JP3584889B2 - 情報処理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は情報処理システムに関し、特にATM(Asynchronous Transfer Mode)交換機における現用系及び予備系CPUの配下に存在してこれ等CPUから制御を受ける複数の回線制御装置の初期設定制御方式に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ATM交換機における概略システム構成を図8に示す。図8を参照すると、制御部Lに対して複数の回線制御装置30〜33が接続されている。制御部Lは現用系CPU100と予備系CPU110とを有しており、各回線制御装置30〜33に対しては、両系CPU100及び110から制御線(バス)A及びBがそれぞれ伸びて接続されている。
【0003】
この様な既存の現用/予備運用方式のATM交換機においては、回線制御装置30〜33等の配下の装置に対する制御は現用系CPU100から行うようになっている。例えば、回線制御装置30〜33への初期設定制御を行う場合、現用計CPU100のみからアクセスを行って初期設定データの設定を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この様な従来の方式、すなわち現用系CPUのみを用いた回線制御装置等の配下装置の初期設定等の制御を行う方式では、システム再開時等に全回線制御装置に対して初期設定を行う必要がある場合には、実装されている回線制御装置の数が多くなればなる程、現用系CPUのみの制御では、CPUに対する負荷が増大して処理能力が低下して処理速度も低下する。よって、処理時間は回線制御装置の数に比例して長くなってしまうことになる。
【0005】
また、既存のATM交換機では、回線制御装置にコネクション設定を行う部分があるために、システム機能として提供している最大コネクション数の設定が必要な場合、現用系CPUだけでの制御では、設定に時間がかかってしまううえに、更にCPU占有率が大となり、処理能力が著しく低下するという問題もある。更に、現用系の他に予備系CPUが存在しているにもかかわらず、予備系CPUは障害等による系切替えのための待機状態にあって特に処理を行っていないために、資源の有効利用が図れず、無駄となっている。
【0006】
本発明の目的は、CPUの負荷を軽減して処理能力や処理速度の向上を図ると共に、資源の有効利用をも可能とした情報処理システムを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、現用系及び予備系CPU装置と、これ等両系CPU装置の配下に存在してこれ等CPU装置から制御を受ける複数の配下装置とを含み、上位装置から前記配下装置に対する初期設定制御指示に応答して、前記両系CPU装置を使用して前記配下装置の初期設定制御をなす情報処理システムであって、前記上位装置からの指示に応じて、前記予備系CPU装置により制御される配下装置とを指定するための制御要求レジスタを、前記両系CPU装置に設け、前記レジスタの指定に従って、前記両系CPU装置の初期設定制御を並列処理するようにしたことを特徴とする情報処理システムが得られる。
【0008】
そして、前記両系CPU装置に共通の共通メモリを設け、初期設定のための設定データを前記共通メモリに格納し、この格納データを使用して前記初期設定制御をなすことを特徴とする。
【0009】
また、前記設定データが各配下装置毎に相違する場合、前記予備系CPU装置により制御される配下装置の設定データを前記共通メモリに格納し、前記予備系CPU装置はこの格納データを使用して前記初期設定をなし、前記現用系CPU装置により制御される配下装置の設定データは、前記現用系CPU装置内のローカルメモリに格納し、この格納データを使用して前記初期設定をなすことを特徴とする。
【0010】
本発明の作用を述べる。現用系CPUから配下装置に制御を行うと共に予備系CPUをも用いて配下装置に制御を行い、負荷分散を行って処理能力の低下や処理速度低下を防止する。並列処理を行うため、システム再開時等、一度に全ての配下装置への初期設定制御が必要な場合、その処理時間を大幅に短縮できることになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施例について詳細に説明する。図1は本発明の実施例のシステムブロック図であり、ATM交換システムの場合の例である。図1において、図8と同等部分は同一符号にて示しており、現用系CPU装置(以下、単にCPUと称す)100と予備系CPU110と、これ等両系CPUの配下に位置し制御線A及びBによりCPU100及び110と接続された複数の回線制御装置30〜33とを含んで構成されている。
【0012】
更に、両系CPU100及び110によりアクセス可能な共通メモリエリア60が設けられている。現用系CPU100は回線制御装置制御用LSI40と制御要求レジスタ10とを有しており、また予備系CPU110は、同様に、回線制御装置制御用LSI50と制御要求レジスタ20とを有している。これ等現用系CPU100と予備系CPU110とは、基本的に構成は同じであるものとする。
【0013】
制御要求レジスタ10及び20は予備系CPU110への制御要求を出すためのものであり、正式には予備系CPUへの制御要求レジスタと称されるものとする。そのレジスタ構成の詳細を図2に示している。制御要求レジスタの必要ビット数は、「配下回線制御装置数+1」ビットである。図1の例では、配下回線制御装置数は4個であるので、レジスタのビット数は5となっており、下位4ビットの「制御指示ビット」は、どの回線制御装置を予備系CPUから制御するかを指示するためのビットであり、対応ビットに”1”を立てることにより、予備系CPU110から制御が行われることを示すものである。
【0014】
最下位1ビットの「データ同期ビット」は、初期設定時等、現用系CPU100/予備系CPU110の両CPUで同じ設定データを用いて設定処理を行うことを示すものであり、換言すれば、参照するデータとして、共通メモリエリア60内の格納データを使用する様に指示するためのビットである。従って、このビットに”1”を立てることにより、現用系CPU100、予備系CPU110共にデータの参照先が共通メモリエリア60であることになる。
【0015】
以下、本発明の実施例の動作を説明するが、その前に、前提として、上位レイヤ(上位ソフト)からの全ての動作指示は、競合防止のために、現用系CPU100で受けるものとし、従って予備系CPUへの制御要求レジスタ10,20の設定は現用系CPU100からのみ行うことができることになる。
【0016】
図3及び図4を参照すると、システム再開時等で想定される全回線制御装置への初期設定処理の動作例である。先ず、上位レイヤから現用系CPU100が「全回線制御装置への設定」指示を受ける(ステップS1)。その際、初期設定データ300と、どの回線制御装置を予備系CPU110から設定制御するかの指示も同時に受ける(ステップS2)。本例では、予備系CPU110から設定を行うのは、回線制御装置31と33であるとする。
【0017】
現用系CPU100は、予備系CPU110からも設定を行う指示があると、受取った設定データ300を共通メモリエリア60へ転送する(ステップS3,図3の▲1▼)。次に、現用系CPU100は予備系CPU110から設定制御を行うよう指示された回線制御装置31と33とに対応する制御要求レジスタ10の制御指示ビットを”1”にセットする(ステップS4,図3の最上部のレジスタ設定値参照)。この場合、下位ビットから順に回線制御装置30,31,32,33にそれぞれ対応しているものとする。
【0018】
同時に、現用系/予備系共に同じデータを設定するので、最上位ビットのデータ同期ビットに”1”を設定する(ステップS5,図3の最上部のレジスタ設定値参照)。そして、現用系CPU100の制御要求レジスタ10の制御指示ビットのいずれかに”1”がセットされると、ハードウェアが自律的に、予備系CPU110の制御要求レジスタ20へ現用系CPU100の制御要求レジスタ10の内容をコピーして(ステップS6)、予備系CPU110へ制御開始信号を送出する(ステップS7)。
【0019】
制御開始信号を受信した予備系CPU110は(ステップS8)、共通メモリエリア60から該当する初期設定データ300を参照して制御要求レジスタ20にて指示されている回線制御装置31,33に対する初期設定を行うのである(ステップS9,図3の▲3▼、▲4▼)。
【0020】
現用系CPU100は制御要求レジスタ10の最上位ビットであるデータ同期ビットをチェックし、”1”が立っているので、共通メモリエリア60から該当する初期設定データ300を参照して予備系CPU110が設定制御した回線制御装置以外の装置30,32に対して設定制御を行う(ステップS10,図3の▲3▼、▲4▼)。
【0021】
予備系CPU110は、設定処理終了後、制御要求レジスタ20の値をクリアする(ステップS11)。この制御要求レジスタ20の制御指示ビットが全て”0”になったのを契機として、ハードウェアが自立的に予備系CPU110から現用系CPUへ制御終了信号を送出する(ステップS12)。現用系CPU100は、予備系CPU110から制御終了信号を受信し、更に自系の処理が全て終了した段階で、上位レイヤ(上位ソフト)へ終了通知を行う(ステップS13,S14)。
【0022】
上記動作においては、全ての回路制御装置に対して同じ設定データ300を用いて設定制御するものであったが、各回線制御装置において設定するデータが異なる場合の動作例について、図5,図6を参照して説明する。
【0023】
先ず、上位レイヤ(上位ソフト)から現用系CPU100が「回線制御装置30への設定」指示を受ける(ステップS21)。回線制御装置30への設定制御は現用系CPU100が行うものとし、その初期設定データ310は現用系CPU100内のローカルメモリエリア70に転送される(ステップS22,図5の▲1▼)。続いて、上位レイヤより現用系CPU100は「回線制御装置31への設定」指示を受けるが、この場合には、現用系CPU100には、回線制御装置30への設定要求がきているために、上位レイヤは予備系CPU110を用いて設定を行うように指示する。従って、現用系CPU100は予備系CPU110へ受け取った設定データ311を共通メモリエリア60へ転送する(ステップS23,24,図5の▲2▼)。
【0024】
次に、現用系CPU100は、制御要求レジスタ10の制御ビットのうち、予備系CPU110から制御を行う様指示された回線制御装置31に対応するビットに、”1”をセットする(ステップS25,図5の最上部のレジスタ設定値参照)。また、レジスタ10の最上位ビットのデータ同期ビットは、この場合には現用系CPU/予備系CPUで同じデータを使用しないので”0”にセットされる(ステップS26,図5の最上部のレジスタ設定地参照)。
【0025】
現用系CPU100の制御要求レジスタ10の制御指示ビットに”1”がセットされたので、ハードウェアが自律的に予備系CPU110の制御要求レジスタ20へ、現用系CPU100の制御要求レジスタ10の内容をコピーし(ステップS27)、制御開始信号を送出する(ステップS28)。
【0026】
制御開始信号を受信した予備系CPU110は(ステップS29),共通メモリエリア60の設定データ311を参照して回線制御装置31に対する設定制御を行う(ステップS30)。現用系CPU100はレジスタ10のデータ同期ビットをチェックして”0”であるので、自系のローカルメモリエリア70に格納されている設定データ310を参照して回線制御装置30に対して設定制御を行うことになる(ステップS31)。以下のステップS32〜S35の処理は図4のステップS11〜S14の処理と同一である。
【0027】
この様にして、各回線制御装置毎に異なる初期設定データであっても、両系CPUを用いて並列処理を行うことで、処理能力の向上を図ることが可能となるのである。
【0028】
図7は本発明の他の施例のシステム構成を示す図であり、図1と同等部分は同一符号にて示している。本例では、実装回線制御装置の数を4 個から16個に増加した場合のものであり、それに伴って現用系/予備系の各回線制御装置制御用LSI40,50から伸びる制御線(A〜H)をそれぞれ4本づつに増やしている。各制御線は各回線制御装置制御用LSI40,50から並列で処理できるものとする。制御線1本にぶら下がる回線制御装置は4個と変らない。また、各制御線について、予備系CPUへの制御要求レジスタ10〜13、20〜23を設けている。こうすることにより、先の各実施例と同様な効果が得られる。
【0029】
尚、回線制御装置制御用LSIは、同一制御線上にぶら下がる装置に対しては、並列処理は行えないが、制御線が異なれば、並列処理は可能であるものとする。制御線AとBを一対とし、以下、CとD、EとF、GとHがそれぞれ一対となる。各ペア(対)の制御線は、現用系/予備系それぞれから制御されることになる。
【0030】
【発明の効果】
第1の効果は、処理能力を向上することができることである。その理由は、現用/予備運用方式のATM交換機において、予備系CPUにも配下回線制御装置への設定処理を行わせることで、現用系CPUにかかる負荷を分散することができるためである。
【0031】
第2の効果は、配下回線制御装置に対して並列処理を可能とすることである。その理由は、制御要求レジスタを設け、そのレジスタ内に、どこの回線制御装置を予備系CPUから設定させるかという制御指示ビットと同一データを使用して設定を行うかというデータ同期ビットを持たせ、制御指示ビットにより、予備系CPU側へ設定すべき回線制御装置を通知すると共に、現用系CPU側でも設定すべき回線制御装置がわかるので、並列で同時に処理を行うことができ、また、データ同期ビットにより、同じデータを用いて設定を行う場合、自動的に共通メモリエリアのデータを参照することが分かり、また、違うデータを用いて現用系/予備系CPUがそれぞれ設定を行う場合においても、制御が容易になるからである。
【0032】
第3の効果は、処理速度を向上することができることである。第1、第2の効果と共に、現用系CPUからの制御要求レジスタに対する値設定を契機にハードウェアが自律的に予備系CPUへレジスタ値をコピー及び制御開始信号を送出することにより、CPU介在なく予備系CPUを起動することができるので、効率良く、また高速に処理を開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のシステム構成図である。
【図2】図1の制御要求レジスタの詳細を示す図である。
【図3】本発明の一実施例の動作を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施例の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施例の動作を説明するための図である。
【図6】本発明の他の実施例の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施例の構成を示す図である。
【図8】従来例を説明するための図である。
【符号の説明】
A〜H 制御線
10,20 予備系CPUへの制御要求レジスタ
30〜33 回線制御装置
40,50 回線制御装置制御用LSI
60 共通メモリエリア
70 ローカルメモリエリア
100 現用系CPU
200 予備系CPU
300,310,311 設定データ
Claims (5)
- 現用系及び予備系CPU装置と、これ等両系CPU装置の配下に存在してこれ等CPU装置から制御を受ける複数の配下装置とを含み、上位装置から前記配下装置に対する初期設定制御指示に応答して、前記両系CPU装置を使用して前記配下装置の初期設定制御をなす情報処理システムであって、前記上位装置からの指示に応じて、前記予備系CPU装置により制御される配下装置とを指定するための制御要求レジスタを、前記両系CPU装置に設け、前記レジスタの指定に従って、前記両系CPU装置の初期設定制御を並列処理するようにしたことを特徴とする情報処理システム。
- 前記両系CPU装置に共通の共通メモリを設け、初期設定のための設定データを前記共通メモリに格納し、この格納データを使用して前記初期設定制御をなすことを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
- 前記設定データが各配下装置毎に相違する場合、前記予備系CPU装置により制御される配下装置の設定データを前記共通メモリに格納し、前記予備系CPU装置はこの格納データを使用して前記初期設定をなすことを特徴とする請求項2記載の情報処理システム。
- 前記現用系CPU装置により制御される配下装置の設定データは、前記現用系CPU装置内のローカルメモリに格納し、この格納データを使用して前記初期設定をなすことを特徴とする請求項3記載の情報処理システム。
- 前記CPU装置は、ATM(Asynchronous Transfer Mode)交換機におけるCPUであり、前記配下装置は回線制御装置であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の情報処理システム。
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