JP3592135B2 - パネルの補強構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はパネルの補強構造に関し、特に自動車のフロアパネルの面剛性を高めて振動や騒音の防止を図ったパネルの補強構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動車の車体フロア構造おいては、図3に示すように、フロアパネル21の中央部に前後方向のフロアトンネル22が形成され、このフロアトンネル22の両側方下面に断面形状ハット型のフロアサイドメンバ23が配置されてその両側のフランジ部24がスポット溶接にて接合され、フロアパネル21のその他の部分には適宜に補強用のビードが形成されていた。
【0003】
ところが、フロアパネル21のフロアサイドメンバ23上に対向する部分がフロア面と面一の平面のままであると、その部分の面剛性が低く、上下方向の振動を発生するという問題があり、その対策として、図3に示すように、フロアパネル21とフロアサイドメンバ23の両側のフランジ部24との接合部の内側に、フロアサイドメンバ23の長手方向に沿って断面形状が低い台形状のビード25を形成したものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図3に示すような車体フロア構造でも、ビード25の上面が比較的幅広で長く延びる平面状であるため、例えば250〜500Hz程度の振動周波数帯域で、矢印26で示す如く上下方向の振動が発生し、フロア面の振動や音の発生を確実に防止できないという問題があった。
【0005】
なお、特開昭63−43874号公報や特開平5−221342号公報には、フロアパネルに車幅方向に延びる断面形状略台形状のビードをフロアサイドメンバと一部交叉させ、又は完全に横断させて形成したものが開示されているが、フロアサイドメンバの両側のフロアパネル面の振動や騒音の発生の防止を図ったものであり、そのビードは、断面幅のかなり大きなものを適当なピッチ間隔で配列しないと広いフロアの面剛性を高くできず、断面幅や配列ピッチが大きいと、上記のように平面状のビード上面やビード間のフロア面での振動や音の発生を防止できないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、パネルの面剛性を高めて振動や騒音の防止を図ったパネルの補強構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、両側縁がサイドシルに接合され、車幅方向中央部に前後方向に延びるフロア トンネルが形成されたフロアパネルの下面に、断面形状ハット型のフロアサイドメンバが、前記フロアトンネルの両側方位置のそれぞれにおいて、その両側のフランジ部において接合されて配置され、フロアトンネルとフロアサイドメンバとの間、およびフロアサイドメンバとサイドシルとの間のそれぞれにおいて、一端がフロアサイドメンバに近接するビードが前記フロアパネルに形成され、フロアパネルのフロアサイドメンバ配設部分に、少なくともフロアサイドメンバの両側のフランジ部間にわたって延びかつフランジ部の外側縁の近傍で閉じるビードを、フロアサイドメンバの長手方向に適当間隔おきに形成したことを特徴とする。本発明によれば、フロアパネル面がフロアサイドメンバの略フランジ部間にわたる複数のビードにて分断されることによって面剛性が高くなり、面振動及びそれによる騒音の発生を防止することができる。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
また本発明によれば、パネル面のフロアサイドメンバ配設部分がフランジ間にわたる複数のビードにて上記のように面剛性を高くできるとともに、フロアサイドメンバ配設部分の両側に一端がフロアサイドメンバに近接するビードが形成され、これらビードにて面剛性を高くできるため、フロアパネルの全面の面剛性を簡単なビードを形成するだけで高くでき、高い振動・騒音の防止効果を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のパネルの補強構造を自動車のフロアパネルに適用した一実施形態について、図1、図2を参照して説明する。
【0014】
図2において、1は自動車の前部のフロアパネルであり、車幅方向中央部に前後方向に延びる断面形状略台形状のフロアトンネル2が上方に突出して形成されている。フロアトンネル2から両側方に適当距離の位置のフロアパネル1の下面には、断面形状ハット型の補強部材としてのフロアサイドメンバ3が配設され、フロアパネル1の両側縁にはサイドシル(図示せず)に対する接合フランジ4が立ち上げ形成されている。
【0015】
フロアパネル1の前後方向中間部の上部にはフロアトンネル2とサイドシル(図示せず)との間にわたって仮想線で示すフロアクロスメンバ5が配設され、このフロアクロスメンバ5から適当距離後方位置の外側位置には、フロントシート(図示せず)の後部外側の支持ブラケット(図示せず)を取付けるための取付座6が形成されている。なお、フロントシート(図示せず)の前部両側はフロアクロスメンバ5で支持され、後部内側の支持ブラケットはフロアトンネル2に取付けられる。また、フロアパネル1におけるフロントシートの後部位置、即ち取付座6の直ぐ後部位置には、それより前方の僅かに上方傾斜した部分と後方の水平な部分との間の折曲領域7が形成されている。
【0016】
フロアパネル1におけるフロアトンネル2、フロアサイドメンバ3の配設部分、フロアクロスメンバ5の配設部分、取付座6、及び折曲領域7を除いた部分には、これらによって区画された領域のそれぞれにかなり大きな面積の略方形ないし長方形の3次曲面ビード8が形成されている。
【0017】
フロアパネル1のフロアサイドメンバ3に対向する部分においては、図1に詳細に示すように、フロアサイドメンバ3の上端両側のフランジ部10、10間にわたって延びかつフランジ部10の外側縁の近傍で閉じるビード11がフロアサイドメンバ3の長手方向に適当間隔おきに形成されている。そのビード11は、例えば細長い半楕円面などの3次曲面に形成されており、その両端は両側のフランジ部10の外側縁より若干外側まで延出されている。そして、フロアパネル1とフロアサイドメンバ3のフランジ部10とが、各ビード11の両端部の両側位置でスポット溶接12にて接合されている。
【0018】
また、フロアクロスメンバ5の配置部分でも同様のビード13が形成されており、さらに折曲領域7では車幅方向のビード14が複数並列させて形成されている。
【0019】
以上の構成によれば、フロアパネル1のフロアサイドメンバ3に対向する部分が、フロアサイドメンバ3のフランジ部10、10間にわたる剛性の高いビード11にて分断されることにより面剛性が高くなり、面振動及びそれによる騒音の発生を防止することができる。
【0020】
特に、本実施形態ではビード11が3次曲面にて構成されているので、ビード11の剛性が高く、さらに各ビード11の両端が両側のフランジ部10の外側縁の外側まで延出されているので、ビード11の剛性がフランジ部10との接合部まで高く維持され、一層高い振動・騒音の防止効果が得られる。さらに、各ビード11の両端部の両側位置で、フロアパネル1をフロアサイドメンバ3のフランジ部10に接合しているので、ビード11とフロアサイドメンバ3のフランジ部10がより高い剛性で接合固定され、高い振動・騒音の防止効果が得られる。
【0021】
また、上記のようにフロアパネル1のフロアサイドメンバ3に対向する部分はフランジ部10、10間にわたるビード11にて上記のように面剛性を高くできるとともに、フロアパネル1のフロアサイドメンバ3の側方部分には方形ないし長方形の比較的大きな面積の3次曲面ビード8を形成しているので、フロアパネル1のフロアサイドメンバ3の側方部分の面剛性も高く、ビード11と3次曲面ビード8の組合せによって、フロアパネル1の全面の面剛性を簡単なビードを形成するだけで高くでき、高い振動・騒音の防止効果を得ることができる。
【0022】
以上の説明では、3次曲面のビード11をフランジ部10の外側縁の外側まで延出するように形成した例を示したが、フランジ部10の外側縁の近傍内側で閉じるように形成してもよい。
【0023】
また、上記実施形態では、3次曲面のビード11を形成した例を示したが、それに代えて、例えば端部を除いて断面円弧状などの2次曲面で、両端部はコーナー部がR曲面で接続された傾斜面や球面などでパネル面に接続されたビードなど、その他の形状のビードを適用してもよい。
【0024】
さらに、上記実施形態では、パネル1に補強部材3の両側のフランジ部10、10間にわたって延びかつフランジ部10の外側縁の近傍で閉じるビード11を上方に突出させて形成した例を示したが、図1(b)に仮想線で示すように、フランジ部10、10の間で下方に突出する3次曲面のビード15を補強部材3の長手方向に適当間隔おきに形成してもよい。この場合にも、補強部材3に対向するパネル面の面剛性を3次曲面のビード15により高くでき、面振動及びそれによる騒音の発生を防止することができる。
【0025】
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、フロアパネルのフロアサイドメンバ配設部分が、フロアサイドメンバのフランジ部間にわたる複数のビードにて分断されることによって面剛性が高くなり、面振動及びそれによる騒音の発生を防止することができ、フロアアスファルトシートを削減したり、廃止したりすることができ、重量及びコストを低減できる等の効果が得られる。
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
また本発明によれば、フロアサイドメンバ配設部分に設けたビードに加えフロアサイドメンバ配設部分の両側に設けたビードによって、フロアパネルの全面の面剛性を簡単なビードを形成するだけで高くでき、高い振動・騒音の防止効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパネルの補強構造を適用したフロアパネルを示し、(a)は要部の部分斜視図、(b)は(a)のA−A矢視断面図である。
【図2】同実施形態のフロアパネルの全体斜視図である。
【図3】従来例のフロアパネルの補強構造を示し、(a)は要部の部分斜視図、(b)は(a)のB−B矢視断面図である。
【符号の説明】
1 フロアパネル
フロアサイドメンバ
ビード
10 フランジ部
11 ビード
15 ビード
22 フロアトンネル

Claims (1)

  1. 両側縁がサイドシルに接合され、車幅方向中央部に前後方向に延びるフロアトンネルが形成されたフロアパネルの下面に、断面形状ハット型のフロアサイドメンバが、前記フロアトンネルの両側方位置のそれぞれにおいて、その両側のフランジ部において接合されて配置され、フロアトンネルとフロアサイドメンバとの間、およびフロアサイドメンバとサイドシルとの間のそれぞれにおいて、一端がフロアサイドメンバに近接するビードが前記フロアパネルに形成され、フロアパネルのフロアサイドメンバ配設部分に、少なくともフロアサイドメンバの両側のフランジ部間にわたって延びかつフランジ部の外側縁の近傍で閉じるビードを、フロアサイドメンバの長手方向に適当間隔おきに形成したことを特徴とするパネルの補強構造。
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