JP3596358B2 - 自動変速機を備えた車両のエンジン自動停止始動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機を備えた車両のエンジン自動停止始動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のエンジン自動停止始動装置においては、例えば、特開昭60−125738号公報にて示されているように、車両のエンジンの停止時には自動変速機を高速ギヤが選択されるように制御し、エンジン始動後タイマの計時時間が一定時間経過したとき自動変速機を低速ギヤが選択されるように制御するものがある。
【0003】
これにより、エンジン自動始動後、一定時間経過しない限り自動変速機では、高速ギヤが選択されたままに維持されることで、自動始動時或いは始動後直ちに走行しない場合において車両を停止状態に保持する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記エンジン自動停止始動装置において、エンジンの自動停止後、一定時間の経過を待つことなく、直ちに車両の走行を開始したい場合に、自動変速機が高速ギヤに選択されているため、満足な加速性能が得られず、また、車両の走行を開始したい場合には、自動変速機を低速ギヤに切り換えるにしても、満足な加速感を得るまでに自動変速機の低速ギヤへの切り換えに要する時間分だけの時間遅れが生ずることとなる。
【0005】
これに対しては、特開平10−122008号公報にて開示されているように、自動変速機を高速ギヤに選択した状態でエンジンを再始動し、その後、自動変速機のクラッチの係合が完了した後に自動変速機を低速ギヤに切り換えるようにすることも考えられる。
【0006】
この場合、クラッチの係合完了時には、エンジンのトルクが自動変速機の高速ギヤ状態におけるトルクとして車軸に伝達される。その後、自動変速機が低速ギヤに切り換えられると、エンジンのトルクが自動変速機の低速ギヤ状態におけるトルクとして車軸に伝達される。
【0007】
しかし、自動変速機の高速ギヤと低速ギヤではギヤ比が大きく異なるため、自動変速機の低速ギヤ状態においてエンジンから車軸に伝わるトルクは、自動変速機の高速ギヤ状態においてエンジンから車軸に伝わるトルクに比べて相当に大きい。従って、クラッチの係合完了後において、自動変速機を高速ギヤから低速ギヤに切り換えると、車軸に伝わるトルクが大きく変化して、上述と同様にエンジン始動時に車両の前後方向の加速度に起因するショックが生じ、乗員に不快感を与えることとなる。
【0008】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、エンジンの自動始動停止機能を備えた車両のエンジンを自動的に再始動する際に車両に生ずるショックを低減するようにした車両用エンジン自動停止始動装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明によれば、
車両のエンジン(10)を、所定の停止条件を満たしとき自動的に停止する自動停止手段(150、160、200、201)と、
所定の始動条件を満たしたときエンジンを自動的に再始動する自動再始動手段(231、232、240乃至242、20、130、150、160)と、
車両のブレーキ(100)の踏み込み量を検出する踏み込み量検出手段(110a)と、
エンジンの自動的な停止中の上記検出踏み込み量に応じて当該エンジンのその再始動時のショックを低減するように車両の出力トルクを変更する変更手段(60、40、71、72、70、10a、10b、281、300、310、341、262、150、160)とを備えた車両のエンジン自動停止始動装置が提供される。
【0010】
このように、エンジンの自動的な停止中の上記検出踏み込み量に応じて当該エンジンのその再始動時のショックを低減するように車両の出力トルクを変更するので、エンジンの再始動時のショックを確実に低減でき、その結果、乗員に対しエンジンの再始動時に不快感を与えることがない。
【0011】
また、請求項2に記載の発明によれば、
変速レンジをドライブレンジその他のレンジに切り換え可能であるとともに変速ギヤ位置を低速或いは高速の位置に切り換え可能な自動変速機(40)を備えた車両のエンジン(10)を、所定の停止条件を満たしときドライブレンジにてエンジンを自動的に停止する自動停止手段(150、160、200、201)と、
所定の始動条件を満たしたときドライブレンジにてエンジンを自動的に再始動する自動再始動手段(231、232、240乃至242、20、130、150、160)と、
エンジンの自動停止中にも自動変速機の変速ギヤ位置を切り換えるライン圧を発生する発生手段(60)と、
車両のブレーキ(100)の踏み込み量を検出する踏み込み量検出手段(110a)と、
ライン圧に応じて変速ギヤ位置を切り換えるように自動変速機を制御する切り換え制御手段(71、72、70)とを備えて、
この切り換え制御手段は、エンジンの自動的停止中の上記検出踏み込み量が所定量以上のとき変速ギヤ位置を低速にするようにライン圧に基づき自動変速機を制御し、エンジンの自動的停止中の上記検出踏み込み量が上記所定量未満のとき変速ギヤ位置を高速にするようにライン圧に基づき自動変速機を制御する。
【0012】
このように自動変速機の変速ギヤ位置を切り換え制御する場合、上記検出踏み込み量が所定量以上のときとは、例えば、車両が登坂路上に位置するときに対応し、上記検出踏み込み量が所定量未満のときとは、例えば、車両が平坦路上に位置するときに対応する。
【0013】
ここで、エンジンの再始動が完了すると、エンジンのトルクが自動変速機を介して当該車両の車軸に伝達されるが、このトルクは、変速ギヤ位置の低速のとき、当該車両の登坂発進に要する大きなトルクとして当該車両の車軸に伝わる。しかし、このようなトルク伝達がなされても、このトルクに起因して生ずる加速度は、ドライブレンジのもと、当該車両の登坂方向に向けて作用するから、当該加速度が低減されて当該車両に作用する。従って、上述のようにエンジンの再始動が完了しても、当該車両にエンジントルクによりショックを与えることがない。その結果、当該車両の乗員は違和感を受けることがない。
【0014】
一方、変速ギヤ位置が高速の位置にあるとき、エンジンの再始動完了によりそのトルクは低速の場合よりもかなり小さなトルクとして車軸に伝わるにすぎない。このため、当該トルクに起因して生ずる加速度は小さい。よって、上述のようにエンジンの再始動が完了しても、当該車両にエンジントルクによりショックを与えることがない。その結果、当該車両の乗員は違和感を受けることがない。
【0015】
また、請求項3に記載の発明によれば、
変速レンジをドライブレンジその他のレンジに切り換え可能であるとともに変速ギヤ位置を低速或いは高速の位置に切り換え可能な自動変速機(40)を備えた車両のエンジン(10)を、所定の停止条件を満たしときドライブレンジにてエンジンを自動的に停止する自動停止手段(150、160、200、201)と、
所定の始動条件を満たしたときドライブレンジにてエンジンを自動的に再始動する自動再始動手段(231、232、240乃至242、20、130、150、160)と、
エンジンの自動停止中にも自動変速機の変速ギヤ位置を切り換えるライン圧を発生する発生手段(60)と、
車両のブレーキ(100)の踏み込み量を検出する踏み込み量検出手段(110a)と、
ライン圧に応じて変速ギヤ位置を切り換えるように自動変速機を制御する切り換え制御手段(71、72、70)とを備えて、
この切り換え制御手段は、エンジンの自動的停止中の上記検出踏み込み量の大小に応じて変速ギヤ位置を低速又は高速にするようにライン圧に基づき自動変速機を制御する。
【0016】
このようにエンジンの自動的停止中の上記検出踏み込み量の大小に応じて変速ギヤ位置を低速又は高速にするようにライン圧に基づき自動変速機を制御するようにしても、請求項2に記載の発明と実質的に同様の作用効果を達成できる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明によれば、
変速レンジをドライブレンジその他のレンジに切り換え可能な自動変速機(40)を備えた車両のエンジン(10)を、所定の停止条件を満たしとき前記ドライブレンジにてエンジンを自動的に停止する自動停止手段(150、160、200、201)と、
所定の始動条件を満たしたときドライブレンジにてエンジンを自動的に再始動する自動再始動手段(231、232、240乃至242、20、130、150、160)と、
エンジンの自動停止中にも自動変速機の変速ギヤ位置をライン圧により維持する変速ギヤ位置維持手段(60、70)と、
エンジンの再始動直後、予めエンジンの回転数の変化を円滑にするように定めた目標回転数と実際の回転数の差を減ずるようにエンジンの点火時期を制御する点火時期制御手段(250乃至263、150、160)とを具備する自動変速機を備えた車両のエンジン自動停止始動装置が提供される。
【0018】
このように、エンジンの再始動直後、予めエンジンの回転数の変化を円滑にするように定めた目標回転数と実際の回転数の差を減ずるようにエンジンの点火時期を制御すれば、エンジンの目標回転数に対し、検出エンジン回転数が下回っておれば、点火時期が徐々に進角し、エンジンのトルクは増加しエンジン回転数を上昇させ得る。逆に、エンジンの目標回転数に対し、検出エンジン回転数が上回っておれば、点火時期が徐々に遅角し、エンジンのトルクは減少してエンジン回転数の上昇を抑制できる。
【0019】
これにより、エンジンは、その再始動完了後の吹き上がりを効果的に抑制され、その回転数にて円滑に目標回転数に近づくように制御される。その結果、エンジンの吹き上がりにより生じがちなエンジントルクによる当該車両の前後方向加速度を効果的に抑制でき、乗員に対しショックを与えることがない。
【0020】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態を図面により説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る車両用エンジン自動停止始動装置の第1実施形態を示している。
【0023】
当該車両は、エンジン10及びスタータモータ20を備えている。エンジン10は、そのクランク軸11にて、ベルト機構30を介しスタータモータ20の回転軸21に連結されている。これにより、エンジン10は、スタータモータ20の回転に伴いベルト機構30を介し当該スタータモータ20からトルクを伝達されてクランキング状態におかれる。
【0024】
また、当該車両は自動変速機40を備えており、この自動変速機40は、その入力軸にて、トルクコンバータ50を介しエンジン10のクランク軸11に連結されている。ここで、自動変速機40の変速レンジは、パーキングレンジ、リバースレンジ、ドライブレンジ、1速レンジ及び2速レンジのいずれかに切り換えられるようになっている。また、自動変速機40の変速ギヤ位置は、1速、2速、3速及び4速の位置のいずれかに切り換えられるようになっている。なお、自動変速機40のギヤ比は、1速から4速にかけて順次小さくなる。
【0025】
従って、エンジン10のトルクは、例えば、自動変速機40のドライブレンジのもと、1速乃至4速のいずれかの変速ギヤ位置に応じて、トルクコンバータ50を介し当該車両の駆動軸(車軸)に伝達される。
【0026】
ライン圧発生用電動ポンプ60は、モータと、このモータにより駆動されるポンプとにより構成されている。これにより、電動ポンプ60においては、そのモータにより駆動されるポンプにより、油圧源(図示しない)からの油圧がライン圧として油圧制御回路70に供給される。
【0027】
油圧制御回路70は、両ソレノイド弁71、72を有している。これら両ソレノイド弁71、72は、共に常閉型電磁弁からなるもので、当該両ソレノイド弁71、72は、図2の真理表にて示すごとくオンオフされて開閉し、自動変速機40の変速ギヤ位置を1速乃至4速のいずれかの位置に切り換えるように、油圧制御回路70の油圧回路を切り換え構成する。
【0028】
具体的には、図2にて示すごとく、ソレノイド弁71がオン(開弁に対応)でソレノイド弁72がオフ(閉弁に対応)のとき、自動変速機40の変速ギヤ位置は1速の位置になる。両ソレノイド弁71、72が共にオンのとき、自動変速機40の変速ギヤ位置は2速の位置になる。ソレノイド弁71がオフでソレノイド弁72がオンのとき、自動変速機40の変速ギヤ位置は3速の位置になる。また、両ソレノイド弁71、72が共にオフのとき、自動変速機40の変速ギヤ位置は4速の位置になる。
【0029】
これにより、油圧制御回路70は、両ソレノイド弁71、72の上記真理表に基づくオンオフによる油圧回路の切り換えのもと、電動ポンプ60からのライン圧を自動変速機40に供給して変速ギヤ位置を上記真理表に対応する位置にする。
【0030】
当該車両のブレーキ系統80は、図1にて示すごとく、当該車両の各車輪に内蔵した油圧式ディスクブレーキ90へのブレーキ圧を制御する。
【0031】
ブレーキ系統80は、ブレーキ圧保持弁81を備えており、このブレーキ圧保持弁81は常開型電磁弁により構成されている。しかして、ブレーキ圧保持弁81は、そのオフにより開弁し、当該車両のフットブレーキ100の踏み込み量に応じたマスタシリンダ(図示しない)からの油圧をブレーキ圧としてディスクブレーキ90に付与する。これにより、ディスクブレーキ90はその車輪に制動をかける。また、ブレーキ圧保持弁81は、そのオンにより閉弁し、フットブレーキ100の踏み込み量に応じたブレーキ圧を保持し、当該車両の車軸を固定する。なお、図1にて符号82はリリーフ弁を示す。
【0032】
次に、当該エンジン自動停止始動装置の電子制御回路構成につき図1を参照して説明する。
【0033】
回転センサ110はエンジン10のクランク軸11の回転数を検出する。踏み込み量センサ110aはフットブレーキ100の踏み込み量を検出する。車速センサ110bは当該車両の車速を検出する。
【0034】
マイクロコンピュータ120は、図3及び図4にて示すフローチャートに従いコンピュータプログラムを実行し、この実行中において、両ソレノイド弁71、72、ブレーキ圧保持弁81、スタータリレー130、ポンプリレー140、点火系統150及び燃料噴射系統160を駆動制御するに要する演算処理をする。なお、マイクロコンピュータ120は、当該車両のバッテリBからイグニッションスイッチIGを介し給電されて作動状態となる。
【0035】
スタータリレー130は常開型電磁リレーからなるもので、このスタータリレー130は、マイクロコンピュータ120による制御のもと、そのオンによりリレースイッチ131を閉じてバッテリBからスタータモータ20に給電させる。また、スタータリレー130は、マイクロコンピュータ120による制御のもと、そのオフによりリレースイッチ131を開いてバッテリBからスタータモータ20への給電を遮断する。
【0036】
また、ポンプリレー140は常開型電磁リレーからなるもので、このポンプリレー140は、マイクロコンピュータ120による制御のもと、そのオンによりリレースイッチ141を閉じてバッテリBから電動ポンプ60のモータに給電させる。また、ポンプリレー140は、マイクロコンピュータ120による制御のもと、そのオフによりリレースイッチ141を開いてバッテリBからへの給電を電動ポンプ60のモータから遮断する。
【0037】
点火系統150は、マイクロコンピュータ120による制御のもと、エンジン10を点火する。燃料噴射系統160は、マイクロコンピュータ120による制御のもと、エンジン10へ燃料を供給する。
【0038】
以上のように構成した本第1実施形態において、マイクロコンピュータ120が、その作動により、図3及び図4のフローチャートに従い、コンピュータプログラムの実行を開始すると、ステップ200において、車速=0及びフットブレーキ100の踏み込み量が20%よりも小さいか否かが判定される。なお、このとき、エンジン10は作動中であり、自動変速機40の変速レンジはドライブレンジにあるとともに変速ギヤ位置は1速の位置(図6及び図7参照)にあるものとする。
【0039】
ここで、車速センサ110bの検出車速が零(図6及び図7参照)であり、踏み込み量センサ110aの検出踏み込み量が、図6及び図7にて示すごとく、20%よりも大きければ、ステップ200における判定がNOとなる。このことは、当該車両の運転者は、エンジン10のアイドリング状態におけるフットブレーキ100の踏み込みのもと、当該車両を停止させていることを意味する。
【0040】
なお、ステップ200における判定がYESとなるときは、当該車両の運転者は当該車両を停止させる意思のないことを意味する。
【0041】
上述のようにステップ200における判定がNOとなると、ステップ201において、エンジン10への燃料供給の遮断処理がなされ燃料噴射系統160に指令される。これにより、燃料噴射系統160はエンジン10への燃料供給を遮断する。その結果、自動変速機40の変速ギヤ位置が1速のもと、エンジン10が自動的に停止する(図6及び図7参照)。
【0042】
然る後、ステップ202において、ポンプリレー140のオン処理がなされポンプリレー140に指令される。これにより、ポンプリレー140は、そのオンによりリレースイッチ141を閉じてバッテリBから電動ポンプ60のモータに給電させる。これに伴い、電動ポンプ60は、上記油圧供給源からの油圧に基づきライン圧を発生して油圧制御回路70に付与する。
【0043】
その後、ステップ210において、踏み込み量センサ110aの検出出力がフットブレーキ100の踏み込み量としてマイクロコンピュータ120に入力される。
【0044】
すると、ステップ220において、フットブレーキ100の踏み込み量が30%よりも小さいか否かが判定される。ここで、踏み込み量30%は、次のようなことを根拠に定められている。
【0045】
即ち、当該車両が平坦路上に位置する場合には、当該車両の停止維持にあたり、フットブレーキ100の踏み込み量が小さくても十分である。一方、当該車両の停止維持にあたり、当該車両が登坂路に位置する場合、フットブレーキ100の踏み込み量は大きい必要がある。このため、フットブレーキ100の踏み込み量として30%を選定し、踏み込み量センサ110aの検出踏み込み量が30%以上のとき、当該車両が登坂路上にあり、踏み込み量センサ110aの検出踏み込み量が30%未満のとき、当該車両が平坦路上にあるとした。
【0046】
しかして、ステップ220において、踏み込み量センサ110aの検出踏み込み量が30%以上(図6参照)のときには、当該車両が登坂路上にあるとの前提のもと、NOとの判定がなされる。ついで、ステップ221において、自動変速機40の変速ギヤ位置は1速の位置のままに維持する処理、即ち、ソレノイド弁71のオン処理及びソレノイド弁72のオフ処理がなされ、これらの処理がマイクロコンピュータ120から各ソレノイド弁71、72に指令される。
【0047】
このため、ソレノイド弁71がオンされ、ソレノイド弁72がオフされる。これに伴い、油圧制御回路70の油圧回路が自動変速機40の変速ギヤ位置を1速にするように維持される。その結果、当該車両が登坂路上にあるときには、自動変速機40の変速ギヤ位置が1速に維持される(図6参照)。
【0048】
一方、ステップ220において、踏み込み量センサ110aの検出踏み込み量が30%未満(図7参照)のときには、当該車両が平坦路上にあるとの前提のもと、YESとの判定がなされる。ついで、ステップ222において、自動変速機40の変速ギヤ位置を1速の位置から2速の位置に切り換える処理、即ち、両ソレノイド弁71、72のオン処理がなされ、これらオン処理が指令としてマイクロコンピュータ120により各ソレノイド弁71、72に出力される。
【0049】
このため、両ソレノイド弁71、72が共にオンされる。これに伴い、油圧制御回路70の油圧回路が自動変速機40の変速ギヤ位置を2速にするように切り換え構成される。その結果、当該車両が平坦路上にあるとき、自動変速機40の変速ギヤ位置が2速の位置に切り換えられる(図7参照)。
【0050】
然る後、ステップ230において、踏み込み量センサ110aの検出踏み込み量が10%未満か否かが判定される。
【0051】
ここで、当該検出踏み込み量が10%以上であれば、当該車両の停止のもとエンジン10の自動停止維持が必要であることから、ステップ230における判定はNOとなり、コンピュータプログラムはステップ210に戻る。
【0052】
一方、上記検出踏み込み量が10%未満であれば、エンジン10の自動的再始動が要求されていることから、ステップ230における判定はYESとなる。
【0053】
これに伴い、ブレーキ圧保持弁81のオン処理がステップ231にてなされ、この処理が指令としてマイクロコンピュータ120によりブレーキ圧保持弁81に出力される。このため、ブレーキ圧保持弁81が閉弁してフットブレーキ100の踏み込みによるブレーキ圧を保持し上記車軸を固定する。これにより、エンジン10の再始動中における当該車両の飛び出しを防止できる。
【0054】
ステップ231の処理後、ステップ232において、スタータリレー130のオン処理がなされ、この処理が指令としてマイクロコンピュータ120によりスタータリレー130に出力される。このため、スタータリレー130がオンしてリレースイッチ131の閉成によりバッテリBからスタータモータ20に給電させる。これに伴い、スタータモータ20が始動してエンジン10をクランキング状態におく。このとき、点火系統150は回転センサ110の検出出力に基づくマイクロコンピュータ120による点火指令のもとにエンジン10を点火させる。また、燃料噴射系統160は、マイクロコンピュータ120による燃料供給指令のもとにエンジン10に燃料を供給する。
【0055】
しかして、エンジン10の回転数(以下、エンジン回転数という)が400r.p.m.より高いか否かがステップ240において判定される。ここで、エンジン回転数が400r.p.m.以下であれば、エンジン10は完爆前であることからこの完爆まで両ステップ232、240の処理が繰り返される。
【0056】
エンジン10の完爆が完了すると、エンジン10の再始動完了であることに基づき、ステップ240における判定がYESとなり、ステップ241において、ブレーキ圧保持弁81のオフ処理がなされ、この処理が指令としてマイクロコンピュータ120によりブレーキ圧保持弁81に出力される。このため、ブレーキ圧保持弁81が開弁する。これにより、フットブレーキ100の踏み込みによるブレーキ圧がディスクブレーキ90に供給される。これにより、当該車両のクリープが可能となる。
【0057】
ついで、ステップ242において、スタータリレー130のオフ処理がなされ、この処理が指令としてマイクロコンピュータ120によりスタータリレー130に出力される。このため、スタータリレー130がオフしてリレースイッチ131の開成によりバッテリBからスタータモータ20への給電を遮断する。これに伴い、スタータモータ20が停止する。
【0058】
さらに、ステップ243において、ポンプリレー140のオフ処理がなされ、この処理が指令としてマイクロコンピュータ120によりポンプリレー140に出力される。このため、ポンプリレー140がオフしてリレースイッチ141の開成によりバッテリBから電動ポンプ60のモータへの給電を遮断する。これにより、電動ポンプ60はライン圧の発生を停止する。なお、この段階では、エンジン10の回転数がある程度上昇しており、エンジン10の動力により油圧制御回路70に必要な油圧を発生する。従って、上述のように、ライン圧の発生を停止してもよい。
【0059】
以上のようにしてエンジン10の再始動処理が完了すると、エンジン10のトルクがトルクコンバータ50及び自動変速機40を介して当該車両の車軸に伝達される。
【0060】
また、上述のようなエンジン10の再始動中においては、ブレーキ圧保持弁81のオンのもと、当該車両の車軸はフットブレーキ100により固定されている。このため、トルクコンバータ50も回転することなく固定される。従って、トルクコンバータ50の動作点は、図5にて示すように、速度比=0でトルク比が最大となる点になる。よって、エンジン10のトルクは2倍以上にさらに自動変速機40のギヤ比倍に増幅されて車軸に伝わることとなる。
【0061】
ここで、上述したように、自動変速機40の変速レンジがドライブレンジにあって当該車両が登坂路上にて停止しているときには、ステップ221の処理により自動変速機40の変速ギヤ位置は1速(図6参照)のままである。
【0062】
従って、エンジン10のトルクは、変速ギヤ位置の1速のもと、当該車両の登坂発進に要する大きなトルクとして当該車両の車軸に伝わる。しかし、このようなトルク伝達がなされても、このトルクに起因して生ずる加速度は、ドライブレンジのもと、当該車両の登坂方向に向けて作用するから、当該加速度が低減されて当該車両に作用する。従って、上述のようにエンジン10の再始動が完了しても、当該車両にエンジントルクによりショックを与えることがない。その結果、当該車両の乗員は違和感を受けることがない。
【0063】
また、上述のように、自動変速機40の変速レンジがドライブレンジにあって当該車両が平坦路上にて停止しているときには、ステップ222の処理により自動変速機40の変速ギヤ位置は2速(図7参照)に切り換えられている。
【0064】
従って、エンジン10の再始動完了によりそのトルクは当該車両の車軸に伝わるが、当該トルクは、変速ギヤ位置の2速のもと、1速の場合よりもかなり小さなトルクとして車軸に伝わるにすぎない。このため、当該当該に起因して生ずる加速度は小さい。よって、上述のようにエンジン10の再始動が完了しても、当該車両にエンジントルクによりショックを与えることがない。その結果、当該車両の乗員は違和感を受けることがない。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態につき図8乃至図13を参照して説明する。
【0065】
この第2実施形態では、フローチャートが、上記第1実施形態にて述べたフローチャート(図3及び図4参照)に代えて、図8及び図9にて示すごとく採用されている。これに伴い、上記第1実施形態にて述べたマイクロコンピュータ120のROMには、図8及び図9にて示すフローチャートに従うコンピュータプログラムが、上記第1実施形態にて述べたものに代えて、予め記憶されている。なお、本第2実施形態のフローチャートにおいて、上記第1実施形態のフローチャートと同一のステップには同一の符号を付してある。その他の構成は上記第1実施形態と同様である。
【0066】
このように構成した本第2実施形態においては、上記第1実施形態と同様にステップ202までの処理によりエンジン10を自動的に停止させる。
【0067】
そして、上記第1実施形態と同様にステップ210における踏み込み量の入力処理をした後、ステップ210aにおいて、踏み込み量センサ110aの検出踏み込み量が30%と比較判定される。ここで、検出踏み込み量が30%よりも大きい場合には、当該ステップ210aにおける判定がYESとなり、ステップ211において、フラグS=1とセットされる。但し、フラグS=0は当該車両が平坦路上にあることを表し、フラグS=1は、当該車両が登坂路上にあることを表す。
【0068】
然る後、上記第1実施形態にて述べたと同様にステップ230の判定処理に進む。このステップ230において、上記第1実施形態に述べた場合と同様に、踏み込み量センサ110aの検出踏み込み量が、10%未満である場合には、YESとの判定のもと、ステップ231乃至ステップ243の各処理が上記第1実施形態と同様になされる。なお、ステップ232では、上記第1実施形態と同様の点火処理及び燃料供給処理がなされる。
【0069】
これにより、上記第1実施形態と同様に、エンジン10の再始動完了、ブレーキ圧保持弁81のオフ、ポンプリレー140のオフによる電動ポンプ60のライン圧発生停止の各処理がなされる。
【0070】
以下、本第2実施形態におけるエンジン10の再始動時の吹き上がりを防止するための点火時期制御の処理がなされる。
【0071】
ここで、エンジン10の再始動時における吹き上がりの防止を必要とする根拠について述べる。
【0072】
エンジン10の吹き上がりとは、エンジン10の再始動の完了直後、当該エンジン10の回転数が一時的に大きく上昇することをいうが、この吹き上がりに伴いエンジン10のトルクも同様に一時的に大きく増大する。このため、この増大トルクが、エンジン10の再始動完了時のショックを増大させる。本第2実施形態は、このエンジン10の吹き上がりを防止する対策を講じたものである。
【0073】
この吹き上がりの防止は、例えば、エンジン10の実際の回転数を定常回転数に近づける一時遅れ波形(時定数は100ms前後である)や、エンジン10の実際の回転数を定常回転数に一定勾配で近づけるランプ波形に従ってエンジン回転数を制御することで達成できる。
【0074】
上述のようにステップ243の処理を終了した後、図9のステップ244において、上記第1実施形態にて述べたステップ242の処理と同様の処理がなされ、スタータモータ20の停止処理がなされる。その後、ステップ250においてフラグS=0か否かが判定される。ここで、S=0ならば、ステップ251において、エンジン10の目標回転数が次のようにして設定される。即ち、エンジン10の吹き上がりはエンジン10の再始動完了後変化することから、エンジン10の目標回転数は、ステップ250におけるYESとの判定後の経過時間に合わせて設定される。
【0075】
上述のようにステップ251における処理が終了すると、ステップ252において、回転センサ110の検出回転数がマイクロコンピュータ120に読み込まれる。そして、ステップ260において、エンジン10の回転数の安定判定がなされる。本第2実施形態において、エンジン10の回転数が安定しているとは、今回の読み込みエンジン回転数と前回の読み込みエンジン回転数との差がある値になることが数回続いたこと、或いは、今回の読み込みエンジン回転数と目標回転数との差がある値以下となることが数回続いたことをいう。
【0076】
現段階において、エンジン10の回転数が安定していなければ、ステップ260における判定がNOとなり、ステップ262において、エンジン10の再始動時の点火時期が、エンジン10の目標回転数及び検出回転数に基づき以下のようにして演算される。この演算は、今回のスタータモータ20の停止以後エンジン10の回転数が安定するまで以下のように繰り返される。
【0077】
ここで、エンジン10の再始動時における点火時期演算の根拠について説明する。
【0078】
図10は、エンジン10の点火時期をパラメータとしてエンジン10の圧縮・膨張行程中におけるクランク角度とエンジン10のシリンダ内圧力との関係を表すグラフをそれぞれ示す。これら各グラフは、エンジン10の点火時期をシリンダの上死点前(BTDC)20°、15°、10°及び5°と変化させた場合のグラフである。
【0079】
そこで、各グラフを相互に比較すると、シリンダ内圧力の大小順序がエンジン10のトルクの大小順序になるので、エンジン10の点火時期を遅らせる程、エンジン10の発生トルクが減少することが分かる。
【0080】
従って、本第2実施形態では、このような現象を有効に活用してエンジン10の再始動直後の吹き上がりを防止するようにエンジン10の基本点火時期に基づき点火時期の演算をする。具体的には、図12から分かるように、エンジン10の目標回転数と検出エンジン回転数との間の回転数差に比例ゲインKを乗算し、この乗算値に前回の点火時期Z−1を加算して、この加算結果を今回の点火時期Zとする。
【0081】
このようにして点火時期Zを演算すれば、エンジン10の目標回転数に対し、検出エンジン回転数が下回っておれば、時点が経過する度に点火時期が徐々に進角し、エンジン10のトルクは増加しエンジン回転数を上昇させ得る。逆に、エンジン10の目標回転数に対し、検出エンジン回転数が上回っておれば、時点が経過する度に点火時期が徐々に遅角し、エンジン10のトルクは減少してエンジン回転数の上昇を抑制できる。
【0082】
なお、上記基本点火時期は、エンジン10の定常状態におけるエンジン回転数との関係を表すグラフ(図11参照)により特定される。
【0083】
上述のように、ステップ262における演算が終了すると、当該演算点火時期が、ステップ263において、エンジン10の再始動時の点火時期として点火系統150に出力される。
【0084】
これに伴い、エンジン10の点火時期は、ステップ262での演算点火時期に向け制御される。以後、ステップ252乃至ステップ263を通る処理がステップ260における判定がYESとなるまで繰り返される。
【0085】
このような繰り返し過程では、エンジン10の回転数が、当該エンジン10の始動完了後、目標回転数に近づくように、ステップ262における点火時期の演算がなされる。
【0086】
従って、エンジン10は、その再始動時の点火時期制御なしの場合に比べて、その再始動完了後の吹き上がりを効果的に抑制され、その回転数にて円滑に目標回転数に近づくように制御される(図13参照)。その結果、エンジン10の吹き上がりにより生じがちなエンジントルクによる当該車両の前後方向加速度を、エンジン10の再始動時の点火時期制御なしの場合に比べて、効果的に抑制でき、乗員に対しショックを与えることがない(図13参照)。
【0087】
また、点火時期制御は、燃料噴射制御よりも高応答にてトルク制御できるから、エンジン10の再始動時における回転数の上昇をより精度よく行える。
【0088】
その後、ステップ260における判定がYESとなると、ステップ261においてエンジン10の再始動時の点火時期制御が終了され、通常の点火時期制御に戻り、ステップ261aにてフラグS=0とセットされる。また、上記ステップ250における判定がNOとなる場合にも、ステップ261aの処理がなされる。
【0089】
なお、図14にて示すように、上記第2実施形態における点火時期の演算を、図12における点火時期Zに、エンジン10の目標回転数により1次元マップ(図11のエンジン回転数との関係を示す基本点火時期のグラフ)に基づき決定される点火時期を加算して点火時期Zとするようにしてもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図15乃至図19に基づき説明する。この第3実施形態においては、上記第1実施形態にて述べたエンジン10は、図15にて示すごとく、アイドルスピード制御弁10aと、このアイドルスピード制御弁10aを制御するステップモータ10bとを備えており、ステップモータ10bは、上記第1実施形態にて述べたマイクロコンピュータ120により制御される。
【0090】
なお、アイドルスピード制御弁10aは、エンジン10の吸気管に設けた分岐管内に設けられており、このアイドルスピード制御弁10aは、その開度に応じて、上記吸気管内のスロットル弁の開度が零のときに、当該スロットル弁をバイパスして上記分岐管から上記吸気管の上記スロットル弁の後流部内に流入させる空気流の量を制御する。
【0091】
また、本第3実施形態においては、マイクロコンピュータ120により実行されるフローチャートは、上記第2実施形態にて述べたフローチャート(図8及び図9参照)を、その一部にて、図16にて示すように変更したものである。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0092】
このように構成した本第3実施形態において、上記第2実施形態のステップ250の場合と同様にステップ270にてYESとの判定がなされると、各ステップ271、272、280にて上記第2実施形態における各ステップ251、252、260における処理と同様の処理がなされる。
【0093】
ステップ280において、エンジン回転数が安定していなければ、NOとの判定のもと、ステップ281においてアイドルスピード制御弁10aの開度が次のようにして決定され、ステップ281aにおいて当該決定開度が出力される。
【0094】
即ち、ステップ271における目標エンジン回転数とステップ272におけるエンジン回転数との差に基づき、アイドルスピード制御弁10aの開度が減少側に決定される。このようにアイドルスピード制御弁10aの開度を減少側に決定するのは、フットブレーキ100の踏み込み量が30%以下のときにはエンジン10の始動時のショックを低減するために当該エンジン10のトルク(以下、エンジントルクという)を減少させる必要があるからである。
【0095】
上記出力に伴い、アイドルスピード制御弁10aの実際の開度が、上記決定開度になるように、ステップモータ10bがアイドルスピード制御弁10aの開度を制御する。
【0096】
このようにアイドルスピード制御弁10aの開度が減少すると、エンジン10の吸入空気量が減少し、上記吸気管内における上記スロットル弁の後流側負圧(以下、吸気管負圧という)が増大する(図17参照)。これに伴い、燃料噴射量も、図18にて示すごとく増大し、エンジントルクが図19にて示すごとく減少する。これにより、上記第1実施形態と実質的に同様に、エンジン10の再始動の際のショックを低減することができる。その他の作用効果は上記第1実施形態と同様である。
【0097】
なお、ステップ280における判定がYESとなると、ステップ282において、エンジン10の再始動時のアイドルスピード制御弁10aの制御の停止処理がなされ、ステップ282aにてフラグS=0とセットされる。
(第4実施形態)
図20乃至図25は本発明の第4実施形態を示している。この第4実施形態においては、オルタネータ300及びボルテージレギュレータ310(図21及び図22参照)が上記第1実施形態にて述べた車両に搭載されている。
【0098】
オルタネータ300は、上記第1実施形態にて述べたベルト機構30に代わるベルト機構30Aにより、スタータモータ20及びエンジン10の回転軸に連結されており、このオルタネータ300は、ベルト機構30Aを介しエンジン10により駆動されて三相の交流電圧を発生し、この交流電圧を整流して整流してボルテージレギュレータ310に出力する。
【0099】
但し、このオルタネータ300の出力電流は、図23にて示すごとく、エンジン回転数に応じて変化する。ここで、エンジン回転数がエンジン10のアイドル回転数(600r.p.m.)に上昇するまで、オルタネータ300は、ボルテージレギュレータ310の他励磁回路311の制御を受けない状態では、発電しない(図23にて符号A参照)。
【0100】
また、オルタネータ300は、エンジン回転数200乃至600r.p.m.の範囲では、他励磁回路311から他励磁電流を供給されて発電する(図23にて符号B参照)。なお、エンジン回転数がアイドル回転数よりも上昇すると、オルタネータ300の出力電流は、エンジン回転数の上昇に伴い、曲線Aに従い変化する。
【0101】
ボルテージレギュレータ310は、オルタネータ300の出力を調整し、また、その他励磁回路311にて、上記第1実施形態にて述べたマイクロコンピュータ120による制御を受けて、オルタネータ300に他励磁電流を供給する。
【0102】
また、本第4実施形態においては、マイクロコンピュータ120により実行されるフローチャートは、上記第2実施形態にて述べたフローチャート(図8及び図9参照)を、その一部にて、図22にて示すように変更したものである。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0103】
このように構成した本第4実施形態において、上記第2実施形態のステップ250の場合と同様にステップ310aにてYESとの判定がなされると、各ステップ320、330、340にて上記第2実施形態における各ステップ251、252、260における処理と同様の処理がなされる。
【0104】
ついで、ステップ340において、エンジン回転数が安定でないためにNOと判定されると、ステップ341にて、次のようにして他励磁回路311からオルタネータ300への他励磁電流が決定され、ステップ341aにて、決定他励磁電流が出力される。
【0105】
即ち、ステップ320における目標エンジン回転数とステップ330におけるエンジン回転数との差に基づき、他励磁回路311からオルタネータ300に供給すべき他励磁電流が、図25の曲線に従いオルタネータ300の発電量を増大させるように決定される。このように決定するのは、フットブレーキ100の踏み込み量が30%以下のときにはエンジン10の始動時のショックを低減するために当該エンジン10のトルク(以下、エンジントルクという)を減少させる必要があるからである。
【0106】
これに伴い、他励磁回路311が上述のように決定した他励磁電流を供給するようにマイクロコンピュータ120により制御されると、オルタネータ300が、当該他励磁電流を受けて発電量を増大する(図24にて符号D参照)。なお、直線Dは、オルタネータ300の出力電流とオルタネータ300への他励磁電流との関係を示す。
【0107】
このようにオルタネータ300の発電量が増大すると、エンジン10の始動時のエンジントルクのうちオルタネータ300の駆動に消費する量が、図24にて符号Cにて示すごとく、増大するため、トルクコンバータ50及び自動変速機40を通して当該車両の車軸に伝わるトルク量を減少させることができる。これにより、エンジン10の再始動時のショックを低減することができる。なお、直線Cは、エンジン10のロストルクとオルタネータ300への他励磁電流との関係を示す。また、ステップ340における判定がYESとなると、ステップ342にて、エンジン10の再始動時のオルタネータ10への他励磁電流の供給制御が終了され、ステップ342aにて、フラグS=0にセットされる。その他の作用効果は上記第1実施形態と同様である。
【0108】
なお、本発明の実施にあたり、エンジン10に備えるバルブ開閉機構(所謂VVT)を次のように制御するようにしてもよい。即ち、エンジン10の吸気弁は、通常、エンジン10の気筒内のピストンの下死点到達後20°乃至30°の範囲のタイミングにて完全に閉じるようになっている。
【0109】
ここで、踏み込みセンサ110aの検出踏み込み量が30%以下である場合には、当該車両が平坦路上にあってエンジン10がアイドルストップ状態にあるとみなして、上記吸気弁が閉じるタイミングを上記ピストンの下死点到達後さらに70°乃至100°の範囲まで遅延させることで、上記気筒に吸入される空気流を減少させるようにする。このように上記吸気弁の閉じるタイミングを遅延させると同時にエンジン10への燃料噴射量をも低減することで、エンジントルクを低減できる。これにより、エンジン10の再始動時のショックを低減できる。
【0110】
なお、本発明の実施にあたり、上記各実施形態では、圧力センサによりブレーキ圧保持弁81へのブレーキ圧を検出するようにして、この検出ブレーキ圧により、踏み込み量センサ110aの検出踏み込み量に代えて、ステップ200、220、230における判定を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す概略全体構成図である。
【図2】図1の両ソレノイド弁のオンオフと自動変速機の変速ギヤ位置との関係を示す真理表である。
【図3】図1のマイクロコンピュータの作用を表すフローチャートの前段部である。
【図4】図1のマイクロコンピュータの作用を表すフローチャートの後段部である。
【図5】図1のトルクコンバータのトルク比と速度比との関係を表す特性を示すグラフである。
【図6】上記第1実施形態における車速、フットブレーキの踏み込み量(50%)、自動変速機の変速ギヤ位置及びエンジン回転数の関係を表すタイミングチャートである。
【図7】上記第1実施形態における車速、フットブレーキの踏み込み量(25%)、自動変速機の変速ギヤ位置及びエンジン回転数の関係を表すタイミングチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態を示すフローチャートの前段部である。
【図9】上記第2実施形態を示すフローチャートの後段部である。
【図10】上記第2実施形態におけるエンジンのシリンダ内圧力とクランク角度を、エンジンのBTDCにおける点火時期をパラメータとして示すグラフである。
【図11】上記第2実施形態におけるエンジンの基本点火時期とエンジン回転数との関係を示すグラフである。
【図12】上記第2実施形態における点火時期演算方法を示す図である。
【図13】上記第2実施形態におけるスタータリレーのオンオフ、エンジン回転数、クランク角、車両の前後加速度の関係を示すタイミングチャートである。
【図14】上記第2実施形態の変形例における点火時期演算方法を示す図である。
【図15】本発明の第3実施形態を示す概略全体構成図である。
【図16】上記第3実施形態におけるマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートの要部である。
【図17】上記第3実施形態における吸気管負圧とアイドルスピード制御弁の開度との関係を示すグラフである。
【図18】上記第3実施形態におけるエンジンへの燃料噴射量と吸気管負圧との関係を示すグラフである。
【図19】上記第3実施形態におけるエンジントルクとエンジンへの燃料噴射量との関係を示すグラフである。
【図20】本発明の第4実施形態を示す概略全体構成図である。
【図21】図20のオルタネータ及びボルテージレギュレータとの関係を示す詳細回路図である。
【図22】上記第4実施形態におけるマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートの要部である。
【図23】上記第4実施形態におけるオルタネータの出力電流とエンジンとの間の関係を示すグラフである。
【図24】上記第4実施形態におけるオルタネータの出力電流及びエンジンのロストルクとオルタネータへの他励磁電流との関係を示すグラフである。
【図25】上記第4実施形態におけるオルタネータへの他励磁電流と実際のエンジン回転数及び目標エンジン回転数の間の差との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10…エンジン、10a…ステップモータ、
10b…アイドルスピード制御弁、20…スタータモータ、40…自動変速機、
60…電動ポンプ、70…油圧制御回路、71、72…ソレノイド弁、
81…ブレーキ圧保持弁、110…回転センサ、
110a…踏み込み量センサ、110b…車速センサ、
130…スタータリレー、140…ポンプリレー、150…点火系統、
160…燃料噴射系統、300…オルタネータ、310…他励磁回路。
Claims (4)
- 車両のエンジン(10)を、所定の停止条件を満たしとき自動的に停止する自動停止手段(150、160、200、201)と、
所定の始動条件を満たしたときエンジンを自動的に再始動する自動再始動手段(231、232、240乃至242、20、130、150、160)と、
車両のブレーキ(100)の踏み込み量を検出する踏み込み量検出手段(110a)と、
エンジンの自動的な停止中の前記検出踏み込み量に応じて当該エンジンのその再始動時のショックを低減するように車両の出力トルクを変更する変更手段(60、40、71、72、70、10a、10b、281、300、310、341、262、150、160)とを備えた車両のエンジン自動停止始動装置。 - 変速レンジをドライブレンジその他のレンジに切り換え可能であるとともに変速ギヤ位置を低速或いは高速の位置に切り換え可能な自動変速機(40)を備えた車両のエンジン(10)を、所定の停止条件を満たしとき前記ドライブレンジにてエンジンを自動的に停止する自動停止手段(150、160、200、201)と、
所定の始動条件を満たしたとき前記ドライブレンジにてエンジンを自動的に再始動する自動再始動手段(231、232、240乃至242、20、130、150、160)と、
エンジンの自動停止中にも前記自動変速機の変速ギヤ位置を切り換えるライン圧を発生する発生手段(60)と、
車両のブレーキ(100)の踏み込み量を検出する踏み込み量検出手段(110a)と、
前記ライン圧に応じて前記変速ギヤ位置を切り換えるように前記自動変速機を制御する切り換え制御手段(71、72、70)とを備えて、
この切り換え制御手段は、エンジンの自動的停止中の前記検出踏み込み量が所定量以上のとき前記変速ギヤ位置を低速にするように前記ライン圧に基づき前記自動変速機を制御し、エンジンの自動的停止中の前記検出踏み込み量が前記所定量未満のとき前記変速ギヤ位置を高速にするように前記ライン圧に基づき前記自動変速機を制御するようにした自動変速機を備えた車両のエンジン自動停止始動装置。 - 変速レンジをドライブレンジその他のレンジに切り換え可能であるとともに変速ギヤ位置を低速或いは高速の位置に切り換え可能な自動変速機(40)を備えた車両のエンジン(10)を、所定の停止条件を満たしとき前記ドライブレンジにてエンジンを自動的に停止する自動停止手段(150、160、200、201)と、
所定の始動条件を満たしたとき前記ドライブレンジにてエンジンを自動的に再始動する自動再始動手段(231、232、240乃至242、20、130、150、160)と、
エンジンの自動停止中にも前記自動変速機の変速ギヤ位置を切り換えるライン圧を発生する発生手段(60)と、
車両のブレーキ(100)の踏み込み量を検出する踏み込み量検出手段(110a)と、
前記ライン圧に応じて前記変速ギヤ位置を切り換えるように前記自動変速機を制御する切り換え制御手段(71、72、70)とを備えて、
この切り換え制御手段は、エンジンの自動的停止中の前記検出踏み込み量の大小に応じて前記変速ギヤ位置を低速又は高速にするように前記ライン圧に基づき前記自動変速機を制御するようにした自動変速機を備えた車両のエンジン自動停止始動装置。 - 変速レンジをドライブレンジその他のレンジに切り換え可能な自動変速機(40)を備えた車両のエンジン(10)を、所定の停止条件を満たしとき前記ドライブレンジにてエンジンを自動的に停止する自動停止手段(150、160、200、201)と、
所定の始動条件を満たしたとき前記ドライブレンジにてエンジンを自動的に再始動する自動再始動手段(231、232、240乃至242、20、130、150、160)と、
エンジンの自動停止中にも前記自動変速機の変速ギヤ位置をライン圧により維持する変速ギヤ位置維持手段(60、70)と、
エンジンの再始動直後、予めエンジンの回転数の変化を円滑にするように定めた目標回転数と実際の回転数の差を減ずるようにエンジンの点火時期を制御する点火時期制御手段(250乃至263、150、160)とを具備する自動変速機を備えた車両のエンジン自動停止始動装置。
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