JP3601513B2 - 凹版、それを用いたプラズマディスプレイ背面板の製造方法、およびプラズマディスプレイパネル - Google Patents

凹版、それを用いたプラズマディスプレイ背面板の製造方法、およびプラズマディスプレイパネル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、凹版の凹部に硬化性ペーストを充填し、この硬化性ペーストを硬化した後、接着剤を介して被転写体へ転写する型取り転写法に使用する凹版に関するものである。特に、転写時に被転写体上のアライメントマークとのアライメントが必要な場合に好適な凹版に関するものである。さらに、該凹版をプラズマディスプレパネル(PDP)の背面板の製造に適用する場合に望ましい凹版の構造、製造方法、該背面板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
所望の形状の凹部を有する凹版の凹部に硬化性ペーストを充填して、硬化したペーストを接着剤を介して被転写体へ転写する方法が従来から知られている。本明細書においては、この方法を「型取り転写法」と呼ぶことにする。
【0003】
これまでに、型取り転写法の関連の方法として次のような開示がされている。特開昭63−134077号では、布に凹凸パターンを形成する方法を開示している。特開平5−241175号では、電子回路や電子素子を形成するための微細なレジストパターンを形成する方法を開示している。
【0004】
また、特開平7−329441号、特開平10−128862号は、プラズマディスプレイ背面板の隔壁の形成に型取り転写法を使用する場合の開示がされている。凹版に隔壁形成用の硬化性ペーストを充填し、硬化させてから接着剤を介してガラス基板上に転写する。プラズマディスプレイ背面板の隔壁の形成方法には、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、感光性ペースト法、型プレス法などもある。これらの方法と比較して、型取り転写法は、副材料や余分な材料の量が少なかったり、寸法精度が高かったり、得られる隔壁の形状が良好であったり、製造プロセスが簡単であったりするなどの利点が得られる可能性があるとして、総合的に見て、有望であるとされている。
【0005】
ここで、プラズマディスプレイの背面板の構造について、従来例を説明する。図1は、代表的な構造図である。ガラス基板21上にアドレス電極Aが設けられ、アドレス電極Aの両側に隔壁22が設けられている。隔壁22の間には蛍光体層23が設けられている。なお、図1の構造では、誘電体層はないが、隔壁22と蛍光体層23の下で、アドレス電極Aが形成されたガラス基板21上に誘電体層が設けられる形態もある。誘電体層と隔壁22とは通常別の材料を使用するが、同じ材料を使用することも可能である。
【0006】
型取り転写法で隔壁22を形成する場合、凹版の凹部だけに隔壁形成用の硬化性ペーストを充填し、ガラス基板21上に転写すれば、図1のような構造になる。また、アドレス電極A、誘電体層が形成されたガラス基板21に、凹版の凹部のみに隔壁形成用の硬化性ペーストを充填したものを転写すると、誘電体層と隔壁22とが別の材料からなる構造のプラズマディスプレイの背面板となる。また、凹版の凹部だけでなく凹部以外の部分にも隔壁形成用のペーストを設け、ガラス基板21上に転写すると、上述の、「隔壁22と誘電体層が同じ材料からなる」形態のプラズマディスプレイの背面板となる。
なお、ガラス基板21上のアドレス電極Aが二本の隔壁の中央部にくるように転写することが必要である。そのため、アライメントが必要である。
【0007】
型取り転写法に使用する凹版の構造について、従来例を記す。
凹部材としては、硬化したペーストに対して離型性を有する材料が好ましく、このような材料としては、シリコーンゴム、フッ素樹脂を使用することができる。但し、シリコーンゴムの方が離型性、凹部の形成のし易さからより好ましい。また、シリコーンゴムだけでは寸法精度を維持するのが難しいので、通常、裏打ち材をはり合わせて使用する。
プラズマディスプレイ背面板用の凹版の場合、シリコーンゴムとして、その硬度がHs30(JIS−A)程度を使用し、裏打ち材として、転写の際の位置精度を良くするために、その熱膨張率が特に小さい36%ニッケル鋼(インバー材)で厚さが0.3mmのものを使用するとの開示がある(特開平10−128862号参照)。また、シリコーンゴムとして、室温硬化型シリコーンゴムを使用し、裏打ち材としてインバー材(厚さ0.3mm)を使用するとの開示もある(特開平7−329441号)。
【0008】
次に、凹版の作成方法の従来例について記す。
凹版の作成方法としては、凸型母型に室温硬化型シリコーンを充填し、この室温硬化型シリコーンの上から裏打ち材を合わせてプレスし、室温硬化型シリコーンが硬化した後に、凸型母型を剥がし作成する方法が知られている(特開2000−98352号参照)。なお、本明細書では、上記のような、「元型に硬化性の液状材料を充填し、支持体を合わせて液状材料を硬化させてから、支持体に硬化した液状材料が残るように、支持体を剥がす」方法や、「元型に硬化性の液状材料を充填し、硬化させ、支持体を合わせ、支持体に硬化した液状材料が移るように、支持体を剥がす」方法を総称して「型取り法」と記してある。
【0009】
次に凸型母型について、従来例を記す。
凸型母型は、感光性樹脂を使用して作成する方法(特開2000−11865号)や金属を切削加工して作成する方法(特開2000−98352号参照)などが知られている。
【0010】
次にアライメントの仕方について、従来例を記載する。
一般に用いられている3ピン治具で得られる精度以上の精度が要求される場合には、凹版と被転写体の双方にアライメントマークを形成し、それを光学的に目視観察するか、あるいはCCD等を使用して、何らかの方法で位置を検出しながら、相対的位置を変化させ、ズレが最小となった時点でアライメント完了とする方法が一般的である。この目的に叶う方法、装置が例えば、特開平11−348227号に開示されている。一般的に、アライメントマークは、白黒の濃淡パターン、またはカラーパターンで形成され、CCDで検出する(特開平8−62415号参照)。
【0011】
次に、型取り転写法におけるアライメントについて従来例を記載する。
凹版にアライメントマークを形成する方法としては、レーザ加工機で凹版の一部分を除去する方法がある。例えば、特開平11−291345号では、凹版の凹部をレーザ加工機で除去することにより設けることが開示されており、この方法でアライメントマークを形成することもできる。しかし、この方法は、かなりの手間がかかる。
【0012】
アライメントする際に、作業温度での熱変動にともなう凹版の熱膨張、被転写体の熱膨張の差によるずれの問題がある。両者の熱膨張の大きさが異なると、転写パターンと被転写体上のパターンの間に相対的位置ずれが生じる。
実際に使用されているプラズマディスプレイ背面板の場合にはガラス基板の熱膨張率は8.3×10−6/℃である。一方、上述の凹版の裏打ち材として記載されているインバー材の熱膨張率は1.4×10−6/℃である。通常の空調の温度精度は、高々±2℃である。すると、最大で、13.8ppmの位置ずれが生じることになる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、型取り転写法は、
▲1▼型取り転写の際に、高いアライメント精度が要求される場合、凹版にアライメントマークの形成が必要であるが、従来のアライメントマークの形成方法は多数の凹版を作成する必要がある場合は、手間がかかるので実用的でない。
▲2▼凹版の耐久性に限界があるので(プラズマディスプレイの背面板の場合、凹部材として室温硬化型のシリコーンを使用すると、隔壁形成用の硬化性ペーストと反応して、離型性が低下する。現状、100回程度の転写が限界である。)、何回も型取り転写をするとなると多数の凹版が必要であるが、多数の凹版を安価に製造する方法が開発されていない。(プラズマディスプレイ背面板の隔壁形成用の凹版の凹部材として、室温硬化型のシリコーンゴムを使用する場合、シリコーンゴムを凸型母型に充填してから硬化するまで、1時間はかかるので、一枚の凹版を作成するのに、準備工程などを含めると3時間もかかってしまう。)
▲3▼型取り転写の際に、高いアライメントが要求される場合、型取り転写する作業環境温度に変動があると、従来知られている裏打ち材(インバー材)付きの凹版と被転写体の熱伸縮の差により、高精度のアライメントが実現できない。
といった問題がある。
【0014】
本発明は、多数の凹版を必要とする型取り転写法において、精確な位置にアライメントマークを容易に形成することができる凹版を提供する事を目的とする。特に、プラズマディスプレイの背面板製造に好適な型取り転写法およびそれに用いる安価な凹版を提供する事を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、凹部を有する凹部材とアライメントマークと可撓性裏打ち材とを有する凹版であって、該凹部材とアライメントマークとを凸型母型から型取り法により同一工程で作成したことを特徴とする凹版である。
【0016】
請求項2に記載の発明は、前記裏打ち材が厚さ0.05〜0.5mmの金属板であり、その0℃〜40℃での熱膨張率とプラズマディスプレイ背面板用のガラス基板の熱膨張率との差が±0.5×10−6/℃以内である温度範囲が4℃以上あることを特徴とする請求項1に記載の凹版である。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記凹部材が、JIS−Aゴム硬度50以上で転写領域の凹部材の厚さが0.3〜1.5mmの室温硬化型シリコーンゴムであることを特徴とする請求項2に記載の凹版である。
【0018】
請求項4に記載の発明は、前記凸型母型が、凹型母型から型取り法により作成したものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の凹版である。
【0019】
請求項5に記載の発明は、前記凹型母型が、前工程で作成した凸型母型から型取り法により作成したものであることを特徴とする請求項4に記載の凹版である。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の凹版に硬化性ペーストを充填し、該ペーストを硬化させた後に接着剤を介して被転写体にはりあわせ、前記アライメントマークと被転写体のアライメントマークとをアライメントした後に、硬化したペーストが被転写体に残るように凹版を剥がすことを特徴とするパターン形成方法である。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のパターン形成方法により少なくとも隔壁を形成することを特徴とするプラズマディスプレイ背面板の製造方法である。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の方法により少なくとも隔壁を形成したことを特徴とするプラズマディスプレイ背面板である。
【0023】
請求項9に記載の発明は、少なくともアライメントマークと隔壁とを有し、該アライメントマークと該隔壁とが同一材料であることを特徴とするプラズマディスプレイ背面板である。
【0024】
請求項10に記載の発明は、請求項8,9のいずれかに記載のプラズマディスプレイ背面板と、プラズマディスプレイ前面板とを有することを特徴とするプラズマディスプレイパネルである。
【0025】
<作用>
本発明では、凸型母型に凸パターン(PDPの場合は隔壁パターン)とアライメントマークが形成されており、その凸型母型から型取り法により凹版を作る。凸型母型の精度が良いことで、凹版の精度(凹部とアライメントマークとの相対的位置精度)も必然的に良くなる。
【0026】
また、凸型母型に形成するアライメントマークは、例えば、フォトリソ法で形成することができる。使用するフォトマスクのアライメントマークとパターン(PDPの場合は隔壁バターン)に対応するマスクを予め精確に形成しておけば、凸型母型の凸パターンとアライメントマークの相対的位置精度は保証される。当然、この凸型母型から作成される凹版の凹パターンとアライメントマークの相対的位置精度は保証される。
【0027】
また、被転写体と凹版の熱膨張率を、作業温度において、仕様値内で合わせているので、その作業温度で転写を行う限り、熱膨張によって精度が悪くなることはない。
【0028】
このような精確な凹版を使用して被転写体にパターンを形成するので、精確な位置にアライメントしてパターンを形成することができる。(PDPの場合は、ガラス基板上の電極とその上に設ける隔壁との相対的位置精度を保証できる。)
【0029】
また、少なくとも、隔壁とアライメントマークを有し、両者が同一材料であるプラズマディスプレイ背面板を提供できる。この場合、隔壁とアライメントマークを同一材料(同一工程)で作成できるという利点がある。
【0030】
また、凸型母型を、凹型母型から型取り法により作成することもできる。さらに、この凹型母型をその前工程で作成した凸型母型から作成することもできる。さらに、型取り法を4回以上多数回繰り返して、最終的な凹版を作成することもできる。従って、一番最初の元型が高価であっても、中間の凸型母型あるいは凹型母型を多数作ることにより、最終的な凹版を安価で多数作成することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
凹版について実施の形態を説明する。
まず、凹版の構造について説明する。
凹版は、凹部とアライメントマークとを有する凹部材と、裏打ち材からなる。凹版の構造例を図3に示す。図3において、301は裏打ち材、302は凹部材である。303はアライメントマークである。アライメントマークと凹部材は後述する方法により、型取り法で作成する。
【0032】
また、凹版を用いて型取り転写法により転写を行う環境の温度における熱伸縮が、被転写体の熱伸縮と所定値以内で一致することが、型取り転写法による転写時にアライメントするうえで一般的に好ましい。好ましくは、室温(0℃〜40℃)での凹版の裏打ち材の熱膨張率が被転写体の熱膨張率と±0.5×10−6/℃以内で一致する温度範囲が4℃以上あることが好ましい。この範囲以外の場合、凹版作成時の温度範囲や転写作業時の温度変化によって、アライメントの精度が、悪くなり実用的でなくなる。
【0033】
次に、凹部材として好適な材料について説明する。
凹部材としては、室温硬化型のシリコーンゴムを使用することができる。なお、硬化した硬化性ペーストに対する離型性の観点からは、他のタイプのシリコーンゴムでも大きな問題なく使用することができる。室温硬化型のシリコーンゴムの場合、型取り用のシリコーンゴムとして設計されているので、硬化時の収縮率が、0.1〜0.3%であって、母型の形状を忠実に型取りすることができるので、より好適である。
【0034】
室温硬化型のシリコーンゴムには、縮重合タイプと、付加重合タイプの2種類があるが、どちらも使用することができる。使用できる室温硬化型のシリコーンゴムの市販品の例としては、商品名TSE3502、TSE3508、TSE3466、TSE3402(いずれも東芝シリコーン社製)がある。また、オイルブリードタイプと称する、シリコーンオイルが表面にしみでて離型性を維持するように設計されているものもあるが、これを使用することもできる。シリコーンオイルは、隔壁を焼成する際、加熱分解して、微細なシリカの粉末になり、直ちにガラス基板、または隔壁用無機材料と反応し、吸収されると考えられる。
【0035】
次に、凹部材の硬度について説明する。
凹版への硬化性ペーストの充填において、ペーストの粘度や充填方法にもよるが、充填の際に加圧することは必須なので、凹部材が柔軟すぎると、その圧力で凹部材の凸部分が横に倒れたり、変形したりしてしまい、硬化性ペーストが凹部に均等に充填されにくくなる。例えば、隔壁形成用の紫外線硬化型ペーストは、焼成収縮率をできるだけ低く抑えるため、樹脂分量を低く抑えており、ペーストの粘度はかなり高い。この場合、充填方法として、ロールラミネーター方式(図5参照)を使用した場合に、凹部材の室温硬化型シリコーンゴムの硬度はJIS−Aゴム硬度で50以上であることが望ましい。室温硬化型シリコーンゴムのJIS−Aゴム硬度の最高値は、現状80であって、その場合でも格別な問題無く使える。しかしJIS−Aゴム硬度が100程度になると、被転写体の厚さムラを吸収できなくなる可能性がある。隔壁形成用の硬化性ペーストを充填する際に最も好ましいのは、JIS−Aゴム硬度60〜80の場合である。
【0036】
次に、凹部材の厚さについて説明する。
凹部材の厚さは、厚すぎると凹部材が変形し易くなるので、転写したパターンの寸法がずれる恐れがある。ずれが発生する原因となる作業は、被転写体と凹版とをはり合わせる作業と、このはり合わせた状態で位置合わせのために被転写体と凹版の相対的位置をずらす作業とである。例えば、凹部材として、室温硬化型のシリコーンゴムを使用し、ロールラミネーターではり合わせる場合(後述)、一番凹部材が変形し易いJIS−Aゴム硬度50の室温硬化型のシリコーンゴムで厚さが1.5mmの場合、ラミネートの巾方向のずれは±5ppm以下である。
【0037】
また、凹部材の厚さが薄すぎると、被転写体の厚さむらやロールの偏心による機械的な凹凸の影響をカバーすることが難しくなる。
【0038】
被転写体が剛性板の場合は、凹部材の厚さは、0.1〜2mmが、通常の用途において好適である。隔壁形成用の場合は、凹部材の厚さ(「転写領域(アライメントマークを形成する部分でない部分)」)が0.3〜1.5mmの範囲が好適である。
【0039】
被転写体がフィルム状の場合は、凹部材の厚さは、0.01mmまで薄くても構わない。さらに、水なしオフセット印刷に使用されているシリコーンゴムの厚さである1〜3μmの範囲でも、機械精度や被転写体の厚さむらや形成すべき転写体の仕様によっては、構わない。
【0040】
次に、凹版の裏打ち材について説明する。
まず、裏打ち材の厚さ、性状について説明する。
裏打ち材の好適な厚さ、性状は、凹版の使用方法によって異なる。凹版の厚さ、性状を規定する上で、考慮する必要があるのは、▲1▼硬化性ペーストの充填方法と、▲2▼接着剤を介しての凹版と被転写体とのはり合わせ方法と、▲3▼硬化性ペーストの硬化後に凹版を引き剥がす方法である。
【0041】
凹版への隔壁形成用の硬化性ペーストの充填方法として、特開平5−241175号(図5参照)の方法を用いた場合、裏打ち材の厚さ、性状に関係なくペーストを充填できるので、問題ない。
【0042】
次に、接着剤を介しての凹版と被転写体のはり合わせについて記載する。接着剤を介してのはり合わせにおいて、裏打ち材が厚すぎると、凹版の剛性が強くなり、接着剤を必要な厚さまで薄くすることが難しくなる。また、ガラス基板の厚さむらに追従して曲がることがなくなるため、接着剤の厚さむらが発生する。接着剤がすべて焼失する場合には、この点は、問題ないが、プラズマディスプレイ背面板の隔壁および絶縁体層(隔壁と同一材料)形成において、接着剤が絶縁体層の一部を兼ねる場合には、ガラスフリット分や粉体が入っているので、絶縁体層の厚さむらになってしまうので、問題である。
【0043】
凹版を被転写体から引き剥がす方法としては、端部から順次引き剥がす方法が、好適である。転写物の形状を正確に保持するために、被転写体は可撓性がないため、凹版の裏打ち材は可撓性があることが必要である。可撓性の程度としては、工程中で曲げ応力が一番強い引き剥がす工程の際に耐えられる程度であれば良い。引き剥がしに要する力は、凹版の繰り返し使用回数が増えるにつれて、増加する。表面の凹部材(例えば、室温硬化型のシリコーンゴム)がひきちぎれるまで耐えられることが望ましい。
上記したことから、裏打ち材としては、0.05〜0.5mmの金属板が望ましい。
【0044】
一例として、426鉄合金を用いる場合について、下記する。裏打ち材として426鉄合金を用いる場合、薄い方の限界は、経験的に0.2mm程度である。一方、厚い方の限界は、引き剥がしをスムーズに行うことができる程度に湾曲することができることが必要である。裏打ち材として、426鉄合金を用いる場合、厚い方の限界は0.7mmである。まとめると、0.2mm〜0.7mmが適用可能であり、より好ましくは、0.3mm〜0.4mmである。
【0045】
次に、凹版の作成工程の温度と、転写工程の温度が一致しない場合について、好適な裏打ち材について記載する。
この場合、温度が変化しても、凹版の絶対寸法ができるだけ変化しないようにする方策も有り得る策である。その場合は、インバー材を裏打ち材として使用することが最適である。
【0046】
次に、例として、プラズマディスプレイ背面板の隔壁を形成する場合に用いる凹版の裏打ち材ついて説明する。
隔壁形成用の硬化性ペーストを硬化して転写する際に、ガラス基板上の電極と、転写された隔壁の相対的位置ずれを小さくすることが必要である。そのために、室温(0℃〜40℃)で、凹版の裏打ち材と、プラズマディスプレイ背面板用のガラス基板(熱膨張率:8.3×10−6/℃)との熱膨張率が、±0.5×10−6/℃以内で一致する温度範囲が4℃以上ある材料が好ましく、具体的には、鉄ニッケル合金の1種である426鉄合金があり、その熱膨張率は8×10−6/℃である。この裏打ち材の厚さは0.2〜0.7mmの範囲が好適である。
凹版の裏打ち材と、プラズマディスプレイ背面板用のガラス基板との熱膨張率が±0.5×10−6/℃以内で一致しないと、凹版作成時の温度範囲や転写作業時の温度変化によって、アライメントの精度が、悪くなり実用的でなくなる。具体的には、隔壁と隔壁の間の中央部にアドレスが設けられなくなってしまう。
【0047】
将来的に、プラズマディスプレイ背面板用のガラス基板として、現在、液晶ディスプレイに使用されている低膨張ノンアルカリガラス(熱膨張率:4.7×10−6/℃)が使用されることも考えられる。その際には、裏打ち材として、鉄ニッケル合金の42材(熱膨張率:4×10−6/℃)が好ましい。42材の可撓性は、426鉄合金とほぼ等しいので、適当な厚さも0.2〜0.7mmである。
【0048】
さらに、プラズマディスプレイ背面板が超大型になった場合には、ガラス基板として石英ガラスを採用することも考えられる。この際の凹版の裏打ち材は、インバー合金が適当である。
【0049】
次に、凹版のアライメントマークについて説明する。
凹版のアライメントマークとして、その作成方法、使用方法、形状など実施の形態が複数あり、それらの実施の形態を以下に説明する。
【0050】
まず、凹版のアライメントマークの作成方法について、説明する。
凸型母型から型取り法により、アライメントマーク付きの凹部材を形成する。そのため、凸型母型はアライメントマークの逆パターンを有している必要がある。
【0051】
アライメントマークの逆パターンを有する凸型母型の作成方法について説明する。
凸型母型を作成する際に、凸型母型を部分的に(金型の場合)切削加工するなどして、アライメントマークの逆パターンとすることによって、凸型母型を作成することができる。また、凸型母型に別材料を付加してアライメントマークの逆パターンを作成することで、凸型母型を作成することもできる。
【0052】
次に、上記の凸型母型の作成例として、プラズマディスプレイ背面板の隔壁を形成する際の凹版の凸型母型の作成について詳述する。感光性材料を使用する例と、レーザー加工機により切削する例について詳述する。
【0053】
感光性材料を使う場合、まず、フォトマスクにアライメントマークに相当するパターンを形成しておく。その際、隔壁に相当するパターンもフォトマスクに形成しておく。さて、アライメントマークと隔壁に相当するパターンを同時に形成するには、まず、アライメントマークの厚さに相当する厚さの感光性材料の層を、(プラズマディスプレイ背面板用の)ガラス基板の上に形成する。そして、隔壁とアライメントマークの両方に相当するパターンが形成されているフォトマスクを使用して露光し、アライメントマークに相当する部分のみ現像することで、ガラス基板上にアライメントマークが形成できる。一方、隔壁に相当する部分は現像せずに、さらに、この部分のみ感光性材料層を設ける。そして、上記フォトマスクを使用して、ガラス基板上に形成されたアライメントマークと、フォトマスクのアライメントマークを合わせて露光する。隔壁に相当するパターンの感光性材料の厚さが所望の厚さまになるまで、この操作を繰り返す。その後、現像することで、アライメントマークと隔壁に相当するパターンを有する凸型母型を作成することができる。ここで、アライメントマークの厚さは、隔壁の10分の1程度で良い。この凸型母型を使用して、型取り法により凹版を作成することで、凹版の凹部材の凸部面にアライメントマークが形成される。
【0054】
また、パターン描画機を使用して、ガラス基板上に形成した感光性材料にアライメントマークを描画する方法で、凸型母型のアライメントマーク部分を作成する方法もある。
【0055】
レーザ加工機を使用して、凸型母型を切削して、アライメントマークの逆パターンに相当するパターンを形成する方法について説明する。
高精度のレーザ加工機(マーカ)を使用して、凸型母型の支持体となるガラス基板へ直接、アライメントマークを切削パターンとして、形成する。
【0056】
凸型母型のアライメントマークと隔壁に相当するパターンとを同時工程で形成しない場合には、両者の位置を合わせる必要がある。これについての具体例は実施例4に記載する。
【0057】
次に、凹版のアライメントマークの使用方法について、説明する。
凹版のアライメントマークをそのまま観察して使うこともできるし、着色して観察し易いようにして使っても良い。また、凹版のアライメントマークに何らかの材料を充填して、その材料を被転写体へ転写して、被転写体上にアライメントマークを形成する使用方法もある。
【0058】
凹版のアライメントマークの位置および観察方法について説明する。
被転写体が透明であって、被転写体を通してアライメントマークを肉眼で観察したり、CCDなどで検出することができる場合には、凹版上のアライメントマークは、通常は被転写体上のアライメントマークと同位置、あるいはその近傍でパターン同士が重ならない位置のどちらかが好ましい。同位置の場合は目視でアライメントマークを合わせる場合には好都合である。一方、CCDで位置を読み取る方式の場合には、アライメントマークの形状が凹版上のものと被転写体上のものが、丁度嵌め合い構造になるようにするのが一般的であり、異なった位置に設置する場合には、同一形状であることが、一般的である。
また、接着剤は透明なものを使用することができるので、アライメントマークが見えなくなることはない。
【0059】
アライメントマークは凹版の凹部材の凸部面にあると位置合わせの観察時に見やすいので、一般的に好ましい。凹版の裏打ち材が凹部材の大きさより大きく、裏打ち材の周辺部が凹部材からはみ出ており、その裏打ち材の凹部材からはみ出た周辺部に、裏打ち材の高さ付近にアライメントマークがある場合には、焦点深度の深いレンズ系で見ないと、被転写体のアライメントマークと同時にピントを合わせることが難しい。例えば、プラズマディスプレイ背面板の隔壁のように深さ方向の段差が200μm近くある場合には、凹版上のアライメントマークが凹版の裏打ち材付近にあると、アライメント精度として±5μmを達成するための解像度を得ることが困難である。
【0060】
一方、被転写体が不透明の場合は、図4に示す構成としてアライメントマークを観察、検出することができるようにする。すなわち、図4において、凹版は被転写体より大きなサイズとし、その上に形成するアライメントマークは被転写体の端部より外側に形成するようにする。また、被転写体上に形成されたアライメントマークの位置をCCD等の画像検出センサーで検出し、画像処理装置で位置情報を演算し、例えば、凹版上のアライメントマークの中心位置と被転写体上のアライメントマークの中心位置のずれを電気信号として出力し、電動式のX−Y−θテーブルに信号を入力することによって、両者の位置を合わせることができる。CCD等でアライメントマークの位置を検出した後は、極く普通の精密アライメントシステムを使用する。なお、被転写体がプラズマディスプレイ背面板のガラス基板の場合には、ガラス基板の不均等収縮等のアライメントマークの所定位置からのずれがあり得るので、アライメント位置のオフセット機能があるアライメントシステムが好ましい。
【0061】
次に、凹版上のアライメントマークを着色する形態について説明する。
アライメントマークが、凹版の凹部材の周辺部の一部を単に凹ませたりしただけのアライメントマークだと、透明な被転写体側から観察しても、アライメントマークのエッジが観察しづらく、アライメントマークを認識するのが難しい。そのため、凹んだ部分に着色した材料を詰めたりして、透明な被転写体から、凹版上のアライメントマークが観察し易いようにすることもできる。この着色した材料としては、シリコーンゴム製の硬化性カラーペーストを使用することができる。これは、着色剤を添加した硬化性のシリコーンゴム材である。凹部材のシリコーンゴムと類似した性状のものであり、接着性を確保することが容易なので好適である。着色する色については、アライメントマークの周囲部とコントラストがあることが必要である。
【0062】
次に、凹版上のアライメントマークの深さについて説明する。
アライメントマークの深さは、着色した場合、3〜5μmの範囲であれば、周囲とのコントラストがつくので、検出可能である。
【0063】
次に、凹版上のアライメントマークの形状について説明する。
平面形状としては、ドーナツ状の凹パターンでもいいし、十字状の凹パタンでもいいし、正方形の凹パターンを4つ並べたパターン(逆十字のようなパターン)でもいい。
断面形状としては凹凸パターンでもいいし、単純な凹パターンでも良い。凹凸バターンの場合、凹版の凹部材の転写領域の最表面より凹んだ部分と、転写領域の最表面より突出した部分とからなる。
【0064】
アライメントマークが、凹凸パターンの場合、硬化性ペーストを充填した際に、アライメントマークの凹凸パターン状にその硬化性ペーストが設けられても、凹凸パターンの凸部にはその硬化性ペーストが全く無いか、あるいは、あっても薄いので、被転写体とはり合わせて、転写する際に、その凸部が被転写体から観察できるので、アライメントマークとして好適である。(アライメントマークが、単純な凹パターンの場合、硬化性ペーストがその凹パターン上に設けられると、被転写体とのはり合わせ転写時に、硬化性ペーストが邪魔になり、アライメントマークを被転写体側から観察することができない。この場合、凹パターン上に設けられた硬化性ペーストは、硬化したあとで、そこの部分だけを引き剥がす。)
【0065】
また、凹凸パターンの凹部に何らかの材料を詰めて、転写時に、被転写体へ同時に転写するといった形態にも使用できる。この点について、以下に、詳述する。
【0066】
この凹凸パターンの凹部に充填する転写用の材料としては、被転写体を焼成した後に残るものでも、残らないものでも使用可能である。焼成すると焼失する材料としては、焼成用ペースト材に使用される樹脂、例えば、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂がある。着色する場合には、殆どの油性染料を使用することができる。一方、焼成後も転写されたアライメントマークを残したい場合には、例えば、プラズマディスプレイ背面板の隔壁形成用の硬化性ペーストを使用することができる。
【0067】
次に、型取り法により、凹版を作成する方法について、実施の形態を説明する。この説明については、実施例1,3に記載したような形態を取り得る。
【0068】
次に、凸型母型、凹型母型について実施の形態を説明する。
まず、凸型母型を元型とし、それを型取りし、凹版を作成することができる(この点には上記してある。)。さらに、この凸型母型を、元型である凹型母型から型取り法により作成し、作成された凸型母型から型取り法により凹版を作成することもできる。さらに、この凹型母型も、前工程で作成された凸型母型から型取り法により作成することが可能である。さらに、凸型母型と凹型母型を使って、4回以上で何回も、型取り法を繰り返すことにより、凹版を作成することができる。型取り法を多数回繰り返しても、材料や方法が適切ならば、凸型母型を1回だけ使用して型取り法により作成した凹版と、寸法、形状が一致している凹版を作成することができる。アライメントマークも、同様に、寸法、形状を忠実に再現することができる。
【0069】
次に、最初の元型および凹版作成直前の元型について説明する。
最初の元型は、凸型母型であっても、凹型母型であっても良い。凸型母型の凸パターンは、最終的に作成される凹版で形成されるパターンに対応していることが必要である。また、凹型母型は、その凹部が、凹版の凹部に対応していることが必要である。
凹版を作成する直前の元型は凸型母型であることが、当然、必要である。
【0070】
最初の元型(凸型母型あるいは凹型母型)としては、金属製の元型と、感光性材料で作成された元型とがある。
【0071】
最初の元型が金属製の元型である場合について、実施の形態を説明する。
最初の元型が金属製である場合、切削法、電鋳法、エッチング法で、この元型を作成することができる。金属製の最初の元型を、凸型母型あるいは凹型母型として、型取りする場合、熱伸縮が問題になるので、室温で型取りする方法が好ましい。金属の種類が傷つきやすく、加圧によって変形しやすい材料である場合は、型取りする際に使用する樹脂は、室温硬化型樹脂であることが好ましい。
【0072】
この室温硬化型の樹脂としては、例えば、室温硬化型のシリコーンゴム(特に、型取り用の室温硬化型シリコーンゴムが好ましい。)、2液硬化型のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂がある。また、金属製の元型と接着性が皆無のものが好ましい。万一の接着、剥離不良対策として、金属製の元型に離型剤(例えば、ダイキン社のダイフロン)を予め塗布しておく。
【0073】
なお、クロムメッキやニッケルメッキを施して表面硬度を増した金属製の元型を使用する場合、特に、インジェクション法を使用することが可能である。さらに、変形し難い金属を使用している場合には、プレス成形法を使用することが可能となる。
【0074】
室温硬化型のシリコーンゴムの場合には、気泡の混入は所定の方法によりほとんど皆無にすることができる。また、真空注型法を使用すれば、気泡混入を防止することができる。
【0075】
次に、最初の元型を感光性材料で作成する場合について、実施の形態を説明する。
感光性材料は脆い場合が多く、型取りする際には、型取り用の室温硬化型のシリコーンゴムを使用することが好ましい。
【0076】
次に、最初の元型から、型取り法により、凸型母型あるいは凹型母型を型取りする方法について実施の形態を説明する。
凸型母型を型取り法により作成した場合、凸型母型は、支持基板と凸部材とを有する。凹型母型を型取り法により形成した場合、凹型母型は、裏打ち材と凹部材とを有する。
【0077】
型取り法を何回も行う場合、凸型母型を作成する方法はどの段階でも共通にすることが出来、凹型母型を作成する方法もまたどの段階でも共通にすることができる。
【0078】
型取り法を行う場合、凹型母型の裏打ち材は、引き剥がす工程において変形する必要があることから、可撓性がある必要がある。また、凹型母型の凹部材は、ゴム弾性のあるシリコーンゴムが好適である。そして、主として寸法精度を確保するために、型取り時に、裏打ち材を貼り付けた状態で凸型母型から引き剥がす。
【0079】
一方、凸型母型の支持基板は、引き剥がす工程で、変形しないことが必要であることから、剛性がある必要がある。凸部材を紫外線硬化により硬化する際には、この剛性がある支持基板としては、ガラス板および透明なプラスチック板が好適である。但し、一般的には、最終製品の基板と同一の熱膨張率のものが好ましい。また、凸部材として、ゴム弾性のないもの、柔軟性のないものを使用する。例えば、室温硬化型のアクリル、エポキシ、ウレタン樹脂、および紫外線硬化型樹脂が好適である。さらに、室温より高い温度、例えば、100℃前後で融解状態から固化する材料も使用することができる。これは、凹型母型から引き剥がす際に、凸部材が変形したり、破壊したり、亀裂が発生したりすることを防止するためである。
【0080】
凸部材について詳述すると、シリコーンゴムの母型からいわゆる型取り法でプラスチック部材を作成する際に使用される樹脂や顕微鏡試料を固定するための埋め込み用樹脂が適度の硬度、柔軟性、強靭性をもっていて、取り扱いが楽であり、さらには硬化速度が速いという利点があり好都合である。凸部材として使用できる市販品例としては、KR351(エポキシ樹脂系:テムコファイン社製)、エポフィックス(エポキシ樹脂系:ストルアル社製)、SMT−210(ウレタン系:テムコファイン社製)、アクリフィックス(アクリル樹脂系:ストルアス社製)がある。紫外線硬化型樹脂としては、アクリル系のものが好ましい。隔壁形成用の硬化性ペースト中の有機分がその例である。市販品を調合してもよく、例えば、M6200(東亜合成社製)とHOA−HH(共栄化学社製)を等分に混合したものがある。これらの樹脂の硬化時の収縮率は1%以下である。従って、凹型母型、凸型母型を型取り法により繰り返して作成する工程を繰り返しても形状の変化はほとんどない。融解−固化する材料の例としては、ホットメルト材、硬質ワックスがある。さらに、形状の再現性を高くするためには、凸型母型の凸部材と、凹型母型の凹部材の硬化収縮率を合わせるのが好ましい。
【0081】
次に、凹型母型の凹部材について説明する。凹部材としては、例えば、凹版の凹部材に使用する室温硬化型シリコーンゴムを使用することができるが、より、硬度の低いシリコーンゴムも使用することができる。その理由は、凸型母型に使用する凸部材の硬度が0.5〜3Pa・Sと、かなり低いため、充填時の圧力を低くしても良いからである。市販品としては、例えば、KE1310ST、KE1311T(以上、信越シリコーン社製)がある。
【0082】
また、型取り法を行う場合、工程中や保存中に寸法変形を少なくするために、凸型母型の支持基板と、凹型母型の裏打ち材の熱膨張率はできるだけ近いことが好ましい。例えば、この組み合わせとして、凹型母型の裏打ち材を426合金にし、凸型母型の支持基板をソーダライムガラスとすることができる。その他にも、インバー合金と石英ガラスの組み合わせや、42合金と低膨張ノンアルカリガラスの組み合わせが好適である。
なお、プラズマディスプレイ背面板の隔壁を形成する場合には、凸型母型の支持基板として、プラズマディスプレイ背面板用のガラス基板を用いるのが好ましい。
他の用途の場合でも最終製品の基板と熱伸縮が同程度のものを使用することが望ましい。
【0083】
次に、凹型母型から凸型母型を作成する方法について説明する。
凹型母型から凸型母型を作成する方法は、上記の型取り法とほとんど同じ方法で良い。ロールラミネータのロールは金属製のものでもよいが、ゴムをライニングしてあるものの方が、好ましい。その理由は、支持体の厚さむらに起因する樹脂層または接着剤層の厚さむらをある程度緩和してくれるからである。凸型母型は焼成しないので、樹脂および接着剤は焼成すると焼失する特質を有しないもので構わない。接着剤は、凸型母型の支持基板と凸部材とを接着するのに良好であれば構わない。
【0084】
次に、凸型母型から凹型母型を作成する方法について説明する。
この方法についても、上記の型取り法とほとんど同じで良い。
【0085】
次に、この凹版を使用したパターンの形成方法の実施の形態を説明する。
凹版へ硬化性ペーストを充填する。その方法として、図5に示したロールラミネーターによる方法(特開平5−241175号参照)を使用することができる。ロールは金属製ロールでも、ゴムをライニングしたロールでもどちらでも良い。ロールラミネーターによる充填時にはカバーフィルムを硬化性ペーストの上から被せてラミネートする。この方法であると、硬化性ペーストの充填時に凹部に気泡ができてしまうのを防ぐことができる。また、この方法の場合、ごみの付着を防止でき、紫外線硬化型ペーストの場合は、紫外線硬化時の酸素障害を防止できるなどの多くの利点がある。
【0086】
硬化性ペーストが紫外線硬化型の場合、カバーフィルム上から紫外線を照射し、硬化性ペーストを硬化させる。硬化性ペーストが冷却することにより硬化するタイプの場合は、ペースト硬化温度より低い作業環境に置いて硬化させる。このロールラミネーターによる充填法では、凹部だけでなく凹部以外にも硬化性ペーストが均一の厚さで設けられる。この凹部以外にも設けられることで転写面積が大きくなり、被転写体へ転写しやすくなる。硬化性ペーストを硬化させた後はカバーフィルムを剥がす。
【0087】
もちろん、凹版へ硬化性ペーストを充填する方法は、上記の方法に限らない。凹部のみに硬化性ペーストを充填したい場合は、公知の手法で、凹版全面に硬化性ペーストを充填した後に、凹部以外に設けられたペーストをドクターでかきとればよい。かきとった後に、硬化性ペーストを硬化させる。
【0088】
接着剤を使用する形態としては、▲1▼硬化性ペーストが充填され硬化された凹版上の略全面に接着剤を塗布してから、被転写体とはり合わせる形態と、▲2▼被転写体の略全面に接着剤を塗布してから、硬化した硬化性ペーストを有する凹版とはり合わせる形態と、▲3▼被転写体の端部あるいは、硬化した硬化性ペーストを有する凹版の端部に接着剤を必要量もうけ、被転写体と凹版をその接着剤がある端部からはり合わせ、ロールラミネーター等ではり合わせながら、接着剤を略全面に広げていく形態がある。なお、条件を検討すれば、気泡が入らないようにすることができる。また、気泡をより入らなくするためには、真空プレス機や真空方式のロールラミネーターを使用すれば良い。
【0089】
接着剤としては、室温硬化型の低粘度の接着剤や紫外線硬化型の低粘度の接着剤(例えば、アクリル系樹脂などの接着剤)を使用することができる。本発明においては、硬化性ペーストが充填され硬化した凹版と被転写体を接着剤を介してはり合わせた後に、両者の相対的位置をずらしてアライメントするので、粘度の低い接着剤が好ましい。
【0090】
また、プラズマディスプレイ背面板の隔壁を型取り転写法で形成する場合には、隔壁形成用の硬化性ペーストに用いられている紫外線硬化性樹脂成分を接着剤として使用しても良い。この場合、隔壁の焼成工程において、脱バインダー条件を一つにすることができる利点がある。
【0091】
接着剤の厚さについて、以下▲1▼▲2▼に記載する。
▲1▼硬化性ペーストが充填され硬化した凹版と被転写体をはり合わせた最初のときから、接着剤が薄いと、両者の相対的位置をずらすことが難しくなる場合には、ずらすことが可能な厚さとしておき、厚い状態で両者をずらしてアライメントした後、仮止めした後、必要な厚さまで薄くする方法がとれる。接着剤の厚さを薄くする方法としては、平行プレス機あるいはロールプレス機によって加圧する方法がある。後者の方が生産性が良い。
仮止めの方法については、例えば、紫外線硬化型の接着剤を使用し、被転写体が透明な場合、紫外線を被転写体側から部分的に照射することで、仮止めとすることができる。部分的な紫外線の照射は、直径10mm程度で四隅4個所を硬化する形態や、1端辺を巾5mm程度硬化する形態がある。後者は、接着剤の厚さをロールプレス機で薄くする場合に好適であり、位置ずれが発生することはない。
【0092】
▲2▼例えば、被転写体が、プラズマディスプレイ背面板のガラス基板といった大サイズ(42インチ〜60インチ程度)のものの場合、粘度が略500cpsの接着剤で略20μmの厚さ以上あれば、両者をはり合わせた後にずらしてアライメントすることが可能である。
【0093】
次に、このプラズマディスプレイ背面板の隔壁を型取り転写法で形成する方法について説明する。但し、既に、型取り転写法の説明で、上記してある点については省略する。
【0094】
まず、プラズマディスプレイ背面板の構成として、その実施の形態が複数あるので、その点について記載する。
誘電体層が予めガラス基板上に形成してある場合は、隔壁のみを型取り転写法により形成する形態がある。また、誘電体層が予めガラス基板上に形成してあっても、凹版の凹部のみでなく凹部以外にも隔壁形成用の硬化性ペーストを充填し、硬化させてから、転写することもできる。この場合、誘電体層が2層の構成となる。
【0095】
誘電体層が予めガラス基板上に形成されていない場合は、隔壁のみを型取り転写法により形成することも可能である。また、凹版の凹部以外にも隔壁形成用の硬化性ペーストを充填し、硬化してから転写することもできる。この場合は、隔壁と誘電体層の材料が同一となる。
【0096】
次に、隔壁形状について説明する。隔壁形状としては、図1に示す直線の形態や、図2に示す蛇行した形態、格子状の形態などがある。なお、図1の形態の場合、隔壁の仕様は画素数や画面サイズによって異なるが、高さが100〜200μm、巾が20〜70μm、ピッチが100〜500μmである。
その隔壁の形状に合わせて凸型母型を形成し、型取り法により凹版を形成する。
【0097】
次に、プラズマディスプレイ背面板を構成する部材について説明する。
プラズマディスプレイ背面板用のガラス基板としては、上述にも熱膨張率について記載したが、それ以外でも、プラズマディスプレイ背面板用として公知のものが使用できる。
【0098】
ガラス基板上にアドレス電極、アライメントマークを設け、さらに、必要に応じて誘電体層を設ける。アドレス電極のガラス基板上への形成方法、さらに、その上の誘電体層の形成方法は、公知の方法を使用することができる。
【0099】
また、ガラス基板上にアドレス電極に対応したアライメントマークを形成する。アライメントマークの形成方法については、例えば、アドレス電極と同じ材料で、アドレス電極形成と同時にスクリーン印刷で形成する方法がある。それ以外でも、公知の方法でアライメントマークを作成することができる。
【0100】
隔壁形成用の硬化性ペーストとしては、焼成すると目的の隔壁組成をうることができるペーストを使用する。硬化の仕方として、紫外線硬化型、室温硬化型、加熱硬化型などのタイプを使用することができる。
【0101】
隔壁形成用の硬化性ペーストの凹版への充填方法としては、特開平5−241175号に記載されている方法を使用することができる。この方法では、裏打ち材の厚さ、性状によらずに、隔壁形成用の硬化性ペーストを凹部に充填し、凹部以外の部分にも均一な厚さでペーストを設けることができる。凹部以外のペーストを取り除きたい場合には、ドクターでかくなどして取り除く。
【0102】
次に、隔壁形成用の硬化性ペーストを硬化させ、接着剤を介して、アライメントしながら、ガラス基板とはり合わせ転写する。
アライメント方法、転写方法については、上記した方法を採用することができる。
【0103】
次に、前面板と背面板を有するパネル全体について実施の形態を説明する。
上記のプラズマディスプレイ背面板の製造方法で製造した背面板と、公知の前面板とをはり合わせてプラズマディスプレイパネル全体とすることができる。はり合わせ方法も公知の方法を使用できる。
【0104】
なお、型取り転写法によるパターン形成において、具体例としてはプラズマディスプレイ背面板の隔壁形成についてのみ詳述したが、他の製品のパターン形成にももちろん適用可能である。
たとえば、レコード盤、CD盤、木目化粧板、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズである。しかし、これらの場合には、現状、凹版に相当するものの上に、型取りしたアライメントマークは設けていない。これらの製品作成において、本発明のアライメントマークの形成法を使用すれば、有効となる可能性がある。また、例えば、特開平6−85634号、特開平9−162066号に開示されているセラミック回路板・積層板の製造には、アライメントが必要であり、これらを製造する際に、本発明はかなり有効であると考えられる。また、同様に、印刷回路板、積層板の製造においても利用可能である。
【0105】
また、本願発明において、型取り転写法でパターンを形成する際に、接着剤を介することを前提として、以上では、記載してある。しかしながら、接着剤を介さない場合で以下の形態の場合も、本願発明に含むとする。凹版に硬化性ペーストを充填し、硬化させるが、その際に、硬化性ペーストの外側の表面は多少流動性があるようにしておく。その後、被転写体に、この凹版をはり合わせ、凹版と被転写体をはり合わせ、両者の相対的位置をずらしてアライメントし、硬化性ペーストの流動性がある部分も硬化させて、被転写体に接着させた後に、凹版を引き剥がす。つまり、この形態の場合、流動性のある硬化性ペーストの部分が接着剤となる。なお、凹版に硬化性ペーストを充填し、硬化させる方法としては、前記の方法(ロールブレスによるラミネート)により充填する方法が好適である。そして、例えば、紫外線を凹版側から、適量照射し、ラミネートフィルム側の硬化性ペーストが流動性がある状態において、ラミネートフィルムを剥がす。この凹版と被転写体をはり合わせる際も、ロールラミネーターを使用し、端からはり合わせていく。このようにすることによって、気泡の混入を防げる。さらに、硬化性ペーストが、完全に硬化した際に、凹版からは剥がれ易く、被転写体には接着し易いように、硬化性ペーストの材料を適宜選定する必要がある。
【0106】
【実施例】
以下に、実施例で、本願発明を説明する。
【0107】
<実施例1>
凸型母型としてガラス基板上に感光性樹脂で隔壁パターンとアライメントマークを形成したものを使用して、凹版を作成した例について図6、図7に基づいて記す。
図6(a)において、フォトマスクとして、ガラス基板に実際の背面板に使用するPD200(旭硝子製)を使用したエマルジョンマスク(クロムマスク)を作成した。パターンは50インチサイズ、XGA仕様の隔壁パターン(巾50μm、330μmのピッチ)とアライメントマークであり、隔壁パターンは設計仕様そのままのピッチ、巾とした。アライメントマークは、電極のアライメントマークと重なる位置に形成した。アライメントマークのパターンは、電極のそれとはめ込みパターンとなるものである。
【0108】
別に、ガラス基板として、実際に背面板として隔壁を形成するガラス基板と同じPD200(旭硝子製)を用い、その上に厚さ50μmのDFR(日立化成製#9150)を所定の条件で全面に加熱ラミネートして、貼着した。そのDFRに大型露光機を使用して上記のフォトマスクのパターンをアライメント露光した。
【0109】
図6(b)は、アライメントマークとその周辺部分だけを現像してアライメントマークを現出させた状態を示す。
図6(c)は、アライメントマーク部以外の部分にさらにDFRを貼り、現出させたアライメントマークを使用してアライメント露光する工程を、2回繰り返した状態を示す。
図6(d)は、さらに(c)の工程を2回繰り返した状態を示す。
図6(e)は、これを、現像機を使用し1wt%の炭酸ナトリウム液でスプレー現像し、巾50μm、高さ200μmの隔壁パターンとアライメントマークを具備している元型を得た状態を示す。
【0110】
次に、図5に示す方法と同様な方法を用いて、図7(a)に示すように、室温硬化型シリコーンゴム(TSE3508:東芝シリコーン製)に所定の硬化剤を添加し、真空脱泡したものを、この凸型母型の上の1辺の端に置き、さらに厚さ0.3mmの426合金板にシリコーンゴム用プライマー(ME121:東芝シリコーン)を塗布したものを重ね、ロールプレスで広げながら凸型母型へシリコーンゴム剤を充填した。
図7(b)に示すように、硬化後、端から引き離すと硬化したシリコーンゴムが426合金の板へ貼着した状態で剥離した。シリコーンゴムの厚さは(表面までで)約700μmあった。また、アライメントマーク部の高さは、隔壁部のシリコーンゴムの表層と同じであった。
次に、図7(c)(d)に示すように、この凹版のアライメントマーク部の凹部に、シリコーンゴム(TSE3508)硬化剤を添加したものにシリコーンゴム用着色剤(カラーマスターME−50B:東芝シリコーン)を混入して黒色に着色したものを手で充填した。硬化後、表面を薄く削ぎ取ると、白黒の境界がはっきりとした、しかも白部と黒部がしっかりと接着したアライメントマークとなった。
【0111】
<実施例2>
実施例1で作成したシリコーンゴムの凹版を凹型母型として、凸型母型をアクリル樹脂系の紫外線硬化樹脂を使用して型取り法により作成した例を示す。ただし、実施例1の最後の工程、着色したシリコーンゴムをアライメントマークの凹部の充填する工程、を経ないものを使用した。
図5に示すように、シリコーンゴム製凹型母型の一辺の端部にアクリル系樹脂の紫外線硬化ペースト(アロニックス M−6200、東亜合成製:HOA−HH、共栄社化学製:イルガキュアー#890、チバガイギー製=7:3:0、5)を置き、その上に剥離剤処理を施したポリエステルフィルムを重ね、端部からペーストを広げるようにロールプレスを行い、ペーストを凹部に充填した。その状態で紫外線を照射してペーストを硬化した。次に、ポリエステルフィルムを引き剥がした。但し、図5においては充填する方向と凹部の方向が直交しているが、理解しやすいためにこのように図示しているのであって、実際は充填する方向と凹部の方向は同じ方向である。
【0112】
次に、支持基板とするPD−200ガラス板(厚さ2.8mm)の一辺へ、所定量の硬化剤を添加したエポキシ樹脂(スタフィックス:丸本ストルファス社製)を置き、その上に上記の硬化したペーストが充填された凹型母型を向かい合わせに置き、端からロールプレスしてエポキシ樹脂を押し広げた。エポキシ樹脂が硬化した後、426合金板を端からもちあげると、硬化したペーストはガラス板に接着した状態でシリコーンゴム凹型母型から剥離(脱型)した。ガラス基板上のアライメントマークは凹型母型に形成されているDFRのものと凹凸が逆であるが同一形状であった。
【0113】
この凸型母型のアライメントマーク部の凹部を、CCDの位置検出装置(アライメント装置の位置検出部分)に照明系を工夫して凹凸パターンのエッジが検出できるようにしたもので観察、位置読みとりを行った。およそ±2μmの位置精度で位置測定を行なうことができた。アライメントマーク間の寸法変化は、−2μmであった。(なお、寸法は23±2℃の部屋で測定した。)
【0114】
<実施例3>
実施例2で作成した凸型母型を使用して、凹版を作成した例について記す。基本的には、実施例1で凹版を作成した工程と同じでかまわないが、ここでは若干変えた場合について記す。
室温硬化型シリコーンゴム(TSE3508:東芝シリコーン製)に所定の硬化剤を添加し、真空脱泡したものを、この凸型母型の上の1辺の端に置き、さらに厚さ0.3mmの426合金にシリコーンゴム用プライマー(ME121:東芝シリコーン)を塗布したものを重ね、真空ロールプレス機(基本構造はニチゴー・モートン製のVA510Pに同じ)で広げながら凹部へシリコーンゴム剤を充填した。硬化後、端から引き離すと硬化したシリコーンゴムが426合金の板へ貼着した状態で剥離した。シリコーンゴムの厚さは最上面までで約800μmであった。また、アライメントマーク部の高さは、隔壁部のシリコーンゴムの表層と同じであった。
なお、この凸型母型の耐久性は、実績として凹版を100枚作成しても問題なかった。
【0115】
<実施例4>
隔壁部を切削法で作成した元型を使い、アライメントマーク部を感光性材料で形成した凸型母型を作成し、凹版を型取り法で形成した例を図8に基づいて記す。
図8(a)、(b)に示した金型を切削法で形成し元型とした。図8(a)は断面形状であり、(b)は平面形状である。切削母型なので隔壁端部は金属板の端部まで切削された状態になっている。この切削型の断面形状を感光性樹脂で精度良く形成することはかなり困難である。この金型から実施例1と同じようにして、厚さ0.2mmの426合金の裏打ち材と凹部材厚0.8mmの室温硬化型シリコーンゴムの凹部を有する凹型母型を得た。このもののシリコーンゴムの層の周辺部分をカッターで削り取って所望する隔壁領域のみに隔壁の逆パターンがあるようにして、凹型母型を得た(図8(c))。この様に形成・加工した凹型母型から実施例2と同じようにして、ガラス基板(PD−200、厚さ2.8mm)の上に硬化性樹脂の凸部を有する凸型母型のアライメントマークなしのものを作成した。この凸型母型の一部分の上の凸部材で最終製品で隔壁に対応しない部分、をカッターで切除した。
【0116】
次に、アライメントマークが形成される位置にアライメントマークより大きなサイズに切断したDFR(#9150、厚さ50μm日立化成製)を接着剤で貼り付けた。図8(d)に示したように、このガラス基板を、大型露光装置の被露光材をセットする場所にセットした。フォトマスクとしてアライメントマークと隔壁パターンが描画されているものを作成し、露光機のフォトマスク側にセットした。露光機の観察系で隔壁の位置を観察しながらアライメント機構を操作して、フォトマスクの隔壁パターンと、凸型母型の隔壁パターンが一致するようにした。その状態で露光して、フォトマスクのアライメントマークをDFRに焼き付けた。このガラス基板を露光機から取り外して、DFRレジストの現像液で現像して凹凸状のDFR製アライメントマークを得た。このようにして切削による隔壁パターンと感光性樹脂によるアライメントマークを合成した凸型母型を得た。4個のアライメントマークと隔壁の位置関係を測定したところ、隔壁の方向と垂直な方向について、仕様値に対してー2〜+3μmのズレであった。
【0117】
この凸型母型から、上記例と同様にしてシリコーンゴム製の凹型母型を作成し、さらにそれから、凸型母型を作成し、凹版作成用の凸型母型とし凹版を作成した。
【0118】
アライメントマーク間の寸法は設計値に対して+3μmであり、隔壁とアライメントマーク間の相対的な位置関係は隔壁と垂直な方向についてー3〜+4μmのズレであった。このようなかなり多くの転写工程を経たが、ガラス基板と裏打ち材と支持基板との熱膨張率が極めて一致しているので、通常の温度調整精度範囲の±2℃で作業しても、充分な寸法精度を維持することができた。なお、この凹版を使用して実際の隔壁ペーストの転写を行う場合には、アライメント装置にオフセット機構を備えたものを使用して、隔壁とアライメントマークの位置関係を補正してアライメントを行った。
【0119】
【発明の効果】
本発明では、凸型母型に凸パターン(PDPの場合は隔壁パターン)とアライメントマークが形成されており、その凸型母型から型取り法により凹版を作る。凸型母型の精度が良いことで、凹版の精度(凹部とアライメントマークとの相対的位置精度)も必然的に良くすることができる。
【0120】
また、凸型母型に形成するアライメントマークは、例えば、フォトリソ法で形成することができる。使用するフォトマスクのアライメントマークとパターン(PDPの場合は隔壁バターン)に対応するマスクを予め精確に形成しておけば、凸型母型の凸パターンとアライメントマークの相対的位置精度は保証される。当然、この凸型母型から作成される凹版の凹パターンとアライメントマークの相対的位置精度を保証することができる。
【0121】
また、被転写体と凹版の熱膨張率を、作業温度において、仕様値内で合わせているので、その作業温度で転写を行う限り、熱膨張によって精度が悪くなることはない。
【0122】
このような精確な凹版を使用してアライメントして被転写体にパターンを形成するので、精確な位置にパターンを形成することができる。(PDPの場合は、ガラス基板上の電極とその上に設ける隔壁との相対的位置精度を保証できる。)
【0123】
また、少なくとも、隔壁とアライメントマークを有し、両者が同一材料であるプラズマディスプレイ背面板を提供できる。この場合、隔壁とアライメントマークを同一材料(同一工程)で作成できるという利点がある。
【0124】
また、凸型母型を、凹型母型から型取り法により作成することもできる。さらに、この凹型母型をその前工程で作成した凸型母型から作成することもできる。さらに、型取り法を4回以上多数回繰り返して、最終的な凹版を作成することがきる。従って、一番最初の元型が高価であっても、中間の凸型母型あるいは凹型母型を多数作ることにより、最終的な凹版を安価で多数作成することができる。
【0125】
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマディスプレイパネルの従来構造を示す説明図。
【図2】蛇行リブを有するプラズマディスプレイパネルの構造を示す説明図。
【図3】凹版の構成を示す断面図。
【図4】被転写体が不透明である場合のアライメントマークの観察法を示す説明図。
【図5】ロールラミネーターによって凹版へ硬化性ペーストを充填する工程を示す説明図。
【図6】実施例1における凸型母型を作成する工程を示す説明図。
【図7】実施例1における凸型母型よりの凹版を作成する工程を示す説明図。
【図8】切削元型を使用したアライメントマーク入り凸型母型の製造方法を示す説明図。
【符号の説明】
11…前面板用ガラス基板
12…透明電極
13…金属電極
21…背面板用ガラス基板
22…隔壁
23…蛍光体層
301…裏打ち材
302…凹部材
303…アライメントマーク
41…凹版
42…CCD観察系(2)
43…被転写体上のアライメントマーク
44…被転写体
45…不透明被転写体
46…凹版上のアライメントマーク
47…CCD観察系(1)
51…凹版
52…硬化性ペースト
53…剥離剤付きポリエステルフィルム
54…ロール
X…表示電極
Y…表示電極
A…アドレス電極
U…サブピクセル

Claims (10)

  1. 凹部を有する凹部材とアライメントマークと可撓性裏打ち材とを有する凹版であって、該凹部材とアライメントマークとを凸型母型から型取り法により同一工程で作成したことを特徴とする凹版。
  2. 前記裏打ち材が、厚さ0.05〜0.5mmの金属板からなり、その0℃〜40℃においての熱膨張率とプラズマディスプレイ背面板用のガラス基板の熱膨張率との差が±0.5×10−6/℃以内となる温度範囲が4℃以上あることを特徴とする請求項1に記載の凹版。
  3. 前記凹部材が、JIS−Aゴム硬度50以上で転写領域の凹部材の厚さが0.3〜1.5mmの室温硬化型シリコーンゴムであることを特徴とする請求項2に記載の凹版。
  4. 前記凸型母型が、凹型母型から型取り法により作成したものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の凹版。
  5. 前記凹型母型が、前工程で作成した凸型母型から型取り法により作成したものであることを特徴とする請求項4に記載の凹版。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の凹版に硬化性ペーストを充填し、該ペーストを硬化させた後、接着剤を介して被転写体にはりあわせ、前記アライメントマークと被転写体のアライメントマークとをアライメントした後に、硬化したペーストが被転写体に残るように凹版を剥がすことを特徴とするパターン形成方法。
  7. 請求項6に記載のパターン形成方法により少なくとも隔壁を形成することを特徴とするプラズマディスプレイ背面板の製造方法。
  8. 請求項6に記載の方法により少なくとも隔壁を形成したことを特徴とするプラズマディスプレイ背面板。
  9. 少なくともアライメントマークと隔壁とを有し、該アライメントマークと該隔壁とが同一材料であることを特徴とするプラズマディスプレイ背面板。
  10. 請求項8,9のいずれかに記載のプラズマディスプレイ背面板と、プラズマディスプレイ前面板とを有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
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