JPH0561434U - 内燃機関の一体型シリンダブロック - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】内燃機関の一体型シリンダブロックの軽量化を
促進する。 【構成】一体型シリンダブロック10のヘッド部11のブロ
ック部12側の端部19，20とブロック部12中間部の突起2
1，22とを壁板27，28にて連結する。これにより、捩じ
れ動剛性が強化され、軽量化を促進できると共に騒音を
低減できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、内燃機関の一体型シリンダブロックに関し、特に軽量化，高剛性化 を図った技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】

シリンダ上方のヘッド部とシリンダ側方のブロック部とが一体に形成された一 体型シリンダブロックとしては、例えば、実開昭５９−１７７７５８号，実開昭 ６１−１２８３４９号，実開昭６１−１７３７５２号，実開昭６２−３８４５８ 号及び実開昭６２−６９０４６号等に示されるようなものがある。

【０００３】 これらのものでは、ヘッド部とブロック部とが別体であるものにおいて結合の ため必要なヘッド部下端のロアデッキ及びブロック部上端のアッパデッキに相当 するものが存在しない。そして、ヘッド部とブロック部との切れ目がないため、 ガス漏れを考慮する必要がなく、これによって高圧縮化を図れる。また、ヘッド ボルトが不要となること等により軽量化が促進される。

【０００４】 また、図５に示すように、シリンダブロック101 外壁を薄い板材102 を連結し て構成したものも提案されており、更に軽量化が図れる (実開昭６０−１５９８ ５７号，実開昭６１−１７１８４２等参照) 。 更に、図６に示すようにウォータージャケットを隔壁201 によりヘッド側202 とブロック側203 とに分割して２系統の冷却を行うようにしたものもある (実開 昭６１−１５２７２３号，実開昭６２−４１８５４号等参照) 。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】

しかしながら、このような従来のヘッド部とブロック部とを一体形成した一体 型シリンダブロックにあっては、燃費向上を目的として薄肉化等による軽量化を 一層促進しようとすると捩じり動剛性が低減し、特に吸・排気弁のリフト特性を 可変制御する動弁機構等をヘッド部に組み込まれるようなものでは重量が増加す る一方、ヘッド部の側壁がブロック部の側壁に対して外側に張り出して形成され るため、該ヘッド部とブロック部との結合部分の捩じり動剛性が低くなるため、 十分軽量化を促進することができずに燃費向上が阻まれ、また、捩じり振動によ り加速騒音の悪化を招く等の問題があった。

【０００６】 本考案は、このような従来の問題点に鑑みなされたもので、軽量化を促進しつ つヘッド部とブロック部の結合部の捩じり動剛性を高めて燃費を改善でき、加速 騒音も軽減できるようにした内燃機関のシリンダブロックを提供することを目的 とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

このため本考案は、シリンダ上方のヘッド部とシリンダを有するブロック部と が一体に形成され、かつ、ヘッド部のシリンダ配列方向を挟んで両側の側壁がブ ロック部の同一側の各側壁に対して外側に張り出して形成された内燃機関の一体 型シリンダブロックにおいて、ヘッド部の前記両側壁のブロック部側の端部とブ ロック部の同一側側壁の中間部との間にウォータージャケットの外壁となる壁板 を結合した構成とした。

【０００８】

【作用】

ヘッド部のブロック部側の外側端部とブロック部側壁中間部とが壁板により連 結されてその間にウォータージャケットが形成され、該ウォータージャケットは 縦断面三角形状であるため軽量な壁板を用いても断面係数が大きく増大し、捩じ り動剛性が著しく高められる。その結果、軽量化が促進され、捩じり振動の抑制 により加速騒音も低減される。

【０００９】

【実施例】

以下に本考案の実施例を図に基づいて説明する。 一実施例を示す図１〜図４において、一体型シリンダブロック10は、シリンダ 上方のヘッド部11とシリンダ及びスカート部を有するブロック部12とが一体に形 成されており、ヘッド部11には、運転状態に応じて異なる吸・排気流動特性に応 じて吸気・掃気効率を高める等のため吸気弁及び排気弁のリフト特性を可変に制 御する機構 (可変動弁機構) が組み込まれるため、ヘッド部11のシリンダ配列方 向を挟んで両側の側壁は、ブロック部12の同一側の側壁に対し、夫々外側に大き く張り出して形成されている。

【００１０】 また吸気ポート13及び排気ポート14とヘッド部11の底壁及び側壁との間に夫々 ヘッド部11側のウォータジャケット15，16が形成されている。 ここで、ヘッド部11の両側壁17，18のブロック部12側、図では下側の端部19， 20とブロック部12の両側壁の中間部を突出させた突起21，22及びこれら端部19， 20と突起21，22のシリンダ配列方向の両端部相互を結んで突出形成した端壁23， 24とで環状に囲まれる周壁の外端面をシリンダ軸に対して傾斜する取付け面25， 26とする。

【００１１】 そして、かかる一体型シリンダブロック10とは別体に設けた壁板27，28の周縁 部を夫々前記各取付け面25，26に図示しない液状ガスケットを介して接合し、ボ ルトに29より締結し、かつ、ヘッド部11の底壁を貫通して冷却水通路30，31を形 成することによりヘッド部11の底壁，ブロック部12の外壁と壁板27，28との間に 形成される断面三角形状の空間をブロック部12側のウォータジャケット32，33と して形成する。前記壁板27，28には剛性強化用に特に捩じれ方向の対する高剛性 化を図れるクロス状のリブ27ａ，28ａが形成されており、また、壁板27，28のウ ォータジャケット32，33側に面する裏面には、比較的低比重な例えば発砲アルミ 等からなる吸音材 (振動吸収ダンピング材) 34，35が接着されている。尚、前記 冷却水通路30，31の開口面積は、図３に示すように、機関のフロント側からリア 側に向かって (図示矢印方向) 、総開口面積を大きく採っている。

【００１２】 次に作用を説明する。燃費向上の重要項目の一つとして、前記可変動弁機構が 挙げられるが、かかる動弁機構の採用により、ヘッド部の重量の重量の増大が顕 著であり、このため捩じり動剛性が低下する。また、捩じれ振動モードの節は、 ヘッド部の重量増大によってヘッド部とブロック部との結合部位に近づいている 。これは、換言すればヘッド部とブロック部との結合部分の変形が大きいという ことである。

【００１３】 そこで、前記実施例では本考案に係る構成として、前記結合部分にウォータジ ャケットを構成する壁板27，28を装着することにより、該結合部分の断面係数を 増大させて捩じれ振動に対する剛性を大幅に高めている。これにより、捩じれ振 動を効果的に抑制することができ、軽量化を促進できると同時に、振動騒音を抑 制できる。特に、本実施例では、前記したようにリブ27ａ，28ａを設けることで 軽量性を保ちつつ捩じれ動剛性を高められ、又、壁板27，28の裏面に吸音材34， 35を接着したことにより、騒音防止効果が高められる。更に、ヘッド11の底壁が ロアデッキとして機能することにより、より剛性を高められることは勿論である 。尚、アルミ製のシリンダブロックに対して鉄系の壁板を採用することにより、 一層の高剛性化が図れる。

【００１４】 また、ウォータポンプの装着されるフロント側から冷却水が供給されると、フ ロント側の冷却水は比較的低温であり、リア側に行くほど気筒の燃焼熱と熱交換 して温度上昇する。しかし、本実施例では機関のフロント側からリア側に向かっ て、冷却水通路30，31の総開口面積を大きく採っているので、ブロック側のウォ ータジャケット32，33から比較的低温の冷却水が多量にヘッド部11側のウォータ ジャケット15，16へ供給されることがなく、一方、リア側の比較的高温の冷却水 はヘッド部11側のウォータジャケット15，16への供給量が増大するため、冷却性 能を気筒毎に均一化することができる。そして、ヘッド部11のブロック部12より 外側に張り出す底壁の面積が大きいので上記冷却水通路30，31の総開口面積の設 定の自由度が増大し、前記流量制御を行い易い。

【００１５】

【考案の効果】

以上説明してきたように、本考案によればブロック部に対して外側に張り出し て形成されたヘッド部側壁のブロック部側端部と、対応するブロック部側壁の中 間部とを、ウォータジャケットを形成する壁板で連結した構造としたため、ヘッ ド部とブロック部の結合部の捩じれ動剛性を効果的に高めることができ、以て軽 量化を促進できると共に騒音低減機能を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す縦断面図

【図２】 (Ａ) は同上実施例の側面図、 (Ｂ) は (Ａ)
のＡ−Ａ矢視断面図

【図３】図１のＢ−Ｂ矢視断面図

【図４】同上実施例に使用される壁板の正面図

【図５】従来例を示す縦断面図

【図６】別の従来例を示す縦断面図

【符号の説明】

10 一体型シリンダブロック 11 ヘッド部 12 ブロック部 19，20 ヘッド部のブロック部側の端部 21，22 突起 27，28 壁板 32，33 ブロック部側のウォータジャケット

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダ上方のヘッド部とシリンダを有す
   るブロック部とが一体に形成され、かつ、ヘッド部のシ
   リンダ配列方向を挟んで両側の側壁がブロック部の同一
   側の各側壁に対して外側に張り出して形成された内燃機
   関の一体型シリンダブロックにおいて、ヘッド部の前記
   両側壁のブロック部側の端部とブロック部の同一側側壁
   の中間部との間にウォータージャケットの外壁となる壁
   板を結合した構成としたことを特徴とする内燃機関の一
   体型シリンダブロック。