JPH1147611A - 金属超微粒子担持光触媒を保持した高機能性素材およびその製造方法 - Google Patents

金属超微粒子担持光触媒を保持した高機能性素材およびその製造方法

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JPH1147611A
JPH1147611A JP9245885A JP24588597A JPH1147611A JP H1147611 A JPH1147611 A JP H1147611A JP 9245885 A JP9245885 A JP 9245885A JP 24588597 A JP24588597 A JP 24588597A JP H1147611 A JPH1147611 A JP H1147611A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維やガラス板等の素材に二酸化チタン微粒
子を保持させた場合より格段に優れた自浄分解能力を有
する高機能性素材を実現する。 【解決手段】 本発明に係る高機能性素材は、金属超微
粒子を光触媒微粒子に担持させ、この金属超微粒子担持
光触媒を素材の表面に保持させることを基本構成として
いる。この金属超微粒子担持光触媒により環境汚染物質
を強力に分解できる。また素材として活性炭素繊維を用
いた場合には、活性炭素繊維の吸着力と金属超微粒子担
持光触媒の分解力が相乗して極めて強力な吸着分解効果
を実現できる。この相乗作用は急速な吸着分解のほぼ規
則的は反復効果を示し、産業的に極めて有益な高機能性
素材を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光触媒微粒子を素材
表面に保持した高機能性素材に関し、更に詳細には、金
属超微粒子を光触媒微粒子に担持した金属超微粒子担持
光触媒を繊維や窓ガラス等の素材表面に保持させた自浄
分解力のある高機能性素材およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】二酸化チタンの光触媒反応は1972年
にネイチャーに発表され、本田・藤島効果として世界に
知られるところとなった。それ以来、光照射下での二酸
化チタンによる水の分解、また有機物水溶液の分解を通
して水素と二酸化炭素の生成研究が行われ、現在ではタ
イルや窓ガラスに二酸化チタンの微粒子を薄膜状に保持
させて環境汚染物質、即ちタバコのヤニや細菌あるいは
細菌が作った毒素等の有機物の分解に実用化されつつあ
る。
【0003】二酸化チタンは粉末状の金属酸化物であ
り、水や溶液の分解では溶液中に分散して使用する。し
かし、窓ガラスや風呂タイル、建材表面には粒子状であ
っても均一な薄膜状に付着することが望まれる。そのた
めにゾルーゲル法、チタンアセテートなどのスプレーパ
イロリシス法やディップコーティング法等が開発される
に至った(応用物理第64巻8(1995)pp80
3、化学と工業第48巻10(1995)pp125
6、化学と工業第49巻6(1996)pp764)。
これらの二酸化チタン保持ガラス等を用いて、紫外線照
射下で付着した油やタバコのヤニも分解できることが示
された。チリ・ホコリ等の無機物を分解することは難し
いが、油などの有機物がバインダーとなって無機物が付
着していたため、有機物の分解によって無機物も付着し
にくくなったことが報告されている。
【0004】タイル等の素材上における二酸化チタン微
粒子の作用原理は、二酸化チタンの半導体としての光触
媒特性である。二酸化チタンにバンドギャップ・エネル
ギーより大きな光、例えば紫外線を照射すると、価電子
帯にある電子が励起されて伝導帯に遷移し、価電子帯に
は正電荷の正孔が残されて電子−正孔の対が生成され
る。この電子と正孔は二酸化チタン中を動きながら表面
に到達し、電子は空気中の酸素に与えられてO (ス
ーパーオキサイドアニオン)を作って他の物質を還元す
る。正孔は有機物を直接酸化分解するだけでなく表面に
付着する水分子を酸化して水酸ラジカルという強酸化物
を作り、この水酸ラジカルの酸化力により他物質を酸化
する。前記O はこの酸化過程にも関与していると云
われるが、その詳細な反応回路は現在もなお研究対象と
なっている。このようにして光により誘起された電子−
正孔対により有機物は二酸化炭素と水にまで分解され
る。
【0005】この研究の中で、二酸化チタン単体では電
子と正孔が外部物質を酸化還元する前に再結合して消滅
する場合があるから、その光触媒効率に限界があること
が指摘されていた。二酸化チタンは常態が粉末であり、
その一粒を考えてみると、その表面及び内部には無数の
点欠陥・面欠陥等の格子欠陥が入っている。紫外線によ
り二酸化チタンに誘起された電子と正孔はその移動過程
で格子欠陥に遭遇すると、その格子欠陥に捕獲されて再
結合してしまう。また表面に移動できても電子と正孔が
接近すると再結合する場合もある。これを改善するには
格子欠陥のない二酸化チタンの作製技術と表面で電子−
正孔を分離する技術を開発しなければならない。前者に
ついては結晶成長技術の改良が逐次なされてきており、
また本発明とは直接関係しないのでここではその詳細を
省略する。
【0006】表面で電子−正孔を分離する技術に関して
は、励起電子を集電する電極を二酸化チタン上に形成し
て、二酸化チタン表面に正孔を、金属電極表面に電子を
それぞれ分離集電する光触媒が提案された。このように
すれば金属電極上に効率的に電子を集電でき、しかも正
孔と電子を分離できるので再結合の確率が低くなると考
えられたのである。この種の光触媒を金属担持光触媒と
いい、従来から触媒として用いられているPt(白金)
やCu(銅)等の金属を二酸化チタン上に形成して作製
された。金属単体でも触媒作用を有するものならば、二
酸化チタンの触媒作用と相乗効果を発揮できるだろうと
いうアイデアである。
【0007】このような金属担持光触媒の製法として、
光析出法、混合法、含浸法、化学析出法、同時沈澱法が
開発されてきたが、担持される金属粒子の粒径はミクロ
ン程度と大きく、しかも二酸化チタン粒子1個当りに担
持される金属微粒子の個数(担持密度)も数十個の範囲
に留まっていた。担持密度が小さいのは、金属微粒子の
粒径が大きいために多くの金属微粒子が1個の二酸化チ
タン粒子上に付着しないことも原因の一つである。従っ
て、金属担持の光触媒効果については二酸化チタン単体
よりも2〜4倍に程度に増強されるに過ぎなかった。
【0008】発明者等はなぜミクロンサイズの金属微粒
子では触媒効率がそれほど増強されないかについて、図
17を参照しながら理論的に検討してみた。二酸化チタ
ン中に生じた電子を金属電極中に効率的に取り込むため
には、二酸化チタンと金属の界面における電子遷移の障
壁をできるだけ小さくすることが望まれる。ところが金
属微粒子の粒径がミクロンサイズ(約0.1μm以上)
の場合には、その電子状態は大きな固体結晶(バルク結
晶)とほぼ同じバンド構造となる。つまり、価電子帯と
伝導帯が一定のバンドギャップを隔てて画然と形成さ
れ、伝導帯では自由電子が底から最上端のフェルミ準位
まで順に密に詰まった構造となる。他方、二酸化チタン
はバルクな結晶であるからその電子状態は当然バンド構
造をとる。バンド構造においては、バンドを構成するエ
ネルギー準位はほぼ連続的に密に配置され、各準位に対
応した波動関数はその物質内に鋭く局在している。換言
すると、波動関数がその物質外に裾をはみ出すことがな
いため、その準位に滞在する電子は物質外に放出される
確率がかなり小さくなる。
【0009】この状態で、二酸化チタンが紫外線照射を
受けて電子が伝導帯に励起され電子−正孔対が生成され
たとしよう。この電子が外部物質Aを還元したりスーパ
ーオキサイドアニオンを生成するためには、電子が迅速
に二酸化チタンから金属中に移動し、更に金属から金属
外の外部物質Aに移動する必要がある。ところが上述し
たように金属微粒子はミクロンサイズであるから、電子
状態が大きな結晶と同様のバンド構造をとるだけでな
く、波動関数も金属微粒子内に鋭く局在した構造をと
る。従って、二酸化チタンの伝導帯に上った電子は金属
の波動関数に乗ることが容易でないから、金属の伝導帯
に移動することも簡単ではない。また電子が金属に何と
か移動できても、金属から外部物質に移動することも同
様に容易でないため、金属の外部に出る前に金属の伝導
帯にあるフェルミ準位Eの上に素早く落ちてしまう事
が多く、外部物質と反応する機会は更に少なくなる。
【0010】つまり、バンド構造のように伝導帯の準位
密度が大きい場合には、電子がフェルミ準位の上にまで
落ちる時間(緩和時間)が極端に短くなり、波動関数の
局在性とともに電子の外部への移動を阻止するのであ
る。換言すると、ミクロンサイズでは電子は外部に出に
くいから金属内に電子が過剰に蓄積されることとなり、
その反発電場によって逆に二酸化チタン内の電子が金属
中に移動することを阻止する結果となる。結局、金属微
粒子の粒径がミクロンサイズの領域では、エネルギーの
バンド構造と波動関数の局在性によって電子が二酸化チ
タン又は金属微粒子中に留まり、金属外部に放出される
確率が小さくなると結論できる。同時に、ミクロンサイ
ズの金属微粒子の場合には、1個の二酸化チタン粒子上
に担持される金属微粒子の個数も数十個が限界であり、
これらのことが金属担持光触媒の触媒効率を制限してい
た理由である。
【0011】光触媒は環境汚染物質の分解作用を有する
が、これに吸着作用を付加しようとするアイデアが現れ
た。吸着作用を有する物質には活性炭、活性炭素繊維、
ゼオライト等の多孔性材料がある。図18の活性炭素繊
維を説明すると、この繊維の表面には直径0.5nm程
度の無数の孔、いわゆるミクロポアが開いている。この
ミクロポアに有機物等の環境汚染物質を吸着するのであ
る。この活性炭素繊維は種々の形状に加工できるので浄
水器や空気清浄機に多用されている。
【0012】この活性炭素繊維を素材として光触媒を保
持させれば、活性炭素繊維が環境汚染物質を吸着し、光
触媒が環境汚染物質を分解することができるはずであ
る。特許第2574840号公報には活性炭に光触媒を
保持させた脱臭装置が記載されている。これをより具体
的に、活性炭素繊維にアナターゼ型二酸化チタンを保持
させた光触媒と考えると、図19がその想像図になる。
ミクロポアに吸着された有機物が総て光触媒により分解
されれば、効率100%の吸着・分解力を有することに
なる。ところが、前述したように二酸化チタン単体の分
解力には限界があるため、ミクロポアに有機物が残留す
るようになる。従って、活性炭素繊維の吸着力は次第に
低下し、いずれアナターゼ型二酸化チタンの分解力だけ
が残存し、当初に予想した効果を発揮できないことが分
かってきた。この主たる原因はアナターゼ型二酸化チタ
ンの光触媒効率の限界であり、光触媒効率の画期的な向
上が望まれていた。
【0013】二酸化チタンには結晶構造の違いからアナ
ターゼ型とルチル型が存在する。このうちルチル型が安
定構造で、約600℃以上に加熱するとアナターゼ型の
全てはルチル型に相転移し、冷却後の低温ではルチル型
になる。600℃以下でもアナターゼ型の一部はルチル
型になる。従って、ルチル型がアナターゼ型よりも安価
に量産できる二酸化チタンである。しかし従来、光触媒
として用いられてきた二酸化チタンは全てアナターゼ型
であり、安価なルチル型は全く使用されなかった。その
理由はバンド構造から理解できる。
【0014】図20にはルチル型二酸化チタンのバンド
構造が示されている。そのギャップエネルギーは3.0
5eVである。紫外線により伝導帯に励起した電子は緩
和によりエネルギーを一部消費しながら伝導帯の底に到
達する。還元電位である酸素電位は3.13eVに位置
しているから、伝導帯の底から酸素電位に登ることは外
部エネルギーをもらう以外になく、自然には起こりにく
い。従って、ルチル型ではスーパーオキサイドアニオン
を生成することが困難である。一方、図21にはアナタ
ーゼ型二酸化チタンのバンド構造が示されている。その
ギャップエネルギーは3.20eVであり、紫外線励起
後、伝導帯の底に落ちてきても3.13eVの酸素を十
分に還元でき、スーパーオキサイドアニオンを生成でき
る能力を有している。従って、現在の技術では高価なア
ナターゼ型二酸化チタンを光触媒として使用せざるを得
なかった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は二酸化チタンの光触媒効率を格段に増強できる方法を
見いだすことである。また従来安価であるにも拘らず光
触媒として利用されなかったルチル型二酸化チタンを、
光触媒として活用できる方法を見いだすことである。更
に、活性炭素繊維等の吸着力を消失させないで分解力を
格段に向上できる光触媒を実現し、吸着・分解のサイク
ルの長寿命化を達成することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は上記欠点を解消
するためになされたものであり、本発明に係る金属超微
粒子担持光触媒を保持した高機能性素材は、金属超微粒
子を光触媒微粒子に担持させ、この金属超微粒子担持光
触媒を素材の表面に保持させることを基本構成としてい
る。二酸化チタンの光触媒機能を格段に増強するために
ナノスケールの金属超微粒子にまで金属粒子を極少化し
ている。金属超微粒子は量子サイズ効果を顕著に発現す
る1〜10nmの粒径を有し、光触媒微粒子1個当りに
金属超微粒子を100個以上担持させることに特徴を有
している。金属超微粒子の材質は遷移金属であり、特に
pt、Λu、Pd、Rh又はAgが適当である。光触媒
微粒子は紫外線照射により水酸ラジカルおよび/または
スーパーオキサイドアニオンの生成能力を有する金属酸
化物半導体であり、特に二酸化チタンが好適である。素
材は1次元、2次元又は3次元素材が利用でき、その中
でも1次元素材としての繊維が利用できる。中でも活性
炭素繊維は好適である。また、これらの繊維を編成・織
成等により成形して作られた高機能性繊維製品も素材に
なる。
【0017】高機能性素材の製造方法には金属超微粒子
担持光触媒を素材の表面に静電吸着させる方法がある。
コロイド焼成法として、光触媒微粒子に有機金属化合物
コロイドを付着させる第1工程と、このコロイド付着光
触媒微粒子を素材に添着させる第2工程と、この素材を
焼成することにより有機金属化合物を還元して金属超微
粒子を光触媒微粒子に強固に担持させ、同時にこの光触
媒微粒子を素材に強固に保持させる第3工程から構成さ
れる製造方法がある。また、別のコロイド焼成法として
光触媒微粒子に有機金属化合物コロイドを付着させる第
1工程と、このコロイド付着光触媒微粒子を焼成して金
属超微粒子を光触媒微粒子に強固に担持させる第2工程
と、この金属超微粒子担持光触媒を素材に添着させて焼
成により光触媒微粒子を素材に強固に保持させる第3工
程から構成される製造方法がある。更に、原料繊維を炭
化処理及び賦活化処理して活性炭素繊維に変成し、この
活性炭素繊維を素材として上記のコロイド焼成法を適用
する。また膜状素材の製造方法として、溶媒上で薄膜状
に展開する性質を有する物質に金属超微粒子を担持させ
た光触媒微粒子を混入させた後、この物質を溶媒上に展
開して薄膜を形成し、この薄膜を2次元素材又は3次元
素材の表面に保持させる方法がある。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明者は金属担持二酸化チタン
の光触媒機能を増強するために鋭意研究した結果、ナノ
スケールの金属超微粒子を二酸化チタン表面に担持させ
ることにより、二酸化チタン単体よりも光触媒機能を約
100倍以上にまで増強できることが分かった。従っ
て、ミクロンスケールの金属微粒子を担持した二酸化チ
タンと比較した場合でも、触媒効率を約3〜25倍位に
まで増強することができる。これは金属を微粒子から超
微粒子へ転換すること、即ち粒径をミクロンスケールか
らナノスケールに、換言すれば粒径をミクロンスケール
(約0.1μm以上)の1/10〜1/100程度にま
で極小化することによって達成できるのである。本発明
で用いられる金属超微粒子の平均粒径は1〜10nm、
より好ましくは1〜5nmである。これより大きくする
と後述する量子サイズ効果の発現が小さくなって光触媒
効率の増強が顕著でなくなり、また粒径を更に小さくす
ると原子サイズに近接するため金属超微粒子の作製が技
術的に困難になると同時に極めてコスト高になってしま
う。
【0019】光触媒物質として二酸化チタン等の微粒子
状の粉末を利用した場合には、光触媒微粒子1個に担持
できる金属超微粒子の個数、つまり金属超微粒子の担持
密度がその粒径とともに重要な要素となる。本発明では
ナノスケールにまで極少化された金属超微粒子を用いる
ことにより、光触媒微粒子1個に多数の金属超微粒子を
担持させることを可能にした。即ち、ミクロンスケール
の金属微粒子からナノスケールの金属超微粒子へと粒径
の極少化を実現したことにより、担持密度の劇的な向上
を達成したのである。本発明者等の研究によれば、光触
媒微粒子1個当りに担持される金属超微粒子の平均個数
は100個以上、好ましくは200個以上に設定するこ
とが望まれる。担持密度が100個以上であれば量子サ
イズ効果との相乗効果により光触媒効率を従来より顕著
に増大化できる。200個以上であれば光触媒効率の格
段の増加を達成できる。もちろん担持密度を更に増加で
きれば、光触媒効率の更なる増大化を図ることが可能と
なる。
【0020】金属超微粒子により初めて発現する量子サ
イズ効果について以下に検討する。例えば直径1nmの
超微粒子を考えると、その中に金属原子は原子のサイズ
に依存するが約10〜100個程度しか存在しない。又
直径10nmの金属超微粒子になると約10000〜1
00000個の原子を含有すると考えられる。このよう
に原子数の少ない金属超微粒子では、金属の電子エネル
ギー状態はバンド構造から次第に離散的になり始め、エ
ネルギー準位が広範囲に分布する。例えば伝導帯を考え
てみると、伝導帯を構成する多数のエネルギー準位が密
に固まった状態から互いに離散しながら上下に広範囲に
分布するようになる。この準位の離散化は電子の緩和時
間、即ちその準位からフェルミ準位に落ちるまでの時間
を長くする効果を奏する。つまり、電子が準位に滞在す
る時間が長くなるのである。同時に、エネルギー準位に
対応した波動関数が左右に裾を延ばしながら金属外部に
もはみ出し、同時にピークが低くなる効果も有する。つ
まりこの波動関数に乗った電子は量子トンネル効果によ
り容易に外部に移動できることになる。本発明において
量子サイズ効果という場合には、上記したようにエネル
ギー準位の離散化と波動関数の非局在化による量子トン
ネル効果の発現を意味する。
【0021】図1には金属超微粒子担持光触媒が活性炭
素繊維に保持されている状態が示されている。金属超微
粒子担持光触媒の重量は繊維重量の少なくとも1%以
上、好ましくは3%以上あればよい。1%以下だと金属
超微粒子担持光触媒の効果が十分ではなくなる。光触媒
はルチル型二酸化チタンであり、数nmの粒径の金属超
微粒子がルチル型二酸化チタンに高密度に担持されてい
る。まず、活性炭素繊維が環境汚染物質である有機物を
吸着し、そのミクロポアに有機物が詰め込まれてゆく。
次に、金属超微粒子担持光触媒が有機物の分解を始め
る。
【0022】金属超微粒子を担持した二酸化チタンが如
何に有機物に対し効率的に酸化還元を行うかを見てみよ
う。図2は金属超微粒子を二酸化チタン上に担持した場
合のエネルギー状態を示している。二酸化チタンに紫外
線を照射すると電子−正孔対が形成され、価電子帯に正
孔を残して伝導帯に電子が励起される。エネルギーの大
きな紫外線で励起された場合には電子は伝導帯の高い位
置に遷移するが、次第にエネルギーを失いながら伝導帯
の底に落ちてくる。金属のエネルギー準位はある程度密
に離散化しているため、二酸化チタンの伝導帯の底に対
応したエネルギー準位が必ず存在する。しかもその準位
の波動関数は左右に長く裾を引いており、左端は二酸化
チタン中に右端は金属外部にまで延びている。つまり、
二酸化チタンと金属のエネルギー準位は金属の波動関数
を介して共鳴的に連続していることになる。二酸化チタ
ンの伝導帯にある励起電子はその金属の波動関数に乗っ
て一気に金属を介して外部に量子トンネル効果により放
出される。二酸化チタンと金属が共鳴状態にあるため、
この量子トンネル効果を共鳴トンネリングと称する。こ
のとき金属中の準位は離散化しているので電子の緩和時
間は長く、従って電子は金属のフェルミ準位の上に落ち
る前に容易に金属外に放出されるのである。
【0023】二酸化チタンの価電子帯にある正孔は二酸
化チタン表面に移動し、外部物質Dを酸化する。また外
部物質を酸化するだけでなく、表面に付着した水を酸化
して水酸ラジカルという強酸化物を生成し、この水酸ラ
ジカルが外部物質を酸化分解しているとも考えられてい
る。一方、金属外に共鳴トンネリングで放出された電子
は外部物質Aを直接還元するだけでなく、空気中の酸素
を還元してO というスーパーオキサイドアニオンを
生成し、このアニオンが前記外部物質Dの分解にも関与
していると考えられている。特に、本発明では二酸化チ
タンから金属に移動した励起電子は金属中に蓄積されず
に直ちに外部に放出されるから外部に反発電場が形成さ
れず、紫外線照射による励起電子を次々と吸引すること
ができる点で優れた還元力を有している。
【0024】二酸化チタンに限らず、本発明で用いられ
る光触媒の種類は、酸化還元しようとする分解対象物質
によって決まる。この分解対象物質が還元される物質の
場合には還元電位が存在し、酸化される物質の場合には
酸化電位が存在する。これらの還元電位と酸化電位が光
触媒物質の価電子帯と伝導帯の間にあるエネルギーギャ
ップ内に位置している必要がある。詳しく述べると、図
2に示すように、還元電位はギャップ内の上側に位置
し、酸化電位はギャップ内の下側に位置するような光触
媒物質を選択することが望まれる。この場合に、励起電
子は伝導帯の底から還元電位に落ちて対象物質を還元
し、正孔は価電子帯の上端から酸化電位に登って対象物
質を酸化できる。但し、本発明では金属超微粒子の共鳴
トンネリングが効力を発揮するから、還元電位は伝導帯
の底の位置または少し上側にあってもよい。
【0025】図2ではルチル型二酸化チタンを用いてい
るから、図20と同じように還元電位は伝導帯の底より
0.08eV上に位置している。それでも励起電子はそ
の位置の金属準位から共鳴トンネリングにより素早く外
部物質を還元できる。この共鳴トンネリングによってル
チル型二酸化チタンも光触媒として利用できるようにな
った意義は画期的である。量産性のある安価なルチル型
二酸化チタンが本発明によって初めて光触媒として脚光
を浴びることになる。
【0026】又、近年の研究では、電子はOを還元し
てスーパーオキサイドアニオンO にし、正孔は水を
酸化して水酸ラジカルを形成し、これらのO と水酸
ラジカルが対象物質を分解すると考えられている。従っ
て、還元電位としてO電位、酸化電位としてOH電位
を選んで光触媒物質を選択することもできる。即ち、紫
外線の照射によって電子−正孔対が生成され、電子によ
って空気中や水中の酸素を還元してスーパーオキサイド
アニオンを生成し、正孔によって表面に付着した水を酸
化して水酸ラジカルを生成する光触媒物質であればよ
い。
【0027】光触媒物質としては半導体が適当である。
絶縁体ではギャップエネルギーが大きすぎて通常の紫外
線では電子−正孔対を生成するのが困難であり、またギ
ャップエネルギーの小さな物質では禁制帯内に酸化およ
び還元電位を配置させることが困難になるととも、水溶
液に溶解し易くなるために不適である。半導体の中でも
金属酸化物半導体が本発明には適切である。金属酸化物
は金属単体と比較して極めて安定な物質であるため、他
物質との反応性が低くて安全でもあり、しかも電子の授
受を十分に行うことができる物質である。従って、これ
らの性質を満足する金属酸化物半導体が本発明の光触媒
物質として利用でき、例えば、WO、CdO、In
、AgO、MnO、CU、Fe
、V、TiO、ZrO、RuO,C
、CoO、NiO、SnO、CeO、N
、KTaO、SrTiO、KNbO17
等を含む公知の物質から分解対象物質に応じて選択する
ことができる。この中でも、生成される電子−正孔密度
やスーパーオキサイドアニオン・水酸ラジカル密度およ
び材質としての耐腐食性・安全性等の観点からTi
、SrTiO、KNbO17が好ましく、特に
二酸化チタンであるTiOが最も望ましい。
【0028】本発明に利用できる光触媒物質は微粒子で
ある。微粒子はその表面積が極めて大きいから環境汚染
物質と接触する確率が大きくなると同時に、多数の金属
超微粒子を表面に担持することができる。また、微粒子
の方が紫外線等の有効受光面積が大きくなり、光触媒効
率がバルク物質より格段に高くなる。通常、金属酸化物
は粉体であるから、二酸化チタンのような金属酸化物半
導体が本発明には適する。粒径としては30nm〜10
00nm、より好ましくは50nm〜500nmであ
る。これより小さいと超微粒子に近づいて行くため製造
に特殊な技術とコストがかかり、これより大きいと比表
面積が小さくなって環境汚染物質・人体毒性物質・悪臭
物質等との反応性が悪くなる。例えば二酸化チタンを1
0nm程度に超微粒子化することは可能であるが、独立
した粒子として存在せず、二酸化チタン超微粒子が集合
して団子状に固まり、結局前述のような大きな二酸化チ
タンの塊となる。この場合にはゴツゴツしているため表
面積は単一固体よりは大きくなるから、反応性はより高
くなる。本発明はこのような光触媒微粒子も包含する。
光触媒微粒子の形態は金属超微粒子を担持できる限り特
に制限されず、例えば球状・ペレット状・粒状などの形
態で使用できる。
【0029】本発明において利用できる光源は、光触媒
のバンドギャップ・エネルギー以上のエネルギーを有す
る光源であればよく、通常は紫外線灯が用いられる。特
に二酸化チタンを用いる場合には、ルチル型とアナター
ゼ型があり、各々のギャップエネルギーを波長に換算す
ると、ルチル型は407nm、アナターゼ型は388n
mである。従って、二酸化チタンに対する光源の波長分
布は400nmをピーク付近に有することが望ましい。
図3の波長分布を有する誘蛾灯は、400nmがピーク
近傍にあるためルチル型およびアナターゼ型両方に有効
で極めて好ましい。
【0030】図4の波長分布を有する自然太陽光線は、
可視光線が中心であるが、400nmを含んでいるため
に十分に利用できる。特に自然太陽光線では388nm
より407nmの方が光強度が高いのでルチル型の方が
アナターゼ型よりも有効である。従って、本発明により
ルチル型二酸化チタンを光触媒として利用できることは
自然太陽光線を活用できる大きな道を開いたものであ
る。このことは、従来のアナターゼ型の場合には紫外線
灯を利用できても、自然太陽光線の場合には触媒効率が
極めて低かったことと対照的である。また、従来の光触
媒では、屋外での太陽光線の利用は光強度が強いために
可能であったが、屋内利用では光強度が弱いため弱点と
なっていた。しかし、本発明では光触媒効率が格段に増
強されているため、太陽光線を光源として屋内における
光触媒の利用の拡大を図ることが可能となる。
【0031】担持される金属超微粒子は遷移金属であれ
ばよい。遷移金属元素とは不完全なd殻を有する元素で
原子番号21(Sc)〜29(Cu)、39(Y)〜4
7(Ag)、57(La)〜79(Au)および89
(Ac)〜理論的には111までの4グループからなる
金属元素である。d殻が不完全であるために最外殻がd
電子により方向性を有し、その結果光触媒物質からやっ
てくる励起電子を金属超微粒子表面で捕まえ易く、スー
パーオキサイドアニオンを生成し易い。金属単体で触媒
として利用できる金属が望ましく、また安全性の観点か
ら考えるとAu、pt、Ag、Pd、Rhが好ましく、
金属としての安定性の観点からAu、Pt、Pdがより
好ましい。
【0032】本発明の特徴は、微粒子からなる光触媒物
質の表面に金属超微粒子を担持形成する方法を確立した
ことである。従来の製法ではミクロンサイズの金属微粒
子を担持させることはできたが、ナノスケールの金属超
微粒子を形成担持することは不可能であった。この従来
製法の限界が光触媒効率の向上を阻害していた原因でも
あった。従来製法が金属塩または金属粉を原料として使
用していたのに対し、本発明では加熱により還元可能な
有機金属化合物を用いることにより、光触媒効率の飛躍
的な向上を達成したのである。加熱により還元可能と
は、加熱すると有機金属化合物から金属だけが単離で
き、換言すれば他の有機物部分が分離されてしまうこと
である。有機金属化合物の中でも、特に有機金属錯体が
本発明の目的に適している。しかし、加熱により還元可
能な有機金属化合物で有れば特に制限されないことは云
うまでもない。
【0033】この中でも金属としての安定性および安全
性の観点から、特にAu系化合物、Ag系化合物、Pd
系化合物、Rh系化合物又はpt系化合物の少なくとも
1種を用いることが好ましい。より好ましくはAu、A
g、Pd、Rh又はptと硫黄含有有機物との化合物で
あり、更に最も好ましくはAu、Pd、Rh又はptと
硫黄含有有機物との化合物である。例えば、メチルメル
カプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタ
ン、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデ
シルメルカプタン、ヘキサデシルメルカプタン、オクタ
デシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、チオグ
リコール酸ブチル等のチオグリコール酸類、そのほかト
リメチロールプロパントリスチオグリコレート、チオグ
リセロール、チオ酢酸、チオ安息香酸、チオグリコー
ル、チオジプロピオン酸、チオ尿素、t−ブチルフェニ
ルメルカプタン、t−ブチルベンジルメルカプタン等が
挙げられる。更にその他、バルサム金(C1018
AuCl1−3)、バルサム白金(C1018Spt
C11−3)、バルサムパラジウム(C1018SP
dCl1−3)、バルサムロジウム(C1018SR
hCl1−3)等が利用できる。
【0034】上記の有機金属化合物と二酸化チタン等の
光触媒物質の粉末を適当な公知の親水溶媒中に分散させ
ると有機金属化合物の疎水コロイド等が形成でき、この
有機金属化合物コロイド粒子が光触媒粉末粒子の表面に
多数付着する。この混合液を乾燥させ、残った固体残留
物を焼成すると、有機金属化合物のうち有機物は逃散
し、金属だけがナノスケールの超微粒子となって光触媒
微粒子の表面に担持されるのである。混合液自体を加熱
して溶媒を蒸発させ、更に加熱により固形の残留物を焼
成する等、乾燥・焼成が一連の工程となる場合も含む。
また別の製法として、上記の有機金属化合物のコロイド
溶液と光触媒粉末を互いに対向させて噴霧すると、光触
媒粉末粒子の表面にコロイドが多数付着し、このコロイ
ド付着光触媒粉末粒子を落下する途中で加熱処理する
と、金属超微粒子担持光触媒微粒子を連続的に製造する
ことができる。
【0035】有機金属化合物の溶液濃度は、最終製品等
に応じて適宜設定できるが、通常は0.1重量%以上と
し、好ましくは0.5〜50重量%とする。溶媒は有機
金属化合物の種類により適宜選択でき、アルコール類、
エステル類、芳香族類等の公知の有機溶媒を使用するこ
とができる。
【0036】本発明における焼成温度は、通常は有機金
属化合物の還元析出温度以上であって、且つ還元されて
析出する金属の融点未満の温度範囲内で適宜変更するこ
とができる。更に具体的に述べると、有機金属錯体のよ
うな有機金属化合物から金属を単離するためには、有機
金属化合物を完全に分解して金属原子だけを残して他の
有機物原子を逃散させなければならない。この温度を金
属の還元析出温度と定義している。次に、単離された金
属原子を集合させて金属超微粒子にまで再配列させなけ
ればならない。この上限温度はバルクの金属の融点以下
であればよく、好ましくは、析出金属の融点の80%以
下、特に70%以下とする。また、焼成雰囲気は酸化雰
囲気、また希薄空気でもよく最終製品に応じて適宜選択
できる。
【0037】本発明の最大の特徴は極めて優れた光触媒
能力を有する金属超微粒子担持光触媒微粒子を素材に保
持させる点にある。二酸化チタンだけを素材に保持させ
た場合には、二酸化チタンの分解力の限界が素材の自浄
分解力の限界になり、商品としての素材の品質の限界に
なっていた。本発明では金属超微粒子担持光触媒を素材
に保持させることにより、商品である素材の品質を格段
に向上させたものである。生活環境には環境汚染物質や
人体有害物質が充満しており、この空間内に本発明に係
る素材を置いておくだけで、素材の自浄分解機能が作用
して前記物質を水と二酸化炭素にまで分解し、環境の清
浄化を期することができる。無機物質の分解は有機物質
より困難性を有するが、有機物質が分解されることによ
り、従来有機物質がバインダーとなってチリ等の無機物
質が素材に付着していた現象がなくなり、素材の長期清
浄化を図ることもできる。
【0038】本発明で用いられる素材は1次元素材、2
次元素材および3次元素材に分類できるが、1次元素材
の典型例は繊維である。繊維には天然繊維と化学繊維が
含まれ、化学繊維には無機繊維、再生繊維、半合成繊維
および合成繊維が包含される。天然繊維には動物繊維、
植物繊維、鉱物繊維(石綿など)が含まれ、無機繊維に
は金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維、活性炭素繊維等が
あり、合成繊維にはポリエステル系、ポリアクリル系、
ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポ
リビニルアルコール系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビ
ニリデン系、ポリウレタン系、ポリアルキルパラオキシ
べンゾエート系、ポリテトラフルオロエチレン系などが
あるが、近年のスーパー繊維、例えばアラミド系、全芳
香族ポリエステル系、ヘテロ環系なども包含される。
【0039】金属超微粒子担持光触媒を保持した繊維と
単なる活性炭素繊維を混紡した場合には活性炭素繊維が
環境汚染物質を吸着し、他方の繊維上の金属担持光触媒
微粒子によって分解できるという利点がある。また、金
属担持光触媒微粒子を保持した炭素繊維を単なる活性炭
素繊維と混紡した場合には吸着分解効果に繊維の色調も
同一である点で用途が拡大する利点がある。更に、金属
担持光触媒微粒子を活性炭素繊維の表面に形成した場合
には、この繊維単独で吸着分解能力を有する点で優れて
いる。繊維だけでなく、これらの繊維を編成してできた
編物、織成してできた織物および不織布状に成形したフ
ェルト等の不織布、更にフィルターその他の繊維製品も
本発明の素材に含まれる。フィルターは空気清浄器、浄
水器、トイレ脱臭器、室内脱臭器、冷蔵庫脱臭器などに
利用できる。
【0040】平面状の2次元素材としては窓ガラス、
鏡、テーブル、壁材、タイル、障子、ふすま等があり、
立体状の3次元素材としてはトイレの便器、家具、置物
などがある。これらの表面に本発明の金属超微粒子担持
光触媒を保持させれば、有機性の環境阻害物質・人体に
有害な物質・悪臭などを自然の太陽光、蛍光灯、あるい
は紫外線灯からの紫外線により自然に自浄分解すること
ができる。有機物を分解するから、いままで有機物をバ
インダーにして付着していた無機汚れも付着しにくくな
る。
【0041】金属超微粒子担持光触媒を素材に保持させ
る各種の方法がある。例えば、金属超微粒子担持光触媒
からなる粉末を適当な溶媒中に分散させ、この溶媒中に
素材を浸漬して金属担持光触媒微粒子を添着する浸漬
法。また金属超微粒子担持光触媒を分散させた溶媒を素
材に噴霧するスプレー法。2次元素材・3次元素材の場
合にはローラーや刷毛での塗着法。更に金属超微粒子担
持光触媒を素材上に静電吸着させる方法がある。金属超
微粒子担持光触媒微粒子も素材も自然状態で静電気を帯
びており、この静電吸着力により金属超微粒子担持光触
媒微粒子の粉末を素材に噴霧添着する方法や粉末中に素
材を押し付けて添着させる方法等がある。又、電気集塵
の原理によりまず金属超微粒子担持光触媒微粒子をコロ
ナ放電により強制帯電させておき、極板間の電界力で極
板間又は極板上にある素材表面に添着することもでき
る。
【0042】これらの方法により金属超微粒子担持光触
媒微粒子を添着した素材を適当温度に加熱して素材に強
固に保持させることもできる。より効果的には、加熱に
より硬化するバインダーを予め素材表面に塗着し、この
上に前記方法で金属担持光触媒微粒子を添着し、加熱硬
化させれば金属担持光触媒微粒子を強固に保持させるこ
とができる。
【0043】炭素繊維や活性炭素繊維の表面に金属超微
粒子担持光触媒を保持させるには、予め素材として準備
された炭素繊維や活性炭素繊維の表面に上記の方法で金
属超微粒子担持光触媒微粒子を添着し、その後これらの
繊維を所定温度で焼成すれば金属超微粒子担持光触媒を
炭素繊維や活性炭素繊維上に強固に保持できる。また、
原料繊維を炭化処理して炭素繊維にし、あるいは賦活化
処理により活性炭素繊維にした後、金属超微粒子担持光
触媒を前述の方法で炭素繊維または活性炭素繊維に保持
することもできる。
【0044】炭素繊維の原料にはレーヨン繊維や石油ピ
ッチ・石炭ピッチを溶融紡糸したピッチ繊維、アクリル
繊維、その他多くの繊維があり、これらの繊維を炭素繊
維や活性炭素繊維に変成するのもほぼ同じ焼成法を適用
できる。中でも炭素繊維の原料の主力はPAN(ポリア
クリロニトリル)で、これを紡糸したものがアクリル繊
維である。このアクリル繊維について以下説明すると、
このアクリル繊維を不活性雰囲気中で1000〜180
0℃の温度で加熱すると、アクリル繊維が炭素繊維にな
る。この炭素繊維を水蒸気と二酸化炭素と窒素等の混合
ガス中で賦活化処理すると無数のミクロポア(微小孔)
が形成された活性炭素繊維を形成でき、この活性炭素繊
維に金属超微粒子担持光触媒を保持させるのである。活
性炭素繊維の吸着力と金属超微粒子担持光触媒の分解力
により、自浄分解能力を格段に向上させることができ
る。
【0045】金属超微粒子と光触媒微粒子とアクリル等
の原料繊維から連続処理により金属超微粒子担持光触媒
を保持した活性炭素繊維を製造することもできる。即
ち、原料繊維を加熱炉内に走行させて炭化処理と賦活化
処理を行って活性炭素繊維を製造する。反応塔では有機
金属錯体コロイドと光触媒微粒子を相互に噴霧してコロ
イド付着光触媒微粒子を空間中で生成し、この微粒子が
落下する途中に前記活性炭素繊維を走行させると活性炭
素繊維の表面にコロイド付着光触媒微粒子が添着する。
この活性炭素繊維を約500℃の加熱炉内に走行させる
と、金属超微粒子担持光触媒を強固に保持した活性炭素
繊維が連続的に製造できる。
【0046】
【実施例】以下に本発明に係る金属超微粒子担持光触媒
を保持した素材およびその製造方法の実施例を示し、本
発明の特徴とするところを一層明確にする。
【0047】実施例1 [2種類のpt超微粒子担持光触媒の調製]有機金属錯
体であるバルサムPtの疎水コロイドを親水性のアセト
ンに分散させて、濃度が2.5重量%の有機金属錯体コ
ロイド溶液を調製した。このコロイド溶液に光触媒微粒
子として結晶構造がルチル型で平均粒径300nmの二
酸化チタン粉末を混入させて、二酸化チタン微粒子にコ
ロイドを付着させた。このコロイド溶液をパイレックス
ガラス板に塗布して乾燥し、500℃で30分間焼成
し、ガラス板から剥がして金属超微粒子担持光触媒Aを
得た。同様に結晶構造がルチル型で平均粒径70nmの
二酸化チタン粉末を用いて金属超微粒子担持光触媒Bを
得た。図5はAの、図6はBの透過型電子顕微鏡写真で
あり、二酸化チタン微粒子上におけるPt超微粒子の担
持状態を示している。又、図7はAの高分解能透過型電
子顕微鏡による格子像を示し、その格子間隔からPtが
ルチル型二酸化チタン上に担持されていることを証明し
ている。図8はAおよびBのPt超微粒子の粒径分布を
示し、Aの平均粒径が3nm、Bの平均粒径が1.5n
mであることを示す。コロイド焼成法によれば平均粒径
の小さな金属超微粒子を二酸化チタン上に担持させるこ
とができ、本発明の核心部である量子サイズ効果を最も
効果的に発現させることができる。
【0048】実施例2 [実施例1のPt超微粒子担持光触媒の担持密度の測
定]実施例1により得られたサンプルAおよびBのPt
超微粒子の担持密度を測定した。この際、二酸化チタン
微粒子およびPt超微粒子を球形に近似した。図5のA
の電子顕微鏡写真から、直径200nmの二酸化チタン
微粒子1個の表面には約120個のPt超微粒子が存在
し、1cm当りの担持密度は2×1011個であっ
た。同様に、図6のBの電子顕微鏡写真から、直径50
nmの二酸化チタン1個の表面には約300個のPt超
微粒子が存在し、担持密度は4×1012個/cm
あった。分かりやすさの観点から、本発明では担持密度
を光触媒微粒子1個当りの金属超微粒子の個数で表現す
ることにする。
【0049】実施例3 [Pt超微粒子担持光触媒を保持させたアクリル繊維]
実施例1で調製したサンプルB、即ち平均粒径70nm
のルチル・Pt型の金属超微粒子担持光触媒からなる粉
末をアクリル繊維にスプレーにより噴霧して、両者の静
電気力で保持させた。過剰な粉末は少し叩くことによっ
て落下させた。図9は金属超微粒子担持光触媒がアクリ
ル繊維に静電気により保持されている状態の電子顕微鏡
写真で、図10はそれを更に拡大した電子顕微鏡写真で
ある。金属超微粒子担持光触媒が繊維表面全体に保持さ
れているのが分かる。保持させた金属超微粒子担持光触
媒の重量はアクリル繊維重量の3%である。少なくとも
1%以上あれば光触媒の効果があり、迅速な実験を行う
場合には5%又は10%にする場合もある。
【0050】実施例4 [Pt担持と従来の光触媒微粒子との比較]別の製法に
よって平均粒径70nmのルチル型二酸化チタンに平均
粒径1.5nmのPt超微粒子を担持させて、金属超微
粒子担持光触媒を作製した。Pt超微粒子の担持密度は
二酸化チタン微粒子1個当り600個とかなり高密度で
あった。このPt超微粒子担持光触媒0.5g(10重
量%の場合)を実施例3と同様にアクリル繊維5gに保
持させた。全く同条件で、平均粒径70nmのアナター
ゼ型二酸化チタン単体と平均粒径70nmのルチル型二
酸化チタン単体を保持させたアクリル繊維を作製した。
反応雰囲気として酸素とアルゴンガスの2種類を用意
し、スーパーオキサイドアニオンの効果も確かめた。P
t超微粒子担持光触媒微粒子・OをI、アナターゼ・
をJ、アナターゼ・ArをK、ルチル・OをLと
する。アセトアルデヒドの酢酸への分解効率を見るた
め、密封容器内のアセトアルデヒド濃度が100ppm
から測定を開始し、1ppmになるまで計測を続けた。
結果は図11に片対数グラフで示されている。測定開始
から同一時刻でのIとJの比較から、Pt担持はアナタ
ーゼ単体より触媒効率が約100倍以上も高いことが分
かる。この理由は、金属担持密度がかなり大きいこと及
びPt超微粒子の粒径が粒ぞろいでかなり小さく、量子
サイズ効果が顕著に現れていることが原因である。ま
た、JとKの比較から、アルゴンガスでは分解が促進せ
ず酸素の存在が効果的であることが証明された。即ち、
スーパーオキサイドアニオンの存在が酸化還元過程に有
効に作用しているのである。さらに、ルチル単体の場合
には酸素中でも触媒効率が一番悪いことが分かった。
【0051】実施例5 [金属超微粒子担持光触媒を保持した活性炭素繊維の連
続製造装置]図12は活性炭素繊維を製造しながら、こ
れに金属超微粒子担持光触媒を連続的に保持させる装置
を示している。反応塔は噴霧部2、第1加熱槽8および
第2加熱槽12から構成され、第1加熱槽8は第2加熱
槽12に第1フランジ部10で接続されている。スプレ
ー機構4から有機金属錯体コロイド溶液を、微粒子ノズ
ル6から光触媒微粒子を対向して相互に噴霧する。粒子
間の衝突により光触媒微粒子の表面に有機金属錯体コロ
イドが多数付着し、それらの粒子は重力によって下方に
落下してゆく。まず第1加熱槽8で約100℃に加熱さ
れて水分を蒸発させる。次に、送流ファン11により5
00℃の第2加熱槽に送られ、邪魔板13の間を通過し
ながらコロイドから金属が還元され、次第に金属超微粒
子へと成長する。他方、アクリル繊維等の原料繊維又は
その繊維成形体からなる繊維体14を1000℃以上で
炭化処理をしながら走行させ、その後賦活化ガスGとヒ
ーター16により賦活化処理が行われて、原料繊維は活
性炭素繊維にまで仕上がる。この段階で反応塔の下を走
行し、上方から落下してくる金属超微粒子担持光触媒が
活性炭素繊維の表面に添着する。約500℃で加熱され
ながら、金属超微粒子担持光触媒は強固に活性炭素繊維
上に保持される。この活性炭素繊維は図示しないロール
に巻回されて完成となる。添着しなかった金属超微粒子
担持光触媒はファン18により吸引されて、ホッパー2
0から容器21に収納される。
【0052】実施例6 [活性炭素繊維と光触媒の吸着分解効果]活性炭素繊維
にルチル70/Pt1.5の金属超微粒子担持光触媒を
保持させたものと、平均粒径70nmのアナターゼ型二
酸化チタンだけを保持させたものと、活性炭素繊維だけ
の3種類を比較した。活性炭素繊維5gに光触媒を0.
5g保持させている。まず最初に、アセトアルデピド濃
度が200ppmから出発し、濃度の経時変化を測定し
た。活性炭素繊維は1ppmまで吸着した後は吸着平衡
に到達して濃度はそれ以上低下しなかった。ルチル70
/Pt1.5は急激に低下し、アナターゼ70と比較し
ても10倍から100倍の吸着分解力を有することが分
かる。特にルチル70/Pt1.5は低濃度領域におい
てほぼ垂直に濃度が低下し、大きな分解力を有している
ことが分かる。
【0053】実施例7 [活性炭素繊維とルチル70/Pt1.5の反復効果]
アセトアルデヒド濃度が100ppmから出発し、1p
pmにまで低下したときに外部からアセトアルデヒドを
注入して再び100ppmにまで戻す。この反復操作に
よって活性炭素繊維の吸着力と光触媒の分解効果を調べ
てみた。11回の反復効果をみたが、100ppmから
1ppmに低下する周期は80分でほとんど変化しなか
った。5回目と11回目の周期が長くなっているが、そ
れはアセトアルデヒドを約300ppmないし400p
pmにまで過剰に注入したからに他ならない。劣化が起
こっていないということは、活性炭素繊維によってアセ
トアルデヒドが吸着され、同時に吸着されたアセトアル
デヒドのほとんどが光触媒で分解されていることを示し
ている。即ち、金属超微粒子担持光触媒を保持した活性
炭素繊維は極めて効果的な吸着分解力を有していると云
える。
【0054】比較例1 [活性炭素繊維だけの反復効果]比較例として活性炭素
繊維だけの反復効果を調べてみた。濃度が低下して飽和
するのに約20分の周期を有しているが、飽和値は次第
に増加し、9回目にはほとんど濃度低下が起こらなくな
っていることが分かる。このことはミクロポアがアセト
アルデヒドにより充満してしまうと活性炭素繊維の吸着
力は無くなってしまうことを示している。
【0055】比較例2 [活性炭素繊維とアナターゼ70の反復効果]従来の平
均粒径70nmのアナターゼ型二酸化チタン(アナター
ゼ70)を活性炭素繊維に保持させたときの反復効果を
調べてみた。方法は実施例7と全く同様に行った。周期
は13時間と極めて長いため3回しか実験できなかっ
た。その周期はルチル70/Pt1.5の80分と比較
して約10倍の長さである。人間の生活環境を浄化する
のには長くかかりすぎである。
【0056】比較例1および比較例2に対して、本発明
の実施例7が如何に優れた効果を示しているかが理解で
きる。
【0057】本発明は上記実施例に限定されるものでは
なく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種
々の変形例・設計変更等をその技術的範囲内に包含する
ものである。
【0058】
【発明の効果】本発明は上記詳述したように、金属超微
粒子担持光触媒の光触媒特性、即ち有機物分解力が光触
媒微粒子単体のそれより格段に優れている事に着眼して
なされたものである。この金属超微粒子担持光触媒を単
独で各種の素材に保持させることにより、環境汚染物
質、人体有害物質や悪臭等を強力に自浄分解し、優れた
環境衛生を作り出すことが出来る。また、この金属超微
粒子担持光触媒を活性炭素繊維に保持させた場合には極
めて優れた吸着分解効果を示し、今後の住環境の改善に
飛躍的な光明を与えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属超微粒子担持光触媒を活性炭素繊維に保持
させた状態の模式図である。
【図2】金属超微粒子の量子サイズ効果を説明するバン
ド構造の説明図である。
【図3】二酸化チタンのルチル型とアナターゼ型の両方
を効率的に励起できる誘蛾灯の紫外線の波長分布図であ
る。
【図4】自然な太陽光線の波長分布図である。
【図5】平均粒径300nmの二酸化チタンにPt超微
粒子を担持させた状態の透過型電子顕微鏡写真である。
【図6】平均粒径70nmの二酸化チタンにPt超微粒
子を担持させた状態の透過型電子顕微鏡写真である。
【図7】図5の状態の高分解能透過型電子顕微鏡による
格子像である。
【図8】図5及び図6のPt超微粒子の粒径分布図であ
る。
【図9】アクリル繊維に金属超微粒子担持光触媒の粉末
を静電吸着させている電子顕微鏡写真である。
【図10】図9を更に拡大した電子顕微鏡写真である。
【図11】Pt担持二酸化チタンと二酸化チタン単体に
よるアセトアルデヒド分解の時間経過図である。
【図12】金属超微粒子担持光触媒を保持した活性炭素
繊維の連続製造装置の概略図である。
【図13】活性炭素繊維と光触媒の吸着分解効果を示し
たアセトアルデヒド濃度の時間経過図である。
【図14】活性炭素繊維にルチル70/Pt1.5の金
属超微粒子担持光触媒を保持させた場合のアセトアルデ
ヒド濃度の反復効果図である。
【図15】活性炭素繊維だけのアセトアルデヒド濃度の
反復効果図である。
【図16】活性炭素繊維にアナターゼ70の光触媒を保
持させた場合のアセトアルデヒド濃度の反復効果図であ
る。
【図17】従来の金属担持光触媒のバンド構造の説明図
である。
【図18】活性炭素繊維の吸着状態の模式図である。
【図19】アナターゼ型二酸化チタンを活性炭素繊維に
保持させた状態の模式図である。
【図20】ルチル型二酸化チタンが酸素を還元しにくい
ことを説明するバンド構造の概略図である。
【図21】アナターゼ型二酸化チタンが酸素を容易に還
元できることを説明するバンド構造の概略図である。
【符号の説明】
2・・噴霧部 4・・スプレー機構 6・・微粒子ノズル 8・・第1加熱槽 10・・第1フランジ部 11・・送流ファン 12・・第2加熱槽 13・・邪魔板 14・・繊維体 16・・ヒーター 18・・ファン 20・・ホッパー 21・・容器 24・・容器 G・・賦活化ガス
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D06M 11/46 D06M 11/00 A

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属超微粒子を光触媒微粒子に担持させ
    た金属超微粒子担持光触媒を素材の表面に保持している
    ことを特徴とする金属超微粒子担持光触媒を保持した高
    機能性素材。
  2. 【請求項2】 前記金属超微粒子は遷移金属からなり、
    光触媒微粒子は金属酸化物半導体からなる請求項1記載
    の高機能性素材。
  3. 【請求項3】 前記金属超微粒子は量子サイズ効果を顕
    著に発現する1〜10nmの粒径を有し、前記光触媒微
    粒子は紫外線照射により水酸ラジカルおよび/またはス
    ーパーオキサイドアニオンの生成能力を有する金属酸化
    物半導体である請求項2記載の高機能性素材。
  4. 【請求項4】 光触媒微粒子1個当りに金属超微粒子を
    100個以上担持させている請求項3記載の高機能性素
    材。
  5. 【請求項5】 前記金属超微粒子はPt、Au、Pd、
    Rh又はAgの少なくとも1種以上からなり、光触媒微
    粒子は二酸化チタンからなる請求項4記載の高機能性素
    材。
  6. 【請求項6】 二酸化チタンがルチル型二酸化チタンで
    ある請求項5記載の高機能性繊維。
  7. 【請求項7】 素材が繊維である請求項1ないし6記載
    の高機能性繊維。
  8. 【請求項8】 繊維が活性炭素繊維である請求項7記載
    の高機能性繊維。
  9. 【請求項9】 金属超微粒子担持光触媒の重量が活性炭
    素繊維の重量の1%以上である請求項7又は8記載の高
    機能性繊維。
  10. 【請求項10】 請求項7ないし9記載の高機能性繊維
    を成形して得られた高機能性繊維製品。
  11. 【請求項11】 金属超微粒子を光触媒微粒子に担持さ
    せた金属超微粒子担持光触媒を素材の表面に静電吸着さ
    せることを特徴とする金属超微粒子担持光触媒を保持し
    た高機能性素材の製造方法。
  12. 【請求項12】 光触媒微粒子に有機金属化合物コロイ
    ドを付着させる第1工程と、このコロイド付着光触媒微
    粒子を素材に添着させる第2工程と、この素材を焼成す
    ることにより有機金属化合物を還元して金属超微粒子を
    光触媒微粒子に強固に担持させ、同時にこの光触媒微粒
    子を素材に強固に保持させる第3工程から構成されるこ
    とを特徴とする金属担持光触媒微粒子を保持した高機能
    性素材の製造方法。
  13. 【請求項13】 光触媒微粒子に有機金属化合物コロイ
    ドを付着させる第1工程と、このコロイド付着光触媒微
    粒子を焼成して金属超微粒子を光触媒微粒子に強固に担
    持させる第2工程と、この金属超微粒子担持光触媒を素
    材に添着させて焼成により光触媒微粒子を素材に強固に
    保持させる第3工程から構成されることを特徴とする金
    属超微粒子担持光触媒を保持した高機能性素材の製造方
    法。
  14. 【請求項14】 原料繊維を炭化処理及び賦活化処理し
    て活性炭素繊維に変成し、この活性炭素繊維を素材とす
    る請求項12又は13記載の高機能性活性炭素繊維の製
    造方法。
  15. 【請求項15】 溶媒上で薄膜状に展開する性質を有す
    る物質に金属超微粒子を担持させた光触媒微粒子を混入
    させた後、この物質を溶媒上に展開して薄膜を形成し、
    この薄膜を2次元素材又は3次元素材の表面に保持させ
    ることを特徴とする金属胆持光触媒微粒子を保持した高
    機能性素材の製造方法。
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