JP3599119B2 - 缶内面用塗料組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、硬化性、加工性、フレーバー性等に優れ、塗装物の焼付時にヒュームの発生が極めて少ない新規なレゾール型フェノール樹脂を使用した缶内面用塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
食缶や飲料缶などの内面には金属の溶出や缶の腐食を防止するために内面用塗料が塗装されている。この塗料は食品と触れるため金属板との密着性、耐内容物性、耐水性の優れたエポキシ−レゾール型フェノール樹脂系塗料が主に用いられている。食缶や飲料缶はこの内面用塗料を金属板に塗装焼付した塗装板を加工することによって得られるが、近年DR缶(Draw and Redraw)やトリプルネックイン加工など缶種や缶型の多様化が進んでおり、これまで以上の加工性が要求されるようになった。さらに近年の環境意識の高まりから、塗料から発生するヒューム(塗料をオーブンで焼き付けた時、塗料中の低分子量成分や塗膜の一部が熱分解で揮発し、オーブンから排出されずにオーブン内で熱履歴を受けたもの)の問題がクローズアップされている。エポキシ−レゾール型フェノール樹脂系塗料では硬化型樹脂であるフェノール樹脂に塗膜物性が大きく依存しているが、この加工性を改良するために、例えば特開平2−228314号公報にはビスフェノール類からなるレゾール型フェノール樹脂をアルコキシ化する方法が報告されている。ところがこの場合はフェノール樹脂のメチロール基をアルコールでアルコキシ化しているため、このフェノール樹脂を塗料化して焼付塗膜を形成する際、脱アルコールによって塗膜が発泡する。さらにアルコキシ化によってフェノール樹脂の低分子量成分の反応性が低下し、塗料のヒュームの発生(以下ヒューム性と略す)が増加する。ビスフェノール類を原料とするフェノール樹脂は下地との密着性に優れた特徴を有するが、さまざまな塗料性能のバランスを保ちつつ加工性を改良するためには、ビスフェノール類だけからなるフェノール樹脂では不十分である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は加工性に優れ、硬化性、密着性、耐熱水性、フレーバー性、ヒューム性を満足する高性能の缶内面用塗料を得ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の課題解決のため鋭意研究を重ね、フェノール樹脂の合成方法が塗料としての性能に影響を与えること、及び、フェノール樹脂中のヘミホルマール基がヒュームの主な原因であることを見いだした。本発明は、レゾール型フェノール樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び有機溶剤からなる缶内面用塗料組成物に於いて、上記レゾール型フェノール樹脂が、(1)二官能性フェノール類(A)とホルムアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下で反応させて得られるフェノール樹脂に、(2)ビスフェノール類(B)をモル比でB/Aが1/3〜4/1の割合で反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂を、(3)洗浄処理することにより、樹脂中のヘミホルマール基のフェノール核に対するモル比が5%以下であるレゾール型フェノール樹脂であることを特徴とする缶内面用塗料組成物である。
【0005】
更に、前記レゾール型フェノール樹脂を温度60℃乃至100℃での温水洗浄処理を施すことによって得られるレゾール型フェノール樹脂を用いた缶内面用塗料組成物である。
【0006】
本発明のレゾール型フェノール樹脂は、以下の3段階の工程によって得られる。第1工程において二官能フェノール類とホルムアルデヒドから線状のレゾール型フェノールを合成し、第2工程においてビスフェノール類の付加とメチロール化を行い、第3工程の洗浄工程によって低分子量成分を除去する方法である。第2工程で得られたレゾール型フェノール樹脂は、線状の二官能性フェノール樹脂にビスフェノール類が結合した構造、もしくは二官能性フェノール樹脂とビスフェノール類が交互に連鎖した構造であり、二官能性フェノール類によって可撓性をもたせ、ビスフェノール類によって硬化性をもたせ、二官能性フェノール類とビスフェノール類との比を調整することによって塗膜の架橋密度をコントロールして塗料性能の向上を図ることが出来る。
【0007】
さらに得られたレゾール型フェノール樹脂を第3工程として洗浄することによって、ヘミホルマール体、残留ホルムアルデヒド、モノマー等を除去する。すなわち従来のレゾール型フェノール樹脂とビスフェノールA型エポキシ樹脂からなる缶内面用塗料をオーブンで焼付する際、フェノール樹脂中のヘミホルマール体はメチロール体と比較して、高分子化への架橋反応が遅いため、揮発してヒュームの原因となり、また塗料フェノール樹脂中のヘミホルマール体末端の水酸基が反応して塗膜化しても、中間のエーテルが熱分解で切れ易いためヒュームの原因となるためである。
【0008】
以下、レゾール型フェノール樹脂の製造について詳述するがこの製造に於いては二官能性フェノール類とビスフェノール類との反応順序が重要である。二官能性フェノール類とビスフェノール類とを同時に反応させた場合や先にビスフェノール類を反応させた後、二官能性フェノール類を反応させた場合では、反応速度に著しい差がないことから、二官能性フェノール類の一部又は大部分は反応せずにモノマーとして残ってしまい、塗料化した時にフレーバー性、ヒューム性に悪い影響を与えるばかりでなく、樹脂構造を制御することが出来ず、要求性能を満たす塗膜物性を得ることが出来ない。
【0009】
本発明に使用する二官能性フェノール類としては、p−クレゾール、o−クレゾール、p−エチルフェノール、p−プロピルフェノール、p−オクチルフェノール、p−メトキシフェノール、p−ノニルフェノール、p−t−ブチルフェノールなどが挙げられ、これらは単独もしくは二種以上を混合して用いられる。またホルムアルデヒド供給物質としては、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミンなどが使用できる。
【0010】
第1工程はアルカリ触媒存在下、二官能性フェノール類とホルムアルデヒド類とを反応させることによって二官能性フェノール類のメチロール化とそれに続く脱水縮合であり、ここで使用した二官能性フェノール類をすべて反応させ、メチロール化もしくは高分子量化させることが好ましい。
【0011】
レゾール型フェノール樹脂を合成する際には、従来公知のアルカリ触媒を使用しても良い。その様なアルカリ触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウムのようなアルカリ土類金属水酸化物、塩基性金属塩、トリメチルアミン、トリエチルアミンのようなアミン類、アンモニア等を単独もしくは二種以上を混合して使用することができる。
【0012】
二官能性フェノール類はビスフェノール類等に比べて反応性が遅いため、アルカリ触媒の使用量は、二官能性フェノール類1モルに対して、0.05モルから1.0モルとするのが望ましい。またホルムアルデヒドは第2工程での反応にも使用されるため、ホルムアルデヒドの使用量は過剰量を必要とし、二官能性フェノール類1モルに対してホルムアルデヒドを2モルから15モルとするのが望ましい。
【0013】
第1工程の反応条件は50乃至120℃で1乃至10時間、好ましくは60乃至100℃で2乃至6時間が望ましく、蒸発する水、ホルムアルデヒド等を還流しながら反応させる。第1工程において重要な点は、二官能性フェノール類の縮合反応を進ませることであり、そのためには反応温度をできるだけ高くすることであるが、大気圧下で反応温度が100℃を超えると水が沸騰して泡立ちが激しくなる。一方60℃以下では反応が遅く、反応時間が長くなってしまう。第1工程終了の段階でのフェノール樹脂中間物の重量平均分子量については特に制限がないが、第2工程での樹脂化反応を円滑に進めるために、好ましくは重量平均分子量が400乃至1300の間とすることが好ましい。
【0014】
第2工程では、ビスフェノール類を加えることによって第1工程で得られたフェノール樹脂とビスフェノール類とを脱水縮合させ、高分子量化を行う。第2工程で用いるビスフェノール類としては、ビスフェノールA、ビスフェノールB、およびビスフェノールFなどが使用でき、これらは単独もしくは二種以上を混合して用いることが出来る。第1工程および第2工程は水もしくは有機溶剤中で反応を行うことができ、コスト面から水を使用することが好ましく、またホルマリン中に含まれる水だけを反応媒体として反応させることも可能である。
【0015】
第2工程で用いられるビスフェノール類の使用量は、第1工程で用いた二官能性フェノール類1モルに対して、0.33モルから4.0モルが好ましい。より好ましくは0.5モルから2.0モルである。ビスフェノール類が0.33モルより少ないと得られたフェノール樹脂を用いた塗膜の硬化性、密着性が悪化して耐水性も悪くなる。またビスフェノール類が4モルを超えると加工性が悪くなる。第2工程で用いられるビスフェノール類の使用量を変えることによって、要求性能にあったフェノール樹脂を設計することができる。
【0016】
第2工程では、ビスフェノール類を加えるだけで反応を進めるか、もしくは第2工程でさらに触媒とホルムアルデヒドを加えて反応を進めることができる。第2工程でさらに触媒とホルムアルデヒドを加える場合は、第1工程のものと同様のものが使用できる。第2工程は比較的穏和な条件下60乃至120℃で1乃至6時間、好ましくは70乃至100℃で1乃至4時間加熱し、蒸発する水、ホルムアルデヒド等を還流しながら反応させる。
【0017】
第3工程では得られた生成物に水もしくは温水を加えて生成物を1乃至数回洗浄処理することによって塗料や塗膜にした場合に悪い影響を与えるヘミホルマール体、残留ホルムアルデヒド等を除去する。コスト面及び洗浄効率から60℃乃至100℃の温水で洗浄するのが好ましい。
【0018】
レゾール型フェノール樹脂中のヘミホルマール基のフェノール核に対するモル比は13C−NMRや 1H−NMRの測定によってスペクトルにおけるヘミホルマール基を構成する炭素C(式中下線付きのCで表示)とフェノール性水酸基の根元の芳香環の炭素Cとの各積分値の比率を求める事で算出でき、本発明においては該モル比が5%以下であるような、ヘミホルマール体を含まない、或いは特に限定されたヘミホルマール体含有量を有するフェノール樹脂を使用することが必須である。
【0019】
【化1】
【0020】
次に本発明で使用するビスフェノールA型エポキシ樹脂は、エピクロルヒドリンと2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの反応によって得られ、エポキシ当量から計算した平均分子量800以上のものが使用できるが、2000〜4000の平均分子量のものが好適である。
【0021】
本発明における有機溶剤としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類;トルエン、キシレン、他のアルキルベンゼン等の芳香族炭化水素;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;メチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ブチルアルコール、ダイアセトンアルコール等のアルコール類などを挙げることが出来、これら溶剤類は単独または2種以上の混合物の形で使用することが出来る。
本発明における缶内面用塗料はレゾール型フェノール樹脂5〜50重量部に対してビスフェノールA型エポキシ樹脂を95から50重量部の範囲で合計100重量部として使用できる。
【0022】
また本発明における缶内面用塗料には必要に応じてその他樹脂成分、例えばフェノキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等を使用してもよく、また顔料等の着色剤、充填剤、各種助剤等を任意に使用しても差し支えない。
本発明における缶内面用塗料は金属シート上にローラ塗装、スプレー塗装等の方法により、乾燥塗膜としては40〜100mg/100cm2 程度の塗布量で塗装する。焼き付け条件は約180から250℃、1分から10分で焼き付けられる。
【0023】
本発明に係わる塗料を塗装焼き付けする金属シートとしては、従来から食品缶詰等に用いられている錫メッキを施したブリキ板の他、クロムメッキ鋼板、アルミメッキ鋼板、アルミ板、冷延鋼板等を用いることが出来る。
【0024】
【実施例】
つぎに、実施例、比較例を示し、より詳細に説明する。また実施例、比較例に記載される「部」および「%」はぞれぞれ「重量部」および「重量%」を示す。
【0025】
合成例1
p−t−ブチルフェノール30部、41.5%ホルマリン水181部、トリエチルアミン11部を攪拌器と還流冷却器を備えた反応釜に仕込み、80℃に昇温し、窒素気流中にて2時間反応させた。ついで同温度でビスフェノールA182部を加えて2時間反応を進めた。その後水300部を加え60℃にし、3分間攪拌した後靜置して生成物と水を分離した。靜置して生成物と水を分離後、760mmHgにて減圧蒸留を行い、水が出なくなるまで脱水した後、固形分が60%になるようにn−ブタノールで希釈し、本発明のフェノール樹脂溶液P1を得た。
【0026】
合成例2
p−t−ブチルフェノール45部、41.5%ホルマリン水217部、トリエチルアミン13部を攪拌器と還流冷却器を備えた反応釜に仕込み、80℃に昇温し、窒素気流中にて2時間反応させた。ついで同温度でビスフェノールA205部を加えて2時間反応を進めた。その後水300部を加え60℃にし、3分間攪拌した後靜置して生成物と水を分離した。靜置して生成物と水を分離後、760mmHgにて減圧蒸留を行い、水が出なくなるまで脱水した後、固形分が60%になるようにn−ブタノールで希釈し、本発明のフェノール樹脂溶液P2を得た。
【0027】
合成例3
p−t−ブチルフェノール60部、41.5%ホルマリン水217部、トリエチルアミン12部を攪拌器と還流冷却器を備えた反応釜に仕込み、80℃に昇温し、窒素気流中にて2時間反応させた。ついで同温度でビスフェノールA182部を加えて2時間反応を進めた。その後水300部を加え60℃にし、3分間攪拌した後靜置して生成物と水を分離した。靜置して生成物と水を分離後、760mmHgにて減圧蒸留を行い、水が出なくなるまで脱水した後、固形分が60%になるようにn−ブタノールで希釈し、本発明のフェノール樹脂溶液P3を得た。
【0028】
合成例4
p−t−ブチルフェノール90部、41.5%ホルマリン水217部、トリエチルアミン11部を攪拌器と還流冷却器を備えた反応釜に仕込み、80℃に昇温し、窒素気流中にて2時間反応させた。ついで同温度でビスフェノールA137部を加えて2時間反応を進めた。その後水300部を加え60℃にし、3分間攪拌した後靜置して生成物と水を分離した。靜置して生成物と水を分離後、760mmHgにて減圧蒸留を行い、水が出なくなるまで脱水した後、固形分が60%になるようにn−ブタノールで希釈し、本発明のフェノール樹脂溶液P4を得た。
【0029】
合成例5
p−t−ブチルフェノール120部、41.5%ホルマリン水347部、トリエチルアミン10部を攪拌器と還流冷却器を備えた反応釜に仕込み、80℃に昇温し、窒素気流中にて2時間反応させた。ついで同温度でビスフェノールA91部を加えて2時間反応を進めた。その後水300部を加え60℃にし、3分間攪拌した後静置して生成物と水を分離した。静置して生成物と水を分離後、760mmHgにて減圧蒸留を行い、水が出なくなるまで脱水した後、固形分が60%になるようにn−ブタノールで希釈し、本発明のフェノール樹脂溶液P5を得た。
【0030】
合成例6
p−t−ブチルフェノール135部、41.5%ホルマリン水347部、トリエチルアミン9部を攪拌器と還流冷却器を備えた反応釜に仕込み、80℃に昇温し、窒素気流中にて2時間反応させた。ついで同温度でビスフェノールA68部を加えて2時間反応を進めた。その後水300部を加え60℃にし、3分間攪拌した後靜置して生成物と水を分離した。静置して生成物と水を分離後、760mmHgにて減圧蒸留を行い、水が出なくなるまで脱水した後、固形分が60%になるようにn−ブタノールで希釈し、本発明のフェノール樹脂溶液P6を得た。
【0031】
合成例7
p−t−ブチルフェノール30部、41.5%ホルマリン水258部、トリエチルアミン13部を攪拌器と還流冷却器を備えた反応釜に仕込み、80℃に昇温し、窒素気流中にて2時間反応させた。ついで同温度でビスフェノールA228部を加えて2時間反応を進めた。その後水300部を加え60℃にし、3分間攪拌した後靜置して生成物と水を分離した。靜置して生成物と水を分離後、760mmHgにて減圧蒸留を行い、水が出なくなるまで脱水した後固形分が60%になるようにn−ブタノールで希釈し、比較例のためのフェノール樹脂溶液P7を得た。
【0032】
合成例8
p−t−ブチルフェノール150部、41.5%ホルマリン水347部、トリエチルアミン8部を攪拌器と還流冷却器を備えた反応釜に仕込み、80℃に昇温し、窒素気流中にて2時間反応させた。ついで同温度でビスフェノールA46部を加えて2時間反応を進めた。その後水300部を加え60℃にし、3分間攪拌した後靜置して生成物と水を分離した。靜置して生成物と水を分離後、760mmHgにて減圧蒸留を行い、水が出なくなるまで脱水した後、固形分が60%になるようにn−ブタノールで希釈し、比較例のためのフェノール樹脂溶液P8を得た。
【0033】
合成例9
p−t−ブチルフェノール60部、ビスフェノールA182部、41.5%ホルマリン水217部、トリエチルアミン12部を攪拌器と還流冷却器を備えた反応釜に仕込み、80℃に昇温し、窒素気流中にて2時間反応させた。その後水300部を加え60℃にし、3分間攪拌した後靜置して生成物と水を分離した。靜置して生成物と水を分離後、760mmHgにて減圧蒸留を行い、水が出なくなるまで脱水した後、固形分が60%になるようにn−ブタノールで希釈し、比較例のためののフェノール樹脂溶液P9を得た。
【0034】
合成例10
ビスフェノールA182部、41.5%ホルマリン水217部、トリエチルアミン12部を攪拌器と還流冷却器を備えた反応釜に仕込み、80℃に昇温し、窒素気流中にて2時間反応させた。ついで同温度でp−t−ブチルフェノール60部を加えて2時間反応を進めた。その後水300部を加え60℃にし、3分間攪拌した後靜置して生成物と水を分離した。靜置して生成物と水を分離後、760mmHgにて減圧蒸留を行い、水が出なくなるまで脱水した後、固形分が60%になるようにn−ブタノールで希釈し、比較例のためのフェノール樹脂溶液P10を得た。
【0035】
合成例11
p−t−ブチルフェノール60部、41.5%ホルマリン水217部、トリエチルアミン12部を攪拌器と還流冷却器を備えた反応釜に仕込み、80℃に昇温し、窒素気流中にて2時間反応させた。ついで同温度でビスフェノールA182部を加えて2時間反応を進めた。過剰のトリエチルアミンを中和するために硫酸を加えpH=6〜7にした。760mmHgにて減圧蒸留を行い、水が出なくなるまで脱水した後、固形分が60%になるようにn−ブタノールで希釈し、比較例のためのフェノール樹脂溶液P11を得た。
【0036】
合成例12
p−t−ブチルフェノール45部、41.5%ホルマリン水217部、トリエチルアミン13部を攪拌器と還流冷却器を備えた反応釜に仕込み、80℃に昇温し、窒素気流中にて2時間反応させた。ついで同温度でビスフェノールA205部を加えて2時間反応を進めた。過剰のトリエチルアミンを中和するために硫酸を加えpH6〜7にした。760mmHgにて減圧蒸留を行い、水が出なくなるまで脱水した後、固形分が60%になるようにn−ブタノールで希釈し、比較例のためのフェノール樹脂溶液P12を得た。
【0037】
塗料の評価
上記合成例1〜12で得られたフェノール樹脂溶液と油化シェルエポキシ(株)製エポキシ樹脂エピコート1009とを固形分比でエポキシ樹脂/フェノール樹脂が8/2になるように塗料を調製した。各塗料はブチルセロソルブとキシレンの1対1混合溶剤で希釈し、固形分30%とした。各塗料を塗装焼き付けして塗膜性能評価を行った。
【0038】
塗料はバーコーターでクロムメッキ鋼板上に60mg/100cm2 になるように塗布し、205℃10分の焼付けを行い塗装板Aを作成し、以下に述べる塗膜性能試験に供した。またこの塗料をバーコーターを用いてアルミ箔の片面に60mg/100cm2 になるように塗布し、150℃で1分乾燥し溶剤を除去し、更にその裏面にも上記塗料を60mg/100cm2 になるように塗布し、205℃10分で焼付けて水抽出液フレーバーテスト用試験パネルBを作成した。
【0039】
各評価方法を下記に示し、その評価結果を第1表、第2表に示す。
【0040】
(1)硬化性
塗装板Aを還流冷却器を備えたフラスコに入れてメチルエチルケトンに浸漬する。加熱し、還流開始から1時間メチルエチルケトンで抽出して、塗膜からの抽出量を百分率にて算出する。メチルエチルケトン抽出率から以下の基準で評価した。
【0041】
○:抽出率10%以下、 △:抽出率10〜20%、 ×:抽出率20%以上
【0042】
(2)加工性
塗装板Aを5cm×4cmに切り出して、塗装面が外側になるようにして予備折り曲げし、同じ厚さの金属板を2枚中板として挟み込み、1kgの鉄の重りを50cmの高さから落下させて折り曲げ加工したものを試験片とした。試験片の加工部を1%食塩水に浸漬し、試験片を陽極として6Vで3秒後の通電量を測定し、以下の基準で評価した。
【0043】
○:10mA以下、 △:10〜20mA、 ×:20mA以上
【0044】
(3)密着性
塗装板Aを0.5cm×7cmに2枚切り出し、塗面と塗面を合わせナイロンテープを挟み込み、200℃、16kg/cm2 、1分で熱圧着したものを試験片とした。試験片をT型に開いて引張試験機にセットし、引っ張り速度200mm/minでT型剥離を行い、この剥離強度を測定して以下の基準で評価した。
【0045】
○:3kg/5mm以上、△:3〜2kg/5mm、×:2kg/5mm以下
【0046】
(4)耐レトルト性
塗装板Aを5cm×10cmに切り出して試験片とし、ビーカーに入れ蒸留水に浸漬し、125℃30分でレトルト処理を行う。試験片を取り出して塗膜の白化の程度を目視判定し、以下の基準で評価した。
【0047】
○:白化なし、 △:わずかに白化、 ×:かなり白化
【0048】
(5)フレーバー性
アルミ箔の両面に塗装した塗装板Bを耐熱ビンに入れ、蒸留水に浸漬させる。この時アルミ箔の塗装板の塗装面積1cm2 に対し、蒸留水1mlになるようにする。耐熱ビンの蓋をして125℃30分のレトルト処理し、内溶液のフレーバーテスト(舌の風味による味覚テスト)を行って、以下の基準で評価した。
【0049】
○:変化なし、 △:若干変化あり、 ×:かなり変化あり
【0050】
(6)ヒューム性
TFS板に塗布量100mg/100cm2 になるように塗料を塗装し、150℃20分で乾燥し、溶剤を除去する。塗装面を上にして220℃に保持したホットプレートに乗せ、その上に直ちに高さ1cmのステンレス枠、アルミ箔を乗せ、アルミ箔を水冷する。5分間塗装板から発生する加熱揮発物をアルミ箔に付着させ、付着重量を測定する。単位塗膜重量当たりの加熱揮発物量を算出し、以下の基準で評価した。
【0051】
○:0.1%以下、 △:0.1〜0.5%、 ×:0.5%以上
【0052】
【表1】
【0053】
(*)13C−NMRによってヘミホルマールのカーボンのピーク(85〜95ppm)の積分値とフェノール核の水酸基に結合したカーボンのピーク(150〜160ppm)の積分値の比率からヘミホルマールのフェノール核に対するモル比を算出した。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【発明の効果】
本発明により得られたレゾール型フェノール樹脂をエポキシ樹脂と組み合わせてなる缶内面用塗料を缶用金属シートに塗装し焼き付ける際、オーブン中でのヒュームの発生量が従来品に比し著しく低いため、塗装作業性が良好であり、しかも硬化塗膜の加工性、密着性、耐熱水性及びフレーバー性等が優れているので、缶内面用塗料としての実用的価値が高い。
Claims (2)
- レゾール型フェノール樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び有機溶剤からなる缶内面用塗料組成物に於いて、上記レゾール型フェノール樹脂が、(1)二官能性フェノール類(A)とホルムアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下で反応させて得られるフェノール樹脂に、(2)ビスフェノール類(B)をモル比でB/Aが1/3〜4/1の割合で反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂を、(3)洗浄処理することにより、樹脂中のヘミホルマール基のフェノール核に対するモル比が5%以下であるレゾール型フェノール樹脂であることを特徴とする缶内面用塗料組成物。
- 前記レゾール型フェノール樹脂が温度60℃乃至100℃での温水洗浄処理を施すことによって得られたレゾール型フェノール樹脂である請求項1に記載の缶内面用塗料組成物。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25674494A JP3599119B2 (ja) | 1994-10-21 | 1994-10-21 | 缶内面用塗料組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP25674494A JP3599119B2 (ja) | 1994-10-21 | 1994-10-21 | 缶内面用塗料組成物 |
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JPH08120217A JPH08120217A (ja) | 1996-05-14 |
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JP25674494A Expired - Lifetime JP3599119B2 (ja) | 1994-10-21 | 1994-10-21 | 缶内面用塗料組成物 |
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-
1994
- 1994-10-21 JP JP25674494A patent/JP3599119B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH08120217A (ja) | 1996-05-14 |
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