JP3059605B2 - サーマルプリンタ - Google Patents

サーマルプリンタ

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JP3059605B2
JP3059605B2 JP12022293A JP12022293A JP3059605B2 JP 3059605 B2 JP3059605 B2 JP 3059605B2 JP 12022293 A JP12022293 A JP 12022293A JP 12022293 A JP12022293 A JP 12022293A JP 3059605 B2 JP3059605 B2 JP 3059605B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サーマルプリンタに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】サーマルプリンタには、インクシートを
使用する熱転写プリンタと、感熱記録材料を直接に加熱
して画像を記録する感熱プリンタとがある。これらのサ
ーマルプリンタでは、多数の発熱素子(抵抗素子)をラ
イン状に配列したサーマルヘッドが用いられている。熱
転写プリンタには、溶融したインクを記録紙に転写する
溶融型と、記録紙に転写されるインク量が熱エネルギー
に応じて変化する昇華型とがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】例えば、昇華型のサー
マルプリンタでは、イエロー,マゼンタ,シアンの各色
の1ライン当たりのプリント時間を同じに設定してい
る。したがって、プリント材料の開発側としては、各色
の染料の発色感度をプリンタに合わせて揃える必要があ
り、用いる材料の種類が限定されてしまうという問題が
ある。
【0004】例えば、染料の発色感度が下がった場合
に、十分なプリント濃度を確保するためには、印画エネ
ルギを上げる必要がある。通常は、単位時間当たりの印
画エネルギを上げたり、通電時間を長くしたりしてい
る。しかし、単位時間当たりの印画エネルギを上げる場
合には、サーマルヘッドの温度が高くなり、記録紙とイ
ンクシートとの固着(スティッキング)やインク溶着,
面荒れが発生し易くなる。また、各染料の発色感度がば
らついた時は、補正できない場合がある。更には、発色
感度が低下した時は、十分な濃度が得られない場合があ
り、画質が劣化するという問題がある。また、サーマル
ヘッドの通電時間を単に長くする場合には、全体として
のプリント時間が長くなるという問題がある。
【0005】本発明は上記課題を解決するためのもので
あり、インク溶着や面荒れの発生を抑え、しかも全体と
してのプリント時間も短縮することができるようにした
サーマルプリンタを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載した発明は、各色の1ライン当たり
のプリント時間を、バイアス加熱と階調に応じた加熱と
を行うための複数個の駆動パルスによる駆動パルス時間
と、この駆動パルス間の休止時間との総和から構成し、
感度の低い色のプリント時には1ライン当たりの駆動パ
ルスの個数を増やすとともに、上限発熱量を越えないよ
うに前記休止時間を長くし、用いる発色材料に応じて、
その色の1ライン当たりのプリント時間を変えて、その
色に適する発色熱エネルギを発生させるものである。
【0007】
【0008】
【作用】各色の発色感度に応じて最適な発色濃度となる
ように、各色の1ライン当たりのプリント時間が変えら
れる。例えば、シアン及びマゼンタの色に対応して、イ
エローの色の感度が半分になっているプリント材料の場
合には、イエロー記録時に、1ライン当たりのプリント
時間が他の色よりも長くされ、発色に必要十分な熱エネ
ルギが得られるようにする。このプリント時間は、バイ
アス加熱と階調に応じた階調加熱とを行うための複数個
の駆動パルスによる駆動パルス時間と、これら各駆動パ
ルス間の休止時間との総和から構成され、イエロー記録
時には1ライン当たりの階調パルスを増やすとともに、
上限発熱量を越えないように前記休止時間が長くとられ
る。したがって、ヘッド温度が低く抑えられるとともに
発色に必要十分な熱エネルギがサーマルヘッドに付与さ
れ、ヘッド温度の上がり過ぎによるインク溶着や面荒れ
等の発生が抑制される。
【0009】
【実施例】昇華型サーマルプリンタの構成を示す図2に
おいて、TVカメラやスキャナ等の画像入力部11から
取り込まれた画像信号は、A/D変換器12によってア
ナログ信号からデジタル信号に変換されて各色毎に設け
たフレームメモリ14y,14m,14cにいったん書
き込まれる。このフレームメモリ14y,14m,14
cから読み出された各画素の画像信号は、画像信号処理
部15に送られ、ここで階調補正されて各色毎に設けた
テーブルメモリ16y,16m,16cに送出される。
このテーブルメモリ16y,16m,16cは、予め階
調制御データを格納しており、各画素ごとの画像信号を
サーマルヘッドの各発熱素子を駆動する駆動時間データ
に変換し、ラインバッファメモリ17に格納する。この
ラインバッファメモリ17から読み出された1ライン分
の駆動時間データは、1ライン毎にゲート20に送出さ
れる。
【0010】前記テーブルメモリ16y,16m,16
cには、メモリ書込み部21が接続されている。メモリ
書込み部21には、駆動時間変更部22が接続されてい
る。駆動時間変更部22は、キーボード23で選択又は
入力された駆動時間データをメモリ書込み部21に出力
する。メモリ書込み部21は、この駆動時間データに基
づきテーブルメモリ16y,16m,16cの駆動時間
データを書き換える。これにより、インクシートの各染
料の発色感度に応じて駆動時間データを任意に変更する
ことができる。
【0011】ゲート20には、図3(B)に示すような
波形の定常パルスPO を出力するパルス発生器25が接
続されている。定常パルスPO は、発熱素子をインク昇
華温度に立ち上げる周期の長い1個のバイアスパルスP
1 と、発熱素子の温度を画素の階調数に応じて上昇させ
る階調パルス列P2 とからなり、パルス列P2 と次のバ
イアスパルスP1 との間には、サーマルヘッド26の発
熱素子の過度の温度上昇を防止するために、その駆動を
一時停止させる休止期間TO が設けられている。なお、
周期の長いバイアスパルスに代えて、階調パルス列P2
と同じようなパルス列からなるバイアスパルス列を用い
てもよい。
【0012】ゲート20は、図3(A)に示すような駆
動時間データに応じて定常パルスP O を通過させること
により、同図(C)に示すような駆動パルスをドライバ
27に出力する。ドライバ27は、前記駆動パルスにし
たがってサーマルヘッド26を駆動し、各発熱素子30
を画素データに応じて発熱させる。また、コントローラ
28は、前記フレームメモリ14y,14m,14c,
画像信号処理部15,テーブルメモリ16y,16m,
16c,ラインバッファメモリ17,ゲート20に接続
されており、これらの同期をとりながら、装置全体の制
御を行う。
【0013】サーマルヘッド26には、幅が例えば16
0μで長さが120μ程度の発熱素子30が記録紙31
の搬送方向に直角に多数個ライン状に並べられている。
サーマルヘッド26の下方にはプラテンドラム32が設
けられており、これらの間にはインクシート33,記録
紙34が重ね合わされながら、樹脂ローラ35,ゴムロ
ーラ36によって搬送される。この樹脂ローラ35,ゴ
ムローラ36はモータ37,38でそれぞれ駆動され
る。コントローラ28は前記駆動パルスに同期させてモ
ータ29,30を駆動し、1記録画素分ずつインクシー
ト33及び記録紙34を間欠的に搬送する。
【0014】図4に示すように、インクシート33は、
ベースフイルム40の一方に耐熱滑性層41,他方に染
料層(昇華色素インク層)42を層設したものであり、
イエロー,マゼンタ,シアンの各インクエリアが記録サ
イズの長さに応じた所定長さで順番に形成されている。
記録紙34はベースシート43に受像層44を層設した
ものである。なお、インクシート33は、3色の他にブ
ラックインクエリアを設けた4色のインクシートを用い
てもよい。
【0015】次に上記実施例の作用について説明する。
写真や絵画等の中間調画像は画像入力部11によって画
像信号に変換され、得られた画像信号がA/D変換器1
2を介して各色毎にフレームメモリ14y,14m,1
4cに書き込まれる。三色の面順次プリント時には、先
ずイエローフレームメモリ14yから読み出された画像
信号が画像信号処理部15によって階調補正及び色補正
された後、イエローテーブルメモリ16yに送出され
る。このテーブルメモリ16yにより、イエローの画像
信号は1記録画素の記録濃度に応じた駆動時間データに
変換され、ラインバッファメモリ17に書き込まれる。
そして、コントローラ28により順次1ライン分の駆動
時間データがラインバッファメモリ17から読み出され
てゲート20に送出される。
【0016】テーブルメモリ16y,16m,16cの
各駆動時間データは用いるインクシート33の各染料の
発色感度に応じて、駆動時間変更部22からの変更デー
タにより個別に設定されている。例えば、図5に示すよ
うに発色感度がシアン,マゼンタ,イエローの順に低く
なるインクシートを用いて、発色濃度を2.0にする場
合には、イエロー熱記録時に3n個の階調パルス数とな
り、マゼンタ熱記録時に2n個の階調パルス数となり、
シアン熱記録時にn個の階調パルス数になる。
【0017】図6は、イエローの階調データと階調パル
スの個数との関係を示す線図である。例えば、イエロー
の最大濃度を2.0として64階調の表現を行う場合に
は、最大濃度2.0とする時に階調パルス数は3n個と
なる。また、濃度を1.0とする時には階調パルス数は
3n/2個となる。
【0018】ゲート20にはパルス発生器25から図3
(B)に示すような定常パルスPOが入力されており、
同図(A)に示すような駆動時間データT1 ,T2 ,T
3 ,T4 に基づいて定常パルスPO を通過させ、同図
(C)に示すような駆動パルスG1 ,G2 ,G3 ,G4
をドライバ27に出力する。ドライバ27は、駆動パル
スG1 ,G2 ,G3 ,G4 にしたがってサーマルヘッド
26を駆動する。サーマルヘッド26はインクシート3
3のイエローインクエリアを裏面から加熱する。これに
より、図4に示すように、インクシート33のイエロー
昇華染料が昇華又は溶融して受像層44に転写吸収され
定着する。
【0019】イエロー画像の熱記録後は、モータ38が
逆転して、マゼンタ画像記録エリアの先端がサーマルヘ
ッド26にセットされる。また、モータ37が正転し
て、サーマルヘッド26に次のマゼンタインクエリアの
記録開始位置がセットされ、頭出しが完了する。マゼン
タのフレームメモリ14mから読み出された画像信号は
画像信号処理部15によって階調補正及び色補正された
後、マゼンタのテーブルメモリ16mに送出される。こ
のテーブルメモリ16mにより、マゼンタ画像信号は1
記録画素の記録濃度に応じた駆動時間データに変換さ
れ、ラインバッファメモリ17に書き込まれる。そし
て、コントローラ28により順次1ライン分の駆動時間
データがラインバッファメモリ17から読み出されてゲ
ート20に送出される。そして、ゲート20及びドライ
バ27を介してサーマルヘッド26が駆動され、マゼン
タ画像が1ラインずつ熱記録される。
【0020】マゼンタ画像の熱記録後は、イエロー画像
の熱記録後と同じように頭出しが行われる。その後、シ
アンのフレームメモリ14cから読み出された画像信号
は画像信号処理部15によって階調補正及び色補正され
た後、シアンのテーブルメモリ16cに送出される。こ
のテーブルメモリ16cにより、シアン画像信号は1記
録画素の記録濃度に応じた駆動時間データに変換され、
ラインバッファメモリ17に書き込まれる。そして、コ
ントローラ28により順次1ライン分の駆動時間データ
がラインバッファメモリ17から読み出されてゲート2
0に送出される。そして、ゲート20及びドライバ27
を介してサーマルヘッド26が駆動され、シアン画像が
1ラインずつ熱記録される。
【0021】図7(B)は本実施例による駆動パルスを
従来のもの(同図(A))と比較して示す説明図であ
る。従来は、各色を熱記録する際に、各染料の発色感度
が異なる場合でも1ラインのプリント時間を同じT1
設定していたため、全体としてのプリント時間を短縮す
ることができなかった。これに対し、本実施例では、図
7(B)に示すように、イエロー,マゼンタ,シアンの
各色の熱記録時の1ライン当たりのプリント時間Ty,
Tm,Tcを各染料の発色感度Sy,Sm,Scに合わ
せて、Sy<Sm<Scの場合に、Ty>Tm>Tcの
ように変えている。
【0022】したがって、図1に示すように、三色面順
次熱記録時に、各染料の発色感度Sy,Sm,Scに応
じてそのプリント時間Ty,Tm,Tcが最適に設定さ
れるため、従来のように、各色のプリント時間を一律に
同じにするものと異なり、高感度の染色の場合にはその
プリント時間を短縮することができる。
【0023】なお、感度が特に低い染料の場合には、図
8に示すように、駆動パルス数3nをα個増やして(3
n+α)とするとともに、サーマルヘッド26の上限温
度となることのないように、階調パルスの間の休止期間
O を長くとる。これにより、図9の実線Eに示すよう
に、サーマルヘッド26の温度が上限温度Tmax を越え
ることがなく、熱によるトラブルの発生を抑えることが
できる。しかも、サーマルヘッド26への熱エネルギは
領域A1となり、発色に必要十分な加熱が行われる。こ
れに対し、単に階調パルス数を増加させるだけでは、サ
ーマルヘッド26の温度は図9の一点鎖線Fに示すよう
に、上限温度Tmax を越えてしまい、加熱による各種ト
ラブルが発生する。すなわち、上限温度Tmax を越えサ
ーマルヘッド26の温度が領域A2に入ると、過熱によ
りインクシートが縮み、インクしわの発生やインクシー
ト切れが発生したり、受像層側が熱ダメージを受け、表
面荒れや光沢度の低下、発色濃度の低下が発生する。更
には、記録紙とインクシートとのステッキングや染料剥
がれが発生する。本実施例では、熱ダメージを与える領
域A2にサーマルヘッド26の温度が入ることのないよ
うに、階調パルスの個数及び休止期間TO を制御するの
で、上記のような過熱による各種トラブルの発生を抑え
ることができる。なお、図中の二点鎖線Hは前記実施例
におけるイエロー熱記録時のものを示す。
【0024】また、上記実施例では、昇華型のサーマル
プリンタを例にとって説明したが、本発明はこれに限定
されることなく、熱溶融型のサーマルプリンタや感熱プ
リンタにも実施することができる。更には、カラープリ
ンタの他に、モノクロのサーマルプリンタにおいて、異
なる発色感度の記録材料を同一のプリンタで印画する場
合に、印画エネルギーのピークを同じにしたままで、プ
リント速度を遅くすることにより、サーマルヘッドによ
る熱ダメージを低減することができる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
染料の発色感度に応じてプリント時間を最適に設定する
ことができるため、全体としてのプリント時間を短縮す
ることができる。しかも、各染料の発色感度に応じてプ
リント時間を最適に設定するため、サーマルヘッドの温
度上昇に起因するステッキングやインク溶着等のトラブ
ルの発生を抑えることができる。
【0026】更には、染料の発色感度に応じてプリント
時間を最適に設定することができるため、用いる記録材
料の染料の発色感度に幅を持たせることができる。した
がって、記録材料の選択の幅が広がり、各種用途に合っ
た記録材料を用いることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサーマルプリンタにおける各色毎のプ
リント時間を従来のものと比較して示す説明図である。
【図2】カラーサーマルプリンタの電気回路を示すブロ
ック図である。
【図3】同カラーサーマルプリンタにおける駆動時間デ
ータ,定常パルス,駆動パルスを示すタイミングチャー
トである。
【図4】インクシートと記録紙との層構造を示す説明図
である。
【図5】各色の発色感度を示す線図である。
【図6】発色濃度と階調数,階調パルス数との関係を示
す線図である。
【図7】各色の駆動パルスを従来のものと比較して示す
線図である。
【図8】別の実施例における駆動パルスを示す線図であ
る。
【図9】同駆動パルスによるサーマルヘッドの温度上昇
を他の場合と比較して示す線図である。
【符号の説明】
26 サーマルヘッド 30 発熱素子 33 インクシート 34 記録紙

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の発熱素子がライン状に配置された
    サーマルヘッドを備えたサーマルプリンタにおいて、各色の1ライン当たりのプリント時間を、バイアス加熱
    と階調に応じた加熱とを行うための複数個の駆動パルス
    による駆動パルス時間と、この駆動パルス間の休止時間
    との総和から構成し、 感度の低い色のプリント時には1ライン当たりの駆動パ
    ルスの個数を増やすとともに、上限発熱量を越えないよ
    うに前記休止時間を長くし、 用いる発色材料に応じて、その色の1ライン当たりのプ
    リント時間を変えて、その色に適する発色熱エネルギを
    発生させることを特徴とするサーマルプリンタ。
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