JP3585530B2 - バインダー組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ガラス、セラミック等の接着用、セラミック成形用等に有用なバインダー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来各種のセラミック製品はセラミック粉末をバインダー、溶媒および必要により分散剤、可塑剤、離形剤、滑剤、消泡剤などの添加剤からなる溶液中に加えて所定時間混練してスラリー化し、これをプレス成形、押出成形、射出成形、シート成形などの方法で成形後、焼成することにより得られている。特に最近の技術進歩の著しいIC基板、ICパッケージ、セラミックコンデンサーなどのセラミック電子部品は、上記のスラリーをドクターブレード法などの方法でシート成形して得られるセラミック形成用グリーンシート(以下グリーンシートという)を焼成することにより製造されている。最近このような電子部品に対しては小型、高密度化への要望が強く、これを達成するためグリーンシートの薄膜化が図られている。しかし、グリーンシートを薄膜化すればするほどこれを焼成した場合、セラミック粉末とバインダーとの不均一性に由来する小さな空孔が焼結体中に形成され易く、セラミック電子部品の信頼性が低下する。したがって、小さな空孔の無いセラミック焼結体を得るためには、スラリー中のセラミック粉末とバインダーとの均一性を高めることが必要であり、そのためにはバインダーの選定だけでなく、バインダーとの親和力の大きい溶媒の選定が更に重要となる。
バインダーとの親和力の大きい溶媒としては、例えば特開平4−156309号公報記載のプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類;トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ブロムクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の有機溶媒は、バインダーの溶解力に優れているが、グリーンシート焼成中にクラックが発生しやすいという欠点を有している。また、これらの溶媒の多くは毒性が大きいので、グリーンシート製造および焼成中、環境面と安全性への特別の配慮が必要になる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、信頼性の高いセラミック焼結体が得られ且つ環境汚染がなく安全性が高く、セラミック成形用やガラス、セラミック接着用に用いることのできるバインダー組成物について鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、ポリ酢酸ビニル、部分ケン化ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルアセタールから選ばれる1種以上のバインダー(I)および有機溶媒(II)からなり、該有機溶媒(II)が2−エチル−2−メトキシ−1−プロパノール、4−エトキシ−1−ブタノールまたは3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールからなることを特徴とするバインダー組成物、該バインダー組成物に添加剤を加えてなるスラリー、および該スラリーを成形してなる成形体である。
【0007】
本発明において、バインダー(I)としては、ポリ酢酸ビニル;部分ケン化ポリ酢酸ビニル;ポリビニルアセタール(ポリビニルホルマール、ポリビニルエタナール、ポリビニルプロパナール、ポリビニルブチラール、ポリビニルベンザールなど)等が挙げられる。これらの中では、ポリビニルブチラールが、適度の柔軟性を持つグリーンシートが得られ、シートを所望の形状に打ち抜く際壊れ難い点で好ましい。
【0008】
本発明において、有機溶媒(II)としては、2−エチル−2−メトキシ−1−プロパノール、4−エトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールが挙げられ、これらはバインダー溶解力の大きい点およびグリーンシート焼成中にクラックが発生しにくい点で好ましく、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールが更に好ましい。
【0009】
本発明の組成物は、バインダー(I)と有機溶媒(II)とからなり、(I)はセラミック粉末のバインダー組成物中への分散性の観点から好ましくは2〜30重量%、更に好ましくは5〜20重量%であり、(II)は好ましくは70〜98重量%、更に好ましくは80〜95重量%である。
【0010】
本発明のバインダー組成物は、セラミック成形用に用いる場合(I)および(II)の他にセラミック粉末の分散性向上、グリーンシートの柔軟性向上等の目的で、必要により分散剤、可塑剤、離形剤、滑剤、消泡剤などの添加剤の適当量を含有させることができる。
【0011】
本発明のバインダー組成物を用いたセラミック形成用グリーンシートは、例えば次のような方法で製造できる。すなわち、本発明のバインダー組成物100重量部に対し、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム、炭化珪素、チタン酸バリウム、窒化珪素、フェライト、サイアロン等のセラミック粉末を30〜200重量部加え、更に必要によりY2O3などの焼結助剤、上記の添加剤などを加えて混合し、スラリーを調整する。次にこのスラリーをドクターブレード法等の公知の方法でシート成形してグリーンシートが得られる。
グリーンシートを用いてIC基板を作成する場合には、例えば上記のようにして得られたグリーンシートを乾燥後、WやMo等の金属成分を含有するメタライズペーストをスクリーン印刷法によってそれぞれ単層あるいは多層構造で印刷した後に、2000℃を超えない温度で空気中、あるいは窒素もしくは窒素と水素との混合雰囲気中で脱脂(有機物の除去)、更に焼成してIC基板が得られる。ICパッケージ、セラミックコンデンサーなどのその他のセラミック電子部品も同様の方法で得られる。
【0012】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、実施例中の部は重量部を示す。
【0013】
実施例1
1lコルベン中にバインダー(エスレックス BMS;積水化学工業社製ポリビニルブチラール樹脂)60部と溶媒(4−エトキシ−1−ブタノール)800部を入れて混合、溶解して本発明のバインダー組成物を得た。
次に上記バインダー組成物100部、セラミック粉末(アルミナAL−160SG;昭和軽金属社製)100部、可塑剤(ジブチルフタレート)6部、分散剤(ソルビタン脂肪酸エステル;HLB4.5)1.5部を10mmのセラミック製玉石を入れたボールミル中に入れ、20時間混合してスラリーを調整し、150メッシュの篩いを通して排出させた後、真空脱泡した。その後、ドクターブレード法によってポリエステルフィルム上にキャスティングして、さらに熱風乾燥した。乾燥したグリーンシートをフィルムから剥がし、シート特性として成形密度、引張特性およびクラックの有無を調べた。
【0014】
実施例2
実施例1と同じバインダー80部、溶媒として3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール720部を用いて本発明のバインダー組成物を作成した。
次にこのバインダー組成物を用いて実施例1と同じ方法でグリーンシートを作成し、シート特性を調べた。
【0015】
実施例3
実施例1と同じバインダー120部、溶媒として3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール/エタノール=3/1(重量比)の混合溶媒480部を用いて、本発明のバインダー組成物を作成した。
次にこのバインダー組成物を用いて実施例1と同じ方法でグリーンシートを作成し、シート特性を調べた。
【0016】
比較例1
実施例2において3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールの代わりにトルエンを用いて比較のバインダー組成物を作成した。。
次にこのバインダー組成物を用いて実施例1と同じ方法でグリーンシートを作成し、シート特性を調べた。
【0017】
比較例2
実施例3において溶媒をメチルエチルケトン/イソプロパノール=3/1の混合溶媒480部に変えて比較のバインダー組成物を得た。
次にこのバインダー組成物を用いて実施例1と同じ方法でグリーンシートを作成し、シート特性を調べた。
【0018】
実施例1〜3および比較例1,2で得られたシート特性の結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
ここで、成形密度は重量と体積の関係から求めた。引張特性は1cm/min.の速度で引張試験を行い、引張強度と伸び率を測定した。クラックの有無は目視により判定した。
【0021】
表1から明らかなように特定の溶媒からなる本発明のバインダー組成物を用いて作成したグリーンシートは、従来の溶媒からなるバインダー組成物を用いて作成したグリーンシートと比較してクラックの発生が無いだけでなく、更に次のような特徴を有している。すなわち、セラミック粉末とバインダーとの接着力が大きいのでグリーンシートの引張強度が大であり、グリーンシートは取り扱いにより壊れにくいので打ち抜き性が優れている。成形密度が大きいので、グリーンシートは従来のものよりも緻密な構造になっており、グリーンシートを焼成した場合、焼結収縮率が小さくて焼結体にクラックやピンホールなどが入りにくく、信頼性の高いセラミック電子部品が得られる。
【0022】
【発明の効果】
本発明のバインダー組成物は、セラミック成形用に用いた場合セラミック粉末の分散性が優れているので、シート成形だけでなくプレス成形、押出成形、射出成形により得られる各種のセラミック製品製造用バインダー組成物として有用である。又、本発明の組成物を用いて得られるグリーンシートの構造は従来のものよりも緻密であり、このことはグリーンシートの薄膜化がさらに可能であることを意味し、セラミック電子部品の技術進歩に大きく貢献するものである。
また、本発明のバインダー組成物は接着力が大きいのでセラミック成形用だけでなく、例えば合わせガラス、セラミック等の接着用のバインダーとしても有用である。
Claims (6)
- ポリ酢酸ビニル、部分ケン化ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルアセタールから選ばれる1種以上のバインダー(I)および有機溶媒(II)からなり、該有機溶媒(II)が2−エチル−2−メトキシ−1−プロパノール、4−エトキシ−1−ブタノールまたは3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールからなることを特徴とするバインダー組成物。
- バインダー(I)と有機溶媒(II)の比率が、2:98〜30:70(重量比)である請求項1記載のバインダー組成物。
- セラミック成形用である請求項1または2記載のバインダー組成物。
- セラミックおよび/またはガラス製品の接着用である請求項1〜3何れか記載のバインダー組成物。
- 請求項3記載のバインダー組成物に、セラミック粉末、および必要により分散剤、可塑剤、離形剤、滑剤および消泡剤から選ばれる添加剤を加えてなるスラリー。
- 請求項5記載のスラリーを、シート成形、プレス成形、押出成形または射出成形してなる成形体。
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- 1994-05-18 JP JP12971394A patent/JP3585530B2/ja not_active Expired - Fee Related
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