JP3582309B2 - 空気調和機の吹出口構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、吹出口に上下方向に回動する水平フラップを備えた空気調和機の吹出口構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、空気調和機としては、ケーシング内に熱交換器と送風ファンとを備えて、送風ファンにより吸込口から熱交換器を介して吸い込んだ空気を吹出口から吹き出し、上下方向にスイング動作する水平フラップによって吹き出し空気の風向を上下方向に変えるものがある。この空気調和機の吹出口構造は、図2に示すように、吹出口45が形成されたドレンパン41と、上記ドレンパン41の下側に吹出口45に垂直に設けられた複数のフラップ支持板42(図2では1つのみを示す)と、上記フラップ支持板42から前方に延びるアーム42aに水平フラップ用シャフト50により上下方向に回動自在に支持された水平フラップ43と、上記ドレンパン41の吹出口45の上側にディフューザ用シャフト60により上下方向に回動自在に支持された断面くの字形状のディフューザ(空気流制御部材)44とを備えている。
【0003】
また、図3は図2に示す水平フラップ43とディフューザ44の駆動機構を示す分解斜視図である。図3に示すように、フラップギア11の軸部11aの一端をギアボックス21の嵌合穴21aに嵌合する一方、フラップギア11の軸部11aの他端から軸方向に延びる連結部11bがギアボックスカバー22の嵌合穴22aを貫通し、その連結部11bを図2に示す水平フラップ用シャフト50に同軸に連結している。そして、上記フラップギア11にカムギア12のギア部12bが噛合している。上記カムギア12の軸部12cの一端をギアボックス21の嵌合穴21bに嵌合する一方、カムギア12の軸部12cの他端をギアボックスカバー22の嵌合穴22bに回動自在に嵌合している。上記カムギア12の軸部12cの一端に設けられた嵌合穴23にステッピングモータ20の出力軸20aを嵌合し、カムギア12の軸部12cとステッピングモータ20の出力軸20aとを連結している。上記ステッピングモータ20をギアボックス21にネジ31,32により固定している。
【0004】
上記構成の空気調和機の吹出口構造では、上記モータ20を回転させると、フラップギア11,カムギア12および水平フラップ用シャフト50を介して水平フラップ43を駆動すると共に、カムギア12のカム部12aに連動する図示しないリンク機構により図2に示すディフューザ用シャフト60を介してディフューザ44を駆動する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記空気調和機の吹出口構造では、水平フラップ用シャフト50を中心として水平フラップ43がスイング動作するとき、水平フラップ43の回動範囲R2内において、水平フラップ43の重心が点C12から点C13の範囲内で移動する。上記水平フラップ用シャフト50の中心軸Oとそれを通る垂線Vとを含む平面を水平フラップ43の重心が横切る。このとき、上記水平フラップ43と水平フラップ用シャフト50,フラップギア11およびカムギア12およびステッピングモータ20のギア等の連結部分にバックラッシ(backlash)があり、水平フラップ43のスイング動作がスムーズに行われないという欠点がある。すなわち、上記水平フラップ43の重心が点C12から垂線Vまでの範囲で移動するとき、水平フラップ43に回動方向と同一方向に回転モーメントが働くが、水平フラップ43の重心が垂線Vから点C13までの範囲で移動するとき、水平フラップ43に回動方向と逆方向に回転モーメントが働き、水平フラップ43が回転モーメントの作用する方向が切り換わる点で上述のバックラッシにより水平フラップ43の動きが一旦止まるのである。
【0006】
この水平フラップ43のスイング動作をスムーズに行うため、水平フラップ43と水平フラップ用シャフト50,フラップギア11およびカムギア12のそれぞれの連結部分を精密に調整して遊びを小さくするか、または、夫々の軸と軸受の嵌合部分等にダンパ効果を有する部材(例えばクッション材)を使用することが考えられるが、精密加工を必要としたり、ステッピングモータ20の回転トルクを大きくしたりする必要があるので、コストが高くつくという問題がある。
【0007】
そこで、この発明の目的は、駆動機構の精密調整や別部材を使用する必要がなく、低コストで水平フラップのスイング動作をスムーズに行うことができる空気調和機の吹出口構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の空気調和機の吹出口構造は、モータの出力軸にギヤを介して連動する水平フラップ用シャフトと、上記水平フラップ用シャフトによりケーシングの吹出口に上下方向に回動自在に支持された水平フラップとを備えて、上記水平フラップのスイング動作時の回動角度の範囲内において、上記水平フラップの重心による回転モーメントが上記水平フラップの同一回動方向に作用するようにしたことを特徴としている。
【0009】
上記請求項1の空気調和機の吹出口構造によれば、上記水平フラップのスイング動作時に水平フラップの重心による回転モーメントが水平フラップの同一回動方向に作用するので、スイング動作中、水平フラップの重心による回転モーメントが作用する方向が反転することがなく、水平フラップのスイング動作の上死点および下死点以外で水平フラップの動きが一旦停止するようなことがない。したがって、駆動機構の精密調整や別部材を使用する必要がなく、低コストで水平フラップのスイング動作をスムーズに行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の空気調和機の吹出口構造を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0011】
図1はこの発明の実施の一形態の空気調和機の吹出口構造の要部断面図である。なお、上記空気調和機の吹出口構造において、水平フラップとディフューザの駆動機構は、図3に示すものと同一の構成をしており、図と説明を省略して、図3を援用する。
【0012】
図1に示すように、この空気調和機の吹出口構造は、下側に吹出口5が形成されたドレンパン1と、上記ドレンパン1の下側に吹出口5に垂直に設けられた複数のフラップ支持板2(図1では1つのみを示す)と、上記フラップ支持板2から前方に延びるアーム2aに水平フラップ用シャフト10により上下方向に回動自在に支持された水平フラップ3と、上記ドレンパン1の吹出口5の上側にディフューザ用シャフト20により上下方向に回動自在に支持された断面T字形状のディフューザ4とを備えている。図3に示すモータ20を回転させると、フラップギア11,カムギア12および水平フラップ用シャフト10を介して水平フラップ3を駆動すると共に、カムギア12とそれに連動する図示しないリンク機構によりディフューザ用シャフト20を介してディフューザ4を駆動する。なお、この空気調和機の停止時は、水平フラップ3とディフューザ4により吹出口5を全閉状態にする。このときの水平フラップ3の重心は点Cである。
【0013】
上記構成の空気調和機の吹出口構造において、例えば冷房運転時、水平フラップ3の図2の矢印R1に示す回動角度の範囲内においてスイング動作するとき、水平フラップ3の重心は点Cから点Cまでの範囲で往復移動する。上記水平フラップ3の重心による回転モーメントは、水平フラップ用シャフト10の中心軸Oとそれを通る垂線Vとを含む平面より図中右側の点Cから点Cの範囲内で常に時計回りの方向に作用する。このように、上記水平フラップ3の重心による回転モーメントが水平フラップ3の同一回動方向にのみ作用するので、スイング動作中、水平フラップ3の重心による回転モーメントが作用する方向が反転することがない。したがって、例え水平フラップ3と水平フラップ用シャフト10,フラップギア11およびカムギア12およびステッピングモータ20のギア等の連結部分にバックラッシがあっても、水平フラップ3のスイング動作の上死点および下死点以外で水平フラップ3の動きが一旦停止するような不連続動作が生じることがない。
【0014】
したがって、駆動機構の精密調整の必要がなく、また、別部材を使用することなく、低コストで水平フラップのスイング動作をスムーズに行う空気調和機の吹出口構造を実現することができる。
【0015】
上記実施の形態では、水平フラップ3とディフューザ4が連動して上下方向に夫々回動したが、ディフューザはなくともよい。
【0016】
また、上記実施の形態では、フラップ支持板2から延びるアーム2aの先端側に水平フラップ用シャフト10により上下方向に回動する水平フラップ3について説明したが、水平フラップの形状等はこれに限らず、水平フラップのスイング動作時の回動角度の範囲内において、上記水平フラップの重心による回転モーメントが水平フラップの同一回動方向に作用するものであればよい。
【0017】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1の発明の空気調和機の吹出口構造は、モータの出力軸にギヤを介して連動する水平フラップ用シャフトと、上記水平フラップ用シャフトによりケーシングの吹出口に上下方向に回動自在に支持された水平フラップとを備えて、上記水平フラップのスイング動作時の回動角度の範囲内において、上記水平フラップの重心による回転モーメントが水平フラップの同一回動方向に作用するようにしたものである。
【0018】
したがって、請求項1の発明の空気調和機の吹出口構造によれば、上記水平フラップのスイング動作時の回動角度の範囲内において、水平フラップの重心による回転モーメントが水平フラップの同一回動方向に作用するので、スイング動作中、水平フラップの重心による回転モーメントの反転がなく、水平フラップのスイング動作の上死点および下死点以外で駆動機構等のバックラッシにより一旦停止するということがない。したがって、バックラッシをなくすために、駆動機構の精密調整をしたり、駆動機構に別部材を使用したりする必要がなく、低コストで水平フラップのスイング動作をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の実施の一形態の空気調和機の吹出口構造を示す要部断面図である。
【図2】図2は従来の空気調和機の吹出口構造を示す要部断面図である。
【図3】図3は上記空気調和機の吹出口構造の水平フラップの駆動機構を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1…ドレンパン、2…フラップ支持板、2a…アーム、
3…水平フラップ、4…ディフューザ、5…吹出口、
10…水平フラップ用シャフト、20…ディフューザ用シャフト。

Claims (1)

  1. モータ(20)の出力軸にギヤ(11,12)を介して連動する水平フラップ用シャフト(10)と、
    上記水平フラップ用シャフト(10)によりケーシングの吹出口(5)に上下方向に回動自在に支持された水平フラップ(3)とを備えて、
    上記水平フラップ(3)のスイング動作時の回動角度の範囲内において、上記水平フラップ(3)の重心による回転モーメントが上記水平フラップ(3)の同一回動方向に作用するようにしたことを特徴とする空気調和機の吹出口構造。
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