JP3587150B2 - 加湿機能を有する空気調和機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、外部から供給された加湿空気を室内に吹き出す加湿機能を有する空気調和機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、加湿機能を有する空気調和機は、外部から供給された加湿空気を室内に吹き出して室内を加湿するものである。この加湿機能を有する空気調和機は、室外において吸着材に水分を吸着させる一方、その吸着材から外気に水分を付与することによって空気加湿を行ない、この加湿空気を配管を通じて室内機に供給するものである。そして、室内機の内部では、加湿空気を加湿ダクトにて吹き出し側を室内熱交換器の上流側に配置して、室内に加湿空気を送っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の加湿空気の供給方法では、加湿ダクトからの吹き出した加湿空気が周囲の前面パネルや前面グリルに結露し、水漏れが発生するという問題があった。
【0004】
この発明は、上記従来の欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、加湿空気を室内に供給する場合でも結露の発生を防止し、強いては水漏れの発生を防止することが可能な加湿機能を有する空気調和機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで請求項1の加湿機能を有する空気調和機は、外部から供給された加湿空気を室内に吹き出す加湿機能を有し、加湿空気の吹出口21をケーシング内の室内熱交換器4の上流側に配置した空気調和機であって、上記吹出口21からの加湿空気を、上記室内熱交換器4のフィン24の前端面と略直交する方向に吹き出すように構成し、上記加湿空気を吹き出す加湿ダクト10の吹出口21の吹出開口面20と、上記室内熱交換器4のフィン24の前端面とを対面させ、上記加湿ダクト10の流路22に、下方に傾斜する傾斜部23を設けて、流路22を吹出口21側に向けて拡大し、この傾斜部23の下方にドレンパン8を配設していることを特徴としている。
【0006】
上記請求項1の加湿機能を有する空気調和機では、吹出口21からの加湿空気は、室内熱交換器4のフィン24の前端面と略直交する方向に吹き出されて加湿空気が室内熱交換器4に直接吹き付けられ、この加湿空気と室内から吸い込まれた空気とが混合されて、室内へと吹き出される。この場合、加湿空気の漏れが大幅に抑制できるので、前面パネルや前面グリル、及び電装部での結露の発生を防止することができる。また、加湿ダクト10の吹出口21の吹出開口面20と、上記室内熱交換器4のフィン24の前端面とを対面させているので、加湿ダクト10の吹出口21からの加湿空気は室内熱交換器4のフィン24と衝突することなく効率良く吹き出すことができ、結露の発生を防止できる。さらに、流路22を吹出口21側に向けて拡大しているので、吹出口21側では加湿空気の流速が低下して、加湿空気の飛散を防止でき、加湿空気漏れによる吹出口21の周囲の結露を防止できる。また、傾斜部23の下方にドレンパン8を配設しているので、室内熱交換器4側から凝縮水が落下しても、加湿ダクト10の傾斜部23を介してドレンパン8に落下させることができる。
【0009】
請求項2の加湿機能を有する空気調和機は、加湿ダクト10の吹出開口面20と、フィン24の前端面との間に隙間Lを設けていることを特徴としている。
【0010】
上記請求項2の加湿機能を有する空気調和機では、冷房運転時において室内熱交換器4からの冷輻射、伝熱による結露を防止することができる。
【0011】
請求項3の加湿機能を有する空気調和機は、上記隙間Lの周囲にシール材26を配設していることを特徴としている。
【0012】
上記請求項3の加湿機能を有する空気調和機では、加湿ダクト10の吹出口21からの加湿空気を周囲に漏れさせることなく、吹出口21からの加湿空気を室内熱交換器4側に供給することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の加湿機能を有する空気調和機の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図2(a)は室内機1の破断平面図を示し、図2(b)は室内機1の破断正面図を示している。また、図1はケースを除いた室内機1の側面図を示しており、図中の右側が前面側で、図中左側が室内機1の背面側である。
【0018】
室内機1のケーシングの前面には前面パネル2が配設されており、この前面パネル2に室内の空気を吸い込む吸込口3が形成されている。この吸込口3の下流側には図1に示すように、略逆V字型に形成された室内熱交換器4が配設されており、この室内熱交換器4の下流側であって、略中央部分に室内ファン5が配設されている。また、室内機1の下部には室内熱交換器4により冷房または暖房された空気、あるいはこれらの空調された空気に加湿空気を混合して室内に供給する吐出口6が形成されている。さらに、この吐出口6にはスイング可能な羽根7が配設してある。また、室内熱交換器4の下方には水滴等を受けるドレンパン8が配設されていて、その排水口9には図外のホースが接続されて外部に排水されるようになっている。
【0019】
図1及び図2に示すように、室内熱交換器4の上流側であって、該室内熱交換器4の前面の下部の左側には、外部から供給された加湿空気を室内に吹き出すための加湿ダクト10が配設されている。この加湿ダクト10は、図3に示すように、ダクト本体11と、このダクト本体11の一面側に覆設されるダクトカバー12とで構成されている。ダクト本体11にダクトカバー12を装着することで、内部に加湿空気を流す流路となる空洞部が形成される。ダクト本体11の両側には係止突起13が複数箇所に形成されていて、この係止突起13と凹凸嵌合する係止穴を備えた略コ字型の係止片14がダクトカバー12の両側に設けられている。図4はダクト本体11にダクトカバー12を装着した加湿ダクト10の側面図を示している。なお、上記の係止突起13と係止片14の嵌合以外にダクト本体11とダクトカバー12とはネジ(図示せず)により結合されるようになっている。
【0020】
合成樹脂製の加湿ダクト10の上流側には、円筒状の吸込部15が形成されており、この吸込部15には、室外機側からの加湿空気を供給するための室内接続ホース(図示せず)の一端が接続されるようになっている。また、加湿ダクト10の下流側、つまりダクト本体11の上部には、図3〜図5に示すように、プレフィルタ30を着脱自在に装着するためのフィルタ装着部16が一体に形成してある。このフィルタ装着部16は上下方向に長い四角枠状に形成されており、上下に貫通する穴17が穿孔されている。そして、この穴17にプレフィルタ30が装着されるようになっている。
【0021】
プレフィルタ30は図5に示すように合成樹脂製で形成されており、下部には網状のフィルタ部31が一体に形成されている。プレフィルタ30の上部には位置決めリブ32が一体に周設され、さらに上端にはプレフィルタ30をフィルタ装着部16から取り出す場合に指引っ掛け用の取り出しリブ33が一体に形成してある。プレフィルタ30の位置決めリブ32と、フィルタ装着部16の上面の大きさは略同じとしてあり、プレフィルタ30をフィルタ装着部16の穴17に挿入した際に、位置決めリブ32の周囲の下面がフィルタ装着部16の上面に当接して、プレフィルタ30がフィルタ装着部16に位置決めされて装着されることになる。
【0022】
プレフィルタ30をフィルタ装着部16の穴17に挿入した状態では、プレフィルタ30のフィルタ部31がフィルタ装着部16の下面より突出するようになっており、フィルタ部31はダクトカバー12の上部のコ字型の開口面20より若干前方(図では内側)に位置するようになっている。そして、この開口面20の上方にフィルタ装着部16の下面が位置し、これにより、四角形状の加湿ダクト10の吹出口21を形成している。加湿ダクト10の吸込部15から加湿空気が供給されて図6に示す内部の流路22を通り、上記吹出口21から加湿空気が吹き出され、室内熱交換器4側に送られる。
【0023】
図6に示すように、加湿ダクト10の吹出口21側の流路22は拡大すべく下方に傾斜する傾斜部23が形成されており、これにより、吹き出し前の流路22が拡大して、加湿空気の吹き出し流速を落としている。このように、吹出口21からの加湿空気の吹き出し流速を落とすことで、加湿空気の飛散を防止しており、加湿空気漏れによる吹出口21の周囲の結露を防止している。
【0024】
ところで、室内熱交換器4は図8及び図2に示すように、所定のピッチ毎に並設した多数枚の平板状のフィン24と、これらのフィン24の間を挿通して冷媒が循環する伝熱管25とで構成されている。図8及び図9は室内熱交換器4に対する加湿ダクト10の配置方法を示しており、室内熱交換器4のフィン24の前端面に加湿ダクト10の吹出口21の開口面20が所定の間隔をあけて略並行に対面するようにして加湿ダクト10を配設している。これにより、図9に示すように吹出口21からの加湿空気は室内熱交換器4のフィン24と平行に吹き出されて、加湿空気は効率良くフィン24間を通って室内側に供給されることになる。
【0025】
また、図8に示すように室内熱交換器4のフィン24の前端面と加湿ダクト10の吹出口21の間の隙間Lを約2mmあけている。これは、冷房運転時において室内熱交換器4からの加湿ダクト10側へ冷輻射、伝熱による結露があるためであり、この隙間Lを設けていることで、加湿ダクト10への室内熱交換器4による影響を無くして、加湿ダクト10側に結露が発生するのを防止している。
【0026】
また、室内熱交換器4の前端面と加湿ダクト10の吹出口21との間の隙間Lには、図7に示すような略口字型のシール材26を介設するようにしている。具体的には、ゴム製のシール材26を加湿ダクト10の吹出口21の周囲に貼付しているものであり、このシール材26により吹出口21からの加湿空気の漏れを無くして加湿空気を効率良く室内熱交換器4側に供給している。
【0027】
なお、加湿ダクト10を配設した状態では、図1に示すように吹出口21は斜めに設置されることになり、室内熱交換器4からの凝縮水が吹出口21を介して加湿ダクト10内に落ちる場合もある。そこで、加湿ダクト10の吹出口21側の上記傾斜部23は、加湿ダクト10の設置状態でも、下方に傾斜するようにしており、これにより、室内熱交換器4からの凝縮水は傾斜部23により加湿ダクト10内への入らずに、外部に排水されることになる。また、ドレンパン8の前部27の端部は吹出口21の下方まで位置して配置されており、吹出口21の傾斜部23により落下した凝縮水はドレンパン8で受けるようになっている。
【0028】
このように、加湿ダクト10の吹出口21からの加湿空気を室内熱交換器4のフィン24の前端面と略直交する方向に吹き出し、この加湿空気の吹き出し風を室内熱交換器4に直接吹き付けるようにし、室内機1の吸込口3からの吸い込んだ空気を加湿ダクト10からの加湿空気と混合させることで、結露の発生を防止している。
【0029】
以上にこの発明の加湿機能を有する空気調和機の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態においては、外気から吸着材に水分を吸着させた後、その吸着材から水分を脱着させて加湿した加湿空気を室内に供給する加湿器を用いた場合について説明したが、加湿空気を供給する加湿器はこれに限らず、水道水等を用いて加湿する手段を用いるようにしても良い。
【0030】
【発明の効果】
請求項1の加湿機能を有する空気調和機によれば、吹出口からの加湿空気は、室内熱交換器のフィンの前端面と略直交する方向に吹き出されて加湿空気が室内熱交換器に直接吹き付けられ、加湿空気と室内機から吸い込んだ空気が混合されて、前面パネルや前面グリルでの結露の発生を防止することができる。これにより、結露の発生が防止できて水漏れの発生も防止することができる。また、上記加湿空気を吹き出す加湿ダクトの吹出口の吹出開口面と、上記室内熱交換器のフィンの前端面とを対面させているので、加湿ダクトの吹出口からの加湿空気は室内熱交換器のフィンと衝突することなく効率良く吹き出すことができ、結露の発生を防止できる。さらに、加湿ダクトの吹出口側の流路を拡大していることで、吹出口側では加湿空気の流速が低下して、加湿空気の飛散を防止でき、加湿空気漏れによる吹出口の周囲の結露を防止できる。また、下方に傾斜する傾斜部により流路を拡大し、この傾斜部の下方にドレンパンを配設しているので、室内熱交換器側から凝縮水が落下しても、加湿ダクトの傾斜部を介してドレンパンに落下させることができる。
【0032】
請求項2の加湿機能を有する空気調和機によれば、加湿ダクトの吹出開口面と、フィンの前端面との間に隙間を設けているので、冷房運転時において室内熱交換器からの冷輻射、伝熱による結露を防止することができる。
【0033】
請求項3の加湿機能を有する空気調和機によれば、上記隙間Lの周囲にシール材を配設しているので、加湿ダクトの吹出口からの加湿空気を周囲に漏れさせることなく、吹出口からの加湿空気を室内熱交換器側に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の室内機の内部構造を示す側面図である。
【図2】(a)(b)はこの発明の実施の形態の室内機の破断平面図及び破断正面図である。
【図3】この発明の実施の形態の加湿ダクトの分解側面図である。
【図4】この発明の実施の形態の加湿ダクトの側面図である。
【図5】この発明の実施の形態の加湿ダクトの吹出口を示す要部拡大斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態の加湿ダクトの破断側面図である。
【図7】この発明の実施の形態のシール材の斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態の室内熱交換器に対する加湿ダクトの配置構成を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態の室内熱交換器に対する加湿ダクトの配置構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 室内機
4 室内熱交換器
8 ドレンパン
10 加湿ダクト
20 開口面
21 吹出口
22 流路
23 傾斜部
24 フィン
26 シール材
L 隙間
Claims (3)
- 外部から供給された加湿空気を室内に吹き出す加湿機能を有し、加湿空気の吹出口(21)をケーシング内の室内熱交換器(4)の上流側に配置した空気調和機であって、上記吹出口(21)からの加湿空気を、上記室内熱交換器(4)のフィン(24)の前端面と略直交する方向に吹き出すように構成し、上記加湿空気を吹き出す加湿ダクト(10)の吹出口(21)の吹出開口面(20)と、上記室内熱交換器(4)のフィン(24)の前端面とを対面させ、上記加湿ダクト(10)の流路(22)に、下方に傾斜する傾斜部(23)を設けて、流路(22)を吹出口(21)側に向けて拡大し、この傾斜部(23)の下方にドレンパン(8)を配設していることを特徴とする加湿機能を有する空気調和機。
- 加湿ダクト(10)の吹出開口面(20)と、フィン(24)の前端面との間に隙間(L)を設けていることを特徴とする請求項1の加湿機能を有する空気調和機。
- 上記隙間(L)の周囲にシール材(26)を配設していることを特徴とする請求項2の加湿機能を有する空気調和機。
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