JP3599040B2 - 電気炊飯器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、保温温度を表示できるように構成された電気炊飯器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電気炊飯器においては、炊き上がったご飯を所定の保温温度に保持する保温制御が行われることとなっている。この保温制御中において、液晶表示装置等に保温温度を数値表示することなく、例えば高温保温か低温保温かを表示灯(例えば、LED)の点灯により表示するようにした電気炊飯器は従来からよく知られている。
【0003】
上記のような構成の電気炊飯器においては、表示灯の点灯あるいは消灯によって保温状態を確認することとなっているため、人によっては確認しにくいばかりでなく、誤確認してしまうおそれがあった。
【0004】
上記不具合に対処するために、保温温度状態を文字又は数字からなる記号を用いて液晶表示装置等からなる表示器に表示するようにした電気炊飯器が提案されている(例えば、特開平4−102920号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記公知例の電気炊飯器の場合、保温温度を液晶表示装置等の表示器に常時表示するようになっているため、保温経過時間が上限時間を超えていて保温温度表示を行わない方が好ましい場合、再加熱時のようにご飯の温度が変化していて保温温度表示が実質的に無意味な場合、保温に適さないメニュー(例えば、おかゆ等)が選択された場合にも保温温度表示が行われることとなり、ユーザに誤解を与えるおそれがあるとともに、消費電力の増大を招くという不具合がある。
【0006】
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、保温温度表示が不適当な場合には保温温度表示を行わないようにして、ユーザが誤解しないようにするとともに、消費電力を低減することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明では、上記課題を解決するための手段として、内部に飯器を収納し得るように構成された炊飯器本体と、該炊飯器本体の開口を開閉自在に覆蓋する蓋体と、前記飯器を加熱する加熱手段と、前記飯器の温度を検出する温度検出手段とを備え、炊飯終了後において前記飯器温度を所定の保温温度に保持するように前記加熱手段への通電を制御する保温制御を行うとともに、該保温制御中における保温温度を表示装置に数値表示する表示制御手段を付設してなる電気炊飯器において、保温温度表示がなじまない所定の条件下には前記表示制御手段による保温温度の表示を禁止する表示禁止手段を付設している。
【0008】
上記のように構成したことにより、炊飯終了後における保温工程(即ち、所定の保温温度に保持するように加熱手段への通電を制御する工程)においては、保温温度が表示装置に数値表示されるが、保温温度表示がなじまない所定の条件下においては、表示禁止手段により保温温度の表示が禁止される。従って、保温温度表示が不適当な場合には保温温度表示が行われないこととなり、ユーザが誤解することもなく、消費電力を抑制することもできる。
【0009】
請求項2の発明におけるように、請求項1記載の電気炊飯器において、前記所定の条件を、保温経過時間が上限時間を超えたときとした場合、上限時間を超えた長時間保温になった時に保温温度表示を禁止することで長時間保温の警告が可能となり、長時間保温を警告する他の手段を設ける必要がなくなる。
【0010】
請求項3の発明におけるように、請求項1および2のいずれか一項記載の電気炊飯器において、前記所定の条件を、温度検出手段により検出される温度が大きく変化している間とした場合、例えば炊飯終了後から保温制御温度に達するまでの間とか、低温保温から高温保温に移行する時およびその後の一定時間とかのように、温度検出手段により検出される温度が大きく変化している間においては、温度検出手段による検出温度とご飯の温度とが対応しておらず、この時に保温温度表示を行ってもご飯温度を表示したことにならないところから、保温温度表示が表示禁止手段により禁止されることとなり、ユーザに誤解を与えることがなくなる。
【0011】
請求項4の発明におけるように、請求項1、2および3のいずれか一項記載の電気炊飯器において、前記所定の条件を、保温に適さないメニューが選択されたときとした場合、保温に適さないメニュー(例えば、おかゆ等)が選択されたときには、保温温度表示が表示禁止手段により禁止されることとなり、保温可能なメニューと保温不可能なメニューとを区別し易くなる。
【0012】
請求項5の発明におけるように、請求項1、2、3および4のいずれか一項記載の電気炊飯器において、補助電源を付設して、停電時に前記表示制御手段による保温温度数値表示を行うようにした場合、停電時(例えば、電源コンセントが抜かれた時)にも保温温度表示がなされることとなり、ご飯温度の状態を確認することができる。
【0013】
請求項6の発明におけるように、請求項5記載の電気炊飯器において、前記温度検出手段による検出温度が腐敗温度に低下した時には警告報知を行うようにした場合、ご飯の温度が腐敗温度に低下する前に警告報知が行われることとなり、ユーザが対応し易くなる。
【0014】
請求項7の発明におけるように、請求項5および6のいずれか一項記載の電気炊飯器において、前記温度検出手段による温度検出および前記表示制御手段による保温温度表示を所定時間毎に行うようにした場合、補助電源の消耗を防止することができる。
【0015】
請求項8の発明におけるように、請求項5、6および7のいずれか一項記載の電気炊飯器において、停電状態が所定時間以上続いた場合には、前記所定時間毎の温度検出および保温温度表示を停止するようにした場合、補助電源の消耗を予防することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の好適な実施の形態について詳述する。
【0017】
この電気炊飯器は、内部に炊飯用の飯器3を収納し得るように構成され且つ空間部4を有する二重構造の炊飯器本体1と、該炊飯器本体1の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体2とを備えている。
【0018】
前記炊飯器本体1は、外側壁となる胴部5aと底壁となる底部5bとを有する合成樹脂の一体成形品からなる外ケース5と、内周壁となる合成樹脂製の有底筒状の保護枠6と、該保護枠6の上端と前記外ケース5の上端とを結合する合成樹脂製の肩部材7とによって構成されており、前記外ケース5、保護枠6および肩部材7に囲まれて前記空間部4が形成されている。なお、前記保護枠6内には、前記飯器3が取り出し可能に収納されることとなっている。
【0019】
前記保護枠6の底面中央部には、飯器温度を検出するための温度検出手段として作用するセンタセンサー8を臨ませるためのセンサー穴9が形成されている。
【0020】
前記センサー穴9を包囲するように炊飯時における加熱手段として作用する環状の電磁誘導コイル(以下、ワークコイルという)10が前記保護枠6の底面および該底面から側周面に至る間の湾曲部に対応して配設されている。該ワークコイル10は、交番磁界を発生するものであり、該交番磁界の電磁誘導により前記飯器3に誘導渦電流を発生させ、該誘導渦電流の抵抗熱を利用して加熱するものとされている。なお、飯器3は、ワークコイル10により誘導渦電流を発生させることのできる材質(例えば、磁性体材料)により構成される。
【0021】
前記ワークコイル10は、前記保護枠6の底面に対して固定されたコイルダイ11と前記保護枠6の底面との間に挟持されている。符号12はフェライトコアであり、ワークコイル10による磁気が下方に存在する機器に対して影響を及ぼさないように遮閉する作用をなす。
【0022】
前記センサー穴9内には、前記飯器3の底部に対して接触するようにしてセンタセンサー8が設けられている。また、前記保護枠6の側周面には、保温時における加熱手段として作用する保温ヒータ13が取り付けられている。
【0023】
前記炊飯器本体1の底部(即ち、外ケース5の底部5b)には、前記ワークコイル10の通電制御を行うためのパワートランジスタおよび整流用ダイオードブリッジ(図示省略)等の電子部品へ冷却風を圧送する電子部品冷却ファン14が配設されている。また、前記炊飯器本体1の底壁(具体的には、外ケース5の底部5b)には、前記電子部品冷却ファン14に対向して空気入口15が形成されている。
【0024】
一方、前記蓋体2は、外面を構成する合成樹脂製の上板16と、内面を構成する合成樹脂製の下板17とによって構成されており、前記上下板16,17に囲まれた空間部18には、断熱材19が配設されている。
【0025】
この蓋体2は、前記肩部材7の一側に形成されたヒンジユニット20を介して炊飯器本体1に対して弧回動自在且つ着脱自在に取り付けられている。
【0026】
そして、前記蓋体2の中央部には、前記上板16から垂設された筒部21が形成されており、該筒部21内には、炊飯時に発生する水蒸気を外部へ排出するための蒸気排出通路22を有するスチームキャップ23が着脱自在に取り付けられている。該スチームキャップ23内には、調圧弁として作用するボール弁24が配設されている。前記スチームキャップ23の下端には、前記蓋体2の閉止時に前記飯器3の開口部3aを密閉するための熱良導体(例えば、アルミ合金)からなる放熱板25が取り付けられている。符号26はスチームキャップ23への蒸気入口、27はスチームキャップ24からの蒸気出口、28は放熱板25に形成された蒸気口、29は放熱板25の周縁と飯器3の開口部3aとの間をシールするシールパッキン、30は放熱板25と蓋体下板17との間をシールするシールパッキンである。
【0027】
前記肩部材7には、肩ヒータ31が設けられており、該肩ヒータ31に対しては、前記蓋体2の閉止時に放熱板25の外周縁が圧接され、放熱板25は肩ヒータ31からの熱伝導により加熱されることとなっている。この肩ヒータ31は、断面逆U字状のヒータリング32と、該ヒータリング32内に配設された発熱体33とからなっている。
【0028】
また、前記蓋体2には、前記放熱板25の内方に位置し、該放熱板25との間に空間部を介在させた状態で前記飯器3の開口部3aより内方に臨ませ且つその外周を前記飯器3の内周面に近接させて支持された熱良導体からなる内蓋34が設けられている。該内蓋34は、前記スチームキャップ23の中心部に下向きに突設された支持軸35に対して着脱自在に嵌着されるシールパッキン36に取り付けられている。
【0029】
前記炊飯器本体1内の側方部位(例えば、ヒンジユニット20側)おける空間部4には、送風ファン37が前記肩部材7に取り付けられた状態で配置されている。該送風ファン37は、スクロールタイプのファンケーシングを有する遠心ファンとされている。
【0030】
前記送風ファン37の吐出口37aには、ダクト38が接続されており、該ダクト38の上端は、前記肩部材7に形成された環状通路39の入口39aに臨まされている。また、前記肩部材7には、前記環状通路39と前記飯器3と前記保護枠6との間に形成される環状の隙間Cの上部とを連通する複数の連通口40が形成されている。つまり、前記送風ファン37からの送風は、前記ダクト38、環状通路39および連通口40を介して前記隙間Cの上部へ供給されることとなっているのである。符号41は前記外ケース5の胴部5aの下部に形成された空気取り入れ口である。
【0031】
前記炊飯器本体1の反ヒンジ側(即ち、蓋体2をロックするロック機構42が設けられている側)における空間部4には、ワークコイル10、保温ヒータ13および肩ヒータ31等への通電制御を司る制御ユニットが組み込まれた制御基板43が配設される一方、前記肩部材7における反ヒンジ側(即ち、蓋体2をロックするロック機構42が設けられている側)には、各種操作スイッチ類(例えば、炊飯スイッチ、予約スイッチ等)および表示装置として作用する液晶表示装置を備えた操作パネル部44が設けられている。
【0032】
該操作パネル部44には、図2に示すように、炊飯スイッチ45、予約スイッチ46、取消スイッチ47、保温スイッチ48、再加熱スイッチ49、メニュースイッチ50、時スイッチ51、分スイッチ52および液晶表示装置53が設けられている。該液晶表示装置53の周辺には、メニュースイッチ50の操作に応じて液晶表示装置53の矢印53aが移動して表示される各種メニュー(「白米」、「早炊き」、「玄米」、「おかゆ」、「炊込み」、「おこわ」および「ピラフ」)が表示されている。ここで、前記保温スイッチ48は、1回の押圧操作により通常保温が選択され、2回の押圧操作により低温保温が選択されることとなっている。
【0033】
ついで、図3に示す電気回路図に基づいて、本実施の形態にかかる電気炊飯器における電気的構成を説明する。なお、図1および図2に示された各部に対応する部分には同一の参照符号を付して示す。
【0034】
商用交流電源54からの電力は、飯器3の異常加熱を検知して溶断する温度ヒューズ55および整流回路56を経てワークコイル10に供給されるとともに、保温ヒータ13および肩ヒータ31にも供給されることとなっている。符号57は平滑コンデンサ、58は共振コンデンサ、59,60はヒータ駆動回路、65は補助電源となる電池である。
【0035】
前記ワークコイル10には、マイクロコンピュータユニット(以下、マイコンと略称する)61からIGBTドライブ回路62を経た指令によりON/OFF制御されるパワートランジスタ63からの制御信号が与えられることとなっている。
【0036】
前記マイコン61は、所定のプログラムに従ってパワートランジスタ63の制御を行い、これによりワークコイル10への通電を制御する。この通電制御は、前記センターセンサ8(図1参照)内に内蔵されたサーミスタ64からの出力信号に基づいて行なわれる。
【0037】
上記マイコン61は、通常の各種制御機能に加えて、炊飯終了後において飯器温度Tを保温温度Tsに保持するようにワークコイル10への通電を制御する保温制御を行う機能と、該保温制御中における保温温度Tsを前記液晶表示装置53に数値表示する表示制御手段としての機能と、保温温度表示がなじまない所定の条件下には前記表示制御手段による保温温度Tsの表示を禁止する表示禁止手段としての機能と、その他以下に説明する機能とを有している。
【0038】
(I) 保温温度表示制御(I)
図4に示すフローチャートを参照して、本実施の形態にかかる電気炊飯器における保温温度表示制御(I)について詳述する。この場合、通常保温が選択されており、保温温度表示がなじまない所定の条件は、保温経過時間tが上限時間tmax(例えば、24時間)を超えたときとされている。
【0039】
ステップS1において保温制御が開始されされたと確認されると、ステップS2において温度検出手段として作用するセンタセンサー8により検出された飯器温度Tがマイコン61に入力され、ステップS3において保温開始時からの経過時間tと上限時間tmax(例えば、24時間)との比較がなされ、ここで、t≦tmaxと判定された場合には、ステップS4においてセンタセンサー8により検出された飯器温度(換言すれば、保温温度)Tが液晶表示装置53に表示される。この保温温度表示は、図2に示すように、時刻表示とともにされる。ステップS3においてt>tmaxと判定された場合には、ステップS5において液晶表示装置53に表示されている保温温度表示が消灯される。該保温温度表示の消灯は、マイコン61における表示禁止手段により行われる。
【0040】
そして、ステップS6において前記飯器温度Tと保温設定温度Ts(例えば、72℃)との比較がなされ、ここでT<Tsと判定された場合には、ステップS7〜ステップS9においてワークコイル10に50%の出力でデューティ比=1/16での通電がなされ、保温ヒータ13にデューティ比=5/16での通電がなされ、肩ヒータ31にデューティ比=5/16での通電がなされるが、T≧Tsと判定された場合には、ステップS10、ステップS11およびステップS9においてワークコイル10への通電が停止され、保温ヒータ13にデューティ比=3/16での通電がなされ、肩ヒータ31にデューティ比=5/16での通電がなされる。つまり、保温設定温度Ts(例えば、72℃)での保温制御が実行されるのである。その後、保温温度表示制御は、ステップS1へリターンする。
【0041】
即ち、保温経過時間tが上限時間tmax(例えば、24時間)を超えた場合には、保温温度表示を行わないことになっているのである。ところで、保温経過時間tが上限時間tmax(例えば、24時間)を超えた長時間保温になった時には、ご飯がパリパリになったり、べちゃついたりすることがあるし、また褐変が発生したり、保温臭が強くなったりすることがあるが、上記したように、保温温度表示を禁止することで長時間保温の警告が可能となり、長時間保温を警告する他の手段を設ける必要がなくなる。
【0042】
この場合の飯器温度の時間的変化は、図10のタイムチャートに示す通りである。
【0043】
(II) 保温温度表示制御(II)
図5に示すフローチャートを参照して、本実施の形態にかかる電気炊飯器における保温温度表示制御(II)について詳述する。この場合、通常保温が選択されており、保温温度表示がなじまない所定の条件は、センタセンサー8により検出される飯器温度Tが大きく変化している間(即ち、炊飯終了から所定時間t=3時間が経過するまでの間)とされている。ここで、前記所定時間tは、炊飯終了後においてセンタセンサー8により検出される飯器温度Tが保温設定温度Tsの近くまで低下するに要する時間とされ、前以て実験等により決定される。
【0044】
ステップS1において炊飯終了が確認されると、ステップS2においてセンタセンサー8により検出された飯器温度Tがマイコン61に入力され、ステップS3において炊飯終了時からの経過時間tと所定時間t(例えば、3時間)との比較がなされ、ここで、t<tと判定された場合には、ステップS5に進んで、液晶表示装置53に表示されている保温温度表示が消灯されるが、t≧tと判定された場合には、ステップS4においてセンタセンサー8により検出された飯器温度(換言すれば、保温温度)Tが液晶表示装置53に表示される。前記保温温度表示の消灯は、マイコン61における表示禁止手段により行われる。
【0045】
そして、ステップS6において前記飯器温度Tと保温設定温度Ts(例えば、72℃)との比較がなされ、ここでT<Tsと判定された場合には、ステップS7〜ステップS9においてワークコイル10に50%の出力でデューティ比=1/16での通電がなされ、保温ヒータ13にデューティ比=5/16での通電がなされ、肩ヒータ31にデューティ比=5/16での通電がなされるが、T≧Tsと判定された場合には、ステップS10、ステップS11およびステップS9においてワークコイル10への通電が停止され、保温ヒータ13にデューティ比=3/16での通電がなされ、肩ヒータ31にデューティ比=5/16での通電がなされる。つまり、保温設定温度Ts(例えば、72℃)での保温制御が実行されるのである。その後、保温温度表示制御は、ステップS1へリターンする。
【0046】
即ち、センタセンサー8により検出される飯器温度Tが大きく変化している間(即ち、炊飯終了から所定時間t=3時間が経過するまでの間)においては、保温温度表示を行わないことになっているのである。ところで、炊飯終了後から保温制御温度Tsに達するまでの間においては、センタセンサー8による検出温度Tとご飯の温度とが対応しておらず、この時に保温温度表示を行ってもご飯温度を表示したことにならないが、上記したように、保温温度表示を禁止することで、ユーザに誤解を与えることがなくなる。
【0047】
この場合の飯器温度の時間的変化は、図10のタイムチャートに示す通りである。
【0048】
(III) 保温温度表示制御(III)
図6に示すフローチャートを参照して、本実施の形態にかかる電気炊飯器における保温温度表示制御(III)について詳述する。この場合、通常保温が選択されており、保温温度表示がなじまない所定の条件は、センタセンサー8により検出される飯器温度Tが大きく変化している間(即ち、炊飯終了から飯器温度Tが所定温度T=75℃に低下するまでの間)とされている。前記所定温度Tは、保温設定温度Tsより若干高い温度に設定される。
【0049】
ステップS1において炊飯終了が確認されると、ステップS2においてセンタセンサー8により検出された飯器温度Tがマイコン61に入力され、ステップS3において飯器温度Ttと所定温度T(例えば、75℃)との比較がなされ、ここで、T≧Tと判定された場合には、ステップS4において液晶表示装置53に表示されている保温温度表示が消灯されるが、T<Tと判定された場合には、センタセンサー8により検出された飯器温度(換言すれば、保温温度)Tが液晶表示装置53に表示される。前記保温温度表示の消灯は、マイコン61における表示禁止手段により行われる。
【0050】
そして、ステップS6において前記飯器温度Tと保温設定温度Ts(例えば、72℃)との比較がなされ、ここでT<Tsと判定された場合には、ステップS7〜ステップS9においてワークコイル10に50%の出力でデューティ比=1/16での通電がなされ、保温ヒータ13にデューティ比=5/16での通電がなされ、肩ヒータ31にデューティ比=5/16での通電がなされるが、T≧Tsと判定された場合には、ステップS10、ステップS11およびステップS9においてワークコイル10への通電が停止され、保温ヒータ13にデューティ比=3/16での通電がなされ、肩ヒータ31にデューティ比=5/16での通電がなされる。つまり、保温設定温度Ts(例えば、72℃)での保温制御が実行されるのである。その後、保温温度表示制御は、ステップS1へリターンする。
【0051】
即ち、センタセンサー8により検出される飯器温度Tが大きく変化している間(即ち、炊飯終了から飯器温度Tが所定温度T=75℃が低下するまでの間)においては、保温温度表示を行わないことになっているのである。ところで、炊飯終了後から保温制御温度Tsに達するまでの間においては、センタセンサー8による検出温度Tとご飯の温度とが対応しておらず、この時に保温温度表示を行ってもご飯温度を表示したことにならないが、上記したように、保温温度表示を禁止することで、ユーザに誤解を与えることがなくなる。
【0052】
この場合の飯器温度の時間的変化は、図10のタイムチャートに示す通りである。
【0053】
(IV) 保温温度表示制御(IV)
図7に示すフローチャートを参照して、本実施の形態にかかる電気炊飯器における保温温度表示制御(IV)について詳述する。この場合、通常保温が選択されており、保温温度表示がなじまない所定の条件は、センタセンサー8により検出される飯器温度Tが大きく変化している間(即ち、ユーザの意図により再加熱スイッチ49が操作されて、再加熱が実行されている間およびその後の所定時間)とされている。
【0054】
ステップS1において保温制御が開始されされたと確認されると、ステップS2において再加熱が開始されたか否かの判定がなされ、ここで肯定判定されると、ステップS3において再加熱が終了したか否かの判定がなされ、ここで否定判定された場合には、ステップS7に進んで液晶表示装置53に表示されている保温温度表示が消灯される。また、ステップS3において肯定判定され、ステップS4において再加熱終了から所定時間Δt(例えば、30分)が経過したか否かの判定がなされ、ここで否定判定された場合にもステップS7に進んで液晶表示装置53に表示されている保温温度表示が消灯される。
【0055】
一方、ステップS2において否定判定された場合およびステップS4において肯定判定された場合には、ステップS5に進んでセンタセンサー8により検出された飯器温度Tがマイコン61に入力され、ステップS6においてセンタセンサー8により検出された飯器温度(換言すれば、保温温度)Tが液晶表示装置53に表示される。前記保温温度表示の消灯は、マイコン61における表示禁止手段により行われる。
【0056】
そして、ステップS8において前記飯器温度Tと保温設定温度Ts(例えば、72℃)との比較がなされ、ここでT<Tsと判定された場合には、ステップS8〜ステップS10においてワークコイル10に50%の出力でデューティ比=1/16での通電がなされ、保温ヒータ13にデューティ比=5/16での通電がなされ、肩ヒータ31にデューティ比=5/16での通電がなされるが、T≧Tsと判定された場合には、ステップS11、ステップS12およびステップS10においてワークコイル10への通電が停止され、保温ヒータ13にデューティ比=3/16での通電がなされ、肩ヒータ31にデューティ比=5/16での通電がなされる。つまり、保温設定温度Ts(例えば、72℃)での保温制御が実行されるのである。その後、保温温度表示制御は、ステップS1へリターンする。
【0057】
即ち、センタセンサー8により検出される飯器温度Tが大きく変化している間(即ち、ユーザの意図により再加熱スイッチ49が操作されて、再加熱が実行さている間およびその後の所定時間=30分)においては、保温温度表示を行わないことになっているのである。ところで、再加熱時においては飯器3内の上下で温度の差が生じて温度を正しく測定することが困難で、センタセンサー8による検出温度Tとご飯の温度とが対応しないところから、この時に保温温度表示を行ってもご飯温度を表示したことにならないが、上記したように、保温温度表示を禁止することで、ユーザに誤解を与えることがなくなる。
【0058】
この場合の飯器温度の時間的変化は、図10のタイムチャートに示す通りである。
【0059】
(V) 保温温度表示制御(V)
図8に示すフローチャートを参照して、本実施の形態にかかる電気炊飯器における保温温度表示制御(V)について詳述する。この場合、保温温度表示がなじまない所定の条件は、保温に適さないメニュー(例えば、おかゆ、雑炊、炊込み、おこわ、ピラフ)が選択されたときとされている。
【0060】
ステップS1において保温制御が開始されされたと確認されると、ステップS2においてメニュー「おかゆ」が選択されたか否かの判定がなされ、ここで肯定判定された場合には、ステップS9に進み、液晶表示装置53に表示されている保温温度表示が消灯される。ステップS2において否定判定された場合には、ステップS3においてメニュー「雑炊」が選択されたか否かの判定がなされ、ここで肯定判定された場合には、ステップS9に進み、液晶表示装置53に表示されている保温温度表示が消灯される。ステップS3において否定判定された場合には、ステップS4においてメニュー「炊込み」が選択されたか否かの判定がなされ、ここで肯定判定された場合には、ステップS9に進み、液晶表示装置53に表示されている保温温度表示が消灯される。ステップS4において否定判定された場合には、ステップS5においてメニュー「おこわ」が選択されたか否かの判定がなされ、ここで肯定判定された場合には、ステップS9に進み、液晶表示装置53に表示されている保温温度表示が消灯される。ステップS5において否定判定された場合には、ステップS6においてメニュー「ピラフ」が選択されたか否かの判定がなされ、ここで肯定判定された場合には、ステップS9に進み、液晶表示装置53に表示されている保温温度表示が消灯される。ステップS6において否定判定された場合(換言すれば、メニュー「白米」が選択された場合)には、ステップS7においてセンタセンサー8により検出された飯器温度Tがマイコン61に入力され、ステップS8においてセンタセンサー8により検出された飯器温度(換言すれば、保温温度)Tが液晶表示装置53に表示される。前記保温温度表示の消灯は、マイコン61における表示禁止手段により行われる。
【0061】
即ち、保温に適さないメニュー(例えば、おかゆ等)が選択されたときには、保温温度表示を行わないことになっているのである。このようにすると、保温可能なメニューと保温不可能なメニューとを区別し易くなる。
【0062】
(VI) 保温温度表示制御(VI)
図9に示すフローチャートを参照して、本実施の形態にかかる電気炊飯器における保温温度表示制御(VI)について詳述する。この場合、低温保温が選択されており、保温温度表示がなじまない所定の条件は、センタセンサー8により検出される飯器温度Tが大きく変化している間(即ち、保温温度帯が低温から高温に移行している間)とされている。
【0063】
ステップS1において保温制御が開始されたことが確認されると、ステップS2においてセンタセンサー8により検出された飯器温度Tがマイコン61に入力され、ステップS3およびステップS4において保温開始からの経過時間tがt〜t(例えば、6〜7時間)およびt〜t(例えば、12〜13時間)の間にあるか否かの判定がそれぞれなされ、両方で肯定判定された場合には、ステップS5に進んでセンタセンサー8により検出された飯器温度(換言すれば、保温温度)Tが液晶表示装置53に表示されるが、両方で否定判定された場合には、ステップS6に進んで液晶表示装置53に表示されている保温温度表示が消灯される。ここで、保温経過時間tは、低温保温から中温保温への保温設定温度の変更時であり、保温経過時間tは、中温保温から高温保温(換言すれば、通常保温)への保温設定温度の変更時である。
【0064】
ついで、ステップS7において保温経過時間t(例えば、3時間)が経過したか否かの判定がなされ、ここで、否定判定された場合(換言すれば、低温保温領域にあると判定された場合)、ステップS8に進んで保温設定温度Tsが低温保温設定温度Ts(例えば、65℃)に設定される。ステップS7において肯定判定された場合(換言すれば、低温保温領域が終わったと判定された場合)、ステップS9において保温経過時間t(例えば、12時間)が経過したか否かの判定がなされ、ここで否定判定された場合(換言すれば、中温保温領域にあると判定された場合)、ステップS10に進んで保温設定温度Tsが中温保温設定温度Ts(例えば、68℃)に設定される。ステップS9において肯定判定された場合(換言すれば、中温保温領域が終わったと判定された場合)、ステップS11に進んで保温設定温度Tsが高温保温設定温度Ts(例えば、72℃)に設定される。
【0065】
そして、ステップS12において前記飯器温度Tと保温設定温度Ts(例えば、Ts=65℃、Ts=68℃あるいはTs=72℃)との比較がなされ、ここでT<Tsと判定された場合には、ステップS13〜ステップS15においてワークコイル10に50%の出力でデューティ比=1/16での通電がなされ、保温ヒータ13にデューティ比=5/16での通電がなされ、肩ヒータ31にデューティ比=5/16での通電がなされるが、T≧Tsと判定された場合には、ステップS16、ステップS17およびステップS15においてワークコイル10への通電が停止され、保温ヒータ13にデューティ比=3/16での通電がなされ、肩ヒータ31にデューティ比=5/16での通電がなされる。つまり、保温設定温度Ts(例えば、Ts=65℃、Ts=68℃あるいはTs=72℃)での保温制御が実行されるのである。その後、保温温度表示制御は、ステップS1へリターンする。
【0066】
即ち、センタセンサー8により検出される飯器温度Tが大きく変化している間(即ち、低温保温→中温保温→高温保温への保温設定温度の移行時およびその後の所定時間=1時間)においては、保温温度表示を行わないことになっているのである。ところで、炊飯終了後から保温制御温度Tsに達するまでの間においては、センタセンサー8による検出温度Tとご飯の温度とが対応しておらず、この時に保温温度表示を行ってもご飯温度を表示したことにならないが、上記したように、保温温度表示を禁止することで、ユーザに誤解を与えることがなくなる。
【0067】
この場合の飯器温度の時間的変化は、図11のタイムチャートに示す通りである。
【0068】
ところで、電気炊飯器においては、コンセントが抜かれたり、電力の使用し過ぎによりブレーカが落ちたり、あるいは落雷があったりすると、停電するが、通常、停電時においては、補助電源である電池の電力によって時計機能と停電表示は行われるが、それ以外の全ての機能が停止されることとなっている。そのため、飯器3内のご飯の温度等を測定・表示できず、ご飯が腐敗温度に近づいてもユーザに警告できないという不具合が生じていた。
【0069】
そこで、本実施の形態においては、停電時にも保温温度表示を行い得るようにするとともに、停電復帰後の適切な処理が行えるようにしている。
【0070】
(VII) 停電時処理制御(I)
図12に示すフローチャートを参照して、本実施の形態にかかる電気炊飯器における停電時処理制御(I)について詳述する。この場合、保温工程中に停電した時に所定時間(例えば、10分)毎に保温温度測定および表示が行えるようにされている。
【0071】
ステップS1において保温制御が開始されていると確認されると、ステップS2において停電があったか否かの判定がなされ、ここで、否定判定された場合には、ステップS3に進んでセンタセンサー8により検出された飯器温度(換言すれば、保温温度)Tがマイコン61に入力され、ステップS4において前記飯器温度(換言すれば、保温温度)Tが液晶表示装置53に表示される。
【0072】
そして、ステップS5において前記飯器温度Tと保温設定温度Ts(例えば、72℃)との比較がなされ、ここでT<Tsと判定された場合には、ステップS6〜ステップS8においてワークコイル10に50%の出力でデューティ比=1/16での通電がなされ、保温ヒータ13にデューティ比=5/16での通電がなされ、肩ヒータ31にデューティ比=5/16での通電がなされるが、T≧Tsと判定された場合には、ステップS9、ステップS10およびステップS8においてワークコイル10への通電が停止され、保温ヒータ13にデューティ比=3/16での通電がなされ、肩ヒータ31にデューティ比=5/16での通電がなされる。つまり、保温設定温度Ts(例えば、72℃)での保温制御が実行されるのである。その後、制御は、ステップS1へリターンする。
【0073】
一方、ステップS2において肯定判定された場合には、ステップS11に進んで10分タイマがスタートされ、ステップS12において所定の停電処理が行われ、ステップS13においてマイコン61に記憶されているメモリの保持が行われ、ステップS14において10分が経過したか否かの判定がなされ、ここで肯定判定されると、ステップS15に進んでセンタセンサー8による飯器温度Tの測定がなされ、ステップS16において飯器温度Tが新しい値に書き換えられ、ステップS17において10分タイマがスタートされ、ステップS18において飯器温度Tと腐敗温度Tmin(例えば、60℃)との比較がなされ、ここでT≦Tminと判定されると、ステップS19に進んで腐敗警告がなされる。該腐敗警告は、LEDの点灯あるいは液晶表示装置53への表示により行われる。
【0074】
前記ステップS14において否定判定された場合には、ステップS20に進んでセンタセンサー8により検出された飯器温度(換言すれば、保温温度)Tが液晶表示装置53に表示される。つまり、停電時においても保温温度表示が行われることとなっているのである。
【0075】
ステップS21においては、停電復帰したか否かの判定がなされ、ここで否定判定された場合には、ステップS13に戻るが、肯定判定された場合には、ステップS22に進んで所定の停電復帰処理がなされた後、ステップS3に戻る。
【0076】
上記したように、この場合においては、保温工程中に停電した時に所定時間(例えば、10分)毎に保温温度測定および表示が行えるようにしているので、ご飯温度の状態を確認することができるし、飯器温度Tが腐敗温度Tminに低下した時には警告報知を行うようにしているので、ユーザがご飯の腐敗に対して対応し易くなる。また、飯器温度Tの検出および表示を所定時間(例えば、10分)毎に行うようにしているので、補助電源である電池65の消耗を防止することができる。
【0077】
(VIII) 停電復帰後処理制御(I)
図13に示すフローチャートを参照して、本実施の形態にかかる電気炊飯器における停電復帰後処理制御(I)について詳述する。この停電復帰後処理制御は、炊飯中に停電があった場合における復帰後の処理とされている。
【0078】
ステップS1において吸水工程か否かの判定がなされ、ここで肯定判定された場合には、ステップS2において吸水工程が実行されるが、否定判定された場合には、ステップS3に進む。ステップS3においては昇温工程か否かの判定がなされ、ここで肯定判定された場合には、ステップS4において昇温工程が実行されるが、否定判定された場合には、ステップS5に進む。ステップS5においては合数判定か否かの判定がなされ、ここで肯定判定された場合には、ステップS6において合数判定が実行され、否定判定された場合には、ステップS7に進む。ステップS7においては炊上げ工程か否かの判定がなされ、ここで肯定判定された場合には、ステップS8〜ステップS10において合数判定の結果判定がなされ、否定判定された場合には、ステップS23に進む。
【0079】
ステップS8において炊飯量が「小1」であるか否かの判定がなされ、ここで肯定判定された場合には、ステップS11〜ステップS13においてワークコイル10に60%の出力でデューティ比=8/16での通電がなされ、肩ヒータ31にデューティ比=5/16での通電がなされ、保温ヒータ13にデューティ比=8/16での通電がなされる。
【0080】
ステップS9において炊飯量が「中2」であるか否かの判定がなされ、ここで肯定判定された場合には、ステップS14〜ステップS16においてワークコイル10に70%の出力でデューティ比=10/16での通電がなされ、肩ヒータ31にデューティ比=5/16での通電がなされ、保温ヒータ13にデューティ比=8/16での通電がなされる。
【0081】
ステップS10において炊飯量が「中3」であるか否かの判定がなされ、ここで肯定判定された場合には、ステップS17〜ステップS19においてワークコイル10に80%の出力でデューティ比=12/16での通電がなされ、肩ヒータ31にデューティ比=5/16での通電がなされ、保温ヒータ13にデューティ比=8/16での通電がなされる。
【0082】
ステップS10において否定判定された場合(即ち、炊飯量が「大4」と判定された場合)には、ステップS20〜ステップS22においてワークコイル10に80%の出力でデューティ比=14/16での通電がなされ、肩ヒータ31にデューティ比=5/16での通電がなされ、保温ヒータ13にデューティ比=8/16での通電がなされる。
【0083】
ステップS23においては蒸らし工程か否かの判定がなされ、ここで肯定判定された場合には、ステップS24において蒸らし工程が実行され、否定判定された場合には、ステップS25に進む。ステップS25においては停電があったか否かの判定がなされ、ここで肯定判定された場合には、ステップS26において所定の停電処理が実行されるが、否定判定された場合には、ステップS1へリターンして前述した処理が繰り返される。
【0084】
ステップS27において停電復帰が確認されると、ステップS28において吸水工程中であるか否かの判定がなされ、ここで肯定判定された場合には、ステップS1へリターンして停電前と同様の処理が繰り返されるが、否定判定された場合には、ステップS29に進む。
【0085】
ステップS29においては昇温工程か否かの判定がなされ、ここで肯定判定された場合には、ステップS1へリターンして停電前と同様の処理が繰り返されるが、否定判定された場合には、ステップS30に進む。
【0086】
ステップS30においては合数判定中か否かの判定がなされ、ここで肯定判定された場合には、ステップS31において合数判定結果を1ランク下げる処理(即ち、電力を1ランク下げる処理)を行った後にステップS1へリターンする。つまり、合数判定結果である炊飯量「小1」→炊飯量「小1」、炊飯量「中2」→炊飯量「小1」、炊飯量「中3」→炊飯量「中2」、炊飯量「大4」→炊飯量「中3」というように1ランク下げられるのである。なお、炊飯量「小1」→炊飯量「小1」とするのは、炊飯量「小1」以下の判定結果がないからである。このようにすると、吹きこぼれを防止することができる。
【0087】
ステップS30において否定判定された場合には、ステップS32に進んで炊上げ工程か否かの判定がなされ、ここで肯定判定された場合には、ステップS33において合数判定結果を1ランク上げる処理(即ち、電力を1ランク上げる処理)を行った後にステップS1へリターンする。つまり、合数判定結果である炊飯量「小1」→炊飯量「中2」、炊飯量「中2」→炊飯量「中3」、炊飯量「中3」→炊飯量「大4」、炊飯量「大4」→炊飯量「大4」というように1ランク上げられるのである。なお、炊飯量「大4」→炊飯量「大4」とするのは、炊飯量「大4」以上の判定結果がないからである。このようにすると、炊き上げ状態が良好となる。
【0088】
なお、ステップS32において否定判定された場合には、ステップS1にリターンする。
【0089】
(IX) 停電復帰後処理制御(II)
図14に示すフローチャートを参照して、本実施の形態にかかる電気炊飯器における停電復帰後処理制御(II)について詳述する。この停電復帰後処理制御は、保温中に停電があった場合における復帰後の処理とされている。
【0090】
ステップS1において保温制御が開始されたと確認されると、ステップS2において停電があったか否かの判定がなされ、ここで肯定判定されると、ステップS11に進むが、否定判定された場合には、ステップS3においてセンタセンサー8により検出された飯器温度Tがマイコン61に入力される。そして、ステップS4において前記飯器温度Tと保温設定温度Ts(例えば、72℃)との比較がなされ、ここでT≦Tsと判定された場合には、ステップS5〜ステップS7においてワークコイル10に50%の出力でデューティ比=1/16での通電がなされ、肩ヒータ31にデューティ比=5/16での通電がなされ、保温ヒータ13にデューティ比=7/16での通電がなされるが、否定判定された場合には、ステップS8〜ステップS10においてワークコイル10への通電が停止され、肩ヒータ31にデューティ比=3/16での通電がなされ、保温ヒータ13にデューティ比=5/16での通電がなされ、その後、ステップS1へリターンする。つまり、保温設定温度Ts(例えば、72℃)での保温制御がなされるのである。
【0091】
一方、ステップS11において停電が復帰したと確認されると、ステップS12において停電時間が15分以上であったか否かの判定がなされ、ここで否定判定された場合には、ステップS3に戻り、以下の処理が繰り返されるが、肯定判定された場合には、ステップS13において30分タイマがスタートされ、ステップS14において停電表示が液晶表示装置53になされ、ステップS15においてセンタセンサー8により検出された飯器温度Tがマイコン61に入力される。
【0092】
上記停電表示は、図15に示すように、「保温中に」、「40分」、「停電しました」としてもよく、図16に示すように、「保温中に」、「合計」、「1時間12分」、「停電しました」としてもよく、図17に示すように、「保温中に」、「合計」、「2回」、「停電しました」としてもよい。このようにすると、ユーザにも停電したことが分かり易くなるとともに、サービス担当にもどのような状態で停電したかが明確となり、対策・原因が分かり易くなる。
【0093】
ステップS16においては飯器温度Tと保温設定温度Tsとの比較がなされ、ここでT≦Tsと判定された場合には、ステップS17〜ステップS19においてワークコイル10に50%の出力でデューティ比=1/16での通電がなされ、肩ヒータ31にデューティ比=7/16での通電がなされ、保温ヒータ13にデューティ比=9/16での通電がなされるが、否定判定された場合には、ステップS20〜ステップS22においてワークコイル10への通電が停止され、肩ヒータ31にデューティ比=6/16での通電がなされ、保温ヒータ13にデューティ比=8/16での通電がなされ、その後、ステップS23において30分が経過したか否かの判定がなされ、ここで否定判定された場合には、ステップS14に戻り、以下の制御が繰り返されるが、肯定判定された場合には、ステップS1へリターンする。つまり、停電前より肩ヒータ31および保温ヒータ13の電力を増大させて、保温設定温度Ts(例えば、72℃)での保温制御がなされるのである。
【0094】
上記したように、保温中の停電時間が所定時間(例えば、15分)未満の場合には、停電前の状態に戻って保温工程が継続されるが、所定時間(例えば、15分)以上停電した後に復帰した場合には、停電前より肩ヒータ31および保温ヒータ13の電力を増大させて保温制御を行うようになっている。
【0095】
ところで、一般に電気炊飯器は蓋部分から熱が逃げ易く、保温時においてはご飯の上部の方から温度が下がって行くが、加熱源は下の方が強くなっているところから、一度温度が下がると、温度が下がっている上の方が加熱しにくくなり、温度ムラが生じてご飯の状態が悪くなるという現象が生ずる。ところが、上記したように、所定時間(例えば、15分)以上停電した後に復帰した場合には、停電前より肩ヒータ31および保温ヒータ13の電力を増大させて保温制御を行うようにすれば、停電復帰後におけるご飯の劣化を最小限に押さえることができるのである。
【0096】
上記実施の形態においては、炊飯用加熱手段としてワークコイルを用いているが、本願発明は、炊飯用加熱手段として電気ヒータを用いたものにも適用可能なことは勿論である。
【0097】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、内部に飯器を収納し得るように構成された炊飯器本体と、該炊飯器本体の開口を開閉自在に覆蓋する蓋体と、前記飯器を加熱する加熱手段と、前記飯器の温度を検出する温度検出手段とを備え、炊飯終了後において前記飯器温度を所定の保温温度に保持するように前記加熱手段への通電を制御する保温制御を行うとともに、該保温制御中における保温温度を表示装置に数値表示する表示制御手段を付設してなる電気炊飯器において、保温温度表示がなじまない所定の条件下には前記表示制御手段による保温温度の表示を禁止する表示禁止手段を付設して、炊飯終了後における保温工程(即ち、所定の保温温度に保持するように加熱手段への通電を制御する工程)においては、保温温度が表示装置に数値表示されるが、保温温度表示がなじまない所定の条件下においては、表示禁止手段により保温温度の表示が禁止されるようにしたので、保温温度表示が不適当な場合には保温温度表示が行われないこととなり、ユーザが誤解することもなく、消費電力を抑制することもできるという効果がある。
【0098】
請求項2の発明におけるように、請求項1記載の電気炊飯器において、前記所定の条件を、保温経過時間が上限時間を超えたときとした場合、上限時間を超えた長時間保温になった時に保温温度表示を禁止することで長時間保温の警告が可能となり、長時間保温を警告する他の手段を設ける必要がなくなる。
【0099】
請求項3の発明におけるように、請求項1および2のいずれか一項記載の電気炊飯器において、前記所定の条件を、温度検出手段により検出される温度が大きく変化している間とした場合、例えば炊飯終了後から保温制御温度に達するまでの間とか、低温保温から高温保温に移行する時およびその後の一定時間とかのように、温度検出手段により検出される温度が大きく変化している間においては、温度検出手段による検出温度とご飯の温度とが対応しておらず、この時に保温温度表示を行ってもご飯温度を表示したことにならないところから、保温温度表示が表示禁止手段により禁止されることとなり、ユーザに誤解を与えることがなくなる。
【0100】
請求項4の発明におけるように、請求項1、2および3のいずれか一項記載の電気炊飯器において、前記所定の条件を、保温に適さないメニューが選択されたときとした場合、保温に適さないメニュー(例えば、おかゆ等)が選択された場合には、保温温度表示が表示禁止手段により禁止されることとなり、保温可能なメニューと保温不可能なメニューとを区別し易くなる。
【0101】
請求項5の発明におけるように、請求項1、2、3および4のいずれか一項記載の電気炊飯器において、補助電源を付設して、停電時に前記表示制御手段による保温温度数値表示を行うようにした場合、停電時(例えば、電源コンセントが抜かれた時)にも保温温度表示がなされることとなり、ご飯温度の状態を確認することができる。
【0102】
請求項6の発明におけるように、請求項5記載の電気炊飯器において、前記温度検出手段による検出温度が腐敗温度に低下した時には警告報知を行うようにした場合、ご飯の温度が腐敗温度に低下する前に警告報知が行われることとなり、ユーザが対応し易くなる。
【0103】
請求項7の発明におけるように、請求項5および6のいずれか一項記載の電気炊飯器において、前記温度検出手段による温度検出および前記表示制御手段による保温温度表示を所定時間毎に行うようにした場合、補助電源の消耗を防止することができる。
【0104】
請求項8の発明におけるように、請求項5、6および7のいずれか一項記載の電気炊飯器において、停電状態が所定時間以上続いた場合には、前記所定時間毎の温度検出および保温温度表示を停止するようにした場合、補助電源の消耗を予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器の縦断面図である。
【図2】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器における操作パネル部の正面図である。
【図3】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器における制御回路部の結線図である。
【図4】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器における保温温度表示制御(I)のフローチャートである。
【図5】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器における保温温度表示制御(II)のフローチャートである。
【図6】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器における保温温度表示制御(III)のフローチャートである。
【図7】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器における保温温度表示制御(IV)のフローチャートである。
【図8】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器における保温温度表示制御(V)のフローチャートである。
【図9】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器における保温温度表示制御(VI)のフローチャートである。
【図10】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器における保温温度表示制御(I)〜(IV)のタイムチャートである。
【図11】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器における低温保温制御時(VI)のタイムチャートである。
【図12】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器における停電時処理制御(I)のフローチャートである。
【図13】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器における停電復帰後処理制御(I)のフローチャートである。
【図14】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器における停電復帰後処理制御のフローチャートである。
【図15】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器における停電時の表示例を示す図である。
【図16】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器における停電時の他の表示例を示す図である。
【図17】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器における停電時のもう一つの表示例を示す図である。
【符号の説明】
1は炊飯器本体、2は蓋体、3は飯器、8は温度検出手段(センタセンサー)、10は加熱手段(ワークコイル)、61はマイコン。

Claims (8)

  1. 内部に飯器を収納し得るように構成された炊飯器本体と、該炊飯器本体の開口を開閉自在に覆蓋する蓋体と、前記飯器を加熱する加熱手段と、前記飯器の温度を検出する温度検出手段とを備え、炊飯終了後において前記飯器温度を所定の保温温度に保持するように前記加熱手段への通電を制御する保温制御を行うとともに、該保温制御中における保温温度を表示装置に数値表示する表示制御手段を付設してなる電気炊飯器であって、保温温度表示がなじまない所定の条件下には前記表示制御手段による保温温度の表示を禁止する表示禁止手段を付設したことを特徴とする電気炊飯器。
  2. 前記所定の条件を、保温経過時間が上限時間を超えたときとしたことを特徴とする前記請求項1記載の電気炊飯器。
  3. 前記所定の条件を、温度検出手段により検出される温度が大きく変化している間としたことを特徴とする前記請求項1および2のいずれか一項記載の電気炊飯器。
  4. 前記所定の条件を、保温に適さないメニューが選択されたときとしたことを特徴とする前記請求項1、2および3のいずれか一項記載の電気炊飯器。
  5. 補助電源を付設して、停電時に前記表示制御手段による保温温度数値表示を行うようにしたことを特徴とする前記請求項1、2、3および4のいずれか一項記載の電気炊飯器。
  6. 前記温度検出手段による検出温度が腐敗温度に低下した時には警告報知を行うようにしたことを特徴とする前記請求項5記載の電気炊飯器。
  7. 前記温度検出手段による温度検出および前記表示制御手段による保温温度表示を所定時間毎に行うようにしたことを特徴とする前記請求項5および6のいずれか一項記載の電気炊飯器。
  8. 停電状態が所定時間以上続いた場合には、前記所定時間毎の温度検出および保温温度表示を停止するようにしたことを特徴とする前記請求項5、6および7のいずれか一項記載の電気炊飯器。
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