JP6320249B2 - 新規オキシサルファイド、オキシサルファイドの製造方法、それを用いた光触媒、光水分解反応用電極、及び、水素の製造方法 - Google Patents

新規オキシサルファイド、オキシサルファイドの製造方法、それを用いた光触媒、光水分解反応用電極、及び、水素の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6320249B2
JP6320249B2 JP2014181210A JP2014181210A JP6320249B2 JP 6320249 B2 JP6320249 B2 JP 6320249B2 JP 2014181210 A JP2014181210 A JP 2014181210A JP 2014181210 A JP2014181210 A JP 2014181210A JP 6320249 B2 JP6320249 B2 JP 6320249B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxysulfide
group
photocatalyst
raw material
mixture
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014181210A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016005998A (ja
Inventor
一成 堂免
一成 堂免
隆史 久富
隆史 久富
▲青▼媛 劉
▲青▼媛 劉
貴軍 馬
貴軍 馬
伸子 仮屋
伸子 仮屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
University of Tokyo NUC
Japan Technological Research Association of Artificial Photosynthetic Chemical Process
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
University of Tokyo NUC
Japan Technological Research Association of Artificial Photosynthetic Chemical Process
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, University of Tokyo NUC, Japan Technological Research Association of Artificial Photosynthetic Chemical Process filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2014181210A priority Critical patent/JP6320249B2/ja
Publication of JP2016005998A publication Critical patent/JP2016005998A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6320249B2 publication Critical patent/JP6320249B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/36Hydrogen production from non-carbon containing sources, e.g. by water electrolysis

Landscapes

  • Electrodes For Compound Or Non-Metal Manufacture (AREA)
  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Description

本発明は、太陽光を利用した水分解反応を行うことにより水素及び/又は酸素を製造可能な光水分解反応用触媒に好適に用いられる新規オキシサルファイド及びその製造方法に関する。
近年、CO資源化にかかわる重要な技術として、可視光応答型の光触媒と太陽エネルギーとを用いて水を分解し水素や酸素を製造する技術が注目されている。
可視光を吸収して水を分解することのできる光触媒の一つとして、LaTiCuSを用いたものが知られている(非特許文献1、2)。このオキシサルファイドに適切な助触媒を担持して光触媒とすることで、水素及び酸素のいずれも生成させることが可能である。このオキシサルファイドはLa、Ti、Cu、Sなどといった資源量が豊富で安価な元素によって構成されるため、kmオーダーの大面積展開が必要な水分解水素製造に適した材料と考えられている。
T. Suzuki, T. Hisatomi, K. Teramura, Y. Shimodaira, H. Kobayashi, K. Domen, Phys. Chem. Chem. Phys. 14 (2012), 15475-15481 岩永、堂免ほか、「La5Ti2CuS5O7の光電気化学特性」、日本化学会春季年会(2013)
上述の通り、LaTiCuSは、適切な助触媒を担持することで水分解反応を促進させることができるが、活性は低く、実用化にあたって十分な触媒性能が得られていなかった。
そこで、本発明は、従来よりも光触媒活性が高く、光水分解用の触媒として適用可能な新規オキシサルファイド及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、La、Ti及びCuを含むオキシサルファイドにおいて、La及び/又はTiの一部を、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第3、4、6、11−14族から選ばれる一つ以上の元素で置換することで、オキシサルファイドの触媒活性を向上可能であることを知見した。
本発明は上記の知見に基づいてなされたものである。すなわち、
第1の本発明は、La、Ti及びCuを含むオキシサルファイドであって、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第3族、第4族、第6族、第11族、第12族、第13族及び第14族から選ばれる1つ以上のドープ元素(X)が、La、Ti及びドープ元素(X)の合計を基準(100原子%)として0.01原子%以上含まれていることを特徴とする、オキシサルファイドである。
第1の本発明において、ドープ元素(X)は、Li、Na、Ca、Mg、Sr、Sc、Zr、Hf、Mo、W、Zn、Al、Ga及びSnから選ばれる1つ以上の元素、又はIn及びYから選ばれる1つ以上の元素であることが好ましい。
第1の本発明において、La、Ti及びドープ元素(X)の組成比(La:Ti:X)は下記条件(1)を満たすことが好ましい。
La:Ti:X = 5×(1−α):2×(1−β):(α+β) …(1)
(ここで、0≦α<1、0≦β<1、0.001≦α+β<1である。)
第2の本発明は、第1の本発明に係るオキシサルファイドと助触媒とを含む、光触媒である。
第2の本発明において、助触媒は、周期表第6族〜第10族から選ばれる1つ以上の元素を含む化合物であることが好ましい。
第2の本発明において、前記助触媒は、光電析法により第1の本発明に係るオキシサルファイドに担持させたものであることが好ましい。
第3の本発明は、第1の本発明に係るオキシサルファイドの製造方法であって、La原料、Ti原料、Cu原料、S原料、並びに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第3族、第4族、第6族、第11族、第12族、第13族及び第14族から選ばれる1つ以上のドープ元素(X)を含む原料を混合して混合物を得る、混合工程と、混合物を加熱する、加熱工程とを備え、加熱工程における加熱の際、混合物中に存在する硫黄元素量と銅元素量との関係が下記条件(3)を満たしていることを特徴とする、オキシサルファイドの製造方法である。
5.0<S/C …(3)
(ここで、Sは混合物に含まれる硫黄元素の数、Cは混合物に含まれる銅元素の数である。)
第4の本発明は、第2の本発明に係る光触媒を用いた光水分解反応用電極である。
第5の本発明は、第2の本発明に係る光触媒、或いは、第4の本発明に係る光水分解反応用電極を、水又は電解質水溶液に浸漬し、光触媒又は光水分解反応用電極に光を照射して光水分解を行う、水素の製造方法である。
本発明によれば、従来よりも光触媒活性が高く、光水分解用の光触媒として適用可能な新規オキシサルファイド及びその製造方法を提供することができる。当該新規オキシサルファイドは、助触媒と組み合わされて、高活性にて光水分解反応を触媒する水素生成用光触媒或いは酸素生成用光触媒となり得る。
本発明に係るオキシサルファイドのX線回折測定結果を示す図である。 本発明に係るオキシサルファイドのDRS測定結果を示す図である。 本発明に係るオキシサルファイドを用いた光触媒の水分解活性を評価するための光応答電流測定装置を概略的に示す図である。 本発明に係るオキシサルファイドを用いた光触媒の水分解活性評価結果を示す図である。 本発明にかかわるオキシサルファイド電極の光応答電流を測定した結果を示す図である。 本発明の実施例16(a,b)電極及び実施例9(c,d)電極のSEM観察結果を示す写真である(a,b及びc,dは同一サンプル内の、異なる視野を観察した結果を示す)。 本発明に係るオキシサルファイドのX線回折測定結果を示す図である。 本発明に係るオキシサルファイドのDRS測定結果を示す図である。
1.オキシサルファイド
本発明に係るオキシサルファイドは、La、Ti及びCuを含むオキシサルファイドであって、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第3族、第4族、第6族、第11族、第12族、第13族及び第14族から選ばれる1つ以上のドープ元素(X)が、La、Ti及びドープ元素(X)の合計を基準(100原子%)として0.01原子%以上含まれていることを特徴とする。
本発明に係るオキシサルファイドにおいて、ドープ元素(X)は、Li、Na、Mg、Ca、Sr、Sc、Zr、Hf、Mo、W、Zn、Al、Ga、Sn、In、及びYから選ばれる1つ以上の元素であることが好ましい。この中でも、Li、Mg、Ca、Sc、Al、Ga、及びIn、から選ばれる一つ以上の元素であることが望ましく、さらにCa、Sc及びGaから選ばれる1つ以上の元素であることが特に好ましい。また、Al、 Mgも特に好ましい。
本発明に係るオキシサルファイドにおいて、ドープ元素(X)は、La、Ti及びドープ元素(X)の合計を基準(100原子%)として0.01原子%以上含まれている。好ましくは0.02原子%以上である。上限については特に限定されないが、好ましくは50原子%以下、より好ましくは10原子%以下である。(以下、La、Ti及びドープ元素(X)の合計を基準としたドープ元素の含有量を「ドープ元素(X)の含有率」「ドープ元素含有率」などということがある。)ドープ元素(X)の含有率を所定範囲とすることで、光触媒とした場合における光水分解活性が一層高くなる。
本発明に係るオキシサルファイドは、La、Ti及びドープ元素(X)の組成比(La:Ti:X)が下記条件(1)を満たすことが好ましい。La、Ti及びドープ元素(X)の組成比が下記条件(1)を満たす場合において、特に光水分解活性が高くなる。
La:Ti:X = 5×(1−α):2×(1−β):(α+β) …(1)
(ここで、0≦α<1、0≦β<1、0.001≦α+β<1である。)
上記条件(1)において、αの下限値はより好ましくは0.0001以上、さらに好ましくは0.001以上であり、上限値はより好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.1以下である。βの下限値はより好ましくは0.0001以上、さらに好ましくは0.001以上であり、上限値はより好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.1以下である。α+βの下限値はより好ましくは0.002以上、さらに好ましくは0.005以上であり、上限値はより好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.1以下である。
或いは、本発明に係るオキシサルファイドは、La、Ti及びドープ元素(X)の組成比(La:Ti:X)が下記条件(2)を満たす形態であっても好ましい。La、Ti及びドープ元素(X)の組成比が下記条件(2)を満たす場合においても、光水分解活性が高くなる。
La:Ti:X = (5−α):(2−β):(α+β) …(2)
(ここで、0≦α<1、0≦β<1、0.001≦α+β<1である。)
上記条件(2)において、αの下限値はより好ましくは0.0001以上、さらに好ましくは0.001以上であり、上限値はより好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.1以下である。βの下限値はより好ましくは0.0001以上、さらに好ましくは0.001以上であり、上限値はより好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.1以下である。α+βの下限値はより好ましくは0.002以上、さらに好ましくは0.005以上であり、上限値はより好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.1以下である。
本発明に係るオキシサルファイドは、本発明の効果を損なわない範囲で、La、Ti、Cu、S、O及びドープ元素(X)以外の元素が含まれていてもよい。
本発明に係るオキシサルファイドの結晶構造は、LaTiCuSと同様の構造を採る。具体的には「V. Meignen, L. Cario, A. Lafond, Y. Moelo, C. Guillot-Deudon and A. Meerschaut, J. Solid State Chem., 2004, 177, 2810」にて示されたような結晶構造(ICSD♯99612)において、La及び/又はTiの一部が上記ドープ元素(X)にて置換された構造を有する。オキシサルファイドの結晶構造がLaTiCuSと同様の構造であること、並びに、オキシサルファイドにおいてLa及び/又はTiの一部がドープ元素(X)にて置換されていることについては、X線回折測定による回折ピークとオキシサルファイドに含まれる元素分析とによって確認する。すなわち、例えば、粉末X線回折測定においてLaTiCuSに係るX線回折ピークと同様の回折ピーク(ドープ元素(X)による置換に起因して回折ピーク位置がシフトしていてもよい)が確認され、且つ、XRFやEDX等の元素分析においてドープ元素(X)が所定量以上含まれることが確認できた場合、当該オキシサルファイドは本発明に係るオキシサルファイドであるとみなす。
本発明に係るオキシサルファイドは、水分解用光触媒に適用する場合、粒子状・粉末状とすることが好ましい。例えば、後述する本発明に係る製造方法によれば、長径が100nm以上10μm以下、短径が100nm以上1μm以下の粒子状(略ロッド状)のオキシサルファイドを容易に得ることができる。オキシサルファイドの粒子形状については、合成条件(原料の形態、加熱温度等)を調整することで、変更可能である。
本発明に係るオキシサルファイドは光半導体として、LaTiCuSと同様に650nm付近に光吸収端を持つ。すなわち、可視光応答性の水分解用光触媒として適用可能である。
2.オキシサルファイドの製造方法
本発明に係るオキシサルファイドの製造方法は、La原料、Ti原料、Cu原料、S原料、並びに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第3族、第4族、第6族、第11族、第12族、第13族及び第14族から選ばれる1つ以上のドープ元素(X)を含む原料を混合して混合物を得る、混合工程と、混合物を加熱する、加熱工程と、を備え、加熱工程における加熱の際、混合物中に存在する硫黄元素量と銅元素量との関係が下記条件(3)を満たしていることを特徴とする。
5.0<S/C …(3)
(ここで、Sは前記混合物に含まれる硫黄元素の数、Cは前記混合物に含まれる銅元素の数である。)
混合工程は、La原料、Ti原料、Cu原料、S原料、並びに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第3族、第4族、第6族、第11族、第12族、第13族及び第14族から選ばれる1つ以上のドープ元素(X)を含む原料を混合して混合物を得る工程である。
La原料とは、ランタン元素を含む原料をいう。具体的には、酸化ランタン、硝酸ランタン、炭酸ランタン、硫酸ランタン、酢酸ランタン等のランタンカルボン酸塩、塩化ランタン、フッ化ランタン等のハロゲン化ランタン、ランタンアセチルアセトナート等のキレート錯体及びその誘導体、ランタンメトキシド、ランタンイソプロポキシド等のランタンアルコキシド、ランタン硫化物等が挙げられる。例えば、固相反応法によってオキシサルファイドを合成する場合は、La原料として酸化ランタン、ランタン硫化物を用いることが好ましい。
Ti原料とは、チタン元素を含む原料をいう。具体的には、酸化チタン、硝酸チタン、硫酸チタン、酢酸チタン等のチタンカルボン酸塩、塩化チタン等のハロゲン化チタン、チタンアセチルアセトナート等のキレート錯体及びその誘導体、チタンメトキシド、チタンイソプロポキシド等のチタンアルコキシド等が挙げられる。例えば、固相反応法によってオキシサルファイドを合成する場合は、Ti原料として酸化チタンを用いることが好ましい。
Cu原料とは、銅元素を含む原料をいう。具体的には、酸化銅、硫酸銅、炭酸銅、酢酸銅等の銅カルボン酸塩、塩化銅等のハロゲン化銅、銅アセチルアセトナート等のキレート錯体及びその誘導体、銅メトキシド等の銅アルコキシド、銅硫化物等が挙げられる。例えば、固相反応法によってオキシサルファイドを合成する場合は、Cu原料として銅硫化物を用いることが好ましい。
S原料とは、硫黄元素を含むとともに、ランタン元素、チタン元素、銅元素及びドープ元素(X)を含まない原料をいう。具体的には、硫黄粉末や硫化水素、その他各種硫化物、硫酸化合物等が挙げられる。例えば、固相反応法によってオキシサルファイドを合成する場合は、S原料として硫黄粉末を用いることが好ましく、硫化法によってオキシサルファイドを合成する場合は、S原料として硫化水素を用いることが好ましい。
ドープ元素(X)を含む原料としては、ドープ元素(X)の酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、カルボン酸塩、キレート錯体、アルコキシド、硫化物、或いは、ドープ元素(X)のオキソアニオンを含む塩等が挙げられる。例えば、固相反応法によってオキシサルファイドを合成する場合は、ドープ元素(X)を含む原料としてドープ元素(X)の酸化物、硫化物を用いることが好ましい。
尚、本発明においては、複合酸化物や複合硫化物を原料として用いてもよい。例えば、La原料とドープ元素を含む原料とを兼ねる原料として、ランタンとドープ元素(X)との複合酸化物や複合硫化物等を用いてもよいし、Ti原料とドープ元素を含む原料とを兼ねる原料として、チタンとドープ元素(X)との複合酸化物等を用いてもよい。ただし、本発明においてはS原料が他の原料とは独立して加えられることが必要である。
混合工程においては、上記した各原料が混合される。混合工程において用いられる混合手段については特に限定されず、公知の手段を採用可能である。たとえば各原料は乳鉢、ボールミル等の各種混合装置を用いて混合してもよく、各原料はよく粉砕し、十分に混合することが好ましい。尚、混合工程は、固体粉末原料を混合する形態に限定されない。例えば、S原料として硫化水素を用いる場合、S原料以外の各原料からなる混合原料中に硫化水素を供給するような形態も、本発明にいう「混合工程」とみなす。混合工程においては、製造するオキシサルファイドの組成比に応じて、各原料の混合比を調整する。オキシサルファイドの組成比に関しては上述の通りであり、説明を省略する。
加熱工程は、混合工程を経て得られた混合物を加熱する工程である。加熱工程における雰囲気については本発明に係るオキシサルファイドを生成可能な雰囲気であればよく、減圧雰囲気(真空雰囲気)、不活性ガス雰囲気、硫化水素雰囲気等が挙げられる。例えば、各原料としていずれも固体状の原料を用いた場合は、混合後の混合物を真空雰囲気や不活性ガス雰囲気で加熱することで、所望のオキシサルファイドを得ることができる。或いは、例えば、S原料として硫化水素等のガスを用いる場合は、S原料以外の各原料を混合したうえで、ここにS原料としてのガスを供給しながら加熱を行う(硫黄含有雰囲気にて加熱する)ことで、所望のオキシサルファイドを得ることができる。
このうち硫黄の飛散を防止できるという点で、真空雰囲気下で加熱することが好ましく、より好ましくは真空封管下で加熱することが好ましい。
本発明における加熱工程を経てオキシサルファイドを合成する。加熱方法は特に限定されず、公知の手段を採用可能である。
また加熱工程における加熱温度は、特に限定はされないが、通常500℃以上、好ましくは800℃以上、通常1300℃以下とすることが好ましい。前記温度域は、混合工程により得られた原料混合物からオキシサルファイドを製造するに十分な温度であるためである。
加熱工程における反応圧力は、特に限定されず、常圧でも減圧下でもよい。
本発明においては、加熱工程における加熱の際、混合物中に存在する硫黄元素量と銅元素量との関係が上記条件(3)を満たしていることが重要である。すなわち、加熱工程後に得られる結果物としてのオキシサルファイドの組成と比較して、加熱工程の際、混合物に硫黄を過剰に含ませた状態とする。具体的には混合物において銅元素量に対して硫黄元素量を5倍超(原子数比、モル比)とする。例えば、各原料としていずれも固体状の原料を用いる場合は、混合後の混合物において硫黄元素が所定以上含まれるように、S原料を過剰に添加することで条件(3)を満たすことができる。或いは、例えば、S原料として硫化水素等の硫黄含有ガスを用いる場合は、S原料以外の原料を混合したうえで、ここにS原料としてのガスを供給することで条件(3)を満たすことができる。
本発明者らは、本発明に係るオキシサルファイドを合成する場合、加熱工程において、硫黄の一部が反応に関与しないまま(結晶構造に取り込まれないまま)反応系外へと抜け出てしまい、光触媒電極として評価した際の性能が低下してしまうことを知見した。すなわち、光触媒活性の高い所望の組成を有するオキシサルファイドを得るためには、抜け出た分の硫黄を補填する必要がある。本発明においては、加熱工程に際して、混合物中に過剰量の硫黄が含まれるように調整しておくことで、これを解決している。尚、オキシサルファイドの結晶構造中に取り込まれなかった硫黄分は、加熱によって系外へと容易に除去される。
本発明に係る製造方法について、具体例を挙げつつより詳細に説明する。本発明に係るオキシサルファイドは、例えば、固相反応法や硫化法によって容易に製造可能である。
2.1.固相反応法
固相反応法によってオキシサルファイドを製造する場合は、La原料としてランタン酸化物及びランタン硫化物を、Ti原料としてチタン酸化物(好ましくは、ルチル型のもの)を、Cu原料として銅硫化物を、S原料として硫黄粉末を用いることが好ましい。これら各原料とドープ元素(X)を含む原料とを混合して混合物とすることができる。尚、複合酸化物や複合硫化物を調製したうえで原料として用いてもよく、この場合、複合酸化物や複合硫化物の調製時にドープ元素(X)を同時に複合化させることもできる。例えば、ドープ元素(X)のアルコキシドとチタンアルコキシドとを用いてドープ元素(X)とチタンとの複合酸化物を調製し、これを「Ti原料」と「ドープ元素(X)を含む原料」とを兼ねる原料として用いてもよい。いずれにしても、固相反応法においては、混合工程においてS原料(硫黄粉末)の混合量を調整することで、上記条件(3)を満たす混合物を調製することが好ましい。
このように固相反応法においては、各原料として固体粉末状のものを用いることができる。粉末原料の粒子径については特に限定されるものではないが、粒子径ができるだけ小さなものを用いるとよい。具体的には、熱分解前の粒子径が1nm以上50μm以下のものを用いることが好ましい。
固相反応法においては、混合物を加熱工程において熱分解に供することで、所望のオキシサルファイドを合成する。加熱工程における加熱温度は800℃以上1300℃以下とすることが好ましい。
また、固相反応法においては、加熱工程における雰囲気を減圧雰囲気とすることが好ましい。具体的には粉末原料の混合物を封管する際に、管内の圧力を10Pa以下としたうえで、加熱を行うとよい。これにより、加熱中に封管が割れることを抑制することができる。
また、固相反応法においては、加熱時間は反応温度により適宜選択することができるが、通常10分以上、好ましくは1時間以上、通常1ヶ月以下、好ましくは1週間以内、より好ましくは48時間以内である。
2.2.硫化法
硫化法においては、La原料、Ti原料、Cu原料及びドープ元素(X)を含む原料の混合物を硫化する。例えば、当該混合物を硫化水素ガス雰囲気にて加熱することで、所望のオキシサルファイドを得ることができる。この時、混合物中に硫黄が含まれていなくとも、混合物中に硫化水素ガスが供給されることで、本発明にいう混合工程が満たされ、且つ、上記条件(3)を満たしながら加熱工程を行うことができる。
硫化法における加熱工程は特に限定されないが、通常500℃以上であり、好ましくは800℃以上、より好ましくは900℃以上であり、通常1300℃以下である。前記温度範囲内であれば十分な性能を有するオキシサルファイドを効率よく合成できる。
このように、固相反応法、硫化法のいずれでも所望のオキシサルファイドを合成可能であるが、原料調製の容易性や合成条件の制御容易性、硫化水素ガスの分解生成物である水素による試料の還元が起こりにくく、高温で長時間加熱できるため、十分な粒子成長が可能である点、毒性・可燃性ガスを使用しないこと等の観点から、固相反応法が好ましい。
3.光触媒
本発明に係るオキシサルファイドは、オキシサルファイドだけでも水分解反応用の光触媒として用いることができるが、通常は助触媒と組み合わせて用いる。助触媒と組み合わせることで光水分解の効率が向上する点で好ましいためである。
本発明に係るオキシサルファイドは、水分解による水素生成反応、酸素生成反応の双方を触媒可能である。すなわち、助触媒としては、水素生成用助触媒、酸素生成用助触媒のいずれを用いてもよい。特に、周期表第6族〜第10族から選ばれる1つ以上の元素を含む化合物を助触媒として用いることが好ましい。
水素生成用助触媒の具体例としては、Pt、Pd、Rh、Ru、Ni、Au、Fe、Ru−Ir、Pt−Ir、NiO、RuO、IrO、Rh、NiS、MoS、NiMoS、Cr−Rh複合酸化物、コアシェル型Rh/Cr、Pt/Cr2が挙げられる。
酸素生成用助触媒の具体例としては、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Irの金属、これらの酸化物又は複合酸化物が挙げられる。好ましくは、MnO、MnO、Mn、Mn、Fe、CoO、Co、NiCo、CoMn、CoFe、RuO、Rh、IrOである。
このような助触媒を本発明に係るオキシサルファイドに担持することで、水分解反応用光触媒とすることができる。助触媒をオキシサルファイドに担持する方法としては、特に限定されるものではなく、(1)助触媒を構成する金属塩を含む溶液に、オキシサルファイドを含浸し、これを焼成或いは還元することで担持する形態、(2)昇華可能な金属化合物をオキシサルファイドの表面に吸着担持(化学蒸着)させ、焼成或いは還元することで担持する形態、(3)金属、合金、金属化合物をスパッタリング等によってオキシサルファイドの表面に蒸着(物理蒸着)させる形態、(4)光電析法によって担持する形態等、種々の方法を適用できる。
中でも、オキシサルファイド表面のより励起電子が表れやすい場所(還元反応が起こりやすい場所)に選択的に助触媒を担持できることから光電析法によって担持する形態が好ましい。水素は助触媒上で励起電子による還元反応が起こることで生成するので、励起電子が現れやすい場所に選択的に助触媒を担持することで、より効率的に水素を生成することができる。光電析法により助触媒を担持させた場合、スパッタリング法などの物理蒸着により担持させた場合と比較して本発明に係るオキシサルファイド結晶の底面又は破断面(他の面に比べて励起電子が現れやすい面)に選択的に助触媒を析出させることができる。これにより、より性能の高い光触媒電極として利用することができる。
助触媒の担持量は少なすぎても効果がなく、多すぎると助触媒自身が光を吸収・散乱するなどして光触媒の光吸収を妨げたり、再結合中心として働いたりしてかえって触媒活性が低下してしまう。このような観点から、光触媒における助触媒の担持量は、光触媒を基準(100質量%)として、好ましくは0.01質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上15質量%以下、特に好ましくは0.3質量%以上10質量%以下である。
4.光水分解反応用電極
上記した光触媒を実際に水の分解に使用する場合における光触媒の形態については特に限定されるものではなく、水中に光触媒粒子を分散させる形態、光触媒粒子を固めて成形体として当該成形体を水中に設置する形態、基材上に光触媒層を設けて積層体とし当該積層体を水中に設置する形態、集電体上に光触媒を固定化して光水分解反応用電極とし対極とともに水中に設置する形態等が挙げられる。特に、光水分解反応を大規模にて行う場合、バイアスを付与して水分解反応を促進できる観点から、光水分解反応用電極とするとよい。
光水分解反応用電極は公知の方法により作製可能である。例えば、いわゆる粒子転写法(Chem. Sci., 2013,4, 1120-1124)によって容易に作製可能である。すなわち、ガラス等の第1の基材上にオキシサルファイド粒子を載せて、オキシサルファイド層と第1の基材層との積層体を得る。得られた積層体のオキシサルファイド層表面に蒸着等によって導電層(集電体)を設ける。ここで、オキシサルファイド層の導電層側表層にあるオキシサルファイド粒子が導電層に固定化される。その後、導電層表面に第2の基材を接着し、第1の基材層から導電層及びオキシサルファイド層を剥がす。オキシサルファイド粒子の一部は導電層の表面に固定化されているので、導電層とともに剥がされ、結果として、オキシサルファイド層と導電層と第2の基材層とを有する積層体が得られる。その後、得られた積層体のオキシサルファイド層の表面に蒸着等によって助触媒を担持させることで、光触媒層と導電層と第2の基材層とを有する光水分解反応用電極を得ることができる。
或いは、光触媒粒子が分散されたスラリーを集電体の表面に塗布して乾燥させることで、光水分解反応用電極を得てもよいし、光触媒粒子と集電体とを加圧成形等して一体化することで光水分解反応用電極を得てもよい。また、光触媒粒子が分散されたスラリー中に集電体を浸漬し、電圧を印可して光触媒粒子を電気泳動により集電体上に集積してもよい。
なお、本明細書内で、上記光水分解反応用電極を「光触媒電極」と記載することがある。
5.水素の製造方法
本発明においては、上記した光触媒、或いは、上記した光水分解反応用電極を、水又は電解質水溶液に浸漬し、当該光触媒又は光水分解反応用電極に光を照射して光水分解を行うことで、水素を製造することができる。
例えば、上述のように導電体で構成される集電体上に光触媒を固定化して光水分解反応用電極を得る一方、対極として酸素生成触媒を担持した導電体を使用し、液体状又は気体状の水を供給しながら光を照射し、水分解反応を進行させる。必要に応じて電極間に電位差を設けることで、水分解反応を促進することができる。或いは、対極として酸素生成触媒を担持した光半導体を使用してもよい。この場合、光半導体としてはn型光半導体若しくは太陽電池等にも用いられるp−n接合型光半導体を用いることが好ましい。
一方、絶縁基材上に光触媒粒子を固定化した固定化物に、又は、光触媒粒子を加圧成形等した成形体に、水を供給しながら光を照射して水分解反応を進行させてもよい。或いは、光触媒粒子を水又は電解質水溶液に分散させて、ここに光を照射して水分解反応を進行させてもよい。この場合、必要に応じて攪拌することで、反応を促進することができる。
水素製造時の反応条件については特に限定されるものではないが、例えば反応温度を0℃以上200℃以下とし、反応圧力を2MPa(G)以下とする。
照射光は650nm以下の波長を有する可視光、または紫外光である。照射光の光源としては太陽や、キセノンランプ、メタルハライドランプ等の太陽光近似光を照射可能なランプ、水銀ランプ、LED等が挙げられる。
以上のように、本発明によれば、La、Ti及びCuを含むオキシサルファイドにおいて、La及び/又はTiの一部を、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第3、4、6、11−14族から選ばれる一つ以上の元素で置換することで、オキシサルファイドの触媒活性を向上させることができ、光水分解反応に対して十分な触媒活性を有する光触媒を得ることができ、水分解反応用電極等として大規模に水素を製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により制限されるものではない。
[オキシサルファイドの調製]
オキシサルファイドの調製に用いた原料は下記の通りである。
La:関東化学社製、純度99.99%
La:高純度化学研究所社製、純度99.9%
CuS:高純度化学研究所社製、純度99%
TiO:レアメタリック社製、ルチル型、純度99.99%
Sc:(実施例1〜9)関東化学社製、99.95%
(実施例10、11)アルドリッチ社製、99.999%
S:高純度化学研究社製、硫黄粉末、純度99.99%
Ga:高純度化学研究所社製、純度99.9%
CaO:和光純薬社製、純度99.9%
Ta:和光純薬社製、純度99.9%
Nb:CBMM社製、Optical Grade品
MgO:和光純薬社製、粒径0.2μm、純度99.9%
Al:レアメタリック社製,粒径110μm、4N7(純度99.997%)
In:レアメタリック社製,5N(純度99.999%)
ZnO:レアメタリック社製,5N(純度99.999%)
:NewMet社製、5N(純度99.999%)
[オキシサルファイドの構造確認]
得られたオキシサルファイドの構造は、XRD及びDRSにより確認した。
<XRD測定条件>
測定装置:リガク社製 RINT−ULTIMA III
光源 :CuKα線
走査範囲:10°〜80°
<拡散反射スペクトル(DRS)測定条件>
光触媒の吸収波長を拡散反射(DRS)スペクトルにより以下の条件で測定した。
測定装置:Jasco社製 V−6760J
走査範囲:250〜900nm
[オキシサルファイドの調製]
合成例1
オキシサルファイドは、「Physical Chemistry Chemical Physics,2012,14, 15475」に記載の方法に準拠し、固相反応法で調製した。具体的な調製方法を下記する。
卓上型グローブボックス(株式会社美和製作所社製 1ADB−3MKH−DMS型)中で、上記各原料を、モル比でLa:La:CuS:TiO:Sc:S=1.0:1.5:0.5:1.998:0.001:0.25となるようにアルミナ乳鉢で混合し、Ti原子及びSc原子の合計に対するSc原子の原子百分率で0.1%の混合物を得た。前記混合物を石英管に封入して真空排気した後に電気炉で加熱した。このとき、200℃(473K)までは9分、400℃(673K)までは1時間40分、1000℃(1273K)までは50時間かけて昇温し、1000℃(1273K)で48時間保持した。その後、500℃(773K)まで12時間30分間かけて冷却し、その後、室温まで自然冷却した。得られた塊の外縁部から目視で不純物相を取り除き、アルミナ乳鉢で粉砕してLaTiCuS:Sc(Sc0.1%品)粉末を得た。
[光水分解反応用電極の作製]
(実施例1)
合成例1で得られたオキシサルファイドLaTiCuS:Sc 50mgを1mLの2−プロパノールに懸濁させ、この懸濁液500μLを第1のガラス基材(ソーダライムガラス)上に滴下、乾燥させて30mm×30mmのオキシサルファイド層を形成した。
次に、オキシサルファイド層の表面にAuを真空蒸着法により積層した。装置は小型真空蒸着装置(アルバックイーエス株式会社製VFR−200M/ERH)を使用し、タングステンボート上におかれたAu塊(99.99%)を蒸着源とした。膜厚計によりAu層の厚さが2μmになるまでAuを蒸着した。
次に、カーボンテープを用いてAu層に第2のガラス基材(ソーダライムガラス)を接着した。第1のガラス基材を除去し、純水中で超音波洗浄することで、オキシサルファイド層とAu層とを有する電極を得た。
得られた電極に、引き続き以下の手法で助触媒を担持した。
<助触媒担持:スパッタリング>
上記で得られた電極には、スパッタリングによりPtを助触媒として担持した。
Pt助触媒をスパッタリング法により担持する際には、オキシサルファイド層表面にスパッタリング装置を用いて0.1Wで4分50秒積層した。この条件により得られるPt層の厚さは約1nmであった。
<電極の評価>
作製した電極の評価は、図3に示すようなポテンショスタットを用いた3電極系での電流−電位測定によって行った。平面窓付きのセパラブルフラスコを電気化学セルに用い、参照極にAg/AgCl電極、対極にPtワイヤーを用いた。電解液には50mM 水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調製したNaSO(和光純薬社製、99.0%)0.1M水溶液を用いた。電気化学セル内部はアルゴンで満たし、かつ、測定前に十分にバブリングを行うことによって溶存する酸素、二酸化炭素を除去した。光電気化学測定には、コールドミラーとカットオフフィルター(HOYA社製、L−42)を装着した300Wキセノンランプ(波長420〜800nmの白色光)を光源として用い、電気化学セルの平面窓から光を照射した。それぞれの電極について、測定電位0V(vs.RHE)における光電流密度(mA/cm)を測定した。評価結果を表1に示した。
合成例2
LaTiCuSを、合成例1に記載の方法に基づき調製した。
具体的には、上記各原料の混合比が、モル比でLa:La:CuS:TiO:S=1.0:1.5:0.5:2.0:0.25の混合物を用いた以外は合成例1と同様に調製し、LaTiCuS粉末を得た。
得られたオキシサルファイドのXRDパターンを図1に示した。またDRSスペクトルを図2に示した。
(比較例1)
合成例2で得たオキシサルファイドを、実施例1と同様の方法により電極とし、スパッタリングによりPtを助触媒として担持し、Xe光源を用いて評価を行った。評価結果を表1に示した。また300Wキセノンランプ照射下での光電流密度の時間変化を図4に示した。
合成例3
上記各原料をモル比で、La:La:CuS:TiO:Sc:S=1.0:1.5:0.5:1.98:0.01:0.25の混合物(Ti原子及びSc原子の合計に対するSc原子の原子百分率で1.0%)を用いた以外は合成例1と同様にして合成し、LaTiCuS:Sc(Sc1%品)を得た。
得られたオキシサルファイドのXRDパターンを図1に示した。またDRSスペクトルを図2に示した。
(実施例2)
合成例3で得たオキシサルファイドを、実施例1と同様の方法を用いて電極とし、スパッタリングによりPtを助触媒として担持し、評価を行った。評価結果を表1に示した。また300Wキセノンランプ照射下での光電流密度の時間変化を図4に示した。
合成例4
上記各原料をモル比で、La:La:CuS:TiO:Sc:S=1.0:1.5:0.5:1.94:0.03:0.25の混合物(Ti原子及びSc原子の合計に対するSc原子の原子百分率で3.0%)を用いた以外は合成例1と同様にして合成し、LaTiCuS:Sc(Sc3%品)を得た。
(実施例3)
合成例4で得たオキシサルファイドを、実施例1と同様の方法を用いて電極とし、スパッタリングによりPtを助触媒として担持し、評価を行った。評価結果を表1に示した。
合成例5
上記各原料をモル比で、La:La:CuS:TiO:Sc:S=1.0:1.5:0.5:1.90:0.05:0.25の混合物(Ti原子及びSc原子の合計に対するSc原子の原子百分率で5.0%)を用いた以外は合成例1と同様にして合成し、LaTiCuS:Sc(Sc5%品)を得た。
(実施例4)
合成例5で得たオキシサルファイドを、実施例1と同様の方法を用いて電極とし、スパッタリングによりPtを助触媒として担持し、評価を行った。評価結果を表1に示した。また300Wキセノンランプ照射下での光電流密度の時間変化を図4に示した。
合成例6
上記各原料をモル比で、La:La:CuS:TiO:Sc:S=1.0:1.5:0.5:1.8:0.1:0.25の混合物(Ti原子及びSc原子の合計に対するSc原子の原子百分率で10.0%)を用いた以外は合成例1と同様にして合成し、LaTiCuS:Sc(Sc10%品)を得た。
(実施例5)
合成例6で得たオキシサルファイドを、実施例1と同様の方法を用いて電極とし、スパッタリングによりPtを助触媒として担持し、評価を行った。評価結果を表1に示した。
合成例7
上記各原料をモル比で、La:La:CuS:TiO:Ga:S=1.0:1.5:0.5:1.98:0.01:0.25の混合物(Ti原子及びGa原子の合計に対するGa原子の原子百分率で1.0%)を用いた以外は合成例1と同様にして合成し、LaTiCuS:Ga(Ga1%品)を得た。
得られたオキシサルファイドのXRDパターンを図1に示した。またDRSスペクトルを図2に示した。
(実施例6)
合成例7で得たオキシサルファイドを、実施例1と同様の方法を用いて電極とし、スパッタリングによりPtを助触媒として担持し、評価を行った。評価結果を表1に示した。また300Wキセノンランプ照射下での光電流密度の時間変化を図4に示した。
合成例8
上記各原料をモル比で、La:La:CuS:TiO:Ga:S=1.0:1.5:0.5:1.94:0.03:0.25の混合物(Ti原子及びGa原子の合計に対するGa原子の原子百分率で3.0%)を用いた以外は合成例1と同様にして合成し、LaTiCuS:Ga(Ga3%品)を得た。
(実施例7)
合成例8で得たオキシサルファイドを、実施例1と同様の方法を用いて電極とし、スパッタリングによりPtを助触媒として担持し、評価を行った。評価結果を表1に示した。また300Wキセノンランプ照射下での光電流密度の時間変化を図4に示した。
合成例9
上記各原料をモル比で、La:La:CuS:TiO:CaO:S=0.975:1.5:0.5:2:0.05:0.25の混合物(La原子及びCa原子の合計に対するCa原子の原子百分率で1.0%)を用いた以外は合成例1と同様にして合成し、LaTiCuS:Ca(Ca1%品)を得た。
得られたオキシサルファイドのXRDパターンを図1に示した。またDRSスペクトルを図2に示した。
(実施例8)
合成例9で得たオキシサルファイドを、実施例1と同様の方法を用いて電極とし、スパッタリングによりPtを助触媒として担持し、評価を行った。評価結果を表1に示した。
合成例10
上記各原料をモル比で、La:La:CuS:TiO:Ta:S=1.0:1.5:0.5:1.98:0.01:0.25の混合物(Ti原子及びTa原子の合計に対するTa原子の原子百分率で1.0%)を用いた以外は合成例1と同様にして合成し、LaTiCuS:Ta(Ta1%品)を得た。
(比較例2)
合成例10で得たオキシサルファイドを、実施例1と同様の方法を用いて電極とし、スパッタリングによりPtを助触媒として担持し、評価を行った。評価結果を表1に示した。
合成例11
上記各原料をモル比で、La:La:CuS:TiO:Nb:S=1.0:1.5:0.5:1.98:0.01:0.25の混合物(Ti原子及びNb原子の合計に対するNb原子の原子百分率で1.0%)を用いた以外は合成例1と同様にして合成し、LaTiCuS:Nb(Nb1%品)を得た。
(比較例3)
合成例11で得たオキシサルファイドを、実施例1と同様の方法を用いて電極とし、スパッタリングによりPtを助触媒として担持し、評価を行った。評価結果を表1に示した。
(合成例12)
LaTiCuSを、「Physical Chemistry Chemical Physics,2012,14, 15475」に記載の方法に基づき調製した。
具体的には、上記各原料をモル比で、La:La:CuS:TiO=1.0:1.5:0.5:2で混合した以外は合成例1と同様にして合成し、LaTiCuSを得た。
(比較例4)
合成例12で得たオキシサルファイドを、実施例1と同様の方法を用いて電極とし、スパッタリングによりPtを助触媒として担持させ、評価した。評価結果を表1に示した。
(実施例9)
合成例3で得たオキシサルファイドを、実施例1と同様の方法で電極を得た。
得られた電極に対して、助触媒のPtを光電解析出法により担持させた。光電解析出法によるPtの担持は、図3に示す3電極式セルを用いて行った。セル内のミリQ超純水100mlに0.01モルの無水硫酸ナトリウム(和光純薬社製、純度99%)を溶解し、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH=10に調整した。次に、この硫酸ナトリウム溶液に0.01モルのシュウ酸カリウム一水和物(和光純薬社製、純度99%)と、塩化白金酸6水和物(関東化学社製、純度98.5%)を35μmol添加した。続いてオキシサルファイド層とAu層を含む電極をこの溶液中に浸漬し、これを作用極としてソーラーシミュレーター(擬似太陽光)(AM1.5)を照射しながら−0.69V(vs.Ag/AgCl電極)の電圧を印可し、電流値が飽和するまでPtを析出させ、Pt担持光触媒電極を得た。得られたPt担持光触媒電極は十分に水洗した後、直ちに評価に使用した。評価は、光源としてソーラーシミュレーターを用いた以外は実施例1と同様の方法により行った。評価結果を表1に示した。
(比較例5)
光触媒として合成例2のオキシサルファイドを用いた以外は、実施例9と同様の方法により電極とし、光電解析出法により助触媒としてPtを担持させ、評価した。結果を表1に示した。
合成例13
前記アルドリッチ社製Scを用いた以外は合成例3と同様の原料混合物を調製し、石英管に封入した後に電気炉で加熱した。このとき、200℃(473K)までは9分、400℃(673K)までは1時間40分、1000℃(1273K)までは50時間かけて昇温し、1000℃(1273K)で5時間保持した。その後、500℃(773K)まで12時間30分間かけて冷却し、その後、室温まで自然冷却した。得られた塊の外縁部から目視で不純物相を取り除き、アルミナ乳鉢で粉砕してLaTiCuS:Sc(Sc1%/5hr品)を得た。
合成例14
石英管に封入した後に電気炉において1000℃(1273K)で加熱する時間を10時間に変更した以外は、合成例13と同様に合成し、LaTiCuS:Sc(Sc1%/10hr品)を得た。
(実施例10)
合成例13で得られたオキシサルファイドは、実施例9と同様の方法により電極とし、光電解析出法により助触媒としてPtを担持させ、評価した。評価結果を表1に示した。
(実施例11)
合成例14で得られたオキシサルファイドは、実施例9と同様の方法により電極とし、光電解析出法により助触媒としてPtを担持させ、評価した。評価結果を表1に示した。
合成例15
ビーカー内にエチレングリコール(和光純薬社製、純度99.5%)22.34gを入れ、適宜メタノールを加えながらチタンテトライソプロポキシド(和光純薬社製、純度95%)2.53g、スカンジウムトリイソプロポキシド(アルドリッチ社製)0.02g、クエン酸(和光純薬社製、純度98%)2.88g、La(NO・6水和物(和光純薬社製、純度99.9%)3.90gの順に溶解し、70〜80℃に設定したホットスターラー上で一晩撹拌した。透明溶液になったことを確認した後、130〜140℃に設定したホットスターラー上で撹拌しながら5時間重合させた。その後350℃に設定したマントルヒーターで熱分解させ、得られた黒色物質をアルミナ乳鉢で軽く粉砕した。粉砕した試料を蒸発皿へ移して電気炉で550℃、10時間熱処理することにより、ScをドープしたLaとTiの複合酸化物であるLaTi:Scの白色粉末を得た。
卓上型グローブボックス中で、上記La1.68g、CuS0.24g、前記LaTi:Sc1.46g、S0.02gをアルミナ乳鉢で混合し、石英管に封入した後に電気炉で200℃(473K)までは9分、400℃(673K)までは1時間40分、1000℃(1273K)までは50時間かけて昇温し、1000℃(1273K)で48時間保持した。その後、500℃(773K)まで12時間30分間かけて冷却し、その後、室温まで自然冷却した。得られた固体をアルミナ乳鉢で粉砕し、LaTiCuS:Sc粉末を得た(Sc1%/PC品)。XRDで確認したところ、LaTiCuSと同様のピークが確認された。
(実施例12)
合成例15で得たオキシサルファイドは、実施例9と同様の方法により電極とし、光電解析出法により助触媒としてPtを担持させ、評価した。評価結果を表1に示した。
合成例16
スカンジウムトリイソプロポキシドを用いなかった以外は合成例15と同様に複合酸化物の合成を行い、得られたLaTi 1.46gを用いた以外は合成例15と同様に合成し、LaTiCuSの白色粉末を得た。XRDで確認したところ、LaTiCuSと同様のピークが確認された。
(比較例6)
合成例16で得たオキシサルファイドを、実施例9と同様の方法により、電極とし、光電解析出法によりPtを助触媒として担持し、評価を行った。評価結果を表1に示した。
合成例17
Ti:Scのモル比が1:0.05となるようにSc及びTi(OCH(CH(和光純薬社製、純度95%)をビーカーに入れ、2−プロパノール12mlを加え、攪拌した。30分程度攪拌後、蒸留水をピペットで1滴ずつゆっくり滴下してTi(OCH(CHを加水分解させた。沈殿をろ過、乾燥後、電気炉にて500℃(723K)で1時間加熱した。昇温速度は、10℃/minであった。加熱後、取り出し、ScをドープしたTiの酸化物であるTiO:Sc(4.8%)を得た。これを引き続く固相合成法の原料とした。
卓上型グローブボックス中で、前記原料をモル比La:La:CuS:(TiO:Sc):S=1.0:1.5:0.5:2.0:0.25となるようにアルミナ乳鉢で混合した。以下、合成例1と同様に加熱し、LaTiCuS:Sc粉末を得た。XRDで確認したところ、LaTiCuSと同様のピークが確認された。
合成例18
Ti:Scのモル比が1:0.05となるようにSc(OCH(CH(アルドリッチ社製)及びTi(OCH(CHをビーカーに入れ、2−プロパノール12mlを加えて攪拌した。30分程度攪拌後、蒸留水をピペットで1滴ずつゆっくり滴下してSc(OCH(CH、およびTi(OCH(CHを加水分解させた。沈殿をろ過、乾燥後、電気炉において500℃(723K)で1時間加熱した。昇温速度は、10℃/minであった。加熱後、取り出し、ScをドープしたTiの酸化物であるTiO:Scを得た。
以下、この方法で得られたTiO:Scを用いた以外は合成例16と同様の方法で反応させ、LaTiCuS:Sc粉末を得た。
(実施例13)
合成例17で得られたオキシサルファイドを、実施例9と同様の方法により電極とし、光電解析出法によりPtを助触媒として担持し、評価を行った。評価結果を表1に示した。
(実施例14)
合成例18で得られたオキシサルファイドを、実施例9と同様の方法により電極とし、光電解析出法によりPtを助触媒として担持し、評価を行った。評価結果を表1に示した。
(実施例15)
合成例3で得られたオキシサルファイドを、実施例1と同様の方法により電極とし、蒸着によりNiを助触媒として担持した。Ni担持は以下の手順で行った。装置は小型真空蒸着装置(アルバックイーエス株式会社製VFR−200M/ERH)を使用し、タングステンボート上におかれたNi線(99.7%、ニラコ社製)を蒸着源とした。このとき、電極の加熱は行わず、ベースプレッシャーは4×10−3Paとした。蒸着速度を0.01〜0.02nm/secに設定し、Ni層の厚さが1nmになるまでNiを蒸着した。
得られた助触媒を担持した電極を用いて評価を行った。評価結果を表1に示した。
(比較例7)
合成例2で得られたオキシサルファイドを、実施例15と同様の方法により電極とし、蒸着により助触媒としてNiを担持し、評価を行った。評価結果を表1に示した。
(実施例16)
実施例2で得られた電極を、光源としてソーラシミュレーター(AM1.5)を用いた以外は実施例2と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示した。
(合成例19)
上記各原料をモル比で、La:La:CuS:TiO:MgO:S=1.0:1.5:0.5:1.98:0.02:0.25の混合物(Ti原子及びMg原子の合計に対するMg原子の原子百分率で1.0%)を用いた以外は合成例1と同様にして合成し、LaTiCuS:Mg(Mg1%品)を得た。得られたオキシサルファイドのXRDパターンを図1に示す。またDRSスペクトルを図2に示す。
(実施例17)
合成例19で得られたオキシサルファイドを実施例1と同様の方法により電極とした後、スパッタリングにより助触媒を担持し、同じく実施例1と同様の評価方法で評価を行った。評価結果を表1に示した。
(実施例18)
合成例19で得られたオキシサルファイドを実施例1と同様の方法により電極とした後、スパッタリングにより助触媒を担持し、光源としてソーラーシミュレーターを使用した以外は実施例1と同様の評価方法で評価を行った。評価結果を表1に示した。
(実施例19)
合成例19で得られたオキシサルファイドを実施例1と同様の方法により電極とした後、実施例9と同様の方法により助触媒を担持し、実施例1と同様の評価方法で評価を行った。評価結果を表1に示した。
(実施例20)
合成例19で得られたオキシサルファイドを実施例1と同様の方法により電極とした後、実施例9と同様の方法により助触媒を担持し、同じく実施例9と同様の評価方法で評価を行った。評価結果を表1に示した。
(合成例20)
上記各原料をモル比で、La:La:CuS:TiO:Al:S=1.0:1.5:0.5:1.98:0.01:0.25の混合物(Ti原子及びAl原子の合計に対するAl原子の原子百分率で1.0%)を用いた。あらかじめTiOとAlの混合物(以下、Ti−Al混合物という。)、およびLa、La、CuS、及びSの混合物(以下、La−Cu混合物という。)を別々に調製しておき、これらTi−Al混合物とLa−Cu混合物とを前記モル比となるように混合した以外は合成例1と同様にして合成し、LaTiCuS:Al(Al1.0%品)粉末を得た。得られたオキシサルファイドのXRDパターンを図7に示す。またDRSスペクトルを図8に示す。
(合成例21)
上記各原料をモル比で、La:La:CuS:TiO:In:S=1.0:1.5:0.5:1.98:0.01:0.25の混合物(Ti原子及びIn原子の合計に対するIn原子の原子百分率で1.0%)を用いた。あらかじめTiOとInの混合物(以下、Ti−In混合物という。)、およびLa−Cu混合物を別々に調製しておき、これらTi−In混合物とLa−Cu混合物とを前記モル比となるように混合した以外は合成例1と同様にして合成し、LaTiCuS:In(In1.0%品)粉末を得た。得られたオキシサルファイドのXRDパターンを図7に示す。またDRSスペクトルを図8に示す。
(合成例22)
上記各原料をモル比で、La:La:CuS:TiO:ZnO:S=1.0:1.5:0.5:1.98:0.02:0.25の混合物(Ti原子及びZn原子の合計に対するZn原子の原子百分率で1.0%)を用いた。あらかじめTiOとZnOの混合物(以下、Ti−Zn混合物という。)、およびLa−Cu混合物を別々に調製しておき、これらTi−Zn混合物とLa−Cu混合物とを前記モル比となるように混合した以外は合成例1と同様にして合成し、LaTiCuS:Zn(Zn1.0%品)粉末を得た。得られたオキシサルファイドのXRDパターンを図7に示す。またDRSスペクトルを図8に示す。
(合成例23)
上記各原料をモル比で、La:La:CuS:TiO:Y:S=1.0:1.5:0.5:1.98:0.01:0.25の混合物(Ti原子及びY原子の合計に対するY原子の原子百分率で1.0%)を用いた。あらかじめTiOとYの混合物(以下、Ti−Y混合物という。)、およびLa−Cu混合物を別々に調製しておき、これらTi−Y混合物とLa−Cu混合物とを前記モル比となるように混合した以外は合成例1と同様にして合成し、LaTiCuS:Y(Y1.0%品)粉末を得た。得られたオキシサルファイドのXRDパターンを図7に示す。またDRSスペクトルを図8に示す。
(実施例21〜実施例24)
合成例20〜23で得られたオキシサルファイドを実施例1と同様の方法により電極とした後、実施例9と同様の方法により助触媒を担持させ、同じく実施例9と同様の評価方法で評価した。評価結果を表1に示した。
得られたオキシサルファイドの構造は、上記の条件にてXRD測定を行ない確認した。
得られたXRDパターンを、結晶構造データベースのパターン(ICSD♯99612)と比較し、得られたオキシサルファイドが公知化合物であるLaTiCuSと同様の構造を持つことを確認した。
図1、図7に示す通り、他のすべてのオキシサルファイドについても同様にXRD測定をし、LaTiCuSと同様の構造を持つことを確認した。
また、得られたオキシサルファイドの光吸収波長を、上記の条件で拡散反射スペクトル(DRS)により測定した。図2、図8に示すように、ドープしたオキシサルファイドは、公知化合物であるLaTiCuSと同様に650nm付近に吸収端を示すことから、これらはLaTiCuSに類似したバンド構造を有することが示唆される。
(S原料添加の効果)
表1に示した比較例1の結果と比較例4の結果をみると、オキシサルファイド合成時に過剰の硫黄を添加することによってオンセット電位は0.8V(vsRHE)から0.9V(vsRHE)に向上し、且つ、0V(vsRHE)における光電流密度が−0.058mA/cmから−0.108mA/cmへと2倍程度向上した(ここで観測されるのはカソード電流のため、マイナス側に大きな値であるほど高い性能であることを示す)。この結果より、オキシサルファイド合成時に硫黄欠陥を補填するため硫黄化合物を過剰に添加することでより高い光水分解活性が得られるオキシサルファイドを合成可能であることが明らかである。
(ドープ元素によるLa、Ti置換の効果)
実施例1〜8、17、19の光触媒電極は、比較例4の光触媒電極に比べてオンセット電位に0.1〜0.2Vの改善が見られ、光電流密度は4倍〜70倍程度の向上が見られた。特に光電流密度での電流値向上は、比較例1に見られた2倍程度の向上に比較して向上幅が大きく、硫黄を過剰に添加した効果に加えて、Sc、Ga、Ca、Mg等でLa、Tiを一部置換した効果が現れたことが明らかである。
この傾向は、光源がキセノンランプではなくソーラーシミュレーター(AM1.5)の場合も同様に観察された。実施例9の光触媒電極は、比較例5の光触媒電極に比べてオンセット電位に0.1Vの改善が見られ、光電流密度は9倍程度の向上が見られた。また実施例20〜23の光触媒電極は、比較例5とオンセット電位は同等であるものの、光電流密度は比較例5より2.5倍〜40倍程度の向上が見られた。また実施例24の光触媒電極は、オンセット電位は0.1V低下するものの、光電流密度は比較例5に対し4倍の改善が見られた。このことから、Sc、Mg、Al、In、Zn、Y等でTiを一部置換した効果が現れたことが明らかである。
なお、実施例10、11はオキシサルファイド調製時の反応時間(他の実施例、比較例ではすべて48時間)を5時間、10時間と短縮した結果であるが、実施例9に対して光電流密度はやや低下するものの、無ドープの比較例5に対してオンセット電位で0.1Vの改善、光電流密度で7倍程度の改善が見られた。
また、比較例6、および実施例12〜14に示すとおり、原料酸化物がLa、Tiおよびドープ元素の複合酸化物である場合にも、ドープ元素による活性の向上が見られた。
すなわち、オキシサルファイドは、ランタン酸化物及びランタン硫化物、チタン酸化物、銅硫化物と、ドープ元素を含む原料とを個別に用いるだけでなく、ドープ元素と、ランタン及びチタンのいずれかとの複合酸化物を調製したうえで原料として用いても同様の効果が得られる。
さらに、助触媒はPtでも、Niでもドープ元素による活性向上が見られた。すなわち実施例15の光触媒電極は比較例7の光触媒電極に対してオンセット電位は変化がないが、光電流密度には2倍程度の向上が見られ、活性向上が助触媒に依存しないことが示唆された。
また、助触媒の担持方法はスパッタ法でも光電析法でも、ドープ元素による活性向上が観測された。すなわち実施例9ならびに実施例16と、比較例5を比較すると、Scドープによりオンセット電位に0.1Vの向上、光電流密度に10倍程度の向上が見られた。同様に実施例17ならびに実施例19と比較例1を比較すると、Mgドープによりオンセット電位に0.1Vの向上、光電流密度に20倍から40倍の向上がみられた。
なお、実施例17(スパッタ法)と実施例19(光電析法)とで光電流値を比較すると、実施例19がより高い光電流値を示し、この傾向は実施例18(スパッタ法)と実施例20(光電析法)でも同様であった。実施例9(光電析法)と実施例16(スパッタ法)では、0V vs RHEの光電流密度で比較するとスパッタ法の方が電流値は高いが、より正側の電位、たとえば0.6V vs RHEで比較すると、実施例16の方が電流値は高かった(図5)。このことから、触媒の担持方法としては、前駆体の均一溶液から助触媒を担持する光電析法がより好ましい。助触媒の担持法を比較すると、助触媒の担持形態に差異がみられる。スパッタ法により助触媒を担持した実施例16のSEM観察結果を図6a、bに、光電析法で助触媒を担持した実施例9のSEM観察結果を図6c、dに示す。図6a、bにみられるように、スパッタ法で担持した電極では、助触媒は明確に観察されないが、光電析法で助触媒を担持した場合には、図6c、dにみられるように柱状結晶であるオキシサルファイドの底面、もしくは、結晶の破断面に選択的に析出しているのが観察される。この差異は、実施例9、16(ドープ種がScの場合)に限らず、他のドープ金属の場合でも同様と考えられる。前述のように光電析法で助触媒を担持した電極がより高い性能を示すことから、助触媒をオキシサルファイド結晶の底面もしくは結晶の破断面に偏在させることにより、より性能の高い光触媒電極が得られることが明らかである。
また、300W Xeランプ(λ≧420nm)照射下での印可電位0Vvs. RHEにおける光電流密度の時間経過を調べたところ、測定時間0〜2時間の範囲で、図4に示すとおり、比較例1にかかわる無ドープの光触媒電極に対し、実施例2〜4(Scドープ)、実施例6、7(Gaドープ)にかかわる光触媒電極が高い光電流密度を示し、極端な安定性の低下のないことを確認した。
以上の結果から、従来のように、金属イオンがLa、Ti、Cuのみで構成されるオキシサルファイドを用いた光触媒よりも、La及び/又はTiをSc、Ga、Ca、Mg等で一部置換した金属イオン組成を持つオキシサルファイドを用いた光触媒のほうが、優れた光触媒であるといえる。
尚、実施例1〜8に見られるとおり、置換量はTi原子及びSc原子の合計に対するSc原子の原子百分率で0.01%以上10%以下のいずれの場合でも比較例1に対して高い光電流密度を示す。このことから、ドープ元素(X)の元素置換量は、La、Ti及びドープ元素(X)の合計を基準(100原子%)として0.01原子%以上、好ましくは0.02原子%以上、10原子%以下の範囲にすると優れた水分解活性を示すことが明らかである。
また、比較例2、3は、無置換の光触媒である比較例1に対してオンセット電位の向上は見られず、光電流密度はかえって低下している。よって、Ta、Nbは置換金属としては不適切であると結論できる。
本発明に係るオキシサルファイドは高い水分解活性を有し、太陽光を利用した水分解反応を行うことにより水素及び/又は酸素、特に水素を製造する光水分解反応に好適に用いられる。

Claims (10)

  1. La Ti CuS と同様の結晶構造を有するオキシサルファイドであって、
    アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第3族、第4族、第6族、第11族、第12族、第13族及び第14族から選ばれる1つ以上のドープ元素(X)が、La、Ti及びドープ元素(X)の合計を基準(100原子%)として0.01原子%以上含まれていることを特徴とする、オキシサルファイド。
  2. 前記ドープ元素(X)が、Li、Na、Ca、Mg、Sr、Sc、Zr、Hf、Mo、W、Zn、Al、Ga及びSnから選ばれる1つ以上の元素である、請求項1に記載のオキシサルファイド。
  3. 前記ドープ元素(X)が、In及びYから選ばれる1つ以上の元素である、請求項1に記載のオキシサルファイド。
  4. La、Ti及びドープ元素(X)の組成比(La:Ti:X)が下記条件()を満たす、請求項1〜3のいずれか一項に記載のオキシサルファイド。
    La:Ti:X = (5−α):(2−β):(α+β) …(2)
    (ここで、0≦α<1、0≦β<1、0.001≦α+β<1である。)
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のオキシサルファイドと助触媒とを含む、光触媒。
  6. 前記助触媒が、周期表第6族〜第10族から選ばれる1つ以上の元素を含む化合物である、請求項5に記載の光触媒。
  7. 前記助触媒、光電析法により請求項1〜4のいずれか一項に記載のオキシサルファイドに担持さる、請求項5又は6に記載の光触媒の製造方法
  8. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のオキシサルファイドの製造方法であって、
    La原料、Ti原料、Cu原料、S原料、並びに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第3族、第4族、第6族、第11族、第12族、第13族及び第14族から選ばれる1つ以上のドープ元素(X)を含む原料を混合して混合物を得る、混合工程と、
    前記混合物を加熱する、加熱工程と、を備え、
    前記加熱工程における加熱の際、前記混合物中に存在する硫黄元素量と銅元素量との関係が下記条件(3)を満たしていることを特徴とする、オキシサルファイドの製造方法。
    5.0<S/C …(3)
    (ここで、Sは前記混合物に含まれる硫黄元素の数、Cは前記混合物に含まれる銅元素の数である。)
  9. 請求項5又は6に記載の光触媒を用いた光水分解反応用電極。
  10. 請求項5又は6に記載の光触媒、或いは、請求項9に記載の光水分解反応用電極を、水又は電解質水溶液に浸漬し、該光触媒又は光水分解反応用電極に光を照射して光水分解を行う、水素の製造方法。
JP2014181210A 2013-09-10 2014-09-05 新規オキシサルファイド、オキシサルファイドの製造方法、それを用いた光触媒、光水分解反応用電極、及び、水素の製造方法 Active JP6320249B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014181210A JP6320249B2 (ja) 2013-09-10 2014-09-05 新規オキシサルファイド、オキシサルファイドの製造方法、それを用いた光触媒、光水分解反応用電極、及び、水素の製造方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013187789 2013-09-10
JP2013187789 2013-09-10
JP2014112477 2014-05-30
JP2014112477 2014-05-30
JP2014181210A JP6320249B2 (ja) 2013-09-10 2014-09-05 新規オキシサルファイド、オキシサルファイドの製造方法、それを用いた光触媒、光水分解反応用電極、及び、水素の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016005998A JP2016005998A (ja) 2016-01-14
JP6320249B2 true JP6320249B2 (ja) 2018-05-09

Family

ID=55224715

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014181210A Active JP6320249B2 (ja) 2013-09-10 2014-09-05 新規オキシサルファイド、オキシサルファイドの製造方法、それを用いた光触媒、光水分解反応用電極、及び、水素の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6320249B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6186262B2 (ja) * 2013-12-06 2017-08-23 株式会社 グリーンケミー 可視光領域応答触媒体とこれを利用した水の分解方法
JP6667309B2 (ja) * 2016-02-09 2020-03-18 株式会社日本触媒 排水処理用触媒およびこれを用いた排水の処理方法
CN105692799B (zh) * 2016-03-11 2018-07-13 中夏新能源(上海)有限公司 一种电化学废水处理方法
JP7230663B2 (ja) * 2018-09-18 2023-03-01 三菱ケミカル株式会社 光触媒と、この光触媒を用いた水素及び酸素の製造方法
JP7195184B2 (ja) * 2019-03-07 2022-12-23 三菱ケミカル株式会社 金属酸硫化物の製造方法
CN115569656B (zh) * 2022-09-29 2023-07-14 陕西师范大学 一种单点Mo-S物种修饰TiO2光催化剂的制备方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4107807B2 (ja) * 2001-02-07 2008-06-25 独立行政法人科学技術振興機構 水の可視光分解用オキシサルファイド光触媒
JP4029155B2 (ja) * 2003-07-25 2008-01-09 独立行政法人産業技術総合研究所 可視光応答性の膜状多孔質半導体光電極
JP5641499B2 (ja) * 2009-12-24 2014-12-17 三菱化学株式会社 光触媒を用いた光水分解反応用電極
JP5765678B2 (ja) * 2010-02-25 2015-08-19 三菱化学株式会社 光水分解反応用光触媒および光水分解反応用光触媒の製造方法
IN2014DN07512A (ja) * 2012-03-08 2015-04-24 Univ Tokyo

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016005998A (ja) 2016-01-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6320249B2 (ja) 新規オキシサルファイド、オキシサルファイドの製造方法、それを用いた光触媒、光水分解反応用電極、及び、水素の製造方法
Yang et al. Well-designed 3D ZnIn2S4 nanosheets/TiO2 nanobelts as direct Z-scheme photocatalysts for CO2 photoreduction into renewable hydrocarbon fuel with high efficiency
Guan et al. CdS@ Ni 3 S 2 core–shell nanorod arrays on nickel foam: a multifunctional catalyst for efficient electrochemical catalytic, photoelectrochemical and photocatalytic H 2 production reaction
Ganesh et al. Preparation and characterization of Cu-doped TiO2 materials for electrochemical, photoelectrochemical, and photocatalytic applications
Sun et al. Enhanced photocatalytic H 2 production on cadmium sulfide photocatalysts using nickel nitride as a novel cocatalyst
Ma et al. Visible-light-driven nonsacrificial water oxidation over tungsten trioxide powder modified with two different cocatalysts
Yoshinaga et al. Boosting photocatalytic overall water splitting by Co doping into Mn 3 O 4 nanoparticles as oxygen evolution cocatalysts
Liu et al. Water reduction and oxidation on Pt–Ru/Y 2 Ta 2 O 5 N 2 catalyst under visible light irradiation
JP6883799B2 (ja) 金属化合物の製造方法、光触媒の製造方法、および光触媒複合体の製造方法
JP2017039115A (ja) 複合光触媒の製造方法、及び、複合光触媒
JP7028393B2 (ja) 酸素生成用光触媒用助触媒、及び該助触媒を担持した酸素生成用光触媒、並びに複合体及び該複合体の製造方法
JPWO2019181392A1 (ja) 水分解用光触媒、電極および水分解装置
US20210130188A1 (en) Quantum material/vanadium oxide heterostructures, methods of making same, and uses thereof
Spetter et al. Solvothermal Synthesis of Molybdenum–Tungsten Oxides and Their Application for Photoelectrochemical Water Splitting
Lim et al. Expanded solar absorption spectrum to improve photoelectrochemical oxygen evolution reaction: Synergistic effect of upconversion nanoparticles and ZnFe2O4/TiO2
Agopcan et al. A new sulfur source for the preparation of efficient Cd (1-x) ZnxS photocatalyst for hydrogen evolution reaction
Leduc et al. Rare-earth-containing materials for photoelectrochemical water splitting applications
JP2019171284A (ja) 光触媒および水素生成用光触媒電極
Tan et al. Promoting CO2 reduction to formate selectivity on indium-doped tin oxide nanowires
Zhang et al. Growth of NiMn layered double hydroxides on nanopyramidal BiVO4 photoanode for enhanced photoelectrochemical performance
JP6823312B2 (ja) 銅バナジウム硫化物、光触媒、および助触媒担持Cu3VS4の製造方法
Pichaimuthu et al. Inserting Co and P into MoS 2 photocathodes: enhancing hydrogen evolution reaction catalytic performance by activating edges and basal planes with sulfur vacancies
Kuo et al. Hydrogen generation from water/methanol under visible light using aerogel prepared strontium titanate (SrTiO3) nanomaterials doped with ruthenium and rhodium metals
Aleksić et al. Enhancement of ZnO@ RuO2 bifunctional photo-electro catalytic activity toward water splitting
JPWO2019216284A1 (ja) 光触媒電極及び光触媒電極の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170214

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20170524

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170906

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170912

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171113

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180306

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180403

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6320249

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250