JP3592398B2 - フィラーチューブの構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車の燃料タンクと、給油口とを連結するフィラーチューブの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車の燃料タンク内に燃料を注入する際には、燃料タンク内の蒸発燃料を含んだ空気が外部に漏出するおそれがあるという問題があった。
そこで、かかる蒸発燃料の外部放出を防止するために、ベーパーリカバリーシステムが開発されている。
当該システムは、一般的に燃料注入時に発生する蒸発燃料をキャニスターに給着させ、エンジン始動後に、キャニスター内の蒸発燃料を有効利用するシステムとなっている。
【0003】
また、自動車の燃料タンクと給油口とを連結するフィラーチューブの構造にも考慮がなされ、実開平3−121121号公報あるいは、実開平3−125620号公報に開示されたような、蒸発燃料の排出防止対策が提案されている。
図8及び図9は、上記実開平3−121121号公報に開示されたバーパ排出防止のためのインレットパイプ(フィラーチューブ)の構造を示すものであり、本従来例では、金属製の燃料タンク50の内圧の上昇と共に扁平口51を閉じ、燃料流入時に該流入圧が、タンク内圧に勝って扁平口51を開く弾力を備える樹脂製の柔軟パイプ52を、燃料タンク50内の底部に設けて、この柔軟パイプ52を嵌め込み部分54位置でフィラーチューブ本体53aに連結してフィラーチューブ53を形成したものである。
【0004】
また、図10及び図11は、上記実開平3−125620号公報に開示されたベーパ排出防止のためのフィラーチューブの構造を示すものであり、本従来例では、先端に金属製のフィラーチューブ55の円形断面積にほぼ等しい断面積の偏平開口56を上に向けて形成してフィラーチューブ55の管部と偏平開口56の間を順次に潰して横に拡げてほぼ水平とし、それにより高さHを縮小したJシールトラップ57を形成し、もしくは連結したフィラーチューブ55の先端部を挿入するように構成されている。
【0005】
しかして、これらの従来例においては、燃料給油時に燃料タンク50内の蒸発燃料が流出しないように、フィラーチューブ53、55を燃料タンク50内まで延長し、フィラーチューブ端末を燃料液面下にし、給油口のフィラーキャップを開放したときに、蒸発燃料がフィラーチューブ53、55から流出しないようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図8及び図9に示された従来例においては、柔軟パイプ52は樹脂製であるため、これをフィラーチューブ本体53aに組付ける工程は、燃料タンク50とフィラーチューブ本体53aを一体に完成させ、塗装工程を経て乾燥炉を通す熱処理作業を終えた後に行う、後付けとならざるを得ず、燃料タンク50のメンテナンス用の孔などから作業者が手を入れて、半分盲作業で組付けなければならないため、作業性が悪く、品質管理面でも問題があった。
【0007】
また、燃料タンク50やフィラーチューブ本体53a自体の製作寸法に必然的にばらつきがあり、加えて、これら燃料タンク50やフィラーチューブ本体53aの組付け時には、上下に分割製作された金属製の燃料タンク50の上下接合面の溶接作業などの際に位置ずれが生じる恐れがあるため、柔軟パイプ52の燃料タンク50底面からの高さにばらつきが発生し、あるいは、燃料タンク50の圧力変化に起因してタンク50が変形することがあるため、柔軟パイプ52を常時燃料タンク50底面から正確な高さ位置に配置することができず、柔軟パイプ52の先端開口が燃料液面上に露出してしまうような場合には、蒸発燃料の外部放出防止性能が十分でなくなるという問題を有していた。
【0008】
更に、図10及び図11に示された従来例においては、上記と同様の原因による燃料タンク50底面からフィラーチューブ55の偏平開口56までの高さのばらつきによる蒸発燃料の外部放出性能の低下は発生しないものの、フィラーチューブ55の偏平開口56の加工が複雑になると共に、分割された燃料タンク50の上下を接合する前に、フィラーチューブ55を燃料タンク50に内面側から組付けなければならない等、燃料タンク50の組立作業も煩雑となっていた。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決し、蒸発燃料の外部放出防止性能を低下させることなく、燃料タンクとフィラーチューブとの組立て作業性を向上させうるフィラーチューブの構造を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、請求項1記載の発明では、自動車の燃料タンクと、給油口とを連結するフィラーチューブの構造において、該フィラーチューブは、前記燃料タンクのチューブ取付用孔と前記給油口とを連結するフィラーホースと、前記チューブ取付用孔から前記燃料タンク内に向けて配設され、先端部が燃料タンクの底面に当接する内側チューブとを備えてなる一方、該内側チューブは、断面がほぼ全長に亙って前記チューブ取付用孔よりも小さく形成されると共に、該内側チューブは、前記燃料タンクの底面を押し込む方向に復元力が働くように設定されて、常に燃料タンクの底面に追従して当接状態を保つ弾性変形部を備え、該弾性変形部は、前記内側チューブの先端部の側面のみに前記内側チューブに沿って設けられ、前記内側チューブの復元力による燃料タンクの底面からの反力により弾性変形して、常に燃料タンクの底面との当接状態を保つスリット状の切欠きであることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2記載の発明では、前記内側チューブにおける、前記チューブ取付用孔に取付けられる基端部の断面を前記チューブ取付用孔と同一かわずかに大きく形成し、前記内側チューブは、該基端部にて前記チューブ取付用孔に嵌着、固定されることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3記載の発明では、前記内側チューブの基端部にはフランジが形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
【作用】
請求項1に記載された手段によれば、内側チューブは、燃料タンクの底面に追従して当接状態を保つ弾性変形部を備えて成るため、内側チューブの先端は、組付け誤差や、燃料タンク内の圧力による燃料タンク自身の変形に起因する燃料タンク底面からの高さのばらつきに対し、弾性変形部を燃料タンクの底面に追従させることによって、常に底面に当接させた状態とすることができ、先端部は常に燃料液面下にあるので、フィラーチューブの先端形状を従来例のように複雑な形状とする必要がなく、簡単な構造で蒸発燃料の外部放出を防止することができる。そして、内側チューブは、断面がほぼ全長に亙ってチューブ取付用孔よりも小さく形成されているため、燃料タンク完成後に該燃料タンクの外側からチューブ取付用孔に後付けが可能であるから、蒸発燃料の外部放出防止性能を低下させることなく、燃料タンクとフィラーチューブとの組立て作業性能を向上させることができる。
【0016】
また、請求項1に記載された手段によれば、内側チューブの先端部の両側面に内側チューブに沿ってスリット状の切欠きが設けられたため、このスリットによって分割された内側チューブの先端部が弾性的に変形して燃料タンクの底面に追従し、当接状態を保つ。さらに、内側チューブの両側面が切り欠かれているため、内側チューブの先端部の断面を蒸発燃料の外部放出防止性能を向上させるために絞り込んで小さくしても、切欠きの分だけ開口面積が大きくなるので、燃料タンクに燃料を注入する際に、フィラーチューブから燃料タンク内に燃料が入りにくくなることを防ぐことができる。
【0017】
請求項2に記載された手段によれば、内側チューブの基端部の断面をチューブ取付用孔と同一か、わずかに大きく形成しているため、内側チューブはチューブ取付用孔と嵌着、固定された状態で周囲を密閉されるため、シール材等の別部品を用いず、燃料タンクとフィラーチューブの接合部分を密閉することができる。
【0018】
請求項3に記載された手段によれば、内側チューブの基端部にはフランジが形成されているため、該フランジがフィラーチューブロアの先端又はチューブ取付用孔の周縁に係合しうるようになっているので、内側チューブをチューブ取付用孔に所定圧で圧入、嵌挿すると、フランジがフィラーチューブロアの先端又はチューブ取付用孔の周縁に係合して、内側チューブを位置決めしながら固定できる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を図面により説明する。
図1及び図2は本発明の一実施例を示すものであり、図中1は本実施例に係るフィラーチューブである。
フィラーチューブ1は、図1に示すように、自動車の燃料タンク2と、給油口3とを連結して、給油口3から燃料を燃料タンク2内に送給する機能を果たすものである。
フィラーチューブ1は、本実施例では樹脂材で成形されており、燃料タンク2は、本実施例では金属製又は樹脂製である。
【0022】
しかして、本実施例では、フィラーチューブ1を、フィラーホース4と内側チューブ5とに分割して形成している点を特徴としている。
フィラーホース4は、燃料タンク2のチューブ取付用孔6と前記給油口3とを連結しており、内側チューブ5は、チューブ取付用孔6から燃料タンク2内に向けて配設され、先端部5cが燃料タンク2の底面2aに当接するようになっている。
【0023】
また、本実施例では、内側チューブ5は、断面が基端部5aを除いた全長に亙ってチューブ取付用孔6よりも小さく形成されているため、完成された燃料タンク2のチューブ取付用孔6から後付けすることが可能になっている。
即ち、図2に示す如く、燃料タンク2のチューブ取付用孔6には、フィラーホース4の先端部4a及び内側チューブ5の基端部5aを取付固定することが可能なように、フィラーチューブロア7が突出形成されている。
フィラーチューブロア7は、燃料タンク2本体から一体に、円筒状に所定寸法分突出形成されており、図2に示すように、その外周面にフィラーホース4の先端部4aが嵌着、固定され、内周面に内側チューブ5の基端部5aが圧入嵌挿されて固定されるように構成されている。
【0024】
なお、内側チューブ5の基端部5aは、端縁部が図示の如く外方に直角に折曲延設されてフランジ5bが形成されており、このフランジ5bがフィラーチューブロア7の先端に係合しうるようになっている。
また、図示の如く内側チューブ5の基端部5aは、その断面がフィラーチューブロア7の断面と同一に形成されて、他部位よりも所定寸法分だけ大きく成形されており、内側チューブ5をフィラーチューブロア7から燃料タンク2内に嵌挿する際に、基端部5a以外は楽にフィラーチューブロア7の内周部を通過でき、基端部5a部分だけは、最後に所定圧で圧入嵌挿して、フランジ5bがフィラーチューブロア7の先端に係合した時点で位置決めを行い、フィラーチューブロア7の内周部に固定しうるようになっている。
【0025】
よって、本実施例では、燃料タンク2が金属製であるか樹脂製かを問わず、この燃料タンク2の完成後に、図2に示すようにまず、内側チューブ5をチューブ取付用孔6のフィラーチューブロア7から燃料タンク2内に嵌挿し、先端部5cが燃料タンク2の底面2aに当接した状態で、上記した内側チューブ5の基端部側のフランジ5bがフィラーチューブロア7の先端に係合するように寸法設定がなされている。
【0026】
そして、内側チューブ5は、樹脂材で成形されているため、弾性を有した弾性変形部16を備えた構造となっており、先端部5cが底面2aに当接した状態で、底面2aを押し込む方向に復元力が働くように設定されている。
【0027】
しかして、燃料タンク2が金属製あるいは樹脂製のいずれの場合も、内側チューブ5の基端部5a全体をフィラーチューブロア7の内周部に上記の如く圧入固定しておき、次にフィラーホース4の先端部4aをフィラーチューブロア7の外周に嵌着し、図示しないホースバンド等で外周面に固定すればよいものである。
【0028】
以上の実施例においては、フィラーホース4と内側チューブ5は一体に成形してもよい。また、基端部5aの断面は、チューブ取付用孔6に圧入、嵌着可能な程度にチューブ取付用孔6の断面よりわずかに大きくしてもよい。
【0029】
上記構成からなる本実施例によれば、内側チューブ5は、先にも述べたように燃料タンク2の完成後でもチューブ取付用孔6のフィラーチューブロア7から後付け可能となっているため、上記従来例のように燃料タンクのメンテナンス用の孔などから作業者が手を入れて、半分盲作業で組付けする等のような必要性がなく、作業性が格段に向上し、品質管理面からも、極めて品質の高い製品を製作可能となる。
【0030】
また、内側チューブ5が、燃料タンク2の完成後に後付け可能であるため、上記従来例と異なり金属製燃料タンクの熱処理作業等の影響を受けないから、樹脂製のフィラーチューブ1を採用でき、成形性が良好で、また、コスト的にも安価に提供しうる。
【0031】
さらに、後付けが可能であるため、上記従来例と異なり燃料タンク2が樹脂製の場合であっても、この樹脂製タンク2をブロー成形後にタンク内にまで延設してフィラーチューブ1を配設することができるようになる。
【0032】
そして、上記のように燃料タンク2へのフィラーチューブ1の組立て作業性が向上するのに加え、樹脂製の内側チューブ5が弾性を有するため、燃料タンク2の底面2aに追従して当接状態を保つ弾性変形部16を備えて、常に先端部5cが燃料液面下にある構造となり、フィラーチューブ1の先端形状を従来のように複雑なものとして成形性、組付け作業性を悪化させることがなく、また、弾性変形部16として特別な構造を用いることなく、簡単な構造で蒸発燃料の外部放出を防止することができる。
【0033】
また、基端部5aの断面をチューブ取付用孔6と同一に形成して圧入し、嵌着、固定する構成であるから、シール材等の別部品を用いずに、燃料タンク2とフィラーチューブ1の接合部分を密閉することができる。特に、本実施例によるチューブ取付用孔6は、所定高さで設けられたフィラーチューブロア7で形成されるため、チューブ取付用孔6と基端部5aとの接触面積が大きく、密閉性はさらに高まることになる。
【0034】
さらに、フィラーチューブ1を構成するフィラーホース4と内側チューブ5とが分割して形成されているため、内側チューブ5を燃料タンク2内に挿入する作業時に、フィラーホース4が邪魔になって作業性が悪化することを防止できる。
【0035】
次に、図3は本発明の第2実施例を示すものであり、上記第1実施例と同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
本実施例は、燃料タンク2が樹脂製の場合の例であり、燃料タンク2のチューブ取付用孔6は、上記第1実施例と異なり単に孔6が形成されているだけで、樹脂製のフィラーチューブロア8は、内側チューブ5を取付け後にチューブ取付用孔6の外方から溶着固定しうるように構成されている。
【0036】
しかして、本実施例でも内側チューブ5の基端部5aは、端縁部が図示の如く外方に直角に折曲延設されてフランジ5bが形成されており、このフランジ5bがチューブ取付用孔6の外部側周縁6aに係合しうるようになっている。
また、フィラーチューブロア8の基端部は、内側チューブ5と同様に端縁部が図示の如く外方に直角に折曲延設されてフランジ8aが形成されており、このフランジ8aが樹脂製燃料タンク2のチューブ取付用孔6の外周側周縁6aに、内側チューブ5のフランジ5bの上から当接されて、内側チューブ5のフランジ5bとともに、チューブ取付用孔6の外周側周縁6aに一体に溶着固定されるようになっている。
【0037】
よって、本実施例では、燃料タンク2が合成樹脂製であるから、組付けにあたっては、まず、内側チューブ5をチューブ取付用孔6から燃料タンク2内に嵌挿し、先端部5cが燃料タンク2の底面2aに当接した状態で、内側チューブ5の基端部5a側のフランジ5bを、チューブ取付用孔6の外部側周縁6aに係合させる。
【0038】
次に、チューブ取付用孔6の外部側周縁6aに、フィラーチューブロア8のフランジ8aを内側チューブ5のフランジ5bの上から当接して、上記の如く溶着作業により外部側周縁6aにフランジ5bとともに一体に固定する。
然る後に、上記第1実施例と同様に、フィラーホース4の先端部4aをフィラーチューブロア8の外周に嵌着し、ホースバンド等で外周面に固定すればよいものである。
【0039】
上記構成からなる本実施例においても、上記第1実施例における燃料タンクが樹脂製の場合と同様の作用効果を奏し得る。
【0040】
次に、図4は本発明の第3実施例を示すものであり、上記第1実施例と同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
本実施例は、燃料タンク2が金属製の場合の例であり、燃料タンク2のチューブ取付用孔6は、上記第2実施例と同様に単に孔6が形成されているだけで、樹脂製もしくは金属製のフィラーチューブロア9は、内側チューブ5を取付け後に、チューブ取付用孔6の外方から締付け固定しうるように構成されている。
【0041】
即ち、本実施例では、金属製燃料タンク2には、チューブ取付用孔6の外部側周縁の所定位置にあらかじめスタッドボルト10が固着されており、一方、燃料タンク2とは別体のフィラーチューブロア9の基端部に形成されたフランジ9aには、上記スタッドボルト10の位置に対応して取付孔が形成されている。
【0042】
よって、本実施例では組付けにあたっては、まず、内側チューブ5をチューブ取付用孔6から燃料タンク2内に嵌挿し、先端部5cが燃料タンク2の底面2aに当接した状態で、内側チューブ5の基端部5a側のフランジ5bを、チューブ取付用孔6の外部側周縁6aに係合させる。
【0043】
次に、チューブ取付用孔6の外部側周縁6aに、フィラーチューブロア9のフランジ9aを、当該フランジ9aの取付用孔が外部側周縁6a側のスタッドボルトに合致するようにして、内側チューブ5のフランジ5bの上から当接し、スタッドボルト10にワッシャー12とナット11を締付け固定することにより、内側チューブ5のフランジ5bを強固に挟持した状態で、フィラーチューブロア9のフランジ9aフランジが燃料タンク2に固定される。
しかる後に、上記第2実施例と同様に、フィラーホース4の先端部4aをフィラーチューブロア9の外周に嵌着し、ホースバンド等で外周面に固定すればよいものである。
【0044】
上記構成からなる本実施例においては、上記第1実施例における燃料タンクが金属製の場合と同様の作用効果を奏し得るとともに、フィラーチューブロア9のフランジ9aフランジは、取外しが可能であるため、内側チューブ5の交換の必要性が生じた場合などには、保守管理の面で好適である。
【0045】
次に、図5は本発明の第4施例を示すものであり、上記第1実施例と同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
本実施例の構成は基本的には上記した第1実施例と同様であり、樹脂製のフィラーチューブ1は、燃料タンク2のチューブ取付用孔6と給油口3とを連結するフィラーホース4と、チューブ取付用孔6から燃料タンク2内に向けて配設される内側チューブ5とに分割されており、内側チューブ5は、完成された燃料タンク2のチューブ取付用孔6から後付けすることが可能になっている。
【0046】
また、燃料タンク2の構成は、上記第1実施例と同様に金属製又は樹脂製であり、燃料タンク2のチューブ取付用孔6には、フィラーホース4の先端部及び内側チューブ5の基端部5aを取付固定することが可能なように、フィラーチューブロア7が一体に突出形成されている構成も第1実施例と同様である。
【0047】
しかして本実施例の特徴として、弾性変形部は内側チューブ5の先端部5cの側面に形成されたスリット状の切欠き13として形成されている。
この切欠き13は、所定幅を有する溝状に欠き込み形成されており、また内側チューブ5が所定の弾性変形が可能な樹脂材で成形されているため、外力もしくは、燃料タンク2の底面2aからの反力により、この切欠き13が弾性変形して、常時燃料タンク2の底面2aとの当接状態を保つように構成されている。
【0048】
上記構成からなる本実施例によれば、上記第1実施例と同様の作用効果を奏し得る。
さらに、本実施例によれば、内側チューブ5には、燃料タンク2の底面2aに追従して当接状態を保つ弾性変形部としてのスリット状の切欠き13を形成することにより、製作作業時時の製品誤差や作業誤差を吸収して、燃料タンク2内に配設された内側チューブ5の先端部5cの燃料タンク底面2aからの高さを、常時正確な位置に設定することができ、内側チューブ先端部5cは、常に燃料液面下に位置しているから、蒸発燃料の外部放出防止性能を必要かつ十分に確保することができる。
【0049】
また、内側チューブ5の先端部5cの断面を蒸発燃料の外部放出防止性能を向上させるために絞り込んで小さくしても、切欠き13の分だけ開口面積が大きくなるので、燃料タンク2に燃料を注入する際に、フィラーチューブ1から燃料タンク内に燃料が入りにくくなることを防ぐことができる。
【0050】
また、図6及び図7は、各々図5に示した実施例の変形例を示すものであり、図6の実施例では、弾性変形部として、内側チューブ5の中間部5dに蛇腹状の変形部14を形成した構成を示し、図7の実施例では、弾性変形部として、内側チューブの中間部5dに他部位より薄肉状の変形部15を形成した構成を示している。
よって、この蛇腹状変形部14または薄肉状変形部15が弾性変形して、常時燃料タンク2の底面2aとの当接状態を保つように構成されている。
そして、他の構成は図1に示した実施例と同様である。
【0051】
なお、図5乃至図7に示した各実施例では、燃料タンク2と一体にフィラーチューブロア7を突出形成した例を示したが、これに限定されるものではなく、図3の第2実施例のように燃料タンク2とは別体のフィラーチューブロア8を設けて溶着する構成や、図4の第3実施例のように燃料タンク2とは別体のフィラーチューブロア9を設けてスタッドボルトにより燃料タンク2に締付け固定する構成とすることもできる。
また、他の構成部分の形状や、形成ピッチ、形成個数等も、必要に応じて適宜変更可能である等、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形例が可能である。
【0052】
【発明の効果】
本発明は上記の如く構成されており、以下の効果を奏し得る。
(1) 請求項1に記載された構成によれば、内側チューブは、燃料タンクの底面に追従して当接状態を保つ弾性変形部を備えて成るため、内側チューブの先端は、組付け誤差や、燃料タンク内の圧力による燃料タンク自身の変形に起因する燃料タンク底面からの高さのばらつきに対し、弾性変形部を燃料タンクの底面に追従させることによって、常に底面に当接させた状態とすることができ、先端部は常に燃料液面下にあるので、フィラーチューブの先端形状を従来例のように複雑な形状とする必要がなく、簡単な構造で蒸発燃料の外部放出を防止することができる。
(2) 請求項1に記載された構成によれば、内側チューブは、断面がほぼ全長に亙ってチューブ取付用孔よりも小さく形成されているため、燃料タンク完成後に該燃料タンクの外側からチューブ取付用孔に後付けが可能であるから、蒸発燃料の外部放出防止性能を低下させることなく、燃料タンクとフィラーチューブとの組立て作業性能を向上させることができる。
(3) 請求項1に記載された構成によれば、内側チューブの先端部の両側面に内側チューブに沿ってスリット状の切欠きが設けられたため、このスリットによって分割された内側チューブの先端部が弾性的に変形して燃料タンクの底面に追従し、当接状態を保つ。
(4) 請求項1に記載された構成によれば、内側チューブの両側面が切り欠かれているため、内側チューブの先端部の断面を蒸発燃料の外部放出防止性能を向上させるために絞り込んで小さくしても、切欠きの分だけ開口面積が大きくなるので、燃料タンクに燃料を注入する際に、フィラーチューブから燃料タンク内に燃料が入りにくくなることを防ぐことができる。
(5) 請求項2に記載された構成によれば、内側チューブの基端部の断面をチューブ取付用孔と同一か、わずかに大きく形成しているため、内側チューブはチューブ取付用孔と嵌着、固定された状態で周囲を密閉されるため、シール材等の別部品を用いず、燃料タンクとフィラーチューブの接合部分を密閉することができる。
(6) 請求項3に記載された構成によれば、内側チューブの基端部にはフランジが形成されているため、該フランジがフィラーチューブロアの先端又はチューブ取付用孔の周縁に係合しうるようになっているので、内側チューブをチューブ取付用孔に所定圧で圧入、嵌挿すると、フランジがフィラーチューブロアの先端又はチューブ取付用孔の周縁に係合して、内側チューブを位置決めしながら固定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフィラーチューブの第1実施例を示す説明図である。
【図2】図1のフィラーチューブの要部断面図である。
【図3】本発明に係るフィラーチューブの第2実施例を示す要部断面図である。
【図4】本発明に係るフィラーチューブの第3実施例を示す要部断面図である。
【図5】本発明に係るフィラーチューブの第4実施例を示す要部断面図である。
【図6】本発明に係るフィラーチューブの第5実施例を示す要部断面図である。
【図7】本発明に係るフィラーチューブの第6実施例を示す要部断面図である。
【図8】従来のフィラーチューブの構成を示す説明図である。
【図9】図8のフィラーチューブ先端部の構成を示す説明図である。
【図10】従来のフィラーチューブの構成を示す説明図である。
【図11】図10のフィラーチューブ先端部の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 フィラーチューブ
2 燃料タンク
2a タンク底面
3 給油口
4 フィラーホース
4a 先端部
5 内側チューブ
5a 基端部
5b フランジ
5c 先端部
5d 中間部
6 チューブ取付用孔
7 フィラーチューブロア
8 フィラーチューブロア
8a フランジ
9 フィラーチューブロア
9a フランジ
10 スタッドボルト
11 ナット
12 ワッシャー
13 切欠き(弾性変形部)
14 蛇腹状変形部(弾性変形部)
15 薄肉状変形部(弾性変形部)
16 弾性変形部
Claims (3)
- 自動車の燃料タンクと、給油口とを連結するフィラーチューブの構造において、該フィラーチューブは、前記燃料タンクのチューブ取付用孔と前記給油口とを連結するフィラーホースと、前記チューブ取付用孔から前記燃料タンク内に向けて配設され、先端部が燃料タンクの底面に当接する内側チューブとを備えてなる一方、該内側チューブは、断面がほぼ全長に亙って前記チューブ取付用孔よりも小さく形成されると共に、該内側チューブは、前記燃料タンクの底面を押し込む方向に復元力が働くように設定されて、常に燃料タンクの底面に追従して当接状態を保つ弾性変形部を備え、該弾性変形部は、前記内側チューブの先端部の側面のみに前記内側チューブに沿って設けられ、前記内側チューブの復元力による燃料タンクの底面からの反力により弾性変形して、常に燃料タンクの底面との当接状態を保つスリット状の切欠きであることを特徴とするフィラーチューブの構造。
- 前記内側チューブにおける、前記チューブ取付用孔に取付けられる基端部の断面を前記チューブ取付用孔と同一かわずかに大きく形成し、前記内側チューブは、該基端部にて前記チューブ取付用孔に嵌着、固定される請求項1記載のフィラーチューブの構造。
- 前記内側チューブの基端部にはフランジが形成されている請求項1乃至請求項2のいずれかに記載のフィラーチューブの構造。
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