JP2003201928A - エンジンの吸気系支持構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸気マニホールドをほぼ水平に延長させ、か
つ吸気マニホールドの剛性を高め、振動、騒音を低減す
る傾斜搭載エンジンの吸気系支持構造を提供すること。 【解決手段】 少なくともシリンダブロック2とシリン
ダヘッド3を有するエンジン1上方にて、一方の端部をシ
リンダヘッド3に接続しかつ他方の端部をスロットルボ
ディ30に接続する吸気管13をエンジン長手方向とほぼ平
行に延在させた吸気マニホールド10を備えたエンジン1
の吸気系支持構造であり、シリンダブロック3にマウン
ティングブラケット50を備えるとともに、スティフナ40
を用いて吸気マニホールド10のスロットルボディ側フラ
ンジ15とマウンティングブラケット50とを連結する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンを車体幅
方向のどちらかに傾けて搭載した車両におけるエンジン
の吸気系支持構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】以下、図面を参照して、従来の技術に関
するエンジンの吸気系支持構造について具体的に説明す
る。図４は従来技術におけるエンジン１’の配置構成を
示す側面図であり、図５は図４の正面図を示している。
図示されるエンジン１’は、エンジン１’本体の上方に
吸気マニホールド１０’を取付けるとともに、下方に排
気マニホールド２０を取付けている。この構成におい
て、吸気管１３をさらに延長させることでより多くの空
気をシリンダ内に送ってエンジン１’の体積効率を高
め、かつ出力性能を向上させてエンジン１の低、中速域
でのエンジントルクを向上させようとする場合、サージ
タンク１４、スロットルボディ３０がクランクシャフト
（符号Ｏ参照）を中心としてより外側に押し出されるた
め、スロットルボディ３０側フランジ１５と、シリンダ
ブロック２のスティフナ取付ボス６１、６２を結合する
ことが困難になる。また、両者を結合できたとしても、
スティフナ６０の形状が吸気マニホールド１０’の振動
を十分に抑えることができないというおそれがある。こ
のため、吸気マニホールドをさらに延長させて、エンジ
ンの性能を向上させる場合でも、吸気マニホールドの剛
性を高め、振動、騒音を低減するエンジンの吸気系支持
構造が求められている。

【０００３】エンジンの吸気系支持構造に関する先行技
術としては、実開昭５７−１７４７５２号公報、実開平
２−１４２３１７号公報及び実開平４−１３２４４９号
公報に開示されたものがある。実開昭５７−１７４７５
２号公報に開示された内燃機関のインテークマニホール
ドガセットでは、エンジン上方に延在する吸気マニホー
ルドを支持するために、一方の端部で吸気マニホールド
を支え、かつ他方の端部でエンジンを車体に取付けるマ
ウンティングブラケットを形成したガセットを配置して
いる。実開平２−１４２３１７号公報に開示されたエア
クリーナの支持構造では、エンジン上方に延在する吸気
マニホールドからさらに延びるエアクリーナを支持する
ために、エンジンマウントメンバ上にクリーナケースブ
ラケットを突出させて、該クリーナケースブラケットに
よりエアクリーナケースの下方を支持させている。実開
平４−１３２４４９号公報に開示された吸気マニホール
ドの支持装置では、エンジン本体の前後マウンティング
ブラケットを一体に連結し、このいずれかのマウンティ
ングブラケットと吸気マニホールドとを支持部材により
連結することで、振動源であるエンジンと直接連結しな
いようにするとともに、特にサージタンクを異なる方向
から支持することで、振動、騒音を効果的に低減させて
吸気マニホールドを支持している。

【０００４】しかしながら、実開昭５７−１７４７５２
号公報に開示された考案では、エンジン上方に延在する
吸気系とエンジン本体とを両端にて支持する場合、この
支持体は長さが長くなるため、重量が増加するおそれが
ある。また、実開平２−１４２３１７号公報に開示され
た考案では、吸気系の内端部側のエアクリーナのみを支
持しており、吸気系のうち比較的重量のあるスロットル
ボディを支持していないため、係る箇所においても振動
を生じるおそれがある。さらに、実開平４−１３２４４
９号公報に開示された考案では、サージタンクとマウン
ティングブラケットとを短距離にて連結することで、ス
ティフナの剛性を高めることができるが、反面、サージ
タンクとマウンティングブラケットとの間の空間が限定
され、例えばこの付近に補機等を取付ける場合に干渉す
るおそれがある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の点に
鑑みてなされたものであり、吸気マニホールドをエンジ
ン長手方向と平行に延長させた場合に吸気マニホールド
の剛性を高め、振動、騒音を低減するエンジンの吸気系
支持構造を提供することを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するための手段として、請求項１に記載した発明におい
ては、少なくともシリンダブロックとシリンダヘッドを
有するエンジンの上方にて、一方の端部を前記シリンダ
ヘッドに接続し、かつ他方の端部をスロットルボディに
接続する吸気管をほぼ水平に延在させた吸気マニホール
ドを備えると共に、前記シリンダブロックにマウンティ
ングブラケットを備え、前記吸気マニホールドのスロッ
トルボディ側フランジと前記マウンティングブラケット
とをスティフナで連結したことを特徴とする。この構成
では、傾斜搭載エンジンにおいて、吸気マニホールドを
長めに設定して多くの空気をシリンダ内に送ることでエ
ンジンの体積効率を高めかつ出力性能を向上させ、また
吸気系のなかで重量のあるスロットルボディを直接支持
して吸気マニホールドの剛性を高め、エンジン振動、及
び騒音を低減させる。

【０００７】次に、請求項２に記載した発明において
は、請求項１に記載されたものにおいて、前記吸気マニ
ホールドを上方にすると共に排気系及びオイルパンを下
方にして傾斜して搭載されたエンジンのクランクシャフ
ト中心を通る垂線を基準として、前記エンジンを前記シ
リンダヘッド側領域と前記オイルパン側領域の二つの領
域に分け、前記吸気マニホールドの一方の端部を前記シ
リンダヘッド側領域に設けると共に、前記吸気マニホー
ルドの他方の端部及び前記スロットルボディを前記オイ
ルパン側領域に設けたことを特徴とする。この構成で
は、傾斜搭載エンジンにおいて、吸気マニホールドを長
めに設定して多くの空気をシリンダ内に送ることでエン
ジンの体積効率を高めかつ出力性能を向上させ、また吸
気系のなかで重量のあるスロットルボディを直接支持し
て吸気マニホールドの剛性を高め、エンジン振動、及び
騒音を低減させる。

【０００８】本発明に係るエンジンの吸気系支持構造は
基本的には以上のように構成されるが、マウンティング
ブラケット、スティフナ及びスロットルボディ側フラン
ジはボルトを用いて固定されてもよく、溶接固定されて
もよく、さらには一体形成されてもよい。ただし、溶接
固定または一体形成する場合には、一方の接続部はボル
ト固定とする。また、スティフナはスロットルボディ側
フランジのみならず、吸気系の他の箇所を支持するよう
に構成してもよい。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に係る
エンジンの吸気系支持構造を添付した図１〜図３を用い
て説明する。尚、理解の容易化を図るため、図４及び図
５に示した従来技術に係る部材と同一の部材について
は、同一の符号を用いて説明する。

【００１０】先ず、本発明の実施の形態に係るエンジン
の配置構成を、図１及び図２を参照して説明する。図１
は、本発明の実施の形態に係るエンジン１の側面図を示
している。また、同図に対応する正面図を図２に示して
いる。両図から理解されるように、エンジン１は下方に
オイルパン５ａ、５ｂを取付けて、オイルパン５ａ、５
ｂ内のオイルをオイルポンプ（図示せず）によりエンジ
ン１内の適宜箇所に圧送する潤滑機構（図示せず）を構
成する。図示されるように、エンジン１はエンジンルー
ムＥ内で傾斜して搭載される。これは、例えば車両床下
の限られた空間Ｅ内に全高を抑えてエンジン１を配設す
る必要がある場合を想定している。この場合、一般的
に、エンジン１上方に吸気系１０を配置するとともに下
方に排気系２０を配置する。

【００１１】具体的に説明すると、図１に示すように、
エンジンルームＥが垂直方向ｐ１と水平方向ｐ２に広が
るとすると、エンジン１を本体の垂直方向ｑ１と水平方
向ｑ２を夫々、クランクシャフト（符号Ｏ参照）を中心
として所定の角度Ａ、Ｂで傾斜させる。図示した実施の
形態では、エンジンルームＥとエンジン１夫々の垂直方
向のなす角度Ａは約６０度であり、エンジンルームＥの
水平方向ｐ２とエンジン１の垂直方向ｑ１のなす角度Ｂ
は約３０度である。

【００１２】図１、２に示した実施の形態では図４、図
５に示した従来例と比較して、吸気マニホールド１０の
吸気管１３の長さを延ばしている。これにより、吸気マ
ニホールド１０のスロットルボディ３０側フランジ１５
をクランクシャフト（符号Ｏ参照）を中心として距離ｒ
１（図４参照）から距離ｒ２（図１参照）まで押し出し
ている。換言すると、クランクシャフトＯ中心を通る垂
線ｐ１を基準として、エンジン１をシリンダヘッド３側
領域とオイルパン５側領域の二つの領域に分けるとする
と、吸気マニホールド１０をシリンダヘッド３側領域か
らオイルパン５側領域までスロットルボディ３０を押し
出すようにほぼ水平に延在させる。故に、図１に示した
実施の形態では、図４に示した従来例と比較して、吸気
マニホールド１０の吸気管１３をエンジン１本体とほぼ
平行に、かつより長めに延在させる。このように構成す
ることによって、エンジン１の体積効率を高めかつ出力
性能を向上させることが可能になる。

【００１３】ここで、エンジン１の各部位について簡単
に説明する。図示するように、シリンダヘッド３にシリ
ンダ９の吸排気ポート１１、２１を開閉する動弁機構を
配設する。ただし、図１に示したエンジン１は図４に示
したエンジン１’と異なり、ＤＯＨＣ型の動弁機構を配
設する。即ち、シリンダヘッド３の上部に設けられたイ
ンテークカムシャフト７ａ、エキゾーストカムシャフト
７ｂには夫々インテークカム６ａ、エキゾーストカム６
ｂが形成され、このインテークカム６ａ、エキゾースト
カム６ｂの回転を夫々インテークバルブ８ａ、エキゾー
ストバルブ８ｂに伝達してインテークバルブ８ａ、エキ
ゾーストバルブ８ｂを開閉作動させる。このようにし
て、カムシャフト７ａ、７ｂをクランクシャフト（符号
Ｏ参照）の回転と同期して回転させてバルブ８ａ、８ｂ
を開閉させることで、シリンダ９の吸、排気を行う。

【００１４】また、シリンダヘッド３に形成された吸気
ポート１１には、シリンダヘッド取付フランジ１２と吸
気管１３とサージタンク１４とを備えた吸気マニホール
ド１０が連結され、吸気マニホールド１０の上流側に
は、スロットルボディ３０が接続されている。さらに、
シリンダヘッド３に形成された排気ポート２１には、排
気マニホールド２０が連結されている。

【００１５】ただし、このように吸気マニホールド１０
端部にサージタンク１４が位置する場合、サージタンク
１４やスロットルボディ３０の荷重を吸気マニホールド
１０が受けるため、支持剛性を高めるべく、吸気マニホ
ールド１０全体の補強を図る必要がある。次に、本発明
の実施の形態に係るエンジンの吸気系支持構造を説明す
る。

【００１６】図１に示すように、本発明に係る実施の形
態では吸気系を支持するために、まずシリンダブロック
２の側部２ａにエンジン側のマウンティングブラケット
５０を備え、そしてこのマウンティングブラケット５０
と吸気系とをスティフナ４０を用いて連結する。これ
は、振動源であるエンジン１の振動を低減するために、
振動源に直接接続するよりも、この制振体であるマウン
ティングブラケット５０に取付ける方がより振動低減上
好適なためである。また、本発明の実施の形態に係る吸
気系支持構造では、吸気系のうち特に集中質量部を支持
することによって、振動伝達の低減を効果的に行う。具
体的には、スティフナ４０を用いて吸気マニホールド１
０のスロットルボディ３０側フランジ１５とマウンティ
ングブラケット５０とを連結する。このようにして、シ
リンダへッド３に一端を取付けた吸気マニホールド１０
の他方の端部をマウンティングブラケット５０に取付け
たスティフナ４０により支持することで、吸気マニホー
ルド１０を別方向から支持することができ、吸気マニホ
ールド１０の剛性を高め、振動、騒音を低減できる。

【００１７】以下、図１〜図３を用いて、本発明の実施
の形態に係る吸気系支持構造の各構成要素について詳細
に説明する。図３に示すように、吸気マニホールド１０
のスロットルボディ３０側フランジ１５の下方を延長し
て、スティフナ接続部（凸状部）１８を形成する。そし
て、スティフナ接続部１８にスティフナ４０をボルト４
９（図１参照）を用いて固定する。なお、前記フランジ
１５に設けられた孔部１７は、スロットルボディ３０と
連結するときに用いる締付ボルト用に形成されているも
のである。

【００１８】スティフナ４０は、図１〜図３に示すよう
に本体４１の一方の端部にマウンティングブラケット５
０との接続用の平らな取付面４２を設けるとともに、他
方の端部にフランジ１５との接続用の平らな取付面４５
を設ける。好適には、本体４１と夫々の取付面４２、４
５とを角度をなして構成する。例えば、取付面４２に孔
部４３を設けてこの孔部４３にボルト５９（図１参照）
を嵌合させてマウンティングブラケット５０と一体固定
する。

【００１９】マウンティングブラケット５０は、図１〜
図３に示すように本体５１を長手方向に延在させて、こ
の上面に取付面５２を備える。この際、マウンティング
ブラケット５０は本体５１の一方の端部に係止部５７を
設けてシリンダブロック２の側部２ａに対して係止され
る。図面には示していないが、上記係止部５７と対に噛
合するために、シリンダブロック２はこの側部２ａに凹
状部または孔部を形成してもよい。そして、この略板状
の取付面５２にスティフナ４０を位置決め固定する。こ
の際、図１に示すように、ボルト５９を用いてスティフ
ナ４０を固定してもよく、または溶接固定してもよい
（図示せず）。また、図３の符号５６に示すように、本
体５１の端部を突出させて、この突出部５６にマウンテ
ィングゴム（図示せず）等の弾性体の係止部５５を形成
する。この場合、マウンティングブラケット５０は上記
係止部５７にてエンジン１に固定されるとともに、係止
部５５にてマウンティングゴムを介してエンジンルーム
Ｅ内の他の箇所と位置決め固定する。さらに、マウンテ
ィングブラケット５０は本体５１の側部にエンジン１に
配置する補機（図示せず）等を取付ける際の支持部（図
示せず）を備えてもよい。

【００２０】尚、本発明に係る他の実施の形態では、略
板状の取付面５２にスティフナ４０を位置決め固定する
際、上記取付面５２に係止孔（図示せず）を設けるとと
もにスティフナ４０の端部側に係止爪（図示せず）を設
けて、両者を噛合させてマウンティングブラケット５０
とスティフナ４０とを位置決め固定してもよい。さら
に、添付した図面ではマウンティングブラケット５０と
スティフナ４０を別体として示しているが、両者を一体
形成してもよい（図示せず）。

【００２１】以上のように構成することによって、吸気
マニホールド１０を延長させるとともに、吸気系のなか
で重量のあるスロットルボディ３０を直接支持して、吸
気マニホールド１０の剛性を高めることができ、従って
エンジン振動、及び騒音を低減することが可能となる。

【００２２】

【発明の効果】本発明は以上説明したように構成された
エンジンの吸気系支持構造であるから、吸気マニホール
ドを長めに設定して多くの空気をシリンダ内に送ること
でエンジンの体積効率を高めかつ出力性能を向上させ、
また吸気系のなかで重量のあるスロットルボディを直接
支持して吸気マニホールドの剛性を高め、エンジン振
動、及び騒音を低減させることが可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態に係るエンジンの吸気系支
持構造を示す側面図である。

【図２】本発明の実施の形態に係るエンジンの吸気系支
持構造を示す正面図である。

【図３】本発明の実施の形態に係るエンジンの吸気系支
持構造の一部を拡大して示す斜視図である。

【図４】従来の技術に係るエンジンの吸気系支持構造を
示す側面図である。

【図５】従来の技術に係るエンジンの吸気系支持構造を
示す正面図である。

【符号の説明】

１ エンジン ２ シリンダブロック ３ シリンダヘッド ４ シリンダヘッドカバー ５ａ、５ｂ オイルパン ９ シリンダ １０ 吸気マニホールド １４ サージタンク １５ スロットルボディ側フランジ ２０ 排気マニホールド ３０ スロットルボディ ４０ スティフナ ５０ マウンティングブラケット

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくともシリンダブロックとシリンダ
   ヘッドを有するエンジンの上方にて、一方の端部を前記
   シリンダヘッドに接続し、かつ他方の端部をスロットル
   ボディに接続する吸気管をほぼ水平に延在させた吸気マ
   ニホールドを備えると共に、前記シリンダブロックにマ
   ウンティングブラケットを備え、前記吸気マニホールド
   のスロットルボディ側フランジと前記マウンティングブ
   ラケットとをスティフナで連結したことを特徴とするエ
   ンジンの吸気系支持構造。
2. 【請求項２】 前記吸気マニホールドを上方にすると共
   に排気系及びオイルパンを下方にして傾斜して搭載され
   たエンジンのクランクシャフト中心を通る垂線を基準と
   して、前記エンジンを前記シリンダヘッド側領域と前記
   オイルパン側領域の二つの領域に分け、前記吸気マニホ
   ールドの一方の端部を前記シリンダヘッド側領域に設け
   ると共に、前記吸気マニホールドの他方の端部及び前記
   スロットルボディを前記オイルパン側領域に設けたこと
   を特徴とする請求項１に記載の吸気系支持構造。