JPH07187813A - セラミックスグリーンシート - Google Patents

セラミックスグリーンシート

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JPH07187813A
JPH07187813A JP6253608A JP25360894A JPH07187813A JP H07187813 A JPH07187813 A JP H07187813A JP 6253608 A JP6253608 A JP 6253608A JP 25360894 A JP25360894 A JP 25360894A JP H07187813 A JPH07187813 A JP H07187813A
Authority
JP
Japan
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green sheet
weight
ceramic green
parts
plasticizer
Prior art date
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Application number
JP6253608A
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English (en)
Inventor
Yoshihisa Kishimoto
芳久 岸本
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 少なくともアクリル樹脂と脂肪酸エステル系
の可塑剤とからなる有機結合剤、解膠剤及び原料セラミ
ックス粉末を含有するセラミックスグリーンシートにお
いて、前記原料セラミックス粉末100重量部に対し、
前記有機結合剤が10〜25重量部、前記解膠剤が0.
1〜2重量部の割合で添加され、かつ前記アクリル樹脂
と前記可塑剤との合計量に対する前記可塑剤の割合が1
5〜25重量%であるセラミックスグリーンシート。 【効果】 後処理工程において良好に加工処理、導体ペ
ーストの印刷、積層等を行なうことができ、脱脂工程に
おいて有機成分を完全に分解、消失させることができ、
焼成工程で均一に収縮、焼結させることができる。従っ
て、微細化、高密度化、高精度化された配線をその内部
や表面に有し、従来より一層多ピン化が図られ、小型化
されたセラミックス基板を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセラミックスグリーンシ
ートに関し、より詳細にはLSI等を実装する基板とし
て有用なセラミックス基板の製造に用いられるセラミッ
クスグリーンシートに関する。
【0002】
【従来の技術】アルミナ等のセラミックスを主成分とし
たセラミックス積層基板に半導体素子(LSI、IC
等)を実装した小型電子部品は、通信機器やコンピュー
タ等に利用されているが、これらの電子部品は、年々、
小型化、薄型化、高機能化の方向に向かっている。
【0003】従って、これらの電子部品を実装するセラ
ミックス基板やセラミックスパッケージ(以下、セラミ
ックス基板とセラミックスパッケージとの両者を含め
て、単にセラミックス基板と記す)も、これらの電子部
品の小型化、高機能化に伴い、多ピン化、小型化の方向
に向かっている。
【0004】しかし、セラミックス基板のより一層の多
ピン化、小型化を実現するためには、その製造工程にお
いて以下のような問題がある。
【0005】まず従来のセラミックス基板の製造方法に
ついて、アルミナセラミックス基板の製造方法を例にと
って説明する。最初に、スラリー調製工程として、アル
ミナ粉末100重量部に対し、焼結助剤を10〜20重
量部、ポリビニルブチラール(PVB)等の樹脂を5〜
20重量部、キシレン等の溶剤を15〜40重量部、フ
タル酸ジブチル(DBP)等の可塑剤を2〜10重量
部、及びその他の添加剤を混合してスラリーを調製す
る。
【0006】次に、グリーンシート作製工程として、ド
クターブレード法により前記工程で形成したスラリーを
ポリエステルシート等の上にシート状に塗布し、これを
乾燥させることによりセラミックスグリーンシートを作
製する。
【0007】次に、グリーンシートの後処理工程とし
て、該セラミックスグリーンシートを所定のサイズに切
断し、それぞれの目的と用途に応じて、パンチング等の
加工処理を施した後、モリブデンやタングステン等を主
成分とする導体ペースト等を所定のパターンに印刷し、
この印刷処理が施されたセラミックスグリーンシートを
数枚積層する。
【0008】最後に、脱脂、焼成工程として、不活性ガ
ス雰囲気中で加熱処理することによりセラミックスグリ
ーンシート中の樹脂及び可塑剤(以下、樹脂及び可塑剤
を合わせて有機結合剤と記す)等の有機成分を分解、消
失させ、その後焼成することにより、セラミックス基板
の製造を完了する。
【0009】上記したセラミックス基板の製造工程で、
まず問題となるのはスラリー調製工程である。このスラ
リー調製工程では、アルミナ粉末が均一に分散したスラ
リーを調製する必要がある。分散性が不良の場合は、2
次粒子の塊が解砕されず、作製されたセラミックスグリ
ーンシートが2次粒子の塊を含有し、セラミックスグリ
ーンシートの表面がざらつくようになる。またこのよう
なセラミックスグリーンシートを焼成すると、不均一な
収縮が発生することになる。
【0010】次に問題となるのは、セラミックスグリー
ンシートの後処理工程である。このセラミックスグリー
ンシートの後処理工程では、作製したセラミックスグリ
ーンシートの切断、パンチング、スルーホール形成、導
体ペーストの印刷、セラミックスグリーンシートの積層
等の種々の処理を施す。セラミックスグリーンシート
は、このような処理に対して要求される種々の特性を満
足させるものである必要がある。例えば、セラミックス
グリーンシートの切断やパンチング等の加工において
は、容易に加工でき、しかもその加工によって切り口の
周辺が変形したり、崩れ落ちたりしない等の特性を満た
す必要がある。このようなセラミックスグリーンシート
の後処理工程での加工性等の特性に、有機結合剤の種類
や量は大きな影響を与える。また、前記脱脂工程では、
還元性雰囲気下で加熱処理をするので、酸化性雰囲気の
場合に較べて有機成分が分解しにくく、有機結合剤等の
有機成分の種類や量及び加熱条件によっては、完全に分
解、消失せずに炭素等として残留する場合がある。この
場合には焼成工程において焼結が均一に進行せず、セラ
ミックス基板の場所により焼結時の収縮にばらつきが生
じ、セラミックス基板の表面や内部に形成する導体配線
の微細化、高密度化、高精度化が難しくなる。
【0011】以上説明してきたように、製造されるセラ
ミックス基板の特性は、セラミックスグリーンシートを
作製する際に添加する有機結合剤等の添加剤に大きく影
響される。
【0012】このようなセラミックスグリーンシートを
作製する際に添加される樹脂として、従来よりポリビニ
ルブチラールが多く用いられてきた。このポリビニルブ
チラールは強靭性を有し、セラミックスグリーンシート
として要求される高精度な加工性や高強度等を付与する
ことができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ポリビニルブ
チラールは、前記脱脂工程において完全に分解、消失し
にくく、炭素として焼成前の成形体中に残留しやすいた
め、セラミックスの緻密化や均一な焼結を困難にすると
いう問題点があることが知られている。
【0014】一方、還元性雰囲気下においても比較的容
易に分解、消失する樹脂として、アクリル樹脂(ポリメ
タクリレート、ポリアクリレート)が知られている。こ
のアクリル樹脂をセラミックスグリーンシート作製のた
めの原料として用いた場合、その後の脱脂、焼成工程に
おいては、炭素等の残留がなく、均一な焼成を行なうこ
とができる反面、ポリビニルブチラールと較べて硬くて
脆いため、成形性に劣る。その結果、前記グリーンシー
トの後処理工程における切断やパンチング時にその周囲
が欠け落ちる、いわゆるボロが発生し、またハンドリン
グ時に割れ等の加工不良を引き起こすこともあるという
問題点があった。
【0015】本発明はこのような課題に鑑みなされたも
のであり、アクリル樹脂が用いられたセラミックスグリ
ーンシートにおいて、少なくともポリビニルブチラール
が用いられたセラミックスグリーンシートと同等の後処
理工程における諸特性(シートの破断強度、延性、シー
ト軟化点等)を有し、しかも脱脂工程において炭素が残
留しにくく、均一に収縮、焼結した緻密なセラミックス
焼結体を得ることができるセラミックスグリーンシート
を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係るセラミックスグリーンシートは、少なく
ともアクリル樹脂と脂肪酸エステル系の可塑剤とからな
る有機結合剤、解膠剤及び原料セラミックス粉末を含有
するセラミックスグリーンシートにおいて、前記原料セ
ラミックス粉末100重量部に対し、前記有機結合剤が
10〜25重量部、前記解膠剤が0.1〜2重量部の割
合で添加され、かつ前記アクリル樹脂と前記可塑剤との
合計量に対する前記可塑剤の割合が15〜25重量%で
あることを特徴としている(1)。
【0017】また本発明に係るセラミックスグリーンシ
ートは、上記(1)記載のセラミックスグリーンシート
において、アクリル系樹脂がポリメチルメタクリレート
からなり、原料セラミックス粉末100重量部に対する
前記有機結合剤の量が12〜25重量部であることを特
徴としている(2)。
【0018】また本発明に係るセラミックスグリーンシ
ートは、上記(1)記載のセラミックスグリーンシート
において、原料セラミックス粉末100重量部に対する
前記有機結合剤の量が10〜25重量部であり、かつア
クリル系樹脂がポリメチルメタクリレート30〜70重
量%、及びポリイソブチルメタクリレート30〜70重
量%からなることを特徴としている(3)。
【0019】また本発明に係るセラミックスグリーンシ
ートは、上記(1)〜(3)記載のセラミックスグリー
ンシートにおいて、可塑剤が脂肪族一塩基酸エステル、
脂肪族二塩基酸エステル及びオキシ酸エステルから選ば
れた一種以上の脂肪酸エステルからなり、解膠剤がエス
テル系非イオン性界面活性剤から選ばれた一種以上から
なることを特徴としている(4)。
【0020】本発明に係るセラミックスグリーンシート
においては、少なくともアクリル樹脂と脂肪酸エステル
系の可塑剤とからなる有機結合剤が配合されている。こ
の有機結合剤とは、単独では保形性のない原料セラミッ
クス粉末を結合させて保形性や強度等を与える添加剤を
いう。本発明では、有機結合剤としてアクリル樹脂と脂
肪酸エステル系の可塑剤の他に、公知の潤滑剤、消泡
剤、表面改質剤等を含んでいてもよい。
【0021】前記有機結合剤を構成するそれぞれの成分
は、少しづつ異なる機能を有するが、そのなかで樹脂と
して添加する成分は、スラリー調製時やセラミックスグ
リーンシート作製時に溶剤や解膠剤により溶解又は膨潤
し、スラリーに流動性、成形性等を付与し、その後一旦
シートに成形し、乾燥した後は、セラミックスグリーン
シートに保形性や機械的強度等を付与する。
【0022】本発明でアクリル系樹脂を用いたのは、上
記したように脱脂工程において分解、消失し易く、成形
体中に炭素として残留しにくいからである。
【0023】またアクリル樹脂の種類は特に限定される
ものではないが、そのなかでもポリメチルメタクリレー
トは汎用性の樹脂であり、破断強度が高く、少量の添加
で高い破断強度のセラミックスグリーンシートが得られ
る利点がある。また、ポリイソブチルメタクリレート
は、同じく汎用性の樹脂であるとともに、延性が高く、
低軟化点を与えることから、後処理工程で必要な諸特性
を得るために必要な可塑剤の添加量を低減できる効果が
ある。
【0024】前記したポリメチルメタクリレートやポリ
イソブチルメタクリレートは、その重合度が数千〜百
万、さらには数万〜数十万が好ましい。このような重合
度を有するものを用いることにより、セラミックスグリ
ーンシートの保形性を保つことができる。またアクリル
樹脂として、ポリメチルメタクリレートを単独で用いて
もよく、ポリメチルメタクリレートとポリイソブチルメ
タクリレートとを併用してもよい。ポリメチルメタクリ
レートとポリイソブチルメタクリレートとを併用する場
合には、ポリメチルメタクリレートが30〜70重量
%、及びポリイソブチルメタクリレートが30〜70重
量%からなるものを用いると、有機結合剤の量を低減す
ることができるため好ましい。
【0025】次に前記有機結合剤を構成する可塑剤は、
セラミックスグリーンシート作製時に高延性を付与して
成形をより容易にし、得られたセラミックスグリーンシ
ートの軟化点を低下させ、高延性や柔軟性等を付与す
る。
【0026】本発明で用いる可塑剤としては、上記した
ように脂肪酸エステル系が好ましい。すなわち通常、ポ
リビニルブチラールを樹脂として用いる場合には、可塑
剤としてフタル酸エステル系が用いられているが、アク
リル樹脂を樹脂として用いた場合には、脂肪酸エステル
系の方が、前記可塑剤としての効果が良好であることを
本発明者らは見出したものである。一般に可塑剤を添加
すると上記した軟化点の低下や延性の増加はあるもの
の、破断強度が添加量に反比例して低下するという問題
点がある。しかし、脂肪酸エステルを使用した場合に
は、少量の添加で可塑剤としての十分な効果が得られる
ため、その配合量は少なくてもよく、そのために破断強
度の低下も少ない。
【0027】また、このように可塑剤の添加量が少量で
あり、アクリル樹脂の量も少ないので、有機結合剤の量
は全体として少なくなり、その結果、セラミックスグリ
ーンシートの焼結時の密度が増加し、焼成時の収縮は少
なくなり、さらに収縮のばらつきも低下することにな
る。
【0028】前記可塑剤として用いる脂肪酸エステルと
しては、脂肪族一塩基酸エステル、脂肪族二塩基酸エス
テル、オキシ酸エステルが挙げられる。さらに具体的に
は、脂肪族一塩基酸エステルとして、例えばオレイン酸
ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル等が挙げら
れる。また、脂肪族二塩基酸エステルとして、例えばア
ジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸
ジデシル、アジピン酸ヘキシル、アジピン酸オクチルデ
シル等のアジピン酸系のもの、セバチン酸ブチル、セバ
チン酸オクチル等のセバチン酸系のもの、アゼライン酸
ジオクチル、アゼライン酸ジヘキシル等のアゼライン酸
系のものが挙げられる。さらに、オキシ酸エステルとし
ては、例えばアセチルクエン酸トリエチル、アセチルク
エン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリオクチル等の
アセチルクエン酸系のもの、アセチルリシノール酸メチ
ル、アセチルリシノール酸エチル、アセチルリシノール
酸ブチル等のリシノール酸系のもの等が挙げられる。
【0029】前記スラリー調製工程において配合された
解膠剤は、溶液中の原料セラミックス粉末の隙間に浸透
して前記原料セラミックス粉末の表面に吸着したガスや
溶剤等を置換し、溶液中に存在する樹脂を膨潤させ、前
記原料セラミックス粉末の一次粒子への解膠を進行させ
る。さらに、一次粒子に分散した原料セラミックス粉末
の再凝集を防止し、原料セラミックス粉末をスラリー中
に安定的に分散させる。
【0030】前記解膠剤としては、エステル系非イオン
性界面活性剤が好ましく、具体的には、例えばポリエチ
レングリコールやポリプロピレングリコールの脂肪酸エ
ステル、多価アルコールの脂肪酸エステル等のエステル
類が挙げられる。
【0031】次に、本発明に係るセラミックスグリーン
シートにおいて配合される各添加剤の量について説明す
る。まず、前記有機結合剤の添加量は、原料セラミック
ス粉末100重量部に対して10〜25重量部が好まし
い。有機結合剤の量については、収縮量や収縮のばらつ
きを低減させるためにもなるべく少ない方が好ましい
が、その添加量が原料セラミックス粉末100重量部に
対して10重量部未満であると、セラミックスグリーン
シートの加工時においてその加工性が低下し、他方その
添加量が原料セラミックス粉末100重量部に対して2
5重量部を超えると、収縮量が大きくなるのみならず、
焼結時に反りや歪を発生させる虞れがある。
【0032】アクリル樹脂がポリメチルメタクリレート
単独からなる場合には、前記有機結合剤の添加量は、原
料セラミックス粉末100重量部に対して12〜25重
量部がより好ましい。前記有機結合剤の添加量が少なく
なるにつれ、セラミックスグリーンシートの加工性の低
下の度合いが大きくなるからである。
【0033】また、前記有機結合剤中のアクリル系樹脂
と前記可塑剤との合計量に対する前記可塑剤の割合は1
5〜25重量%が好ましい。アクリル系樹脂と前記可塑
剤との合計量に対する前記可塑剤の割合が15重量%未
満であると、セラミックスグリーンシートの強度は十分
であるが、延性が不足してクラックや割れ等が発生し易
く、他方アクリル系樹脂と前記可塑剤との合計量に対す
る前記可塑剤の割合が25重量%を超えると、延性は大
きくなるが、セラミックスグリーンシートの強度が低下
し、柔軟すぎるために、ハンドリング時にセラミックス
グリーンシートが変形し易くなる。
【0034】次に、解膠剤の添加量は、原料セラミック
ス粉末100重量部に対して0.01〜2重量部が好ま
しい。この解膠剤の添加量が原料セラミックス粉末10
0重量部に対して0.01重量部未満であると、原料セ
ラミックス粉末の分散性が不良となるので、セラミック
スグリーンシート表面がざらつき、またボロ発生の原因
となり、他方解膠剤の添加量が原料セラミックス粉末1
00重量部に対して2重量部を超えると、解膠剤がセラ
ミックスグリーンシートの表面に析出し、その表面がべ
たついた状態になり、切断やパンチング時に出来た破片
がセラミックスグリーンシートに付着し、セラミックス
グリーンシートの積層時における異物混入の原因となっ
たりする。
【0035】
【作用】上記構成のセラミックスグリーンシート(1)
によれば、少なくともアクリル樹脂と脂肪酸エステル系
の可塑剤とからなる有機結合剤、解膠剤及び原料セラミ
ックス粉末を含有するセラミックスグリーンシートにお
いて、前記原料セラミックス粉末100重量部に対し、
前記有機結合剤が10〜25重量部、前記解膠剤が0.
1〜2重量部の割合で添加され、かつ前記アクリル樹脂
と前記可塑剤との合計量に対する前記可塑剤の割合が1
5〜25重量%であるので、スラリー調整工程において
原料セラミックス粉末が均一に分散し、グリーンシート
の成形性に優れ、かつ保形性、加工性に優れた高密度の
セラミックスグリーンシートが作製される。このセラミ
ックスグリーンシートは、後処理工程において良好に加
工処理、導体ペーストの印刷、積層等が行われ、脱脂工
程において有機成分が完全に分解、消失し、焼成工程で
均一に収縮、焼結する。したがって、本発明に係るセラ
ミックスグリーンシートを用いることにより、微細化、
高密度化、高精度化された配線をその内部や表面に有
し、従来より一層多ピン化が図られ、小型化されたセラ
ミックス基板が製造される。
【0036】また上記構成のセラミックスグリーンシー
ト(2)によれば、上記(1)記載のセラミックスグリ
ーンシートにおいて、アクリル系樹脂がポリメチルメタ
クリレートからなり、原料セラミックス粉末100重量
部に対する前記有機結合剤の量が12〜25重量部であ
るので、安価な樹脂を用いても上記(1)の場合と同様
の作用が得られる。
【0037】また上記構成のセラミックスグリーンシー
ト(3)によれば、上記(1)記載のセラミックスグリ
ーンシートにおいて、原料セラミックス粉末100重量
部に対する前記有機結合剤の量が10〜25重量部であ
り、かつアクリル系樹脂がポリメチルメタクリレート3
0〜70重量%、及びポリイソブチルメタクリレート3
0〜70重量%からなるので、安価な樹脂を用いても、
上記(2)の場合と比較してより少ない有機結合剤の量
で同様の作用が得られる。
【0038】さらに上記構成のセラミックスグリーンシ
ート(4)によれば、可塑剤は脂肪族一塩基酸エステ
ル、脂肪族二塩基酸エステル及びオキシ酸エステルから
選ばれた一種以上の脂肪酸エステルからなり、解膠剤が
エステル系非イオン性界面活性剤から選ばれた一種以上
からなるので、原料セラミックス粉末がより均一に分散
し、少量の添加で可塑剤としての十分な効果を有し、保
形性や加工性等により優れた高密度のセラミックスグリ
ーンシートが作製される。従って、このセラミックスグ
リーンシートを用いることにより、上記(1)記載のセ
ラミックスグリーンシートの場合と同様に、微細化、高
密度化、高精度化された配線をその内部や表面に有し、
従来より一層多ピン化が図られ、小型化されたセラミッ
クス基板が製造される。
【0039】
【実施例及び比較例】以下、本発明に係るセラミックス
グリーンシートの実施例及び比較例を説明する。
【0040】[実施例1〜20]まず、アルミナ粉末を
主成分とするグリーンシート積層体の製造方法について
説明する。下記の表1及び表2に示した種類の可塑剤、
解膠剤、及びアクリル樹脂を用い、これらを下記の表1
及び表2に示した重量割合で配合し、さらにトルエンと
メチルエチルケトンが1:1の重量比で混合された溶剤
を30〜60重量部添加してよく混合した後、平均粒径
が1〜3μmのアルミナ粉末100重量部をさらに添加
し、ボールミルにより48時間湿式混合することにより
スラリーを調製した。用いたポリメチルメタクリレート
は数平均分子量が12万であり、ポリイソブチルメタク
リレートは数平均分子量が18万であった。
【0041】次に、ドクターブレード法を用いて該スラ
リーをポリエステルフィルム上にシート状に塗布し、熱
風乾燥器により60〜80℃で1時間乾燥させた。その
後、冷却したシート状物をポリエステルフィルムより剥
して、厚さが約200μmのアルミナグリーンシートを
得た。
【0042】以上のようにして得られたグリーンシート
について、破断強度、伸び率、軟化点、及びパンチング
打ち抜き性を調べた。その結果を下記の表3及び表4に
示している。
【0043】なお、前記破断強度の測定は、引張試験機
(ロードセル5kg)を用い、引張速度:20mm/
分、試料形状:10×20mmの条件で測定した。前記
伸び率は、破断強度測定の際の、引張初期から破断に到
るまでのシートの延伸量から求めた。前記シート軟化点
は、高感度熱機械分析装置(TMA)を用い、昇温速度
10℃/分で、−50〜100℃まで昇温させることに
より求めた。前記パンチング打ち抜き性は、NCパンチ
ャーを用い、0.3mmφのパンチ孔を作製し、顕微鏡
観察により確認した。
【0044】[比較例1〜18]下記の表1及び表2に
示した種類の可塑剤及び解膠剤と、ポリビニルブチラー
ル又はアクリル樹脂とを下記の表1及び表2に示した重
量割合で配合し、これらにトルエンとメチルエチルケト
ンが1:1の重量比で混合された溶剤を30〜60重量
部添加してよく混合した後、平均粒径が1〜3μmのア
ルミナ粉末100重量部をさらに添加し、ボールミルに
より48時間湿式混合することにより、スラリーを調整
した。
【0045】次に、ドクターブレード法を用いて該スラ
リーをポリエステルフィルム上にシート状に塗布し、熱
風乾燥器により60〜80℃で1時間乾燥させた。その
後、冷却したシート状物をポリエステルフィルムより剥
して、厚さが約200μmのアルミナグリーンシートを
得た。
【0046】以上のようにして得られたアルミナグリー
ンシートについて、破断強度、伸び率、軟化点、及びパ
ンチング打ち抜き性を調べた。その結果を表3及び表4
に示している。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】表1〜表4から明らかなように、実施例に
係るアルミナグリーンシートにおいては、破断強度が2
10〜290gf/mm2 、伸び率が18〜42%、軟
化点が10〜30℃と適切な範囲の値を示し、パンチン
グ打ち抜き性も良好である。一方、比較例1では後述す
るように熱処理によって有機成分が完全に分解、消失せ
ずに炭素が残留し、焼結時に不均一な収縮を生じ、比較
例2及び10では、可塑剤の量が少ないために、アルミ
ナグリーンシートの延性が不足して、パンチング時にク
ラックが発生し、比較例3及び11では、可塑剤の量が
多すぎるために柔軟性が高くなりすぎ、パンチング時に
パンチ孔の変形が発生した。比較例4及び12では、有
機結合剤全体の量が少なすぎるために、パンチング時や
切断時にボロが発生し、比較例5及び13では、有機結
合剤の量が多すぎるために、破断強度や伸び率は十分に
高いが、焼結後に基板の反りが見られた。比較例6及び
14では、可塑剤として従来より用いられているジオク
チルフタレートを添加した結果、可塑効果が不足して柔
軟性に欠けるため、クラックが発生した。比較例7及び
15では、解膠剤が添加されていないので、表面がざら
つき、導体ペースト印刷時ににじみ等が発生し、比較例
8及び16では、解膠剤を添加しすぎたために、表面が
べたつき、パンチング時にパンチされた破片がアルミナ
グリーンシートに付着した。比較例9では樹脂としてポ
リビニルブチラールのみを添加し、解膠剤を添加してい
ないので、パンチング等を行う際にクラックが発生し、
比較例17では、ポリメチルメタクリレートの量が少な
すぎるため、パンチング時にパンチ孔の変形が発生し、
比較例18ではポリメチルメタクリレートの添加量が多
すぎるため柔軟性に劣り、パンチング時にクラックが発
生した。
【0052】なお、実施例1及び比較例1で作製したセ
ラミックスグリーンシートについて、熱重量分析(TG
A)を行い、アルゴン雰囲気中で室温から800℃まで
20℃/分で昇温した際にその重量がどのように変化す
るかを調べた。
【0053】その結果を図1に示した。図1において、
横軸は試料の温度を、縦軸は有機物含有量に対する重量
減少率(百分率)を示している。
【0054】図1より明らかなように、実施例1に係る
アクリル樹脂を用いたアルミナグリーンシートでは、4
00℃までにほぼ全量が分解、消失しているのに対し、
比較例1に係るポリビニルブチラールを用いたアルミナ
グリーンシートでは、400℃において、かなりの量の
有機成分が残存している。そして、400℃以上に温度
が上昇しても、比較例1における重量の減少は実施例1
と比較して少なく、脱脂工程において有機成分が残留し
易いことがわかる。
【0055】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係るセラミ
ックスグリーンシート(1)にあっては、少なくともア
クリル樹脂と脂肪酸エステル系の可塑剤とからなる有機
結合剤、解膠剤及び原料セラミックス粉末を含有するセ
ラミックスグリーンシートにおいて、前記原料セラミッ
クス粉末100重量部に対し、前記有機結合剤が10〜
25重量部、前記解膠剤が0.1〜2重量部の割合で添
加され、かつ前記アクリル樹脂と前記可塑剤との合計量
に対する前記可塑剤の割合が15〜25重量%であるの
で、スラリー調整工程において原料セラミックス粉末を
スラリー中に均一に分散させて、グリーンシートの成形
性に優れ、かつ保形性、加工性に優れた高密度のセラミ
ックスグリーンシートを作製することができる。従っ
て、このセラミックスグリーンシートは、後処理工程に
おいて良好に加工処理、導体ペーストの印刷、積層等を
行なうことができ、脱脂工程において有機成分を完全に
分解、消失させることができ、焼成工程で均一に収縮、
焼結させることができる。このように、本発明に係るセ
ラミックスグリーンシートを用いることにより、微細
化、高密度化、高精度化された配線をその内部や表面に
有し、従来より一層多ピン化が図られ、小型化されたセ
ラミックス基板を製造することができる。また上記構成
のセラミックスグリーンシート(2)によれば、上記
(1)記載のセラミックスグリーンシートにおいて、ア
クリル系樹脂がポリメチルメタクリレートからなり、原
料セラミックス粉末100重量部に対する前記有機結合
剤の量が12〜25重量部であるので、安価な樹脂を用
いても上記(1)の場合と同様の効果を奏する。
【0056】また上記構成のセラミックスグリーンシー
ト(3)によれば、上記(1)記載のセラミックスグリ
ーンシートにおいて、原料セラミックス粉末100重量
部に対する前記有機結合剤の量が10〜25重量部であ
り、かつアクリル系樹脂がポリメチルメタクリレート3
0〜70重量%、及びポリイソブチルメタクリレート3
0〜70重量%からなるので、安価な樹脂を用いても、
上記(2)の場合と比較してより少ない有機結合剤の量
で同様の効果を奏する。
【0057】さらに上記構成のセラミックスグリーンシ
ート(4)によれば、可塑剤は脂肪族一塩基酸エステ
ル、脂肪族二塩基酸エステル及びオキシ酸エステルから
選ばれた一種以上の脂肪酸エステルからなり、解膠剤が
エステル系非イオン性界面活性剤から選ばれた一種以上
からなるので、原料セラミックス粉末をより均一に分散
させることができ、少量の添加で可塑剤としての十分な
効果を有し、保形性や加工性等により優れた高密度のセ
ラミックスグリーンシートを作製することができる。従
って、このセラミックスグリーンシートを用いることに
より、上記(1)記載のセラミックスグリーンシートの
場合と同様に、微細化、高密度化、高精度化された配線
をその内部や表面に有し、従来より一層多ピン化が図ら
れ、小型化されたセラミックス基板を製造することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1及び比較例1に係るセラミッ
クスグリーンシートを不活性雰囲気中で熱処理した際
の、熱処理温度と有機物含有量に対する重量減少との関
係を示したグラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともアクリル樹脂と脂肪酸エステ
    ル系の可塑剤とからなる有機結合剤、解膠剤及び原料セ
    ラミックス粉末を含有するセラミックスグリーンシート
    において、前記原料セラミックス粉末100重量部に対
    し、前記有機結合剤が10〜25重量部、前記解膠剤が
    0.1〜2重量部の割合で添加され、かつ前記アクリル
    樹脂と前記可塑剤との合計量に対する前記可塑剤の割合
    が15〜25重量%であることを特徴とするセラミック
    スグリーンシート。
  2. 【請求項2】 アクリル系樹脂がポリメチルメタクリレ
    ートからなり、原料セラミックス粉末100重量部に対
    する前記有機結合剤の量が12〜25重量部であること
    を特徴とする請求項1記載のセラミックスグリーンシー
    ト。
  3. 【請求項3】 アクリル系樹脂がポリメチルメタクリレ
    ート30〜70重量%、及びポリイソブチルメタクリレ
    ート30〜70重量%からなり、原料セラミックス粉末
    100重量部に対する前記有機結合剤の量が10〜25
    重量部であることを特徴とする請求項1記載のセラミッ
    クスグリーンシート。
  4. 【請求項4】 可塑剤が脂肪族一塩基酸エステル、脂肪
    族二塩基酸エステル及びオキシ酸エステルから選ばれた
    一種以上の脂肪酸エステルからなり、解膠剤がエステル
    系非イオン性界面活性剤から選ばれた一種以上からなる
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の
    セラミックスグリーンシート。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001247375A (ja) * 2000-03-07 2001-09-11 Murata Mfg Co Ltd 積層型電子部品用セラミックグリーンシート
DE10202964A1 (de) * 2002-01-26 2003-08-07 Zschimmer & Schwarz Gmbh & Co Keramisches Bindemittel
JP2007242504A (ja) * 2006-03-10 2007-09-20 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 光電変換電極
EP3133051A3 (de) * 2015-08-21 2017-03-01 KERAFOL Keramische Folien GmbH Verfahren zur herstellung einer bindermatrix für ein anorganisches, insbesondere keramisches, feststoffpartikelmaterial

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