JP3586846B2 - X線フイルム等の繰出装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、X線フイルム等を1枚づつ繰り出す装置、さらに詳しくは医療用X線フイルムの自動現像処理機に撮影済のフイルムを給送する装置、或いはその他の撮影のための未露光フイルムを1枚づつ繰り出すのに使用される。
【0002】
【従来の技術】
医療用X線フイルム、又はその他のフイルム等を自動現像処理する装置において、撮影済のフイルムを給送する装置としてフイルムを吸盤に吸着させて持ち上げたまま移動させることにより1枚づつ送りロールに供給するように繰り出す装置は従来から一般に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のフイルム繰出装置は、図4に示すように、トレー49内よりフイルムFを吸着する吸盤40を有する移動腕41と、この移動腕41をカム42で昇降させるように支持した支持腕43とよりなるものであるが、支持腕41は本体側板44に形成したく字形に屈曲する溝45にガイドピン46が直線的に昇降移動するように案内されるようにして、溝の屈曲部分45aに侵入することで吸盤の角度が変わり、これにより持ち上げられたフイルムが送りロール47.48にくわえ込まれるように構成されている。つまり、フイルムFの持ち上げ(上昇)と進行(供給)が同時に本体側板44に形成したく字形に屈曲した溝45により行われるため次のような問題点を有していた。
【0004】
▲1▼ 側板左右の位置ずれとか支持軸に取付けられる支持腕左右の角度ずれにより移動腕の本体左右のガイド溝内での移動が左右で少しでもずれると、溝の屈曲位置への侵入にずれを生じ、進行するフイルム先端の位置が左右で高さ及び進行位置に狂いを生じ、結果として送りロールへのくわえ込みが不正確となり、斜め送り、ジャムをおこす。更に屈曲部への侵入ずれが大きくなると移動腕が左右でねじれて溝内で停止してしまうおそれがある。
【0005】
▲2▼ 移動腕を支持する支持腕の下端は、支持腕のガイド溝内を移動モーターにより回転する円板上のピンがガイド溝を押し下げて下限に達する。このときフイルム残量が1枚を基準としているが、多数枚あるときは吸盤が吸盤と移動腕との間にある圧縮スプリングを押して停止状態となり、移動腕のみ下限まで下降する。また、圧縮スプリングは吸気管の外周であり下部に吸盤を有し、上部に移動腕の吸気管とスライドできるよう隙間を持たせて構成されている。しかし、吸気管が長いのと移動腕との間に隙間があるため吸着したフイルム先端位置が前後左右にぐらついて送りロールへのくわえ込みが不正確となる。
【0006】
▲3▼ 移動腕を支持腕により上昇させるための負荷に、本体左右のガイド溝内を屈曲させることによる負荷が加わるので、移動モーターにかかる負荷が大になり、又ガイド溝内の移動コマの摩耗が大きくなる。
【0007】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、支持腕の左右のずれをなくして送りロールへのくわえ込みが正確で、斜め送り及びジャムを無くし常に一定で確実なフイルム繰り出しを可能とし、而も簡単な構成でコスト的にも有利なX線フイルム等の繰出装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明におけるX線フイルム等繰出装置は、X線フイルム等を1枚づつ繰り出す装置において、フイルムを吸着する吸盤を備えた移動腕と、その移動腕を昇降させる手段と、フイルム進行方向に押し出す手段とよりなり、且つ移動腕昇降手段と押出手段を個別に動作させるように構成するとともに、前記の移動腕をカムで昇降させるように支持した支持腕に配備し、且つ前記移動腕を支持腕のガイド溝に沿って移動するように前記カムと共動する移動レバーで押動するように構成してなるものである。
【0009】
また、前記移動レバーを、移動腕を昇降させるカムと一体に設けてなるものである。
【0010】
【実施例】
実施例について図面を参照して説明する。
【0011】
フイルムFを収納するトレー1は本体の左右側板2.3間に形成され、フイルムFはその中に1枚以上、多数枚(通常は50枚程度)収納されて、最上部のものから吸盤4により1枚づつ取出される。トレー1には遮光カバー(図示省略)を有する。
【0012】
移動腕5は、左右の側片5aとその先端部間に横架した水平板片5bとで構成され、吸盤4は水平板片5bに下向きに取付けられる。吸盤4は吸気管6を通してエアーポンプ(図示省略)に連結される。
【0013】
支持腕7は、本体側版2、3に支軸8で枢支されるように左右一対のものからなり、その左右支持腕7にガイド溝9を設け、このガイド溝9に沿って移動腕5が前後に移動するように配備される。
【0014】
移動腕5には、その左右側片5aに前後に間隔を隔ててガイドピン5c.5dを設け、このガイドピン5c.5dを前記のガイド溝9に嵌支させることで、移動腕5を支持するとともに、前後方向への移動を案内させている。移動腕5と支持腕7との間にばね10を設けて両者の間に牽引弾力を利かせている。ばね10の一端10aは支持腕7の後縁7aに、他端10bをガイドピン5dに係止させている。
【0015】
支持腕7はカム11で支持するとともに、上下昇降を行わせるように駆動する。このカム11は左右対称に2個を1本の共通の軸12に取付けたもので、軸12は移動モータ13からギャー14、15を経て回動させられる。このカム11に軸12を中心にカム11とともに回動するように移動腕5を移動させるための移動レバー16を設ける。このような移動レバー16はカム11と一体に設けることができる。この移動レバー16は、移動腕5の側片5aに突設した後部のガイドピン5dと対応し移動レバー16の回動でその都度ガイドピン5dが押動されるようになっている。
【0016】
トレー1の前部上方位置に一対の送りロール17.18が設けられている。この送りロール17.18は駆動モータ19からギャー20.21を介して駆動される。図1〜2において22はフイルムのサバキ爪である。
【0017】
【作用】
指令(信号)により移動モータ13が駆動されると、ギャー14.15を経て左右のカム11が同時に上限から下限に向って回動する。
【0018】
支持腕7は上記のカム11により上限で支えられているが、カムの動きに追従して自重で下降する。左右の支持腕7は各別にカム11で支えられているが、一体形であるため左右の位置ずれは生じない。
【0019】
吸盤4を備えた移動腕5は前記の支持腕7に取付けられているため、支持腕7とともにカム11の作動で昇降する。
【0020】
トレー1内に収納された最上部のフイルムFを取出すため、今カム11が上限から下限に向うと、支軸8を支点に支持腕7が下降し、同時に移動腕5とともに吸盤4が下降する。吸盤4がトレー上のフイルムFに到達すると、移動腕5は下降を停止するが、支持腕7はそのまま下限まで下降して停止する。
【0021】
フイルムFに到達した吸盤4はエアーポンプにより吸気管6を通して吸気が作用しているため、フイルム1枚を吸着する。トレー1内にフイルムがないときはトレー底部に孔が明いており吸着されない。
【0022】
フイルムFが吸着されると再び移動モータ13の回転により移動カム11が下限位置より上限位置へ回動して支持腕7を押し上げ上昇させる。
【0023】
上昇途中で、フイルムFの先端がサバキ爪22に接触する。このサバキ爪22の接触により、若し2枚以上のフイルムが上昇すると、2枚目以降を掻き落す。
【0024】
更に、移動腕5が上昇して上限に達すると、カム11がその上限高さを維持した状態で移動レバー16が回動してガイドピン5dに係接し前方へ押進する。このため、移動腕5はばね10の附勢に抗して前方へ押進させられるため吸盤4に吸着しているフイルムFは送りロール17.18にくわえ込まれるところまで押し出される。
【0025】
送りロール17.18はこの時、又はそれ以前より駆動モータ19で回動されており、そのため、フイルムFは送りロール17.18にくわえ込まれて給送を開始する。
【0026】
フイルム給送の開始と同時にエアーポンプが停止し吸盤4に吸着されたフイルムを解放し、送りロール17.18で次工程の処理機等へ給送される。
【0027】
この一連の動作をフイルム残数が無くなるまで繰り返し行い、フイルムを自動給送する。
【0028】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されているので次に記載する効果を有する。
【0029】
(1) フイルムの上昇位置はフイルムを吸盤で吸着している移動腕を支持する支持腕が左右のカムにより上昇するため、高さのズレがない。又、フイルムの進行は上昇がほぼ完了してから移動腕がフイルム進行方向に支持腕に沿って押し出されるためフイルムは一定の高さを維持したまま左右均等に進行する。従って送りロールへのくわえ込み位置が常に一定となり、斜め送りやジャムもない確実な繰り出しができる。勿論、ねじれは生じないので移動腕がみだりに停止することもない。
【0030】
(2) 移動腕を支持する支持腕の下降は、支持腕を下側で支えるカムが移動モータにより下限位置にくると支持腕の角度で下降するため吸盤が下降して停止すれば支持腕も停止するので吸盤部は支持腕に固定する構成とすることが容易に可能である。従って長い吸気管とか圧縮スプリングは無くてもよい。吸盤と吸気管の間に移動腕がある如く固定すればよいので吸盤の位置がぐらつくことも無く、吸着したフイルム先端位置が正確であるため送りロールへのくわえ込みも確実となる。又構造が簡単で小型化が図れ、経費、コスト安であり、実用性が高い。
【0031】
(3) 移動腕の移動は上昇がほぼ完了してからフイルム進行方向へ移動させるため両方の負荷が重なることもなく、又移動モータにかかる負荷も少ない。而も移動腕の移動はストレートで、屈曲部に掛るような抵抗がない為スムーズな移動でガイド部にかかる負荷及び摩耗も少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すX線フイルム繰出装置の平面図である。
【図2】図1における側面図である。
【図3】同上における側面図で、フイルムを吸着して移動腕が上昇した状態を示す。
【図4】従来のX線フイルム繰出装置の縦断側面図である。
【符号の説明】
1 トレー
2.3 本体側板
4 吸盤
5 移動腕
6 吸気管
7 支持腕
8 支軸
9 ガイド溝
10 ばね
11 カム
12 軸
13 移動モータ
14.15.20.21 ギャー
16 移動レバー
17.18 送りロール
19 駆動モータ
Claims (2)
- X線フイルム等を1枚づつ繰り出す装置において、フイルムを吸着する吸盤を備えた移動腕と、その移動腕を昇降させる手段と、フイルム進行方向に押し出す手段とよりなり、且つ移動腕昇降手段と押出手段を個別に動作させるように構成するとともに、前記の移動腕をカムで昇降させるように支持した支持腕に配備し、且つ前記移動腕を支持腕のガイド溝に沿って移動するように前記カムと共動する移動レバーで押動するように構成してなることを特徴とするX線フイルム等の繰出装置。
- 前記移動レバーを、移動腕を昇降させるカムと一体に設けてなる請求項1記載のX線フイルム等の繰出装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP20131695A JP3586846B2 (ja) | 1995-07-14 | 1995-07-14 | X線フイルム等の繰出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP20131695A JP3586846B2 (ja) | 1995-07-14 | 1995-07-14 | X線フイルム等の繰出装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0930671A JPH0930671A (ja) | 1997-02-04 |
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ID=16438995
Family Applications (1)
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JP20131695A Expired - Fee Related JP3586846B2 (ja) | 1995-07-14 | 1995-07-14 | X線フイルム等の繰出装置 |
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JP (1) | JP3586846B2 (ja) |
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-
1995
- 1995-07-14 JP JP20131695A patent/JP3586846B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH0930671A (ja) | 1997-02-04 |
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