JPH08311141A - レゾール型フェノール樹脂及び塗料 - Google Patents

レゾール型フェノール樹脂及び塗料

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JPH08311141A
JPH08311141A JP7121827A JP12182795A JPH08311141A JP H08311141 A JPH08311141 A JP H08311141A JP 7121827 A JP7121827 A JP 7121827A JP 12182795 A JP12182795 A JP 12182795A JP H08311141 A JPH08311141 A JP H08311141A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特定のメチロール成分を含有し、短時間硬化
性を有し且つ形成される塗膜が加工性に優れており、エ
ポキシ系塗料の硬化剤として有用なレゾール型フェノー
ル樹脂を提供すると共に、前記レゾール型フェノール樹
脂を含有し、迅速硬化性及び塗装作業性に優れ、形成す
る塗膜が加工性や耐腐食性、さらには耐熱水性に優れて
いる溶剤型塗料及び水性塗料を提供する。 【構成】 二核体フェノールの水酸基に対してパラ位に
2個のメチロール基或いはそのエーテル化メチロール基
が導入されているという化学構造上の特徴を有するもの
を含有するレゾール型フェノール樹脂を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、短時間硬化性を有し且
つ形成される塗膜が加工性に優れており、エポキシ系塗
料等の硬化剤として有用なレゾール型フェノール樹脂に
関するものであり、更にこのレゾール型フェノール樹脂
を含有する溶剤型塗料及び水性塗料にも関する。
【0002】
【従来の技術】従来、缶詰用缶としては、側面に半田
付、接着、溶接による継目を設けた缶胴に天地缶蓋を巻
締してなる所謂スリー・ピース缶や、絞り加工或いは絞
りしごき加工等により形成され、側面に継目を有しない
缶胴に缶蓋を巻締してなる所謂ツー・ピース缶が一般に
使用されているが、これらいずれの形態の缶も内容物へ
の金属溶出を抑制し、また缶の腐食を防止するために、
その内面に保護塗膜を設けている。
【0003】製缶業においては金属を保護する有機塗膜
は高度の絞り加工、多重ネックイン加工、ビード加工等
の厳しい機械加工を受けるので十分な加工性を有するこ
とが要求される。
【0004】従来優れた加工性を有し、耐食性、耐薬品
性などの実用的性能をも満足するものとして、エポキシ
系塗料が広く使用されている。エポキシ系塗料として、
溶剤型塗料や水性塗料が使用されているが、何れの場合
も硬化剤樹脂としてレゾール型フェノール樹脂が使用さ
れている。即ち、前者の塗料では、エポキシ樹脂とレゾ
ール型フェノール樹脂との組み合わせが、また後者の塗
料では、エポキシ樹脂、カルボキシル基含有アクリル樹
脂及びレゾール型フェノール樹脂の組み合わせがそれぞ
れ使用されている。
【0005】特公昭62−1934号公報には、5,
5’−ビスオキシメチル−6,6’−ジオキシ−3,
3’−ジ置換ジフェニルメタン、即ち、下記式(3)
【化3】 式中、Rはアルキル基である、の製造法が記載されてお
り、この二核体メチロール化物は塗料の硬化成分として
有用なことが記載されている。
【0006】また、特開昭61−250024号公報に
は、カルボキシル基含有アクリル樹脂とエポキシ樹脂と
の部分結合物をアンモニアまたはアミンで中和した水性
分散体に、例えば下記式(4)
【化4】 のフェノール樹脂予備縮合物を配合した水性塗料が記載
されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】製缶業においては、塗
装金属板の加工性の向上に対する絶えざる要求がある。
例えば、成形後の缶体に塗料を施すのは、作業性の点で
も、環境衛生の点でも好ましくないので、事前塗装金属
板を高度の深絞り加工や薄肉化深絞り加工を行うことが
行われているが、この加工においては、軸方向に板が引
き延ばされ、周方向には圧縮される塑性流動が生じるた
め、塗装金属板の加工は極めて過酷なものとなるが、缶
ハイト(高さ)を可及的に高くしようとする高度の深絞
り加工やこの加工の際曲げ延ばし等により薄肉化を行う
薄肉化深絞り加工では、この要求に答える塗料は未だ見
いだされていない。
【0008】また、深絞り缶以外の絞りしごき缶やスリ
ーピース缶においても、缶口径を可及的に小径に絞り、
缶蓋のコストを低減させ、美観を向上させるために、多
重ネックイン加工が行われているが、このネックイン加
工の段数を三段以上にしようという要求に対して満足し
得る塗料は未だ知られていない。
【0009】更に、エポキシ樹脂等に対する硬化剤樹脂
に対しては、迅速硬化性を有することも要求されてい
る。一般に、製缶用塗料の焼き付けは、150乃至30
0℃で30秒乃至20分間程度の焼き付けが行われてい
るが、このような高温の焼き付けでは、多大の熱エネル
ギー及び装置コストを必要とすると共に、高温における
ヒュームやヤニの発生があるため、可及的に低温でしか
も短時間で硬化の完了する硬化剤樹脂が要望されてい
る。
【0010】従って、本発明の目的は、特定のメチロー
ル成分を含有し、短時間硬化性を有し且つ形成される塗
膜が加工性に優れており、エポキシ系塗料の硬化剤とし
て有用なレゾール型フェノール樹脂を提供するにある。
【0011】本発明の他の目的は、上記レゾール型フェ
ノール樹脂を含有し、迅速硬化性及び塗装作業性に優
れ、形成する塗膜が加工性や耐腐食性、さらには耐熱水
性に優れている溶剤型塗料及び水性塗料を提供するにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記式
(1)で表される。
【化5】 式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはヒドロキシ
低級アルキル基であり、R1 及びR2 の各々は水素原子
または基−CH2 ORである、メチロール誘導体を含有
することを特徴とするレゾール型フェノール樹脂が提供
される。上記式(1)のメチロール誘導体は、ビス(2
−ヒドロキシ−3,5−ジヒドロキシメチル−フェニ
ル)メタン或いはそのエーテル化物であることが好まし
い。
【0013】前記ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジヒ
ドロキシメチル−フェニル)メタン或いはそのエーテル
化物が10重量%以上の量で含有されていることが好ま
しい。好適なレゾール型フェノール樹脂組成物は、ビス
(2−ヒドロキシ−3,5−ジヒドロキシメチル−フェ
ニル)メタン或いはそのエーテル化物を10乃至25重
量%、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジヒドロキシメ
チル−フェニル)メタン或いはそのエーテル化物を25
乃至45重量%及び2,4’−ジヒドロキシ−3,
3’,5,5’−テトラヒドロキシメチル−ジフェニル
メタン或いはそのエーテル化物40乃至60重量%含有
するものである。
【0014】本発明によればまた、下記式(2) HO−Φ−CH2 −Φ−OH‥‥(2) 式中、Φはフェニレン基を表す、で表されるジフェノー
ルを30乃至100重量%及び上記ジフェノール以外の
フェノール類0乃至70重量%を含有するフェノールと
ホルムアルデヒドまたはその機能誘導体とを塩基性触媒
の存在下に反応させ、必要により得られるメチロール化
物をエーテル化させてフェノール樹脂において、下記式
(1)で表される
【化6】 式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはヒドロキシ
低級アルキル基であり、R1 及びR2 の各々は1水素原
子または基−CH2 ORである、メチロール誘導体を1
0重量%以上含有することを特徴とするレゾール型フェ
ノール樹脂が提供される。
【0015】本発明によれば更に、塗膜形成成分とし
て、(A)ビスフェノールA型及び/またはビスフェノ
ールF型エポキシ樹脂と、(B)上記式(1)のレゾー
ル型フェノール樹脂とを含有することを特徴とする塗料
が提供される。
【0016】前記エポキシ樹脂(A)と前記レゾール型
フェノール樹脂(B)とを、 A:B=99:1〜80:20 の重量比で含有することが好ましい。
【0017】本発明によれば更にまた、塗膜形成成分と
して、(a)ビスフェノールA型及び/またはビスフェ
ノールF型のエポキシ樹脂成分と(b)カルボキシル基
含有アクリル樹脂成分と、(c)前記式(1)のレゾー
ル型フェノール樹脂とを含有し且つ前記アクリル樹脂中
のカルボキシル基をアミンで中和することにより自己乳
化させて成ることを特徴とする水性塗料が提供される。
【0018】前記エポキシ樹脂成分(a)と前記カルボ
キシル基含有アクリル樹脂成分(b)とは、混合物の形
で存在していてもよく、またカルボキシル基過剰の部分
反応物の形で存在していてもよい。前者の形態が好適で
ある。
【0019】前記エポキシ樹脂成分(a)と前記カルボ
キシル基含有アクリル樹脂成分(b)とを a:b=100:3〜100:25 の重量比で含有し、その組成物(a+b)と、前記レゾ
ール型フェノール樹脂(c)とを、 a+b:c=99:1〜80:20 の重量比で含有することが好ましい。
【0020】
【作用】本発明のレゾール型フェノール樹脂は、下記式
(1)
【化7】 式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはヒドロキシ
低級アルキル基を表し、R1 及びR2 の各々は水素原子
または基−CH2 ORである、で表されるメチロール誘
導体を含有することが特徴である。
【0021】上記フェノール樹脂成分は、二核体フェノ
ールの水酸基に対してパラ位にメチロール基或いはエー
テル化メチロール基が導入されているという化学構造上
の特徴を有し、この特徴の故に、反応性、即ち硬化性が
大きく、しかも形成される塗膜は加工性に優れていると
いう利点を与える。これは、二核体フェノールに導入さ
れたメチロール基の内、水酸基に対してパラ位に存在す
るものが立体障害が最も少なく、メチロール基の反応性
に優れており、反応後の連鎖の自由度も高いことによ
る。
【0022】この点について説明すると、ビスフェノー
ルFには、下記3種の異性体、即ち (I)下記式(5)
【化8】 のパラ・パラ−メチレン結合体、
【0023】(II)下記式(6)
【化9】 のパラ・オルソ−メチレン結合体、及び
【0024】(III)下記式(7)
【化10】 のオルソ・オルソ−メチレン結合体の異性体が存在す
る。
【0025】これらの各々に、当量のホルムアルデヒド
と反応させて、メチロール基を導入すると、フェノール
のパラ或いはオルソ反応指向性により、上記3種の異性
体にそれぞれ対応して、下記3種のメチロール化異性
体、即ち
【0026】(IV)下記式(4)
【化11】 のビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジヒドロキシメチル
−フェニル)メタン、
【0027】(V)下記式(8)
【化12】 の2,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テト
ラヒドロキシメチル−ジフェニルメタン、及び
【0028】(C)下記式(9)
【化13】 のビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジヒドロキシメチル
−フェニル)メタンの異性体が生成することになる。
【0029】従来使用されていた式(8)のメチロール
体(前記特開昭61−250024号公報参照)は水酸
基に対してパラ位にあるメチロール基を全く含まないの
に対して、本発明で使用する上記式(10)のメチロー
ル体は、水酸基に対してパラ位にあるメチロール基を2
個含むものであり、後述する例から、反応性等に優れて
いることが了解されよう。尚、メチロール基の一部或い
は全部がエーテル化されていても、遊離のメチロール基
の場合と同様に優れた反応性が得られるものである。
【0030】本発明のレゾール型フェノール樹脂は、全
て式(1)のメチロール体から成っていてもよいが、他
のメチロール体との混合物であってもよい。しかし、後
者の場合、このレゾール型フェノール樹脂は、短時間硬
化性及び塗膜の加工性の点で、10重量%以上、好適に
は15重量%以上の式(1)のメチロール体を含有すべ
きである。
【0031】
【発明の好適態様】
[レゾール型フェノール樹脂]本発明のレゾール型フェ
ノール樹脂は、下記式(1)で表される
【化14】 式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはヒドロキシ
低級アルキル基であり、R1 及びR2 の各々は水素原子
または基−CH2 ORである、メチロール誘導体を含有
している。
【0032】上記式(1)において、水酸基(OH)の
パラ位にメチロール基或いはエーテル化メチロール基が
導入されていることは、反応性や加工性の点で必須不可
欠であるが、水酸基(OH)のオルソ位にはメチロール
基或いはエーテル化メチロール基が導入されていても、
導入されていなくてもよい。アルキル基(R)として
は、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数6以下
のアルキル基を挙げることができる。
【0033】好適なメチロール誘導体は、ビス(2−ヒ
ドロキシ−3,5−ジヒドロキシメチル−フェニル)メ
タン或いはそのエーテル化物であるが、他にビス(2−
ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−フェニル)メタン
或いはそのエーテル化物、2,2’−ジヒドロキシ−
3,5,5’−トリヒドロキシメチル−ジフェニル−メ
タン或いはそのエーテル化物、2,2’−ジヒドロキシ
−3’,5,5’−トリヒドロキシメチル−ジフェニル
−メタン或いはそのエーテル化物を挙げることができ
る。
【0034】本発明のレゾール型フェノール樹脂は、全
て式(1)のメチロール体或いはエーテル化メチロール
体から成っていてもよいが、他のメチロール体或いはエ
ーテル化メチロール体との混合物であってもよい。他の
メチロール体或いはエーテル化メチロール体としては、
次のものを挙げることができる。
【0035】I.式(7)のジフェノールから誘導され
る他のメチロール体或いはそのエーテル化物。例えば、
2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジヒドロキシメチ
ル−ジフェニル−メタン或いはそのエーテル化物、2,
2’−ジヒドロキシ−3,3’,5−トリヒドロキシメ
チル−ジフェニル−メタン或いはそのエーテル化物。
【0036】II.式(5)のジフェノールから誘導され
る他のメチロール体或いはそのエーテル化物。即ち、下
記式(10)で表される
【化15】 式中、R3 は水素原子または基−CH2 ORであって、
4個のR3 の内少なくとも2個は基−CH2 ORである
ものとし、ここでRは水素原子或いは低級アルキル基で
ある、メチロール誘導体。
【0037】III. 式(6)のジフェノールから誘導さ
れる他のメチロール体或いはそのエーテル化物。即ち、
下記式(11)で表される
【化16】 式中、R3 は水素原子または基−CH2 ORであって、
3 の内少なくとも2個は基−CH2 ORであるものと
し、ここでRは水素原子或いは低級アルキル基である、
メチロール誘導体。
【0038】IV.単環フェノールから誘導される他のメ
チロール体或いはそのエーテル化物。即ち、下記式(1
2)で表される
【化17】 式中、R3 は水素原子または基−CH2 ORであって、
3個のR3 の内少なくとも2個は基−CH2 ORである
ものとし、ここでRは水素原子或いは低級アルキル基で
あり、R4 は水素原子である、メチロール誘導体。
【0039】V.他の多環フェノールから誘導される他
のメチロール体或いはそのエーテル化物。即ち、下記式
(13)で表される
【化18】 式中、R3 は水素原子または基−CH2 ORであって、
3 の内少なくとも2個は基−CH2 ORであるものと
し、ここでRは水素原子或いは低級アルキル基であり、
5 は直接結合或いはメチレン基以外の橋絡基、例えば
エチリデン基、プロピリデン基、シクロヘキシリデン
基、フェニルメチリデン基等を表す、メチロール誘導
体。
【0040】本発明のレゾール型フェノール樹脂は、迅
速硬化性及び塗膜の加工性の点で前記式(1)のメチロ
ール誘導体、特にビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジヒ
ドロキシメチル−フェニル)メタン或いはそのエーテル
化物を10重量%以上、特に15重量%以上の量で含有
すべきである。また、上記特性と、塗装作業性(低粘
性)の点からは、前記式(2)のジフェノールから誘導
されたメチロール誘導体、即ち、式(1)、(11)お
よび(12)のメチロール誘導体を、合計で30重量%
以上、特に50重量%以上の量で含有するのがよい。
【0041】特に好適なレゾール型フェノール樹脂組成
物は、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジヒドロキシメ
チル−フェニル)メタン或いはそのエーテル化物を15
乃至20重量%、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジヒ
ドロキシメチル−フェニル)メタン或いはそのエーテル
化物を30乃至40重量%及び2,4’−ジヒドロキシ
−3,3’,5,5’−テトラヒドロキシメチル−ジフ
ェニルメタン或いはそのエーテル化物45乃至55重量
%含有するものである。
【0042】レゾール型フェノール樹脂の数平均分子量
(Mn)は、150乃至1000、特に250乃至80
0の範囲にあるのが好ましい。
【0043】[レゾール型フェノール樹脂の製造]本発
明のレゾール型フェノール樹脂は、前記式(7)のジフ
ェノールを含有するフェノール原料と、ホルムアルデヒ
ドまたはその機能誘導体とを塩基性触媒の存在下に反応
させ、必要によりアルコールでエーテル化させることに
より得られる。
【0044】本発明で使用するフェノールは、一般にビ
スフェノールFの特定のものとして入手しうる。即ち、
ビスフェノールFには、前記式(5)、(6)及び
(7)の3種の異性体が知られており、式(7)の成分
のリッチのものとして、或いは式(5)、(6)及び
(7)の成分の混合物の形のものとして工業的に容易に
入手できる。
【0045】フェノール類としては、上記のフェノール
と共に、単環1価フェノールや他の多環2価フェノール
も組合せで使用できる。フェノール類では、フェノール
性水酸基のオルト位又はパラ位にメチロール基を導入す
ることができ、これらの位置が置換されているか否かに
よって、その官能性が定まるが、用いる他のフェノール
類の適当な例は、次の通りである。
【0046】o−クレゾール、p−クレゾール、p−te
rt−ブチルフェノール、p−エチルフェノール、2,3
−キシレノール、2,5−キシレノール等の低級アルキ
ル置換2官能性フェノール類;p−tert−アミルフェノ
ール、p−ノニルフェノール、p−フェニルフェノー
ル、p−シクロヘキシルフェノール等のその他の2官能
性フェノール類;フェノール(石炭酸)、m−クレゾー
ル、m−エチルフェノール、3,5−キシレノール、m
−メトキシフェノール等の3官能性フェノール類;2,
4−キシレノール、2,6−キシレノール等の1官能性
フェノール類;2.2′−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2′−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノール
B)、1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、4−ヒドロキシフエニルエーテル、P−(4−ヒド
ロキン)フェノール、等の多環多価フェノール類。
【0047】ホルムアルデヒドは、ホルマリンのような
水溶液の形で使用するのが一般的であるが、パラホルム
アルデヒド、ポリオキシメチレン、トリオキサンのよう
な機能誘導体も使用することができる。
【0048】メチロール化反応には、フェノールの組成
によっても相違するが、一般にフェノール1モル当たり
1.0モル以上、特に2.0モル以上のホルムアルデヒ
ドを用いて行うのがよい。
【0049】塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ、水酸化カルシ
ウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金族の水酸
化物、アンモニア等が使用される。これらの塩基性触媒
は、反応系のpHが10以上となるような量で使用する
のがよい。
【0050】メチロール化反応は、水性媒体中で行うの
がよく、反応条件は特に限定されないが、一般に室温乃
至60℃で1乃至5時間程度の反応が望ましい。反応系
におけるフェノール類の濃度は、10乃至50重量%が
適当である。
【0051】最終反応生成物から、一般式(1)のメチ
ロール誘導体を含むレゾール型フェノール樹脂を分離す
るには、反応混合物を、塩酸、硫酸、燐酸、p−トルエ
ンスルホン酸、シュウ酸、酢酸のような酸で中和し、生
成物を沈殿させ必要により濾過、水洗、乾燥を行って固
体の形で回収する。また、別法として、中和後の反応混
合物を、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケ
トン類、ブタノール等のアルコール類、或いはこれらと
トルエン、キシレン等の混合溶媒で抽出して、目的物を
回収することもできる。
【0052】レゾール型フェノール樹脂のメチロール基
のアルキルエーテル化は、樹脂中のメチロール基をアル
コールとをエーテル化触媒、特に酸触媒の存在下に縮合
反応させることにより行われる。
【0053】アルコール類としては、メタノール、エタ
ノール、n−またはiso −プロパノール、n−,iso
−,tert−ブタノール等を用いることができるが、炭素
数3乃至6のアルコール、特にブタノールが好適であ
る。
【0054】エーテル化触媒としては、リン酸、硫酸、
塩酸、芳香族スルホン酸(例えばp−トルエンスルホン
酸)、シュウ酸、酢酸等を用いることができる。この樹
脂の合成に際し、溶解したメチロール基含有フェノール
樹脂とアルコールとを、適当な溶媒中で前記触媒の存在
下に反応させる。触媒の使用量は、反応系のpHが4乃至
6となるような量であり、反応温度は70乃至90℃の
範囲が望ましい。溶媒としては、過剰のアルコール、ト
ルエン、キシレン等が単独あるいは組合せで使用され
る。上述した反応で副生する水を除去しながら反応を行
うのが有利であり、この目的のために、反応系中の水を
溶媒との共沸蒸留の形で系外に取出しつつ反応を行うこ
とが望ましい。勿論系中のアルコールの量が不足する場
合には、これを反応系中に追加すればよい。
【0055】フェノール樹脂の製造とアルキルエーテル
化とは同一の工程でも別個の工程でも行い得る。例え
ば、フェノール類とホルムアルデヒドとの反応を、アル
コールを含む媒質中でアルカリ触媒の存在下に行い、所
望のメチロール化樹脂が得られた後、この系中に酸触媒
を添加して、前記pHに維持してアルキルエーテル化反
応を行うことができる。あるいは形成するメチロール化
樹脂をそれ自体公知の手段で分離し、これを別の系中で
アルキルエーテル化してもよい。
【0056】得られたアルキルエーテル化樹脂は、中
和、水洗、乾燥して塗膜形成樹脂成分としてもよいし、
中和により生成する塩などを何らかの手段で除去してそ
のまま樹脂溶液の形で使用してもよい。
【0057】[塗料]本発明のレゾール型フェノール樹
脂は、それ単独で、或いは他の樹脂との組み合わせで、
各種塗料、接着剤等として使用しうる。組み合わせで使
用しうる塗料乃至樹脂としては、油性塗料、ニトロセル
ロース塗料、アルキッド樹脂塗料、アミノアルキッド塗
料、ビニル樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、エポキシ樹脂
塗料、ポリエステル樹脂塗料、塩化ゴム系塗料等の慣用
のそれ自体公知の塗料の他に、ロジン、エステルガム、
ペンタレジン、クマロン・インデンレジン、フェノール
系レジン、変性フェノール系レジン、マレイン系レジ
ン、アルキド系レジン、アミノ系レジン、ビニル系レジ
ン、石油レジン、エポキシ系レジン、ポリエステル系レ
ジン、スチレン系レジン、アクリル系レジン、シリコー
ン系レジン、ゴムベース系レジン、塩素化物系レジン、
ウレタン系レジン、ポリアミド系レジン、ポリイミド系
レジン、フッ素系レジン等を挙げることができる。
【0058】本発明の一つの好適態様では、塗膜形成成
分として、(I)ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び
/またはビスフェノールF型エポキシ樹脂と、(II)前
述したレゾール型フェノール樹脂とを組み合わせ、溶剤
型塗料とする。
【0059】エポキシ樹脂(I):レゾール型フェノー
ル樹脂(II)の量比は、99:1〜80:20の重量
比、特に97:3乃至:90:10の重量比にあるのが
よく、硬化剤として作用するレゾール型フェノール樹脂
の使用量が少なくてすむのが本発明の利点の一つであ
る。即ち、本発明のレゾール型フェノール樹脂は、迅速
な効果性能を示すため、少量の配合で十分な硬化性能
と、耐熱性、耐熱水性等が得られ、更にレゾール型フェ
ノール樹脂そのものが加工性に富んでいると共に、柔軟
性及び加工性に富んでいるエポキシ樹脂成分が多いこと
により、一層優れた加工性が得られるものである。
【0060】本発明に用いるエポキシ樹脂は、ビスフェ
ノールA及び/またはビスフェノールFと、エピハロヒ
ドリンとの反応により得られるもので、下記式(14)
【化19】 式中、R6 はビスフェノールA及び/またはビスフェノ
ールFの残基であり、nはゼロより大きい数である、で
表される構造を有する。
【0061】エポキシ樹脂は、5000乃至 100,000、
特に10,000乃至60,000の数平均分子量と、1000乃至
50,000、特に1500乃至5000のエポキシ当量とを
有するのがよい。エポキシ当量の低いエポキシ樹脂で
は、塗膜の加工性が劣る。また、分子量の低いエポキシ
樹脂ではやはり、加工性や、耐溶剤性(MEKラビン
グ)が劣るようである。
【0062】エポキシ樹脂と硬化剤樹脂は単に混合する
だけでもよく、予め両樹脂を予備縮合してもよい。両樹
脂を有機溶剤で溶解した溶剤型塗料、両樹脂を微粉化し
た粉体塗料や両樹脂を分散剤を利用して水に分散した水
性塗料として利用することができる。
【0063】有機溶媒型塗料の場合、溶媒としては、ト
ルエン、キシレン等の芳香族溶媒、エタノール、ブタノ
ール等のアルコール系溶媒、メチルエチルケトン、シク
ロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸ブチル等のエステ
ル系溶媒の1種或いは2種以上を用いることができ、固
形分が10乃至50%の溶液の形で塗料とする。
【0064】この塗料にはそれ自体公知の変性剤や配合
剤、例えば脂肪酸、重合脂肪酸、ロジン、乾性油、キシ
レン樹脂等の改質剤を混合乃至は予備縮合により含有さ
せることができ、更にビニルアセタール樹脂、シリコー
ンオイル等のレべリング剤、ワックス等の滑剤、リン酸
やナフテン酸金属塩の硬化促進剤等を配合し得る。
【0065】本発明の他の態様によれば、塗膜形成成分
として、(a)ビスフェノールA型及び/またはビスフ
ェノールF型のエポキシ樹脂成分と(b)カルボキシル
基含有アクリル樹脂成分と、(c)前述したレゾール型
フェノール樹脂とを含有し且つ前記アクリル樹脂中のカ
ルボキシル基をアミンで中和することにより自己乳化さ
せて成ることを特徴とする水性塗料が提供される。
【0066】前記エポキシ樹脂成分(a)と前記カルボ
キシル基含有アクリル樹脂成分(b)とは、混合物の形
で存在していてもよく、またカルボキシル基過剰の部分
反応物の形で存在していてもよい。前者の形態が好適で
ある。
【0067】前記エポキシ樹脂成分(a)と前記カルボ
キシル基含有アクリル樹脂成分(b)とを a:b=100:3〜100:25 特に100:5〜100:20 の重量比で含有し、その組成物(a+b)と、前記レゾ
ール型フェノール樹脂(c)とを、 a+b:c=99:1〜80:20 特に97:3〜90:10 の重量比で含有することが好ましい。
【0068】アクリル樹脂は高分子分散剤としての作用
を有するものであり、塗料樹脂を自己乳化させる。アク
リル系樹脂は、全塗料樹脂成分基準で2乃至30の酸
価、特に5乃至20の酸価となる量で存在させることが
分散安定性の点でよい。酸価が上記範囲を下廻る様な量
では、樹脂成分をO/W型エマルジョンの形で分散させ
ることが困難となり、また強いて分散させたとしても、
分散安定性がとぼしい。また、酸価が上記範囲を上廻る
様な量では、塗膜の耐熱水性が低下し、レトルト殺菌後
の耐腐食性等が低下する。
【0069】用いるアクリル系樹脂そのものは、35乃
至350、特に70乃至330の酸価を有することが望
ましい。
【0070】アクリル系樹脂としては、酸価が上述した
範囲内にある限り任意のアクリル系樹脂を用いることが
できる。このアクリル系樹脂は、上述した酸価のカルボ
キシル基を樹脂中に与えるエチレン系不飽和カルボン酸
又はその無水物と、アクリル酸エステル又はメタクリル
酸エステルと、所望によりこれらと共重合可能な他のエ
チレン系不飽和単量体との共重合体から成る。
【0071】エチレン系不飽和カルボン酸又はその無水
物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無
水イタコン酸等である。
【0072】アクリル酸やメタクリル酸のエステルとし
ては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メ
タ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブ
チル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリ
ル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、
(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アク
リル酸n−オクチルなどがある。ただし、上記の(メ
タ)アクリル酸とはアクリル酸もしくはメタアクリル酸
を示す。これらの単量体と共に共重合される他の共単量
体としては、スチレン、ビニルトルエン、アクリロニロ
リル、メタクリロニトリル等を挙げることができる。
【0073】用いるアクリル系樹脂はフイルムを形成す
るに足る分子量を有するべきであり、一般に10,000乃至
200,000、特に20,000乃至 150,000の範囲内の分子量を
有していることが望ましい。アクリル共重合体の適当な
組合せの例は、 (1)メタクリル酸メチル/アクリル酸2
−エチルヘキシル/アクリル酸、 (2)スチレン/メタク
リル酸メチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸、 (3)
スチレン/アクリル酸エチル/メタクリル酸、 (4)メタ
クリル酸メチル/アクリル酸エチル/アクリル酸等であ
る。
【0074】これらのアクリル系樹脂は、これらの単量
体を有機溶媒中、アゾビスイソブチロニトリル類等のア
ゾ化合物や過酸化ベンゾイル等の過酸化物の存在下で重
合させることにより容易に得られる。他の塗料用樹脂と
別個に合成されたアクリル樹脂を使用する代わりに、塗
料用樹脂の共存下に合成されたアクリル樹脂を用いるこ
ともでき、例えばエポキシ樹脂の共存下に重合されたア
クリル樹脂を用いることもできる。
【0075】中和にはアンモニアやアミン類、例えば、
脂肪族、脂環族、芳香族の1級、2級或いは3級アミン
を用いることができ、特に、分岐鎖アルキルアミン、例
えばイソプロピルアミン、 sec−ブチルアミン、tert−
ブチルアミン、イソアミルアミン等の炭素数3乃至6、
特に炭素数3乃至4の分岐鎖アルキルアミンや、複素環
アミンとしては、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン
等の1個の窒素原子を含む飽和複素環アミンが使用され
る。また、モノ−、ジ−或いはトリ−エタノールアミン
等も使用される。
【0076】アミン類は、アクリル系樹脂のカルボキシ
ル基に対して、少なくとも0.3化学当量、特に0.7
乃至1.3化学当量の量で用いるのがよい。
【0077】O/W型エマルジョンは、前述したエポキ
シ−フェノール樹脂とアクリル系樹脂とを含有する有機
溶媒溶液に、アンモニア水或いはアミン含有水を混合す
るか、あるいは、エポキシ−フェノール樹脂とアクリル
系樹脂とを含有する溶融物に、アミン含有水を混合する
いわゆる相転換法により形成することができる。
【0078】相転換により水性分散液には、水と有機溶
媒との双方が含有されている。この水性分散液を共沸減
圧蒸溜に付することにより有機溶媒を水との共沸により
除去し、また水性分散液の濃縮を行うことができる。有
機溶媒の共沸蒸溜に際しては、外部から水を補給しなが
ら行うことも可能なことが了解されるべきである。
【0079】最終水性塗料における塗料樹脂固形分の濃
度は10乃至70重量%、特に20乃至60重量%の範
囲にあることが望ましく、且つ水性塗料中の有機溶媒の
含有量は15重量%以下、特に5重量%以下であること
が望ましい。また、塗料中の樹脂分の分散安定性を向上
させる目的で、任意の段階で若干量の界面活性剤や高分
子分散剤を系中に添加することは許容される。更に、一
般的な塗料用添加剤を併用してもよいことは当然であ
る。
【0080】[用途]本発明の塗料は、種々の基体に対
する塗料として有用であるが、製缶用塗料として特に有
用である。この塗料は、缶用素材に対して任意の段階で
塗布することができる。
【0081】例えば、側面継目を有するスリー・ピース
缶の場合には、ブラックプレート、各種被覆鋼板、例え
ばスズ、クロム、アルミニウム、亜鉛等を表面にメッキ
したメッキ鋼板やその表面をクロム酸及び/又はリン酸
等で化学処理乃至は陰極電解処理した鋼板;アルミニウ
ムの如き軽金属板;ポリオレフイン等の樹脂フイルムや
紙ボード等の有機質基質の表面にアルミニウム箔等を接
着積層した複合金属素材等の缶用素材に予め、前記塗料
を施し、次いで焼付した後、ハンダ付け、溶接、接着剤
による接合等の手段で接合して、缶胴とする。また、ツ
ー・ピース缶の場合には、塗装金属板を深絞り成形或い
は薄肉化深絞り成形に付して、塗装缶体とする。
【0082】或いは塗装缶用素材を打抜き、プレス成
形、或いは更にスコア加工、ボタン成形、タブの取付け
等を行って、缶蓋或いはイージイ・オープン缶蓋に成形
する。勿論順序を逆にして、製缶後の缶胴や缶蓋或いは
缶に前記塗料を塗布し、焼付けてもよく、この塗料はシ
ングルコートとして設けても、或いはダブルコートして
設けてもよい。また、無継目缶胴の場合には、前記缶用
素材を、しぼり加工或いはしぼり−しごき加工に賦し、
成形後の缶胴に前記塗料を塗布し、焼付けてもよい。
【0083】本発明の塗料は、例えば浸漬塗り、ローラ
コート、スプレー塗布、ハケ塗り、静電塗装、電着塗
装、ワイヤーコート、フローコート、ドクターコート等
の任意の手段で、缶用素材、缶胴、缶蓋又は缶に塗布す
ることができる。塗料の厚みは、一般に乾燥物基準で1
乃至20ミクロン、特に2乃至15ミクロンの範囲とす
ることができる。
【0084】塗料の焼付条件は、前述した塗料中のエポ
キシ樹脂やレゾール型フェノール樹脂の配合量によって
も相違するが、一般的に言って150乃至250℃の温
度及び10乃至300秒間の焼付時間の内から、耐薬品
性や耐熱水性の点で十分な硬化が達成される条件を選べ
ばよい。
【0085】
【実施例】本発明を次の例で説明する。以下の実施例
中、原料フェノール成分とレゾール型フェノール樹脂の
分析は以下の要領で行った。塗料及び塗膜の分析も同様
の手法で行うことができる。
【0086】NMR分析 原料フェノール成分或いはレゾール型フェノール樹脂を
重水素化テトラヒドロフラン(THF−D8 )或いは重
水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−D6)に、固
形分濃度が30%となるように溶解し、NMR測定に供
する。図1に、ビス(2−ヒドロキシ−フェニル)メタ
ンとビス(4−ヒドロキシ−フェニル)メタン、2,
4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタンを含有するジフ
ェノール混合物(三井東圧(株)製ビスフェノールF)
をTHF−D8 に溶解したサンプルの測定結果を例示す
る。ここで、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタ
ンに含まれるメチレン基中の炭素のシグナルはケミカル
シフト36ppmに現れ、ビス(4−ヒドロキシ−フェ
ニル)メタンでは41ppm、ビス(2−ヒドロキシ−
フェニル)メタンでは31ppmに現れるので、これら
のシグナルのピーク高さの比率からこれらの量比を決め
ることができる。一方、下記の実施例4で作製したレゾ
ール型フェノール樹脂の溶液を室温・真空下で脱溶剤
し、DMSO−D6 に固形分濃度が30%となるように
溶解したサンプルの測定結果を図2に例示する。ここ
で、φ−CH2 OH構造を有するメチロール基がフェノ
ール性水酸基に対してオルソ位に付加しているもののシ
グナルは60ppmに現れ、パラ位に付加しているもの
のシグナルは59ppmに現れる。これらのメチロール
基が縮合したφ−CH2 OCH2 −φ構造は64ppm
と65ppmに現れ、ベンゼン環のフェノール性水酸基
に対するパラ位或いはオルソ位が空位(水素原子が付加
している)であることを示すシグナルは、夫々、119
ppmと115ppmに現れる。また、このチャートに
は、フェノール樹脂の合成時に使用したn−ブチルアル
コールの残留も認められる。更に、ホルマリンが過剰に
付加したφ−CH2 OCH2 OH構造が存在することも
認められる(ケミカルシフト90ppm及び66pp
m)。この構造は塗料の乾燥・硬化過程でメチロール基
に転化するので、本質的にメチロール基と等価であると
考えられる。
【0087】IR分析 サンプルの樹脂溶液をKRS−5板に塗布し、乾燥後、
透過モードで測定した。下記の実施例4で作製したレゾ
ール型フェノール樹脂の測定結果を図3に例示する。こ
こで、φ−CH2 OH構造に起因する吸収は1018c
-1と3400cm-1、φ−CH2 OCH2 −φ構造に
起因する吸収は1110cm-1と1440〜1410c
-1、φ−CH2 OCH2 OH構造に起因する吸収は1
110cm-1と1400〜1370cm-1、φ−O
(H)構造に起因する吸収は1230cm-1と3400
cm-1、また、φ−CH2 −φ構造に起因する吸収は2
939,2879,1456cm-1に現れる。これらの
構造の量比は、モデル化合物を用いて作成した検量線を
基準にして、ベースライン法により求めたピーク高さか
ら求めた。
【0088】[実施例1]ビス(2−ヒドロキシ−フェ
ニル)メタン200g(1モル)、37%ホルマリン6
49g(8モル)、35%水酸化ナトリウム水溶液28
6g(2.5モル)を混合し、50℃で2時間反応させ
た後、酢酸エチル250gとn−ブチルアルコール25
0gの混合物を添加し、更に、20%塩酸383g
(2.1モル)を添加して、60℃で10分間攪拌し
た。攪拌終了後、静置して有機溶剤相と水相に分離さ
せ、有機溶剤相を回収した。希釈アンモニア水で有機溶
剤相を中和・洗浄し、更に、水洗して、300gの淡紫
色透明なフェノール樹脂溶液(B1)を得た。樹脂固形
分は30%であった。この樹脂溶液をゲル・パーミュエ
ーション・クロマトグラム(GPC)、核磁気共鳴吸収
スペクトル(NMR)、赤外線吸収スペクトル(IR)
法で分析して、化学式(1)で示される、メチロール基
含有レゾール型フェノール樹脂成分を75%含有するこ
とを確認した。残りの25%は前記の成分が縮合した多
核体フェノール樹脂成分であった。また、ビス(2−ヒ
ドロキシ−3,5−ジヒドロキシメチル−フェニル)メ
タンの含有量は69%であった。
【0089】[実施例2]ビス(2−ヒドロキシ−フェ
ニル)メタン200g(1モル)、37%ホルマリン6
49g(8モル)、35%水酸化ナトリウム水溶液22
9g(2モル)を混合し、実施例1の合成法に準じてレ
ゾール型フェノール樹脂を合成した。300の淡紫色透
明なフェノール樹脂溶液(B2)が得られ、樹脂固形分
は31%であった。この樹脂溶液をGPC、NMR、I
R法で分析して、化学式(1)で示される、メチロール
基含有レゾール型フェノール樹脂成分を64%含有する
ことを確認した。残りの36%は前記の成分が縮合した
多核体フェノール樹脂成分であった。また、ビス(2−
ヒドロキシ−3,5−ジヒドロキシメチル−フェニル)
メタンの含有量は48%であった。
【0090】[実施例3]ビス(2−ヒドロキシ−フェ
ニル)メタン150g(0.75モル)、ビスフェノー
ルA57g(0.25モル)、37%ホルマリン649
g(8モル)、35%水酸化ナトリウム水溶液383g
(2.1モル)を混合し、実施例1の合成法に準じてレ
ゾール型フェノール樹脂を合成した。307gの淡紫色
透明なフェノール樹脂溶液(B3)が得られ、樹脂固形
分は32%であった。この樹脂溶液をGPC、NMR、
IR法で分析して、化学式(1)で示されるメチロール
基含有レゾール型フェノール樹脂成分を56%含有する
ことを確認した。残りの44%はビスフェノールAのメ
チロール化物とこれらの成分が縮合した多核体フェノー
ル樹脂成分であった。また、ビス(2−ヒドロキシ−
3,5−ジヒドロキシメチル−フェニル)メタンの含有
量は33%であった。
【0091】[実施例4]ビス(2−ヒドロキシ−フェ
ニル)メタン17%とビス(4−ヒドロキシ−フェニ
ル)メタン33%、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニ
ルメタン50%を含有するジフェノール混合物(三井東
圧(株)製ビスフェノールF)200gと、37%ホル
マリン649g(8モル)、35%水酸化ナトリウム水
溶液383g(2.1モル)を混合し、実施例1の合成
法に準じてレゾール型フェノール樹脂を合成した。30
0gの淡紫色透明なフェノール樹脂溶液(B4)が得ら
れ、樹脂固形分は30%であった。この樹脂溶液をGP
C、NMR、IR法で分析して、化学式(1)で示され
るメチロール基含有レゾール型フェノール樹脂成分を1
4%含有することを確認した。また、ビス(2−ヒドロ
キシ−3,5−ジヒドロキシメチル−フェニル)メタン
の含有量は11%であった。
【0092】[実施例5]ビス(2−ヒドロキシ−フェ
ニル)メタン100g(0.5モル)とビスフェノール
A57g(0.25モル)、p−クレゾール27g
(0.25モル)を含有するフェノール混合物と、37
%ホルマリン649g(8モル)、35%水酸化ナトリ
ウム水溶液383g(2.1モル)を混合し、実施例1
の合成法に準じてレゾール型フェノール樹脂を合成し
た。305gの淡紫色透明なフェノール樹脂溶液(B
5)が得られ、樹脂固形分は30%であった。この樹脂
溶液をGPC、NMR、IR法で分析して、化学式
(1)で示されるメチロール基含有レゾール型フェノー
ル樹脂成分を41%含有することを確認した。また、ビ
ス(2−ヒドロキシ−3,5−ジヒドロキシメチル−フ
ェニル)メタンの含有量は32%であった。
【0093】[実施例6]実施例1〜5で得たレゾール
型フェノール樹脂の溶液(B1〜B5)を、夫々、還流
・脱水条件下で2時間反応せしめた(B6〜B10)。
IR分析により、いずれのレゾール型フェノール樹脂に
於いても、概ね、メチロール基の85%がブチルエーテ
ル化されていることを確認した。
【0094】[比較例1]特開昭61−250024の
実施例に準じて、以下の要領でレゾール型フェノール樹
脂を作製した。石炭酸94g(1モル)、37%ホルマ
リン405g(5モル)、25%水酸化ナトリウム水溶
液211g(1.32モル)を混合し、50℃で2時間
反応させた後、更に、70℃で2時間反応させた。反応
生成物に酢酸エチル100gとn−ブチルアルコール1
00gと20%塩酸200gを加えて、60℃で10分
間攪拌した後、静置した。系が2相に分離したので、上
層の黄金色の樹脂溶液相を回収した。この樹脂溶液を1
50gの水で2回洗浄した後、濃縮して樹脂固形分30
%の樹脂溶液(BX1)とした。この樹脂溶液をGP
C、NMR、IR法で分析して、化学式(1)で示され
るメチロール基含有レゾール型フェノール樹脂成分の含
有量は9%であり、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ
ヒドロキシメチル−フェニル)メタンの含有量は7%で
あった。
【0095】[比較例2]特開昭61−250024の
実施例に準じて、以下の要領でレゾール型フェノール樹
脂を作製した。ビスフェノール228g(1モル)、3
7%ホルマリン649g(8モル)、25%水酸化ナト
リウム水溶液302g(2.64モル)を混合し、50
℃で2時間反応させた。反応生成物に酢酸エチル250
gとn−ブチルアルコール250gと20%塩酸401
gを加えて、60℃で10分間攪拌した後、静置した。
系が2相に分離したので、上層の淡紫色透明な樹脂溶液
相を回収した。この樹脂溶液を150gの希アンモニア
水で洗浄した後、更に、150gの水で洗浄し、樹脂固
形分30%の樹脂溶液(BX2)とした。この樹脂溶液
をGPC、NMR、IR法で分析して、化学式(1)で
示されるメチロール基含有レゾール型フェノール樹脂成
分は含有しておらず、従って、ビス(2−ヒドロキシ−
3,5−ジヒドロキシメチル−フェニル)メタンも含有
していないことを確認した。
【0096】[比較例3]特公昭62−1934の実施
例に準じて、以下の要領でレゾール型フェノール樹脂を
作製した。p−クレゾール108g(1モル)、ホルム
アルデヒド324g(4モル/37%水溶液)、水酸化
ナトリウム133g(1モル/30%水溶液)を混合
し、50℃で3時間反応させた後、更に、70℃で5時
間反応させた。反応終了後、倍量の水で希釈し、室温ま
で冷却させ、15%酢酸水溶液で中和した後、生じた沈
澱物をロ過・捕集した。水洗・乾燥して得られた淡黄色
の粉末をブチルセロソルブに溶解して、固形分30%の
樹脂溶液(BX3)を得た。この樹脂溶液をGPC、N
MR、IR法で分析して、化学式(1)で示されるメチ
ロール基含有レゾール型フェノール樹脂成分は含有して
おらず、従って、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジヒ
ドロキシメチル−フェニル)メタンも含有していないこ
とを確認した。
【0097】[実施例7]エポキシ樹脂(油化シェルエ
ポキシ(株)製エピコート1009、ビスフェノールA
型)をブチルセロソルブ/イソブタノール/酢酸ブチル
=1/1/1の混合溶剤に溶解して樹脂固形分30%の
樹脂溶液を作製し、実施例1〜6と比較例1〜3のレゾ
ール型フェノール樹脂溶液を、夫々、樹脂固形分換算
で、エポキシ樹脂/フェノール樹脂=95/5となるよ
うに配合して、13種の溶剤型塗料を作製した。これら
の塗料を#12バーコーターを用いて乾燥塗膜厚が約5
μmとなるように、厚さ0.21mmの電解クロム酸処
理鋼鈑(以下、TFSと略称する)に塗布し、自動排出
型電気オーブンを用いて240℃で2分焼付して、乾燥
・硬化させた。これらの塗装板を所定の寸法に切り出
し、メチルエチルケトンの沸点で1時間抽出し、抽出前
後の重量差と塗膜重量から未硬化成分(ゾル分)の比率
を求めた。このゾル分率は硬化程度を示す尺度として利
用でき、同一焼付条件で硬化させた塗膜のゾル分率が低
いということは硬化速度が速いことに対応する。評価結
果は表1に示した。更に、前記の塗装板を3cm×3c
mに切り出し、塗装面が外側となるように予備折曲げ
し、前記のTFS板2枚をスペーサーとして挟み込んだ
後、3kgの鉄ブロックを高さ40cmから落下させて
折曲げ加工した。試験片の折曲げ加工部を1%食塩水に
接触させて、試験片を陽極として7Vの直流電圧を印下
した時に流れる電流値を測定した。この電流値は折曲げ
加工により生じた欠陥(金属露出)の面積に対応するも
のであり、電流値が低いものの方が加工性に優れている
と判断できる。評価結果は表1に併記した。
【0098】
【表1】
【0099】[実施例8]エポキシ樹脂(油化シェルエ
ポキシ(株)製エピコート4009、ビスフェノールF
型)を酢酸ブチル/n−ブチルアルコール=4/1の混
合溶剤に溶解して、固形分30%の樹脂溶液を作製し
た。一方、エチルアクリレート20部、メチルメタクリ
レート20部、メタクリル酸40部とスチレン20部の
混合モノマーにtert. −ブチルヒドロパーオキサイド1
部を添加した混合物を準備し、攪拌機と温度計、滴下漏
斗、還流冷却管、不活性ガス導入口を備えたフラスコに
エチルセロソルブ50部と上記の混合物25部を仕込
み、窒素気流下で攪拌しながら90℃に昇温した後、同
温度に保持されたフラスコ中へ上記の混合物の残量を3
時間にわたって滴下して共重合させた。滴下終了後、更
に、tert. −ブチルヒドロパーオキサイド0.1部を添
加して3時間攪拌を継続した後、エチルセロソルブ50
部を添加して冷却し、反応を完結させた。得られたアク
リル樹脂(アクリル樹脂1)は、重量平均分子量が約1
2万、酸価は124、樹脂溶液の固形分は50%であっ
た。実施例1〜6と比較例1〜3の13種のレゾール型
フェノール樹脂溶液と、上記のエポキシ樹脂溶液、アク
リル樹脂溶液を、夫々、固形分換算で、エポキシ樹脂/
フェノール樹脂/アクリル樹脂=95/5/15の比率
で配合した。これらの混合樹脂溶液100部を激しく攪
拌しながら、45部の脱イオン水に2部のジエチルアミ
ノエタノールを溶解したアミン水を徐々に滴下し、更
に、40部の脱イオン水を同様に滴下した。アミン水滴
下の初期に於いては系の粘度が急激に低下したが、滴下
が進むと系の粘度は急上昇した。更にアミン水と脱イオ
ン水の滴下を継続した結果、系の粘度は徐々に低下し、
安全なエマルジョンを形成した。これらのエマルジョン
を水性塗料として、実施例7に示した方法に準じて評価
した。結果を表2に示す。
【0100】
【表2】
【0101】[実施例9]エポキシ樹脂(油化シェルエ
ポキシ(株)製エピコート1009、ビスフェノールA
型)をブチルセロソルブに溶解して、固形分60%の樹
脂溶液を作製した。一方、スチレン30部、アクリル酸
エチル21部、メタクリル酸9部、ブチルセロソルブ2
9部と過酸化ベンゾイル1.2部の混合物を用いて、実
施例7に準じてアクリル樹脂(アクリル樹脂2)を合成
した。なお、反応条件として、90℃のフラスコ中へ2
時間かけて混合物を滴下し、滴下終了後に反応開始剤は
添加せずに、同温度で2時間攪拌を継続し、溶剤を添加
して冷却する代わりに、攪拌を継続しながらフラスコを
水冷することにより冷却を行った点で実施例7とは異な
る。また、冷却過程で溶剤の一部を除去することによ
り、樹脂固形分を60%に調整した。上記のアクリル樹
脂溶液50部と上記のエポキシ樹脂溶液100部、ジメ
チルアミノエタノール4.8部を反応容器に仕込み、攪
拌しながら80℃で1時間反応させた後、攪拌を継続し
ながら脱イオン水200部を1時間にわたって滴下し
た。得られたエマルジョンから溶剤と水の一部を除去し
て、樹脂固形分30%のエマルジョンを得た。このエマ
ルジョン100部に対して、実施例1〜6と比較例1〜
3の13種のレゾール型フェノール樹脂溶液を、夫々、
3.5部添加して混合し、水性塗料とした。これらのエ
マルジョンを水性塗料として、実施例7に示した方法に
準じて評価した。結果を表3に示す。
【0102】
【表3】
【0103】[実施例10]実施例1のレゾール型フェ
ノール樹脂(B1)溶液と実施例7のエポキシ樹脂溶液
とを種々の比率で配合し、エポキシ樹脂/フェノール樹
脂の比率(E/P比、固形分換算)の異なる7種の塗料
を準備した。これらの塗料を実施例7の方法に準じてT
FSに塗布し、240℃で焼付し、硬化させた。この
際、焼付時間を調整することにより、硬化塗膜のゾル分
率が約15%となるようにした。塗料のE/P比、焼付
時間は折曲げ加工性の評価結果としての電流値とともに
表4に示した。なお、C37については硬化塗膜のゾル
分率が約15%となるような焼付条件の範囲が狭く、評
価に値する塗装板が得られなかった。
【0104】
【表4】
【0105】[実施例11]実施例8のエポキシ樹脂溶
液(a)とアクリル樹脂溶液(アクリル樹脂1、b)、
実施例4のレゾール型フェノール樹脂溶液(B4、c)
を用いて、実施例8の方法に従って、配合比の異なる1
0種の水性塗料を作製した。配合組成は表5に示した。
これらの水性塗料を実施例7に示した方法で塗装・焼付
し、ゾル分率を測定することにより硬化速度を評価する
とともに、折曲げ加工性を評価した。いずれの水性塗料
に於いても、ゾル分率はCX4〜CX9の水性塗料より
は十分に低く、硬化速度が速いことが確認された。ま
た、電流値を指標にした折曲げ加工性も良好なレベルに
あることが確認された。
【0106】
【表5】
【0107】
【発明の効果】本発明によれば、二核体フェノールの水
酸基に対してパラ位に2個のメチロール基或いはそのエ
ーテル化メチロール基が導入されているという化学構造
上の特徴を有するものを含有するレゾール型フェノール
樹脂を用いることにより、反応性、即ち硬化性が大き
く、しかも形成される塗膜は加工性に優れているという
利点を与える。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いたジフェノール混合物のNMRス
ペクトルである。
【図2】実施例4で製造したレゾール型フェノール樹脂
のNMRスペクトルである。
【図3】実施例4で製造したレゾール型フェノール樹脂
のIRスペクトルである。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)で表される 【化1】 式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはヒドロキシ
    低級アルキル基であり、R1 及びR2 の各々は水素原子
    または基−CH2 ORである、メチロール誘導体を含有
    することを特徴とするレゾール型フェノール樹脂。
  2. 【請求項2】 前記式(1)のメチロール誘導体がビス
    (2−ヒドロキシ−3,5−ジヒドロキシメチル−フェ
    ニル)メタン或いはそのエーテル化物であることを特徴
    とする請求項1記載のレゾール型フェノール樹脂。
  3. 【請求項3】 前記(1)のメチロール誘導体が10重
    量%以上の量で含有されていることを特徴とする請求項
    1記載のレゾール型フェノール樹脂。
  4. 【請求項4】 ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジヒド
    ロキシメチル−フェニル)メタン或いはそのエーテル化
    物を10乃至25重量%、ビス(4−ヒドロキシ−3,
    5−ジヒドロキシメチル−フェニル)メタン或いはその
    エーテル化物を25乃至45重量%及び2,4’−ジヒ
    ドロキシ−3,3’,5,5’−テトラヒドロキシメチ
    ル−ジフェニルメタン或いはそのエーテル化物40乃至
    60重量%含有することを特徴とする請求項1記載のレ
    ゾール型フェノール樹脂。
  5. 【請求項5】 下記式(2) HO−Φ−CH2 −Φ−OH‥‥(2) 式中、Φはフェニレン基を表す、で表されるジフェノー
    ルを30乃至100重量%及び上記ジフェノール以外の
    フェノール類0乃至70重量%を含有するフェノールと
    ホルムアルデヒドまたはその機能誘導体とを塩基性触媒
    の存在下に反応させ、必要により得られるメチロール化
    物をエーテル化させてなるフェノール樹脂において、下
    記式(1)で表される 【化2】 式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはヒドロキシ
    低級アルキル基であり、R1 及びR2 の各々は水素原子
    または基−CH2 ORである、メチロール誘導体を10
    重量%以上含有することを特徴とするレゾール型フェノ
    ール樹脂。
  6. 【請求項6】 塗膜形成成分として、(A)ビスフェノ
    ールA型及び/またはビスフェノールF型エポキシ樹脂
    と、(B)請求項1乃至5の何れかに記載のレゾール型
    フェノール樹脂とを含有することを特徴とする塗料。
  7. 【請求項7】 前記エポキシ樹脂(A)と前記レゾール
    型フェノール樹脂(B)とを、 A:B=99:1〜80:20 の重量比で含有することを特徴とする請求項6記載の塗
    料。
  8. 【請求項8】 塗膜形成成分として、(a)ビスフェノ
    ールA型及び/またはビスフェノールF型のエポキシ樹
    脂成分と(b)カルボキシル基含有アクリル樹脂成分
    と、(c)請求項1乃至5の何れかに記載のレゾール型
    フェノール樹脂とを含有し且つ前記アクリル樹脂中のカ
    ルボキシル基をアンモニアまたはアミンで中和すること
    により自己乳化させて成ることを特徴とする水性塗料。
  9. 【請求項9】 前記エポキシ樹脂成分(a)と前記カル
    ボキシル基含有アクリル樹脂成分(b)とが混合物の形
    で存在する請求項8記載の水性塗料。
  10. 【請求項10】 前記エポキシ樹脂成分(a)と前記カ
    ルボキシル基含有アクリル樹脂成分(b)とがカルボキ
    シル基過剰の部分反応物の形で存在する請求項8記載の
    水性塗料。
  11. 【請求項11】 前記エポキシ樹脂成分(a)と前記カ
    ルボキシル基含有アクリル樹脂成分(b)とを a:b=100:3〜100:25 の重量比で含有し、その組成物(a+b)と、前記レゾ
    ール型フェノール樹脂(c)とを、 a+b:c=99:1〜80:20 の重量比で含有する請求項7乃至10の何れかに記載の
    水性塗料。
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