JP3593289B2 - 通信機用マイクロホン - Google Patents
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Description
本発明は、車載型あるいは携帯型の通信機に用いる通信機用マイクロホンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車載型あるいは携帯型の通信機に使用されている従来の通信機用マイクロホンとして、特開平9−139691号公報に開示されているものが知られている。図6は、従来の携帯型通信機と通信機用マイクロホンを示す図である。携帯型通信機100の通話は、通信機用マイクロホン200のプレストークスイッチ300を使って行われる。プレストークスイッチ300を押すと当方からの通話ができて、放すと相手側の通話が聞こえる。このように、プレストークスイッチ300は、通話中において何回も押される可動部分となっている。
【0003】
しかし、自動車等の運転において、ハンドル操作に注意を払いながら、通信機用マイクロホン200を片手に持つことは、安全上好ましくない。特に、一方的な報告をする必要がある場合には、プレストークスイッチ300のオンオフ操作を行わずに話せる方が好ましい。
【0004】
このような要望に応えるべく、プレストークスイッチのオンオフ操作をしなくても、車両の特定位置に固定するだけで話をすることができる通信機用マイクロホンも、従来から知られている。通信機用マイクロホンを自動車等の特定位置に引っかけて、確実に通話可能とするには、通信機用マイクロホンの下カバーに固着した留め金が自動車等の振動で抜け落ちず、かつ通信機用マイクロホンの抜き差しによって下カバーに固着した留め金のガタ付きが発生しないことが重要となる。このため、留め金を下カバーにしっかりと固着する必要がある。
【0005】
ところで、2つの部材、特に金属部材同士を強固に固着させる技術として、特開平10−103328号公報に開示されるかしめ技術が知られている。この公報に開示されるかしめ技術は、以下のような技術である。スタッドの鍔部を台にして、鍔部の上方の6角形部分をくり抜いて、くり抜いた6角形部分を使用してスタッドを締めつける。締めつけが終わると、くり抜いた6角形部分を外周方向にかしめて、鍔部を台に固着する。
【0006】
従来の通信機用マイクロホンには、上記かしめ技術の一つであるカーリングという手法によって下カバーに固着されているものが多い。カーリングというかしめ工程は、以下のような手順で行われている。まず、図7の(A)に示す留め金用スタッド210を、図7の(B)に示すように、通信機用マイクロホンの下ケース220の挿入孔221に挿入する。そして、かしめ部213を円柱台214より外へ出す。次に、かしめ部213を外周方向に拡げて、固着させる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のカーリングという手法を用いている従来の通信機用マイクロホンには、次のような問題がある。図7の(A)および(B)に示すように、通信機用マイクロホンの下ケース220に固着させる留め金用スタッド210は、円柱台214から出たかしめ部213を外周方向に折り曲げるために、中実状の円柱を削り出して円環形状に加工されなければならない。このような円環形状とする、いわゆるくり抜き加工は、加工に手間を要し、通信機用マイクロホンの製造コストをアップさせるという問題がある。
【0008】
また、留め金部211と下ケース220との間を、別の場所に設けた金属製の係合部で繰り返し抜き差ししているうちに、カーリングによって固着させたかしめ部213と円柱台214とに、ガタ付きが生じる。かしめ部213と円柱台214とのガタ付きは、両者213,214の接触不良を引き起こし、回路への接触抵抗が大きくなる。このため、従来のカーリング方式のかしめ技術では、通信機用マイクロホンは、長期の使用に耐えられないという問題がある。
【0009】
なお、かしめ部213と円柱台214とのガタ付きを防止する方法として、かしめ部213の肉厚を厚くすることも考えられる。しかし、肉厚を厚くすることは、かしめ部213の下に位置する円柱部212の径を太くすることにつながり、かしめが難しくなるという問題を生じさせる。
【0010】
また、円柱部212の径が太くなると、別の点からも好ましくない。図8は、プレストークスイッチをオンオフせずに通話可能な従来の通信機用マイクロホンの留め金用スタッド210周辺を示す断面図である。まず、導通経路について簡単に説明する。導電板218と導通しているコイルバネ230および留め金部211と導通している板バネ215は、それぞれ回路基板225の所定回路点225aおよび第2所定回路点225bに接触している。そして、留め金部211と導電板218とを接触させると、通話可能な状態となる。
【0011】
ここで、円柱部212の径が太くなると、強度等の面から、周辺に配置されるコイルバネ230と、留め金用スタッド210との距離eが離れることになる。導電板218は、コイルバネ230の力で留め金部211の方向に押されている。したがって、コイルバネ230が留め金用スタッド210から遠くなると、導電板218が図8中において下方にたわむ距離が大きくなる。この結果、導電板218の縁に設けた凸状のバネ板217と留め金部211との隙間dが狭くなる。したがって、自動車等の所定位置に設けた金属製の係合部への抜き差しが困難となり、使用勝手が悪くなるという問題が生じる。また、段差が生じ、マイクロホン着脱時のトラブルが発生する。特に、通信機用マイクロホンが小さいほど、コイルバネ230のわずかな移動でも、抜き差しを困難とする。すなわち、この問題は、通信機用マイクロホンの小型化を図る上で大きな障害となる。
【0012】
本発明は、上記のような課題に鑑み、通信機用マイクロホンを自動車等の特定箇所に引っかけたままで通話可能となる通信機用マイクロホンにおいて、小型で、使いやすく、低コストであると共に、長期間の使用に際して接触不良を起こさない高信頼性の通信機用マイクロホンを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の通信機用マイクロホンは、上ケースと下ケースとを接合して、内部の回路基板を格納している通信機用マイクロホンにおいて、下ケースに、回路基板の所定回路点と導体部材を介して接触する導電板と、導電板を下ケースに固定すると共に、金属製の係合部を導電板との間の隙間に差し込むと、導電板との間で導通可能となる留め金用部材とを備え、留め金用部材は、下ケースの内側とかしめ固着したかしめ部に固定された第2導体部材を介して、回路基板上において所定回路点と導通する第2所定回路点と接触し、留め金用部材は、かしめ部より直径の小さい第1円柱部と、この第1円柱部より直径の大きい第2円柱部とを備え、第1円柱部および第2円柱部を下ケースの内方に挿入させ、かしめ部は、中実状の留め金用部材のうち第1円柱部の先端を外側に拡げることにより形成され、この拡げによって下ケースに対して留め金用部材が固定されると共に隙間が形成され、第2円柱部の直径を4.0から8.0ミリメートルの範囲とするものである。このため、容易にかしめ工程を行うことができると共に、長期間の使用に際し、ガタ付きのない強固なかしめが実現できる。また、下ケースの中心近傍に設けられた留め金用スタッドを挿入する円柱筒と、導体部材を挿入している円筒との距離をより近接させて配置できると同時に、かしめ加工を容易にし、かつガタ付きのない強固なかしめを実現できる。
【0014】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の通信機用マイクロホンにおいて、導体部材を、上ケースと下ケースとを組み合わせた状態において、上ケースと下ケースとを離す方向に付勢される弾性部材とするようにしている。このため、導体部材の両端における接触が確実なものとなり、導通を良好にすることができる。
【0016】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の通信機用マイクロホンにおいて、かしめ部は、2分割以上のかしめ片からなる構成としている。このため、かしめ部は、花が開くように先端を2分割以上のかしめ片に拡げるので、より強固にかしめ固着できる。
【0017】
また、請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の通信機用マイクロホンにおいて、導電板は、留め金用部材を中心とする周辺部分に、留め金用部材の端部にある留め金との隙間を狭くするバネ板を設けるようにしている。このため、通信機用マイクロホンを自動車等にある金属製の係合部に引っかけたときに、強く固定される。したがって、通信機用マイクロホンが突然の振動に対して、係合部から外れる危険性が少ない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る通信機用マイクロホン(以下、発明の実施の形態の説明において、単に「マイクロホン」という)の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、車載型あるいは携帯型の通信機に使用されているマイクロホンにおいて、上ケースと分離した下ケース20を底面から見た斜視図である。上ケースと下ケース20とを組み合わせてなるマイクロホンの筐体は、絶縁性の合成樹脂を原材料として形成されている。下ケース20には、導電板18と、留め金用部材としての留め金用スタッド10とが設けられている。留め金用スタッド10の端部にある留め金部11は、下ケース20の略中央に設けられており、下ケース20から、その底方向に突出している。
【0020】
一方、導電板18は、留め金部11より下ケース20側に粘り付けられている。また、導電板18の四隅には、凸形状のバネ板17が4個設けられている。このため、留め金部11と導電板18との間で、後述する係合部と確実に係合できるようになっている。なお、バネ板17を導電板18の四隅に配置しなくても、留め金部11の最も大きな径よりも周辺にあれば、任意の位置に設けることができる。
【0021】
図2は、マイクロホンの下ケース20に固着させる留め金用スタッド10の断面図である。留め金用スタッド10は、留め金部11と、第2円柱部12と、第1円柱部12aとから構成されている。
【0022】
図3は、留め金用スタッド10を下ケース20に固定した状態を、局部的に示す図であり、図中の上方には、下ケース20の内側から見た図を、下方には、横から見た図を示す。留め金用スタッド10は、第2円柱部12を下ケース20にはめ込み、第1円柱部12aの先端のかしめ部13によってかしめ固着されている。かしめ部13は、図3に示すように、花が開くように先端を4分割して周囲に拡げられている。このようなかしめ形状とすることによって、2万回以上の係合試験においてガタ付かないという実績が得られている。また、カーリング方式と異なり、第1円柱部12aおよび第2円柱部12をくり抜く必要がないので、部品加工が容易になり、そのコストが安くなり、マイクロホンの製造コストを抑えることができる。なお、かしめ部13は、4分割に限らず、2分割、3分割、あるいは5分割以上に拡げた構造としても良い。
【0023】
留め金用スタッド10の最上方にある第1円柱部12aの径の大きさは、2.0mm〜4.0mmの範囲が好ましい。また、第2円柱部12の径の大きさは、第1円柱部12aと同じかあるいは大きいという条件の下で、4.0mm〜8.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、5.0mm〜6.0mmの範囲が最適である。このように、第2円柱部12の径の大きさを適正な大きさとすることによって、後述する留め金用円柱筒21と円筒31との距離を可能な限り近接させて配置できると共に、かしめ部13が小さくすることに起因するガタ付きをなくすことができる。さらに、かしめ部13を適正な大きさとすると、かしめ加工が容易になり、マイクロホンの製造コストを抑えることもできる。
【0024】
図4は、マイクロホンの下ケース20の中央近傍の断面図である。下ケース20の内部には、下ケース20の中心近傍に留め金用スタッド10を挿入する留め金用円柱筒21が設けられている。留め金用円柱筒21の下方には、導電板18と第2円柱部12との絶縁を目的とした絶縁ワッシャ16が設けられている。また、留め金用円柱筒21の横には、導体部材としてのコイルバネ30を入れる円筒31が設けられている。なお、回路基板25を固定するために、各所に、図示されない回路基板固定筒が配置されている。
【0025】
また、留め金用円柱筒21と円筒31とを近接することによって、次の効果が得られる。すなわち、かしめ部13とコイルバネ30との距離gが小さくなり、コイルバネ30が導電板18のより中央近傍を下方に押すことになる。このため、導電板18の周辺にあるバネ板17が突出しにくくなる。このため、バネ板17と留め金部11との隙間fが狭くならない。したがって、自動車等の金属製の係合部にマイクロホンをひっかけやすい。
【0026】
かしめ加工の手順は、以下の通りである。下ケース20に設けられた留め金用円柱筒21に、予め絶縁ワッシャ16が装備された留め金用スタッド10を挿入すると、第1円柱部12aの先端が、留め金用円柱筒21の上部より出る。上部より出た第1円柱部12aの先端に、回路基板25の第2所定回路点25bと接触する、第2導体部材としての板バネ15を取り付け、その上から平座金としてのワッシャ14を通し、かしめ治具を用いて、かしめが形成される。
【0027】
図5は、下ケース20と、下ケース20の上に配置する回路基板25とを、互いに合わさる面を表にして示した図である。コイルバネ30を円筒31に入れると、コイルバネ30の両端は、導電板18および回路基板25の所定回路点25aに、それぞれ密着する。また、上方に伸びた板バネ15は、回路基板25の第2所定回路点25bに密着している。この状態で、留め金部11と導電板18との間に、金属製の係合部を係合させると、プレストークスイッチがオン状態となる回路が形成される。この結果、プレーストークスイッチを押さなくても通話できることになる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、小型で、使いやすく、低コストであると共に、長期間の使用に際して接触不良や着脱時のトラブルを起こさない(すなわち、段差が発生しない)高信頼性の通信機用マイクロホンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る通信機用マイクロホンの実施の形態の下ケース底面の斜視図である。
【図2】図1に示す通信機用マイクロホンの下ケースに固着させる留め金用スタッドの断面図である。
【図3】図1に示す通信機用マイクロホンの下ケースのかしめ部分近傍の断面図である。
【図4】図1に示す通信機用マイクロホンの下ケースに備えた留め金用部材と導電板とが、回路基板に接触して、通電回路を形成している状態を示す図である。
【図5】図1に示す通信機用マイクロホンの下ケースと回路基板との接触部分の対応関係を示す図である。
【図6】従来の携帯型の通信機(無線機)を示す図である。
【図7】従来の通信機用マイクロホンの留め金用部材を示す図(A)と、(A)の留め金用部材を下ケースに取り付けた状態を示す断面図(B)である。
【図8】図7の(A)に示す留め金用部材を、通信機用マイクロホンの下ケースに固着させた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
10 留め金用スタッド(留め金用部材)
11 留め金部
12a 第1円柱部
12 第2円柱部
13 かしめ部
15 板バネ(第2導体部材)
17 バネ板
18 導電板
20 下ケース
25 回路基板
25a 所定回路点
25b 第2所定回路点
30 コイルバネ(導体部材)
Claims (4)
- 上ケースと下ケースとを接合して、内部の回路基板を格納している通信機用マイクロホンにおいて、
上記下ケースに、上記回路基板の所定回路点と導体部材を介して接触する導電板と、
上記導電板を上記下ケースに固定すると共に、金属製の係合部を上記導電板との間の隙間に差し込むと、上記導電板との間で導通可能となる留め金用部材とを備え、
上記留め金用部材は、上記下ケースの内側とかしめ固着したかしめ部に固定された第2導体部材を介して、上記回路基板上において上記所定回路点と導通する第2所定回路点と接触し、
上記留め金用部材は、上記かしめ部より直径の小さい第1円柱部と、この第1円柱部より直径の大きい第2円柱部とを備え、上記第1円柱部および第2円柱部を上記下ケースの内方に挿入させ、
上記かしめ部は、中実状の上記留め金用部材のうち上記第1円柱部の先端を外側に拡げることにより形成され、この拡げによって上記下ケースに対して上記留め金用部材が固定されると共に上記隙間が形成され、
上記第2円柱部の直径を4.0から8.0ミリメートルの範囲とすることを特徴とする通信機用マイクロホン。 - 前記導電部材は、前記上ケースと前記下ケースとを組み合わせた状態において、前記上ケースと前記下ケースとを離す方向に付勢される弾性部材としたことを特徴とする請求項1記載の通信機用マイクロホン。
- 前記かしめ部は、2分割以上のかしめ片からなることを特徴とする請求項1又は2記載の通信機用マイクロホン。
- 前記導電板は、前記留め金用部材を中心とする周辺部分に、前記留め金用部材の端部にある留め金部との隙間を狭くするバネ板を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の通信機用マイクロホン。
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