JP3585990B2 - 画像処理方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、感熱プリンタ等のサーマルプリンタに用いられる画像処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、支持体の上に感熱発色層,保護層が層設された感熱記録紙と、ライン状に発熱素子が配列されたサーマルヘッドとを相対移動させ、画像データに応じた熱エネルギーを感熱記録紙に与えることにより感熱記録紙に中間調画像を熱記録する感熱プリンタや、インクフイルムに与える熱エネルギーを画像データに応じて変化させ、記録紙に転写されるインク量を変化させることにより記録紙に中間調画像を熱記録する昇華型熱転写プリンタ等のサーマルプリンタが知られている。
【0003】
このようなサーマルプリンタで、例えば多数の細かい線からなるストライプを描くと、駆動された発熱素子の熱履歴の影響により駆動してない周囲の発熱素子の温度まで上昇し、本来発色されるべきでない線と線との隙間まで感熱記録紙の感熱発色層が発色して記録濃度が上がる。したがって、記録画像のコントラストが低下して不鮮明になるという問題があった。これを改善するため、周囲の発熱素子の画像データに基づいて駆動させるべき発熱素子の画像データを補正演算し、これによって発熱素子を駆動させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、駆動回路は階調レベルの最大値と最小値との間でサーマルヘッドを駆動するようになっている。例えば8ビットの駆動回路では「0」〜「255」の256階調で熱エネルギーを発生するようになっている。したがって、上記のような補正演算を行っても、濃度変化が急激な部分では、補正量が大きくなるため、画像データが完全に飽和して補正が不可能になる場合がある。すなわち、補正演算の結果が熱記録可能な階調レベルの最大値を超えた場合には、この補正演算値を階調レベルの最大値までシフトさせ、また、補正演算の結果が熱記録可能な階調レベルの最小値を超えた場合は、補正演算値を階調レベルの最小値までシフトさせなければならず、結果として発熱素子の熱履歴の影響により記録画像が不鮮明になるという問題があった。
【0005】
本発明は、発熱素子の熱履歴の影響を低減して鮮明な画像を記録する画像処理方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の画像処理方法は、画像を構成する各画素の階調レベルが「0〜(M−1)(Mは自然数)」となるように量子化された各画素の画像データに対し、二次微分演算子を用いて画像処理した後、各画素の階調レベルにM/2を加算するとともに、この値が「0〜(2M−1)」の範囲になるように補正するものである。
【0007】
【作用】
階調レベルが「0〜(M−1)」の画像データに二次微分演算子による画像処理を施してから各画素の階調レベルにM/2を加算するとともに、この値が「0〜(2M−1)」の範囲になるようにしたから、画像処理後の画素の階調レベルが有効な階調レベル範囲内に含まれて画像データの飽和現象が回避されるから、二次微分演算子による画像処理が有効に作用して発熱素子の熱履歴による影響が低減されて鮮明な画像が記録される。
【0008】
【実施例】
図2において、例えば電子スチルカメラで撮影されたビデオフロッピィをスチルビデオプレーヤーにセットする。ここで再生されたビデオ信号は、Y/C分離回路11に入力されて輝度信号Yと色信号Cとに分離される。この色信号Cはデコーダ12により色差信号R−Y,B−Yに変換され、これらの輝度信号Y,色差信号R−Y,B−Yは、A/D変換器13によって量子化されて例えば256階調数(8ビット)のデジタル信号に変換される。このデジタル化された輝度データY’,色差データR’−Y’,B’−Y’は、画像メモリ14に書き込まれる。画像メモリ14から読み出された輝度データY’,色差データR’−Y’,B’−Y’は、色調整回路15に入力され、色補正が施される。
【0009】
色調整回路15から熱履歴補正部16に入力された輝度データY’,色差データR’−Y’,B’−Y’は、図1に示すシーケンスに従って、例えば次の数式1のような二次微分演算子(ラプラシアン)の近似式(デジタル・ラプラシアン)により補正演算される。
【0010】
【数1】
【0011】
この数式1は、画素(i,j)の階調レベルg(i,j)に、画素(i,j)の階調レベルg(i,j)とその周囲に隣接する各画素(u,v)の階調レベルg(u,v)との差を加算したものである。これにより、画素(i,j)は周囲の画素(u,v)により強調される。
【0012】
この補正演算された各画素の階調レベルに「128(=256/2)」を加算する。そして、階調レベルが「0」以下の画素の階調レベルは「0」とし、「512」以上の画素の階調レベルは「511」とし、その中間の階調レベルの画素は、そのままの階調レベルとする。これにより、輝度データY’,色差データR’−Y’,B’−Y’の階調数は、256階調(8ビット)から512階調(9ビット)に変換される。これを図4を参照して簡単に説明する。
【0013】
図4において、実線で表した特性曲線Yは、8ビットの駆動データに基づいて所定の発熱素子1個を駆動し、階調レベル0から階調レベル255までイエロー感熱発色層34を順次に発色させたもので、所定の発熱素子がイエロー感熱発色層34に与える熱エネルギーの幅aは256階調に対応している。この特性曲線Yでは、上記数式1による補正演算後の階調レベルが、例えば「−10」や「260」になった場合には、画像データが飽和して補正が有効に効果を発揮せず、記録画像が不鮮明になる。
【0014】
破線で表した特性曲線Y’は、所定の発熱素子1個の駆動データに、この両側に隣接する発熱素子の駆動データを用いて上述の9ビット化処理を施し、得られた9ビットの駆動データに基づいて発熱素子を駆動したものである。この9ビット化処理により、熱エネルギーの幅bは幅aから両側にシフトされ、イエロー感熱発色層34は階調レベル0から階調レベル511まで発色される。なお、例えば、9ビットの階調レベル128は8ビットの階調レベル0に対応しているから、8ビットの階調レベルと同じ熱エネルギーが発生するように、ヘッド駆動信号のパルス幅が修正される。
【0015】
熱履歴補正部16を経た輝度データY’,色差データR’−Y’,B’−Y’は、デコーダ17によってイエロー,マゼンタ,シアンの3原色信号に変換される。このイエロー,マゼンタ,シアン信号は駆動信号発生回路18によってサーマルヘッド22の各発熱素子を駆動するヘッド駆動信号に変換される。この駆動信号発生回路18は、9ビットの入力端子を備え、「0」〜「511」までの512階調の熱エネルギーを発生することができるようになっている。得られたイエロー,マゼンタ,シアンの各ヘッド駆動信号によってサーマルヘッド22が駆動される。まず、1フレーム分のイエロー用ヘッド駆動信号が1ラインずつサーマルヘッド22に供給され、これに基づいてサーマルヘッド22が駆動される。このサーマルヘッド22は、感熱記録紙23のイエロー感熱発色層を加熱してイエロー画像を1ラインずつ記録する。このイエロー画像が記録された部分は、イエロー用の紫外線ランプによって所定波長の紫外線が照射されて光定着される。
【0016】
イエロー画像の記録の光定着後に、例えばプラテンに装着された感熱記録紙23がサーマルヘッド22に対面すると、マゼンタ画像の熱記録が開始される。このマゼンタ記録では、1ライン分のマゼンタ用ヘッド駆動信号がサーマルヘッド22に供給され、感熱記録紙23のマゼンタ感熱発色層が1ラインずつ熱記録され、マゼンタ用紫外線ランプで光定着される。最後に、シアン用ヘッド駆動信号によって感熱記録紙23のシアン感熱発色層が1ラインずつ熱記録される。このサーマルヘッド22は、周知のように、多数の発熱素子が主走査方向にライン状に配列されている。
【0017】
なお、プリントしようとする画像は、色調整回路15で色調節された後、D/A変換器26及びエンコーダ27を介してCRT28に映し出されるから、色等を確認しながらプリント作業を行うことができる。
【0018】
感熱記録紙23の構造は、図3に示すように、不透明なコート紙又はプラスチックフイルムからなる支持体31の上に、シアン感熱発色層32,マゼンタ感熱発色層33,イエロー感熱発色層34,保護層35が順次層設されている。これらの各感熱発色層32〜34は、熱記録される順番に表面から層設されている。シアン感熱発色層32は、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物を主成分として含有し、加熱されたときにシアンに発色する。
【0019】
マゼンタ感熱発色層33としては、最大吸収波長が約365nmであるジアゾニウム塩化合物と、これと熱反応してマゼンタに発色するカプラーとを含有している。このマゼンタ感熱発色層33は、サーマルヘッド22でマゼンタ画像を熱記録した後に、365nm付近の紫外線を照射するとジアゾニウム塩化合物が光分解して発色能力が失われる。
【0020】
イエロー感熱発色層34は、最大吸収波長が約420nmであるジアゾニウム塩化合物と、これと熱反応してイエローに発色するカプラーとを含有している。このイエロー感熱発色層34は、420nm付近の近紫外線を照射すると光定着して発色能力が失われる。なお、図1において定着用の紫外線ランプは図示を省略してある。また、ビデオ信号が輝度信号Yと色信号Cとにすでに分離されている場合には、この輝度信号Yと色信号CはS端子からデコーダ12に直接入力される。
【0021】
このように構成された感熱プリンタの作用について説明する。画像メモリ14から読み出された画像データは色調整回路15によって色調整された後、CRT28に映し出される。色等を観察してからプリントキーを押すと、画像データは熱履歴補正部16により8ビットから9ビットに変換される。この9ビット化処理により、8ビットの画像データのままでは数式1の補正演算により画像データが飽和して適正な記録が行えない負レベルとなる画像データや階調レベル255を超える画像データも階調レベル0〜511内に入る。そして、これらの画像データはデコーダ17を介して駆動信号発生回路18に入力され、イエロー画像記録用のヘッド駆動信号が発生される。
【0022】
感熱記録紙23の記録エリアがサーマルヘッド22の下方に搬送されると、まずイエロー画像の熱記録が開始される。1フレーム分のイエロー用ヘッド駆動信号が1ラインずつサーマルヘッド22に供給され、これに基づいてサーマルヘッド22が駆動される。このイエロー画像の熱記録に際して、各発熱素子の熱履歴による尾引き等のないコントラストの良好なイエロー画像が熱記録される。このイエロー画像が記録された部分は、イエロー用の紫外線ランプによって所定波長の紫外線が照射されて光定着される。
【0023】
イエロー画像の熱記録及び光定着が終了した後、再び感熱記録紙23の記録エリアがサーマルヘッド22の下方に搬送されると、次のマゼンタ感熱発色層33の熱記録が開始される。イエロー画像の熱記録時と同様にして8ビットのマゼンタ画像の画像データが9ビットに変換され、この画像データに基づいたヘッド駆動信号がサーマルヘッド22に供給される。このマゼンタ画像の熱記録に際しても、イエロー画像の熱記録時と同様に、鮮明なマゼンタ画像が熱記録される。このマゼンタ画像が記録された部分は、マゼンタ用の紫外線ランプによって所定波長の紫外線が照射されて光定着される。同様に、シアン画像の熱記録が行われる。このシアン画像の熱記録に際しては、紫外線ランプによる光定着は行われず、そのままプリンタ外に排出される。
【0024】
以上説明した実施例は、感熱発色層が積層された感熱記録紙に画像を記録する感熱プリンタについて説明したが、本発明はこれに限定されることなく、例えばインクシートを使用する昇華型熱転写記録方式のサーマルプリンタでもよい。また、8ビットの画像データを9ビットに変換する実施例のみを説明したが、本発明はこれらの数値に限定されず、例えば16ビットの画像を17ビットに変換する等に応用できるのは勿論である。また、ラインプリンタについて説明したが、本発明はシリアルプリンタにも適用することができる。
【0025】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の画像処理方法によれば、各画素の階調レベルが「0〜(M−1)」の画像データを二次微分演算子で画像処理した後、各画素の階調レベルにM/2を加算するとともに、この値が「0〜(2M−1)」の範囲になるように補正したので、二次微分演算子で画像処理した後の画素の階調レベルが有効な階調レベル範囲内に入るようになって画像データの飽和現象が回避されるから、二次微分演算子による画像演算処理が有効に作用し、発熱素子の熱履歴に起因する記録画像の鮮鋭度の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像処理方法の一例を示すフローチャートである。
【図2】感熱プリンタのブロック図である。
【図3】感熱記録紙の構造を示す説明図である。
【図4】8ビット,9ビットの各画像データに基づいて駆動した発熱素子により発色されたイエロー感熱発色層の特性曲線Y,Y’を概略的に示すグラフである。
【符号の説明】
16 熱履歴補正部
22 サーマルヘッド
23 感熱記録紙
Claims (1)
- 画像を構成する各画素の階調レベルが「0〜(M−1)(Mは自然数)」となるように量子化された各画素の画像データに対し、二次微分演算子を用いて画像処理した後、各画素の階調レベルにM/2を加算するとともに、この値が「0〜(2M−1)」の範囲になるように補正することを特徴とする画像処理方法。
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