JP3586055B2 - コンバーターハウジングの取付座構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機の車両への搭載角度を変更することができるコンバーターハウジングの取付座構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3に示すようにトルクコンバーター5を収納するコンバーターハウジング1は、その前側の取付フランジ部1Bでエンジンのシリンダブロック(図示せず)に、その後側の取付フランジ部1Aで、自動変速機のパワートレンを収容するミッションケース4の取付フランジ部4Aにそれぞれ取付ボルト7により結合される。
【0003】
そして、従来では、コンバーターハウジング1の取付フランジ部1Aには、図4に示すように取付ボルト穴2を有するボルト取付用座面部6が周方向に所定の間隔をおいて複数形成してあり、また、コンバーターハウジング1の内壁部から取付フランジ部1Aにかけてボルト取付用座面部6の両脇に、コンバーターハウジング1の剛性を高めるためにリブ3が形成してある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなボルト取付用座面部6を有するコンバーターハウジング1では、前記取付ボルト穴2における取付ボルト7のガタ分だけ取付位置の移動が可能であるが、隣接するボルトのピッチに対し、半ピッチ程度の搭載角度の変更を必要とする場合には、もはや対応できない。
【0005】
自動変速機の車両への搭載角度を変更したいとき、前記取付ボルト穴2の位置を変更することが考えられるが、取付ボルト穴2の両脇に、コンバーターハウジング1の剛性を高めるためにリブ3が形成してあるために、このリブ3が邪魔になって、前記取付ボルト穴2の位置を変更することができないという問題点があった。
【0006】
また、自動変速機の車両への搭載角度を変更したいときに、前記取付ボルト穴2を長孔にしたり、取付ボルト穴2を余分に設けて、設計狙いの搭載角度に変更可能にすることも考えられるが、この場合には、コンバーターハウジング1とトタンスミッションケース4との間の結合剛性の低下を招くという問題点があった。
【0007】
また、搭載角度変更の他の対応策として、コンバーターハウジング1の、エンジンのシリンダーブロックとの取付穴を変更するようにすればよいが、この場合は、コンバーターハウジング1に付属しているスターターモーター取付部や排気管取付部も同時に回転するため、車両側部品との取付互換性が失われてしまうという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、リブに邪魔されることなく、また、コンバーターハウジングとトランスミッションケースとの間の結合剛性の低下を招くことなく、自動変速機の車両への搭載角度を変更することに寄与できるコンバーターハウジングの取付座構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明に係わるコンバーターハウジングの取付座構造は、コンバーターハウジングとトランスミッションハウジングを接合させる取付フランジ部に、前記取付フランジ部の周方向に、前記取付フランジ部の他の部分よりも厚肉となるように所定の間隔をおいて複数設けられたボルト取付用座面部を、前記取付フランジ部の周方向に拡大し、前記ボルト取付用座面部のそれぞれに、前記ボルト取付用座面部の周方向にトランスミッションケース取付用の取付ボルト穴を複数設けたことを特徴とする。
【0010】
かかる構成により、コンバーターハウジングは、各取付フランジ部のトランスミッションケース取付用の取付ボルト穴のうちの一方の取付ボルト穴を用いてミッションケースに取付ボルトにより結合されている状態から自動変速機の車両への搭載角度を変更したいときに、取付ボルトを外して、ミッションケースを変更角度αだけ回転させて、このミッションケースの取付フランジ部の取付ボルト穴を、前記ボルト取付用座面部に設けた他方の取付ボルト穴に一致させて、再び取付ボルトで結合する。
【0011】
このように、リブに邪魔されることなく、また、コンバーターハウジングとトタンスミッションケースとの間の結合剛性の低下を招くことなく、自動変速機の車両への搭載角度を変更することができる。
【0012】
また、前記ボルト取付用座面部を、前記取付フランジ部の周方向に拡大して形成するものであるために、前記ボルト取付用座面部とコンバーターハウジングとを共通のダイキャスト素材で共に成形することができる。
【0013】
また、前記ボルト取付用座面部の、前記取付フランジ部の周方向への拡大(ボトムアップ)とリブとの組み合わせによりコンバーターハウジングの剛性が向上する。
【0014】
また、上記の目的を達成するために、請求項2の発明に係わるコンバーターハウジングの取付座構造は、請求項1記載のコンバーターハウジングの取付座構造において、前記ボルト取付用座面部は、コンバーターハウジングとトランスミッションハウジングとをある一定の角度で位相をずらして接合可能な範囲で周方向に拡大されている。
【0015】
かかる構成により、上記した請求項1の発明の作用と同様な作用を奏し得るばかりか、自動変速機の車両への搭載角度の変更を容易に行なうことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係わる取付座構造を備えたコンバーターハウジングの一部省略した正面図である。
【0017】
コンバーターハウジング1の取付フランジ部1Aには、周方向に所定の間隔をおいて複数のボルト取付座面部11が形成してある。これらのボルト取付座面部11は、従来におけるコンバーターハウジング1のボルト取付座面部6を、取付フランジ部1Aの周方向に長く延長した(拡大した)形状であって、これらのボルト取付座面部11は取付フランジ部1Aの他の部分より肉厚にしてある。そして、ボルト取付座面部11には、従来におけるボルト取付座面部6に形成した取付ボルト穴2に相当する取付ボルト穴12Aの他に、ボルト取付座面部11の延長部分11Aに位置し且つ取付ボルト穴12Aより周方向に所定の間隔をおいた他の取付ボルト穴12Bが設けてある。したがって、取付ボルト穴12Aと取付フランジ部1Aの中心Pを結ぶ直線イと、取付ボルト穴12Bと取付フランジ部1Aの中心Pを結ぶ直線ロとが成す角度αが変更角度である。
【0018】
また、コンバーターハウジング1の内壁部から取付フランジ部1Aにかけて、コンバーターハウジング1の剛性を高めるために放射状にリブ3が形成してあるが、前記取付フランジ部1Aに形成されたボルト取付座面部11が、従来におけるコンバーターハウジング1のボルト取付座面部6を、取付フランジ部1Aの周方向に長く延長した形状であるために、前記リブ3のボルト取付座面部11の延長部分11Aへの干渉を防止する必要があって、リブ3は平面視でクランク状に屈曲形成してあって、この屈曲部13が前記ボルト取付座面部11の辺縁部11Cに沿って迂回している。
【0019】
このようにリブ3の位置を移動せずに屈曲させて対応する理由は、リブ3間のピッチを均等に保ちコンバーターハウジング1の強度バランスを崩さないようにするためである。
【0020】
したがって、コンバーターハウジング1は、各取付フランジ部1Aの取付ボルト穴12Aを用いてミッションケース4に取付ボルト7により結合されているが、自動変速機の車両への搭載角度を変更したいときに、取付ボルト7を外して、ミッションケース4を変更角度αだけ回転させて、このミッションケース4の取付フランジ部4Aの取付ボルト穴を、前記ボルト取付座面部11の延長部分11Aに設けた取付ボルト穴12Bに一致させて、再び、取付ボルト7で結合する。
【0021】
上記した実施の形態例によれば、リブ3に邪魔されることなく、また、コンバーターハウジング1とトランスミッションケース4との間の結合剛性の低下を招くことなく、自動変速機の車両への搭載角度を変更することができる。
【0022】
また、前記ボルト取付座面部11を、前記取付フランジ部1Aの周方向に拡大して形成するものであるために、前記ボルト取付座面部11とコンバーターハウジング1とを共通のダイキャスト素材で共に成形することができる。
【0023】
また、前記ボルト取付座面部11の、前記取付フランジ部1Aの周方向への拡大(ボトムアップ)と前記リブ3の屈曲形成との組み合わせにより、コンバーターハウジング1の剛性が向上するし、また、前記リブ3の屈曲部13は、前記ボルト取付座面部11に塗布しているシール剤の漏れを防止する。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明に係わるコンバーターハウジングの取付座構造によれば、コンバーターハウジングとトランスミッションハウジングを接合させる取付フランジ部に、前記取付フランジ部の周方向に、前記取付フランジ部の他の部分よりも厚肉となるように所定の間隔をおいて複数設けられたボルト取付用座面部を、前記取付フランジ部の周方向に拡大し、前記ボルト取付用座面部のそれぞれに、前記ボルト取付用座面部の周方向にトランスミッションケース取付用の取付ボルト穴を複数設けたことにより、コンバーターハウジングは、各取付フランジ部のトランスミッションケース取付用の取付ボルト穴のうちの一方の取付ボルト穴を用いてミッションケースに取付ボルトにより結合されている状態から自動変速機の車両への搭載角度を変更したいときに、取付ボルトを外して、ミッションケースを変更角度αだけ回転させて、このミッションケースの取付フランジ部の取付ボルト穴を、前記取付座面部に設けた他方の取付ボルト穴に一致させて、再び取付ボルトで結合する。
【0025】
このように、リブに邪魔されることなく、また、コンバーターハウジングとトタンスミッションケースとの間の結合剛性の低下を招くことなく、自動変速機の車両への搭載角度を変更することができる。
【0026】
また、前記取付座面部を、前記取付フランジ部の周方向に拡大して形成するものであるために、前記取付座面部とコンバーターハウジングとを共通のダイキャスト素材で共に成形することができる。
【0027】
また、前記取付座面部の、前記取付フランジ部の周方向への拡大(ボトムアップ)とリブとの組み合わせによりコンバーターハウジングの剛性が向上する。
【0028】
また、請求項2の発明に係わるコンバーターハウジングの取付座構造によれば、請求項1記載のコンバーターハウジングの取付座構造において、前記ボルト取付用座面部は、コンバーターハウジングとトランスミッションハウジングとをある一定の角度で位相をずらして接合可能な範囲で周方向に拡大されていることにより、上記した請求項1の発明の効果と同様な効果を奏し得るばかりか、自動変速機の車両への搭載角度の変更を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる取付座構造を備えたコンバーターハウジングの一部省略した正面図である。
【図2】コンバーターハウジングとトランスミッションケースとの結合状態の斜視図である。
【図3】コンバーターハウジングとトルクコンバータとの斜視図である。
【図4】従来の取付座構造を備えたコンバーターハウジングの一部省略した正面図である。
【符号の説明】
1 コンバーターハウジング
3 リブ
1A 取付フランジ部
11 ボルト取付座面部
11C 辺縁部
12A 取付ボルト穴
12B 取付ボルト穴
13 屈曲部
Claims (2)
- コンバーターハウジングとトランスミッションハウジングを接合させる取付フランジ部に、前記取付フランジ部の周方向に、前記取付フランジ部の他の部分よりも厚肉となるように所定の間隔をおいて複数設けられたボルト取付用座面部を、前記取付フランジ部の周方向に拡大し、前記ボルト取付用座面部のそれぞれに、前記ボルト取付用座面部の周方向にトランスミッションケース取付用の取付ボルト穴を複数設けたことを特徴とするコンバーターハウジングの取付座構造。
- 前記ボルト取付用座面部は、コンバーターハウジングとトランスミッションハウジングとをある一定の角度で位相をずらして接合可能な範囲で周方向に拡大されている請求項1記載のコンバーターハウジングの取付座構造。
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