イミド基などの含窒素官能基を有する置換基などであってもよい。また、複素環系官能基を有する置換であってもよい。これらの置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、アセチル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アセトキシ基、ハロゲン元素、チオアルコキシ基等を挙げることができる。
このような単環式芳香族化合物としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、スチレン、キシレン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、クメン、シメン、安息香酸、ニトロベンゼン、アニリン、ベンゾニトリル、アセトフェノン、アニソール、フェノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、酢酸フェニル、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、クレゾール、クロロトルエン、塩化ベンジル、ニトロトルエン、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ベンズアルデヒド、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等を挙げることができる。なかでも、ベンゼン、アルキルベンゼン、芳香族ヒドロキシ化合物、アニリン、アニソール、クロロベンゼンなどの電子供与基をもつベンゼン誘導体を好ましく用いることができ、より好ましくはベンゼン、アルキルベンゼンである。
なお、単環式芳香族化合物は、ベンゼン以外の他の共役環を含む炭化水素環や複素環をベンゼン環に縮合してあるいは連結して有する化合物も含まれる。このような単環式芳香族化合物としては、インデン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピラン、キノサン等を挙げることができる。
多価式芳香族化合物は、オキシ基、アルキレン基、イミノ基などの二価以上の多価基を介してベンゼン環あるいはベンゼン環を含むユニットが連結された化合物である。多価芳香族化合物には、ベンゼン環を含むユニットを単量体単位として直鎖状あるいは分枝状に連結された高分子化合物も含まれる。多価式芳香族化合物は置換基を有していてもよく、置換基は、単環式芳香族化合物におけるのと同様の各種置換基を有することができる。例えば、このような多価式芳香族化合物としては、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、ジベンジルケトン、ジベンジル等を挙げることができる。
多環式芳香族化合物としては、縮合環系芳香族化合物と環集合系芳香族化合物とを挙げることができる。縮合環系芳香族化合物としては、ナフタレン、アントラセン、トリフェニリン等あるいはこれらのベンゼン環において1あるいは2以上の置換基を有する化合物を挙げることができる。置換基は、単環式芳香族化合物におけるのと同様の各種置換基を有することができる。このような縮合環系芳香族化合物としては、例えば、ナフタレン、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、アントラセン、トリフェニリン、ベンゾフェナントレン等を挙げることができる。
また、環集合系芳香族化合物としては、分子内の少なくとも二つのベンゼン環が共有原子を持つことなく結合を介して連結されている化合物である。例えば、ビフェニル、テルフェニルなどのベンゼン環が直鎖状に連結した環集合系芳香族化合物、分岐して連結した環集合系芳香族化合物及びこれらのベンゼン環において1あるいは2以上の置換基を有する化合物を挙げることができる。置換基は、単環式芳香族化合物におけるのと同様の各種置換基を有することができる。このような縮合環系芳香族化合物としては、例えば、ビフェニル、テレフェニル、スチルベン等を挙げることができる。
なお、本発明の芳香族化合物は、水酸基を導入可能な未置換部位を有する少なくとも一つのベンゼン環あるいは非ベンゼン系芳香族環を有していれば足り、上記のカテゴリーに分類されないあるいは2つ以上のカテゴリーに同時に分類される化合物も包含している。
本発明における典型的な芳香族化合物としては、ベンゼン、フェノール、トルエン及びナフタレンを用いることができる。なお、これらの芳香族化合物は、置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよい。
(芳香族ヒドロキシ化合物)
本発明における芳香族ヒドロキシ化合物とは、芳香族化合物のベンゼン環を形成する炭素に直接ヒドロキシル基が少なくとも1個結合した化合物である。本発明方法に則していえば、前記芳香族化合物のベンゼン環を形成する炭素における炭素−水素結合の少なくとも1つが炭素−ヒドロキシ結合に変換された化合物である。したがって、分子中に、芳香族環の炭素原子に結合した水酸基を一つのみならず、2以上有する芳香族ヒドロキシ化合物も含まれる。例えば、ベンゼンからは、フェノール、カテコール、レソルシノール、ヒドロキノン、レゾルシン等が生成し、ナフタレンからは、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等が生成し、トルエンからは、モノ及びポリヒドロキシトルエン等が生成する。
(金属担持光触媒)
本発明において用いる金属担持光触媒における光触媒としては、光触媒反応を誘起できる物質であればよく、特に限定しない。したがって、一般に光触媒として知られている化合物(例えば、金属酸化物半導体、化合物半導体としてしられるもの)を使用できる。典型的には、酸化チタン(TiO;アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型及びこれらの混晶タイプ)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化鉄(Fe)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、タンタル酸ナトリウム(NaTaO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化タングステン(WO)等の各種金属酸化物、硫化カドミウム(CdS)、硫化亜鉛(ZnS)等の硫化物、あるいはリン化ガリウムやいわゆるVI族半導体(セレン化物、テルル化物)等が使用できる。また、これらを基に化学修飾や異元素をドープしたものなどの改良を施したものも含まれる。光触媒としては、これらのうち1種あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。好ましくは酸化チタンである。
光触媒の表面及び/又は内部には、金属が担持されている。担持される金属としては、遷移金属であることが好ましい。担持金属としては、遷移金属から1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、白金族金属(ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt))、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)及び銀(Ag)を好ましく用いることができ、より好ましくは、Pt、Pd、Auであり、さらに好ましくは、Ptである。また、Pdも好ましい。これらの金属は、光触媒に対して0.01wt%以上5wt%以下の範囲で担持されていることが好ましい。この範囲であると、適切な触媒能を発揮することができる。一方、0.01wt%未満であると担持した効果が小さくなりすぎ、5wt%を超えて担持してもそれに応じた効果が得られにくいかむしろ活性を失うからである。もっとも望ましくは、0.1wt%以上2wt%以下である。なお、金属の担持率はこの範囲に限定するものではない。
金属担持光触媒の形態は、特に、限定しないで各種の形態で用いることができる。金属担持光触媒自体を粉末、各種形状の成形体として用いることができる他、金属担持光触媒を基材に担持して用いることもできる。基材に担持された金属担持光触媒の形態としては、基材及び基材への担持形態に応じ、皮膜状、層状、粒子状等の各種形態を採ることができる。基材は、粒状、板状、シート状、膜状、フィルム状、チューブ状、球状、ハニカム状等の各種形態を採ることができる。多孔体の基材、中でも光透過性のある多孔体の基材を用いることが好ましい。無機系基材としては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ゼオライト、珪藻土、活性炭等を用いることができる。
本発明において使用する金属担持光触媒の使用量は特に限定されることはないが、例えば、粉体の触媒を用いる場合、酸化剤となる水に対して1wt%以上30wt%以下とすることが好ましく、より好ましくは5wt%以上20wt%以下であり、原料たる芳香族化合物の重量に対しても1wt%以上50wt%以下とすることが好ましく、より好ましくは5wt%以上20wt%以下である。なお、これらの範囲に限定するものではない。
金属担持光触媒を製造するには、各種方法を採用することができる。光触媒は、商業的に入手可能なものを使用してもよいし、従来公知の金属酸化物等の製造技術を適用して合成することもできる。例えば、酸化チタン粒子を得る方法としては、硫酸チタン、硫酸チタニル、塩化チタンやチタンアルコキシド等を、必要に応じて核形成用種子の存在下で加熱加水分解する方法、塩化チタンやチタンアルコキシド等を気相酸化する方法、硫酸チタン、硫酸チタニル、塩化チタンやチタンアルコキシド等にアルカリを添加して中和析出する方法などがある。また、必要に応じて生成した酸化チタン粒子を焼成したり、水熱処理したりしてもよい。
なお、光触媒は、基材に担持させた状態で得ることもできる。基材に、光触媒を懸濁あるいは分散させた懸濁液や分散液、光触媒の金属酸化物の原料となる有機金属化合物からなるゾル溶液をスプレーコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング法などにより塗布あるいは含浸し、その後、乾燥及び焼成等することにより、各種形態の光触媒を得ることができる。また、基材表面に化学的蒸着法、物理的蒸着法、スパッタ法等の気相法、溶射法等により金属酸化物などを付与して薄膜あるいは任意の三次元形態の光触媒を得ることもできる。さらにまた、金属製基材表面を陽極酸化して被膜状の光触媒として得ることもできる。
各種形態の光触媒に金属を担持させるには従来公知の各種方法を使用できる。例えば、光触媒(基材に担持させた形態もふくむ)を担持させようとする金属の塩水溶液中に浸漬ないし懸濁させ還元剤を加えて光照射する光析出法、光触媒を金属塩水溶液中に浸漬して乾燥後酸化還元処理する含浸法、光触媒を金属塩水溶液中に浸漬し還元剤を加える化学析出法、光触媒原料に金属塩水溶液を加え同時沈澱させた後焼成する同時沈澱法、光触媒と金属粉末を練り合わせる混練法、光触媒と金属粉末を容器に入れ振とう器等で振り混ぜる振り混ぜ法、光触媒と金属粉末を各々別々に反応物溶液に加え懸濁混合させる金属粉添加法、メカノケミカル混合によって光触媒粒子に金属粉末を複合化する方法、噴霧熱分解法により、光触媒に担持させようとする金属化合物を複合化し、その後、金属を還元する複合化法等など採用することができる。これらの各種手法は、光触媒の形態、すなわち、粒子状であるか被膜状であるか等によって適宜選択して適用する。
金属を担持させた光触媒粒子を得た場合には、このゾル溶液等を所定形状の基材に供給して当該基材に担持させることができる。また、金属担持光触媒を単独であるいは他の材料と組み合わせて用いて所定形状に成形することもできる。さらに、光触媒原料のゾル溶液等を基材に供給して所定形態の光触媒を得る場合には、担持させる金属原料を同時に基材に供給して、その後乾燥焼成等することによって金属担持光触媒を得ることもできる。
(反応媒体相)
反応媒体相は、水を含みかつ金属担持光触媒及び芳香族化合物以外の成分で構成されている。なお、芳香族化合物及び固体である金属担持光触媒は水と併存することがあってもそれ自体反応媒体相の成分を構成しない。反応媒体相は、液相であっても気相であってもよく、これらの双方を含む場合もある。好ましくは、液相である。なお、反応媒体相に含まれることのある水以外の成分としては、芳香族化合物を溶解等するための溶媒、雰囲気ガス(ただし、不活性ガスは除く)などを挙げることができる。
水は、水酸化工程において、必須要素であり、反応媒体相の構成成分である。水は、液体であることが好ましく、液体として水を主体とする液体の反応媒体相に存在することが好ましい。「水を主体とする」とは、反応媒体相の全体(ただし、不活性ガスが存在する場合、当該不活性ガスは除かれる)において水が50モル%を超えて存在することを意味する。より好ましくは、水が80モル%以上であり、さらに好ましくは99モル%以上である。最も好ましくは、反応媒体相が実質的に水のみからなることが好ましい。ここで、「実質的に水のみからなる」とは、水以外の溶媒、ガス等を意図的に含めることをしないという意味である。水(好ましくは液体の水)を主体とする反応媒体相の存在下で、金属担持光触媒に光照射することで、常温常圧程度の温和な条件でも芳香族化合物から高選択率で芳香族ヒドロキシ化合物を得ることができる。既に述べたように、本発明の製造方法においては、水は弱い選択的な酸化剤として機能するものと推測される。
芳香族化合物は、水と接してあるいは水と混合した状態で存在することが好ましい。水が液体の場合、芳香族化合物は水と相溶した系、均一な分散系、あるいは二相系を構成して存在することが好ましい。固体の芳香族化合物を他の有機溶媒等に溶解させた上で水と併存させてもよい。水酸化工程においては、水は芳香族化合物1モルに対して、0.01モル以上100モル以下とすることが好ましい。0.01モル未満であると、反応速度が低下し、100モルを超えても反応速度が低下するからである。より好ましくは、0.1モル以上10モル以下である。なお、これらの範囲に限定するものではない。
金属担持光触媒は、水と接して存在することが好ましい。液体の水を主体とする前記反応媒体相に存在させた状態で実施することがより好ましい。また、芳香族化合物と水とが二相系を構成する場合、金属担持光触媒が水相に存在することで、水相に溶解してきた芳香族化合物と反応するか、あるいは水相との界面にて芳香族化合物と反応することになり、多くの水に金属担持光触媒が作用することで多くの水酸ラジカルなどの活性種が生成したり、生成した芳香族ヒドロキシ化合物が芳香族化合物相へ速やかに移動し逐次酸化を受けにくくなり選択的な水酸基化が進行しうる等の利点がある。逆に、金属担持光触媒が、芳香族化合物と接して存在することも好ましい。液体の芳香族化合物を主体とする前記反応媒体相に存在させた状態で実施することも好ましい。芳香族化合物と水とが二相系を構成する場合、金属担持光触媒が芳香族化合物相に存在することで、芳香族化合物相に溶解してきた水と反応するか、あるいは芳香族化合物相との界面にて水と反応することになり、多くの芳香族化合物に金属担持光触媒が作用することで生成した芳香族ヒドロキシ化合物が触媒表面から芳香族化合物相へ速やかに移動し逐次酸化を受けにくくなり選択的な水酸基化が進行しうる等の利点がある。
(水酸化工程)
本水酸化工程においては、既に説明した金属担持光触媒と、水を主体とする反応媒体相と、芳香族化合物とが水酸化反応に関与し、これらが本水酸化反応工程における反応系の必須成分であるといえる。したがって、芳香族ヒドロキシ化合物についての高い選択性を得るには、反応媒体相から、反応に関与しうる(水酸化工程における必須成分に対して活性な)ガス(溶存ガスを含む)、反応溶媒などの化合物をできるだけ排除することが好ましい。具体的には、水酸化工程に対して、不活性なガスを添加し、反応系に含まれる必須成分以外の成分(分子状酸素など)を希釈しあるいは置換することが挙げられる。液相中の溶存ガス(酸素など)を不活性ガスで置換することも含まれる。また、反応溶媒の使用を控え、あるいは使用しないことも好ましい。さらに好ましくは、本水酸化工程を、実質的に水と芳香族化合物と金属担持光触媒と不活性ガスとのみから構成する。「実質的に水と芳香族化合物と金属担持光触媒と不活性ガスとのみからなる」とは、意図的にこれら以外の成分を含有しないでという意味である。なお、この状態は、反応媒体相を実質的に水のみから構成するのと同等である。
以上、水酸化工程の成分として、既に、芳香族化合物と金属担持光触媒と水については述べたので、以下、芳香族ヒドロキシ化合物を高選択率で得る観点から、本水酸化工程の反応媒体相においてその存在が抑制あるいは排除されることが好ましい要素について説明する。
(分子状酸素)
金属担持光触媒により芳香族化合物から芳香族ヒドロキシ化合物を合成しようとする場合、分子状酸素が存在すると、分子状酸素と金属担持光触媒との接触により、分子状酸素に起因して意図しない酸化が進行するおそれがあること、及び水と金属担持光触媒とがあれば、分子状酸素、過酸化水素、NO等の酸化剤が存在せずとも、ベンゼン環の水酸化が高い選択性で進行することが本発明者らの研究により判明している。したがって、本水酸化工程においては、金属担持光触媒と分子状酸素との接触を抑制することが好ましい。好ましくは、分子状酸素と金属担持光触媒との接触を実質的に遮断する。こうすることで、水酸化工程に存在する酸化種を水に由来するものに規制して、芳香族ヒドロキシ化合物ついての選択性の高い水酸化が可能となり、逐次的な酸化も抑制できる。なお、「分子状酸素と金属担持光触媒との接触を実質的に遮断する」とは、主として、反応媒体相を構成する液相や雰囲気ガスに予め含まれることのある分子状酸素を除去することを意味する。したがって、水酸化工程において光照射等によって初めて生じる分子状酸素の存在は許容される。分子状酸素とは、水酸化工程における雰囲気ガスの他、水や芳香族化合物の液相に溶存酸素として含まれることがある。
最も汎用される雰囲気ガスである反応雰囲気ガスは空気である。空気の約20%は酸素である。本水酸化工程において、雰囲気ガスが空気であるなど酸素を含む場合、金属担持光触媒と分子状酸素との接触を抑制あるいは遮断するには、雰囲気ガスと金属担持光触媒との接触を避ける他、水酸化工程からできるだけ分子状酸素を除去することが最も有効である。したがって、金属担持光触媒と分子状酸素との接触を抑制するには、以下の手段をとることができる。(1)雰囲気ガスが酸素を含む場合、水酸化反応工程において金属担持光触媒が存在する相(典型的には液相)と雰囲気ガスとの接触を抑制することが有効である。具体的には、水酸化合物工程において液相の攪拌などを抑制するかあるいはしないようにする。(2)雰囲気ガスの少なくとも一部を不活性ガスで置換する。(3)水や芳香族化合物を含む液相を脱気するかあるいは不活性ガスで置換する。(4)脱酸素剤を使用する。
これらの手段の1種あるいは2種以上を用いることで金属担持光触媒と分子状酸素との接触を抑制できる。さらに、それぞれの手段において不活性ガスによる置換レベル、脱気や不活性ガスのパージの程度を高めることで、金属担持光触媒と分子状酸素との接触を遮断することができる。好ましくは、雰囲気ガスの実質的にすべてを不活性ガスで置換することにより、あるいはこれに加えて液相の脱気及び/又は不活性ガスによるパージによって金属担持光触媒と分子状酸素との接触を抑制し遮断する。
なお、本水酸化工程において用いる不活性ガスとは、窒素ガスと二酸化炭素とを含み希ガス類元素に属する元素のガスである。希ガス類元素に属する元素のガスとしては、へリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン及びラドンである。通常、窒素ガス、ヘリウム、アルゴン等を用いる。液相の不活性ガスパージ(バブリング)と、水酸化工程の雰囲気ガスの置換にはそれぞれ異なる不活性ガスを用いても良い。
一方、分子状酸素を液体の水を主体とする前記反応媒体相に分子状酸素を供給しながら実施することは、芳香族ヒドロキシ化合物の収量を増大するには有効である。この場合、水が液体として存在するゆえ、金属担持光触媒が水と接触する機会が多く、このため、水と酸素が相乗的に有効な酸化剤として機能しうるからであると推測される。
(反応溶媒)
本水酸化工程においては、有機溶媒などが存在すると、金属担持光触媒の光触媒作用に起因して副反応が生じ、芳香族ヒドロキシ化合物以外の副生成物が生成することが本発明者らの研究により判明している。したがって、本水酸化工程においては、反応溶媒を用いないことが好ましい。芳香族化合物と水とが相溶しない場合においては、液相を十分に攪拌しながら光照射するか、あるいは水と芳香族化合物との2相系とすることもできる。ただし、芳香族化合物が固体である場合には溶媒を使用する必要がある。溶媒は芳香族化合物と水とを混在させることにより反応機会を向上させ、芳香族ヒドロキシ化合物の生成を促進する場合もある。
(その他の成分)
なお、水酸化工程には、本発明の目的を妨げない範囲で他の成分を含ませることができる。例えば、無機酸や無機アルカリなど、副生成物の生成あるいは増加に関与しない範囲で含ませることもできる。
また、上記水酸化工程の必須成分に対して活性を有していても、アセトニトリルなどの有機化合物が反応系(具体的には液相)中に少量存在することにより、2置換芳香族ヒドロキシ化合物などの生成を促進することができる。かかる化合物は、促進剤と機能しているか、溶存する分子状酸素を多く含むと推測される。したがって、アセトニトリルなどのニトリル系有機化合物やメタノール、エタノール、プロパノールなどの含酸素有機化合物を溶媒の一部として液相中に含めることもできる。特に含酸素有機化合物は、水以外の第2の酸化剤として機能しうると推測される。
(水酸化工程の実施)
水と金属担持光触媒と芳香族化合物とを含む系を準備したら、金属担持光触媒に対して光を照射する。水と芳香族化合物との存在下で、金属担持光触媒に光照射することで、水酸化工程が開始される。
金属担持光触媒に照射するのは、当該光触媒のバンドギャップ以上のエネルギーを有する波長の光を含む光である。かかる波長の光を、本水酸化工程において光触媒反応を誘起できるように照射する。例えば、酸化チタンに対しては、通常、190nmから410nmの波長において電子を励起することができる。
光照射装置としては、高圧水銀灯やキセノンランプ、タングステンランプ、太陽光、LED等を用いることができる。反応管及び光学系は石英など光を効率よく透過するものが望ましい。光の照射方法については内部照射型、外部照射型等いずれでもよくできるだけ効率よく光を触媒に当てることが望ましい。例えばスターラーで触媒をよく懸濁したり、均一に触媒を反応管の底に分散させたりして上または下から光を当てるなどする。また光を効率よく当てるために薄膜化してもよい。なお、光強度としては、特に範囲を規定しないが通常0.1mW以上1000W以下とすることができる。
有効な前記芳香族ヒドロキシ化合物の収率及び/又は選択率が得られる程度に前記金属担持光触媒に照射する光の波長分布を選択することができる。照射光の波長分布には、用いる光触媒のバンドギャップ以上のエネルギーを有する波長域の少なくとも一部を含める必要があるが、光触媒が応答する波長域及び/又はその他の波長域から一部の波長域を排除することで、良好な芳香族ヒドロキシ化合物の収率や選択率が得られる場合がある。
こうした、照射光の波長分布の選択は、各種の波長分布を付与した照射光を用いて予備的に水酸化工程を実施して、芳香族ヒドロキシ化合物の収率及び/又は選択率を取得し、波長分布とこれらの結果とから、好ましい波長分布を決定することもできる。
なかでも、照射光は、芳香族化合物の吸収帯の波長域の少なくとも一部を含まない波長分布を有していることが好ましい。本発明方法においては、芳香族化合物の吸収帯の波長域の少なくとも一部を照射光の波長分布から排除することで、芳香族ヒドロキシ化合物の収率や選択率が向上されるからである。推論であって本発明を拘束するものではないが、こうした波長制御により芳香族化合物における光化学反応を抑制して当該光化学反応に由来する生成物の生成を抑制することができると考えられる。
なお、芳香族化合物の吸収帯の波長域の少なくとも一部を含まない波長分布とは、当該吸収帯のうちの一部の波長域のみを含まない場合、当該吸収帯の波長域(短波長側から長波長側まで)の全体を含まない場合がある。それぞれの場合において、排除される一定範囲の波長域よりも短波長側の波長域の全体を照射光の波長分布に含めないようにしてもよい。例えば、芳香族化合物の吸収帯が200nm〜400nmであった場合、350nm以下の波長域の全体を排除するようにしてもよい。
芳香族化合物は、E1吸収帯、E2吸収帯、B吸収帯、K吸収帯およびR吸収帯などを有しているが、本明細書においては、こうした全ての吸収帯を包含し、特に区別することなく用いるものとする。吸収帯は、通常、極大吸収波長やその強度によって表現される。一般に、単環式芳香族化合物の場合は200〜390nmの範囲において、多環式芳香族化合物の場合には200〜600nmの範囲において、それぞれ芳香族性の共役二重結合に由来する吸収帯を有するが、当該吸収帯の波長域の少なくとも一部を排除した光を照射することで、芳香族ヒドロキシ化合物の収率や選択性を高めることができる。たとえば単環式芳香族化合物の場合、一般的な吸収帯を考慮すれば、390nm以下の波長域の一部又は全部を排除する波長域とすることができる。
当該短波長側の波長域を含まない光を照射するには、単色光を与えるレーザーやLEDなどの必要な波長の光のみを与える光源など所望の波長分布を有する光源を用いるか、一般的な光源と除去したい波長の光を吸収する光学ガラスフィルター及び一般的な分光装置などの公知の波長制御手段とを組み合わせることができる。また、除去したい波長域を吸収する化合物を含む溶液をフィルターとして用いてもよい。また、こうした化合物を、反応媒体相に並存させることもできる。
照射光の波長分布から芳香族化合物の吸収帯の少なくとも一部の波長域を排除する場合には、芳香族化合物の吸収スペクトルに基づいて、具体的にどの波長域を排除するかを決定する。芳香族化合物の吸収スペクトルは、水酸化工程を実施する反応媒体相の存在下で測定することが好ましく、より好ましくは、反応媒体相と金属担持光触媒との存在下で測定する。さらには、水酸化反応工程を実施するのと同条件あるいはそれに類似した溶液で吸収スペクトルを測定することが好ましい。芳香族化合物の吸収帯は、金属担持光触媒の種類(金属及び光触媒)や反応媒体(基質や溶媒)の種類に応じて変化することがあるからである。吸収帯の変化は数十nmに及ぶ場合もある。吸収帯が数nm〜10nm程度シフトしただけでも、収率や選択率に大きく影響することがある。推論であって本発明を拘束するものではないが、これらのシフトは芳香族化合物が固体表面に吸着されたり、水や溶媒分子が配位したりすることなどによると考えられている。
波長域の決定方法に関しては特に限定しないが、例えば、当該吸収帯の極大吸収波長を含む一部の波長域を排除することができる。また、極大吸収波長を含んだ短波長側全体を排除してもよい。
また、どの波長域を排除するかは、用いる光触媒の触媒活性を確保するための波長域が当然に考慮される。さらに、異なる波長域を排除して水酸化反応工程を実施して得られた芳香族ヒドロキシ化合物の収率及び/又は選択率に基づいて決定することが好ましい。波長域の排除は、上記した各種光源や分光手段を用いることができる。
こうして芳香族化合物の吸収帯の少なくとも一部の波長域を排除して光照射を行う場合においても、金属担持光触媒は、全波長域を照射するのと同様のものを用いることができるが、光触媒としては酸化チタン、金属としてはパラジウム又は白金を用いることが好ましい。より好ましくはパラジウムである。また、金属担持率も波長域の制限なく照射する場合と同様に特に限定はしないが、担持率を0.5wt%以上、好ましくは1.0wt%以上とすることで芳香族ヒドロキシ化合物の収率や選択率が向上する傾向がある。また、パラジウム担持酸化チタンを用いる場合には、330nm以下の波長域を排除することにより、良好な収率と選択率とが得られ、特に、パラジウム担持率を0.5wt%以上、好ましくは1.0wt%程度とすることで、一層好ましい収率と選択率とが得られ、長時間反応も可能となる。
光照射は水酸化工程にわたり行うこと、もしくは断続的に行うことが好ましい。また、水酸化工程においては、水と芳香族化合物とを含む液相(金属担持光触媒が分散されているか固定された担体に担持されているかにかかわらず)の攪拌や窒素などの不活性ガスによるバブリングもあわせて行うこともできる。
なお、水酸化工程における光照射とは別個に、水酸化工程にかかる前に酸素や水などの酸化剤が存在する雰囲気下で金属担持光触媒に対して、バンドギャップ以上のエネルギーを有する波長の光を照射してもよい。こうすることで、光触媒上に付着している有機物などを酸化除去することができ、触媒活性の向上や生成物への不純物の混入を避けることができるからである。金属担持光触媒に対する予備的な光照射工程は、酸素や水などの酸化剤存在下、所定波長の光を典型的には1時間から24時間程度照射して実施される。
本水酸化工程においては、反応温度は、常圧の場合、0℃以上500℃以下であることが好ましい。0℃未満であると水は氷結してしまい、500℃を超えると触媒が劣化してしまうからである。より好ましくは、5℃以上100℃以下もしくは芳香族化合物の沸点以下である。最も好ましくは10℃以上60℃以下である。また、反応圧力は、常圧あるいは加圧あるいは減圧下で行うことができるが、その温度・圧力条件下で水や芳香族化合物が液体であることが好ましい。液体とならない温度・圧力条件下では、触媒との接触頻度が低下し反応速度が低下するからである。液体となっていればそれ以上に低温高圧とする必要は無い。これはそれ以上の低温高圧としても触媒との接触頻度はそれほど変化せず、逆に水素の液相への溶解が進み逆反応が進行する恐れがあるからである。
本水酸化工程は、液相、気−液相及び気相のいずれの状態でも実施することができる。また、本水酸化工程は、溶液状態、二層分離状態、二層混層状態、スラリー状態、固定床、移動床、流動床等の何れの方式でも行うことができる。
本水酸化工程は、通常のバッチ反応、一部の原料もしくは触媒等を連続的に供給するようなセミバッチ反応又は流通連続反応の何れの反応方法においても実施可能である。また、芳香族化合物、酸化剤、触媒等の各成分の添加順序および添加方式等、特に制限されるものではない。
本水酸化工程にあっては、芳香族化合物などを連続的にまたは逐次、その消費等に応じて数段回にわたって断続的に添加する流通形式あるいはセミバッチ式で行うことが好ましい。生成した芳香族ヒドロキシ化合物は触媒表面への吸着により金属担持光触媒活性を低下させる傾向があり、ベンゼンなどの芳香族化合物は、原料であると同時に生成物である芳香族ヒドロキシ化合物を希釈し洗浄できるからである。また、流通式の場合には、生成物たるフェノールが連続的あるいは逐次反応系から排出されることになるため、より好ましい。こうすることで、芳香族ヒドロキシ化合物の収率を向上させることができる。
反応時間(流通反応においては滞留時間もしくは触媒接触時間)は特に限定されないが、通常1分〜1時間、好ましくは5分〜15分である。反応後、反応生成物を、必要に応じ金属担持光触媒等から濾過分離、抽出、留去等の方法によって分離回収することができる。目的生成物である芳香族ヒドロキシ化合物は分離回収物から溶媒抽出、蒸留、アルカリ処理、酸処理等の逐次的な処理方法、或いは、これらを適宜組み合わせた操作等の通常の分離、精製法によって分離、精製し取得することができる。また、未反応原料は回収して、再び反応系へリサイクルして使用することもできる。
バッチ式反応の場合、反応後に反応生成物を分離して回収された触媒はそのまま、又はその一部もしくは全部を再生した後、繰り返して触媒として反応に再度、使用することもできる。固定床又は流動床流通連続反応方式で実施する場合には、反応に供する事によって、一部又は総てが失活もしくは活性低下した触媒は、反応を中断後再生して反応に供する事もできるし、また、連続的もしくは断続的に触媒の一部を抜き出し、再生後、再び反応器へリサイクルして、再使用することもできる。更に、新たな触媒を連続的又は断続的に反応器に供給する事もできる。移動床式流通連続反応実施する際には、バッチ式反応と同様に触媒を分離、再生して再使用することができる。
特に、本発明においては、触媒の再生方法として、アセトンの他、ベンゼンなどの芳香族化合物で触媒を洗浄する方法を使用することができる。この簡易的再生方法によれば、反応管から触媒を分離することなく、その場で再生することができる。また、セミバッチ式あるいは流通式の場合には、芳香族化合物を連続的あるいは逐次的に供給すること自体で、触媒活性低下を抑制できる効果がある。流通式の場合には、光照射を断続的に行うことでも、反応と洗浄を交互に行なうことになり、同様の効果は達成される。また、溶媒による洗浄のほかに、続けて光照射による再生も併用することができる。すなわち、有機化合物による洗浄後、水や酸素などの酸化剤の存在下で触媒にバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光を照射することにより金属担持光触媒のもつ光触媒作用により表面が浄化され再生される。これは、洗浄の代わりに単独で行ってもよい。
(金属担持光触媒活性及び反応条件の確認1)
ベンゼン、蒸留水、金属担持光触媒等について表1に示す量を採取し反応管に仕込んだ後、表1に示す攪拌条件、光照射条件及びその他の条件にて反応を行い、試験例1〜14の反応生成物を得た。光照射は、図1に示す装置を用いて反応管の底部から行った。光源には300Wのキセノンランプを用い、100V、17Aで使用し照射した。攪拌は、反応管内に入れた攪拌子をマグネティックスターラーで回転させて所定の光照射時間にわたって行った。なお、特に示さない限り、予め反応管に触媒、ベンゼン、水を入れ、反応管を外から液体窒素で冷却し液体を固化せしめた状態でヘリウムガスで15分間パージした後、常温に戻し、光照射を行い反応を進行させた。反応温度は光照射による温度上昇のため30℃程度となり、反応圧力は大気圧であった。反応後、反応液を触媒から分離して、ガスクロマトグラフ法(検出器TCD)及び液体クロマトグラフ法(検出器UV:227nm)により分析して、生成物を確認し定量した。なお、金属担持光触媒の調製に用いた酸化チタンであるST−01(石原産業株式会社製)は、アナターゼ型であり、金属担持光触媒としては、光析出法を用い、対酸化チタン重量で0.1wt%の白金を担持させたものを用いた。すなわち、酸化チタンをメタノール:水の1:1混合溶液に加え、スターラーで撹拌しながら塩化白金酸六水和物水溶液を加え、さらに撹拌しながらキセノンランプ(300W)にて光を20分照射し白金を酸化チタン光触媒による光還元により酸化チタン表面に析出させた(光析出法)。その後、吸引ろ過し、蒸留水で洗浄した。さらに、60℃の乾燥機内で一晩乾燥させることで目的の金属担持光触媒を得た。反応条件及び結果を表1に示す。
Figure 2005272463
(金属担持光触媒活性)
表1の試験例1〜5に示すように、白金を担持した酸化チタン(試験例3)では、高い選択率で多くのフェノールを得ることができたのに対し、白金を担持しない酸化チタンであるST-01(石原産業製、アナターゼ型)およびJRC-TIO-4(触媒学会参照触媒委員会配布、アナターゼ・ルチル混晶型)(試験例1、2)においては、白金を担持した酸化チタンの約10分の1程度のフェノールしか得られなかった。無触媒反応(光照射あり、試験例4)ではフェノールは生成されず、白金担持酸化チタンを用い光を照射せずに暗反応を行った場合(試験例5)でもフェノールは生成されなかった。以上のことから、金属を担持した光触媒を用いた光触媒反応により水と芳香族化合物とから芳香族ヒドロキシ化合物を高い選択率でかつ高効率で製造できることがわかった。
(水量)
表1及び図2に示すように、水量:0〜5mlで変化させた試験例3及び6〜8の結果から、水が存在しない場合(試験例6)では、少量のフェノール(約7μモル)が生成しているのみであり、水量1ml(対ベンゼンの5倍モル量)〜5ml(対ベンゼン25倍モル量)の場合では、おおよそ20〜25μモルのフェノールが生成されていた。以上のことから、水の存在下、金属担持光触媒を用いることで、他の酸化剤が存在しなくても温和な条件でフェノールが高選択率で得られることがわかった。水量0mlの場合には金属担持光触媒に吸着していた水やベンゼンに含まれていた水や酸素は積極的には除去していないので、これらの水が反応に寄与したものと考えられる。
(反応溶媒)
表1の試験例9においては、反応媒体相に反応溶媒としてアセトニトリル(CHCN)を用いた。アセトニトリルは、ベンゼンや水とともに反応管に供給した。試験例9においては、フェノールの生成量が減少している一方、他の副生成物が増加し、この結果、フェノールの選択率が低下していた。なお、ジヒドロキシベンゼン等のヒドロキシ化合物の増加に着目すれば、アセトニトリルの添加は有効であったといえる。また、水素の生成量が増加したのは、アセトニトリルの添加によるものである。以上のことから、芳香族ヒドロキシ化合物を高選択率で得るには、水以外の存在は好ましくないことがわかった。
(攪拌)
表1の試験例10においては、反応中に液相を攪拌することの影響を確認するため、攪拌をしないで光照射し反応を行った。結果は、フェノール生成量が減少する傾向が認められた。このことから、反応中においては攪拌が有効であることがわかった。
(反応時間)
表1の試験例3及び11〜14は、反応時間(光照射時間)を5分から6時間で変化させたものである。これらの結果を図3にも示す。図3からも明らかなように、反応時間が長いほどフェノールの生成量が増加するが、おおよそ1時間以降は、大きく生成量が増加しない傾向が認められた。これらのことから、経時的に金属担持光触媒の活性が低下するものと認められた。このとき生成するフェノールが吸着していることが確認されており、これにより活性が低下したものと推測される。
(反応条件の確認2)
(雰囲気ガス及び光触媒に対する予備的光照射)
ベンゼン、蒸留水、金属担持光触媒等について表2に示す量を採取し反応管に仕込んだ後、表2に示す攪拌条件、光照射条件及びその他の条件にて反応を行い、試験例15〜20の反応生成物を得た。特に記載のない限り、実施例1と同様にして、反応系を調製し、光照射を行い、反応生成物を分析した。
表2の試験例15〜20は、雰囲気ガスをヘリウムとした例(試験例15)、雰囲気ガスをヘリウムでなく空気とした例(試験例16)、触媒に予備的に光照射した例(試験例17)、Nバブリングにより溶存酸素の除去をしたベンゼン及び水を反応管に導入した例(試験例18)及び触媒に予備的光照射を行い溶存酸素の除去をしたベンゼン及び水を導入した例(試験例19)、O2バブリングにより溶存酸素を増加させた上に気相を酸素雰囲気とした例(試験例20)とした。なお、予備的光照射は、空気中にて2時間とした以外は反応時における光照射と同じ条件で行った。また、Nバブリングは、予め、ベンゼンと蒸留水とを別々にNバブリングした後、ヘリウム置換した反応管にシリンジで注入した。O2バブリングについても同様である。
Figure 2005272463
表2に示すように、雰囲気ガスを空気とすることにより、フェノールの生成量が増加するものの二酸化炭素の生成量も増加し、芳香族ヒドロキシ化合物の選択率が若干低下する傾向が見られた。水素も生成しなくなった。二酸化炭素量が増大することで炭素資源の損失にもなる点については望ましくないが、芳香族ヒドロキシ化合物の生成量増大の効果が大きかった。触媒に対する予備的な光照射及びNバブリングはフェノール生成量の他各種の副生物の生成量にも大きな影響を与えなかった。以上のことから、芳香族ヒドロキシ化合物を高選択率で製造するには酸素が希釈されあるいは不活性ガスで置換された雰囲気下で行うことが好ましいことがわかった。
ベンゼン、蒸留水、金属担持光触媒等について表3に示す量を採取し反応管に仕込んだ後、表3に示す攪拌条件、光照射条件及びその他の条件にて反応を行い、試験例21〜26の反応生成物を得た。特に記載のない限り、実施例1と同様にして、反応系を調製し、光照射を行い、反応生成物を分析した。
なお、試験例21〜23は、金属担持光触媒のアセトン洗浄による再利用実験の例である。試験例22は、試験例21の反応後の反応生成物を分離した後の反応管中の金属担持光触媒にアセトン22mlを加えてそれぞれ攪拌後静置してデカンテーションを行い、この操作を数回行った後、反応管ごと暗箱に収納して1晩ドラフト中で放置し、翌日、ヘリウム置換後、ベンゼン、蒸留水を含む原料混合物をシリンジで注入し前回と同様に反応を行ったものである。また、試験例23は、試験例22の反応後の金属担持光触媒に対して試験例21に対して行ったのと同様のアセトン洗浄操作を行った後、ベンゼンと水とを加えてを加えて反応を行ったものである。
試験例24〜26は、金属担持光触媒のベンゼン洗浄による再利用実験の例である。試験例25は、試験例24の反応後の反応生成物を分離した後の反応管中の金属担持光触媒にベンゼン8mlを加えてそれぞれ攪拌後静置してデカンテーションを行い、この操作を数回行った後、反応管に蒸留水1ml加えた後、反応管ごと暗箱に収納して1晩ドラフト中で放置し、翌日、ヘリウム置換後、蒸留水の量はほとんど減っていなかったのでベンゼンのみを加えて前回と同様に反応を行ったものである。また、試験例26は、試験例25の反応後の金属担持光触媒に対して試験例24に対して行ったのと同様のベンゼン洗浄操作を行った後、ベンゼンのみを加えてを加えて反応を行ったものである。結果を表3及び図4、5に示す。
Figure 2005272463
表3及び図4、5に示すように、アセトン洗浄及びベンゼン洗浄は、金属担持光触媒の活性低下の抑制に効果的であることがわかった。この結果から、反応工程間に、触媒に対してアセトンあるいはベンゼンを供給することで触媒の活性低下を抑制しながらフェノールを生成させうることがわかった。また、ベンゼンはフェノールの製造原料でもあるため、セミバッチ式、連続式、好ましくは流通式の反応系を構築することで、連続的あるいは断続的に金属担持光触媒は芳香族化合物が供給されて、もしくは連続的あるいは断続的に光が照射されて、芳香族ヒドロキシ化合物が生成されるとともに芳香族化合物によって触媒が洗浄・再生することが可能となることがわかった。
(ベンゼン以外の芳香族化合物の水酸化)
本実施例では、芳香族化合物としてトルエン、ナフタレン及びフェノールとを用いて水酸化を行った。ベンゼン1mlに替えてトルエン1mlを用いる以外は実施例1の試験例3と同様に操作して、試験例27の反応生成物を得、実施例1と同様にして分析した。また、ベンゼン1mlに替えてナフタレン1.47gを用いる以外は実施例1の試験例9と同様に操作して(アセトニトリル12mlを反応溶媒として用いて)、試験例28の反応生成物を得、実施例1と同様にして分析した。結果を表4に示す。同様に、ベンゼン1mlに替えてフェノール濃度2.3mol/lのベンゼン溶液1 mlを用いる以外は試験例3と同様に操作して試験例29の反応生成物を得た。
Figure 2005272463
表4に示すように、トルエンを用いた場合、p−クレゾールとo−クレゾールとが生成している。したがって、置換基を有するベンゼン環を備える芳香族化合物においても、水の存在下、金属担持光触媒による芳香環の水酸化が有効であることがわかった(なお、トルエンを用いた場合の詳細は実施例5以降で検討した。)。また、ナフタレンを用いた場合、1−ナフトールと2−ナフトールが生成していた。なお、HPLCのクロマトグラムにおいては未同定のピークもいくつか検出されていたが、これらは溶媒であるアセトニトリル由来のものであると推察された。水素の生成量が多いのも実施例1の試験例9と同様にアセトニトリル由来のものであると思われる。さらに、フェノールを基質中に含有する場合には、ジヒドロキシベンゼンの生成量が試験例3に比較して4倍近くに増大していることから、ジヒドロキシベンゼンは、フェノールを基質として水酸化されたものであることがわかった。以上のことから、置換芳香族化合物及び縮合環芳香族化合物においても、本発明による水酸化が可能であることがわかった。
(照射光の波長分布の制限による効果の確認1)
トルエン、蒸留水、金属担持光触媒等について表5に示す量を採取し反応管に仕込んだ後、表5に示す攪拌条件、光照射条件及びその他の条件にて反応を行い、試験例1b〜15bの反応生成物を得た。光照射は、図1に示す装置を用いて反応管の底部から行った。光源には300Wのキセノンランプを用い、100V、20Aで使用し照射した。攪拌は、反応管内に入れた攪拌子をマグネティックスターラーで回転させて所定の光照射時間にわたって行った。なお、特に示さない限り、酸化チタン光触媒に白金(0.1wt%)を担持した光触媒(0.2 g)を光触媒反応用反応器に入れ、反応前処理としてこの光触媒に紫外領域の光を含む光を60分照射し光触媒表面の吸着有機化合物を酸化し清浄にした後、反応器の気相部分をアルゴンガスで完全に置換した上で、トルエン(1ml)と水(1ml)を反応器にいれ、所定時間光照射をして反応させた。反応温度は光照射による温度上昇のため40〜50℃程度となり、反応圧力は大気圧であった。
なお、表5に示す試験例の5b〜8b及び10b〜15bでは、光照射時、光源(キセノンランプ)と反応器の間に波長制限をすることのできる光学フィルター(設定波長より長い波長の光のみを透過させる)をおき、表5に記載する波長以下の波長域の全体を排除して光照射した。反応後、反応液を触媒から分離して、GC−MS法により分析して、生成物を確認し定量した。
なお、金属担持光触媒の調製に用いた酸化チタン(石原産業株式会社製)は、アナターゼ型であり、金属担持光触媒としては、光析出法を用い、対酸化チタン重量で0.1wt%の白金を担持させたものを用いた。すなわち、あらかじめ酸化チタンを蒸留水に加えスターラーで撹拌しながらキセノンランプ(300W)にて2時間光照射することで酸化チタン表面を浄化した後、水に同体積のメタノールを加え塩化白金酸六水和物水溶液を加え、さらに撹拌しながら光を3時間照射し白金を酸化チタン光触媒による光還元により酸化チタン表面に析出させた(光析出法)。その後、吸引ろ過し、蒸留水で洗浄した。さらに、60℃の乾燥機内で一晩乾燥させることで目的の金属担持光触媒を得た。反応条件及び結果を表5に示す。なお、以下の表5〜表9において、表中クレゾール収率についてTraceとあるのは、0.005%未満であることを意味している。
Figure 2005272463
表5に示すように、主な反応生成物は目的物質であるクレゾール、水素、二量化により生成してしまったジベンジル、側鎖のメチル基が酸化されてしまったベンズアルデヒドとベンジルアルコール、さらに完全酸化により生成した二酸化炭素であった。
表5の試験例4b〜8bの結果に示すように、触媒非存在下で短波長域の光が照射された場合には、目的物質であるクレゾールは生成しないが、二量体であるジベンジル他の副生成物が生成していた。また、試験例9b〜14b(触媒あり)の結果に示すように、照射する光から排除する波長域が270nm以下から390nm以下へとより長波長側へと拡大するにつれ、目的物質であるクレゾールの生成量及び収率とも増加する一方、二酸化炭素、水素、二量体を含むほとんどの副生成物の生成量は減少する傾向にあった。また、390nm以下の波長を排除した試験例14bにおいて、目的物質であるクレゾールが最高収率及び選択率となっていた。なお、430nm以下の波長域を排除した試験例15bでは、同時に酸化チタンの励起波長が当該排除波長域に含まれてしまうため、目的物質を得ることができなかった。図6に、試験例9b〜15bにおける波長制御と生成物収量との関係を示す。
以上のことから、短波長側の波長域を排除して照射光量が減少するにも関わらずクレゾールの収率及び選択率が向上したことがわかった。これは、短波長側の波長域を排除することにより、触媒の非存在下でも進行する光化学反応が抑制されて二量体の生成が抑制されたこと、及び、排除波長域の長波長側への拡大により、水素発生量も減少する傾向にあることから、未検出の副生成物に関連した副反応も抑制されたことによるものであることがわかった。
(照射光の波長分布の制限時の反応条件1)
次に、照射光の波長分布の一部を制限した際の反応条件(試験例16b〜51b)について種々の検討を行った。反応条件と結果を表6〜表8に示す。特に示さない限り、各種操作は実施例5に記載のとおり行った。
Figure 2005272463
Figure 2005272463
Figure 2005272463
なお、試験例16bは攪拌を行わずに反応させ、同17bはメタノールを0.5ml添加し、同18bは2−プロパノールを3.0ml添加し、同19bはアルゴンガスでパージを行わず、同20bは反応媒体として水を用いない試験例とした。また、試験例44b〜48bは、類似ではあるが同一ではない酸化チタンを用いて調製したPt担持酸化チタン(いずれもPt担持率は同一(0.10wt%))を用いた。
表6の試験例16b〜20bに示すように、攪拌は反応を促進する傾向があり、系中にアルコールなど他の酸化されやすい有機化合物が存在する場合や、酸素が存在する場合、または水を用いない場合には反応が阻害される傾向にあることがわかった。また、試験例21b〜25bに示すように、反応媒体における基質(ここではトルエン)の配合比は、基質量は少なすぎても良くないが、水は基質と体積比で同量以上であることが好ましく、また、基質量はこの系において1ml以上であることが好ましいことがわかった。さらに、試験例26b〜31bでは、金属であるPtの担持率を種々変化させたが、担持率は0.1wt%以上であることが好ましいことがわかった。
表7に示す試験例32b〜38bでは、5分から720分の間で光照射時間を変化させたが、この光照射時間の範囲内においてクレゾールの選択率はおおよそ一定であるとともに、長時間照射するほどクレゾール収率が向上することがわかった。また、試験例39b〜43bでは、用いる金属担持光触媒量を0.05g〜1.00gの範囲で種々変化させたが、本反応条件下においては、触媒量が0.10g以上であれば、おおよそ一定のクレゾール選択率を示すとともに、触媒量が多いほど収率が向上することがわかった。
表8に示す試験例44b〜48bでは、異なる種類の酸化チタンを用いて調製したPt担持酸化チタンを用いた。試験例44b、46bは表面積39m/g、100m/gのルチル型酸化チタン、試験例47b、48bは表面積291m/g,59m/gのアナターゼ型酸化チタン、試験例45bは表面積50m/gのルチルとアナターゼが共存する酸化チタンである。ルチル型酸化チタンは活性を示さず、アナターゼ型酸化チタンが活性を示した。表面積は大きなほうがより高活性であった。また、試験例49b〜51bでは、異なる金属(Rh、Ru及びPd)を担持させた酸化チタンを用いたが、これらのうちでは、Pdを担持させた酸化チタンがPt担持酸化チタンと同等かそれ以上の良好なクレゾール収率及び選択率を示すことがわかった。
(照射光の波長分布の制限時の反応条件2)
次に、照射光の波長分布の一部を制限した際にPd担持酸化チタンを金属担持光触媒として用いた場合の反応条件について種々の検討(試験例52b〜64b、70b)を行うとともに、Pt担持酸化チタンについても追加的検討(試験例65b〜69b)を行った。反応条件と結果を表9に示す。特に示さない限り、各種操作は実施例5に記載のとおり行った。
Figure 2005272463
Pd担持金属触媒については、表9の試験例52b〜64bに示すように、水とトルエンとは同量程度が好ましいこと、Pd担持酸化チタンにおいては、390nm以下の短波長域を排除したり310nm以下の短波長域を排除するよりも330nm以下の短波長域を排除した方が高い収率及び選択率(特に収率)が得られやすいことがわかった。また、試験例61b〜64bによれば、Pd担持率を上げることでヒドロキシ化合物の収率及び選択率が効果的に増大することがわかった。
Pt担持金属触媒については、試験例65b(Pt担持酸化チタン1.0wt%)及び試験例11b(Pt担持酸化チタン0.1wt%)との比較から、Pt担持率を増大させると310nm以下排除時であっても、二量体の生成が抑制されていた。試験例60b(Pd担持酸化チタン0.1wt%)と試験例11b(Pt担持酸化チタン0.1wt%)との比較からは、試験例11b(Pt担持酸化チタン)の方が310nm以下の短波長域を排除したときに、多くの二量体が生成していた。
さらに、試験例66b〜69bによれば、Pt担持率を1wt%とすると、ヒドロキシ化合物の収率は向上する傾向にあるが、短時間で被毒し、長時間の反応でかえって収率及び選択率が低下する傾向があった。また、既に説明したように、Pt担持率が1wt%であって310nm以下の短波長域を排除した試験例65bにおいては、Pt担持率が0.1wt%であるとき(試験例11b)に比べて二量体の生成が著しく抑制されるとともに、Pt担持率が0.1wt%で390nm以下の短波長域を排除したとき(試験例14b)よりも高い収率と選択率が得られることもわかった。こうしたことから、金属担持光触媒におけるPt担持率は0.5wt%以上であることが好ましく、より好ましくは1.0wt%程度であるといえる。また、Pt担持率が高ければ、より短波長側の波長域が含まれていても二量体生成が抑制されることがわかった。なお、Pd担持率についても同様の傾向があり、Pd担持率も0.5wt%以上であることが好ましく、より好ましくは1.0wt%程度であるといえる。
以上のことから、Pd担持金属触媒によるトルエンなどの芳香族化合物の水酸化に際しては、収率を上げるためには金属担持光触媒における金属としてPdを用いることが好ましく,また、二量体等の生成を抑制して選択率を上げるためにも同様にPdを用いることが好ましいことがわかった。さらに、Pdを用いて収率及び選択率を向上するためには、Pd担持率の増大(好ましくは1.0wt%程度)、排除する短波長域のより短波長側へのシフト(好ましくは330nm以下を排除)、基質配合の調整(好ましくは、水と芳香族化合物を1:1程度)を組み合わせることが効果的であることがわかった。また、Pd担持触媒は、適切に短波長側の波長域を排除(330nm以下を排除)すれば、光照射時間に応じて収率や選択率を向上させうることがわかった。
また、良好な収率や選択率のためには、金属担持率を増大させることも有効であることもわかった。さらに、金属担持光触媒における金属の種類や担持率によって良好な収率や選択率のために排除されるべき波長域が変化することがわかった。
実施例1で用いた反応装置の概略を示す図である。 水量によるフェノール生成量の変化を示すグラフ図である。 反応時間によるフェノール生成量の変化を示すグラフ図である。 アセトン洗浄による金属担持光触媒の活性の回復効果を示すグラフ図である。 ベンゼン洗浄による金属担持光触媒の活性の回復効果を示すグラフ図である。 試験例9b〜15bに基づく照射光の波長制御と収量との関係を示すグラフ図である。

Claims (17)

  1. 芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法であって、
    芳香族化合物と水を主体とする反応媒体相との存在下に、金属担持光触媒に光を照射して前記芳香族化合物の芳香族環を水酸化する水酸化工程を備える、製造方法。
  2. 前記水酸化工程を、前記金属担持光触媒を液体の水を主体とする前記反応媒体相に存在させた状態で実施する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記水酸化工程を、前記金属担持光触媒と分子状酸素との接触を抑制した状態で実施する、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記水酸化工程を、当該工程に存在するガスの少なくとも一部を不活性ガスで置換した状態で実施する、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記水酸化工程を、実質的に水と前記金属添加光触媒と芳香族化合物と不活性ガスとのみから構成する、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記水酸化工程を、液体の水を主体とする前記反応媒体相に分子状酸素を供給しながら実施する、請求項1又は2に記載の製造方法。
  7. 前記金属担持光触媒における金属は、Pt、Au及びPdからなる群から選択される1種あるいは2種以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記金属担持光触媒における光触媒は、酸化チタンである請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記芳香族化合物は、置換基を有する又は置換基を有しない、ベンゼン、フェノール、トルエン、ナフタレンからなる群から選択されるいずれかである、請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 前記金属担持光触媒に対して前記芳香族化合物を連続的に供給し、その水酸化物を連続的に排出して前記水酸化工程を実施する、請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 前記金属担持光触媒に照射する光は、前記芳香族化合物の吸収帯の波長域の少なくとも一部を含まない波長分布を有する、請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 照射する光に含まれない波長域は、芳香族ヒドロキシ化合物の収率及び/又は選択率に対応して決定する、請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記芳香族化合物の吸収帯は、前記反応媒体相と前記金属担持光触媒との存在下における吸収帯である、請求項11又は12に記載の製造方法。
  14. 前記金属担持光触媒に照射する光は、390nm以下の波長域の全部あるいは一部を含まない波長分布を有する、請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法。
  15. 有効な前記芳香族ヒドロキシ化合物の収率及び/又は選択率が得られる程度に前記金属担持光触媒に照射する光の波長分布を選択する工程を備える、請求項1〜14のいずれかに記載の製造方法。
  16. 前記金属担持光触媒における金属は、Pt又はPdである、請求項11〜15のいずれかに記載の製造方法。
  17. 金属担持光触媒としてPd担持光触媒を用い、前記金属担持光触媒に照射する光は、330nm以下の波長域を含まない波長分布を有する、請求項11〜16のいずれかに記載の製造方法。
JP2005052020A 2004-02-27 2005-02-25 芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法 Pending JP2005272463A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005052020A JP2005272463A (ja) 2004-02-27 2005-02-25 芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004053994 2004-02-27
JP2005052020A JP2005272463A (ja) 2004-02-27 2005-02-25 芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005272463A true JP2005272463A (ja) 2005-10-06

Family

ID=35172500

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005052020A Pending JP2005272463A (ja) 2004-02-27 2005-02-25 芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005272463A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012241008A (ja) * 2011-05-24 2012-12-10 Hiroshima Univ 環式有機化合物の酸化方法及び環式有機化合物の酸化装置
CN104549413A (zh) * 2013-10-28 2015-04-29 中国石油化工股份有限公司 用于苯直接羟化制苯酚的纳米金催化剂、制备方法及其用途
JP2018197194A (ja) * 2017-05-23 2018-12-13 学校法人 名城大学 化合物の製造方法
CN111978139A (zh) * 2020-09-04 2020-11-24 许昌学院 一种水相中光催化一锅法合成苯酚或其衍生物的方法
CN114181729A (zh) * 2020-09-14 2022-03-15 中国科学院大连化学物理研究所 一种生物质平台化合物光催化合成柴油前体的方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61205224A (ja) * 1985-03-08 1986-09-11 Akira Fujishima フエノ−ル類の製造法
JPH07173087A (ja) * 1993-12-20 1995-07-11 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 含酸素炭化水素化合物合成方法
JPH09208511A (ja) * 1996-01-29 1997-08-12 Sumitomo Metal Ind Ltd 芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法
JPH10146531A (ja) * 1996-09-20 1998-06-02 Daiken Kagaku Kogyo Kk 金属超微粒子担持光触媒及びその製造方法
JP2000336051A (ja) * 1999-05-28 2000-12-05 Sumitomo Chem Co Ltd ジヒドロキシナフタレン類の製造法
JP2001334153A (ja) * 2000-05-29 2001-12-04 Natl Inst Of Advanced Industrial Science & Technology Meti 光照射による貴金属担持金属酸化物触媒反応における反応促進方法
JP2002241326A (ja) * 2000-08-24 2002-08-28 Fumiaki Otani 不均一系反応方法及び界面触媒

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61205224A (ja) * 1985-03-08 1986-09-11 Akira Fujishima フエノ−ル類の製造法
JPH07173087A (ja) * 1993-12-20 1995-07-11 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 含酸素炭化水素化合物合成方法
JPH09208511A (ja) * 1996-01-29 1997-08-12 Sumitomo Metal Ind Ltd 芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法
JPH10146531A (ja) * 1996-09-20 1998-06-02 Daiken Kagaku Kogyo Kk 金属超微粒子担持光触媒及びその製造方法
JP2000336051A (ja) * 1999-05-28 2000-12-05 Sumitomo Chem Co Ltd ジヒドロキシナフタレン類の製造法
JP2001334153A (ja) * 2000-05-29 2001-12-04 Natl Inst Of Advanced Industrial Science & Technology Meti 光照射による貴金属担持金属酸化物触媒反応における反応促進方法
JP2002241326A (ja) * 2000-08-24 2002-08-28 Fumiaki Otani 不均一系反応方法及び界面触媒

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012241008A (ja) * 2011-05-24 2012-12-10 Hiroshima Univ 環式有機化合物の酸化方法及び環式有機化合物の酸化装置
CN104549413A (zh) * 2013-10-28 2015-04-29 中国石油化工股份有限公司 用于苯直接羟化制苯酚的纳米金催化剂、制备方法及其用途
CN104549413B (zh) * 2013-10-28 2017-05-17 中国石油化工股份有限公司 用于苯直接羟化制苯酚的纳米金催化剂、制备方法及其用途
JP2018197194A (ja) * 2017-05-23 2018-12-13 学校法人 名城大学 化合物の製造方法
CN111978139A (zh) * 2020-09-04 2020-11-24 许昌学院 一种水相中光催化一锅法合成苯酚或其衍生物的方法
CN111978139B (zh) * 2020-09-04 2023-04-07 许昌学院 一种水相中光催化一锅法合成苯酚或其衍生物的方法
CN114181729A (zh) * 2020-09-14 2022-03-15 中国科学院大连化学物理研究所 一种生物质平台化合物光催化合成柴油前体的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5832013B2 (ja) 芳香族水酸化物の製造方法
Diak et al. Photoactivity of decahedral TiO2 loaded with bimetallic nanoparticles: degradation pathway of phenol-1-13C and hydroxyl radical formation
Friedmann et al. Heterogeneous photocatalytic organic synthesis: state-of-the-art and future perspectives
Lima et al. Selective photocatalytic oxidation of benzyl alcohol to benzaldehyde by using metal-loaded g-C3N4 photocatalysts
Yoshida et al. A heterogeneous palladium catalyst hybridised with a titanium dioxide photocatalyst for direct C–C bond formation between an aromatic ring and acetonitrile
Wang et al. Selective oxidation of alcohols to aldehydes/ketones over copper oxide-supported gold catalysts
Teramura et al. Photocatalytic reduction of CO2 to CO in the presence of H2 or CH4 as a reductant over MgO
Gandhi et al. A study on deactivation and regeneration of titanium dioxide during photocatalytic degradation of phthalic acid
Jeong et al. Photochemical and photocatalytic degradation of gaseous toluene using short-wavelength UV irradiation with TiO2 catalyst: comparison of three UV sources
Ajaikumar et al. Oxidation of α-pinene over gold containing bimetallic nanoparticles supported on reducible TiO2 by deposition-precipitation method
JP5832012B2 (ja) 芳香族水酸化物の製造方法
Yoshida et al. Photocatalytic hydroxylation of aromatic ring by using water as an oxidant
JP4107807B2 (ja) 水の可視光分解用オキシサルファイド光触媒
Murcia et al. Photocatalytic ethanol oxidative dehydrogenation over Pt/TiO2: effect of the addition of blue phosphors
Salem Recent studies on the catalytic activity of titanium, zirconium, and hafnium oxides
Vaiano et al. Steam reduction of CO 2 on Pd/TiO 2 catalysts: a comparison between thermal and photocatalytic reactions
JP2005272463A (ja) 芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法
Zhang et al. Photocatalytic destruction of volatile aromatic compounds by platinized titanium dioxide in relation to the relative effect of the number of methyl groups on the benzene ring
Mahdavi-Shakib et al. Hydrogen adsorption at the Au/TiO2 interface: quantitative determination and spectroscopic signature of the reactive interface hydroxyl groups at the active site
Cybula et al. Preparation and Characterization of Au/Pd Modified‐TiO2 Photocatalysts for Phenol and Toluene Degradation under Visible Light—The Effect of Calcination Temperature
Shimizu et al. Selective photo-oxidation of benzene over transition metal-exchanged BEA zeolite
Kobielusz et al. Photocatalytic synthesis of chemicals
Yuzawa et al. Direct aromatic-ring amination by aqueous ammonia with a platinum loaded titanium oxide photocatalyst
JP4986149B2 (ja) 可視光応答性光触媒と環境汚染物質の光分解法
CN1429217A (zh) 使烃环氧化的方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080220

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20080514

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080516

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110317

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110419

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110809