JP5687478B2 - 自動車のフロア構造 - Google Patents

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本発明は、トンネル部を有するフロアパネルと、該フロアパネルの左,右縁部に配設されたロッカパネルと、前記フロアパネル下面のトンネル部とロッカパネルとの間に配設されたサイドメンバとを備えた自動車のフロア構造に関する。
自動車のフロア部は、車幅方向中央部に凸形状をなすトンネル部が形成されたフロアパネルの左,右側縁部にロッカパネルを結合するとともに、前記フロアパネルの下面の前記ロッカパネルとトンネル部との間に左,右のサイドメンバを結合した構造となっている。
このようなフロア部では、例えばトンネル部内に配置された排気管からの振動がトンネル部を介してフロアパネルに伝わることにより生じるこもり音が発生し易く、またエンジン,路面からの振動がロッカパネル,サイドメンバを介してフロアパネルに伝わることにより生じるノイズが発生し易い。このため、例えば、特許文献1,2参照では、フロアパネルのトンネル部,クロスメンバ及びサイドメンバ等により囲まれた領域に曲面形状のビードを形成することにより、こもり音やノイズを抑制するようにしている。
一方、近年の特に小型車においては、需要の拡大を図る観点から、軽量化,低コスト化が強く要請されており、このような要請に応えるために、前記こもり音,ノイズの抑制を図りつつ、フロアパネルの板厚の薄板化が検討されている。
特開2000−335446号公報 特開2006−281955号公報
ところで、前記従来構造のように、フロアパネルに単に曲面形状のビードを形成するだけでは、こもり音やノイズの抑制効果が十分に得られないことが判明した。特に、フロアパネルを薄板化した場合には、こもり音,ノイズの発生がより顕著になる傾向がある。そこで、軽量化,低コスト化が望まれる小型車において、フロアパネルの薄板化を図りつつ、こもり音やノイズの発生を抑制できる最適なフロア構造の検討が要請されている。
本発明は、前記従来の実情に鑑みてなされたもので、フロアパネルの薄板化を図りつつ、こもり音やノイズの発生を抑制できる自動車のフロア構造を提供することを課題としている。
本発明は、車幅方向中央部に車両前後方向に延びるよう形成されたトンネル部を有するフロアパネルと、該フロアパネルの車幅方向側縁部に配設され、車両前後方向に延びるロッカパネルと、前記フロアパネルの下面の前記ロッカパネルと前記トンネル部との間に配設され、車両前後方向に延びるサイドメンバとを備えた自動車のフロア構造であって、
前記フロアパネルに、複数の直線ビードを、前記トンネル部の縦壁部から前記サイドメンバに近接するよう車幅方向に略直線状に延びるように、かつ前後方向に所定間隔をあけて形成し、前記サイドメンバと前記ロッカパネルとの間の領域に渡って拡がるとともに下方に凹む曲面状の凹状曲面ビードと上方に膨らむ曲面状の凸状曲面ビードを、車両前後方向に所定間隔をあけて、かつ交互に形成したことを特徴としている。
本発明に係るフロア構造によれば、フロアパネルに、トンネル部の縦壁部からサイドメンバに向かって略直線状に延びる直線ビードと、サイドメンバからロッカパネルまでの領域に渡って曲面状をなすように拡がる曲面ビードとをそれぞれ車両前後方向に所定間隔をあけて形成する構成とした。
このように構成したので、前記直線ビードによりフロアパネルのトンネル部とサイドメンバとの間の剛性を高めることができ、排気管からの振動が伝わるのを抑制することができ、それだけこもり音の発生を低減できる。即ち、排気管からの振動入力により発生するこもり音は、トンネル部を含む左,右のサイドメンバ間のフロアパネル全体の上下振動が起因している。このため、フロアパネルのトンネル部の縦壁部からサイドメンバに向かって延びる直線ビードを形成することにより、フロアパネル全体の剛性が高くなり、排気管からの振動入力が抑制されることとなる。
また前記曲面ビードによりフロアパネルのサイドメンバとロッカパネルとの間の面剛性を高めることができ、エンジンや路面からの振動がロッカパネル,サイドメンバを介してフロアパネルに伝わるのを抑制することができ、それだけノイズの発生を低減できる。即ち、ロッカパネル,サイドメンバを介して伝わるエンジン,路面からの振動に起因するエンジンノイズ,ロードノイズ等のノイズ周波数に対応した最適な大きさの曲面ビードを設けることにより、ノイズの低減が可能となる。
このように本発明では、騒音の原因となるこもり音,ノイズに対応した直線ビード,曲面ビードを適宜設定することにより、こもり音,ノイズを抑制することができ、これによりフロアパネルの薄板化を実現でき、小型車の軽量化,低コスト化の要請に応えることができる。
本発明の実施例1による自動車のフロア部の平面図である。 前記フロア部の断面側面図である。 前記フロア部のフロアパネルの断面図(図1のIII-III線断面図)である。 前記フロアパネルの断面図(図1のIV-IV線断面図)である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図4は、本発明の実施例1による自動車のフロア構造を説明するための図である。なお、本実施例の説明のなかで前後,左右という場合は、特記なき限り、フロアに搭載されたシートに着座した状態で車両進行方向に見た場合の前後,左右を意味する。
図において、1は自動車のフロア部を示している。このフロア部1は、車体中心線Cに対して略左,右対称をなしており、車幅方向中央部に車両前後方向に延びるよう形成されたトンネル部2aを有するフロアパネル2と、該フロアパネル2の車幅方向左,右側縁部2b,2bに配設された車両前後方向に延びるロッカパネル3,3と、前記フロアパネル2の下面の左,右のロッカパネル3とトンネル部2aとの間に配設された車両前後方向に延びる左,右のサイドメンバ4,4とを備えている。
前記左,右のロッカパネル3は、不図示のロッカアウタとロッカインナ3aとを閉断面をなすよう結合した構造を有し、該ロッカインナ3aに前記フロアパネル2の左,右側縁部2bが結合されている。
前記左,右のサイドメンバ4は、大略上方に開口する断面ハット形状を有し、車幅方向側方から見ると、略水平をなすフロント部4aと、該フロント部4aの後端から斜め下方に傾斜して延びるキック部4bと、該キック部4bの下端から車両後方に略直線状に延びるリヤ部4cとを有する(図2参照)。
前記左,右のフロント部4a間に不図示のエンジンユニットが搭載されており、前記左,右のリヤ部4cの上面に前記フロアパネル2が配置されている。
前記フロアパネル2のトンネル部2aは、略平坦をなす一般面2′から上方に起立して延びる左,右縦壁部2d,2dと、該左,右縦壁2dの上端間に一体に形成された上壁部2eとを有する。この上壁部2eの前部にはシフトレバー挿通孔2cが形成されている。
前記トンネル部2a内には、エンジンユニットに接続された排気管(不図示)を支持する複数本のハンガー部材6が車両前後方向に間隔をあけて取り付けられている。
前記フロアパネル2の車両前後方向中央部には、車幅方向に延びるクロスメンバ7が配設されている。このクロスメンバ7は、下方に開口する断面ハット形状をなしており、その車幅方向外端部の左,右フランジ部7a,7aが前記ロッカパネル3に結合され、前,後フランジ部7b,7cがフロアパネル2に結合されている。
前記クロスメンバ7には、不図示のフロントシートが取り付けられている。このフロアパネル2のクロスメンバ7の前側部分が乗員の足載せ部となっている。
前記フロアパネル2の上面には、左,右のフロアメンバ9,9が該フロアパネル2を挟んで前記左,右のサイドメンバ4に対向するように配設されている。
この左,右のフロアメンバ9は、下方に開口する断面ハット形状をなしており、これの車幅方向内,外フランジ部9a,9bは、前記フロアパネル2とともに前記サイドメンバ4の内,外フランジ部4d,4eに3枚重ねてスポット溶接により結合されている。
前記左,右のフロアメンバ9の後端部9cは、前記クロスメンバ7とフロアパネル2との間に挿入配置され、該クロスメンバ7の前フランジ部7bとともにフロアパネル2に3枚重ねてスポット溶接により結合されている。
前記フロアパネル2は、これのトンネル部2a,前記左,右のサイドメンバ4及びクロスメンバ7により、それぞれ前,後内側平坦部2f,2gに画成されている。
また前記フロアパネル2は、前記左,右のサイドメンバ4,左,右のロッカパネル3及びクロスメンバ7により、それぞれ前,後外側平坦部2h,2iに画成されている。
詳細には、前,後内側平坦部2f,2gは、トンネル部2aとサイドメンバ4とクロスメンバ7とで囲まれた領域により形成されており、前,後外側平坦部2h,2iは、サイドメンバ4とロッカパネル3とクロスメンバ7とで囲まれた領域により形成されている。また前記後外側平坦部2iは、これの前後方向中央部に結合されたシートブラケット11により前平坦部2i′と後平坦部2i′′とに画成されている。
前記フロアパネル2の前内側平坦部2f及び後内側平坦部2f,2gには、それぞれ前記トンネル部2aの左,右縦壁部2dから前記サイドメンバ4に向かって車幅方向に略直線状に延びる4つの直線ビード2j,2kが車両前後方向に所定間隔をあけて形成されている。
前記各直線ビード2j,2kは、上方に凸状をなすように形成されており、トンネル部2aの縦壁部2dに続いてフロアメンバ9に近接するよう延びている。
前記前内側平坦部2fの前,後に位置する各直線ビード2jは、フロアメンバ9の近傍まで延びており、中央部に位置する2つの直線ビード2jは、フロアパネル2に形成された孔2qの手前まで延びている。また前記後内側平坦部2gの各直線ビード2kは、何れもサイドメンバ4の近傍まで延びている。
前記フロアパネル2の前外側平坦部2h及び後外側平坦部2iの前平坦部2i′,後平坦部2i′′には、それぞれ左,右のサイドメンバ4からロッカパネル3までの領域に渡って拡がるとともに下方に凹む曲面ビード(凹状曲面ビード)2m,2pと上方に膨らむ曲面ビード(凸状曲面ビード)2nが、車両前後方向に所定間隔をあけて、かつ交互に形成されている。前記各曲面ビード2m,2n,2pは、前,後側平坦部2h,2iの略全域に拡がる略球面状をなしている。
この前,後の曲面ビード2m,2pは、下方に凹むように形成されており、中央の曲面ビード2nは、上方に膨らむように形成されている(図4参照)。
なお、逆に、前,後の曲面ビード2m,2pを上方に膨らむように形成し、中央の曲面ビード2nを下方に凹むように形成しても良い。
本実施例によれば、フロアパネル2に、これのトンネル部2aの左,右縦壁部2dからサイドメンバ4に向かって略直線状に延びる直線ビード2j,2kと、サイドメンバ4からロッカパネル3までの領域に渡って曲面状をなすよう延びる曲面ビード2m,2n,2pとをそれぞれ車両前後方向に所定間隔をあけて形成した。
このように構成したので、前記直線ビード2j,2kにより、フロアパネル2のトンネル部2aと左,右のサイドメンバ4との間の剛性を高めることができ、排気管からの排気脈動等に起因する振動が伝わるのを抑制することができ、それだけこもり音の発生を低減できる。
即ち、排気管からの振動入力により発生するこもり音は、トンネル部2aを含む左,右のサイドメンバ4間のフロアパネル2全体の上下振動が起因している。このため、フロアパネル2のトンネル部2aの左,右縦壁部2dからサイドメンバ4に向かって延びる直線ビード2j,2kを形成することにより、フロアパネル全体の剛性が高くなり、排気管からの振動入力が抑制されることとなる。
また前記各曲面ビード2m,2n,2pにより、フロアパネル2の左,右のサイドメンバ4とロッカパネル3との間の面剛性を高めることができ、エンジンや路面からの振動がロッカパネル3,サイドメンバ4を介してフロアパネル2に伝わるのを抑制することができ、それだけノイズの発生を低減できる。即ち、ロッカパネル,サイドメンバを介して伝わるエンジン,路面からの振動に起因するエンジンノイズ,ロードノイズ等のノイズ周波数に対応した最適な大きさ,あるいは曲率を有する曲面ビード2m,2n,2pを設けることにより、ノイズの低減が可能となる。
このように本実施例では、耳障りな騒音の原因となるこもり音,ノイズに対応した直線ビード2j,2k,曲面ビード2m,2n,2pを適宜設定することにより、こもり音,ノイズを抑制することができ、これによりフロアパネルの薄板化を可能にでき、小型車の軽量化,低コスト化の要請に応えることができる。
なお、前記実施例では、直線ビード2j,2kを、サイドメンバ4に近接する位置まで形成した場合を説明したが、本発明では、直線ビードをサイドメンバ,フロアメンバに上下方向に重なる位置まで延長してもよい。
1 フロア部
2 フロアパネル
2a トンネル部
2b 左,右側縁部
2d 左,右縦壁部
2j,2k 直線ビード
2m,2n,2p 曲線ビード
3 ロッカパネル
4 サイドメンバ

Claims (1)

  1. 車幅方向中央部に車両前後方向に延びるよう形成されたトンネル部を有するフロアパネルと、該フロアパネルの車幅方向側縁部に配設され、車両前後方向に延びるロッカパネルと、前記フロアパネルの下面の前記ロッカパネルと前記トンネル部との間に配設され、車両前後方向に延びるサイドメンバとを備えた自動車のフロア構造であって、
    前記フロアパネルに、複数の直線ビードを、前記トンネル部の縦壁部から前記サイドメンバに近接するよう車幅方向に略直線状に延びるように、かつ前後方向に所定間隔をあけて形成し、
    前記サイドメンバと前記ロッカパネルとの間の領域に渡って拡がるとともに下方に凹む曲面状の凹状曲面ビードと上方に膨らむ曲面状の凸状曲面ビードを、車両前後方向に所定間隔をあけて、かつ交互に形成した
    ことを特徴とする自動車のフロア構造。
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