JP3587584B2 - クリーンルーム用開放型エアシャワー装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はクリーンルーム用開放型エアシャワー装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体および先端産業と精密加工産業でI.C.R.(Industrial Clean Room )また製薬、食品加工、病院等でB.C.R.(Bio Clean Room)が使用されている。このように広範囲に適用されているクリーンルーム(Clean Room)の入室経路の1つであるエアシャワー(airshower )は周辺環境の低清浄領域と高清浄領域とを区分する。また、エアシャワーは、入室するとき、粒子を効果的に除去する役割を果たす構成装置の1つである。以下添付した図面を参照して、従来のエアシャワー装置の構造、および粒子除去過程を説明する。
【0003】
図6は従来のエアシャワー装置の構造を図示する図面である。図6に図示したように従来使用されている直方体、つまり正面から見ると長方形であるエアシャワー室1は、高効率フィルタ(filter)を備えている天井部2と、多数の穴が開けられている側壁3、3′と、前置フィルタ(prefilter )を備える底部4からなる。また、この装置は、底部4の下から一方の側壁3′の外側と天井部2の上部を通過して他方の側壁3の上部に至る気体移動路5を有する。気体は、一方の側壁3′の下部に設置されているモータ6により輸送されて、天井部2の上部の気体移動路5を移動する。また気体はフィルタを備えた外部吸気口8を有する外部吸気部7を通じてエアシャワー室1に流入し、気体移動路5の下部隅に連結されかつフィルタを備えた外部排気口9を通じて排出される。
【0004】
このように構成されるエアシャワー室の粒子除去過程を見る前に、エアシャワー室に流入する気体の流れを詳細に考察する必要がある。外部から外部吸気口8を通過して外部吸気部7から供給される気体は天井部2に設けられた高効率フィルタを通過してろ過される。そして、その気体は、ここで清浄な気体になった後、エアシャワー室1に流入する。エアシャワー室1を通過した気体は、底部4に備えられた前置フィルタを通過してろ過された後、底部4の下段の気体移動路5に下りる。気体は、駆動モータ6により気体移動路5の中を流れて一部は外部排気口9を通じて外部に排出される。また残りの気体は、一部の側壁3′に沿って流れて、側壁3′の下部に備えられたフィルタ10を通過してもう1回ろ過される。その後、その一部の気体は、側壁3′に開けられている吸気口11を通じてエアシャワー室1の内部に供給される。残りの気体は、天井部2と隔離されている天井部の上の空間の気体移動路5を通過して、反対側の側壁3にある吸気口11を通じてエアシャワー室1の内部に流入する。
【0005】
エアシャワー室1の内部にいる人または物体に付着した塵などの粒子は、天井部2と側壁3、3′の吸気口11から流入する気体により離される。この気体はモータ6により駆動される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成を有する従来のエアシャワー装置には、一般的に次のような問題点がある。
【0007】
まず、フィルタがエアシャワー室の天井部、側壁部、底部、外部吸気口、および外部排気口などに必要以上に多数使用されているので、装置が複雑になり、粒子除去効率が落ちる。
【0008】
また、クリーンルーム周辺環境と分離させるという概念に基づいて設計、組立、設置されているので、エアシャワー自体の循環気体によって粒子除去を行なうこととなる。そのため、外部から供給される気体の温度、圧力の調整装置、一定量の排気機能を持つ装置を設置する必要があるので、装置が複雑になり、エネルギの損失が多い。
【0009】
さらに、循環気体の最終吸入は、閉鎖系に設計されるエアシャワーの単方向吸入部を通じて動作時間の間に循環するにつれて、反対方向の側面に生じる渦気流により粒子除去効率が落ちる。
【0010】
また、エアシャワー室の構造が直方体で角部を有するので、シャワーをするとき、その角部に乱気流が形成されて、発生する粒子が迅速に除去できず、粒子除去効率が落ちる。
【0011】
最後に、エアシャワー内の底部に設置される前置フィルタは、粒子の再飛散現象を起こす。
【0012】
本発明の目的は、上述の従来技術の問題点を解決するためのものであり、フィルタの数を従来の装置に比べて減らして、クリーンルーム周辺環境と調和する構造を採用して気体の流れを円滑にすることによって、装置の構造を単純化してエネルギ効率と粒子除去効率を高めることである。
【0013】
さらに、本発明のもう1つの目的は、エアシャワー装置を自動化することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のクリーンルーム用開放型エアシャワー装置は、気体を移動させる駆動手段と、気体をろ過するフィルタと、フィルタを通過した気体を貯蔵する気体貯蔵室と、気体貯蔵室から気体を吸入する吸気ノズルを上部に、吸気ノズルを通じて入る気体を排出する排出口を下部に設けたエアシャワー室とを備えたクリーンルーム用開放型エアシャワー装置において、気体貯蔵室に入る気体はクリーンルームの内部から流入されることを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載のエアシャワー装置においては気体貯蔵室は、エアシャワー室の上部を囲んでおり、クリーンルームから気体を吸入する吸入口を有することを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載のエアシャワー装置においてはフィルタは、気体貯蔵室の吸入口に設置されていることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載のエアシャワー装置においては排気口に開放率を調整できるシャッタを備えていることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載のエアシャワー装置においては排気口にフィルタが設置されていることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載のエアシャワー装置においてはエアシャワー室の上部はアーチ型であることを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載のエアシャワー装置においてはエアシャワー室には開閉できる出入口があることを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載のエアシャワー装置においては駆動手段はエアシャワー室の内部に物体がある場合のみ駆動されることを特徴とする。
【0022】
請求項9に記載のエアシャワー装置においては気体を常に移動させるために常に駆動される補助駆動手段をさらに備えることを特徴とする。
【0023】
【実施例】
本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できる望ましい実施例を、添付した図面を参照して説明する。
【0024】
図1(A)、(B)および(C)は本発明の実施例における開放型エアシャワー装置の平面図、正面図、および側面図である。図2はこの装置の正面側から見る透視図である。
【0025】
図2に図示されたように、本発明の実施例における開放型エアシャワー装置はアーチ型の構造を有する。多数の吸気ノズル27を有する上部22と、平面と多数の排気口28を有する下部23とからなるエアシャワー室21が中央に位置している。下部23はクリーンルームの地下領域と接している。上部22のまわりを気体貯蔵室26が囲んでおり、気体貯蔵室26の両側の下段には、駆動装置24、フィルタ25、および気体が吸入される吸入口29がある。
【0026】
アーチ型の構造の開放型エアシャワー装置における気体の流れを図2に示す。図2において気体の流れを太い矢印で示す。
【0027】
モータなどの駆動手段24が駆動を始めると、エアシャワー室21の外部、すなわちクリーンルームに存在する空気などの気体が気体貯蔵室26に移動を始める。このとき、駆動手段24は強い気体の流れを維持しなければならない。
【0028】
移動を始める気体は、気体貯蔵室26の吸入口29に入って気体貯蔵室26の下段に設置されているフィルタ25を通過して、このフィルタ25により気体の中に含まれる塵などの不純物がろ過される。ここでは、HEPA(high efficiency particulator air)フィルタなど、高効率フィルタを使用することが必要である。HEPAフィルタは、99.97%以上の粒子除去特性を有するフィルタとして、クリーンルーム内の気体を吸入、ろ過するメディア(media )型のろ過フィルタである。
【0029】
フィルタ25を通過した気体は、気体貯蔵室26の中を上方向に移動し、エアシャワー室21の上部22に設けられている吸気ノズル27を通じてエアシャワー室21に流入する。吸気ノズル27は速い流れの気体を供給するところで、吸気ノズル27を通過した速い流れの気体は、人および物体に付着している塵などの不純物粒子を除去する。
【0030】
エアシャワー室21の内部に流入する気体は、シャワー対象物から離れてくる不純物を取込んでエアシャワー室21の下部23の排気口28を通じて外に排出される。排気口28には、その開放率を調整するためのシャッタが取付けられて開放率を調整でき、その開放率は50%以上であることが望ましい。また、エアシャワー室の下部と連結されているクリーンルーム自体の清浄度が低いので、HEPAフィルタのみで高洗浄の維持が難しくなる場合には、気体が気体貯蔵室に流入する部分に前置フィルタを付着することが望ましい。
【0031】
クリーンルームには、クリーンルーム自体の所定の要求事項、すなわち、粒子の密度、温度、湿度、および流体の速度等を適切に維持するための空調システムがある。本発明では、エアシャワー室の下部がクリーンルームの地下領域と繋がっているので、従来のようにエアシャワー装置内の気体の温度、湿度を調節するエアシャワー装置自体の空調システムがなくても適切な条件を保つことができる。
【0032】
本発明における開放型自動エアシャワー装置の作用を図3のブロック図、および図4のフローチャートを参照しながら説明する。
【0033】
図3に図示したように、本発明の実施例における開放型自動エアシャワー装置は、物体の存在を感知でき、かつエアシャワー室の外部に備えられた出入センサ31と、内部に備えられた内部センサ32とがマイクロコントローラ33に連結されている。マイクロコントローラ33は駆動部34と連結されている。駆動部34は、図2のエアシャワー装置の駆動部と同一であるが、エアシャワー室には開閉できる出入口があり、エアシャワー室内の高清浄度を維持するために、常に駆動する小規模の駆動モータ等の補助駆動手段をさらに含む点で相違する。
【0034】
図4に図示したようにステップS10で始まり、ステップS20で補助駆動手段を稼動させ、エアシャワー室21の内部の清浄度を維持する。ステップS30で出入センサ31および内部センサ32を稼動させてエアシャワー室21の内外の物体を感知する。
【0035】
ステップS40でエアシャワー室21の外部出入口の付近に物体があることが感知されると、ステップS50で出入口を開放する。ステップS60で物体が内部に移動したことを感知して、物体が内部に移動した場合にはステップS70で出入口を閉じて、ステップS80で駆動手段24を稼動させ、物体に付着した不純物粒子を除去する。一定時間が経過した後、ステップS90で駆動手段24の駆動を止めて、所定時間の経過後、ステップS100で出入口を開放する。
【0036】
ステップS110で内部センサ32を利用して物体がエアシャワー室21を出たことが確認されると、ステップS120で出入口を閉じる。
【0037】
以上に示したような装置と方法で実験した結果を、時間を横軸に粒子の密度を縦軸にして図5(A)に示す。図5(B)は従来の方法による結果である。この実験結果によると、同一程度の脱塵に要する時間は、1人用エアシャワー装置の場合、従来の方法では20秒、本発明の方法では15秒程度であり、また5人用エアシャワー装置の場合、従来の方法では30秒、本発明の方法では20秒であった。
【0038】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明における開放型エアシャワー装置によると、従来の多重フィルタを1つのフィルタに単一化し、エアシャワー室の下部をクリーンルームの地下領域と繋がるようにし、構造を簡単にすることができる。また、エアシャワー室の上部をアーチ型にして気体の流れが円滑なものとなるようにしたので、エネルギ効率と粒子除去効率を高めることができる。さらに、装置全体を自動化することによって体系的な粒子除去システムを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)、および(C)は本発明の実施例におけるクリーンルーム用開放型エアシャワー装置の平面図、正面図、および側面図である。
【図2】本発明の実施例におけるクリーンルーム用開放型エアシャワー装置を正面側から見た透視図である。
【図3】本発明の実施例におけるクリーンルーム用開放型自動エアシャワー装置のブロック図である。
【図4】本発明の実施例におけるクリーンルーム用開放型自動エアシャワー装置の制御動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】(A)は本発明の実施例における実験結果を表わすグラフ、(B)は従来の技術による実験結果を表わすグラフである。
【図6】従来のエアシャワー装置の構造を示す図である。
【符号の説明】
21:エアシャワー
22:上部
23:下部
24:駆動装置
25:フィルタ
26:気体貯蔵室
27:吸気ノズル
28:排気ノズル
29:吸入口
31:出入センサ
32:内部センサ
33:マイクロコントローラ
34:駆動部

Claims (10)

  1. 気体を移動させる駆動手段と、気体をろ過する単一のフィルタと、前記単一のフィルタを通過した気体を貯蔵する気体貯蔵室と、前記気体貯蔵室から空気を吸入する吸気ノズルを上部に、前記吸気ノズルを通じて入る気体を排出する排気口を下部に設けたエアシャワー室とを備えたクリーンルーム用開放型エアシャワー装置において、前記単一のフィルタは外部から気体が流入される経路及び、前記気体貯蔵室及び前記エアーシャワー室を通じて気体が循環する経路上に位置し、前記外部から流入される気体と前記気体貯蔵室及び前記エアーシャワー室を通じて循環する気体とをろ過可能な位置に配置されたことを特徴とする、クリーンルーム用開放型エアシャワー装置。
  2. 前記気体貯蔵室は、前記エアシャワー室の上部を囲んでおり、前記クリーンルームから気体を吸入する吸入口を有することを特徴とする、請求項1に記載のクリーンルーム用開放型エアシャワー装置。
  3. 前記フィルタは、前記気体貯蔵室の吸入口に設置されていることを特徴とする、請求項2に記載のクリーンルーム用開放型エアシャワー装置。
  4. 前記排気口に開放率を調整できるシャッタを備えていることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のクリーンルーム用開放型エアシャワー装置。
  5. 前記排気口にフィルタが設置されていることを特徴とする、請求項4に記載のクリーンルーム用開放型エアシャワー装置。
  6. 前記エアシャワー室の上部はアーチ型であることを特徴とする、請求項1に記載のクリーンルーム用開放型エアシャワー装置。
  7. 前記エアシャワー室には開閉できる出入口があることを特徴とする、請求項1に記載のクリーンルーム用開放型エアシャワー装置。
  8. 前記駆動手段はエアシャワー室の内部に物体がある場合のみ駆動されることを特徴とする、請求項7に記載のクリーンルーム用開放型エアシャワー装置。
  9. 気体を常に移動させるために常に駆動される補助駆動手段をさらに備えることを特徴とする、請求項8に記載のクリーンルーム用開放型エアシャワー装置。
  10. 前記エアシャワー室はクリーンルームの地下領域と接することを特徴とする、請求項1に記載のクリーンルーム用開放型エアシャワー装置。
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