JP3593362B2 - 光学活性1−フェニル−2−置換プロパン誘導体およびその製造法 - Google Patents

光学活性1−フェニル−2−置換プロパン誘導体およびその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体の重要な合成中間体である光学活性な(S)及び(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体とその製造法、及び医薬又はその中間原料として有用な前記エタノール誘導体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体は、生体内のβ3受容体に選択的に作用することから、副作用が極めて低く、インシュリンによらない新しいタイプの抗肥満薬、糖尿病治療薬として注目されている。そして、前記1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体の薬理学的な研究から、上記のβ3作用は、実質的に(R,R)−エナンチオマーに因るものであることが判明している[ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(J. Med. Chem.)、第35巻、第3081頁(1992年)、及び米国特許第5061727号明細書等参照]。例えば、前記米国特許明細書には、(R,R)−5−[2−[[2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル]アミノ]プロピル]−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジナトリウム塩は、対応する(S,S)−エナンチオマーと比較して47倍もの高い活性を示すことが記載されている。
【0003】
従来、光学活性(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体の製造法として、ラセミ体の光学分割による方法と不斉合成による方法が知られている。
【0004】
例えば、前記米国特許第5061727号明細書には、2−アミノ−1−フェニルエタノール誘導体のラセミ体、フェニルアセトン誘導体、及びソジウムシアノボロハイドライドを反応させて1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体の4種の光学異性体の混合物を得、このうち(R,S)体と(S,R)体とを分離除去し、次いでジアステレオマー法により(R,R)体と(S,S)体とを光学分割することにより、(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体を製造する方法が開示されている。しかし、この方法では、4種の光学異性体の混合物から(R,R)体のみを分離精製する必要があるため、工程が煩雑となり、収率も低下する。また、多量の原料が必要となるため、経済的にも不利である。
【0005】
一方、同米国特許明細書及び前記ジャーナル オブ メディシナル ケミストリーには、(R)−3−クロロスチレンオキサイド誘導体と(R)−1−メチル−2−フェニルエチルアミン誘導体とを反応させる方法が開示されている。しかし、この方法において反応原料として用いる(R)−1−メチル−2−フェニルエチルアミン誘導体は強い覚醒作用を示すため、取扱いには格別の注意が必要であり、工業的スケールでの使用には適していない。また、上記の2つの反応原料を得るために、多くの工程を必要とする。例えば、上記(R)−3−クロロスチレンオキサイド誘導体は、アセトフェノン誘導体から、塩素化、不斉還元、エポキシ化の3工程を経て製造され、また、上記(R)−1−メチル−2−フェニルエチルアミン誘導体は、L−ドーパ(L−DOPA)から、アミノ基への保護基の導入、エステル化、エステルの還元、ヒドロキシル基のメシルオキシ化、脱保護、還元の6工程を経て製造される。
【0006】
従って、本発明の目的は、(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体を良好な収率で効率よく製造するために有用な光学活性化合物を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、前記光学活性化合物を、効率よく、しかも高い光学純度で、収率よく製造する方法を提供することにある。
【0008】
さらに、本発明の他の目的は、前記エタノール誘導体を製造する上で有用であり、しかも入手及び取扱いが容易な光学活性化合物を提供することにある。
【0009】
さらにまた、本発明の目的は、光学純度の高い(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体を、高い収率で効率よく製造できる方法を提供することにある。
【0010】
さらに、本発明の目的は、(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体を製造する上で有用な光学活性化合物を得るのに好適である光学活性な(R)−エナンチオマー及びその製造法を提供する。
【0011】
【発明の構成】本発明者らは、前記目的を達成するため、鋭意検討した結果、フェニルアセトン誘導体に、これを不斉還元する能力を有する微生物を作用させると、光学純度の高い光学活性(S)又は(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体が収率よく得られること、そして、前記(S)又は(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体から容易に、しかも高い収率及び選択率で光学活性な(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体を製造できることを見出だし本発明を完成した。
【0012】すなわち、本発明は、一般式(I)
【0013】
【化20】
Figure 0003593362
(式中、R1、R2は、(a)同一又は異なって、水素原子もしくはヒドロキシル基の保護基を示すか、又は(b)R1、R2とが隣接する酸素原子と共に置換基を有していてもよい5〜10環を形成し、前記R1とR2とが一緒になって、置換基を有していてもよいC1-4アルキレン基、カルボニル基もしくはチオカルボニル基を形成していてもよい。R3、R4、R5は、同一又は異なって、水素原子、C1-4アルキル基、C1-4ハロアルキル基、C1-4アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を示し、Xは、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、置換基を有していてもよいC1-4アルキルスルホニルオキシ基もしくはC6-20アリールスルホニルオキシ基、又はハロゲン原子を示す)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体を提供する。
【0014】本発明は、また、一般式(II)
【0015】
【化21】
Figure 0003593362
(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は前記と同じ)で表されるフェニルアセトン誘導体に、前記フェニルアセトン誘導体を一般式(III)
【0016】
【化22】
Figure 0003593362
(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は前記と同じ)で表される(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体に不斉還元する能力を有する微生物又はその処理物を作用させ、生成した(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体を回収する(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体の製造法を提供する。
前記微生物は、アエロモナス(Aeromonas)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、オレオバクテリウム(Aureobacterium)属、バシルス(Bacillus)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属、ジェンセニア(Jensenia)属、コマモナス(Comamonas)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、アルテルナリア(Alternaria)属、アマニタ(Amanita)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、コリネスポラ(Corynespora)属、ダクチリウム(Dactylium)属、ドレクスレラ(Drechslera)属、エチノポドスポラ(Echinopodospora)属、ゲラシノスポラ(Gelasinospora)属、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)属、モルチエレラ(Mortierella)属、パエシロミセス(Paecilomyces)属、フィアロホラ(Phialophora)属、フィトフトラ(Phytophthora)属、ポドスポラ(Podospora)属、リゾムコール(Rhizomucor)属、セプトリア(Septoria)属、タラロミセス(Talaromyces)属、ウスチラゴ(Ustilago)属、ウエステルディケラ(Westerdykella)属、アンブロシオジマ(Ambrosiozyma)属、デッケラ(Dekkera)属、カンジダ(Candida)属、クラビスポラ(Clavispora)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、デバリオミセス(Debaryomyces)属、ガラクトミセス(Galactomyces)属、フィロバシジウム(Filobasidium)属、ゲオトリクム(Geotrichum)属、ハンセヌラ(Hansenula)属、イサチェンキア(Issatchenkia)属、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属、ルコスポリジウム(Leucosporidium)属、メチュニコイア(Metschnikowia)属、ミクソジマ(Myxozyma)属、パチソレン(Pachysolen)属、ピチア(Pichia)属、マラセジア(Malassezia)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属、コンドア(Kondoa)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、サッカロミセス(Saccharomyces)属、スポリジオボルス(Sporidiobolus)属、スポロボロミセス(Sporobolomyces)属、スポロパチデルミア(Sporopachydermia)属、ステリグマトミセス(Sterigmatomyces)属、トルラスポラ(Torulaspora)属、トルロプシス(Torulopsis)属、トリゴノプシス(Trigonopsis)属、ウイッケルハミア(Wickerhamia)属、ウインゲア(Wingea)属、ジゴアスクス(Zygoascus)属、ジゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属及びジゴジマ(Zygozyma)属に属する微生物群から選ばれた微生物であり、前記カンジダ属微生物が、カンジダ アアセリ (Candida aaseri) 、カンジダ アトムスフェリカ (Candida atomspherica) 、カンジダ ビイチイ (Candida beechii) 、カンジダ フシホルマテ (Candida fusiformate) 、カンジダ グラブラタ (Candida glabrata) 、カンジダ ハロニトラトフィラ (Candida halonitratophila) 、カンジダ インコンスピクア (Candida inconspicua) 、カンジダ ケフィル (Candida kefyr) 、カンジダ ランビカ (Candida lambica) 、カンジダ モギイ (Candida mogii) 、カンジダ メリビオシカ (Candidamelibiosica) 、カンジダ メンブラナエファシエンス (Candida membranaefaciens) 、カンジダ オレオフィラ (Candida oleophila) 、カンジダ パラプシロシス (Candida parapsilosis) 、カンジダ ピントロペシイ (Candida pintolopesii) 、カンジダ カテヌラタ (Candida catenulata) 、カンジダ ルゴサ (Candida rugosa) 、カンジダ サイトアナ (Candida saitoana) 、カンジダ サケ (Candida sake) 、カンジダ サルマンチセンシス (Candida salmanticensis) 、カンジダ サンタマリアエ (Candida santamariae) 、カンジダ シャタビイ (Candida schatavii) 、カンジダ シエハタエ (Candida shehatae) 、カンジダ シルバノルム (Candida silvanorum) 、カンジダ ソルボフィラ (Candida sorbophila) 、カンジダ ユチリス (Candida utilis) 、又はカンジダ アルビカンス (Candida albicans) である。
【0017】
さらに、本発明は、前記一般式(III)で表される(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体に、スルホニル化剤又はハロゲン化剤を反応させて、一般式(IV)
【0018】
【化23】
Figure 0003593362
(式中、R1、R2、R3、R4、R5は前記と同じであり、Yは置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基もしくはアリールスルホニルオキシ基、又はハロゲン原子を示す)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体を得る(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体の製造法を提供する。
【0019】
さらにまた、本発明は、一般式(V)
【0020】
【化24】
Figure 0003593362
(式中、R6、R7、R8、R9、R10は同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、低級ハロアルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を示し、Zは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)で表される(R)−2−アミノ−1−フェニルエタノール誘導体と、前記一般式(IV)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体とを反応させて、一般式(VI)
【0021】
【化25】
Figure 0003593362
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びZは前記と同じ)で表される(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体又はその塩を得る(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体の製造法を提供する。
【0022】さらにまた、本発明は、一般式(VII)
【0023】
【化26】
Figure 0003593362
(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びXは前記と同じ)で表される(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体を提供する。
【0024】さらにまた、本発明は、前記一般式(II)で表されるフェニルアセトン誘導体に、前記フェニルアセトン誘導体を対応する一般式(VII')
【0025】
【化27】
Figure 0003593362
(式中、R1、R2、R3、R4、R5は前記と同じ)で表される(R)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体に不斉還元する能力を有する微生物又はその処理物を作用させ、生成した(R)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体を回収する(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体の製造法を提供する。前記微生物は、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、及びキサントモナス(Xanthomonas)属に属する微生物群から選ばれた微生物であり、前記コリネバクテリウム属微生物は、コリネバクテリウム バリアビリス (Corynebacterium variabilis )である。
【0026】
さらに、本発明は、前記一般式(VII)で表される(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体に、X又はXに変換可能な基を導入できる求核試薬を反応させ、立体的に反転した前記一般式(I)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体を得る(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体の製造法を提供する。
【0027】
前記一般式(I)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体は、医薬又はその中間原料として用いられる(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体の合成中間体として極めて有用である。
【0028】
前記一般式(I)のR1、R2におけるヒドロキシル基の保護基としては、有機合成の分野で通常用いられるヒドロキシル基の保護基などが挙げられる。なお、ヒドロキシル基の保護基、及びその導入法ならびに除去法については、例えば、T.W.グリーン(T.W.Greene)、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、1981年などを参照できる。
【0029】
前記ヒドロキシル基の保護基として、例えば、(A)酸素原子と共にエーテル結合を形成する基、(B)酸素原子と共にエステル結合を形成する基、(C)酸素原子と共にカーボネートを形成する基、(D)酸素原子と共にスルホン酸エステルを形成する基などが挙げられる。
【0030】
酸素原子と共にエーテル結合を形成する基(A)には、(1)置換基を有していてもよい低級アルキル基、(2)置換基を有していてもよいアリル基、(3)置換基を有していてもよいシクロアルキル基、(4)置換基を有していてもよい複素環基、(5)置換基を有していてもよいアラルキル基、(6)置換基を有していてもよいシリル基などが含まれる。
【0031】
置換基を有していてもよい低級アルキル基(1)には、(a)置換基を有していてもよいC1-4アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル基など)などが含まれる。C1-4アルキル基の置換基として、例えば、C1-4アルコキシ基、C1-4アルコキシ−C1-4アルコキシ基、C7-20アラルキルオキシ基、ベンゾイル基、C1-4アルキルチオ基、ハロゲン原子などが例示できる。このような置換基を有するアルキル基には、(b)C1-4アルコキシ−C1-4アルキル基(例えば、メトキシメチル、エトキシメチル、t−ブトキシメチル、1−メトキシエチル、1−エトキシエチル、2−メトキシエチルなどのC1-4アルコキシ−C1-2アルキル基など)、(c)C1-4アルコキシ−C1-4アルコキシ−C1-4アルキル基(例えば、2−メトキシエトキシメチル、2−エトキシメトキシメチルなどのC1-4アルコキシ−C1-4アルコキシ−C1-2アルキル基など)、(d)C7-20アラルキルオキシ−C1-4アルキル基(例えば、ベンジルオキシメチルなどのC7-20アラルキルオキシメチル基など)、(e)フェナシル基、(f)C1-4アルキルチオ−C1-4アルキル基(例えば、メチルチオメチル、エチルチオメチルなどのC1-4アルキルチオメチル基など)、(g)1又は2以上のハロゲン原子を有するC1-4ハロアルキル基(例えば、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリクロロエチル、2,2,2−トリフルオロエチルなど)などが含まれる。
【0032】
置換基を有していてもよいアリル基(2)には、例えば、アリル基などが含まれる。置換基を有していてもよいシクロアルキル基(3)には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルなどのC3-10シクロアルキル基などが含まれる。
【0033】
置換基を有していてもよい複素環基(4)には、ヘテロ原子として酸素原子又はイオウ原子を有する置換基を有していてもよい5〜6員の複素環基などが含まれる。置換基を有していてもよい複素環基は、パーヒドロ複素環基であることが多い。前記5〜6員の複素環基には、例えば、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル基などが含まれる。前記複素環基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシなど)及び前記低級アルキル基(1)の説明箇所に例示の置換基などが含まれる。
【0034】
置換基を有する複素環基の例として、置換基を有していてもよいテトラヒドロピラニル基(例えば、テトラヒドロピラニル、3−ブロモテトラヒドロピラニル、4−メトキシテトラヒドロピラニルなど)、置換基を有していてもよいテトラヒドロチオピラニル基(例えば、テトラヒドロチオピラニル、3−ブロモテトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルなど)、置換基を有していてもよいテトラヒドロフラニル基(例えば、テトラヒドロフラニルなど)、置換基を有していてもよいテトラヒドロチオフラニル基(例えば、テトラヒドロチオフラニルなど)などが例示できる。
【0035】
置換基を有していてもよいアラルキル基(5)には、ベンジルなどの置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基などが含まれる。アラルキル基の置換基として、C1-4アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、C1-4アルコキシ基、C6-12アリール基(フェニルなど)などが挙げられる。そのような置換基の例として、前記(4)で例示したものが挙げられる。置換基を有していてもよいアラルキル基の例として、ベンジル、o−クロロベンジル、o−ニトロベンジル、p−クロロベンジル、p−メトキシベンジル、p−メチルベンジル、p−ニトロベンジル、2,6−ジクロロベンジル、ジフェニルメチル、トリチルなどの置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基などが挙げられる。
【0036】
シリル基(6)の置換基には、ベンジルなどのC7-20アラルキル基及び前記アラルキル基(5)で記載した置換基などが含まれる。置換基を有していてもよいシリル基(6)として、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、トリベンジルシリル、トリフェニルシリル基などが挙げられる。
【0037】
酸素原子と共にエステル結合を形成する基(B)としては、例えば、置換基を有していてもよいアシル基などが挙げられる。前記アシル基には、(1)置換基を有していてもよいC1-6アシル基(例えば、ホルミル、アセチル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイルなど)、(2)置換基を有していてもよい芳香環を有するC7-16アシル基(例えば、ベンゾイル、p−フェニルベンゾイル、トルオイル、ナフトイルなど)、(3)置換基を有していてもよい複素環を有するアシル基(例えば、フロイル、テノイル、ニコチノイル、イソニコチノイルなど)などが含まれる。
【0038】
酸素原子と共にカーボネートを形成する基(C)には、例えば、(1)置換基を有していてもよいC2-5アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、s−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニルなど)、(2)置換基を有していてもよいC8-20アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−メチルベンジルオキシカルボニル、p−クロロベンジルオキシカルボニル、o−ニトロベンジルオキシカルボニルなど)、(3)置換基を有していてもよいC7-20アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、4−メチルフェニルオキシカルボニル、4−ニトロフェニルオキシカルボニル、4−クロロフェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニルなど)などが含まれる。
【0039】
酸素原子と共にスルホン酸エステルを形成する基(D)には、(1)置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル、トリクロロメタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニルなどの置換基を有していてもよいC1-4アルキルスルホニル基など)、(2)置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル、m−ニトロベンゼンスルホニル、p−ニトロベンゼンスルホニル、p−クロロベンゼンスルホニル、p−ブロモベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル、ナフタレンスルホニルなどの置換基を有していてもよいC6-20アリールスルホニル基など)等が含まれる。
【0040】
1、R2の好ましい例としては、(i)水素原子、(ii)ヒドロキシル基の保護基のうち、(A)酸素原子と共にエーテル結合を形成する基、特に、置換基を有していてもよいC1-4アルキル基、置換基を有していてもよいC 7-20 アラルキル基など、とりわけC1-4アルキル基、および(B)酸素原子と共にエステル結合を形成する基、特にC1-6アシル基(例えばアセチルなど)などが挙げられる。
【0041】
1とR2とが一緒になって隣接する酸素原子と共に環を形成する場合、前記環は、例えば5〜10員環、好ましくは5〜8員環、さらに好ましくは5又は6員環である。そのようなR1、R2には、例えば、置換基を有していてもよいアルキレン基、カルボニル基及びチオカルボニル基などが含まれる。
【0042】
前記アルキレン基として、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレンなどの炭素数1〜4のアルキレン基などが挙げられる。好ましいアルキレン基には、メチレン基などが含まれる。
【0043】
置換基を有していてもよいメチレン基には、例えば、下記式(IX)
【0044】
【化28】
Figure 0003593362
(式中、Ra、Rbは、(i)同一又は異なって、水素原子、C1-4アルキル基、C1-4ハロアルキル基、置換基を有していてもよいC6-20アリール基、C1-4アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、カルボキシル基もしくはその塩、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、ヒドロキシメチル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシメチル基であるか、又は(ii)RaとRbとが隣接する炭素原子と共にC5-7シクロアルキル基を形成してもよい)で表わされる基などが含まれる。
【0045】
a、RbにおけるC1-4アルキル基、C1-4ハロアルキル基、C1-4アルコキシ基には、R1、R2において例示した基などが含まれる。Ra、Rbにおける置換基を有していてもよいC6-20アリール基には、例えば、フェニル、4−メトキシフェニル、2−ニトロフェニルなどが含まれる。置換基を有するアミノ基には、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノなどのモノ又はジ−C1-4アルキルアミノ基などが含まれる。
【0046】
a、Rbにおけるカルボキシル基の塩としては、特に限定されないが、生理学的に許容できる塩を用いる場合が多い。前記塩として、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩など)、その他の金属塩(例えば亜鉛塩、アルミニウム塩など)、アンモニウム塩等の無機塩基との塩;ピリジン、トリ−C1-3アルキルアミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミンなど)等の有機塩基との塩などが挙げられる。
【0047】
a、Rbにおける置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基には、例えば、R1、R2において例示した置換基を有していてもよいC2-5アルコキシカルボニル基などが含まれる。
【0048】
a、Rbにおける置換基を有していてもよいアルコキシメチル基には、アルキル部分に置換基を有していてもよいC1-4アルコキシ−メチル基などが含まれる。前記置換基として、例えば、カルボキシル基、C2-5アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、C1-4アルコキシ基などが挙げられる。前記C1-4アルコキシ−メチル基におけるC1-4アルコキシ、C2-5アルコキシカルボニル基、C1-4アルコキシ基としては、R1、R2において例示した基などが使用できる。置換基を有していてもよいアルコキシメチル基には、(a)C1-4アルコキシ−メチル基(例えば、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、ブトキシメチル、イソブトキシメチル、s−ブトキシメチル、t−ブトキシメチルなど)、(b)カルボキシ−C1-4アルコキシ−メチル基(例えば、カルボキシメトキシメチル、カルボキシエトキシメチル、カルボキシプロポキシメチル、カルボキシブトキシメチルなど)、(c)C2-5アルコキシカルボニル−C1-4アルコキシ−メチル基(例えば、メトキシカルボニルメトキシメチル、エトキシカルボニルメトキシメチル、イソプロポキシカルボニルメトキシメチル、2−ブトキシカルボニルエトキシメチルなど)、(d)ヒドロキシ−C1-4アルコキシ−メチル基(例えば、2−ヒドロキシエトキシメチル、3−ヒドロキシプロポキシメチルなど)、(e)C1-4アルコキシ−C1-4アルコキシ−メチル基(例えば、2−メトキシエトキシメチル、2−エトキシエトキシメチル、3−メトキシプロポキシメチルなど)等が例示できる。
【0049】
5-7シクロアルキル基には、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル基などが含まれる。
【0050】
前記式(IX)で表わされる置換基を有していてもよいメチレン基の好ましい例として、(a)式(IX)において、Ra、Rbが、同一又は異なって、水素原子、C1-4アルキル基、又はRaとRbが隣接する炭素原子と共に形成されるC5-7シクロアルキル基である基(例えば、メチレン基;エチリデン基、イソプロピリデン基などのC2-4アルキリデン基;シクロペンチリデン、シクロヘキシリデンなどのC5-7シクロアルキリデン基など)、(b)式(IX)において、Ra、Rbが、同一又は異なって、カルボキシル基又はその塩、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、ヒドロキシメチル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシメチル基である基などが挙げられる。
【0051】
特に好ましいR1、R2には、水素原子;C1-4アルキル基(特に、メチル基);及びR1とR2とが一体となって形成される前記式(IX)で表わされる置換基を有していてもよいメチレン基において、Ra、Rbが、同一又は異なってカルボキシル基又はその塩、又はC2-5アルコキシカルボニル基である基などが含まれる。
【0052】
前記R3、R4、R5における低級アルキル基には、R1、R2において例示した炭素数1〜4のアルキル基が含まれる。R3、R4、R5における低級ハロアルキル基には、クロロメチル、2−クロロエチル、4−クロロブチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基などの炭素数1〜4のハロアルキル基が含まれる。R3、R4、R5における低級アルコキシ基には、R1、R2において例示したC1-4アルコキシ基が含まれる。ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が含まれる。
【0053】
好ましいR3、R4、R5には、水素原子、低級アルキル基等、特に水素原子等が含まれる。
【0054】
前記Xにおけるヒドロキシル基の保護基としては、有機合成の分野で通常用いられるアルコール性ヒドロキシル基の保護基などを使用できる。前記保護基には、R1、R2におけるヒドロキシル基の保護基として例示した保護基(A)〜(C)などが含まれる。
【0055】
前記Xにおけるハロゲン原子としては、前記例示のものが挙げられる。Xにおける置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基には、メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、トリクロロメタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシなどの置換基を有していてもよいC1-4アルキルスルホニルオキシ基などが含まれる。Xにおける置換基を有していてもよいアリールスルホニルオキシ基には、ベンゼンスルホニルオキシ、m−ニトロベンゼンスルホニルオキシ、p−ニトロベンゼンスルホニルオキシ、p−クロロベンゼンスルホニルオキシ、p−ブロモベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ、o−トルエンスルホニル、ナフタレンスルホニルオキシなどの置換基を有していてもよいC6-20アリールスルホニルオキシ基等が含まれる。
【0056】
好ましいXには、ヒドロキシル基、及び置換反応において脱離基として機能する基、例えば、置換基を有していてもよいC1-4アルキルスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよいC6-20アリールスルホニルオキシ基、ハロゲン原子等が含まれる。なかでも、ヒドロキシル基;メタンスルホニルオキシ基などの置換基を有していてもよい炭素数1〜2のアルキルスルホニルオキシ基;p−トルエンスルホニルオキシ基などの置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリールスルホニルオキシ基;塩素原子;臭素原子;ヨウ素原子等が特に好ましい。
【0057】
一般式(I)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体のうち、好ましい化合物には、R1、R2が、同一又は異なって、(i)水素原子、C1-4アルキル基(特に、メチル基)であるか、又は(ii)R1とR2が一体となって形成される式(IX)で表わされる置換基を有していてもよいメチレン基であって、Ra、Rbが、同一又は異なって、カルボキシル基もしくはその塩、又はC2-5アルコキシカルボニル基であり;R3、R4、R5が、同一又は異なって、水素原子又はC1-4アルキル基であり;Xが、ヒドロキシル基、C1-2アルキルスルホニル基、C6-15アリールスルホニル基、又はハロゲン原子である化合物が含まれる。
【0058】
一般式(I)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体には、(1)(S)−1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−置換プロパン誘導体、(2)(S)−1−(3,4−ジ−C1-4アルコキシフェニル)−2−置換プロパン誘導体、(3)(S)−1−(2,2−ジ−C1-4アルキル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−置換プロパン誘導体、(4)(S)−1−[2,2−ビス(C2-5アルコキシカルボニル)−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル]−2−置換プロパン誘導体、(5)(S)−1−(2,2−ジカルボキシ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−置換プロパン誘導体などが含まれる。
【0059】
(S)−1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−置換プロパン誘導体(1)として、例えば、(S)−1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−プロパノール、(S)−p−トルエンスルホン酸2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル、(S)−メタンスルホン酸2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル、(S)−2−クロロ−1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、(S)−2−ブロモ−1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。
【0060】
(S)−1−(3,4−ジ−C1-4アルコキシフェニル)−2−置換プロパン誘導体(2)として、例えば、(S)−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノール、(S)−p−トルエンスルホン酸2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル、(S)−メタンスルホン酸2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル、(S)−2−クロロ−1−(3,4−ジメトキシフェニル)プロパン、(S)−2−ブロモ−1−(3,4−ジメトキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。
【0061】
(S)−1−(2,2−ジ−C1-4アルキル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−置換プロパン誘導体(3)として、例えば、(S)−1−(2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−プロパノール、(S)−p−トルエンスルホン酸1−メチル−2−(2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)エチル、(S)−メタンスルホン酸1−メチル−2−(2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)エチル、(S)−2−クロロ−1−(2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)プロパン、(S)−2−ブロモ−1−(2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)プロパンなどが挙げられる。
【0062】
(S)−1−[2,2−ビス(C2-5アルコキシカルボニル)−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル]−2−置換プロパン誘導体(4)として、例えば、(S)−5−(2−ヒドロキシプロピル)−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジメチル、(S)−5−(2−ヒドロキシプロピル)−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジエチル、(S)−5−[2−(p−トルエンスルホニルオキシ)プロピル]−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジメチル、(S)−5−[2−(p−トルエンスルホニルオキシ)プロピル]−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジエチル、(S)−5−[2−(メタンスルホニルオキシ)プロピル]−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジメチル、(S)−5−[2−(メタンスルホニルオキシ)プロピル]−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジエチル、(S)−5−(2−クロロプロピル)−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジメチル、(S)−5−(2−クロロプロピル)−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジエチル、(S)−5−(2−ブロモプロピル)−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジメチル、(S)−5−(2−ブロモプロピル)−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジエチルなどが例示できる。
【0063】
(S)−1−(2,2−ジカルボキシ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−置換プロパン誘導体(5)として、例えば、(S)−5−(2−ヒドロキシプロピル)−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジナトリウム、(S)−5−[2−(p−トルエンスルホニルオキシ)プロピル]−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジナトリウム、(S)−5−[2−(メタンスルホニルオキシ)プロピル]−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジナトリウム、(S)−5−(2−クロロプロピル)−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジナトリウム、(S)−5−(2−ブロモプロピル)−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジナトリウムなどが挙げられる。
【0064】
前記一般式(I)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体は、化学的な合成法、または微生物もしくはその処理物の作用を利用する方法により、有利に製造できる。
【0065】
前記一般式(I)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体のうち、(a)Xがヒドロキシル基である化合物、すなわち、一般式(III)で表される(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体は、前記一般式(II)で表されるフェニルアセトン誘導体を、(i)特定の微生物又はその処理物を作用させるか、又は(ii)化学的な方法によって不斉還元し、次いで、生成した(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体を回収することによって容易に得ることができる。前記(i)の方法について以下に説明する。
【0066】
この方法において、反応原料として用いられる前記一般式(II)で表されるフェニルアセトン誘導体は、慣用の方法、例えば、酢酸のアルカリ土類金属塩(例えば、酢酸カルシウム、酢酸バリウムなど)などの酢酸塩と、一般式(II)の化合物に対応するフェニル酢酸のアルカリ土類金属塩(例えば、フェニル酢酸カルシウム、フェニル酢酸バリウムなど)などのフェニル酢酸塩との混合物を乾留する方法等により容易に製造することができる。
【0067】
この方法に使用する微生物は、一般式(II)で表されるフェニルアセトン誘導体を不斉還元し、光学活性な一般式(III)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体を生成する能力を有する微生物であれば何れも使用可能である。
【0068】
このような微生物としては、例えば、スフィンゴバクテリウム(Sphingobacterium)属、アエロモナス(Aeromonas)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、オレオバクテリウム(Aureobacterium)属、バシルス(Bacillus)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、クロモバクテリウム(Chromoobacterium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属、ジェンセニア(Jensenia)属、コマモナス(Comamonas)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、アルテルナリア(Alternaria)属、アマニタ(Amanita)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、コクリオボラス(Cochliobolus)属、コリネスポラ(Corynespora)属、ダクチリウム(Dactylium)属、ドレクスレラ(Drechslera)属、エチノポドスポラ(Echinopodospora)属、ゲラシノスポラ(Gelasinospora)属、ゴナトボトリウム(Gonatobotryum)属、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)属、モルチエレラ(Mortierella)属、パエシロミセス(Paecilomyces)属、フィアロホラ(Phialophora)属、フィトフトラ(Phytophthora)属、ポドスポラ(Podospora)属、リゾムコール(Rhizomucor)属、セプトリア(Septoria)属、スポロルミエリア(Sporormielia)属、ステムフィリウム(Stemphylium)属、タラロミセス(Talaromyces)属、トルラ(Torula)属、ウスチラゴ(Ustilago)属、ウエステルディケラ(Westerdykella)属、アンブロシオジマ(Ambrosiozyma)属、デッケラ(Dekkera)属、カンジダ(Candida)属、クラビスポラ(Clavispora)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、デバリオミセス(Debaryomyces)属、ガラクトミセス(Galactomyces)属、フィロバシジウム(Filobasidium)属、ゲオトリクム(Geotrichum)属、ハンセヌラ(Hansenula)属、イサチェンキア(Issatchenkia)属、クロエッケラ(Kloeckeva)属、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属、ルコスポリジウム(Leucosporidium)属、ロデロミセス(Lodderomyces)属、メチュニコイア(Metschnikowia)属、ミクソジマ(Myxozyma)属、オオスポリジウム(Oosporidium)属、パチソレン(Pachysolen)属、ピチア(Pichia)属、マラセジア(Malassezia)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属、コンドア(Kondoa)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、サッカロミセス(Saccharomyces)属、オクトスポロミセス(Octosporomyces)属、スポリジオボルス(Sporidiobolus)属、スポロボロミセス(Sporobolomyces)属、スポロパチデルミア(Sporopachydermia)属、ステリグマトミセス(Sterigmatomyces)属、トルラスポラ(Torulaspora)属、トルロプシス(Torulopsis)属、トリゴノプシス(Trigonopsis)属、ウイッケルハミア(Wickerhamia)属、ウインゲア(Wingea)属、ジゴアスクス(Zygoascus)属、ジゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属及びジゴジマ(Zygozyma)属に属する微生物等が例示できる。
【0069】
前記(1)スフィンゴバクテリウム(Sphingobacterium)属に属する微生物には、スフィンゴバクテリウム エスピー(Sphingobacterium sp.)IFO 13310等が含まれる。
【0070】
(2)アエロモナス(Aeromonas)属に属する微生物には、アエロモナス ヒドロフィラ(Aeromonas hydrophila subsp.proteolytiga)IFO 13287等が含まれる。
【0071】
(3)アグロバクテリウム(Agrobacterium)属に属する微生物には、アグロバクテリウム ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)IFO 12664等が含まれる。
【0072】
(4)オレオバクテリウム(Aureobacterium)属に属する微生物には、オレオバクテリウム テスタセウム(Aureobacterium testaceum)IFO 12675等が含まれる。
【0073】
(5)バシルス(Bacillus)属に属する微生物には、バシルス セレウス(Bacillus cereus)AHU 1355等が含まれる。
【0074】
(6)セルロモナス(Cellulomonas)属に属する微生物には、セルロモナス フラビゲナ(Cellulomonas flavigena)IFO 3754等が含まれる。
【0075】
(7)クロモバクテリウム(Chromoobacterium)属に属する微生物には、クロモバクテリウム イオディヌム(Chromobacterium iodinum)IFO 3558等が含まれる。
【0076】
(8)コリネバクテリウム(Corynebacterium)属に属する微生物には、コリネバクテリウム アクアティクム(Corynebacterium aquaticum)IFO 12154等が含まれる。
【0077】
(9)グルコノバクター(Gluconobacter)属に属する微生物には、グルコノバクター オキシダンス(Gluconobacter oxydans)IFO 3255等が含まれる。
【0078】
(10)ジェンセニア(Jensenia)属に属する微生物には、ジェンセニア カニクルリア(Jensenia canicruria)IFO 13914等が含まれる。
【0079】
(11)コマモナス(Comamonas)属に属する微生物には、コマモナス アシドボランス(Comamonas acidovorans)IFO 13582等が含まれる。
【0080】
(12)シュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物には、シュードモナスフルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)IFO 3081、シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)IFO 3738等が含まれる。
【0081】
(13)アルテルナリア(Alternaria)属に属する微生物には、アルテルナリア ジャポニカ(Alternaria japonica)IFO 5244等が含まれる。
【0082】
(14)アマニタ(Amanita)属に属する微生物には、アマニタ シトリナ(Amanitacitrina)IFO 8261等が含まれる。
【0083】
(15)アスペルギルス(Aspergillus)属に属する微生物としては、アスペルギルス アワモリ ナカザワ(Aspergillus awamori nakazawa)IFO 4033、アスペルギルス フィクウム(Aspergillus ficuum)IFO 4018、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)AHU 7105、アスペルギルスニガー(Aspergillus niger)IFO 5374等が例示できる。
【0084】
(16)コクリオボラス(Cochliobolus)属に属する微生物には、コクリオボラスミヤベアヌス(Cochliobolus miyabeanus)IFO 6631等が含まれる。
【0085】
(17)コリネスポラ(Corynespora)属に属する微生物には、コリネスポラ カッシコーラ(Corynespora cassiicola)IFO 6724等が含まれる。
【0086】
(18)ダクチリウム(Dactylium)属に属する微生物には、ダクチリウム デントロイデス(Dactylium dendroides)ATCC 46032等が含まれる。
【0087】
(19)ドレクスレラ(Drechslera)属に属する微生物には、ドレクスレラ アベナエ(Drechslera avenae)IFO 6636等が含まれる。
【0088】
(20)エチノポドスポラ(Echinopodospora)属に属する微生物には、エチノポドスポラ ジャマイセンシス(Echinopodospora jamaicensis)IFO 9819等が含まれる。
【0089】
(21)ゲラシノスポラ(Gelasinospora)属に属する微生物にはゲラシノスポラセレアリス(Gelasinospora cerealis)IFO 6759等が含まれる。
【0090】
(22)ゴナトボトリウム(Gonatobotryum)属に属する微生物には、ゴナトボトリウム アピクラトゥム(Gonatobotryum apiculatum)IFO 9098等が含まれる。
【0091】
(23)ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)属に含まれる微生物には、ヘルミントスポリウム シグモイデウム(Helminthosporium sigmoideum var.irregulare)IFO 5273等が含まれる。
【0092】
(24)モルチエレラ(Mortierella)属に属する微生物には、モルチエレラ イサベイリナ(Mortierella isabeilina)IFO 6336等が含まれる。
【0093】
(25)パエシロミセス(Paecilomyces)属に属する微生物には、パエシロミセスバリオッティ(Paecilomyces variotii)IFO 4855等が含まれる(26)フィアロホラ(Phialophora)属に属する微生物には、フィアロホラ ペデロソイ(Phialophora pedrosoi)IFO 6071等が含まれる。
【0094】
(27)フィトフトラ(Phytophthora)属に属する微生物には、フィトフトラ カプシシ(Phytophthora capsici)IFO 8386等が含まれる。
【0095】
(28)ポドスポラ(Podospora)属に属する微生物には、ポドスポラ カルボナリア(Podospora carbonaria)IFO 30294等が含まれる。
【0096】
(29)リゾムコール(Rhizomucor)属に属する微生物には、リゾムコール プシルス(Rhizomucor pusillus)IFO 4578等が含まれる。
【0097】
(30)セプトリア(Septoria)属に属する微生物には、セプトリア グリシネス(Septoria glycines)IFO 5294等が含まれる。
【0098】
(31)スポロルミエリア(Sporormielia)属に属する微生物には、スポロルミエリア イソメラ(Sporormielia isomera)IFO 8538等が含まれる。
【0099】
(32)ステムフィリウム(Stemphylium)属に属する微生物には、ステムフィリウム サルシニホルメ(Stemphylium sarciniforme)IFO 7243等が含まれる。
【0100】
(33)タラロミセス(Talaromyces)属に属する微生物には、タラロミセス フラブス(Talaromyces flavus var.flavus)IFO 7231等が含まれる。
【0101】
(34)トルラ(Torula)属に属する微生物には、トルラ ジエアンセルメイ(Torula jeanselmei)IFO 6857等が含まれる。
【0102】
(35)ウスチラゴ(Ustilago)属に属する微生物には、ウスチラゴ シノドンチス(Ustilago cynodontis)IFO 7530等が含まれる。
【0103】
(36)ウエステルディケラ(Westerdykella)属に属する微生物には、ウエステルディケラ ムルチスポラ(Westerdykella multispora)IFO 5813等が含まれる。
【0104】
(37)アンブロシオジマ(Ambrosiozyma)属に属する微生物には、アンブロシオジマ シカトリコサ(Ambrosiozyma cicatricosa)IFO 1846、アンブロシオジマ モノスポラ(Ambrosiozyma monospora)IFO 1965等が含まれる。
【0105】
(38)デッケラ(Dekkera)属に属する微生物には、デッケラ クステルシアヌス(Dekkera custersianus)IFO 1585等が含まれる。
【0106】
(39)カンジダ(Candida)属に属する微生物としては、カンジダ アアセリ(Candida aaseri)IFO 10104、カンジダ アトムスフェリカ(Candida atomspherica)IFO 1969、カンジダ ビイチイ(Candida beechii)IFO 10229、カンジダ ディベルサ(Candida diversa)IFO 1091、カンジダ エルガテンシス(Candida ergatensis)IFO 10233、カンジダ フルビアチリス(Candida fluviatilis)IFO 10234、カンジダフシホルマテ(Candida fusiformate)IFO 10225、カンジダ グラブラタ(Candida glabrata)IFO 0622、カンジダ グロペンギエセリ(Candida gropengiesseri)IFO 0659、カンジダ ハロニトラトフィラ(Candida halonitratophila)IFO 1595、カンジダ インコンスピクア(Candida inconspicua)IFO 0621、カンジダ ケフィル(Candida kefyr)DSM 70073、カンジダ クルセイ(Candida krusei)DSM 70075、カンジダ ランビカ(Candida lambica)DSM 70090、カンジダ モギイ(Candida mogii)IFO 0436、カンジダ マルトサ(Candidamaltosa)IFO 1978、カンジダ メリビオシカ(Candida melibiosica)IFO 10238、カンジダ メンブラナエファシエンス(Candida membranaefaciens)IFO 1246、カンジダ オレオフィラ(Candida oleophila)JCM 2444、カンジダ パラプシロシス(Candida parapsilosis)IFO 1022、カンジダ ピントロペシイ(Candida pintolopesii var, pintolopesii)IFO 0729、カンジダ シュウドインテルメディア(Candida pseudointermedia)IFO 1693、カンジダ カテヌラタ(Candida catenulata)DSM 70136、カンジダ ルゴサ(Candida rugosa)IFO 0591、カンジダ サイトアナ(Candida saitoana)IFO 0768、カンジダサケ(Candida sake)IFO 1149、カンジダ ナタレンシス(Candida natalensis)IFO 1981、カンジダ サルマンチセンシス(Candida salmanticensis)IFO 10242、カンジダ サンタマリアエ(Candida santamariae)IFO 1982、カンジダ シャタビイ(Candida schatavii)IFO 10258、カンジダ シエハタエ(Candida shehatae)IFO 1983、カンジダ シルバノルム(Candida silvanorum)IFO 10419、カンジダ ソルボフィラ(Candida sorbophila)IFO 1583、カンジダ テヌイス(Candida tenuis)IFO 10315、カンジダ ユチリス(Candida utilis)IFO 0396、カンジダ ユチリス(Candida utilis)IFO 0988、カンジダ アルビカンス(Candida albicans)IFO 0759等が例示できる。
【0107】
(40)クラビスポラ(Clavispora)属に属する微生物には、クラビスポラ ルシタニアエ(Clavispora lusitaniae)IFO 1019等が含まれる。
【0108】
(41)クリプトコッカス(Cryptococcus)属に属する微生物には、クリプトコッカス フミコルス(Cryptococcus humicolus)IFO 0760、クリプトコッカス ネオホルマンス(Cryptococcus neoformans)IAM 4788等が含まれる。
【0109】
(42)デバリオミセス(Debaryomyces)属に属する微生物には、デバリオミセスバリジアエ(Debaryomyces varijiae)DSM 70252等が含まれる。
【0110】
(43)ガラクトミセス(Galactomyces)属に属する微生物には、ガラクトミセスレッシイ(Galactomyces reessii)IFO 1112等が含まれる。
【0111】
(44)フィロバシジウム(Filobasidium)属に属する微生物には、フィロバシジウム カプスリゲヌム(Filobasidium capsuligenum)IFO 1119等が含まれる。
【0112】
(45)ゲオトリクム(Geotrichum)属に属する微生物としては、ゲオトリクム カンジドゥム(Geotrichum candidum)IFO 4598、ゲオトリクム ファーメンタンス(Geotrichum fermentans)JCM 2467、ゲオトリクム フラグランス(Geotrichum fragrans)JCM 2450等が例示される。
【0113】
(46)ハンセヌラ(Hansenula)属に属する微生物としては、ハンセヌラ ポリモルファ(Hansenula polymorpha)ATCC 26012、ハンセヌラ カプスラタ(Hansenula capsulata)DSM 70269、ハンセヌラ グルコジマ(Hansenula glucozyma)DSM 70271、ハンセヌラ ウィッケルハミイ(Hansenula wickerhamii)DSM 70280等が挙げられる。
【0114】
(47)イサチェンキア(Issatchenkia)属に属する微生物には、イサチェンキアシュツラタ(Issatchenkia scutulata var.scutulata)IFO 10070等が含まれる。
【0115】
(48)クロエッケラ(Kloeckera)属に属する微生物には、クロエッケラ アフリカナ(Kloeckera africana)IFO 0869等が含まれる。
【0116】
(49)クルイベロミセス(Kluyveromyces)属に属する微生物には、クルイベロミセス ラクチス(Kluyveromyces lactis)IFO 0433、クルイベロミセスマルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)DSM 70800、クルイベロミセス ポリスポルス(Kluyveromyces polysporus)DSM 70294等が含まれる。
【0117】
(50)ルコスポリジウム(Leucosporidium)属に属する微生物には、ルコスポリジウム スコッティ(Leucosporidium scottii)IFO 1924等が含まれる。
【0118】
(51)ロデロミセス(Lodderomyces)属に属する微生物には、ロデロミセス エロンギスポルス(Lodderomyces elongisporus)IFO 1676等が含まれる。
【0119】
(52)メチュニコイア(Metschnikowia)属に属する微生物としては、メチュニコイア ビクスピダタ(Metschnikowia bicuspidata)IFO 1408、メチュニコイア プルチェリマ(Metschnikowia pulcherrima)DSM 70336、メチュニコイア レウカウフィ(Metschnikowia reukaufii)DSM 70880等が挙げられる。
【0120】
(53)ミクソジマ(Myxozyma)属に属する微生物には、ミクソジマ リポミコイデス(Myxozyma lipomycoides)IFO 10350等が含まれる。
【0121】
(54)オオスポリジウム(Oosporidium)属に属する微生物には、オオスポリジウム マルガリチフェルム(Oosporidium margaritiferum)IFO 1208等が含まれる。
【0122】
(55)パチソレン(Pachysolen)属に属する微生物には、パチソレン タンノフィルス(Pachysolen tannophilus)IFO 1007等が含まれる。
【0123】
(56)ピチア(Pichia)属に属する微生物としては、ピチア セロビオサ(Pichiacellobiosa)DSM 2147、ピチア ファリノサ(Pichia farinosa)IFO 1163、ピチア リンドネリ(Pichia lindnerii)DSM 70718、ピチア オメリ(Pichia ohmeri)DSM 70815、ピチア サーモトレランス(Pichia thermotolerans)IFO 10025、ピチア パストリス(Pichia pastoris)DSM 70382、ピチア トレハロフィラ(Pichia trehalophila)DSM 70391、ピチア カルソニイ(Pichia carsonii)DSM 70392、ピチア スブペリクロサ(Pichia subpelliculosa)IFO0808等が例示できる。
【0124】
(57)マラセジア(Malassezia)属に属する微生物には、マラセジア フルフル(Malassezia furfur)IFO 0656等が含まれる。
【0125】
(58)ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属に属する微生物には、ロドスポリジウム ジオボバトゥム(Rhodosporidium diobovatum)IFO 1830、ロドスポリジウム トルロイデス(Rhodosporidium toruloides)IFO 1638等が含まれる。
【0126】
(59)コンドア(Kondoa)属に属する微生物には、コンドア マルビネラ(Kondoamalvinella)IFO 1936等が含まれる。
【0127】
(60)ロドトルラ(Rhodotorula)属に属する微生物には、ロドトルラ グルチニス(Rhodotorula glutinis)AHU 3454、ロドトルラ ルブラ(Rhodotorula rubra)IFO 0383等が含まれる。
【0128】
(61)サッカロミセス(Saccharomyces)属に属する微生物には、サッカロミセスロキシイ(Saccharomyces rouxii)IAM 0487等が含まれる。
【0129】
(62)オクトスポロミセス(Octosporomyces)属に属する微生物には、オクトスポロミセス オクトスポルス(Octosporomyces octosporus)IFO 0353等が含まれる。
【0130】
(63)スポリジオボルス(Sporidiobolus)属に属する微生物には、スポリジオボルス ジョンソニイ(Sporidiobolus johnsonii)IFO 6903、スポリジオボルス パラロセウス(Sporidiobolus pararoseus)IFO 1104、スポリジオボルス サルモニコロル(Sporidiobolus salmonicolor)IFO 1845等が含まれる。
【0131】
(64)スポロボロミセス(Sporobolomyces)属に属する微生物には、スポロボロミセス パラロセウス(Sporobolomyces pararoseus)IFO 1036等が含まれる。
【0132】
(65)スポロパチデルミア(Sporopachydermia)属に属する微生物には、スポロパチデルミア ラクタチボラ(Sporopachydermia lactativora)IFO 1867等が含まれる。
【0133】
(66)ステリグマトミセス(Sterigmatomyces)属に属する微生物には、ステリグマトミセス エルビアエ(Sterigmatomyces elviae)DSM 70852等が含まれる。
【0134】
(67)トルラスポラ(Torulaspora)属に属する微生物には、トルラスポラ デルブルエッキイ(Torulaspora delbrueckii)IFO 0381等が含まれる。
【0135】
(68)トルロプシス(Torulopsis)属に属する微生物には、トルロプシス ネモデンドラ(Torulopsis nemodendra)DSM 70647等が含まれる。
【0136】
(69)トリゴノプシス(Trigonopsis)属に属する微生物には、トリゴノプシスバリアビリス(Trigonopsis variabilis)IFO 0755等が含まれる。
【0137】
(70)ウイッケルハミア(Wickerhamia)属に属する微生物には、ウイッケルハミア フルオレッセンス(Wickerhamia fluorescens)DSM 70715、ウイッケルハミエラ ドメルックイ(Wickerhamiella domercquii)IFO 1857等が含まれる。
【0138】
(71)ウインゲア(Wingea)属に属する微生物には、ウインゲア ロベルツイ(Wingea robertsii)IFO 1277等が含まれる。
【0139】
(72)ジゴアスクス(Zygoascus)属に属する微生物には、ジゴアスクス ヘレニクス(Zygoascus hellenicus)IFO 1575等が含まれる。
【0140】
(73)ジゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属に属する微生物としては、ジゴサッカロミセス バイリイ(Zygosaccharomyces bailii)IFO 0468、ジゴサッカロミセス ビスポルス(Zygosaccharomyces bisporus)DSM 70415等が挙げられる。
【0141】
(74)ジゴジマ(Zygozyma)属に属する微生物には、ジゴジマ オリゴファガ(Zygozyma oligophaga)IFO 10360等が含まれる。
【0142】
上記の微生物は、前記能力を有する限り、野生株、変異株、又は細胞融合もしくは遺伝子操作等の遺伝子的手法により誘導される組み替え株等、いずれの株でも好適に用いることができる。
【0143】
なお、IFO番号の付された微生物は(財)醗酵研究所(IFO)発行のListof Cultures、第9版に記載されており、該IFOから入手することができる。JCM番号の付された微生物は、理化学研究所微生物系保存施設発行の微生物カタログ第5版(1992)に記載されており、該施設から入手することができる。DSM番号の付された微生物は、Deutsch Sammlung von Mikroorganismen(DSM)発行のCatalogue of strains(1989)に記載されており、該DSMから入手することができる。ATCC番号の付された酵母(ハンセヌラ ポリモルファ ATCC 26012)は、American Type Culture Collection(ATCC)発行のCatalogue of YEASTS (第18版、1990)に、またATCC番号の付された糸状菌(ダクチリウム デントロイデス ATCC 46032)は、American Type Culture Collection(ATCC)発行のCatalogue of Filamentous fungi(第18版、1991)に記載されており、それぞれ該ATCCから入手することができる。IAM番号の付された微生物は、東京大学応用微生物研究所から入手することができる。AHU番号の付された微生物は、北海道大学農学部から入手することができる。
【0144】
本発明に用いる微生物を培養するための培地は、その微生物が増殖し得るものであれば特に制限はない。培地は、通常、炭素源、窒素源、その他の養分などを含む液体培地が使用される。例えば、炭素源としては、上記微生物が利用可能なものであればいずれも使用でき、具体的には、グルコース、フルクトース、シュクロース、デキストリン、デンプン等の糖類;ソルビトール、メタノール、エタノール、グリセロール等のアルコール類;フマル酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸類及びその塩類;パラフィン等の炭化水素類;あるいはこれらの混合物などを使用することができる。窒素源としては、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸のアンモニウム塩;フマル酸アンモニウム、クエン酸アンモニウムなどの有機酸のアンモニウム塩;肉エキス、酵母エキス、麦芽エキス、ペプトン、コーンスティープリカー、カゼイン加水分解物、尿素等の無機又は有機含窒素化合物;あるいはこれらの混合物を使用することができる。培地には、他に無機塩、微量金属塩、ビタミン類等、通常の培養に用いられる栄養源を適宜添加してもよい。また、必要に応じて、培地には、微生物の増殖を促進する因子、本発明の目的化合物の生成能力を高める因子、あるいは培地のpH保持に有効な緩衝物質等を添加してもよい。
【0145】
微生物の培養は、生育に適した条件下、例えば、培地のpH2.0〜9.5、好ましくは3〜8、培養温度20〜45℃、好ましくは25〜37℃で行うことができる。微生物の培養は、嫌気的又は好気的条件下で行うことができる。培養時間は、5〜120時間、好ましくは12〜72時間程度である。
【0146】
不斉還元の方法としては、微生物又はその処理物が、一般式(II)で表わされるフェニルアセトン誘導体に作用して、一般式(I)で表わされる(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体が生成する方法であれば特に限定されず、例えば、(1)微生物の培養時に培地中に前記フェニルアセトン誘導体を添加して反応させる方法、(2)培養液に上記フェニルアセトン誘導体を添加して反応させる方法、(3)培養液から遠心分離などにより分離した菌体を、そのまま使用したり、又は洗浄した後、緩衝液、水等に再懸濁して、前記フェニルアセトン誘導体を処理する方法などが挙げられる。反応の際、エネルギー源として、グルコース、シュクロース、メタノール、エタノール、パラフィン等の炭素源を添加すると、反応が円滑に進行し、目的化合物の生成効率が高まる場合がある。
【0147】
また、菌体は生菌体のままで使用してもよく、菌体処理物、例えば、菌体破砕物、アセトン処理、凍結乾燥等の処理を施した処理物を使用してもよい。これらの菌体又は菌体処理物は、例えば、ポリアクリルアミドゲル法、含硫多糖ゲル法(カラギーナンゲル法等)、アルギン酸ゲル法、寒天ゲル法等の慣用の方法で固定化して用いることもできる。さらに、菌体処理物から取得した酵素も使用できる。前記酵素は、慣用の方法を適宜組み合わせて精製することにより得ることができる。
【0148】
前記フェニルアセトン誘導体は、そのまま使用してもよく、溶媒による溶液、懸濁又は分散液として使用してもよい。前記溶媒としては、水、反応に悪影響を及ぼさない有機溶媒が使用できる。懸濁又は分散液では、界面活性剤などを必要に応じて使用できる。フェニルアセトン誘導体は、反応当初から反応系に存在させてもよく、反応系に分割して添加してもよい。
【0149】
菌体量は、反応生成物の生成量及び光学純度が低下しない範囲で適宜選択できる。菌体濃度は、乾燥菌体基準で、例えば0.1〜500g/L、好ましくは1〜300g/L程度である。基質であるフェニルアセトン誘導体はの使用濃度は、特に制限されないが、例えば、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%程度である。
【0150】
不斉還元条件は、目的化合物の生成を損なわない範囲で選択できる。反応系のpHは、例えば、pH2〜10、好ましくはpH3〜8程度、反応温度は、例えば、10〜60℃、好ましくは20〜40℃、さらに好ましくは20〜35℃程度である。前記反応は、攪拌下又は静置下、1〜120時間程度行うことができる。
【0151】
こうして、前記フェニルアセトン誘導体に、前記微生物又はその処理物を作用させると、不斉還元が円滑に進行し、Sの立体配置を有する対応する1−フェニル−2−プロパノール誘導体が高い選択率で生成する。
【0152】
反応により生成した一般式(III)で表される(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体は、慣用の分離精製手段により回収できる。例えば、反応液から直接又は菌体を分離した後、膜分離、有機溶媒による抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー、減圧濃縮、蒸溜などの通常の精製方法に供することにより、光学純度の高い(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体を容易に得ることができる。なお、光学純度は、光学異性体分離カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定できる。
【0153】
前記一般式(I)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体のうち、(b)Xが置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基若しくはアリールスルホニルオキシ基、又はハロゲン原子である化合物、すなわち、一般式(IV)で表される化合物は、前記一般式(III)で表される(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体から、立体を保持しつつ反応を進行させる試薬、触媒、反応条件を適当に選択することにより得ることができる。例えば、下記式に示されるように、一般式(III)で表される(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体に、スルホニル化剤又はハロゲン化剤を反応させることにより容易に得ることができる。
【0154】
【化29】
Figure 0003593362
前記スルホニル化剤には、ヒドロキシル基をアルキルスルホニルオキシ又はアリールスルホニルオキシ基に変換する慣用のスルホニル化剤、例えば、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルハライド、アリールスルホニルハライド等が含まれる。前記置換基を有していてもよいアルキルスルホニルハライドとしては、アルキル基がハロゲン原子等で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキルスルホニルハライド、例えば、塩化メタンスルホニル、臭化メタンスルホニル、塩化エタンスルホニル、臭化エタンスルホニル、塩化トリクロロメタンスルホン酸、塩化トリフルオロメタンスルホニル等が挙げられる。前記置換基を有していてもよいアリールスルホニルハライドとしては、芳香環にアルキル基、ニトロ基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリールスルホニルハライド、例えば、塩化ベンゼンスルホニル、臭化ベンゼンスルホニル、塩化p−トルエンスルホニル、臭化p−トルエンスルホニル、塩化o−トルエンスルホニル、塩化m−ニトロベンゼンスルホニル、塩化p−ニトロベンゼンスルホニル、塩化p−クロロベンゼンスルホニル、塩化p−ブロモベンゼンスルホニル、塩化ナフタレンスルホニル等が挙げられる。
【0155】
一般式(III)で表される(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体とスルホニル化剤との反応は、通常、塩基の存在下、例えば、−20〜100℃、好ましくは−10〜40℃、さらに好ましくは0〜30℃程度の温度で行うことができる。反応温度が−20℃未満では反応速度が遅くなり、100℃を越えると副反応が生じやすい。
【0156】
前記塩基には、無機塩基及び有機塩基が含まれる。無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩などが挙げられる。有機塩基としては、例えば、アルカリ金属アルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムプロポキシド、カリウムブトキシドなどのナトリウムまたはカリウムのC1-4アルコキシド等)などの金属アルコキシド;アルキルアミン(例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミンなどのC1-8アルキルアミン等)などの第1級アミン;ジアルキルアミン(例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−s−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミンなどのジ−C1-8アルキルアミン等)、及びピペコリン、ピペリジン、モルホリン、ピロリジンなどの環状アミン等の第2級アミン;トリアルキルアミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどのトリ−C1-8アルキルアミン等)、N,N−ジ置換アルカノールアミン(例えば、N,N−ジメチルエタノールアミンなどのN,N−ジ−C1-4アルキルアルカノールアミン等)、N,N−ジメチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジンなどの第3級アミン;ピリジン、ピコリン、キノリンなどの含窒素複素環化合物などが挙げられる。なお、この反応においては、ピリジン、トリエチルアミンなどの有機塩基を使用する場合が多い。
【0157】
塩基の使用量は、例えば、一般式(III)で表される化合物1モルに対して、0.9グラム当量以上(例えば0.9〜2グラム当量程度)である。ピリジンなどの有機塩基を用いる場合には、有機塩基を溶媒として用いてもよい。
【0158】
反応は、反応に不活性な溶媒中で行ってもよい。前記溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。
【0159】
スルホニル化剤の使用量は、反応速度及び経済性を考慮して適宜選択できるが、通常、一般式(III)で表される(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体1グラム当量に対して、0.9グラム当量以上、好ましくは0.9〜1.5グラム当量、さらに好ましくは1〜1.3グラム当量程度である。
【0160】
一般式(III)で表される(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体と前記スルホニル化剤との反応により、対応する(S)−2−アルキルスルホニルオキシ−1−フェニルプロパン誘導体又は(S)−2−アリールスルホニルオキシ−1−フェニルプロパン誘導体が、選択的に且つ収率よく生成する。
【0161】
一方、前記ハロゲン化剤としては、不斉炭素にヒドロキシル基の結合した光学活性なアルコールを、立体を保持しつつハロゲン化する際に用いられる慣用のハロゲン化剤、例えば、塩化チオニル、臭化チオニル等が挙げられる。
【0162】
一般式(III)で表される(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体とハロゲン化剤との反応は、例えば、−20〜150℃、好ましくは10〜120℃程度の温度で行うことができる。反応温度が−20℃未満では反応速度が遅くなり、150℃を越えると副反応が生じやすい。反応は、反応に不活性な溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、前記例示の溶媒が挙げられるが、反応が立体保持で進行するのに有利な溶媒、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル類などの酸素原子、イオウ原子を有する溶媒などが好適に用いられる。前記ハロゲン化剤を溶媒として用いることもできる。
【0163】
ハロゲン化剤の使用量は、一般式(III)で表される(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体1グラム当量に対して、例えば0.9グラム当量以上、好ましくは0.9〜1.5グラム当量程度である。また、反応を円滑に進行させるために、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、N,N−ジメチルホルムアミドなどの反応促進剤;前記例示の塩基等を添加することもできる。
【0164】
一般式(III)で表される(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体と前記ハロゲン化剤との反応により、対応する(S)−2−ハロ−1−フェニルプロパン誘導体が選択的に収率よく生成する。
【0165】
上記のスルホニル化反応又はハロゲン化反応により生成した一般式(IV)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体は、慣用の分離精製手段により回収できる。例えば、反応液のpH調整、有機溶媒による抽出、晶析、再結晶、減圧濃縮、カラムクロマトグラフィー、蒸溜などの通常の精製手段に供することにより、光学純度の高い(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体を容易に得ることができる。
【0166】
こうして得られた一般式(IV)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体は、医薬又はその中間原料として有用な一般式(VI)で表される(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体の合成中間体として好適に用いられる。
【0167】
一般式(I)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体のうち、(c)一般式(III)又は(IV)で表される化合物以外の化合物、すなわち、Xが保護基により保護されたヒドロキシル基である化合物は、一般式(III)で表される化合物のヒドロキシル基を、慣用の方法により当該保護基で保護することにより容易に得ることができる。こうして得られる化合物は、例えば、一般式(I)で表される化合物を化学反応に供して他の誘導体に導く場合において、ヒドロキシル基を保護する必要のある時に好適に用いられる。
【0168】
本発明の一般式(I)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体において、R1、R2は、慣用の方法により、ある1つの置換基から他の置換基へ変換することができる。
【0169】
例えば、R1、R2が共にメチル基である(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体は、下記式に従い、容易に、R1、R2が一体となって前記式(IX)で表わされる基である化合物に変換することができる。
【0170】
【化30】
Figure 0003593362
上記式において、R11、R12、R13は、それぞれ、置換基を有していてもよいアルキル基を示し、Xa、Xbは、それぞれハロゲン原子を示し、R3、R4、R5及びXは、前記と同意義を示す。
【0171】
すなわち、一般式(I)においてR1、R2が共にメチル基である式(Ia)の化合物に、BBr3などの脱メチル化剤を作用させて脱メチル化し、得られた式(Ib)の化合物に炭酸カリウムなどの塩基の存在下、ジブロモマロン酸ジエチルなどのジハロマロン酸エステル(XI)を反応させると、Ra、Rbが置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基である前記式(IX)で表わされる基を有する化合物(Ic)が得られる。この化合物(Ic)は、水素化ホウ素リチウムなどの還元剤により、Ra、Rbがヒドロキシメチル基である前記式(IX)で表わされる基を有する化合物(Id)に誘導できる。さらに、化合物(Id)に、水素化ナトリウムなどの塩基の存在下、式(XII)で表わされるハロゲン化アルキルを反応させると、Ra、Rbが置換基を有していてもよいアルコキシメチル基である前記式(IX)で表わされる基を有する化合物(Ie)に変換できる。また、化合物(Ic)を、慣用の加水分解法、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムなど)などのアルカリを用いたアルカリ加水分解などに供すると、Ra、Rbがカルボキシル基又はその塩である前記式(IX)で表わされる基を有する化合物(If)を得ることができる。この置換基の変換方法に関しては、例えば、前記ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー( J. Med. Chem.)、第35巻、第3081頁(1992年)、及び米国特許第5061727号明細書の記載を参照できる。
【0172】
本発明の一般式(VI)で表される(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体の製造法の特徴は、一般式(V)で表される(R)−2−アミノ−1−フェニルエタノール誘導体と一般式(IV)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体との立体反転を伴った置換反応により、前記(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体を得る点にある。
【0173】
一般式(V)のR6、R7、R8、R9、R10における低級アルキル基、低級ハロアルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子としては、それぞれ前記例示の低級アルキル基等が挙げられる。このうち、R9としては、C1-4ハロアルキル基などの低級ハロアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基等が好ましく、特に塩素原子などのハロゲン原子が好適である。R6、R7、R8、R10としては、水素原子、C1-4アルキル基などの低級アルキル基等が好ましく、特に水素原子が好ましい。
【0174】
一般式(V)のZにおけるヒドロキシル基の保護基としては、前記X、R1、R2に関する説明箇所においてヒドロキシル基の保護基として例示した基等が挙げられる。好ましいZには、水素原子、及び(A)酸素原子と共にエーテル結合を形成する基、特に、C1-4アルキル基、ヘテロ原子として酸素原子又はイオウ原子を有し、置換基を有していてもよい5〜6員複素環基、置換基を有していてもよいシリル基など、(B)酸素原子と共にエステル結合を形成する基、特に、置換基を有していてもよいC1-6アシル基、置換基を有していてもよい芳香環を有するC7-16アシル基、置換基を有していてもよい複素環を有するアシル基など、(C)酸素原子と共にカーボネートを形成する基、特に、置換基を有していてもよいC2-5アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいC8-20アラルキルオキシカルボニル基、C7-20アリールオキシカルボニル基など、のヒドロキシル基の保護基が含まれる。特に、Zとして、水素原子を用いる場合が多い。
【0175】
前記一般式(V)で表される(R)−2−アミノ−1−フェニルエタノール誘導体の具体例として、例えば、(a)(R)−2−アミノ−1−フェニルエタノール、(b)(R)−2−アミノ−1−(3−ニトロフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(2−メチル−3−ニトロフェニル)エタノールなどの(R)−2−アミノ−1−(3−ニトロフェニル)エタノール誘導体、(c)(R)−2−アミノ−1−(3−クロロフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(2,3−ジクロロフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(3,4−ジクロロフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(3−ブロモフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(2,3−ジブロモフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(3,4−ジブロモフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(3−フルオロフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(2,3−ジフルオロフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(3,4−ジフルオロフェニル)エタノールなどの(R)−2−アミノ−1−(3−ハロフェニル)エタノール誘導体、(d)(R)−2−アミノ−1−(3−クロロメチルフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−[3−(2−クロロエチル)フェニル]エタノール、(R)−2−アミノ−1−[3−(4−クロロブチル)フェニル]エタノール、(R)−2−アミノ−1−(3−トリクロロメチルフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−[3−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)フェニル]エタノールなどの(R)−2−アミノ−1−(3−C1-4ハロアルキル−フェニル)エタノール誘導体、(f)(R)−2−アミノ−1−(3−メチルフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(3−エチルフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(3−プロピルフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(3−t−ブチルフェニル)エタノールなどの(R)−2−アミノ−1−(3−C1-4アルキル−フェニル)エタノール誘導体、(g)(R)−2−アミノ−1−(2−クロロフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(2−ブロモフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(2−フルオロフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(2−トリフルオロメチルフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(2−メトキシフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(2−エトキシフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(2−メチルフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(2−エチルフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(2−プロピルフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(2−t−ブチルフェニル)エタノールなどの(R)−2−アミノ−1−(2−置換フェニル)エタノール誘導体、(h)(R)−2−アミノ−1−(4−クロロフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(4−ブロモフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(4−フルオロフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(4−トリフルオロメチルフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(4−メトキシフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(4−エトキシフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(4−メチルフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(4−エチルフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(4−プロピルフェニル)エタノール、(R)−2−アミノ−1−(4−t−ブチルフェニル)エタノールなどの(R)−2−アミノ−1−(4−置換フェニル)エタノール誘導体等が例示できる。
【0176】
前記一般式(V)で表される(R)−2−アミノ−1−フェニルエタノール誘導体は、例えば、対応する2−アミノ−1−フェニルエタノール誘導体のラセミ体を、慣用の光学分割法に供することにより得ることができる。すなわち、例えば、前記ラセミ体に、光学活性なカルボン酸、例えば、N−(t−ブトキシカルボニル)−D−アラニンなどのアミノ基が保護されたアミノ酸(D−アラニンなど)等を作用させてジアステレオマー塩を形成させ、再結晶することにより容易に取得することができる。なお、前記2−アミノ−1−フェニルエタノール誘導体のラセミ体は、慣用の方法、例えば、対応するベンズアルデヒド誘導体に、無水塩化アルミニウム等のルイス酸の存在下、トリメチルシリルシアニドなどのトリアルキルシリルシアニドを作用させてO−トリメチルシリルマンデロニトリル誘導体などのO−トリアルキルシリルマンデロニトリル誘導体とし、次いで、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤で処理した後、酸で加水分解し、必要に応じてヒドロキシル基を適当な保護基で保護する方法等により得ることができる。
【0177】
一般式(V)で表される化合物と一般式(IV)で表される化合物との反応は、反応を立体反転で進行させる試薬、触媒、反応条件等を選択して行うことができる。例えば、反応は、必要に応じて塩基の存在下、例えば0〜150℃、好ましくは20〜120℃程度で行うことができる。反応温度が0℃未満では反応速度が遅くなり、150℃を越えると副反応が生じやすい。
【0178】
反応は、塩基の存在下で行うのが好ましい。塩基の存在下で反応を行うと、目的化合物の光学純度が向上する。塩基としては、前記一般式(III)で表される化合物とスルホニル化剤との反応に用いる塩基として例示したものを使用できる。好ましい塩基には、有機塩基、とりわけ第2級アミン及び第3級アミンが含まれる。なかでも、鎖状の第2級アミン、特にジ−C1-8アルキルアミンなどのジアルキルアミンなどが好適に使用される。このようなジアルキルアミンを塩基として用いると、目的化合物の収率が顕著に増大する。また、前記環状アミンのなかでも、ピペコリンなどの嵩高いアミンを用いると、高収率で目的化合物が得られる場合がある。
【0179】
塩基の使用量は、例えば、一般式(IV)で表される化合物1モルに対して、約0.5〜10グラム当量、好ましくは約1.0〜5グラム当量、さらに好ましくは約1.2〜3.5グラム当量程度である。
【0180】
反応は、反応に不活性な溶媒中で行うこともできる。溶媒としては、前記例示の溶媒を用いることができる。好ましい溶媒には、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類などの炭化水素類などが含まれる。
【0181】
一般式(IV)で表される化合物の使用量は、反応速度及び経済性を考慮して適宜選択できるが、通常、一般式(V)で表される化合物1モルに対して、0.3〜1.5グラム当量、好ましくは0.5〜1.3グラム当量、さらに好ましくは0.8〜1.2グラム当量程度である。
【0182】
この方法によれば、前記(R)−2−アミノ−1−フェニルエタノール誘導体のアミノ基が、前記一般式(IV)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体の2位の炭素を、置換基Yの逆方向から攻撃するため、立体反転を伴った立体選択的な置換反応が円滑に進行する。そのため、対応する一般式(VI)で表される(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体又は副生する酸HY(Yは前記に同じ)との塩が、高い反応収率及び光学収率で生成する。こうして得られる(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体及びその塩は、生体内のβ3 受容体に選択的に作用し、血糖値を大幅に低下させると共に肥満を著しく抑制する。(R,R)−体に見られるこの薬理活性は、他の光学異性体と比較して著しく高い。例えば、(R,R)−5−[2−[[2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシエチル]アミノ]プロピル]−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジナトリウム塩は、対応する(S,S)−エナンチオマーと比較して47倍もの高い活性を示す(前記米国特許明細書参照)。
【0183】
なお、上記反応において、前記(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体に代えて、対応する(R)体を使用した場合には、目的化合物である(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体はほとんど生成しない。また、1−フェニル−2−置換プロパン誘導体のラセミ体を用いた場合には、精々50%の収率でしか目的化合物を得ることができず、しかも副生する光学異性体の分離工程を必要とする。
【0184】
このように、本発明の(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体は、(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体を選択的に高収率でしかも簡易に得るための極めて有効な合成中間体であり、対応する(R)体及びラセミ体と比較してその有用性は著しく高い。
【0185】
さらに、本発明の(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体は、従来の合成中間体である(R)−1−メチル−2−フェニルエチルアミン誘導体と異なり、覚醒作用を示さないため、取扱いが容易であり、工業的スケールの生産にも適している。
【0186】
前記一般式(VI)で表される化合物のR1、R2は、慣用の方法により、ある1つの置換基から別の置換基に変換することができる。そのような方法として、前記一般式(I)で表される化合物のR1、R2の説明箇所で記載した方法などが利用できる。例えば、前記記載の方法により、R1、R2が共にメチル基である(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体を、R1とR2とが一体となって式(IX)で表わされる基を形成した誘導体に容易に誘導できる。
【0187】
すなわち、R1、R2が共にメチル基である式(VI)の化合物に、BBr3などの脱メチル化剤を作用させて脱メチル化し、次いで、炭酸カリウムなどの塩基の存在下、ジブロモマロン酸ジエチルなどのジハロマロン酸エステル(XI)を反応させると、Ra、Rbが置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基である前記式(IX)で表わされる基を有する化合物が得られる。この化合物は、水素化ホウ素リチウムなどの還元剤により、Ra、Rbがヒドロキシメチル基である前記式(IX)で表わされる基を有する化合物に誘導できる。さらに、得られた化合物に、水素化ナトリウムなどの塩基の存在下、式(XII)で表わされるハロゲン化アルキルを反応させると、Ra、Rbが置換基を有していてもよいアルコキシメチル基である前記式(IX)で表わされる基を有する化合物に変換できる。また、前記Ra、Rbが置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基である式(IX)で表わされる基を有する化合物を、慣用の加水分解法、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムなど)などのアルカリを用いたアルカリ加水分解などに供すると、Ra、Rbがカルボキシル基またはその塩である前記式(IX)で表わされる基を有する化合物を得ることができる。
【0188】
前記の反応により生成した一般式(VI)で表される(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体又はその塩は、慣用の分離精製手段により回収できる。例えば、必要に応じて反応液をアルカリ性とした後、有機溶媒による抽出、減圧濃縮、カラムクロマトグラフィー、蒸溜、晶析、再結晶などの通常の精製手段に供することにより、光学純度の高い(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体又はその塩を容易に得ることができる。
【0189】
こうして得られた(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体又はその塩は、そのまま、あるいは必要に応じて、適当な化学的修飾を施すことにより、抗肥満薬、糖尿病治療薬などの医薬等として好適に使用できる。上記化学的修飾の方法は、例えば、前記ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(J. Med. Chem.)、第35巻、第3081頁(1992年)、及び米国特許第5061727号明細書の記載を参照できる。
【0190】
次に、前記一般式(VII)で表される(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体及びその製造法について説明する。
【0191】
前記一般式(VII)のR1〜R5、X及びそれらの好ましい例としては、前記一般式(I)について例示した置換基等が挙げられる。
【0192】
一般式(VII)で表される(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体のうち好ましい化合物には、R1、R2が、同一または異なって、(i)水素原子、またはC1-4アルキル基(特に、メチル基)であるか、または(ii)R1とR2が一体となって形成される一般式(IX)で表わされる基であって、Ra、Rbが、それぞれ、カルボキシル基もしくはその塩、またはC2-5アルコキシカルボニル基であるメチレン基であり;R3、R4、R5が、同一または異なって、水素原子またはC1-4アルキル基であり;Xがヒドロキシル基、C1-2アルキルスルホニルオキシ基、またはC6-15アリールスルホニルオキシ基、またはハロゲン原子である化合物が含まれる。
【0193】
一般式(VII)で表される(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体の具体例としては、前記一般式(I)で表わされる(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体の具体例として例示した化合物に対応するエナンチオマーなどが挙げられる。すなわち、一般式(VII)で表される(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体には、(1)(R)−1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−置換プロパン誘導体、(2)(R)−1−(3,4−ジ−C1-4アルコキシフェニル)−2−置換プロパン誘導体、(3)(R)−1−(2,2−ジ−C1-4アルキル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−置換プロパン誘導体、(4)(R)−1−[2,2−ビス(C2-5アルコキシカルボニル)−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル]−2−置換プロパン誘導体、(5)(R)−1−(2,2−ジカルボキシ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−置換プロパン誘導体などが含まれる。
【0194】
(R)−1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−置換プロパン誘導体(1)として、例えば、(R)−1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−プロパノール、(R)−p−トルエンスルホン酸2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル、(R)−メタンスルホン酸2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル、(R)−2−クロロ−1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、(R)−2−ブロモ−1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。
【0195】
(R)−1−(3,4−ジ−C1-4アルコキシフェニル)−2−置換プロパン誘導体(2)として、例えば、(R)−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノール、(R)−p−トルエンスルホン酸2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル、(R)−メタンスルホン酸2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル、(R)−2−クロロ−1−(3,4−ジメトキシフェニル)プロパン、(R)−2−ブロモ−1−(3,4−ジメトキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。
【0196】
(R)−1−(2,2−ジ−C1-4アルキル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−置換プロパン誘導体(3)として、例えば、(R)−1−(2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−プロパノール、(R)−p−トルエンスルホン酸1−メチル−2−(2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)エチル、(R)−メタンスルホン酸1−メチル−2−(2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)エチル、(R)−2−クロロ−1−(2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)プロパン、(R)−2−ブロモ−1−(2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)プロパンなどが挙げられる。
【0197】
(R)−1−[2,2−ビス(C2-5アルコキシカルボニル)−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル]−2−置換プロパン誘導体(4)として、例えば、(R)−5−(2−ヒドロキシプロピル)−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジメチル、(R)−5−(2−ヒドロキシプロピル)−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジエチル、(R)−5−[2−(p−トルエンスルホニルオキシ)プロピル]−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジメチル、(R)−5−[2−(p−トルエンスルホニルオキシ)プロピル]−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジエチル、(R)−5−[2−(メタンスルホニルオキシ)プロピル]−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジメチル、(R)−5−[2−(メタンスルホニルオキシ)プロピル]−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジエチル、(R)−5−(2−クロロプロピル)−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジメチル、(R)−5−(2−クロロプロピル)−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジエチル、(R)−5−(2−ブロモプロピル)−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジメチル、(R)−5−(2−ブロモプロピル)−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジエチルなどが例示できる。
【0198】
(R)−1−(2,2−ジカルボキシ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−置換プロパン誘導体(5)として、例えば、(R)−5−(2−ヒドロキシプロピル)−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジナトリウム、(R)−5−[2−(p−トルエンスルホニルオキシ)プロピル]−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジナトリウム、(R)−5−[2−(メタンスルホニルオキシ)プロピル]−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジナトリウム、(R)−5−(2−クロロプロピル)−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジナトリウム、(R)−5−(2−ブロモプロピル)−1,3−ベンゾジオキソール−2,2−ジカルボン酸ジナトリウムなどが挙げられる。
【0199】
前記一般式(VII)で表される(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体は、種々の方法、例えば、前記一般式(I)で表わされる(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体の製法に準じた方法により製造できる。
【0200】
例えば、前記一般式(VII)で表される(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体のうち、Xがヒドロキシル基である化合物、すなわち、一般式(VII')で表される(R)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体は、前記一般式(II)で表されるフェニルアセトン誘導体に、特定の微生物又はその処理物を作用させて不斉還元し、次いで、生成した(R)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体を回収することによって容易に得ることができる。
【0201】
この方法において使用する微生物は、一般式(II)で表されるフェニルアセトン誘導体を不斉還元し、光学活性な一般式(VII)で表される(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体を生成する能力を有する微生物であれば何れも使用可能である。
【0202】
このような微生物としては、例えば、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、キサントモナス(Xanthomonas)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、ボトリオアスクス(Botryoascus)属及びカンジダ(Candida)属に属する微生物等が例示できる。
【0203】
前記(75)コリネバクテリウム(Corynebacterium)属に属する微生物には、コリネバクテリウム バリアビリス(Corynebacterium variabilis ) JCM 2154等が含まれる。
【0204】
前記(76)キサントモナス(Xanthomonas)属に属する微生物には、キサントモナス エスピー(Xanthomonas sp.)IFO 3085等が含まれる。
【0205】
前記(77)ミクロコッカス(Micrococcus)属に属する微生物には、ミクロコッカス ルテウス(Micrococcus luteus)AHU 1427等が含まれる。
【0206】
前記(78)ボトリオアスクス(Botryoascus)属に属する微生物には、ボトリオアスクス シナエデンドルス(Botryoascus synaedendrus)IFO 1604等が含まれる。
【0207】
前記(79)カンジダ(Candida)属に属する微生物には、カンジダ パラプシロシス(Candida parapsilosis)IFO 0585等が含まれる。
【0208】
上記の微生物は、前記能力を有する限り、野生株、変異株、又は細胞融合もしくは遺伝子操作等の遺伝子的手法により誘導される組み替え株等、いずれの株でも好適に用いることができる。
【0209】
なお、IFO、JCM、AHUの各番号の付された微生物は、前記の施設等から入手できる。
【0210】
前記微生物の培養、不斉還元反応、及び反応生成物の回収は、前記一般式(III)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体を製造する場合と同様にして行うことができる。
【0211】
前記一般式(VII)で表される(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体において、R1、R2は、前記一般式(I)の化合物の場合と同様、慣用の方法により、ある1つの置換基から他の置換基へ変換することができる。
【0212】
一般式(VII)で表される(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体は、例えば、立体反転を伴う求核置換反応に供することにより、一般式(I)で表わされる(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体に変換することができる。この反応は、前記XまたはXに変換可能な基を導入できる求核試薬を用いることによって行うことができ。
【0213】
例えば、一般式(VII)で表される(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体のうちXがヒドロキシル基である化合物、すなわち一般式(VII')で表される(R)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体は、反応を立体反転で進行させる試薬、触媒、反応条件等を選択することにより、下記式に従い、容易に、一般式(I)で表わされる(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体のうちXがヒドロキシル基又はハロゲン原子である化合物、すなわち一般式(VIII)で表わされる化合物に変換することができる。
【0214】
【化31】
Figure 0003593362
一般式(VIII)中、R1、R2、R3、R4、R5は前記と同意義を示し、X1は、ヒドロキシル基又はハロゲン原子を示す。ハロゲン原子には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子が含まれる。
【0215】
一般式(VII')で表される化合物から、一般式(VIII)で表される化合物のうちX1がヒドロキシル基である化合物への転換は、より具体的には、例えば、以下の方法で行うことができる。
【0216】
すなわち、トリアリールホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィンなど)及びアゾジカルボン酸エチルなどのアゾジカルボン酸エステルの存在下、一般式(VII')の化合物に有機酸を反応させ、立体反転した対応する有機酸エステルとした後、加水分解することにより、前記一般式(VIII)で表される化合物のうちX1がヒドロキシル基である化合物を得ることができる。前記有機酸としては、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸等が挙げられる。上記の有機酸エステル生成反応は、例えば−60〜60℃程度の温度で行うことができる。反応は、例えば、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、テトラヒドロフランなどのエーテル類など、反応に不活性な溶媒中で行うこともできる。トリアリールホスフィン、有機酸、及びアゾジカルボン酸エステルの使用量は、一般式(VII')で表される化合物1モルに対して、それぞれ、0.7〜2.0モル程度である。また、前記有機酸エステルの加水分解は、慣用の酸又はアルカリ加水分解法等により行うことができる(Synthesis, 1(1981);Tetrahedron Lett., 1619(1973);Bull. Chem. Soc. Jpn.,44, 3427(1971)参照)。
【0217】
光学活性なアルコールを立体反転した対応するエナンチオマーに変換する方法として、次の方法も本発明に適用できる。すなわち、光学活性アルコールを、トリクロロ酢酸エステルなどのカルボン酸エステルにした後、例えば75%水−ジオキサンなどの水−エーテル系溶媒中で加水分解することにより、立体反転した対応する光学活性アルコールを得ることができる(Chem. Lett.,1976, 893 参照)。また、光学活性なアルコールをp−トルエンスルホン酸エステルなどのスルホン酸エステルとし、このスルホン酸エステルにテトラエチルアンモニウムアセテート、酢酸ナトリウム(及び酢酸)などの有機酸塩を反応させて、立体的に反転した対応する有機酸エステルに変換し、次いで加水分解することによっても、対応する反転した光学活性アルコールを得ることができる(J. Am. Chem. Soc.,87, 3682,(1965);J. Chem. Soc.,1954, 965 参照)。
【0218】
一方、一般式(VII')で表される化合物から、反応を立体反転で進行させる試薬、触媒、溶媒、その他の反応条件を選択することにより、容易に、一般式(VIII)で表される化合物のうちX1がハロゲン原子である化合物に変換することができる。このような変換は、例えば、以下の方法で行うことができる(J. Chem. Soc., 1709(1953);J. Chem. Soc., 3795(1954)参照)。
【0219】
すなわち、一般式(VII')の化合物に、前記例示の無機塩基(例えば、炭酸カルシウム)または有機塩基などの塩基の存在下、五塩化リン、五臭化リン、塩化チオニル、臭化チオニルなどのハロゲン化剤を作用させ、立体反転によって、対応する前記式(VIII)中、X1がハロゲン原子である(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体を得ることができる。ハロゲン化反応は、例えば、−20〜150℃程度の温度で行うことができる。反応は、例えば、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素などの反応に不活性な溶媒中で行ってもよい。なお、ハロゲン化剤として塩化チオニルまたは臭化チオニルを用いる際には、反転率を向上させるため、有機塩基を溶媒として用いる場合が多い。有機塩基には、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジンなどのアミン類;ピリジン、ピコリンなどの含窒素複素環化合物などが含まれる。
【0220】
前記ハロゲン化剤の使用量は、一般式(VII')で表される(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体1グラム当量に対して、例えば0.9グラム当量以上、好ましくは0.9〜1.5グラム当量程度である。また、反応を円滑に進行させるため、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、N,N−ジメチルホルムアミドなどの反応促進剤を添加することもできる。
【0221】
一般式(VII')で表される(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体を、一般式(VIII)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体のうちX1がハロゲン原子である化合物へ変換する方法として、次の方法を適用することもできる。
【0222】
(1)塩基、及び塩化リチウムなどのハロゲン化リチウムの存在下、光学活性アルコールに、塩化メタンスルホニルなどのハロゲン化メタンスルホニルを作用させる方法(J. Org. Chem.,56, 2769(1991)参照)
(2)塩基の存在下、光学活性アルコールに、塩化p−トルエンスルホニルなどのスルホン酸ハライドを作用させて、対応するスルホン酸エステルとした後、テトラアルキルアンモニウムクロリドなどのテトラアルキルアンモニウムハライドを反応させる方法(Tetrahedron Lett., 3425(1990)参照)
(3)光学活性アルコールに、N,N−ジアルキル−1,2,2−トリハロビニルアミン(例えば、N,N−ジエチル−1,2,2−トリクロロビニルアミンなど)を作用させる方法(J. Am. Chem. Soc.,82, 909(1960)参照)
(4)光学活性アルコールに、テトアラルキル−α−ハロゲノエナミン(例えば、テトラメチル−α−ハロゲノエナミンなど)を反応させる方法(Tetrahedron Lett.,30, 3077(1989)参照)
(5)光学活性アルコールとニトリルとの混合物に塩酸ガスを作用させ、イミデートを経由して立体反転したハロゲン化物に変換する方法(J. Am. Chem. Soc.,77, 2341(1955);Ber. Deusch Chem. Ges.,92, 370(1959);TetrahedronLett., 2517(1970)参照)
(6)トリフェニルホスフィンの存在下、光学活性アルコールに、四塩化炭素、四臭化炭素などのカーボンテトラハライドを作用させる方法(J. Org. Chem.,56,3009(1991);Chem. Ind(London), 1017(1969)参照)
(7)トリフェニルホスフィンの存在下、光学活性アルコールに、アゾジカルボン酸エチルなどのアゾジカルボン酸エステル、及び臭化メチルなどのハロゲン化メチルを作用させる方法(Tetrahedron 39, 2591(1983)参照)
(8)光学活性アルコールに、ハロゲン化亜鉛(例えば、塩化亜鉛など)、アゾジカルボン酸エステル(例えば、アゾジカルボン酸エチルなど)及びトリフェニホスフィンを作用させる方法(J. Org. Chem.,49,3027(1984);TetrahedronLett.,28, 4199(1987);Helv. Chim. Acta 32, 184(1949)参照)
(9)光学活性アルコールに、2−ジメチルアミノ−N,N'−ジフェニル−1,3,2−ジアザホスホランなどの2−ジアルキルアミノ−N,N'−ジフェニル−1,3,2−ジアザホスホランを反応させて、対応する2−アルコキシ−N,N'−ジフェニル−1,3,2−ジアザホスホランとした後、塩化スルフリル、臭素、ヨウ化メチルなどのハロゲン化剤を作用させる方法(Tetrahedron Lett.,23, 4411(1982)参照)
(10)メタルハライド(例えば、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウムなど)の存在下、光学活性アルコールに、3−アルキル−2−フルオロベンゾチアゾリウム テトラフルオロボレート(例えば、3−エチル−2−フルオロベンゾチアゾリウム テトラフルオロボレートなど)を作用させる方法(Chem. Lett., 619(1976)参照)。
【0223】
こうして得られる一般式(VIII)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体は、前記のように、(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体の極めて重要な合成中間体である。従って、本発明の前記一般式(VII)で表される(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体は、上記の合成中間体の中間原料として非常に有用である。
【0224】
なお、前記の一般式(VII)で表される(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体から一般式(I)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体への変換方法は、また、対応する(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体から(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体への変換にも適用できる。
【0225】
【発明の効果】
本発明の(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体は、(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体を良好な収率で効率よく製造するための合成中間体として極めて有用であり、入手及び取扱いも容易である。また、本発明の(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体は、前記(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体の中間原料として好適に用いることができる。
【0226】
さらに、本発明の(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体の製造法、及び(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体の製造法によれば、それぞれ、光学活性な目的化合物を、簡便にしかも高い光学純度で収率よく得ることができる。
【0227】
さらにまた、本発明の(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体の製造法によれば、光学純度の高い(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体を、簡便な方法により、高い収率で製造することができる。
【0228】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0229】
なお、実施例において、反応液中の1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノールの定量と光学純度の測定は、光学分割カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー[カラム:ダイセル化学工業(株)製キラルセルOF、溶媒:n−ヘキサン/2−プロパノール=90/10、流速:1.0ml/分、温度:40℃、検出波長:220nm]により行った。
【0230】
実施例1〜118及び参考例1〜21[(S)−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノールの製造]
酵母に属する菌株の場合には、YM培地(酵母エキス0.3%、麦芽エキス0.3%、ペプトン0.5%、グルコース2%、pH6.0)5mlを、又、細菌に属する菌株の場合には、PM培地(グルコース2%、ペプトン0.3%、酵母エキス0.5%、肉エキス0.3%、硫酸アンモニウム0.2%、リン酸一カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.05%、pH7.0)5mlを、直径21mmの試験管に入れ、滅菌した後、下記の菌株を植菌し、30℃で24時間往復振盪培養した。
【0231】
参考例1:スフィンゴバクテリウム エスピー IFO 13310
実施例:アエロモナス ヒドロフィラ IFO 13287
実施例:アグロバクテリウム ラジオバクター IFO 12664
実施例:オレオバクテリウム テスタセウム IFO 12675
実施例:バシルス セレウス AHU 1355
実施例:セルロモナス フラビゲナ IFO 3754
参考例2:クロモバクテリウム イオディヌム IFO 3558
参考例3:コリネバクテリウム アクアティクム IFO 12154
実施例:グルコノバクター オキシダンス IFO 3255
実施例:ジェンセニア カニクルリア IFO 13914
実施例:コマモナス アシドボランス IFO 13582
実施例:シュードモナス フルオレッセンス IFO 3081
実施例10:シュードモナス プチダ IFO 3738
実施例11:アルテルナリア ジャポニカ IFO 5244
実施例12:アマニタ シトリナ IFO 8261
実施例13:アスペルギルス アワモリ ナカザワ IFO 4033
実施例14:アスペルギルス フィクウム IFO 4018
実施例15:アスペルギルス ニガー AHU 7105
実施例16:アスペルギルス ニガー IFO 5374
参考例4:コクリオボラス ミヤベアヌス IFO 6631
実施例17:コリネスポラ カッシコーラ IFO 6724
実施例18:ダクチリウム デントロイデス ATCC 46032
実施例19:ドレクスレラ アベナエ IFO 6636
実施例20:エチノポドスポラ ジャマイセンシス IFO 9819
実施例21:ゲラシノスポラ セレアリス IFO 6759
参考例5:ゴナトボトリウム アピクラトゥム IFO 9098
実施例22:ヘルミントスポリウム シグモイデウム IFO 5273
実施例23:モルチエレラ イサベイリナ IFO 6336
実施例24:パエシロミセス バリオッティ IFO 4855
実施例25:フィアロホラ ペデロソイ IFO 6071
実施例26:フィトフトラ カプシシ IFO 8386
実施例27:ポドスポラ カルボナリア IFO 30294
実施例28:リゾムコール プシルス IFO 4578
実施例29:セプトリア グリシネス IFO 5294
参考例6:スポロルミエリア イソメラ IFO 8538
参考例7:ステムフィリウム サルシニホルメ IFO 7243
実施例30:タラロミセス フラブス IFO 7231
参考例8:トルラ ジエアンセルメイ IFO 6857
実施例31:ウスチラゴ シノドンチス IFO 7530
実施例32:ウエステルディケラ ムルチスポラ IFO 5813
実施例33:アンブロシオジマ シカトリコサ IFO 1846
実施例34:アンブロシオジマ モノスポラ IFO 1965
実施例35:デッケラ クステルシアヌス IFO 1585
実施例36:カンジダ アアセリ IFO 10104
実施例37:カンジダ アトムスフェリカ IFO 1969
実施例38:カンジダ ビイチイ IFO 10229
参考例9:カンジダ ディベルサ IFO 1091
参考例10:カンジダ エルガテンシス IFO 10233
参考例11:カンジダ フルビアチリス IFO10234
実施例39:カンジダ フシホルマテ IFO 10225
実施例40:カンジダ グラブラタ IFO 0622
参考例12:カンジダ グロペンギエセリ IFO 0659
実施例41:カンジダ ハロニトラトフィラ IFO 1595
実施例42:カンジダ インコンスピクア IFO 0621
実施例43:カンジダ ケフィル DSM 70073
参考例13:カンジダ クルセイ DSM 70075
実施例44:カンジダ ランビカ DSM 70090
実施例45:カンジダ モギイ IFO 0436
参考例14:カンジダ マルトサ IFO 1978
実施例46:カンジダ メリビオシカ IFO 10238
実施例47:カンジダ メンブラナエファシエンス IFO 1246
実施例48:カンジダ オレオフィラ JCM 2444
実施例49:カンジダ パラプシロシス IFO 1022
実施例50:カンジダ ピントロペシイ IFO 0729
参考例15:カンジダ シュウドインテルメディア IFO 1693
実施例51:カンジダ カテヌラタ DSM 70136
実施例52:カンジダ ルゴサ IFO 0591
実施例53:カンジダ サイトアナ IFO 0768
実施例54:カンジダ サケ IFO 1149
参考例16:カンジダ ナタレンシス IFO 1981
実施例55:カンジダ サルマンチセンシス IFO 10242
実施例56:カンジダ サンタマリアエ IFO 1982
実施例57:カンジダ シャタビイ IFO 10258
実施例58:カンジダ シエハタエ IFO1983
実施例59:カンジダ シルバノルム IFO 10419
実施例60:カンジダ ソルボフィラ IFO 1583
参考例17:カンジダ テヌイス IFO 10315
実施例61:カンジダ ユチリス IFO 0396
実施例62:カンジダ ユチリス IFO 0988
実施例63:カンジダ アルビカンス IFO 0759
実施例64:クラビスポラ ルシタニアエ IFO 1019
実施例65:クリプトコッカス フミコルス IFO 0760
実施例66:クリプトコッカス ネオホルマンス IAM 4788
実施例67:デバリオミセス バリジアエ DSM 70252
実施例68:ガラクトミセス レッシイ IFO 1112
実施例69:フィロバシジウム カプスリゲヌム IFO 1119
実施例70:ゲオトリクム カンジドゥム IFO 4598
実施例71:ゲオトリクム ファーメンタンス JCM 2467
実施例72:ゲオトリクム フラグランス JCM 2450
実施例73:ハンセヌラ ポリモルファ ATCC 26012
実施例74:ハンセヌラ カプスラタ DSM 70269
実施例75:ハンセヌラ グルコジマ DSM 70271
実施例76:ハンセヌラ ウィッケルハミイ DSM 70280
実施例77:イサチェンキア シュツラタ IFO 10070
参考例18:クロエッケラ アフリカナ IFO 0869
実施例78:クルイベロミセス ラクチス IFO 0433
実施例79:クルイベロミセス マルキシアヌス DSM 70800
実施例80:クルイベロミセス ポリスポルス DSM 70294
実施例81:ルコスポリジウム スコッティ IFO 1924
参考例19:ロデロミセス エロンギスポルス IFO 1676
実施例82:メチュニコイア ビクスピダタ IFO 1408
実施例83:メチュニコイア プルチェリマ DSM 70336
実施例84:メチュニコイア レウカウフィ DSM 70880
実施例85:ミクソジマ リポミコイデス IFO 10350
参考例20:オオスポリジウム マルガリチフェルム IFO 1208
実施例86:パチソレン タンノフィルス IFO 1007
実施例87:ピチア セロビオサ DSM 2147
実施例88:ピチア ファリノサ IFO 1163
実施例89:ピチア リンドネリ DSM 70718
実施例90:ピチア オメリ DSM 70815
実施例91:ピチア サーモトレランス IFO 10025
実施例92:ピチア パストリス DSM 70382
実施例93:ピチア トレハロフィラ DSM 70391
実施例94:ピチア カルソニイ DSM 70392
実施例95:ピチア スブペリクロサ IFO 0808
実施例96:マラセジア フルフル IFO 0656
実施例97:ロドスポリジウム ジオボバトゥム IFO 1830
実施例98:ロドスポリジウム トルロイデス IFO 1638
実施例99:コンドア マルビネラ IFO 1936
実施例100:ロドトルラ グルチニス AHU 3454
実施例101:ロドトルラ ルブラ IFO 0383
実施例102:サッカロミセス ロキシイ IAM 0487
参考例21:オクトスポロミセス オクトスポルス IFO 0353
実施例103:スポリジオボルス ジョンソニイ IFO 6903
実施例104:スポリジオボルス パラロセウス IFO 1104
実施例105:スポリジオボルス サルモニコロル IFO 1845
実施例106:スポロボロミセス パラロセウス IFO 1036
実施例107:スポロパチデルミア ラクタチボラ IFO 1867
実施例108:ステリグマトミセス エルビアエ DSM 70852
実施例109:トルラスポラ デルブルエッキイ IFO 0381
実施例110:トルロプシス ネモデンドラ DSM 70647
実施例111:トリゴノプシス バリアビリス IFO 0755
実施例112:ウイッケルハミア フルオレッセンス DSM 70715
実施例113:ウイッケルハミエラ ドメルックイ IFO 1857
実施例114:ウインゲア ロベルツイ IFO 1277
実施例115:ジゴアスクス ヘレニクス IFO 1575
実施例116:ジゴサッカロミセス バイリイ IFO 0468
実施例117:ジゴサッカロミセス ビスポルス DSM 70415
実施例118:ジゴジマ オリゴファガ IFO 10360
次いで、菌体を遠心分離により集め、3,4−ジメトキシフェニルアセトンを0.5%、及びグルコースを5%含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)1mlに懸濁し、直径21mmの試験管中、30℃で48時間往復振盪し、反応させた。反応終了後、反応液に食塩を少量添加し、n−ヘキサン5mlで抽出し、n−ヘキサン層を分析し、生成した1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノールの光学純度と生成率を測定した。結果を表1〜7に示す。
【0232】
【表1】
Figure 0003593362
【0233】
【表2】
Figure 0003593362
【0234】
【表3】
Figure 0003593362
【0235】
【表4】
Figure 0003593362
【0236】
【表5】
Figure 0003593362
【0237】
【表6】
Figure 0003593362
【0238】
【表7】
Figure 0003593362
実施例119 [(S)−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノールの製造]
2.6リットル容のミニジャーファーメンターに、実施例1〜118に示したのと同様の組成のYM培地1.5リットルを入れ、オートクレーブを用いて滅菌した後、トルラスポラ デルブルエッキイ IFO 0381を植菌し、30℃、通気1vvm、攪拌速度400rpmの条件で24時間培養した。培養終了後、菌体を遠心分離により集め、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)1リットルに懸濁し、3,4−ジメトキシフェニルアセトン5g、及びグルコース50gを添加し、30℃、通気1vvm、攪拌速度400rpmの条件で48時間反応させた。反応終了後、遠心分離により菌体を除去した後、得られた上清に食塩を400g添加し、1リットルの酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下脱溶媒し、油状物質3.1gを得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:n−ヘキサン/酢酸エチル=7/3)により精製し、(S)−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノールの結晶を2.7g得た(融点:51℃)。この比旋光度は、[α]D20+28.3°(c=1.06、クロロホルム)を示した。光学分割カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー[カラム:ダイセル化学工業(株)製キラルセルOF]により分析した結果、光学純度は100%eeであった。
【0239】
1H−NMR(270MHz,CDCl3)δ:1.24(d,3H),1.72(br,s,1H),2.66(m,2H),3.86(d,6H),3.99(m,1H),6.76(m,3H)
IR(cm-1):3400,2880,1515,1460,1260,1240,800なお、得られた1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノールの絶対配置は、以下の方法により決定した。
【0240】
上記で得られた1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノールを塩化p−トルエンスルホニルによりスルホニル化した後、ベンジルアミンを反応させてN−ベンジル−3,4−ジメトキシアンフェタミンとし、続いて水素雰囲気下、5%Pd−Cで水素化分解することにより、3,4−ジメトキシアンフェタミンに変換した。
【0241】
得られた3,4−ジメトキシアンフェタミンの比旋光度を測定した結果、[α]D 25−26.5゜(c=4.58、クロロホルム)であった。また、続いて、上記3,4−ジメトキシアンフェタミンのエタノール溶液に、当量(1/2モル倍)の濃硫酸を加えて、3,4−ジメトキシアンフェタミン・1/2H2SO4を結晶で得た。この硫酸塩の比旋光度は、[α]D 25−19.03゜(c=2.27、H2O)であった。文献値[ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.)、第22巻、第33頁(1957)]は以下の通りであることから、上記で得られた3,4−ジメトキシアンフェタミンは、R体であることがわかった。
【0242】
(R)−3,4−ジメトキシアンフェタミン:[α]D−30.9゜(c=4.13、クロロホルム)
(R)−3,4−ジメトキシアンフェタミン・1/2H2SO4:[α]D−21.4゜(c=2.0、H2O)
1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノールから3,4−ジメトキシアンフェタミンを得る前記反応は反転を伴うことから、上記で得られた1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノールはS体であることが判明した。
【0243】
実施例120 [(S)−p−トルエンスルホン酸2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチルの製造]
(S)−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノ−ル 404mgのピリジン(2ml)溶液に、窒素雰囲気下、氷浴上で、塩化p−トルエンスルホニル 472mgを加えた。20℃で17時間攪拌した後、氷粒を加えて反応を停止させ、さらに30分撹拌を続けた。反応混合液に2N塩酸を加えて酸性にした後、20mlのクロロホルムで2回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、脱溶媒することにより、白色結晶として、(S)−p−トルエンスルホン酸2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル 716mgを得た(収率98%)。光学分割カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー[カラム:ダイセル化学工業(株)製キラルセルOF]により分析した結果、光学純度は100%eeであった。
【0244】
融点:62.4〜62.8℃
[α]D25+20.6°(c=1.0、クロロホルム)
IR(KBr)(cm-1):3044,2995,2937,1594,1517,1357,1346,1262,1243,1187,1178,1169,1157,1142,1029,913,889,854,806,766,666,578,558
1H−NMR(500MHz、CDCl3)δ:1.34(d,3H),2.41(s,3H),2.73(dd,1H),2.83(dd,1H),3.76(s,3H),3.86(s,3H),4.70(m,1H),6.47(d,1H),6.59(m,1H),6.69(d,1H),7.24(d,2H),7.57(d,2H)
13C−NMR(125MHz,CDCl3)δ:20.74,21.49,42.48,55.54,55.76,80.88,110.90,112.21,121.44,127.48,128.80,129.41,133.48,144.19,147.81,148.61
実施例121 [(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[ [2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エタノールの製造]
窒素雰囲気下、(S)−p−トルエンスルホン酸2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル 700mgに、(R)−2−アミノ−1−(3−クロロフェニル)エタノール 806mgを加え、60℃で31時間攪拌した。反応混合液に10%水酸化ナトリウムを加えてアルカリ性にした後、20mlのクロロホルムで2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、脱溶媒し、さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム/メタノール)で精製することにより、白色結晶として、(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[ [2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エタノール 550mgを得た(収率:79%)。この化合物のNMRスペクトルデータを以下に示す。
【0245】
1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ:1.09(d,3H),2.08(brs,2H),2.61−2.69(m,3H),2.87−2.92(m,2H),3.86(s,3H),3.87(s,3H),4.55(dd,1H),6.68(s,1H),6.70(d,1H),6.80(d,1H),7.18−7.26(m,3H),7.35(s,1H)
13C−NMR(125MHz,CDCl3)δ:20.37,43.39,54.09,54.26,55.87,55.89,71.11,111.21,112.36,121.19,123.89,125.94,127.55,129.61,131.56,134.32,144.66,147.57,148.87
この化合物の光学純度は、対応する環状ウレタン誘導体に変換することにより決定した。すなわち、上記化合物に、テトラヒドロフラン中、カルボニルジイミダゾール及びN−メチルモルホリンを室温で2時間作用させ、続いて3時間加熱還流することにより、(R,R)−5−(3−クロロフェニル)−3−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]−2−オキサゾリジノンに変換した。光学分割カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー[カラム:ダイセル化学工業(株)製キラルセルAS]により分析した結果、光学純度は90%であった。得られた環状ウレタン誘導体のNMRスペクトルデータを以下に示す。
【0246】
1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ:1.26(d,3H),2.67(dd,1H),2.81(dd,1H),3.24(dd,1H),3.81(s,3H)3.83(dd,1H),3.86(s,3H),4.33(ddq,1H),5.35(dd,1H),6.63(d,1H),6.70(s,1H),6.73(d,1H),6.91(d,1H),7.12(s,1H),7.22(dd,1H),7.28(d,1H)
13C−NMR(125MHz,CDl3)δ:17.72,39.71,47.69,49.55,55.75,55.79,73.38,111.03,111.75,120.76,123.44,125.56,128.73,129.76,130.07,134.62,141.14,147.71,148.90,156.90
実施例122〜123及び参考例22〜24 [(R)−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノールの製造]
下記の菌株を用いた以外は、実施例1〜118と同様にして、菌体の培養及び反応を行った。結果を表8に示す。
【0247】
実施例122:コリネバクテリウム バリアビリス JCM 2154
実施例123:キサントモナス エスピー IFO 3085
参考例22:ミクロコッカス ルテウス AHU 1427
参考例23:ボトリオアスクス シナエデンドルス IFO1604
参考例24:カンジダ パラプシロシス IFO 0585
【0248】
【表8】
Figure 0003593362
実施例124 [(S)−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノールの製造]
YM培地に代えてPM培地を用い、トルラスポラ デルブルエッキイ IFO 0381に代えてキサントモナス エスピー IFO 3085を用いた外は、実施例119と同様にして、菌体の培養、反応及び精製を行い、(R)−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノールの結晶を0.9g得た。この結晶を1NMRで分析した結果、実施例119で得られた(S)−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノールと同一のシグナルを与えた。 また、この結晶の比旋光度が−を示したことから、この結晶は(R)−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノールであることが判明した。光学分割カラムを用いた高速液体クロマグラフィーにより分析した結果、光学純度85.5%eeであった。
【0249】
得られた(R)−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノール744mg(3.80ミリモル)、トリフェニルホスフィン1196mg及びギ酸210mgをテトラヒドロフラン60mlに溶解し、次いで、アゾジカルボン酸ジエチル794mgのテトラヒドロフラン(10ml)溶液を加えた。室温で15時間攪拌した後、反応混合物を減圧下に濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:n−ヘキサン/酢酸エチル=7/3)により精製し、(S)−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノールのギ酸エステルを595mg得た。このエステルを、常法によりアルカリ加水分解し、酢酸エチルで抽出した後、減圧下に脱溶媒した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:n−ヘキサン/酢酸エチル=7/3)により精製し、(S)−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノールの結晶を450mg得た。光学分割カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、光学純度は99%eeであった。
【0250】
実施例125 [(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エタノールの製造]
窒素雰囲気下、(S)−p−トルエンスルホン酸2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル 57.0g(0.163モル)、(R)−2−アミノ−1−(3−クロロフェニル)エタノール 33.7g(0.196モル)、無水炭酸カリウム33.7g(0.244モル)及びトルエン(133ml)の混合物を、90℃で48時間撹拌した。反応混合液に10%水酸化ナトリウムを加えてアルカリ性にした後、500mlのトルエンで2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、脱溶媒し、さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、白色結晶として、題記化合物34.8gを得た(収率:61%)。高速液体クロマトグラフィー[カラム:キラルパックAD、ダイセル化学工業(株)製]により分離分析した結果、光学純度は86.8%[(R,R)/(R,S)=86.8/13.2]であった。
【0251】
実施例126 [(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エタノールの製造]
窒素雰囲気下、(S)−p−トルエンスルホン酸2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル 4.20g(0.0120モル)、(R)−2−アミノ−1−(3−クロロフェニル)エタノール 2.47g(0.0144モル)、ジイソプロピルアミン1.82g(0.0180モル)の混合物を、60℃で48時間撹拌した。反応混合液に10%水酸化ナトリウムを加えてアルカリ性にした後、100mlのトルエンで2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、脱溶媒し、さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、白色結晶として、題記化合物3.23gを得た(収率:77%)。高速液体クロマトグラフィー[カラム:キラルパックAD、ダイセル化学工業(株)製]により分離分析した結果、光学純度は92.8%[(R,R)/(R,S)=92.8/7.2]であった。
【0252】
実施例127 [(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エタノールの製造]
窒素雰囲気下、(S)−p−トルエンスルホン酸2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル 701mg(2.00ミリモル)、(R)−2−アミノ−1−(3−クロロフェニル)エタノール 412mg(2.40ミリモル)、無水炭酸カリウム207mg(1.50ミリモル)及びトルエン(2.5ml)の混合物を、90℃で24時間撹拌した。反応混合液に10%水酸化ナトリウムを加えてアルカリ性にした後、30mlのトルエンで2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、脱溶媒し、さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、白色結晶として、題記化合物313mgを得た(収率:45%)。高速液体クロマトグラフィー[カラム:キラルパックAD、ダイセル化学工業(株)製]により分離分析した結果、光学純度は88.3%[(R,R)/(R,S)=88.3/11.7]であった。
【0253】
実施例128 [(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エタノールの製造]
炭酸カリウムの使用量を415mg(3.00ミリモル)とした以外は、実施例127と同様の操作を行った。その結果、題記化合物431mg(収率62%)を得た。光学純度は87.5%[(R,R)/(R,S)=87.5/12.5]であった。
【0254】
実施例129 [(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エタノールの製造]
溶媒としてn−オクタンを用いた以外は、実施例127と同様の操作を行った。その結果、題記化合物を収率54%で得た。光学純度は88.3%[(R,R)/(R,S)=88.3/11.7]であった。
【0255】
実施例130 [(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エタノールの製造]
溶媒としてアセトニトリルを用い、反応温度を60℃とした以外は、実施例127と同様の操作を行った。その結果、題記化合物を収率32%で得た。光学純度は74.1%[(R,R)/(R,S)=74.1/25.9]であった。
【0256】
実施例131 [(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エタノールの製造]
溶媒として用いるトルエンの量を5mlとし、炭酸カリウムに代えてナトリウムエトキシド(同グラム当量)を用いた以外は、実施例127と同様の操作を行った。その結果、題記化合物を収率44%で得た。光学純度は87.9%[(R,R)/(R,S)=87.9/12.1]であった。
【0257】
実施例132 [(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エタノールの製造]
溶媒として用いるトルエンの量を5mlとし、炭酸カリウムに代えてジイソプロピルアミン(同グラム当量)を用いた以外は、実施例127と同様の操作を行った。その結果、題記化合物を収率65%で得た。光学純度は74.6%[(R,R)/(R,S)=74.6/25.4]であった。
【0258】
実施例133 [(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エタノールの製造]
窒素雰囲気下、(S)−p−トルエンスルホン酸2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル 350mg(1.00ミリモル)、及び(R)−2−アミノ−1−(3−クロロフェニル)エタノール 206mg(1.20ミリモル)の混合物を、60℃で24時間撹拌した。反応混合液に10%水酸化ナトリウムを加えてアルカリ性にした後、30mlのトルエンで2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、脱溶媒し、さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、白色結晶として、題記化合物187mgを得た(収率:54%)。高速液体クロマトグラフィー[カラム:キラルパックAD、ダイセル化学工業(株)製]により分離分析した結果、光学純度は95.2%[(R,R)/(R,S)=95.2/4.8]であった。
【0259】
実施例134 [(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エタノールの製造]
窒素雰囲気下、(S)−メタンスルホン酸2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル 274mg(1.00ミリモル)、及び(R)−2−アミノ−1−(3−クロロフェニル)エタノール 206mg(1.20ミリモル)の混合物を、60℃で24時間撹拌した。反応混合液に10%水酸化ナトリウムを加えてアルカリ性にした後、30mlのトルエンで2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、脱溶媒し、さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、白色結晶として、題記化合物161mgを得た(収率:46%)。高速液体クロマトグラフィー[カラム:キラルパックAD、ダイセル化学工業(株)製]により分離分析した結果、光学純度は95.8%[(R,R)/(R,S)=95.8/4.2]であった。
【0260】
実施例135 [(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エタノールの製造]
(R)−2−アミノ−1−(3−クロロフェニル)エタノールの使用量を403mg(2.35ミリモル)とした以外は、実施例134と同様の操作を行った。その結果、題記化合物252mg(収率72%)を得た。光学純度は96.4%[(R,R)/(R,S)=96.4/3.6]であった。
【0261】
実施例136 [(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エタノールの製造]
窒素雰囲気下、(S)−メタンスルホン酸2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル 274mg(1.00ミリモル)、(R)−2−アミノ−1−(3−クロロフェニル)エタノール 206mg(1.20ミリモル)、及びジブチルアミン194mg(1.50ミリモル)の混合物を、60℃で24時間撹拌した。反応混合液に10%水酸化ナトリウムを加えてアルカリ性にした後、30mlのトルエンで2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、脱溶媒し、さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、白色結晶として、題記化合物190mgを得た(収率:54%)。高速液体クロマトグラフィー[カラム:キラルパックAD、ダイセル化学工業(株)製]により分離分析した結果、光学純度は95.2%[(R,R)/(R,S)=95.2/4.8]であった。
【0262】
実施例137 [(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エタノールの製造]
反応温度を75℃とした以外は、実施例136と同様の操作を行った。その結果、題記化合物を69%の収率で得た。光学純度は86.8%[(R,R)/(R,S)=86.8/13.2]であった。
【0263】
実施例138 [(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エタノールの製造]
ジブチルアミンに代えて、トリエチルアミンを1.5ミリモル用いた以外は、実施例136と同様の操作を行った。その結果、題記化合物を47%の収率で得た。光学純度は96.9%[(R,R)/(R,S)=96.9/3.1]であった。
【0264】
実施例139 [(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エタノールの製造]
ジブチルアミンに代えて、ピリジンを1.5ミリモル用いた以外は、実施例136と同様の操作を行った。その結果、題記化合物を39%の収率で得た。光学純度は98.3%[(R,R)/(R,S)=98.3/1.7]であった。
【0265】
実施例140 [(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エタノールの製造]
ジブチルアミンに代えて、2−ピペコリンを1.5ミリモル用いた以外は、実施例136と同様の操作を行った。その結果、題記化合物を57%の収率で得た。光学純度は96.0%[(R,R)/(R,S)=96.0/4.0]であった。
【0266】
実施例141 [(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エタノールの製造]
ジブチルアミンに代えて、N−メチルモルホリンを1.5ミリモル用いた以外は、実施例136と同様の操作を行った。その結果、題記化合物を39%の収率で得た。光学純度は95.9%[(R,R)/(R,S)=95.9/4.1]であった。
【0267】
実施例142 [(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エタノールの製造]
ジブチルアミンに代えて、N,N−ジメチルエタノールアミンを1.5ミリモル用いた以外は、実施例136と同様の操作を行った。その結果、題記化合物を44%の収率で得た。光学純度は95.3%[(R,R)/(R,S)=95.3/4.7]であった。
【0268】
実施例143 [(S)−メタンスルホン酸2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチルの製造]
(S)−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノ−ル 4.91g(0.025モル)及びトリエチルアミン3.79g(0.038モル)の塩化メチレン溶液(20ml)に、窒素雰囲気下、氷浴上で、塩化メタンスルホニル 3.43g(0.030モル)の塩化メチレン溶液(10ml)を30分かけて滴下した。1時間攪拌した後、2N塩酸を加えて反応を停止させ、50mlの塩化メチレンで2回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、脱溶媒することにより、結晶として、(S)−メタンスルホン酸2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル 6.65gを得た(収率97%)。高速液体クロマトグラフィー[カラム:ダイセル化学工業(株)製キラルパックAS]により分析した結果、光学純度は100%eeであった。
【0269】
融点:79.5〜80.3℃[α]D 25+26.5゜(c=1.24、クロロホルム)
IR(KBr)(cm-1):3018,2973,2937,2843,1607,1590,1518,1469,1447,1342,1265,1238,1174,1148,1122,1028,984,916,883,856,828,801,765,719,636,546,530,4771H−NMR(500MHz,CDCl3)δ:1.45(d,3H),2.60(s,3H),2.85(dd,1H),2.94(dd,1H),3.86(s,3H),3.88(s,3H),4.89(m,1H),6.75(d,1H),6.77(dd,1H),6.82(d,1H)

Claims (21)

  1. 一般式(I)
    Figure 0003593362
    (式中、R1、R2は、(a)同一又は異なって、水素原子もしくはヒドロキシル基の保護基を示すか、又は(b)R1、R2とが隣接する酸素原子と共に置換基を有していてもよい5〜10員環を形成し、前記R1とR2とが一緒になって、置換基を有していてもよいC1-4アルキレン基、カルボニル基もしくはチオカルボニル基を形成していてもよい。R3、R4、R5は、同一又は異なって、水素原子、C1-4アルキル基、C1-4ハロアルキル基、C1-4アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を示し、Xは、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、置換基を有していてもよいC1-4アルキルスルホニルオキシ基もしくはC6-20アリールスルホニルオキシ基、又はハロゲン原子を示す)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体。
  2. 1、R2が、(a)同一又は異なって、(1)水素原子、(2)C1-4アルコキシ基、C1-4アルコキシ−C1-4アルコキシ基、C7-20アラルキルオキシ基、ベンゾイル基、C1-4アルキルチオ基およびハロゲン原子からなる群から選択された置換基で置換されていてもよいC1-4アルキル基、(3)置換基を有していてもよいアリル基、(4)置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキル基、(5)ヘテロ原子として酸素原子又はイオウ原子を有する置換基を有していてもよい5〜6員の複素環基、(6)置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基、(7)置換基を有していてもよいシリル基、(8)置換基を有していてもよく、芳香環又は複素環を有していてもよいアシル基、(9)置換基を有していてもよいC2-5アルコキシカルボニル基、(10)置換基を有していてもよいC7-20アリールオキシカルボニル基、(11)置換基を有していてもよいC8-20アラルキルオキシカルボニル基、(12)置換基を有していてもよいC1-4アルキルスルホニル基、もしくは(13)置換基を有していてもよいC6-20アリールスルホニル基であるか、又は(b)R1、R2とが一緒になって、置換基を有していてもよいC1-4アルキレン基、カルボニル基もしくはチオカルボニル基を形成している請求項1記載の(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体。
  3. 1とR2とで形成される置換基を有していてもよいC1-4アルキレン基が、下記式(IX)
    Figure 0003593362
    (式中、Ra、Rbは、(i)同一又は異なって、水素原子、C1-4アルキル基、C1-4ハロアルキル基、置換基を有していてもよいC6-20アリール基、C1-4アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、カルボキシル基もしくはその塩、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、ヒドロキシメチル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシメチル基であるか、又は(ii)RaとRbとが隣接する炭素原子と共にC5-7シクロアルキル基を形成してもよい)で表される置換基を有していてもよいメチレン基である請求項2記載の(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体。
  4. Xが、(1)C1-4アルコキシ基、C1-4アルコキシ−C1-4アルコキシ基、C7-20アラルキルオキシ基、ベンゾイル基、C1-4アルキルチオ基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルキル基、置換基を有していてもよいアリル基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキル基、ヘテロ原子として酸素原子又はイオウ原子を有する置換基を有していてもよい5〜6員の複素環基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基、置換基を有していてもよいシリル基、置換基を有していてもよく、芳香環又は複素環を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいC2-5アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいC7-20アリールオキシカルボニル基、及び置換基を有していてもよいC8-20アラルキルオキシカルボニル基からなる群から選択された保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、(2)置換基を有していてもよいC1-4アルキルスルホニルオキシ基、(3)置換基を有していてもよいC6-20アリールスルホニルオキシ基、又は(4)ハロゲン原子である請求項1記載の(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体。
  5. 1、R2が、(a)同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1-4アルキル基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基、置換基を有していてもよいC1-6アシル基であるか、又は(b)R1とR2とが下記式(IX)
    Figure 0003593362
    (式中、Ra、Rbは、(i)同一又は異なって、水素原子、C1-4アルキル基、カルボキシル基もしくはその塩、置換基を有していてもよいC2-5アルコキシカルボニル基、ヒドロキシメチル基、又は置換基を有していてもよいC1-4アルコキシ−メチル基であるか、又は(ii)RaとRbとが隣接する炭素原子と共にC5-7シクロアルキル基を形成してもよい)で表わされる置換基を有していてもよいメチレン基を形成し、R3、R4、R5が、同一又は異なって、水素原子、又はC1-4アルキル基であり、Xが、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいC1-2アルキルスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよいC6-15アリールスルホニルオキシ基、又はハロゲン原子である請求項1記載の(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体。
  6. 一般式(II)
    Figure 0003593362
    (式中、R1、R2は、(a)同一又は異なって、水素原子もしくはヒドロキシル基の保護基を示すか、又は(b)R1、R2とが隣接する酸素原子と共に置換基を有していてもよい環を形成していてもよい。R3、R4、R5は、同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、低級ハロアルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を示す)で表されるフェニルアセトン誘導体に、前記フェニルアセトン誘導体を対応する一般式(III)
    Figure 0003593362
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5は前記と同じ)で表される(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体に不斉還元する能力を有する微生物又はその処理物を作用させ、生成した(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体を回収する(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体の製造法であって、前記微生物が、アエロモナス(Aeromonas)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、オレオバクテリウム(Aureobacterium)属、バシルス(Bacillus)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属、ジェンセニア(Jensenia)属、コマモナス(Comamonas)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、アルテルナリア(Alternaria)属、アマニタ(Amanita)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、コリネスポラ(Corynespora)属、ダクチリウム(Dactylium)属、ドレクスレラ(Drechslera)属、エチノポドスポラ(Echinopodospora)属、ゲラシノスポラ(Gelasinospora)属、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)属、モルチエレラ(Mortierella)属、パエシロミセス(Paecilomyces)属、フィアロホラ(Phialophora)属、フィトフトラ(Phytophthora)属、ポドスポラ(Podospora)属、リゾムコール(Rhizomucor)属、セプトリア(Septoria)属、タラロミセス(Talaromyces)属、ウスチラゴ(Ustilago)属、ウエステルディケラ(Westerdykella)属、アンブロシオジマ(Ambrosiozyma)属、デッケラ(Dekkera)属、カンジダ(Candida)属、クラビスポラ(Clavispora)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、デバリオミセス(Debaryomyces)属、ガラクトミセス(Galactomyces)属、フィロバシジウム(Filobasidium)属、ゲオトリクム(Geotrichum)属、ハンセヌラ(Hansenula)属、イサチェンキア(Issatchenkia)属、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属、ルコスポリジウム(Leucosporidium)属、メチュニコイア(Metschnikowia)属、ミクソジマ(Myxozyma)属、パチソレン(Pachysolen)属、ピチア(Pichia)属、マラセジア(Malassezia)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属、コンドア(Kondoa)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、サッカロミセス(Saccharomyces)属、スポリジオボルス(Sporidiobolus)属、スポロボロミセス(Sporobolomyces)属、スポロパチデルミア(Sporopachydermia)属、ステリグマトミセス(Sterigmatomyces)属、トルラスポラ(Torulaspora)属、トルロプシス(Torulopsis)属、トリゴノプシス(Trigonopsis)属、ウイッケルハミア(Wickerhamia)属、ウインゲア(Wingea)属、ジゴアスクス(Zygoascus)属、ジゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属及びジゴジマ(Zygozyma)属に属する微生物群から選ばれた微生物であり、
    前記カンジダ属微生物が、カンジダ アアセリ (Candida aaseri) 、カンジダ アトムスフェリカ (Candida atomspherica) 、カンジダ ビイチイ (Candida beechii) 、カンジダ フシホルマテ (Candida fusiformate) 、カンジダ グラブラタ (Candida glabrata) 、カンジダ ハロニトラトフィラ (Candida halonitratophila) 、カンジダ インコンスピクア (Candida inconspicua) 、カンジダ ケフィル (Candida kefyr) 、カンジダ ランビカ (Candida lambica) 、カンジダ モギイ (Candida mogii) 、カンジダ メリビオシカ (Candidamelibiosica) 、カンジダ メンブラナエファシエンス (Candida membranaefaciens) 、カンジダ オレオフィラ (Candida oleophila) 、カンジダ パラプシロシス (Candida parapsilosis) 、カンジダ ピントロペシイ (Candida pintolopesii) 、カンジダ カテヌラタ (Candida catenulata) 、カンジダ ルゴサ (Candida rugosa) 、カンジダ サイトアナ (Candida saitoana) 、カンジダ サケ (Candida sake) 、カンジダ サルマンチセンシス (Candida salmanticensis) 、カンジダ サンタマリアエ (Candida santamariae) 、カンジダ シャタビイ (Candida schatavii) 、カンジダ シエハタエ (Candida shehatae) 、カンジダ シルバノルム (Candida silvanorum) 、カンジダ ソルボフィラ (Candida sorbophila) 、カンジダ ユチリス (Candida utilis) 又はカンジダ アルビカンス (Candida albicans) である(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体の製造法。
  7. 微生物が、アエロモナス ヒドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、アグロバクテリウム ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)、オレオバクテリウムテスタセウム(Aureobacterium testaceum)、バシルス セレウス(Bacillus cereus)、セルロモナス フラビゲナ(Cellulomonas flavigena)、グルコノバクター オキシダンス(Gluconobacter oxydans)、ジェンセニア カニクルリア(Jensenia canicruria)、コマモナス アシドボランス(Comamonas acidovorans)、シュードモナス フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)、アルテルナリア ジャポニカ(Alternaria japonica)、アマニタシトリナ(Amanita citrina)、アスペルギルス アワモリ ナカザワ(Aspergillus awamori nakazawa)、アスペルギルス フィクウム(Aspergillus ficuum)、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)、コリネスポラ カッシコーラ(Corynespora cassiicola)、ダクチリウム デントロイデス(Dactylium dendroides)、ドレクスレラアベナエ(Drechslera avenae)、エチノポドスポラ ジャマイセンシス(Echinopodospora jamaicensis)、ゲラシノスポラ セレアリス(Gelasinospora cerealis)、ヘルミントスポリウム シグモイデウム(Helminthosporium sigmoideum)、モルチエレラ イサベイリナ(Mortierella isabeilina)、パエシロミセス バリオッティ(Paecilomyces variotii)、フィアロホラ ペデロソイ(Phialophora pedrosoi)、フィトフトラ カプシシ(Phytophthora capsici)、ポドスポラ カルボナリア(Podospora carbonaria)、リゾムコール プシルス(Rhizomucor pusillus)、セプトリア グリシネス(Septoria glycines)、タラロミセス フラブス(Talaromyces flavus)、ウスチラゴ シノドンチス(Ustilago cynodontis)、ウエステルディケラ ムルチスポラ(Westerdykella multispora)、アンブロシオジマ シカトリコサ(Ambrosiozyma cicatricosa)、アンブロシオジマ モノスポラ(Ambrosiozyma monospora)、デッケラ クステルシアヌス(Dekkera custersianus)、カンジダ アアセリ(Candida aaseri)、カンジダ アトムスフェリカ(Candida atomspherica)、カンジダ ビイチイ(Candida beechii)、カンジダ フシホルマテ(Candida fusiformate)、カンジダ グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ ハロニトラトフィラ(Candida halonitratophila)、カンジダ インコンスピクア(Candida inconspicua)、カンジダ ケフィル(Candida kefyr)、カンジダ ランビカ(Candida lambica)、カンジダ モギイ(Candida mogii)、カンジダ メリビオシカ(Candidamelibiosica)、カンジダ メンブラナエファシエンス(Candida membranaefaciens)、カンジダ オレオフィラ(Candida oleophila)、カンジダ パラプシロシス(Candida parapsilosis)、カンジダ ピントロペシイ(Candida pintolopesii)、カンジダ カテヌラタ(Candida catenulata)、カンジダ ルゴサ(Candida rugosa)、カンジダ サイトアナ(Candida saitoana)、カンジダ サケ(Candida sake)、カンジダ サルマンチセンシス(Candida salmanticensis)、カンジダ サンタマリアエ(Candida santamariae)、カンジダ シャタビイ(Candida schatavii)、カンジダ シエハタエ(Candida shehatae)、カンジダ シルバノルム(Candida silvanorum)、カンジダ ソルボフィラ(Candida sorbophila)、カンジダ ユチリス(Candida utilis)、カンジダ アルビカンス(Candida albicans)、クラビスポラ ルシタニアエ(Clavispora lusitaniae)、クリプトコッカス フミコルス(Cryptococcus humicolus)、クリプトコッカス ネオホルマンス(Cryptococcus neoformans)、デバリオミセス バリジアエ(Debaryomyces varijiae)、ガラクトミセス レッシイ(Galactomyces reessii)、フィロバシジウム カプスリゲヌム(Filobasidium capsuligenum)、ゲオトリクム カンジドゥム(Geotrichumcandidum)、ゲオトリクム ファーメンタンス(Geotrichum fermentans)、ゲオトリクム フラグランス(Geotrichum fragrans)、ハンセヌラ ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ハンセヌラ カプスラタ(Hansenula capsulata)、ハンセヌラ グルコジマ(Hansenula glucozyma)、ハンセヌラ ウィッケルハミイ(Hansenula wickerhamii)、イサチェンキア シュツラタ(Issatchenkia scutulata)、クルイベロミセス ラクチス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロミセス マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、クルイベロミセス ポリスポルス(Kluyveromyces polysporus)、ルコスポリジウム スコッティ(Leucosporidium scottii)、メチュニコイア ビクスピダタ(Metschnikowia bicuspidata)、メチュニコイア プルチェリマ(Metschnikowia pulcherrima)、メチュニコイア レウカウフィ(Metschnikowia reukaufii)、ミクソジマ リポミコイデス(Myxozyma lipomycoides)、パチソレン タンノフィルス(Pachysolen tannophilus)、ピチア セロビオサ(Pichia cellobiosa)、ピチア ファリノサ(Pichia farinosa)、ピチア リンドネリ(Pichia lindnerii)、ピチア オメリ(Pichia ohmeri)、ピチア サーモトレランス(Pichia thermotolerans)、ピチア パストリス(Pichia pastoris)、ピチア トレハロフィラ(Pichia trehalophila)、ピチア カルソニイ(Pichia carsonii)、ピチア スブペリクロサ(Pichia subpelliculosa)、マラセジア フルフル(Malassezia furfur)、ロドスポリジウム ジオボバトゥム(Rhodosporidium diobovatum)、ロドスポリジウム トルロイデス(Rhodosporidium toruloides)、コンドア マルビネラ(Kondoa malvinella)、ロドトルラ グルチニス(Rhodotorula glutinis)、ロドトルラ ルブラ(Rhodotorula rubra)、サッカロミセス ロキシイ(Saccharomyces rouxii)、スポリジオボルス ジョンソニイ(Sporidiobolus johnsonii)、スポリジオボルス パラロセウス(Sporidiobolus pararoseus)、スポリジオボルス サルモニコロル(Sporidiobolus salmonicolor)、スポロボロミセス パラロセウス(Sporobolomyces pararoseus)、スポロパチデルミア ラクタチボラ(Sporopachydermia lactativora)、ステリグマトミセス エルビアエ(Sterigmatomyces elviae)、トルラスポラ デルブルエッキイ(Torulaspora delbrueckii)、トルロプシス ネモデンドラ(Torulopsis nemodendra)、トリゴノプシス バリアビリス(Trigonopsis variabilis)、ウイッケルハミア フルオレッセンス(Wickerhamia fluorescens)、ウイッケルハミエラ ドメルックイ(Wickerhamiella domercquii)、ウインゲア ロベルツイ(Wingea robertsii)、ジゴアスクス ヘレニクス(Zygoascus hellenicus)、ジゴサッカロミセス バイリイ(Zygosaccharomyces bailii)、ジゴサッカロミセス ビスポルス(Zygosaccharomyces bisporus)又はジゴジマ オリゴファガ(Zygozyma oligophaga)である請求項6記載の(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体の製造法。
  8. 1、R2が、同一又は異なって、C1-4アルキル基であるか、又はR1、R2とが一緒になって、置換基を有していてもよいメチレン基を形成し、R3、R4、R5が水素原子であるフェニルアセトン誘導体(II)に、微生物又はその処理物を作用させる請求項6記載の(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体の製造法。
  9. 一般式(III)
    Figure 0003593362
    (式中、R1、R2は、(a)同一又は異なって、水素原子もしくはヒドロキシル基の保護基を示すか、又は(b)R1、R2とが隣接する酸素原子と共に置換基を有していてもよい環を形成していてもよい。R3、R4、R5は、同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、低級ハロアルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を示す)で表される(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体に、スルホニル化剤又はハロゲン化剤を反応させて、一般式(IV)
    Figure 0003593362
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5は前記と同じであり、Yは、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基もしくはアリールスルホニルオキシ基、又はハロゲン原子を示す)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体を得る(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体の製造法。
  10. 一般式(II)
    Figure 0003593362
    (式中、R1、R2は、(a)同一又は異なって、水素原子もしくはヒドロキシル基の保護基を示すか、又は(b)R1、R2とが隣接する酸素原子と共に置換基を有していてもよい環を形成していてもよい。R3、R4、R5は、同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、低級ハロアルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を示す)で表されるフェニルアセトン誘導体に、前記フェニルアセトン誘導体を対応する一般式(III)で表される(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体に不斉還元する能力を有する微生物又はその処理物を作用させ、生成した(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体(III)にスルホニル化剤又はハロゲン化剤を反応させる請求項9記載の(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体の製造法。
  11. 一般式(V)
    Figure 0003593362
    (式中、R6、R7、R8、R9、R10は、同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、低級ハロアルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を示し、Zは、水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)で表される(R)−2−アミノ−1−フェニルエタノール誘導体と、一般式(IV)
    Figure 0003593362
    (式中、R1、R2は、(a)同一又は異なって、水素原子もしくはヒドロキシル基の保護基を示すか、又は(b)R1、R2とが隣接する酸素原子と共に置換基を有していてもよい環を形成していてもよい。R3、R4、R5は、同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、低級ハロアルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を示し、Yは、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基もしくはアリールスルホニルオキシ基、又はハロゲン原子を示す)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体とを反応させて、一般式(VI)
    Figure 0003593362
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びZは前記と同じ)で表される(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体又はその塩を得る(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体の製造法。
  12. 6、R7、R8、R9、R10が、同一又は異なって、水素原子、C1-4アルキル基、C1-4ハロアルキル基、C1-4アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子であり、Zが水素原子又はヒドロキシル基の保護基である(R)−2−アミノ−1−フェニルエタノール誘導体(V)を反応に供する請求項11記載の(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体の製造法。
  13. 9が、C1-4ハロアルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基であり、R6、R7、R8、R10が、同一又は異なって、水素原子又はC1-4アルキル基であり、Zが水素原子又はヒドロキシル基の保護基である(R)−2−アミノ−1−フェニルエタノール誘導体(V)を反応に供する請求項11記載の(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体の製造法。
  14. (R)−2−アミノ−1−フェニルエタノール誘導体と(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体とを、塩基の存在下で反応させる請求項11記載の(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体の製造法。
  15. (R)−2−アミノ−1−フェニルエタノール誘導体と(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体とを、ジアルキルアミンの存在下で反応させる請求項11記載の(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体の製造法。
  16. 一般式(II)
    Figure 0003593362
    (式中、R1、R2は、(a)同一又は異なって、水素原子もしくはヒドロキシル基の保護基を示すか、又は(b)R1、R2とが隣接する酸素原子と共に置換基を有していてもよい環を形成していてもよい。R3、R4、R5は、同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、低級ハロアルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を示す)で表されるフェニルアセトン誘導体に、前記フェニルアセトン誘導体を対応する一般式(III)
    Figure 0003593362
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5は前記と同じ)で表される(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体に不斉還元する能力を有する微生物又はその処理物を作用させ、生成した(S)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体(III)にスルホニル化剤又はハロゲン化剤を反応させて、一般式(IV)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体を得、前記(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体を、一般式(V)で表される(R)−2−アミノ−1−フェニルエタノール誘導体と反応させて、(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体又はその塩を得る請求項11記載の(R,R)−1−フェニル−2−[(2−フェニル−1−メチルエチル)アミノ]エタノール誘導体の製造法であって、前記微生物が、アエロモナス(Aeromonas)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、オレオバクテリウム(Aureobacterium)属、バシルス(Bacillus)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属、ジェンセニア(Jensenia)属、コマモナス(Comamonas)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、アルテルナリア(Alternaria)属、アマニタ(Amanita)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、コリネスポラ(Corynespora)属、ダクチリウム(Dactylium)属、ドレクスレラ(Drechslera)属、エチノポドスポラ(Echinopodospora)属、ゲラシノスポラ(Gelasinospora)属、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)属、モルチエレラ(Mortierella)属、パエシロミセス(Paecilomyces)属、フィアロホラ(Phialophora)属、フィトフトラ(Phytophthora)属、ポドスポラ(Podospora)属、リゾムコール(Rhizomucor)属、セプトリア(Septoria)属、タラロミセス(Talaromyces)属、ウスチラゴ(Ustilago)属、ウエステルディケラ(Westerdykella)属、アンブロシオジマ(Ambrosiozyma)属、デッケラ(Dekkera)属、カンジダ(Candida)属、クラビスポラ(Clavispora)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、デバリオミセス(Debaryomyces)属、ガラクトミセス(Galactomyces)属、フィロバシジウム(Filobasidium)属、ゲオトリクム(Geotrichum)属、ハンセヌラ(Hansenula)属、イサチェンキア(Issatchenkia)属、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属、ルコスポリジウム(Leucosporidium)属、メチュニコイア(Metschnikowia)属、ミクソジマ(Myxozyma)属、パチソレン(Pachysolen)属、ピチア(Pichia)属、マラセジア(Malassezia)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属、コンドア(Kondoa)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、サッカロミセス(Saccharomyces)属、スポリジオボルス(Sporidiobolus)属、スポロボロミセス(Sporobolomyces)属、スポロパチデルミア(Sporopachydermia)属、ステリグマトミセス(Sterigmatomyces)属、トルラスポラ(Torulaspora)属、トルロプシス(Torulopsis)属、トリゴノプシス(Trigonopsis)属、ウイッケルハミア(Wickerhamia)属、ウインゲア(Wingea)属、ジゴアスクス(Zygoascus)属、ジゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属及びジゴジマ(Zygozyma)属に属する微生物群から選ばれた微生物であり、
    前記カンジダ属微生物が、カンジダ アアセリ (Candida aaseri) 、カンジダ アトムスフェリカ (Candida atomspherica) 、カンジダ ビイチイ (Candida beechii) 、カンジダ フシホルマテ (Candida fusiformate) 、カンジダ グラブラタ (Candida glabrata) 、カンジダ ハロニトラトフィラ (Candida halonitratophila) 、カンジダ インコンスピクア (Candida inconspicua) 、カンジダ ケフィル (Candida kefyr) 、カンジダ ランビカ (Candida lambica) 、カンジダ モギイ (Candida mogii) 、カンジダ メリビオシカ (Candidamelibiosica) 、カンジダ メンブラナエファシエンス (Candida membranaefaciens) 、カンジダ オレオフィラ (Candida oleophila) 、カンジダ パラプシロシス (Candida parapsilosis) 、カンジダ ピントロペシイ (Candida pintolopesii) 、カンジダ カテヌラタ (Candida catenulata) カンジダ ルゴサ (Candida rugosa) 、カンジダ サイトアナ (Candida saitoana) 、カンジダ サケ (Candida sake) 、カンジダ サルマンチセンシス (Candida salmanticensis) 、カンジダ サンタマリアエ (Candida santamariae) 、カンジダ シャタビイ (Candida schatavii) 、カンジダ シエハタエ (Candida shehatae) 、カンジダ シルバノルム (Candida silvanorum) 、カンジダ ソルボフィラ (Candida sorbophila) 、カンジダ ユチリス (Candida utilis) 、又はカンジダ アルビカンス (Candida albicans) である製造法。
  17. 一般式(VII)
    Figure 0003593362
    (式中、R1、R2は、(a)同一又は異なって、水素原子もしくはヒドロキシル基の保護基を示すか、又は(b)R1、R2とが隣接する酸素原子と共に置換基を有していてもよい5〜10員環を形成し、前記R1とR2とが一緒になって、置換基を有していてもよいC1-4アルキレン基、カルボニル基もしくはチオカルボニル基を形成していてもよい。R3、R4、R5は、同一又は異なって、水素原子、C1-4アルキル基、C1-4ハロアルキル基、C1-4アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を示し、Xは、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、置換基を有していてもよいC1-4アルキルスルホニルオキシ基もしくはC6-20アリールスルホニルオキシ基、又はハロゲン原子を示す)で表される(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体。
  18. 1、R2が、(a)同一又は異なって、(1)水素原子、(2)C1-4アルコキシ基、C1-4アルコキシ−C1-4アルコキシ基、C7-20アラルキルオキシ基、ベンゾイル基、C1-4アルキルチオ基およびハロゲン原子からなる群から選択された置換基で置換されていてもよいC1-4アルキル基、(3)置換基を有していてもよいアリル基、(4)置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキル基、(5)ヘテロ原子として酸素原子又はイオウ原子を有する置換基を有していてもよい5〜6員の複素環基、(6)置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基、(7)置換基を有していてもよいシリル基、(8)置換基を有していてもよく、芳香環又は複素環を有していてもよいアシル基、(9)置換基を有していてもよいC2-5アルコキシカルボニル基、(10)置換基を有していてもよいC7-20アリールオキシカルボニル基、(11)置換基を有していてもよいC8-20アラルキルオキシカルボニル基、(12)置換基を有していてもよいC1-4アルキルスルホニル基、もしくは(13)置換基を有していてもよいC6-20アリールスルホニル基であるか、又は(b)R1、R2とが一緒になって、置換基を有していてもよいC2-4アルキレン基、カルボニル基、チオカルボニル基もしくは下記式(IX)
    Figure 0003593362
    (式中、Ra、Rbは、(i)同一又は異なって、水素原子、C1-4アルキル基、C1-4ハロアルキル基、置換基を有していてもよいC6-20アリール基、C1-4アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、カルボキシル基もしくはその塩、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、ヒドロキシメチル基、又は置換基で置換されていてもよいアルコキシメチル基であるか、又は(ii)RaとRbとが隣接する炭素原子と共にC5-7シクロアルキル基を形成してもよい)で表される置換基を有していてもよいメチレン基を形成し、R3、R4、R5が、同一又は異なって、水素原子、C1-4アルキル基、C1-4ハロアルキル基、C1-4アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子であり、Xが、(1)C1-4アルコキシ基、C1-4アルコキシ−C1-4アルコキシ基、C7-20アラルキルオキシ基、ベンゾイル基、C1-4アルキルチオ基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルキル基、置換基を有していてもよいアリル基、置換基を有していてもよいC3-10シクロアルキル基、ヘテロ原子として酸素原子又はイオウ原子を有する置換基を有していてもよい5〜6員の複素環基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基、置換基を有していてもよいシリル基、置換基を有していてもよく、芳香環又は複素環を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいC2-5アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいC7-20アリールオキシカルボニル基、及び置換基を有していてもよいC8-20アラルキルオキシカルボニル基から選択された保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、(2)置換基を有していてもよいC1-4アルキルスルホニルオキシ基、(3)置換基を有していてもよいC6-20アリールスルホニルオキシ基、又は(4)ハロゲン原子である請求項17記載の(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体。
  19. 一般式(II)
    Figure 0003593362
    (式中、R1、R2は、(a)同一又は異なって、水素原子もしくはヒドロキシル基の保護基を示すか、又は(b)R1、R2とが隣接する酸素原子と共に置換基を有していてもよい環を形成していてもよい。R3、R4、R5は、同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、低級ハロアルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を示す)で表されるフェニルアセトン誘導体に、前記フェニルアセトン誘導体を対応する一般式(VII’)
    Figure 0003593362
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5は前記と同じ)で表される(R)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体に不斉還元する能力を有する微生物又はその処理物を作用させ、生成した(R)−1−フェニル−2−プロパノール誘導体を回収する(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体の製造法であって、前記微生物が、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、及びキサントモナス(Xanthomonas)属に属する微生物群から選ばれた微生物であり、前記コリネバクテリウム属微生物がコリネバクテリウム バリアビリス (Corynebacterium variabilis )である製造法。
  20. 微生物が、コリネバクテリウム バリアビリス(Corynebacterium variabilis)、又はキサントモナス エスピー(Xanthomonas sp.) ある請求項19記載の(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体の製造法。
  21. 一般式(VII)
    Figure 0003593362
    (式中、R1、R2は、(a)同一又は異なって、水素原子もしくはヒドロキシル基の保護基を示すか、又は(b)R1、R2とが隣接する酸素原子と共に置換基を有していてもよい環を形成していてもよい。R3、R4、R5は、同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、低級ハロアルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を示し、Xは、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルオキシ基もしくはアリールスルホニルオキシ基、又はハロゲン原子を示す)で表される(R)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体に、X又はXに変換可能な基を導入できる求核試薬を反応させ、立体的に反転した一般式(I)
    Figure 0003593362
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5、Xは、前記と同じ)で表される(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体を得る(S)−1−フェニル−2−置換プロパン誘導体の製造法。
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