JP3593324B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、定形用紙及び長尺用紙を給紙可能な給紙部と、この給紙部を介して給紙される用紙の重送を阻止するさばき機構とを備え、このさばき機構が、重なり合って搬送される二枚の用紙のうちの一方に摩擦部材を押し付けて搬送を阻止することにより二枚の用紙を分離せしめるようにしたものである画像形成装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、複写機等の画像形成装置の給紙口の近傍には、用紙の重送を阻止するためのさばき機構が設けられていることが多い。このさばき機構は、重なり合って搬送される二枚の用紙のうちの一方に摩擦部材を押し付けて搬送を阻止することにより二枚の用紙を面方向に分離せしめるように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
最近、家庭用の複写機等において、A4やB5等の定形用紙だけでなく、長尺用紙を給紙可能なものが増えてきている。一般に、長尺用紙は、定形用紙を手差し給紙するための手差し給紙部を介して給紙されるようになっている。長尺用紙の給紙の際には、重送が生じることがないため、上述したようなさばき機構が用紙に作用する必要が無いが、従来は、給紙される全ての用紙に対してさばき機構が作用するようになっていた。摩擦部材が用紙に押し付けられることで用紙が削られて紙粉が発生するため、長尺用紙の給紙の際にはさばき機構が用紙に作用しないようにするのが好ましい。
【0004】
本発明の目的は、上述した課題を解決した画像形成装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために、第1の発明は、定形用紙及び長尺用紙を給紙可能な給紙部と、この給紙部を介して給紙される用紙の重送を阻止するさばき機構とを備え、このさばき機構が、重なり合って搬送される二枚の用紙のうちの一方に摩擦部材を押し付けて搬送を阻止することにより前記二枚の用紙を分離せしめるようにしたものである画像形成装置であって、前記給紙部による長尺用紙の給紙を検知する検知手段を設けるとともに前記摩擦部材を用紙に対して接離自在とし、前記検知手段が長尺用紙の給紙を検知した場合には前記摩擦部材を用紙から離れる方向に移動させるように構成したことを特徴とするものである。
【0006】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記給紙部が手差し給紙部であることを特徴とするものである。
【0007】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、長さ方向にロール状に巻かれた長尺用紙を巻き出し可能に収納した長尺用紙ユニットが装着可能であるとともに、装着された長尺用紙ユニットから長尺用紙が巻き出されて前記給紙部を介して給紙されるように構成したことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施形態を図面を参照しながら説明する。図1、2は本発明の一実施形態である画像形成装置の外観斜視図、図3は図1、2の画像形成装置の要部縦断面図、図4は長尺用紙モードの設定手順を示すフローチャート、図5はさばき機構の動作説明図である。
【0009】
この画像形成装置は複写機であって、図1、2において、1は画像形成装置本体で、上面に複写原稿が載置されるコンタクトガラス2を有している。3は自動原稿搬送装置(ADF)で、後端側がヒンジ機構4、4を介して画像形成装置本体1に回動自在に取り付けられていて、図2に示すように、コンタクトガラス2から離れた状態で静止できるようになっている。自動原稿搬送装置3は搬送部90を備えていて、91は複写原稿を載せる原稿載置台、92は複写原稿を搬送方向と直交する方向に規制するガイドである。また、コンタクトガラス2の側方にはADF用コンタクトガラス93が設けられている。そして、自動原稿搬送装置3の底面でADF用コンタクトガラス93に対応する位置にはスリット94が設けられており、原稿がこのスリット94を通過するときに図示しない露光光学系によって原稿が読み取られるようになっている。また、スリット94の側方で、コンタクトガラス2に対応する位置には原稿マット95が設けられている。5は複写情報等を入力するための操作パネルである。
【0010】
6は前カバーで、下端側がヒンジ機構7、7を介して画像形成装置本体1に回動自在に取り付けられていて、手前側に開くと前方に向けてほぼ水平に突出した状態で保持されるようになっている。8はトナーカートリッジ、9はトナー回収タンクである。
【0011】
前カバー6の下方には上下二段の給紙カセット10、11が設けられている。これらは所定サイズにカットされた定形用紙を自動給紙するためのもので、画像形成装置本体1に対して前後方向に出入り自在に取り付けられている。また、前カバー6の上方には、排出部12から排出された複写物を貯留するためのコピー収納部13が設けられている。
【0012】
14は手差し給紙部で、手差しトレイ15を有している。手差しトレイ15は基端部が支軸(不図示)を介して画像形成装置本体1に回動自在に取り付けられていて、図1に示すように側方に向けてほぼ水平に突出した状態と、ほぼ垂直に起立して画像形成装置本体1の側面に密着した状態とをとることができるようになっている。
【0013】
そして、本実施形態では、図3に示すように、手差し給紙部14に長尺用紙ユニット16を装着できるようになっている。この長尺用紙ユニット16は、長さ方向にロール状に巻かれた長尺用紙17を合成樹脂等から成るケーシング18内に巻き出し可能に収納したものである。ケーシング18は一端側の上部に下方に向けて屈曲した鈎状の引掛部19を有していて、この引掛部19を画像形成装置本体1の側面に形成された係合凹部20に係合すると、長尺用紙ユニット16が画像形成装置本体1の一側面から側方に向けてほぼ水平に突出した状態で保持されるようになっている。
【0014】
ケーシング18の他端側には一対のローラ21、21及び引出口22が設けられていて、長尺用紙17はこれらを介してケーシング18の外部に案内されている。長尺用紙17におけるケーシング18の外側に出た部分を引出口22と背反する方向に引っ張ると、長尺用紙17におけるロ−ル状に巻かれた部分が軸線まわりに回転して長尺用紙17がケーシング18の外部に巻き出されるようになっている。
【0015】
また、引出口22の近傍には長尺用紙17を検知するセンサー23が設けられている。このセンサー23はケーシング18の外面に設けられたコネクタ(不図示)に接続されていて、長尺用紙ユニット16を画像形成装置本体1に装着すると、このコネクタが画像形成装置本体1側に設けられたソケット(不図示)に係合してセンサー23が画像形成装置本体1の制御回路(不図示)に接続されるようになっている。
【0016】
手差し給紙部14の給紙口25には給紙コロ26が設けられ、その下方にはリフト板27及びさばき機構28が設けられている。リフト板27は図示しない駆動機構により図の左側の端部を支点として回動し、給紙コロ26の外周部に対して接離するようになっている。さばき機構28は、摩擦パッド29、ソレノイド30、及びこれらを連結するリンク31等から成っている。
【0017】
摩擦パッド29は摩擦係数の高い材料により形成され、一端が支軸32を介して画像形成装置本体1に回動自在に取り付けられていて、給紙コロ26の外周部に対して接離するようになっている。なお、摩擦パッド29は、図示しないバネを介して給紙コロ26に接近する方向に付勢されている。摩擦パッド29は、重なり合って搬送される二枚の用紙を給紙コロ26との間に挟圧し、摩擦パッド29が押し付けらる一方の用紙に搬送方向と背反する方向の摩擦力を与えて該用紙の搬送を阻止し、これによって二枚の用紙を面方向に分離する。
【0018】
摩擦パッド29の他端には支持部33が設けられていて、この支持部33にはピン34を介してリンク31の一端が回動自在に取り付けられている。ソレノイド30は可動鉄心30aを上方に向けて画像形成装置本体1に固定されていて、可動鉄心30aにはピン35を介してリンク31の他端が回動自在に取り付けられている。ソレノイド30に通電すると可動鉄心30aが引き込まれ、リンク31が摩擦パッド29を給紙コロ26から離れる方向に回動させる。これによって、図5に示す如く、摩擦パッド29が用紙から離れる。
【0019】
摩擦パッド29の上方には、長尺用紙17を切断するカッター50が設けられている。このカッター50は、円盤状の刃を中心点まわりに回転自在に支持した移動体が長尺用紙17の幅方向に走行して長尺用紙17を同方向に切断するものである。このカッター50の上方にはレジストローラ36、37が設けられていて、これらは用紙の搬送経路を挟むように対向配置され、図示しない駆動機構によりローラ36が回転駆動されるようになっている。そして、これらの下方には用紙の通過を検知するレジストスイッチ38が設けられていて、制御回路は、このレジストスイッチ38から与えられる信号に応じてレジストローラ36を駆動する。
【0020】
レジストローラ36、37の上方には画像形成部39が設けられている。画像形成部39は、表面にトナー像が形成される感光体ドラム40と、その周囲に回転方向に沿って配設されたクリーニングユニット41、帯電器42、現像ユニット43、転写ローラ44等を有している。
【0021】
画像形成部39の上方には定着部45が設けられている。この定着部45は、用紙の搬送経路を挟むように対向配置された一対のローラ46、47を有しており、これらの間に用紙を挟み込んで加圧するとともに加熱し、用紙上に転写されたトナー像を溶融せしめて用紙上に定着させる。
【0022】
定着部45の上方には前記排出部12が設けられている。この排出部12は、用紙の搬送経路を挟むように対向配置された一対の排出ローラ48、49を有しており、定着部45を通過した用紙を排出ローラ48、49で挟み込んでコピー収納部13内に排出する。
【0023】
また、本実施形態では、長尺用紙ユニット16が画像形成装置本体1に装着された状態においてセンサー23が長尺用紙17を検知すると、長尺用紙に対する画像形成処理に適した長尺用紙モードに自動的に移行するようになっている。この長尺用紙モードの内容は、具体的には、▲1▼レジストスイッチ38を用いたジャム(用紙の重送)の検知を行わないか検知時間を長くする、▲2▼画像メモリを分割しない、▲3▼さばき機構28が動作しない、という三つの要素から成っている。これらについて、以下に詳細に説明する。
【0024】
まず、▲1▼について説明する。用紙の搬送方向先端部がレジストスイッチ38に達するとレジストスイッチ38がONとなり、その用紙の搬送方向後端部がレジストスイッチ38を通過するとレジストスイッチ38がOFFとなる。このONからOFFまでの時間は用紙のサイズによって決まり、制御回路は、この時間が所定時間を超えると重送が生じていると判定して運転を停止する。定形用紙を連続して搬送する場合には、用紙間に隙間が生じるため、このような処理が可能であるが、長尺用紙は連続しているため、カットされない限りレジストスイッチ38はONのままで、定形用紙の場合と同じ長さの時間で判定すると誤動作となる。そこで、長尺用紙モードにおいては、このような処理を行わないか、または検知時間を長くして誤動作を防ぐようにしている。
【0025】
次に、▲2▼について説明する。定形用紙に画像形成を行う場合、制御回路のCPUは、スキャナーから読み込んだデータを一旦ビットマップメモリーに展開する。このビットマップメモリーでは、原稿のデータをページ毎に領域を確保して展開しているが、長尺用紙モードでは、CPUは、このページ毎の領域の区切りを無くし、メモリ全体を一つの領域として確保するようにしている。
【0026】
次に、▲3▼について説明する。長尺用紙の場合には、重送が生じないため、長尺用紙モードにおいては制御回路が摩擦パッド29を給紙コロ26から離れる方向に回動させて摩擦パッド29を長尺用紙に押し付けないようになっている。これによって、長尺用紙には摩擦パッド29による摩擦力が与えられないため、紙粉の発生を防ぐことができる。また、長尺用紙が給紙される場合には摩擦パッド29が摩耗しないことになるため、摩擦パッド29の寿命を延ばすことができる。
【0027】
なお、長尺用紙ユニット16が画像形成装置本体1に装着された場合であっても、ユーザが操作パネル5で給紙カセットを選択した場合には、長尺用紙モードに移行せず、給紙カセットからの給紙が行われるようになっている。すなわち、図4に示すように、長尺用紙ユニット16が画像形成装置本体1に取り付けられ(ステップ#10)、センサー23がONになると(ステップ#20)、CPUは、操作パネル5で給紙カセットが選択入力されているか否かを読み込む(ステップ#30)。
【0028】
給紙カセットが選択されている場合には、CPUはカセット給紙の処理手順を選択し(ステップ#40)、コピーをスタートする(ステップ#70)。ステップ#30で給紙カセットが選択されていない場合には、CPUは手差し給紙の処理手順を選択し(ステップ#50)、次いで、上述した長尺用紙モードに移行せしめ(ステップ#60)、コピーをスタートする(ステップ#70)。そして、コピーが終了すると(ステップ#80)、このフローが終了する。
【0029】
次に、実際にコピーを行う場合について説明する。
まず、長尺用紙ユニット16を画像形成装置本体1に装着し、長尺用紙17の先端部を給紙口25に差し込む。そして、原稿載置台91に長尺の複写原稿をセットして操作パネル5のプリントボタンを押すと、複写原稿が長さ方向に送られ、ADF用コンタクトガラス93の下方に配置された露光光学系で原稿の画像が読み取られる。また、リフト板27が上方に回動して長尺用紙17を給紙コロ26に押し付けるとともに給紙コロ26が回転して長尺用紙17の先端部を画像形成装置本体1内に引き込む。このとき、摩擦パッド29は給紙コロ26から離れている。
【0030】
長尺用紙17の先端部は搬送経路内を上昇し、レジストスイッチ38を通過してレジストローラ36、37間に突き当たって停止する。また、画像形成部39では、帯電器42によって感光体ドラム40の表面が帯電され、感光体ドラム40が回転し、図示しない露光光学系で読み取られた複写原稿の画像の反射光が感光体ドラム40の表面に照射され、感光体ドラム40の表面にこの画像の静電潜像が形成される。そして、現像ユニット43が感光体ドラム40の表面にトナーを付着させてこの静電潜像を現像する。
【0031】
長尺用紙17が停止して所定時間経過すると、レジストローラ36、37が回転して長尺用紙17が再び上昇する。そして感光体ドラム40と転写ローラ44の間を通る際に感光体ドラム40の表面のトナー像が長尺用紙17上に転写される。そして、長尺用紙17は定着部45に至り、ローラ46、47間で加圧されるとともに加熱され、これによってトナー像が溶融して長尺用紙17上に定着する。そして、画像が形成された長尺用紙17は排出部12に至り、排出ローラ48、49によりコピー収納部13に排出される。
【0032】
なお、長尺用紙17は、所定の長さだけ搬送された時点でカッター50により幅方向に切断される。そして、原稿載置台91上に新しい複写原稿をセットしてプリントボタンを押すと、長尺用紙ユニット16から長尺用紙17が巻き出され、上述した動作が繰り返されて次のコピーが行われる。
【0033】
本実施形態では、長尺用紙ユニット16を装着できるようにしたことで、コピーを行う毎に長尺用紙をセットする必要が無い。したがって、長尺用紙の給紙に要する手間が低減するものである。また、長尺用紙が床面上に垂れ落ちることがないため、長尺用紙が傷付いたり、汚れたりすることがない。
【0034】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上述した実施形態に種々の変形を施すことができる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、検知手段が長尺用紙の給紙を検知した場合には摩擦部材を用紙から離れる方向に移動させるように構成したことにより、長尺用紙が給紙される場合には、摩擦部材が用紙に押し付けられないため紙粉が発生しない。また、摩擦部材の寿命を延ばすことができる。
【0036】
請求項3の発明によれば、長さ方向にロール状に巻かれた長尺用紙を巻き出し可能に収納した長尺用紙ユニットが装着可能であるとともに、装着された長尺用紙ユニットから長尺用紙が巻き出されて手差し給紙部を介して給紙されるように構成したことで、画像形成を行う毎に長尺用紙をセットする必要が無く、長尺用紙の給紙に要する手間が低減する。また、長尺用紙が床面上に垂れ落ちることがないため、長尺用紙が傷付いたり、汚れたりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である画像形成装置の外観斜視図。
【図2】本発明の一実施形態である画像形成装置の外観斜視図。
【図3】図1、2の画像形成装置の要部縦断面図。
【図4】長尺用紙モードの設定手順を示すフローチャート図。
【図5】さばき機構の動作説明図。
【符号の説明】
1 画像形成装置本体
14 手差し給紙部
16 長尺用紙ユニット
17 長尺用紙
23 センサー(検知手段)
28 さばき機構
29 摩擦パッド(摩擦部材)
Claims (3)
- 定形用紙及び長尺用紙を給紙可能な給紙部と、この給紙部を介して給紙される用紙の重送を阻止するさばき機構とを備え、このさばき機構が、重なり合って搬送される二枚の用紙のうちの一方に摩擦部材を押し付けて搬送を阻止することにより前記二枚の用紙を分離せしめるようにしたものである画像形成装置であって、前記給紙部による長尺用紙の給紙を検知する検知手段を設けるとともに前記摩擦部材を用紙に対して接離自在とし、前記検知手段が長尺用紙の給紙を検知した場合には前記摩擦部材を用紙から離れる方向に移動させるように構成したことを特徴とする画像形成装置。
- 前記給紙部が手差し給紙部であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 長さ方向にロール状に巻かれた長尺用紙を巻き出し可能に収納した長尺用紙ユニットが装着可能であるとともに、装着された長尺用紙ユニットから長尺用紙が巻き出されて前記給紙部を介して給紙されるように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
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