JP7028393B2 - 酸素生成用光触媒用助触媒、及び該助触媒を担持した酸素生成用光触媒、並びに複合体及び該複合体の製造方法 - Google Patents

酸素生成用光触媒用助触媒、及び該助触媒を担持した酸素生成用光触媒、並びに複合体及び該複合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属リン化物と金属酸化物とを含む酸素生成用光触媒用助触媒に関する。また、金属リン化物と金属酸化物とを含む、新規な金属複合体に関する。
エネルギー資源の大半を占める化石燃料は有限であることから、光エネルギーを利用して、水を水素と酸素に分解することでエネルギー源とする研究が進められている。その際には光触媒が用いられることが通常である。
現在研究が進められている光触媒は、酸化物、酸窒化物、窒化物といった光半導体の表面に助触媒が担持され、助触媒を担持させることで光触媒の活性を向上させることができる。
水分解に用いられる光触媒用の助触媒としては、一般的に酸素発生用助触媒と水素発生用助触媒に大別される。
酸素発生用助触媒としては、Fe、Cо、Ni、Mnなどの酸化物が用いられ、例えば特許文献1には、Co及びMnを含む酸化物粒子を特定の光半導体に担持させることで、Coドープの効果を顕著とさせる技術が開示されている。
一方、水素発生用助触媒としては、例えば非特許文献1にはニッケル化合物が広く開示されており、そのうちNiPナノ粒子が非常に高い水素発生能力を有することが記載されている。
また、非特許文献2には、水の電気分解による水素及び酸素の発生に用いられる遷移金属リン化物フィルムの合成法が開示されている。
特開2015-112509号公報
Eric J. Popczun, et al. Journal of the American Chemical Society, 135, 9267-9270 (2013) Carlos G.Read, et al. Applied Material & Interfaces 8, 12798-12803 (2016)
本発明は、新たな酸素生成用光触媒用助触媒を提供することを課題とする。
本発明者らは、新たな酸素生成用光触媒用助触媒を提供すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の金属リン化物と特定の金属酸化物を含む複合体が、酸素発生用助触媒として有用であることを見出した。更に当該複合体について研究を進めると、金属リン化物のコア、及び金属酸化物のシェルからなるコアシェル構造を有した新規複合体であることに想到し、本発明を完成させた。
本発明は以下の要旨を含む。
(1)Ni、Fe、Co、Mn、Mo及びWから選択される金属のリン化物と、Ni、Fe、Co、Mn、Mo、W、Ti、Cr、Cu、Zn、In、Ir及びRuから選択される金属の酸化物と、を含む複合体を含有する酸素生成用光触媒用助触媒。
(2)上記金属のリン化物をコアとし上記金属の酸化物をシェルとした、コアシェル構造を有する、(1)に記載の助触媒。
(3)(1)又は(2)に記載の助触媒を担持した酸素生成用光触媒。
(4)(3)に記載の光触媒を有する光触媒シート。
(5)(3)に記載の光触媒を有する光触媒電極。
(6)(4)に記載の光触媒シート、又は(5)に記載の光触媒電極を備えた、水分解による水素及び/又は酸素発生装置。
(7)Ni、Fe、Co、Mn、Mo及びWから選択される金属のリン化物と、Ni、Fe、Co、Mn、Mo、W、Ti、Cr、Cu、Zn、In、Ir及びRuから選択される金属の酸化物と、を含む複合体。
(8)上記金属のリン化物をコアとし上記金属の酸化物をシェルとした、コアシェル構造を有する、(7)に記載の複合体。
(9)Ni、Fe、Co、Mn、Mo及びWから選択される金属のリン化物を準備するステップ、及び準備した前記リン化物とNi、Fe、Co、Mn、Mo、W、Ti、Cr、Cu、Zn、In、Ir及びRuから選択される金属の錯体とを混合し、該混合物を焼成するステップ、を有する、金属リン化物と金属酸化物の複合体の製造方法。
(10)前記混合物を焼成するステップにおいて、焼成温度が340℃以下である(9)に記載の複合体の製造方法。
(11)触媒層及び導電層の積層体を備える水電解用電極であって、
前記触媒層は、Ni、Fe、Co、Mn、Mo及びWから選択される金属のリン化物と、Ni、Fe、Co、Mn、Mo、W、Ti、 Cr、 Cu、 Zn、In、Ir及びR
uから選択される金属の酸化物と、を含む複合体を含有する、電極。
本発明によれば、新たな酸素生成用光触媒用助触媒を提供することができる。また、該酸素生成用光触媒用助触媒に用いられる複合体は新規複合体である。本発明により提供される複合体は、光触媒に高い酸素発生能を付与することができ、効率よく水から酸素を発生することが可能となる。
コアシェル構造を呈する、実施例1に係るNiPとFeOとの複合体のTEM画像を示す(図面代用写真)。 コアシェル構造を呈する、実施例1に係るNiPとFeOとの複合体のSTEM―EDS画像を示す(図面代用写真)。 比較例1に係るNiPナノ粒子のTEM画像を示す(図面代用写真)。 比較例2に係るFeOナノ粒子のTEM画像を示す(図面代用写真)。 比較例3に係るNiP+FeOナノ粒子のTEM画像を示す(図面代用写真)。 実施例1及び比較例1~3で調製した粒子の酸素生成触媒活性を示す図である。 実施例2及び比較例4~7で調製した電極の光電流-電圧曲線を示す図である。 実施例2及び比較例4~7で調製した電極の光電流-時間曲線を示す図である。 比較例8で調製したNiMnPナノ粒子のTEM画像を示す(図面代用写真)。 比較例9で調製したNiZnPナノ粒子のTEM画像を示す(図面代用写真)。 比較例8及び9で調製した粒子の酸素生成触媒活性を示す図である。 比較例4、10及び11で調製した電極の光電流-電圧曲線を示す図である。 比較例4、10及び11で調製した電極の光電流-時間曲線を示す図である。
以下、本発明につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明に係る一実施形態は、酸素生成用光触媒用助触媒である。酸素生成用光触媒用助触媒は通常、光触媒に担持されることで、光触媒が酸素生成機能を有することとなる。
本実施形態において酸素生成用光触媒用助触媒は、Ni、Fe、Co、Mn、Mo及びWから選択される金属のリン化物と、Ni、Fe、Co、Mn、Mo、W、Ti、Cr、Cu、Zn、In、Ir及びRuから選択される金属の酸化物と、を含む複合体を含有する。
複合体を形成する金属のリン化物としては、ナノ粒子合成の容易さと触媒活性の観点からNi、Fe、Co又はMnのリン化物であることが好ましく、ニッケル又は鉄のリン化物であることがより好ましい。
複合体を形成する金属の酸化物としては、シェル被覆の容易さと触媒活性の観点からNi、Fe、Co又はMnの酸化物であることが好ましく、Feの酸化物であることがより好ましい。
ここで複合体とは、金属のリン化物と金属の酸化物との間で、例えば物理的又は化学的に何らかの結合が生じ、一体化しているものをいう。そのため、単なる金属のリン化物と金属の酸化物との混合物は、ここでいう複合体には含まない。複合体とするためには、金属のリン化物と金属の酸化物を単に混合するのみではなく、熱処理、機械的処理、化学的処理などを施すことが必要となる。
本実施形態において、複合体はどのような形状であってもよく特に限定されないが、粒子又は微粒子であることが好ましい。微粒子である場合その粒子径は、光半導体への担持の容易性から通常1nm以上、好ましくは1.2nm以上、より好ましくは1.5nm以上である。また、通常25nm以下、好ましくは20nm以下である。
尚、本明細書において「粒子径」とは、定方向接線径(フェレ径)の平均値(平均粒子径)を意味し、XRD、TEM、SEM法等の公知の手段によって測定することができる。
複合体の製造方法としては、例えば、Ni、Fe、Co、Mn、Mo及びWから選択される金属のリン化物を準備するステップ、及び、準備した前記リン化物とNi、Fe、Co、Mn、Mo、W、Ti、Cr、Cu、Zn、In、Ir及びRuから選択される金属の錯体とを混合し、該混合物を焼成するステップ、を有する製造方法があげられる。
金属のリン化物を準備する方法としては特段限定されず、既知の合成方法を用いてもよく、市販品が存在する場合には、市販品を用いてもよい。
NiP(x>0)を準備する方法を例示すると、Niアセチルアセトナート等のNi原料と、トリオクチルホスフィンなどのP原料とを有機溶剤に溶解し、好ましくは不活性ガス雰囲気下、加熱することで得られる。
得られた金属のリン化物は、有機溶剤から単離しアルコールなどを使用して精製するこ
とが好ましい。
準備した金属のリン化物は、金属の錯体と混合され、焼成される。
金属のリン化物と混合される、金属の錯体としては、Ni、Fe、Co、Mn、Mo、W、Ti、Cr、Cu、Zn、In、Ir及びRuから選択される金属が含まれている錯体であればよい。具体的な金属の錯体としては、Fe(CO)、(Fe(acac))(acac:アセチルアセトン)があげられ、シェル被覆の容易さの観点からFe(CO)が好ましい。
金属のリン化物と金属の錯体は、通常有機溶剤に溶解され、その後混合される。金属のリン化物と金属の錯体の含有比は特段限定されないが、リン化物の金属:錯体の金属が、モル比で通常2:1~1:4であり、好ましくは1:1~1:2である。有機溶剤の種類は特段限定されず、当業者が適宜設定できる。
金属のリン化物と金属の錯体との混合物の焼成は、通常340℃以下で実施され、好ましくは310℃以下、より好ましくは300℃以下である。また通常200℃以上、好ましくは220℃以上、より好ましくは240℃以上である。焼成時間は通常6時間以下、好ましくは4時間以下である。また通常10分以上、好ましくは30分以上である。
焼成後、アルコールを用いて必要に応じ精製を行ってもよい。
本実施形態に係る複合体は、特定の金属リン化物と、特定の金属酸化物を含む新規複合体である。複合体の一形態としては、金属のリン化物がコアを形成し、金属の酸化物がシェルを形成する、コアシェル構造を形成する。
このような構造は、上記複合体の製造方法における焼成の際、比較的低温で焼成することで酸化物を形成する金属が金属リン化物内に固溶せず、また粒子が凝集しないことから溶媒中に安定に分散できているため、呈するものであると考えられる。
図1-1に、NiPとFeOの複合体のTEM画像を示す(x>0、y>0を満たす)。図2に示すNiPナノ粒子、図3に示すFeOナノ粒子、図4に示すNiP+FeOナノ粒子とは、明らかに異なる複合体であることが理解できる。すなわち、本実施形態に係る複合体は、従来にはない新たな複合体である。
図1-2にNiPとFeOの複合体のSTEM-EDS像を示す。NiおよびPが中心部分、FeとOが周辺部分に偏在しており、NiPをコアとし、FeOをシェルとするコアシェル構造を呈することが明らかとなった。
複合体において、リン化物を形成する金属と、酸化物を形成する金属とのモル比は、通常90:10~50:50であり、触媒活性の観点から、好ましくは85:15~70:30である。
また、複合体は金属リン化物及び金属酸化物それぞれに、他の金属がドープされていてもよい。ドープされる金属は特段限定されないが、上記金属リン化物及び金属酸化物の金属として使用される金属がドープされる。ドープ量も特段限定されない。
複合体を形成するリン化物は、Ni、Fe、Co、Mn、Mo及びWから選択される一種の金属のリン化物であることが好ましい。一方、複合体を形成する酸化物は、Ni、Fe、Co、Mn、Mo、W、Ti、Cr、Cu、Zn、In、Ir及びRuから選択される一種の金属の酸化物であることが好ましい。金属リン化物の金属種と金属酸化物の金属種とは異なる金属であることで、触媒活性がより改良され好ましい。
複合体は、Ni、Fe、Co、Mn、Mo、W、Ti、Cr、Cu、Zn、In、Ir及びRuから選択される金属のリン酸塩を含んでいてもよい。リン酸塩の濃度は、金属同士のモル比において、酸化物より少ないことが好ましい。リン酸塩の金属と酸化物の金属とは同種であってよく、異なっていてもよい。
上記のコアシェル構造を形成する場合には、酸化物のシェル部分にリン酸塩が含まれて
いてもよい。
Ni、Fe、Co、Mn、Mo、Wについては、これらのリン化物を微細なナノ粒子として合成することが容易であるため、溶媒に安定して分散する触媒インクとして利用できる。また、水の酸化反応中に水酸化物に構造変化し、その際に複合体中のもう一方の酸化物相と容易に固溶体を形成することができるため、合成が困難な種々の活性な固溶体を容易に形成できるという効果が得られるものと考えられる。
Ni、Fe、Co、Mn、Mo、W、Ti、Cr、Cu、Zn、In、Ir、Ruについては、それらの酸化物を上記リン化物ナノ粒子上に容易に被覆でき、それにより複合体が溶媒に安定して分散する触媒インクとして利用できる。かつ水の酸化反応中にリン化物相の構造変化に伴い、リン化物相と固溶体を形成することで、合成が困難な種々の活性な固溶体を容易に形成できるという効果が得られるものと考える。
そして、これらリン化物と酸化物との組み合わせにより、酸素と水素の再結合が抑制され、酸素生成が効果的に行われるという効果が得られるものと考えられる。
本実施形態において複合体は、酸素生成用光触媒用助触媒として使用され、光触媒に担持されることで、光触媒が酸素生成機能を有する。
光触媒に用いられる光半導体は、Ti、V、Nb及びTaからなる群から選ばれる1種以上の元素を含み、これらの元素のいずれかを含んだ酸化物、酸窒化物、窒化物、(オキシ)カルコゲナイド等が挙げられる。
具体的には、
TiO、CaTiO、SrTiO、SrTi、SrTi、KLaTi10、RbLaTi10、CsLaTi10、CsLaTiNbO10,LaTiO、LaTi、LaTi、LaTi:Ba、KaLaZr0.3Ti0.7、LaCaTi、KTiNbO、NaTi13、BaTi、GdTi、YTi、(NaTi、KTi、KTi、CsTi、H-CsTi(H-CsはCsがHでイオン交換されていることを示す。以下同様)、Cs
Ti11、CsTi13、H-CsTiNbO、H-CsTiNbO、SiO-pillared KTi、SiO-pillared KTi2.7Mn0.3、BaTiO、BaTi、AgLi1/3Ti2/3等のチタン含有酸化物;
LaTiON等のチタン含有酸窒化物;および
LaTiCuS、LaTiAgS、SmTi等のチタン含有(オキシ)カルコゲナイド;等のチタン含有化合物:
BiVO、AgVO等のバナジウム含有酸化物;等のバナジウム含有化合物:
Nb17、RbNb17、CaNb、SrNb、BaNb15、NaCaNb10、ZnNb、CsNb11、LaNbO、H-KLaNb、H-RbLaNb、H-CsLaNb、H-KCaNb10、SiO-pillared KCaNb
(Chem.Mater.1996,8,2534.)、H-RbCaNb10、H-CsCaNb10、H-KSrNb10、H-KCaNaNb13)、PbBiNb等のニオブ含有酸化物;および
CaNbON、BaNbON、SrNbON、LaNbON等のニオブ含有酸窒化物;等のニオブ含有化合物:
Ta、KPrTa15、KTaSi13、KTa12、LiTaO、NaTaO、KTaO、AgTaO、KTaO:Zr、NaTaO:La、NaTaO:Sr、NaTa、KTa(pyrochlore)、CaTa、SrTa、BaTa、NiTa、RbTa17、HLa2/3Ta、KSr1.5Ta10、LiCa
10、KBaTa10、SrTa15、BaTa15、H1.8Sr0.81Bi0.19Ta、Mg-Ta oxide(Chem.Mate
r.2004 16, 4304-4310)、LaTaO、LaTaO等のタンタル含有酸化物;
Ta等のタンタル含有窒化物;および
CaTaON、SrTaON、BaTaON、LaTaON、YTa、TaON等のタンタル含有酸窒化物;等のタンタル含有化合物:等が用いられる。
太陽光を利用した光水分解反応をより効率的に生じさせる観点からは、上記各種光半導体のうち、可視光応答型の光半導体を用いることが好ましい。具体的には、LaTiON、BaNbON、BaTaON、TaON、BiVO、Taが好ましく、この中でも特に、LaTiON、BaNbON、BaTaON、TaON、BiVOが好ましい。上記の各種光半導体は、固相法、溶液法等の公知の合成方法によって容易に合成可能である。
光半導体の形態(形状)については、上記説明した複合体を助触媒として担持し、光触媒として機能し得るような形態であれば特に限定されるものではなく、光触媒の設置形態等に合わせて、粒子状、塊状、板状等を適宜選択すればよい。特に、水分解反応用光触媒とする場合は、粒子状の光半導体の表面に助触媒を担持することが好ましい。この場合、粒子径の下限が好ましくは50nm以上であり、上限が好ましくは500μm以下である。尚、本明細書において「粒子径」とは、定方向接線径(フェレ径)の平均値(平均粒子径)を意味し、XRD、TEM、SEM法等の公知の手段によって測定することができる。
光触媒は、光半導体表面に、上記説明した複合体を助触媒として担持する。上記複合体に加えて、別の助触媒を共担持させてもよい。例えば、周期表第6族~第10族から選ばれる1つ以上の元素を含む化合物を助触媒として共担持させることができる。具体的には、水素生成用助触媒として、Pt、Pd、Rh、Ru、Ni、Au、Fe、Ru-Ir、Pt-Ir、NiO、RuO、IrO、Rh、NiS、MoS、NiMoS、Cr-Rh複合酸化物、コアシェル型Rh/Cr、Pt/Cr2が挙げられ
、酸素生成用助触媒として、Cr、Sb、Nb、Th、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Irの金属、これらの酸化物又は複合酸化物(ただし、Co及びMnを含む酸化物を除く)が挙げられる。
光半導体への複合体の担持量については、光触媒活性を向上可能な量であれば特に限定されるものではない。例えば、粒子径が50nm以上500μm以下の光半導体粒子の表面に、粒子径が1.0nm以上25nm以下の複合体を担持させる場合において、複合体に加えてそれ以外の他の助触媒(上記の水素生成用助触媒等)を共担持させたい場合は、光半導体(光半導体粒子)100質量部に対し、複合体を0.005質量部以上1.0質量部以下担持することが好ましい。下限はより好ましくは0.008質量部以上、さらに好ましくは0.01質量部以上であり、上限はより好ましくは0.8質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以下である。これにより光半導体表面の一部のみを本実施形態に係る複合体で覆うことができ、当該複合体で覆われていない光半導体表面にその他の助触媒を担持させることができる。このような形態は、一の光触媒粒子の表面において水素生成反応と酸素生成反応との双方を生じさせて光水分解を行う場合等に好適である。
或いは、光半導体の表面に本実施形態に係る複合体のみを助触媒として担持させてもよい。例えば、粒子径が50nm以上500μm以下の光半導体粒子の表面に、粒子径が1.0nm以上25nm以下の複合体のみを担持させる場合は、光半導体(光半導体粒子)100質量部に対し、複合体を0.008質量部以上20.0質量部以下担持することが
好ましい。下限はより好ましくは0.009質量部以上、さらに好ましくは0.010質量部以上であり、上限はより好ましくは5.0質量部以下、さらに好ましくは3.0質量部以下、特に好ましくは2.0質量部以下である。これにより光半導体表面の略全体を当該酸化物粒子で均一に覆うことができ、光触媒活性が向上する。このような形態は、光触媒を水電解用電極に適用する場合に好適である。
尚、共担持させる場合において、助触媒全体の担持量は少なすぎても効果がなく、多すぎると助触媒自身が光を吸収・散乱するなどして光触媒の光吸収を妨げたり、再結合中心として働いたりしてかえって触媒活性が低下してしまう。このような観点から、光触媒における助触媒全体(本実施形態に係る複合体及びそれ以外の助触媒の合計)の担持量は、光半導体100質量部に対して、好ましくは0.008質量部以上5.0質量部以下、より好ましくは0.009質量部以上3.0質量部以下、特に好ましくは0.010質量部以上2.0質量部以下である。
光半導体表面に複合体を担持させる方法としては、特に限定されるものではないが、複合体を含む分散溶液に光半導体を含浸し、光半導体の表面に複合体を吸着させたうえで適宜焼成に供することで光半導体表面に複合体を担持する方法が好ましい。この方法は、ナノサイズの複合体粒子を、光半導体表面全体に均一に担持させたい場合に好適である。例えば、複合体と光半導体粒子とを有機溶媒(テトラヒドロフラン等)内で混合し、任意に超音波処理をした後、さらに光半導体粒子の表面に複合体を吸着させるための適当な結合剤(16-ヒドロキシヘキサデカン酸等)を添加する。その後、適宜攪拌をしたうえで、洗浄処理に供することで、光半導体粒子の表面に複合体が吸着した光触媒前駆体が得られる。当該前駆体を任意に焼成することで、光半導体の表面に複合体が均一に担持された光触媒を得ることができる。
或いは光半導体膜上にディップコートやドロップキャスト、スプレー塗布、静電塗布、スピンコートのような方法によって複合体を溶剤中に分散させたインクを塗布することで、光半導体表面に複合体を担持させることもできる。本実施形態に係る複合体は溶剤中における分散性が良好であり、本実施形態に係る複合体を含むインクも、好ましい形態である。
以上の通り、本実施形態に係る光触媒は、特定の光半導体の表面に本実施形態に係る複合体を助触媒として担持させることで、光触媒活性が大きく向上する。即ち、本実施形態に係る複合体は、酸素発生用助触媒として有用である。
光触媒を実際に水の分解に使用する場合における光触媒の形態については特に限定されるものではない。例えば、水中に光触媒粒子を分散させる形態、光触媒粒子を固めて成形体として当該成形体を水中に設置する形態、基材上に光触媒層を設けて積層体とし当該積層体を水中に設置する形態、集電体上に光触媒を固定化して水電解用電極(光触媒電極)とし対極とともに水中に設置する形態等が挙げられる。特に、光水分解反応を大規模にて行う場合、バイアスを付与して水分解反応を促進できる観点から、水電解用電極とするとよい。上記の成形体とする形態、および、積層体とする形態においては、当該成形体又は当該積層体はシート状(光触媒シート)であってもよい。
水電解用電極は公知の方法により作製可能である。例えば、いわゆる粒子転写法(Chem. Sci., 2013,4, 1120-1124)によって容易に作製可能である。すなわち、ガラス等の第
1の基材上に光触媒粒子を載せて、光触媒層と第1の基材層との積層体を得る。得られた積層体の光触媒層表面に蒸着等によって導電層(集電体)を設ける。ここで、光触媒層の導電層側表層にある光触媒粒子が導電層に固定化される。その後、導電層表面に第2の基材を接着し、第1の基材層から導電層及び光触媒層を剥がす。光触媒粒子の一部は導電層
の表面に固定化されているので、導電層とともに剥がされ、結果として、光触媒層と導電層と第2の基材層とを有する水電解用電極を得ることができる。
或いは、光触媒粒子が分散されたスラリーを集電体の表面に塗布して乾燥させることで、水電解用電極を得てもよいし、光触媒粒子と集電体とを加圧成形等して一体化することで水電解用電極を得てもよい。また、光触媒粒子が分散されたスラリー中に集電体を浸漬し、電圧を印可して光触媒粒子を電気泳動により集電体上に集積してもよい。
或いは、助触媒の担持を後工程で行うような形態であってもよい。例えば、上記した粒子転写法において、光触媒粒子ではなく光半導体粒子を用いて、同様の方法で光半導体層と導電層と第2の基材層とを有する積層体を得て、その後、光半導体層の表面に助触媒としての複合体を担持させることで、水電解用電極を得てもよい。
上述したように、光触媒を水電解用電極に適用する場合、電極性能を向上させる観点から、光触媒において、光半導体100質量部に対して複合体が0.008質量部以上20質量部以下担持されていることが好ましい。或いは、同様の観点から、光半導体の表面の20%以上が当該複合体に覆われてなることが好ましい。光半導体表面における複合体の被覆率は、光触媒粒子を一方向から見た場合における光半導体が占める部分と複合体が占める部分とを、SEM-EDS等によって特定することで算出することができる。例えば、SEM写真図における光半導体部分の面積と複合体部分の面積とを特定し、(複合体部分の面積)/{(光半導体部分の面積)+(複合体部分の面積)}により被覆率を算出することができる。
本実施形態に係る光触媒を用いることにより水電解用電極の性能が向上する。具体的には光源AM1.5G(100mW/cm)、測定電位0.62(vs.RHE)における光電流密度0.25mA/cm以上、好ましくは0.29mA/cm以上、さらに好ましくは0.35mA/cm以上を達成可能である。光電流密度が0.25mA/cm以上において、変換効率0.2%以上の水分解が可能となり、植物と同等以上の変換効率を達成することができる。
本実施形態においては、上記した光触媒、或いは、上記した水電解用電極を、水又は電解質水溶液に浸漬し、当該光触媒又は水電解用電極に光を照射して光水分解を行うことで、水素及び/又は酸素を製造することができる。
例えば、上述のように導電体で構成される集電体上に光触媒を固定化して水電解用電極を得る一方、対極として水素生成触媒を担持した導電体を使用し、液体状又は気体状の水を供給しながら光を照射し、水分解反応を進行させる。必要に応じて電極間に電位差を設けることで、水分解反応を促進することができる。或いは、対極として水素生成触媒を担持した光半導体を使用してもよい。この場合、光半導体としては水素生成反応を触媒する公知の光半導体を用いることができる。
一方、絶縁基材上に光触媒粒子を固定化した固定化物に、又は、光触媒粒子を加圧成形等した成形体に、水を供給しながら光を照射して水分解反応を進行させてもよい。或いは、光触媒粒子を水又は電解質水溶液に分散させて、ここに光を照射して水分解反応を進行させてもよい。この場合、必要に応じて攪拌することで、反応を促進することができる。
水素及び/又は酸素の製造時の反応条件については特に限定されるものではないが、例えば反応温度を0℃以上200℃以下とし、反応圧力を2MPa(G)以下としてもよい。
照射光は650nm以下の波長を有する可視光、又は紫外光であってよい。照射光の光源としては太陽や、キセノンランプ、メタルハライドランプ等の太陽光近似光を照射可能なランプ、水銀ランプ、LED等があげられる。
以上のように、本発明によれば、特定の光半導体に特定の金属リン化物と金属酸化物を含む複合体を担持させることで、光水分解反応に対して十分な触媒活性を有する光触媒を得ることができ、水電解用電極等として大規模に水素及び/又は酸素を製造することができる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲が実施例のみに限定されないことはいうまでもない。
(測定方法)
複合体の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)により、測定した。
測定装置:日本電子(JEOL)社製 JEM-1011
加速電圧:100kV
測定方法:TEMで観察される粒子200個の粒径を測定し、平均することで、平均粒子径とした。
(実施例1)
<NiP/FeO複合体粒子の調製>
窒素雰囲気下でNiアセチルアセトナート(1 mmol)、1-オクタデセン(4.
5 mL)、オレイルアミン(6.4 mL)、トリ-n-オクチルホスフィン(2 mL
)を溶解し、230℃で30分加熱した。室温まで冷却後、エタノール(90 mL)を
加えて遠心分離(8000 rpm、5分)を行った後、上澄み溶液を取り除いてアモル
ファスNiPナノ粒子を得た。TEMでの観察の結果、アモルファスNiPナノ粒子の平均粒子径は、11.5±0.8 nmであった。
アモルファスNiPナノ粒子(34 mg)、1-オクタデセン(9 mL)、オレイルアミン(1.9 mL)、トリオクチルホスフィン(2 mL)、ペンタカルボニル鉄(0.4 mmol)を混合し、270℃で1時間加熱した。エタノール(90 mL)を加えて遠心分離(8000 rpm、5分)を行った後、上澄み溶液を取り除いてNiP
/FeO複合体を得た。TEMでの観察の結果、NiP/FeO複合体の平均粒子径は12.5±0.6nmであり、NiPからなるコアと、FeOからなるシェルを有するコアシェル型の複合体粒子であった。蛍光X線分光法(XRF)でNiP/FeO複合体粒子の組成を測定したところ、Ni:Fe =78:22であった。なお、酸でシェルのみエッチングして元素分析(XRF)を行ったところ、Feのみが減少する傾向にあったことからも、シェルの主成分はFeOであると考えられた。
また、X線光電子分光測定(XPS)による測定結果より、PO 3-に由来するピークがわずかに見られたことから、FeOはリン酸鉄を含んでいる可能性が示唆された。ただし、主成分はFeOであった。
(比較例1)
<NiPナノ粒子の調製>
窒素雰囲気下でNiアセチルアセトナート(1 mmol)、1-オクタデセン(4.
5 mL)、オレイルアミン(6.4 mL)、トリ-n-オクチルホスフィン(2 mL
)を溶解し、230℃で30分加熱した。室温まで冷却後、エタノール(90 mL)を
加えて遠心分離(8000 rpm、5分)を行った後、上澄み溶液を取り除いてアモル
ファスNiPナノ粒子を得た。
アモルファスNiPナノ粒子(85 mg)、ジ-n-オクチルエーテル(9 mL)、オレイルアミン(1.9 mL)、トリオクチルホスフィン(2 mL)を混合し、270℃で1時間加熱した。エタノール(90 mL)を加えて遠心分離(8000 rpm、5分)を行った後、上澄み溶液を取り除いてNiPナノ粒子を得た。TEMでの観察の結果、NiPナノ粒子の平均直径は、13.0±0.6 nmであった。
(比較例2)
<FeOナノ粒子の調製>
窒素雰囲気下で180℃に加熱した1-オクタデセン(30 mL)に、ペンタカルボ
ニル鉄(2 mmol)とオレイルアミン(2 mmol)の混合液を素早く注入し、180℃で30分加熱した。室温まで冷却後、エタノール(70 mL)を加えて遠心分離(8
000rpm、5分)を行った後、上澄み溶液を取り除いてFeOナノ粒子を得た。TEMでの観察の結果、FeOナノ粒子の平均粒径は6.6±0.5nmであった。
(比較例3)
<NiP+FeO混合ナノ粒子の調製>
前記手法で調製したNiPナノ粒子のヘキサン溶液と、FeOナノ粒子のヘキサン溶液を混合した。XRF測定により、Ni:Fe=78:22になるように調製した。
<酸素生成触媒活性評価>
上記で調製した実施例1及び比較例1乃至3に係るナノ粒子のヘキサン溶液を、導電性カーボンブラックXC-72(キャボット社製、以下、XC-72。)のヘキサン分散液と混合し、ナノ粒子をXC-72に吸着させた。ナノ粒子とXC-72の重量比は20:80とした。遠心分離(8000rpm、5分)を行った後、上澄み液を取り除き、さらにアセトンで沈殿の粉末を洗浄し、減圧乾燥を行い、ナノ粒子/XC-72粉末を得た。ナノ粒子/XC-72粉末(1 mg)、水(396μL)、2-プロパノール(94μ
L)、Nafion溶液(10μL)の混合液を30分間超音波照射して触媒スラリーを得た。触媒スラリー(10μL)を直径5mmのガラス上カーボン電極上に塗布し、乾燥させて作用電極とした。酸素生成触媒活性評価は、電気化学アナライザ(CH Instrument社製、model620C)と三極セルを使用した。電解液には0.1M KOH水溶液を使用し、作用電極、参照電極(Ag/AgCl)、対極(Ptコイル)を浸漬し、Arガスで20分バブリングすることで溶存する空気を取り除いた。その後、作用電極を1600rpmで回転させながらサイクリックボルタンメトリー測定を行い、電流値を測定した。
上記で調製した、「NiP/FeO複合体粒子」(実施例1)、並びに「NiPナノ粒子」(比較例1)、「FeOナノ粒子」(比較例2)、及び「NiP+FeO混合ナノ粒子」(比較例3)の酸素生成触媒活性を比較した結果を図5に示した。
図5に示すように、「NiP/FeO複合体粒子」(実施例1)は、「NiPナノ粒子」(比較例1)、「FeOナノ粒子」(比較例2)、「NiP+FeO混合ナノ粒子」(比較例3)に比べて、10mA/cmの電流値に到達するために必要な酸素生成過電圧が小さかった。このことから、金属リン化物と金属酸化物との複合体の有効性が示された。
(比較例4)
<BiVO電極の調製>
公知文献(Science,2014,343,990)に従ってBiVO電極を作製した。硝酸ビスマス、ヨウ化カリウム、パラベンゾキノン、水、エタノールの混合溶液に、作用極としてフッ素ドープ酸化スズコートガラス(以下、FTO。)、Ag/AgCl参照電極、対極としてPtコイルを浸漬した。電気化学アナライザ(CH Instrument社製、model620C)を用いて、FTO電極にAg/AgCl電極に対して-0.1Vの電圧をかけ、300秒間電析を行った。FTO上に析出したBiOI上に、バナジン酸アセチルアセトナートのジメチルスルホキシド溶液をのせ、大気中450℃で2時間の焼成を行った。生成したBiVOフィルムを水酸化ナトリウム(1mol/L)中に1時間浸漬し、副生成物の五酸化二バナジウムを除去し、最後に水で洗浄した。FTO上のBiVOの面積は1.5cmであった。
(実施例2)
<NiP/FeO複合体粒子-BiVO電極の調製>
前記の通り調製した「NiP/FeO複合体粒子」のヘキサン溶液(0.25 m
g/mL、50μL)を、前述の通り調製した「BiVO電極」にのせ、スピンコーター(ミカサ製、1H-DX2。)で1000rpm、10秒回転させながら乾燥した。最後に水で洗浄した。
(比較例5)
<NiPナノ粒子-BiVO電極の調製>
前記の通り調製した「NiPナノ粒子」のヘキサン溶液(0.25 mg/mL、5
0μL)を、前述の通り調製した「BiVO電極」にのせ、スピンコーター(ミカサ製、1H-DX2。)で1000rpm、10秒回転させながら乾燥した。最後に水で洗浄した。
(比較例6)
<FeOナノ粒子-BiVO電極の調製>
前記の通り調製した「FeOナノ粒子」のヘキサン溶液(0.25 mg/mL、5
0μL)を、前述の通り調製した「BiVO電極」にのせ、スピンコーター(ミカサ製、1H-DX2。)で1000rpm、10秒回転させながら乾燥した。最後に水で洗浄した。
(比較例7)
<NiP+FeO混合ナノ粒子-BiVOの調製>
前記の通り調製した「FeOナノ粒子」のヘキサン溶液(0.25 mg/mL、5
0μL)を、前述の通り調製した「BiVO電極」にのせ、スピンコーター(ミカサ製、1H-DX2。)で1000rpm、10秒回転させながら乾燥した。最後に水で洗浄した。
<光電流測定>
電気化学アナライザ(CH Instrument社製、model620C)、三極セル、100Wキセノンランプ、>385nmカットオフフィルターを使用した。電解液には0.125M ホウ酸カリウム水溶液を使用し、作用電極(上記で作製したBiVO
電極)、参照電極(Ag/AgCl)、対極(Ptコイル)を浸漬し、Arガスで20分バブリングすることで溶存する空気を取り除いた。その後、光照射させながらリニアスイープボルタンメトリー測定を行い、光電流値を測定した。
上記で調製した、「BiVO電極」(比較例4)、「NiP/FeO複合体粒子-BiVO電極」(実施例2)、「NiPナノ粒子-BiVO電極」(比較例5)、および「FeOナノ粒子-BiVO電極」(比較例6)、「NiP+FeO混合ナノ粒子-BiVO電極」(比較例7)の光電流-電圧曲線を比較した結果を図6に示した。
図6に示すように、「NiP/FeO複合体粒子-BiVO電極」(実施例2)は、「BiVO電極」(比較例4)、「NiPナノ粒子-BiVO電極」(比較例5)、および「FeOナノ粒子-BiVO電極」(比較例6)、「NiP+FeO混合ナノ粒子-BiVO電極」(比較例7)に比べて、光電流値が大きかった。このことから、金属リン化物と金属酸化物との複合体の有効性が示された。
上記で調製した、「NiP/FeO複合体粒子-BiVO電極」(実施例2)、「NiPナノ粒子-BiVO電極」(比較例5)、および「FeOナノ粒子-Bi
VO電極」(比較例6)、「NiP+FeO混合ナノ粒子-BiVO電極」(比較例7)の1.23V vs. RHEにおける光電流-時間曲線を比較した結果を図7
に示した。
図7に示すように、「NiP/FeO複合体粒子-BiVO電極」(実施例2)は、「NiPナノ粒子-BiVO電極」(比較例5)、および「FeOナノ粒子-BiVO電極」(比較例6)、「NiP+FeO混合ナノ粒子-BiVO電極」(比較例7)に比べて、光電流値が大きく、10分後の光電流値維持率が高かった。このことから、金属リン化物と金属酸化物との複合体の有効性が示された。
(比較例8)
<NiMnPナノ粒子の調製>
窒素雰囲気下でNiアセチルアセトナート(0.75mmol)、Mnアセチルアセトナート(0.25mmol)、n-オクチルエーテル(5mL)、オレイルアミン(5mL)、トリ-n-オクチルホスフィン(2mL)を溶解し、270℃で30分加熱した。室温まで冷却後、エタノール(90mL)を加えて遠心分離(8000rpm、5分)を行った後、上澄み溶液を取り除いてNiMnPナノ粒子を得た。TEMでの観察の結果、NiMnPナノ粒子の平均直径は、16.7±1.6nmであった。
(比較例9)
<NiZnPナノ粒子の調製>
窒素雰囲気下でNiアセチルアセトナート(0.75mmol)、Znアセチルアセトナート(0.25mmol)、n-オクチルエーテル(5mL)、オレイルアミン(5mL)、トリ-n-オクチルホスフィン(2mL)を溶解し、270℃で30分加熱した。室温まで冷却後、エタノール(90mL)を加えて遠心分離(8000rpm、5分)を行った後、上澄み溶液を取り除いてNiZnPナノ粒子を得た。TEMでの観察の結果、NiZnPナノ粒子の平均直径は、19.7±1.4nmであった。
比較例8及び9で得られたNiMnPナノ粒子及びNiZnPナノ粒子について、実施例1及び比較例1乃至3に係るナノ粒子と同様に、酸素生成触媒活性を測定した。結果を図10に示す。
<比較例10>
<NiMnP粒子-BiVO電極の調製>
前記の通り調製した「NiMnPナノ粒子」のヘキサン溶液(0.25mg/mL、50μL)を、前述の通り調製した「BiVO電極」にのせ、スピンコーター(ミカサ製、1H-DX2。)で1000rpm、10秒回転させながら乾燥した。最後に水で洗浄した。
(比較例11)
<NiZnP粒子-BiVO電極の調製>
前記の通り調製した「NiZnPナノ粒子」のヘキサン溶液(0.25mg/mL、50μL)を、前述の通り調製した「BiVO電極」にのせ、スピンコーター(ミカサ製、1H-DX2。)で1000rpm、10秒回転させながら乾燥した。最後に水で洗浄した。
実施例2及び比較例4乃至7で調製した電極と同様に、比較例10及び11で調製した電極の光電流測定を行った。結果を比較例4の結果と共に、図11(光電流-電圧曲線)及び図12(光電流-時間曲線)に示す。
比較例8で得られたNiMnPナノ粒子は、粒子サイズがFe系粒子よりも大きい
ため反応活性点が少ないと考えられ、特に光触媒に担持させた際に効果を奏する可能性を有する。また、サイクリックボルタンメトリー(CV)では、Fe系粒子よりも0.07Vほど過電圧が大きかった。これはO原子とMnイオンとの吸着エネルギーが、Feのそれとは異なるためと考えられる。光電流に関しては、CVでの差がそのまま光電流の差として現れた。これは助触媒のpn特性の違いによるとも考えられる。そして耐久性については、Fe系粒子ほど活性が良くないため、光触媒がホールの蓄積によって自己腐食した。
比較例9で得られたNiZnPナノ粒子は、粒子サイズがFe系粒子よりも大きいため反応活性点が少ないと考えられ、特に光触媒に担持させた際に効果を奏する可能性を有する。また、サイクリックボルタンメトリー(CV)では、Fe系粒子よりも0.06Vほど過電圧が大きかった。これはO原子とZnイオンとの吸着エネルギーが、Feのそれとは異なるためと考えられる。光電流に関しては、CVでの差がそのまま光電流の差として現れた。これは助触媒のpn特性の違いによるとも考えられる。そして耐久性については、Fe系粒子ほど活性が良くないため、光触媒がホールの蓄積によって自己腐食した。

Claims (9)

  1. Ni、Fe、Co及びMnから選択される金属のリン化物をコアとし、Ni、Fe、Co、Mn、Mo、W、Ti、Cr、Cu、Zn、In、Ir及びRuから選択される金属の酸化物をシェルとした、コアシェル構造を有する複合体を含有する酸素生成用光触媒用助触媒。
  2. 前記複合体の粒子径が1nm以上、25nm以下である、請求項1に記載の助触媒。
  3. 請求項1又は2に記載の助触媒を担持した酸素生成用光触媒。
  4. 請求項3に記載の光触媒を有する光触媒シート。
  5. 請求項3に記載の光触媒を有する光触媒電極。
  6. 請求項4に記載の光触媒シート、又は請求項5に記載の光触媒電極を備えた、水分解による水素及び/又は酸素発生装置。
  7. Ni、Fe、Co及びMnから選択される金属のリン化物をコアとし、Ni、Fe、Co、Mn、Mo、W、Ti、Cr、Cu、Zn、In、Ir及びRuから選択される金属の酸化物をシェルとした、コアシェル構造を有し、粒子径が1nm以上、25nm以下である、複合体。
  8. Ni、Fe、Co及びMnから選択される金属のリン化物を準備するステップ、及び
    準備した前記リン化物とNi、Fe、Co、Mn、Mo、W、Ti、Cr、Cu、Zn、In、Ir及びRuから選択される金属の錯体とを混合し、該混合物を焼成するステップ、を有する、金属リン化物と金属酸化物の複合体の製造方法。
  9. 前記混合物を焼成するステップにおいて、焼成温度が340℃以下である、請求項に記載の複合体の製造方法。
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