JP3584451B2 - 便器装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、便器を洗浄するための便器洗浄機構と、その近傍に配置されている、使用者の局部を洗浄するための局部洗浄装置とを備えた構成の便器装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記便器装置では、便器洗浄機構は、ロータンク内の水を便器に流す排水弁やこの排水弁を開いて便器を自動洗浄するためのクラッチモータ等を備えた便器洗浄機能部と、該機能部を制御する制御基板とが、ボルト締めによりベースプレート上に固定される。また、局部洗浄装置は、洗浄水噴射ノズル等を備えた衛生洗浄機能部と、該機能部を制御する制御基板とが、やはりボルト締めにより上記と同一のベースプレートに固定される。そして、このベースプレートを介して上記洗浄機構と上記洗浄装置とは便器に取付固定され、双方共に1個のケーシングによって覆われていた。なお、クラッチモータは、ロータンク側壁等にビス止めされ信号線を通して局部洗浄装置の制御基板に接続されており、衛生洗浄機能部も信号線を通して制御基板に接続されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで便器洗浄機能部は、上記以外にも、ロータンクやロータンク内の水を一定水位に保持するボールタップや供給された水をロータンクと局部洗浄装置とに分岐するための分岐金具等を備えるが、これらは機能的にほぼ完成されており、モデルチェンジも殆ど行われない。そのため、ライフサイクルが長いとの予想から耐久性のある材料により構成されている。
【0004】
一方、衛生洗浄機能部は、上記以外にも、専用熱交換器や入水口を通して供給される水を断/続するためのバルブ、便座や便蓋を開閉するための電動開閉装置等を備えるが、これらは多機能化が進行中であり、モデルチェンジが盛んに行われている。そのため、ライフサイクルが短いとの予想からそれほど耐久性のない材料により構成されている。
【0005】
しかし、従来の便器装置においては、便器洗浄機構も局部洗浄装置も、共に同一のベースプレート上に組付けられて1個のケーシングによって覆われていたために、モデルチェンジによって局部洗浄装置のみを新品と交換する必要が生じたときでも、ケーシングを取外した後、作業上の手間から局部洗浄装置のみを新品と交換することは行わず、ベースプレート毎、新品と交換するのが通常であった。そのため、局部洗浄装置については勿論のこと、依然として使用可能な状態にある便器洗浄機構についてまでも新品と交換しなければならなくなり、不経済であるという問題点があった。
【0006】
従って本発明の第1の目的は、便器洗浄機構と局部洗浄装置のいずれか一方に故障等の不具合が生じた場合には、故障が生じた機器類だけを新品と交換するだけで済む、経済的な便器装置を提供することにある。
【0007】
また、本発明の第2の目的は、便器洗浄機構用ベースプレート、局部洗浄装置用ベースプレート、便器洗浄機構用ケーシング、及び局部洗浄装置用ケーシングが夫々互いに分離可能な部品として構成された便器装置において、便器洗浄機構を駆動するためのモータの、便器洗浄機構を構成するロータンクへの取付け/取外し作業が容易に行えることにより、便器洗浄機構又は局部洗浄装置の交換作業に際して大幅な作業性の向上を図ることが可能な便器装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に従う便器装置は、便器を洗浄するための便器洗浄機構と、その近傍に配置された、使用者の局部を洗浄するための局部洗浄装置とを備え、上記便器洗浄機構を、上記便器に取付けるための第1ベースプレートと、この第1ベースプレートを介して上記便器に取付けられた上記便器洗浄機構を収容する第1ケーシングと、上記局部洗浄装置を、上記便器に取付けるための第2ベースプレートと、この第2ベースプレートを介して上記便器に取付けられた上記局部洗浄装置を収容する第2ケーシングと、上記第1ベースプレートに対する上記第2ベースプレートの上記便器の所定取付部位における相対位置を確定させるためのスライド部と、上記第2ベースプレートに設けられた、上記第2ケーシングを上記第2ベースプレート上の所定位置に位置決めするための位置決めガイド部材と、を有し、上記第1、第2ベースプレートと、上記第1、第2ケーシングとは、夫々互いに分離可能な部品として構成されており、上記第1、第2ケーシングは、互いに密着状態で組合わされたときに、一体としての外観をなすように構成されている。
【0009】
本発明の一つの好適な実施形態では、水源からの給水を、便器洗浄機構及び局部洗浄装置に夫々分配するための給水分配機構は、少なくとも第2ケーシングとは別のケーシングに収容されている。
【0010】
また、本発明の別の好適な実施形態では、便器洗浄機構は、洗浄水を貯留するためのロータンクと、このロータンク内の水を便器に排出するための排水弁と、この排水弁を駆動することにより便器を自動洗浄するためのモータとを備え、モータは、ロータンクの壁に着脱自在に取付けられている。
【0011】
本発明によれば、便器洗浄機構を、便器に取付けるための第1ベースプレートと、第1ベースプレートを介して便器に取付けられた便器洗浄機構を収容する第1ケーシングと、局部洗浄装置を、便器に取付けるための第2ベースプレートと、第2ベースプレートを介して便器に取付けられた局部洗浄装置を収容する第2ケーシングと、第1ベースプレートに対する第2ベースプレートの便器の所定取付部位における相対位置を確定させるためのスライド部と、第2ベースプレートに設けられた、第2ケーシングを第2ベースプレート上の所定位置に位置決めするための位置決めガイド機構と、を有し、第1、第2ベースプレートと、第1、第2ケーシングとは、夫々互いに分離可能な部品として構成されているので、従来の便器装置のような、1個のベースプレートに便器洗浄機構と局部洗浄装置の双方を取付け、且つ、これらを1個のケーシングに収容した構成のものとは異なり、故障が生じていない機器類を、故障が生じた機器類と共に新品と交換するような不経済を回避できる。また、第1ケーシングと第2ケーシングとは、互いに密着状態で組合わされたときに、一体としての外観をなすように構成されているので、2個のケーシングを組付けて一体にしても見栄えが悪くならない。
【0012】
本発明の一つの好適な実施形態によれば、水源からの給水を、便器洗浄機構及び局部洗浄装置に夫々分配するための給水分配機構は、少なくとも第2ケーシングとは別のケーシングに収容されているので、従来の便器装置のような、給水分配機構が外部に露出していたものと異なり、見栄えがよい。また、給水分配機構は例えば鋳物で構成されており、局部洗浄装置の各部よりも寿命が長いので、第2ケーシング以外のケーシングに収容しておけば、局部洗浄装置の交換時に新品と交換せずにそのまま使用を継続できる。
【0013】
また、本発明の別の好適な実施形態によれば、ロータンク内の洗浄水を便器に排出するための排水弁を駆動することにより便器を自動洗浄するためのモータは、ロータンクの壁に着脱自在に取付けられるよう、構成されているので、ドライバ等の工具を必要とせず、所謂ワンタッチ着脱が行える。
【0014】
【実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面により詳細に説明する。
【0015】
図1〜図3は、本発明の一実施形態に係る便器装置の全体構成を示す。
【0016】
上記装置は、便器本体1、その背後部上面に設けられたロータンク3、便器本体1の背後部上面においてロータンク3の手前側に設けられた局部洗浄装置5、ロータンク3の側面部を覆うための第1ケーシング7、該ケーシング7に密着して設けられ、局部洗浄装置5を上部から覆うための第2ケーシング9を備える。
【0017】
ロータンク3は、図6(A)及び図6(B)に示すように、複数個の締結具11により便器本体1の後部上面に取付けられるロータンク用ベースプレート(以下、「第1ベースプレート」という)13、及びその上部に取付けられるロータンク本体15を備える。ロータンク3は、更に、図5(A)及び図5(B)に示すように、ロータンク本体15の上部に取付けられる手洗用シンク取付盤17、及びこの手洗用シンク取付盤17を介してロータンク本体15の上部に取付けられる手洗用シンク19をも備える。
【0018】
第1ベースプレート13は、その便器正面側の部位に形成された円弧状突出部21、該円弧状突出部21から矩形状に突出し、局部洗浄装置側給水管35の下流側開口部が固定される給水接続部23、円弧状突出部21に形成された、ロータンク本体15の排水口43を挿入するための貫通孔25を備える。第1ベースプレート13は、また、その便器正面側の部位に、図4に示す第1ケーシング7正面側の2個のビス穴67に対応して形成された2個のビス受けボス26、便器背面側の部位に、第1ケーシング7背面側の2個のフランジ付き窓69に対応して形成された2個の係合爪部材27をも備える。第1ベースプレート13は、また、貫通孔25の近傍部位に設けられた、ロータンク本体15をベースプレート13上の所定取付位置へとガイドするための複数個のガイド用突起29、複数個のビスにより固定された局部洗浄装置側給水管35をも備える。第1ベースプレート13は、更に、上水道管31とロータンク側給水管33及び局部洗浄装置側給水管35との間に接続される分岐金具37、上記排水口43と便器本体1の後部上面に形成される便器給水口(図示しない)との間をシールするためのシール用部材39、41をも備える。
【0019】
ロータンク本体15は、その便器正面側の部位に、前記円弧状突出部21に対応して形成された円弧状突出部45、該円弧状突出部45の下方に形成された排水口43、上部に形成された半円弧状のスピンドル挿通用切欠き47及び矩形状の洗浄剤挿入用切欠き49を備える。ロータンク本体15は、また、前記ロータンク側給水管33に接続され、ロータンク本体15内の便器洗浄用の水を一定水位まで貯水するためのボールタップ機構51、ボールタップ機構51から分岐して手洗用の吐水口55(図5(A)参照)に連通する手洗用給水管53を備える。ロータンク本体15は、また、排水口43を開閉するために設けられた大便洗浄用排水弁、小便洗浄用排水弁、夫々玉鎖を介して上記大便洗浄用排水弁、小便洗浄用排水弁に連結する大便洗浄用回転アーム、小便洗浄用回転アーム(いずれも図示しない)を備える。ロータンク本体15は、更に、これら回転アームが所定角度だけ回転自在に挿通されたスピンドル、スピンドルを正逆方向に回転させる手動レバー又はクラッチモータ(図11、図12、図14及び図15参照)をも備える。
【0020】
手洗用シンク取付盤17は、手洗用シンク19を位置決め固定するための矩形状の枠体57、上記洗浄剤挿入用切欠き49に対応して形成された洗浄剤挿入用切欠き59、上記手洗用給水管53を通すための切欠き61を備える。
【0021】
手洗用シンク19は、手洗用シンク取付盤17にビス止めされてロータンク本体15の上部に取付けられるもので、図5(A)に示すように、手洗用給水管53の下流側端部が開口する切欠き63、該切欠き63に嵌合される手洗用の吐水口55を備える。
【0022】
第1ケーシング7は、ABS樹脂等の樹脂により構成され、ロータンク本体15の側部外周を覆うべくロータンク本体15と同様に、便器正面側の部位に上記円弧状突出部45と同一形状の円弧状突出部65が形成されており、その下部には、局部洗浄装置側給水管35を通すための切欠き71が形成されている。円弧状突出部65の下部両側には、局部洗浄装置5の後述する着脱スライド部131と係合するために2個の係止片73が形成されている。第1ケーシング7は、上述したように、その便器正面側に2個のビス穴67を、また、便器背面側に2個のフランジ付窓69を夫々備え、便器正面側には、第2ケーシング9の便器背面側に取付けられるクラッチモータ(図11及び図12では符号153で示し、また、図14及び図15では符号193で示す)を収容するための切欠き81を備える。第1ケーシング7は、また、図4表面から見て左側面下方には、給水管を通すための円形孔75と切欠き穴77を、その上方には、上述したスピンドルを通すための矩形状の窓79を、更に、図4表面から見て右側側面上方に、洗浄剤をロータンク本体15内に投入するための投入口83を備える。
【0023】
図7は、第1ベースプレート13と便器本体1との接続部位の取付構造を示す部分断面図である。
【0024】
図から明らかなように、ロータンク3が取付けられた第1ベースプレート13は、その底部の締結具係止部85に頭部が係合された締結具(ボルトと鍔付ナットとからなる)11を、便器本体1後部上面に設けられた貫通孔87に挿入することにより便器本体1に取付けられている。そして、第1ベースプレート13底面と便器本体1後部上面との間隙に、発泡シート89とタンクパッキン91とを介在させている。
【0025】
図8は、上述した給水接続部23の構造を示す断面図である。
【0026】
図において、プラグ93の下端部側は、その外周に巻回されたOリング95を介して上側フランジ97の内周側に嵌合されている。また、上部にゴムパッキン99が設けられたコマ101は、スプリング103を介して下側フランジ105に取付けられている。
【0027】
局部洗浄装置5は、用便後の局部の洗浄、洗浄後の局部の乾燥等を行うためのもので、図10(B)に示すように、複数個の締結具107により便器本体1の後部上面に取付けられる局部洗浄装置用ベースプレート(以下、「第2ベースプレート」という)109を備える。
【0028】
第2ベースプレート109は、その外周に突設された、第2ケーシング9を取付けるための位置決めガイド部材110、便器背面側の略中央部位に形成された、前記給水接続部23を収容するための上方に突出した凹部112を備える。第2ベースプレート109は、第2ケーシング9の便器背面側に形成された一対のビス穴135に対応するビス受けボス114を始め、コントローラ129固定用のボス116、操作基板固定用のボス118等、多数のボスをも備える。第2ベースプレート109の符号120で示す切欠きには、一対のボス124に嵌挿され、且つ、各係止片73に係合されることにより、第2ベースプレート109を第1ベースプレート13に対して位置決めするための着脱スライド部131が嵌合される(図10(C)参照)。
【0029】
局部洗浄装置5は、第2ベースプレート109に加えて、凹部112に取付けられた、前記給水管35に連通する入水口111、入水口111を通じて供給される水を断/続するための電磁バルブ113、及び入水口111を通じて供給される水に加熱するための専用熱交換器115をも備える。
【0030】
局部洗浄装置5は、入水口111から専用熱交換器115に流入した洗浄水を噴射するための噴射ノズル117、用便により便器本体1及びその近傍に生じた悪臭を吸引するための脱臭器119、及び便器本体1及びその周囲の空気を吸排気するための室内暖房器121をも備える。局部洗浄装置5は、更に、便座や便蓋を自動開/閉するための電動開閉器123、装置5の各部や便座、便蓋を駆動するスイッチ類と接続される操作基板125、装置5等の駆動状態を表示する表示部と接続される表示基板127、上記各部をコントロールするためのコントローラ129をも備える(図10(A)参照)。
【0031】
第2ケーシング9も、ABS樹脂等の樹脂により構成されている。第2ケーシング9は、図9に示すように、便器背面側の部位に、前記円弧状突出部73に嵌合可能に形成される円弧状凹部133と、その下端側に形成された、前記2個の係止片73と第2ベースプレート9の切欠き120とに係合されている着脱スライド部131の一部分を収容するための切欠き143とを備える。第2ケーシング9の便器背面側の部位には、更に、第2ベースプレート109にビス止めするための一対のビス穴135と、第2ケーシング9内を換気するための切欠き137と、コントローラ129の制御下で前述したスピンドルを回転させるクラッチモータを収容するための収容部139をも備える。
【0032】
第2ケーシング9は、その左側面下部に、室内暖房器121の吸排気口を通すための切欠き147を、右側面下部に局部洗浄装置5の各種スイッチや表示部等を有した操作部145と、給電線122を通すための切欠き141とを、夫々備える。
【0033】
上記構成の便器装置は、以下の工程を経て組立られる。
【0034】
まず、給水管35、分岐金具37等が取付けられた第1ベースプレート13に、ロータンク本体15を組付け、次に、ロータンク本体15を覆うべく第1ケーシング7を組付け、更に、ロータンク本体15の上部を覆うべく手洗用シンク取付盤17及び手洗用シンク19を取付ける。
【0035】
給水管33は、第1ベースプレート13への組付けが完了したロータンク本体15に対して取付けられ、上水道管31は、第1ケーシング7が第1ベースプレート13に組付けられた後に、分岐金具37に接続される。また、吐水口55は、手洗用シンク取付盤17を介してロータンク本体15及び第1ケーシング7への取付けが完了した手洗用シンク19の切欠き63に嵌合され、手洗用給水管53に接続される。
【0036】
なお、シール用部材39、41は、ロータンク本体15、第1ケーシング7等が組付けられた第1ベースプレート13が、締結具11により便器本体1後部上面の後部側に取付固定されるに際して、排水口43と便器給水口(図示しない)との間に取付けられる。
【0037】
このようにしてロータンク側の取付作業が完了すると、局部洗浄装置側の取付作業が行われる。
【0038】
まず、入水口111、電磁バルブ113、専用熱交換器115、噴射ノズル117、脱臭器119、室内暖房器121、電動開閉器123、操作基板125、表示基板127、コントローラ129等の局部洗浄装置5を構成する各部品が第2ベースプレート109に組付けられる。次に、着脱スライド部131を、ボス124に嵌合した状態で切欠き120に係合させて第2ベースプレート109に固定する。そして、第2ベースプレート109を持ち上げ、着脱スライド部131を第1ケーシング7の円弧状突出部65に嵌合させた状態で便器本体1上に降ろすと、着脱スライド部131が円弧状突出部65に沿ってスライドし、円弧状突出部73に係合する。これにより、便器本体1後部上面において、第1ベースプレート13に対する第2プレート109の相対位置が確定する。
【0039】
このようにして、第2プレート109を位置決めし、締結具107により第2プレート109を便器本体1後部上面に取付固定した後、局部洗浄装置5を上部から覆うべく、第2ケーシング9を第2プレート109に取付ける。これにより、局部洗浄装置側の取付作業が完了する。
【0040】
以上説明したように、本発明の一実施形態によれば、ロータンク15等の便器洗浄機構を便器本体1に取付けるための第1ベースプレート13と、第1ベースプレート13を介して便器本体1に取付けられた便器洗浄機構を収容する第1ケーシング7と、局部洗浄装置5を、前記便器本体1に取付けるための第2ベースプレート109と、第2ベースプレート109を介して便器本体1に取付けられた局部洗浄装置5を収容する第2ケーシング9とを、夫々互いに分離可能な部品として構成し、第12ケーシング7、第2ケーシング9を、互いに密着状態で組合わせたときに、一体としての外観をなすように構成したので、ロータンク15等の便器洗浄機構と局部洗浄装置5のいずれか一方に故障等の不具合が生じた場合には、故障が生じた機器類だけを新品と交換するだけで済むから、非常に経済的である。
【0041】
図11は、本発明の他の実施形態に係るロータンクと、ロータンクに取付けられるクラッチモータとを示す斜視図である。
【0042】
本実施形態は、ロータンク用ベースプレート、局部洗浄装置用ベースプレート、ロータンク用ケーシング、及び局部洗浄装置用ケーシングが夫々互いに分離可能な部品として構成された便器装置において、ロータンク151内の排水弁を開/閉させるためのクラッチモータ153を、ロータンク151の側壁に対して所謂ワンタッチで取付け/取外しが行える構成としたことを主たる特徴とする。
【0043】
即ち、本実施形態では、クラッチモータ153の取付盤155の裏面に、先端部を細く形成した爪部を有する複数個のモータ固定用スナップフィット157と、廻り止めボス159とを取付ける。一方、ロータンク151側壁には、該側壁に形成されているアーム挿通用の貫通孔161を挟んで各スナップフィット157と対応する一対の係止穴163(図12も併せて参照)と、廻り止めボス159挿通用の貫通穴165(図12参照)とを形成した。なお、図11において、符号167はモータ153の出力軸に連結し、玉鎖等を介して排水弁を開/閉させるためのアーム、符号169は、局部洗浄装置内のコントローラに接続する信号線、符号171は、ボールタップ機構に連結する給水管、符号173は、給水管171を通すための貫通穴である。
【0044】
上記構成によれば、図12に示すように、クラッチモータ153をロータンク151に取付けるに際しては、アーム167を貫通孔161に挿通し、廻り止めボス159を貫通穴165に挿通すると共に、各スナップフィット157を、そのまま各係止穴163に挿入すればよい。一方、クラッチモータ153を、ロータンク151側壁から取外すに際しては、各スナップフィット157の爪部を、夫々矢印175、177方向に押してクラッチモータ153を引出すだけでよい。
【0045】
そのため、本実施形態では、図13に示したような従来のクラッチモータ179のように、その取付盤181に設けられた一対のビス受け部183に、ビス185、187でビス止めすることによりロータンク189の側壁に取付固定するものとは異なり、ドライバ等の工具を要せず作業者の手だけで容易に所謂ワンタッチ着脱を行うことができる。
【0046】
従って本実施形態によれば、ロータンク用ベースプレート、局部洗浄装置用ベースプレート、ロータンク用ケーシング、及び局部洗浄装置用ケーシングが夫々互いに分離可能な部品として構成された便器装置において、ロータンク側壁に取付けられるクラッチモータをワンタッチで着脱自在に構成したので、ロータンク又は局部洗浄装置の交換作業に当たり、大幅な作業性の向上が図られる。
【0047】
図14及び図15は、上記他の実施形態の変形例に係るロータンクと、ロータンクに取付けられるクラッチモータとを示す。
【0048】
本変形例も、上記他の実施形態におけると同様に、ロータンク191内の排水弁を開/閉させるためのクラッチモータ193を、ロータンク191の側壁に対して所謂ワンタッチで取付け/取外しが行える構成としている。しかし、本変形例は、ロータンク191側壁に、クラッチモータ193を所謂ワンタッチで収容/取り出しが可能な室199を設け、モータ側には特別な構成を付加しなかった点が、上記実施形態と相違している点である。
【0049】
即ち、本変形例では、ロータンク191側壁の、モータ挿入位置からモータ取付位置に達する区間に、ロータンク191側壁の横方向に沿うように形成された矩形状の切欠き195と、円弧状に湾曲したスロット197とを有する、クラッチモータ193を収容するための室199をロータンク191と一体的に形成する。そして、この室199に、軸201により回転自在に支持され、スロット197から突出するボス203を有し、且つ、スプリング205により図14の時計方向に付勢されたモータ固定用のカム207を備えることとした。
【0050】
なお、ロータンク191側壁のモータ取付位置には、図15に示すように、玉鎖211を介してロータンク191の排水弁と連係するアーム209挿通用の貫通孔213が形成されている。
【0051】
上記構成において、クラッチモータ193を、ロータンク191側壁に取付ける場合には、室199の左端側からモータ193を挿入し、そのまま矢印で示すように右方向へスライドさせるだけで、モータ193を室199の右端側にあるモータ取付位置まで移動させることができる。即ち、カム207は、モータ193に圧接されることによりスプリング205の付勢力に抗して反時計方向へ回転し、モータ193がモータ取付位置への移動を完了したときに、スプリング205の付勢力により原位置に自動的に復帰して、モータ193の位置を固定させるように機能することとなる。
【0052】
一方、クラッチモータ193を、室199から取り出すときは、ボス203を手で上方に移動させて保持することによりカム207を反時計方向へ回転させた状態で停止させるだけで、モータ193を左側に引出すことができる。
【0053】
本変形例においても、上記実施形態におけると同様な効果を奏し得る。
【0054】
なお、上記内容はあくまで本発明の各実施形態やその変形例に関するものであって、本発明が上記内容のみに限定されることを意味するものでないのは勿論である。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、便器洗浄機構と局部洗浄装置のいずれか一方に故障等の不具合が生じた場合には、故障が生じた機器類だけを新品と交換するだけで済む、経済的な便器装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の便器装置の正面図。
【図2】一実施形態の便器装置の側面図。
【図3】一実施形態の便器装置の背面図。
【図4】一実施形態の第1ケーシングの斜視図。
【図5】一実施形態のロータンクの斜視図。
【図6】一実施形態のロータンクの斜視図。
【図7】一実施形態の便器接続部の構造を示す部分断面図。
【図8】一実施形態の給水接続部の構造を示す断面図。
【図9】一実施形態の第2ケーシングの斜視図。
【図10】一実施形態の局部洗浄装置の斜視図。
【図11】他の実施形態のロータンク及びクラッチモータの取付構造を示す斜視図。
【図12】他の実施形態のロータンクに対するクラッチモータの取付構造を示す斜視図。
【図13】従来の、ロータンクに対するクラッチモータの取付構造を示す部分斜視図。
【図14】変形例のロータンクに対するクラッチモータの取付構造を示す部分側面図。
【図15】変形例のロータンクに対するクラッチモータの取付構造を示す部分断面図。
【符号の説明】
1 便器本体
3 ロータンク
5 局部洗浄装置
7 第1ケーシング
9 第2ケーシング
13 第1ベースプレート
109 第2ベースプレート
Claims (3)
- 便器を洗浄するための便器洗浄機構と、その近傍に配置された、使用者の局部を洗浄するための局部洗浄装置とを備え、
前記便器洗浄機構を、前記便器に取付けるための第1ベースプレートと、
この第1ベースプレートを介して前記便器に取付けられた前記便器洗浄機構を収容する第1ケーシングと、
前記局部洗浄装置を、前記便器に取付けるための第2ベースプレートと、
この第2ベースプレートを介して前記便器に取付けられた前記局部洗浄装置を収容する第2ケーシングと、
前記第1ベースプレートに対する前記第2ベースプレートの前記便器の所定取付部位における相対位置を確定させるためのスライド部と、
前記第2ベースプレートに設けられた、前記第2ケーシングを前記第2ベースプレート上の所定位置に位置決めするための位置決めガイド部材と、
を有し、
前記第1、第2ベースプレートと、前記第1、第2ケーシングとは、夫々互いに分離可能な部品として構成されており、前記第1、第2ケーシングは、互いに密着状態で組合わされたときに、一体としての外観をなすように構成されていることを特徴とする便器装置。 - 請求項1記載の便器装置において、
水源からの給水を、前記便器洗浄機構及び前記局部洗浄装置に夫々分配するための給水分配機構は、少なくとも前記第2ケーシングとは別のケーシングに収容されていることを特徴とする便器装置。 - 請求項1又は請求項2記載の便器装置において、
前記便器洗浄機構は、洗浄水を貯留するためのロータンクと、このロータンク内の水を便器に排出するための排水弁と、この排水弁を駆動することにより前記便器を自動洗浄するためのモータとを備え、
前記モータは、前記ロータンクの壁に着脱自在に取付けられていることを特徴とする便器装置。
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