JP3591606B2 - ゴム変性共重合樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は優れた帯電防止性を有し、かつ、透明性と耐衝撃性に優れた制電性樹脂組成物であり、とりわけ機械的強度の低下もなく、持続的な帯電防止性能を有する新規なゴム変性共重合樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリスチレン、ABS樹脂等のスチレン系樹脂は機械的強度や寸法安定性に優れていることで、多くの分野で成形材料として使用されている。 ところが、これらのプラスチックは絶縁体であるため摩擦等による静電気で帯電し易いのが欠点である。そのために、家庭用品などではゴミが付着して表面が汚れたり、電子・電気機械部品では発生した静電気による障害を起こしたりすることがある。
【0003】
そこで、近年、前記問題の解決策として吸水性のポリマーであるポリアルキレンオキサイドやポリエーテルエステルアミドを界面活性剤と組み合わせて樹脂にブレンドした技術が開示されている。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの吸水性ポリマーは透明なスチレン系樹脂とは相溶性が悪く、樹脂にブレンドしても透明性が失われるばかりか、層状剥離を起こしたり、機械的強度が低下するために、これらの開示された技術は透明性を有するスチレン系樹脂の帯電防止には応用出来ないという課題を有する他、成形品表面のブリードが著しく制電性の効果が長期に渡って持続しないという課題を有していた。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、制電効果の持続性、透明性および耐衝撃性樹脂に優れたスチレン系樹脂を提供することにある。また、原料合成も含めて目的物の製造において煩雑な工程がなく、生産性とコストの両面からも優位性がある樹脂組成物を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、この様な状況に鑑み鋭意研究した結果、特定のゴム質共重合体とスチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとのグラフト共重合体と、帯電防止剤として水酸基を含有するアミン系化合物とスルホン酸基のナトリウム塩を置換基として有する脂肪族ジカルボン酸のジアルキルエステルとを必須成分としており、さらに分子骨格内に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルの共重合体を特定の割合で上記樹脂に混合することにより従来の課題を解決できることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明はスチレン骨格含有率が5〜55重量%のスチレン系モノマーとジエン系モノマーとのゴム質共重合体(a−1)と、スチレン系モノマー(a−2)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a−3)とをゴム質ブロック共重合体(a−1)が1〜20重量%となる割合で用いてグラフト重合して得られる樹脂(A)と、水酸基を含有するアミン系化合物(B)と、スルホン酸基のナトリウム塩を置換基として有する脂肪族ジカルボン酸のジアルキルエステル(D)とを必須成分とすることを特徴とするゴム変性樹脂組成物に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるゴム変性グラフト共重合体(A)の製造に用いられるゴム質共重合体(a−1)を構成するスチレン系モノマーとしては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、ターシャリーブチルスチレン、o−ブロムスチレン、m−ブロムスチレン、p−ブロムスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン等が挙げられるが、中でもスチレンがジエン系モノマーとの反応性に優れる点から好ましい。
【0009】
一方、ゴム質共重合体(a−2)を構成する、ジエン系モノマーとしては、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等が挙げられるが、中でもブタジエンがスチレン系モノマーとの反応性に優れる点から好ましい。
【0010】
本発明で用いるゴム質共重合体(a−1)は、上述したスチレン系モノマーとジエン系モノマーとを、スチレン成分含有率が5〜55重量%となる割合で共重合したものであるが、スチレン成分含有率が5重量%未満の場合は透明性が損なわれ、一方、スチレン成分含有率が55重量%を越える場合には、透明性は良好であるものの、衝撃強度が低下する。これらのバランスに優れる点から特にスチレン成分含有率30〜45重量%であることが好ましい。
【0011】
更に、ゴム質共重合体(a−1)は、5重量%スチレン溶液粘度が5〜40センチポイズのものが、耐衝撃強度の向上効果が大きく、かつ製造に際してゴム粒子径のコントロールが容易な点で好ましく、特に25℃での5重量%スチレン溶液粘度が10〜30センチポイズで、かつ100℃でのLローター使用によるムーニー粘度が20〜80のものが好ましい。また、ゴム質共重合体(a−1)のスチレンとブタジエンの結合様式としては、ランダム結合とブロック結合とが挙げられ、いずれも使用できるが、なかでもブロック結合のものが好ましい。
【0012】
更に、上記ブロック共重合ゴム(a−1)は、ジエン系モノマーに基づく不飽和結合のうちの1,2−ビニル結合の割合が14〜35重量%のものが、ゴム変性共重合樹脂中のトルエン不溶分含有率が上昇し、更に、製造時の高温下での架橋の進行を抑制でき、グラフト化率と架橋の程度とのバランスが良好となってゴム弾性が向上するために耐衝撃性が著しく向上する為に好ましい。この場合、1,2−ビニル結合の残りはシスおよびトランス結合を形成している。
【0013】
次に、ゴム変性グラフト共重合体(A)の製造において、前記ブロック共重合ゴム(a−1)にグラフト重合させるスチレン系モノマー(a−2)としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、ターシャリーブチルスチレン、o−ブロムスチレン、m−ブロムスチレン、p−ブロムスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン等が挙げられ、なかでも透明性とコストに優れる点からスチレンが好ましい。
【0014】
前記ブロック共重合ゴム(a−1)にグラフト重合させる(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a−3)は、本発明のゴム変性共重合樹脂に透明性を付与する必須成分であるが、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル等が挙げられ、なかでもメタクリル酸メチルが主成分であることが好ましい。
【0015】
また、更に樹脂(A)においては、2種類以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを併用してもよく、メタアクリル酸メチルと併用する場合、例えばアクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−iso−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等が挙げられ、なかでも流動性と相溶性の点からアクリル酸−n−ブチルが好ましい。
【0016】
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a−3)として、メタクリル酸メチルを用いる場合には、更にアクリロニトリルを併用してグラフト共重合させることが、耐油性と強度がより良好となり好ましい。
【0017】
上記ゴム質共重合体(a−1)とスチレン系モノマー(a−2)と(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a−3)の使用割合は、特に制限されるものではないが、通常、(a−1)/[(a−2)+(a−3)] の重量比が1/99〜20/80 で、かつ(a−2)/(a−3)の重量比が 15/85〜70/30 となる範囲であることが透明性と耐衝撃性とに優れる点から好ましく挙げられるが、更に剛性も極めて高くなる点から(A)/[(B)+(C)] の重量比が3/97〜15/85 で、かつ(a−2)/(a−3)の重量比が30/70 〜60/40 となる範囲が好ましい。
【0018】
特に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a−3)として、メタクリル酸メチルを用いる場合は、上記共重合ゴム(a−1)とスチレン系モノマー(a−2)と(メタ)アクリル酸アルキルアルキルエステル(a−3)の使用割合は、(a−1)/[(a−2)+(a−3)]の重量比が3/97〜16/84で、かつ、(a−2)/(a−3)の重量比が30/70〜60/40となる範囲が透明性と耐衝撃強度とが著しく優れたものが得られる点で好ましく、更に、(a−1)/[(a−2)+(a−3)]の重量比は、更に5/95〜12/88となることが透明性と耐衝撃強度が一層向上する点から好ましい。また、(a−3)の2〜20重量%をその他のアクリル酸アルキルエステルに置換しても良い。
【0019】
さらに、本発明で用いる混合溶液には、必要に応じて、ミネラルオイル等の可塑剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、長鎖脂肪酸、そのエステルもしくはその金属塩等の離型剤、シリコンオイルなどの如き公知の添加剤を併用しても良い。
【0020】
この様にして得られるゴム変性グラフト共重合体(A)は、25℃でのトルエン不溶分含有率が4〜22重量%、トルエンによる膨潤指数が11〜19で、かつトルエン不溶分含有率/膨潤指数が0.20〜1.20重量%であることが好ましい。この数値範囲にある場合、ゴム変性共重合樹脂は、該樹脂内において該共重合ゴムのグラフト化率と架橋の程度のバランスが良好となり、透明性、耐衝撃性が著しく向上するものである。
【0021】
また、ゴム変性グラフト共重合体(A)中のグラフトされたブロック重合体(a−1)の平均ゴム粒子径は0.05〜1.2μmであることが好ましく、特にゴム変性共重合樹脂組成物の透明性と耐衝撃性とに優れる点から0.15〜0.80μmのものが好ましい。
【0022】
ここで、上記平均ゴム粒子径は、例えば次の方法によって測定できる。即ち、樹脂の超薄切片法による透過型電子顕微鏡写真をとり、写真中の粒子1000個の粒子径を測定して次式により平均粒子径を求められる。
【0023】
【式1】
(ただし、ni は粒径Di を有するゴム粒子の個数である。)
【0024】
また、該樹脂中のマトリックス相である(a−2)、(a−3)との共重合体の重量平均分子量(Mw)が10万〜18万で、かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.8〜2.5のものが好ましく、なかでも重量平均分子量(Mw)が12〜15万のもの耐衝撃性及び樹脂の流動性が向上し透明性に優れる点から特に好ましい。
【0025】
本発明のゴム変性グラフト共重合体(A)を製造するには、上記ゴム質重合体(a−1)の存在下に、スチレン系モノマー(a−2)と(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a−3)を必須成分として用い、必要に応じてその他の共重合能なモノマーと共に乳化重合、塊状−懸濁重合、溶液重合又は連続塊状重合によりグラフト共重合させればよいが、なかでも連続塊状重合が生産性とコスト面から好ましい。
【0026】
特に、攪拌式反応器と可動部分のない複数のミキシングエレメントが内部に固定されている管状反応器を組み込んだ連続塊状重合ライン中で、該管状反応器による静的な混合を行いながら連続的に塊状重合を行うと、ゴム粒子径が小さく、ポリマー組成を均一にコントロールでき、透明性と耐衝撃性の向上効果に著しく優れる樹脂(A)が効率的に製造できる点で好ましい。
【0027】
以下に、攪拌式反応器と可動部分のない複数のミキシングエレメントが内部に固定されている管状反応器(以下、「静的ミキシングエレメントを有する管状反応器」と略す)を組み込んだ連続塊状重合ラインを用いてのゴム変性グラフト共重合体(A)を製造する方法を詳説する。
【0028】
第1図は、静的ミキシングエレメントを有する管状反応器を組み込んだ連続塊状重合ラインの一例を示す工程図である。
プランジャーポンプ(1)によって供給される前記(a−1)、(a−2)および(a−3)を必須成分として含む混合溶液は、まず撹拌式反応器(2)へ送り、撹拌下で初期グラフト重合させた後、ギアポンプ(3)により、静的ミキシングエレメントを有する管状反応器(4),(5)および(6)とギアポンプ(7)とを有する循環重合ライン(I)に送る。
【0029】
尚、撹拌式反応器(2)での初期グラフト重合と循環重合ライン(I)と組み合わせることで、ゴム粒子に余分な剪断が加わらずゴム粒子のより効率的な微細化が可能となり、重合工程でのポリマー組成を均一化出来る点で好ましい。この場合の初期グラフト重合は、スチレン系モノマー(a−2)と(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a−3)の合計の重合転化率が、該反応器(2)の出口において10〜28重量%、好ましくは14〜24重量%となる様に実施される。
【0030】
また撹拌式反応器(2)としては、例えば撹拌式槽型反応器、撹拌式塔型反応器等が挙げられ、撹拌翼としては、例えばアンカー型、タービン型、スクリュー型、ダブルヘリカル型等の撹拌翼が挙げられる。
【0031】
本発明では、反応器での上記混合溶液の粘性を低下させる為に溶剤を使用してもよく、その使用量は原料モノマーの合計100重量部に対して5〜20重量部である。溶剤の種類としては、通常、塊状重合法で使用されているトルエン、エチルベンゼン、キシレン等が適している。
【0032】
また、この製造方法においては、上記混合溶液中にゴム変性グラフト共重合体の分子量調節のために連鎖移動剤を添加すると好ましい。該連鎖移動剤の添加量は、通常原料モノマーの合計に100重量部に対して0.05〜0.5重量部の範囲である。上記の様に動的撹拌下に初期グラフト重合された混合溶液は、次いで循環重合ライン(I)内を循環しながらグラフト重合されると共に、その一部は連続的に静的ミキシングエレメントを有する管状反応器(8),(9)および(10)が直列に組み込まれた非循環重合ライン(II)に送られる。
【0033】
循環重合ライン(I)内での混合溶液中のゴム粒子は、該循環重合ライン(I)内を循環しながら静的に混合されて安定化し、粒子径も固定化してくる。この場合、該循環重合ライン(I)での混合溶液の還流比(R)と(a−2)および(a−3)の合計の重合転化率が重要な因子となる。 還流比Rは、非循環重合ライン(II)に流出せずに循環重合ライン(I)内を還流する混合溶液の流量をF1 (リットル /時間)とし、循環重合ライン(I)から非循環重合ライン(II)に流出する混合溶液の流量F2 (リットル/時間)とした場合、通常R=F1/F2 が3〜15の範囲であり、なかでも管状反応器での圧力損失が小さく、生成するゴム質重合体粒子が安定で、粒径を小さくすることができ、かつゴム変性共重合樹脂中のスチレン系モノマー(a−2)と(メタ)アクリル酸エステルおよび(a−3)の含有比率を一定に保つことができる点でR=5〜10の範囲が特に好ましい。
【0034】
また、該循環重合ライン(I)でのグラフト重合は、該循環重合ライン(I)出口での(a−2)及び(a−3)の合計の重合転化率が、通常35〜55重量%、好ましくは40〜50重量%になる様に重合させる。重合温度としては120〜135℃が適している。
【0035】
循環重合ライン(I)でグラフト重合された混合溶液は、次いで非循環重合ライン(II)に供給され、通常140〜160℃の重合温度でスチレン系モノマー(a−2)および(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a−3)の合計の転化率が60〜80重量%となるまで連続的にグラフト重合される。
【0036】
次に、この混合溶液はキアポンプ(11)により予熱器、次いで脱揮発槽に送られ、減圧下にて未反応単量体および溶剤を除去した後、ペレット化することにより目的とするゴム変性グラフト共重合体が得られる。この際、予熱器および脱揮発槽内での転化率の上昇が7重量%以下になる条件で予熱および脱揮発を行うと好ましい。
【0037】
この製造方法で用いる静的ミキシングエレメントを有する管状反応器の内部に固定されている複数のミキシングエレメントとしては、例えば管内に流入した重合液の流れの分割と流れ方向を変え、分割と合流を繰り返すことにより重合液を混合するものが挙げられる。このような管状反応器としては、例えば、SMX型、SMR型のスルザー式の管状ミキサー、ケニックス式のスタティックミキサー、東レ式の管状ミキサー等が好ましい。
【0038】
循環重合ライン(I)や非循環重合ライン(II)に組み込まれるこれらの管状反応器の数は、上記の如き管状反応器の場合、その長さやミキシングエレメントの構造等による異なるので特に限定されないが、ミキシングエレメントを4個以上有する該管状反応器を4〜15個、好ましくは6〜10個組み合せて用いる。このうち循環重合ライン(I)内に組み込む該管状反応器の数は、通常1〜10個、好ましくは2〜6個である。
【0039】
本発明で原料として用いる混合溶液には、必要に応じて重合開始剤として分解した際にフリーラジカルを放出する有機過酸化物を添加すると、比較的低い温度でのクラフト化と反応の促進が行えるので好ましい。その添加量は原料モノマーの合計100重量部に対して0.005〜0.04重量部の範囲である。
【0040】
ここで用いる有機過酸化物としては、半減期が10時間になる温度が75〜170℃のものが好ましく、その具体例としては 1,1−ジ−t−ブチパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシオクタン、n−ブチル−4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレレート、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン等のパーオキシケタール類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルパーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジークミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のパーオキシエステル類等が挙げられ、単独あるいは2種以上組み合せて用いられる。
【0041】
また、ここで用いるその他の共重合可能なモノマーとしては、例えば(メタ)アクリロニトリル等のビニル・シアン化合物類;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、桂皮酸等の重合性不飽和脂肪酸;N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−p−ブロモフェニルマレイミド、N−o−クロルフェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等に代表される不飽和カルボン酸無水物類;アリルアミン、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸−アミノプロピル等のアミノ基含有不飽和化合物類;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド等(メタ)アクリルアミド系化合物があげられる。
【0042】
本発明において必須の成分として用いられる水酸基を有するアミン系化合物(B)とは、特に限定されるものではないが、脂肪族アミンであることが制電性の持続性に優れる点から好ましい。なかでも、炭素原子数が2〜22の脂肪族炭化水素基を有するものが前記の効果が顕著となり好ましい。さらに、脂肪族アミンとしては1級、2級、3級アミンのいずれでも良いが、特に、初期的な制電効果の発現では官能基を含んだ脂肪族炭化水素基の多い3級アミンが良いが、制電効果の持続性という点からは2級アミンがより優れている。
【0043】
水酸基を有するアミン系化合物(B)は、分子構造内に水酸基を有するものであるが、当該水酸基は脂肪族炭化水素基に置換していることが好ましい。水酸基を有するアミン系化合物(B)は、水酸基の他に、ポリオキシエチレン基、カルボニル基等を脂肪族炭化水素基上に有していても良い。
【0044】
この様な水酸基を有するアミン系化合物(B)としては、例えば▲1▼1,2−エポキシアルカンとエタノールアミン若しくはジエタノールとの付加物である、β−ヒドロキシアルキル−N−エタノールアミン若しくはβ−ヒドロキシアルキル−N,N−ジエタノールアミン、▲2▼アルキルアミンのエチレンオキサイド付加物若しくはβ−ヒドロキシアルキルアミンのエチレンオキサイド付加物、および▲3▼ポリオキシエチレン脂肪酸アミド等が挙げられる。
【0045】
更に、具体的には▲1▼β−ヒドロキシアルキル−N−エタノールアミン若しくはβ−ヒドロキシアルキル−N,N−ジエタノールアミンとしては下記一般式1で表わされるものが挙げられ、例えば、β−ヒドロキシラウリル−N−エタノールアミン、β−ヒドロキシパルミチル−N−エタノールアミン、β−ヒドロキシステアリル−N−エタノールアミン、β−ヒドロキシラウリル−N,N−ジエタノールアミン、β−ヒドロキシパルミチル−N,N−ジエタノールアミン、β−ヒドロキシステアリル−N,N−ジエタノールアミンが挙げられる。
【0046】
【化1】
一般式1
R−CH(OH)−CH−NY−CH2CH2OH
(一般式1中、Rは炭素原子数6〜20のアルキル基、Yは水素原子または−CH2CH2OHをそれぞれ表わす)
【0047】
▲2▼アルキルアミンのエチレンオキサイド付加物若しくはβ−ヒドロキシアルキルアミンのエチレンオキサイド付加物としては、具体的には下記一般式2で表され、例えば、ラウリルアミンのエチレンオキサイド付加物、パルミチルアミンのエチレンオキサイド付加物、ステアリルアミンのエチレンオキサイド付加物、β−ヒドロキシラウリルアミンのエチレンオキサイド付加物、β−ヒドロキシパルミチルアミンのエチレンオキサイド付加物、β−ヒドロキシステアリルアミンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0048】
【化2】
R−CHX−CH−NY(CH2CH2O)nH
(式中、Rは炭素原子数6〜20のアルキル基、Xは水素原子または水酸基、Yは水素原子または(CH2CH2O)nH、nは2〜20の整数を表わす)
【0049】
▲3▼ポリオキシエチレン脂肪酸アミドとしては、例えば、N、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリン酸アミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)パルミチン酸アミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリン酸アミド等のN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)脂肪酸アミドが挙げられる。
【0050】
これらの中でも特に制電性の持続性に優れる点から▲1▼β−ヒドロキシアルキル−N−エタノールアミン若しくはβ−ヒドロキシアルキル−N,N−ジエタノールアミンが好ましい。
【0051】
これらの水酸基を有するアミン系化合物は1種類使用しても良く、また二種類以上併用しても良い。
【0052】
本発明で用いる共重合樹脂(C)は、分子骨格内に水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマーと該モノマと重合可能なモノマーとの共重合体であって、かつ、ゴム変性グラフト共重合体(A)に対する屈折率の差が±0.010であることが必要である。この様な共重合樹脂(C)を用いることにより、(A)〜(C)の各成分の相溶性が一層高まり、透明性を維持した上で、制電効果が著しく向上する。
【0053】
分子骨格内に水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマーと重合可能なモノマーとしてはスチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル等が代表例として挙げられるが、これらに限定されるものでは無い。
【0054】
また、前記共重合樹脂(C)は、更にゴム質重合体に上記モノマーをグラフト重合させることにより、更に衝撃強度を一層向上できる。
【0055】
特に、共重合体(C)の屈折率を調節するためには、スチレン系モノマー(c−1)、分子骨格内に水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(c−2)、その他の(メタ)アクリル酸アルキル(c−3)を必須成分とした共重合化を行うのが好ましい。
【0056】
スチレン系モノマー(c−1)としては、特に制限されないが、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、ターシャリーブチルスチレン、o−ブロムスチレン、m−ブロムスチレン、p−ブロムスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン等が挙げられ、なかでも透明性、相溶性に優れる点からスチレンが好ましい。
【0057】
分子骨格内に水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(c−2)としては、特に制限されないが、例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシイソプロピル、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0058】
その他のアクリル系モノマー(c−3)としては、メチル(メタ)クリレート、エチル(メタ)クリレート、エチル(メタ)クリレート、ブチル(メタ)クリレート等のアルキルエステル類が挙げられるが、なかでもメチル(メタ)クリレートが好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0059】
また、ゴム質重合体とのグラフト重合で共重合体(C)を得る場合に使用するゴム質重合体としては、例えば、例えば天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPDM、EPM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、塩素化ポリエチレンゴム(CSR)、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(Q)、ウレタンゴム(AU、EU)、多硫化ゴム(T)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、ノルボルネンゴムおよび/またそれらの加硫化された高分子材料が挙げられる。
【0060】
これらの中では耐衝撃性と透明性に優れる点からスチレンブタジエンゴム(SBR)及びブタジエンゴム(BR)が好ましい。
【0061】
共重合体(C)を製造する際の各成分の使用割合は特に制限されないが、分子骨格内に水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマーとその他のモノマーとを、重量基準で前者/後者=0.1/99.9〜20/80の割合で用いることが好ましく、特に、スチレン系モノマー(c−1)と、水酸基含有(メタ)アクリル系モノマー(c−2)と、その他の(メタ)アクリル系モノマー(c−3)とを共重合させる場合には、スチレン系モノマー(c−1)を30〜70重量%、水酸基含有(メタ)アクリル系モノマー(c−2)を0.1〜20重量%、その他のアクリル系モノマー(c−3)を20〜60重量%となる割合で用いることが既述した効果が顕著になる点から好ましい。また、更にゴム質重合体を用いる場合には、当該ゴム質重合体の原料成分に対する割合が、1〜20重量%となる割合で用いることが好ましい。
【0062】
また、共重合体(C)の分子量(ゴム質重合体とグラフト重合させる場合には、マトリックス樹脂の分子量)は、特に制限されるものではないが、共重合体(A)およびアミン系化合物(B)との相溶性が極めて良好となる点から重量平均分子量5,000〜500,000であることが好ましい。なかでもこの相溶性の効果がより顕著になる点から100,000〜200,000であることが更に好ましい。
【0063】
重合方法は、特に制限されるものではなく、例えば溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合等により重合する方法が挙げられるが、なかでも懸濁重合及び塊状重合が好ましい。
【0064】
特にゴム質重合体を用いる場合には、前記の攪拌式反応器と可動部分のない複数のミキシングエレメントが内部に固定されている管状反応器を組み込んだ連続塊状重合ライン中で、該管状反応器による静的な混合を行いながら連続的に塊状重合を行う、第1図に例示される様な連続重合装置を用いて連続塊状重合を行なうことが、ゴム粒子径が小さく、ポリマー組成を均一にコントロールできる点から好ましい。
【0065】
上記各成分の配合割合は特に制限されるものではないが、組成物中アミン系化合物(B)が0.1〜10重量%となる割合で用いることが透明性、強度の点から好ましく、更に、共重合樹脂(C)を用いる場合には、ゴム変性グラフト共重合体(A)と共重合樹脂(C)との合計に対する共重合樹脂(C)の配合割合が、重量基準で1〜30重量%であることが、相溶性および透明性の点から好ましい。
【0066】
組成物を調整する為の混合方法は特に限定されるものではなく、公知慣用の方法で行なうことができるが、押出機で溶融混合することが好ましい。混練機としてはL/Dが30以上のものが混練効果が高くなり好ましい。
【0068】
本発明の組成物は、更に、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどの、スルホン酸基のナトリウム塩を置換基として有する脂肪族ジカルボン酸のジアルキルエステル(D)を必須成分として含有するものである。このようなスルホン酸基のナトリウム塩を置換基として有する脂肪族ジカルボン酸のジアルキルエステル(D)を用いることで、成形品の制電性並びに透明性が著しく良好となる。更に、シート成形品の用途においては、このスルホン酸基のナトリウム塩を置換基として有する脂肪族ジカルボン酸のジアルキルエステルを用いることにより、シート表面の場所による制電性のムラを極めて小さくできる。
【0069】
本発明の組成物には、更に、有機ポリシロキサン(E)、脂肪酸亜鉛(F)或いはポリアルキレンオキサイド(G)を添加することによって成形品の表面の制電性をより高めることができる。
【0070】
有機ポリシロキサン(E)としてはジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等が挙げられるが、なかでも成形品の透明性が良好である点からメチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンが好ましい。また、その粘度は、通常、10〜10,000cpsのものであるが透明性向上の点から50〜5,000cpsであることが好ましい。
【0071】
また、脂肪酸亜鉛(F)としてはステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸亜鉛が好ましい。
【0072】
スルホン酸基のナトリウム塩を置換基として有する脂肪族ジカルボン酸のジアルキルエステル(D)、有機ポリシロキサン(E)や脂肪酸亜鉛(F)の添加量としては特に限定されるものではないが、樹脂(A)と樹脂(C)との合計100重量部に対して0.01〜2重量部であることが好ましい。その添加時期としては、特に限定されず樹脂(A)或いは樹脂(C)の製造時に予め添加しもよいし、また、樹脂(A)と樹脂(C)とを混合する際に配合してもよい。
【0073】
また、ポリアルキレンオキサイド(G)としては、特に限定されるものではなく、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンとの共重合体等の種々のものが挙げられる。また、分子量は特に限定されるものではないが、重量平均分子量が50,000〜2,000,000であることが制電性の促進効果の点から好ましい。これらの中でも制電性に優れる点からエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体が好ましく、特に該共重合体中のエチレンオキサイドユニットの含有率がモル比で55%以上、なかでも75%以上であることが好ましい。ポリアルキレンオキサイド(G)の使用量は、特に限定されないが、樹脂(A)と樹脂(B)との合計100重量部に対して0.5〜10重量部であることが好ましい。
【0074】
このようにして得られる本発明のゴム変性共重合樹脂組成物は、上記した各成分に、さらに通常用いられる酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤、補強材等を添加剤を配合することが出来る。
【0075】
これらの中でも好ましいものとしては、例えばミネラルオイル、エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、高級脂肪酸及びその金属塩、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ガラス繊維等が挙げられ、それぞれ単独又は併用して用いることが出来る。特にエステル系可塑剤およびポリエステル系可塑剤は、本発明のゴム変性共重合樹脂の溶融時の流動性改良剤として有効であり、しかも透明性を低下させないという利点があるが、なかでもフタル酸ジアルキルエステル、アジピン酸ジアルキルエステル、アジピン酸と脂肪族ジオールから得られるポリエステル等が好ましい。
【0076】
本発明のゴム変性共重合樹脂組成物は、特にその用途が限定されるものではないが、特に押出成形でえられたフィルム、シート、板用として優れた透明性および制電性を示すものとなる。 また、本発明のゴム変性共重合樹脂は、射出成形、単軸押出成形、二軸延伸押出成形、インフレ−ション押出成形、異形押出成形、吹込成形などの成形方法により各種成形品にして使用することが出来る。その用途は広範なものに及び、例えば板、シート、フィルム等の成形品;ラジオカセット、オーディオプレーヤー、ビデオテープレコーダなどの家庭電気・器具類の部品;複写機、プリンター、ファクシミリ、パソコンなどのOA機器の各種部品;ICキャリア−マガジン;食品容器;医療器具類の部品;ブリスターパッケージ等として用いられる。
【0077】
更に本発明のゴム変性共重合樹脂組成物には、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲でポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂、ゴム変性スチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂、塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂を適宜添加することもできる。
【0078】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を更に具体的に説明する。ただし、例中の部はすべて重量部を、また%は全光線透過率と1,2−ビニル結合の割合を除きすべて重量%を示す。
【0079】
尚、例中の物性値は以下の様に測定した。
1) 全光線透過率および曇価
ASTMD−1003に準拠してその値を求めた。
2)アイゾット衝撃強度
JISK−6871に準拠いた。
3) 共重合ゴム中の1,2−不飽和結合の割合の測定法
赤外分光分析(モレロ法)によって測定した。
【0080】
参考例1
スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム〔25℃における5%スチレン溶液粘度(以下、5%SVと略す):10センチポイズ、1,2−ビニル結合の割合:18重量%、スチレン/ブタジエン重量比:35/65 〕10部、スチレン46部、メタクリル酸メチル54部、およびエチルベンゼン10部から成る混合溶液を調製し、さらに、連鎖移動剤として単量体混合物100部に対して0.1部のn−ドデシルメルカプタンおよび有機過酸化物として単量体混合物100部に対して0.02部のt−ブチルパーオキシベンゾエートを加え、第1図に示すように配列された装置を用いて連続塊状重合を行った。
【0081】
即ち、上記各成分を含む混合溶液を、プランジャーポンプ(1)によって20リットルの撹拌式反応器(2)へ送り、撹拌翼による動的混合下に初期グラフト重合する。次いでこの混合溶液をギアポンプ(3)によって循環重合ライン(I)に送る。循環重合ライン(I)は入口から順に内径2.5インチ管状反応器(スイス国ゲブリューダー・ズルツァー社製SMX型スタティックミキサー・静的ミキシングエレメント30個内蔵)(4)、(5)および(6)と混合溶液を循環させるためのギアポンプ(7)から構成されている。管状反応器(6)とギアポンプ(7)の間には非循環重合ライン(II)に続く出口が設けられている。非循環重合ライン(II)には入口から順に上記と同様の管状反応器(8)、(9)および(10)とギアポンプ(11)が直列に連結されている。
【0082】
尚、この連続塊状重合は以下の条件で行った。
混合溶液の連続的な供給量:10リットル/時間
撹拌式反応器(2)での反応温度:120℃
循環重合ライン(I)での反応温度:135℃
非循環重合ライン(II)での反応温度:140〜160℃
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で225 ℃まで加熱し、50mmHgの減圧下で揮発性成分を除去した後、ペレット化してゴム変性共重合樹脂を得た。以下、これを樹脂(A−1)と略記するが、この樹脂の屈折率は1.540であった。
【0083】
参考例2
スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム[25℃における5%スチレン溶液粘度(以下、5%SVと略す):10センチポイズ、1,2−ビニル結合の割合:22重量%、スチレン/ブタジエン重量比:38/62 ]10部、スチレン48部、メタクリル酸メチル47部、アクリル酸ブチル5部、およびエチルベンゼン10部から成る混合溶液を用いた以外は参考例1と同様にしてペレット化したゴム変性共重合樹脂を得た。以下、これを樹脂(A−2)とする。
【0084】
参考例3
スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム[25℃における5%スチレン溶液粘度(以下、5%SVと略す):10センチポイズ、1,2−ビニル結合の割合:22重量%、スチレン/ブタジエン重量比:38/62 ]10部、スチレン48部、メタクリル酸メチル42部、アクリロニトリル10部、およびエチルベンゼン10部から成る混合溶液を用いた以外は参考例1と同様にしてペレット化したゴム変性共重合樹脂を得た。以下、これを樹脂(A−3)とするが、この樹脂の屈折率は1.543であった。
【0085】
参考例4
スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム[5%SV:10センチポイズ、1,2−ビニル結合の割合:20重量%、スチレン/ブタジエン重量比:35/65]10部、スチレン46部、メタクリル酸メチル50部、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル4部およびエチルベンゼン10部から成る混合溶液を用いた以外は参考例1と同様にして本発明のゴム変性共重合樹脂を得た。 以下、これを樹脂(C−1)と略記する。
【0086】
参考例5
5リットルのステンレス製反応器に蒸留水1500ml、第三級燐酸カルシウム10g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.03g、スチレン50部(695g)、メタクリル酸メチル45部(625g)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル5部(69g)、フタル酸ジイソノニル2部(28g)、α−メチルスチレンダイマー0.2部(2.8g)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.4部(5.56g)、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.1部(1.39g)を仕込み、350rpm攪拌下80℃で6時間懸濁重合させ、次いで110℃に昇温し、その温度で2時間反応後、生成した共重合樹脂を洗浄、脱水、乾燥させた。
【0087】
得られたパール状の樹脂をシリンダー温度220℃の押出機にてペレット化した。以下、これを樹脂(C−2)と略記する。
【0088】
比較例1
参考例1で得られた樹脂(A−1)、アミン系化合物(B)として「ダスパー125BN」(ミヨシ油脂株式会社製、N−2−ヒドロキシエチル脂肪族アミン)及び参考例4で得られた共重合体(C−1)、添加剤−1としてメチルフェニルシロキサンを各比率で配合し、シリンダ温度を200℃とした口径が50mmの2軸押出機で混練押出してペレットを得た。
【0089】
次いで、得られたペレットを射出成形することで2mm厚みのプレートを作製した。このプレートを23℃、65%RHの恒温室で一定時間放置した後、表面固有抵抗及び曇価を測定した結果を第1表に示す。
【0092】
比較例2
参考例2で得られた樹脂(A−2)、共重合体(C−1)、アミン系化合物(B)として「ダスパー125N」を用い、第1表に示す比率で配合し、比較例1と同様に二軸押出機で混練押出してペレットを得た。
【0093】
次いで、得られたペレットから比較例1に同様にプレートを作成し、物性、制電性の測定を行った。その結果を第1表に示す。
【0094】
比較例3
参考例3で得られた樹脂(A−3)、参考例5で得られた共重合体(C−2)、アミン系化合物(B)として「ダスパー125N」を、更にステアリン酸亜鉛を用い、第1表に示す比率で配合し、比較例1と同様に二軸押出機で混練押出し、射出成形を行ない2mm厚みのプレートを作製した。
【0095】
このプレートを比較例1と同様の条件で調湿した後、物性、制電性の測定を行った。その結果を第1表に示す。
【0096】
比較例4
樹脂(A−1)、共重合樹脂(C−2)、アミン系化合物(B)として「ダスパー125BN」を用い、第1表に示す比率で配合し、比較例1と同様に二軸押出機で混練押出してペレットを得た。
【0097】
次いで、得られたペレットから比較例1に同様にプレートを作成し、物性、制電性の測定を行った。その結果を第1表に示す。
【0098】
比較例5
樹脂(A−1)、アミン系化合物(B)として「ダスパー125BN」を、添加剤−2として「ゼオスパン8100」(日本ゼオン(株)製、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド=90/10(モル比)の共重合体)を用い、第2表に示す比率で配合し、比較例1と同様に二軸押出機で混練押出してペレットを得た。
【0099】
次いで、得られたペレットから比較例1に同様にプレートを作成し、物性、制電性の測定を行った。その結果を第2表に示す。
【0100】
実施例1
樹脂(A−1)、アミン系化合物(B)として「ダスパー125BN」を、添加剤−D1としてジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを用い、第2表に示す比率で配合し、比較例1と同様に二軸押出機で混練押出してペレットを得た。
【0101】
次いで、得られたペレットから比較例1に同様にプレートを作成し、物性、制電性の測定を行った。その結果を第2表に示す。
【0102】
比較例6
樹脂(A−1)、アミン系化合物(B)として「ダスパー125BN」を、添加剤−D2としてドデシルベンゼンスルホンク酸ナトリウムを用い、第2表に示す比率で配合し、比較例1と同様に二軸押出機で混練押出してペレットを得た。
【0103】
次いで、得られたペレットから比較例1に同様にプレートを作成し、物性、制電性の測定を行った。その結果を第2表に示す。
【0104】
実施例2
実施例1で得られたペレットを押出成形して厚さ0.5mmのシートを作成し、各種物性を測定した。物性データを第2表に示す。
【0105】
尚、シート成形条件は次の通りである。
シート成形機 :ユニオンプラスチック(株)製UEV型30mm押出機シリンダー温度:210℃ Tダイ設定温度:210℃ タッチロール設定温度:70℃ 引取速度 :1.4m/分リップ開度 :0.45mm。
シートの巾方向について表面固有抵抗を測定した結果、シートの中央部での制電性の低下は見られなかった。
【0106】
比較例7
参考例2で得られた樹脂(C−1)とダスパー125BNを用いた以外は、比較例1と同様にして口径が50mmの2軸押出機で混練押出してペレットを得た。
【0107】
次いで、得られたペレットをシリンダー温度が230℃なるインラインスクリュー型射出成形機にて、金型温度を60℃として、厚さが2mmなるプレートを成形した。得られた成形品の物性の測定結果を第2表に示す。
【0108】
比較例8
樹脂(A−1)100部、吸湿性ポリマーである「ペバックス4011」(アトケム社製、ポリエーテルブロックアミド)5部を配合し、シリンダ温度を200℃とした口径が50mmの二軸押出機で混練押出ペレットを得た。
【0109】
次いで、このペレットを射出成形して2mm厚みのプレートを作製した。
プレートは不透明であり、23℃65%RHの恒温室で一週間放置した後、表面固有抵抗を測定したところ、その値は>1016(Ω)であった。
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】
【0112】
【発明の効果】
本発明によれば、特定の樹脂と帯電防止剤を一定の比率で溶融混合することで表面への異常なブリードも無く、制電効果の持続性に優れ、透明性と耐衝撃性とに優れるゴム変性共重合樹脂の各種の射出成形品、シート、フィルム、板、レール等の押出成形品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、静的ミキシングエレメントを有する管状反応器を組み込んだ連続塊状重合ラインの1例を示す工程図である。
(1):プラジャーポンプ
(2):攪拌式反応器
(3):ギヤポンプ
(4):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(5):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(6):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(7):ギヤポンプ
(8):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(9):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(10):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(I):循環重合ライン
(II):非循環重合ライン
Claims (18)
- スチレン成分含有率が5〜55重量%のスチレン系モノマーとジエン系モノマーとのゴム質共重合体(a−1)の存在下に、スチレン系モノマー(a−2)と(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a−3)とをグラフト共重合したゴム変性グラフト共重合体(A)と、水酸基を含有するアミン系化合物(B)と、スルホン酸基のナトリウム塩を置換基として有する脂肪族ジカルボン酸のジアルキルエステル(D)を必須成分とすることを特徴とするゴム変性共重合樹脂組成物。
- ゴム質共重合体(a−1)が、ジエン系モノマーに基づく1,2−不飽和結合を14〜35重量%含有するものである請求項1記載の組成物。
- ゴム変性グラフト共重合体(A)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a−3)として、(メタ)アクリル酸メチルと(メタ)アクリル酸ブチルとを併用してグラフト共重合したものである請求項2記載の組成物。
- ゴム変性グラフト共重合体(A)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a−3)として、(メタ)アクリル酸メチルとアクリロニトリルとを併用してグラフト共重合したものである請求項3記載の組成物。
- アミン系化合物(B)が、2級アミンまたは3級アミンである請求項1〜4の何れか1つに記載の組成物。
- アミン系化合物(B)が、炭素原子数2〜22の脂肪族炭化水素基を有するものである請求項5記載の組成物。
- アミン系化合物(B)が、炭素原子数10〜20の脂肪族炭化水素基を有するものである請求項5記載の組成物。
- アミン系化合物(B)が、窒素原子上にヒドロキシアルキル基を有する2級アミンであって、かつ、該ヒドロキシアルキル基が炭素原子数2〜22の直鎖型脂肪族炭化水素骨格を有するものである請求項7記載の組成物。
- アミン系化合物(B)を組成物中0.1〜10重量%含有する請求項1〜8の何れか1つに記載の組成物。
- 更に、分子骨格内に水酸基を有するアクリルエステル系モノマーと、該モノマーと重合可能なモノマーとの共重合体であって、かつ、ゴム変性グラフト共重合体(A)に対する屈折率の差が±0.010の範囲である共重合樹脂(C)を含有する請求項1〜9の何れか1つに記載の組成物。
- 共重合樹脂(C)が、スチレン系モノマー(c−1)と、水酸基含有アクリル系モノマー(c−2)と、その他のアクリル系モノマー(c−3)との三元共重合体である請求項10記載の組成物。
- 共重合樹脂(C)が、スチレン系モノマー(c−1)と、水酸基含有アクリル系モノマー(c−2)、その他のアクリル系モノマー(c−3)とを、これらの合計に対し(c−1)が30〜70重量%、(c−2)が0.1〜30重量%、(c−3)が20〜60重量%となる割合で重合したものである請求項11記載の組成物。
- 共重合樹脂(C)が、重量平均分子量5,000〜500,000のものである請求項12記載の組成物。
- (c−2)が、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(c−3)が、メチル(メタ)アクリレートである請求項11、12または13記載の組成物。
- ゴム変性グラフト共重合体(A)と共重合樹脂(C)との合計に対する共重合樹脂(C)の配合割合が、重量基準で1〜30重量%であって、かつ、アミン系化合物(B)の含有量が組成物中0.1〜10重量%である請求項10〜14の何れか1つに記載の組成物。
- 更に、有機ポリシロキサン(E)を含有する請求項1〜15の何れか1つに記載の組成物。
- 更に、脂肪酸亜鉛(F)を含有する請求項1〜15の何れか1つに記載の組成物。
- 更に、ポリアルキレンオキサイド(G)を含有する請求項1〜15の何れか1つに記載の組成物。
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