JP3582066B2 - 有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置 - Google Patents

有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置に関するものであり、さらに詳しくはゴミ焼却炉、火力発電設備、火葬場等の焼却設備の排気系に取り付けて、排気ガス中のダイオキシン等の有機ハロゲン化合物を熱分解する有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置に関する。
【0002】
近年、われわれに日常生活と切り離すことのできないゴミ焼却炉や農薬、殺菌剤、除草剤などの製造工場、塩素漂白や塩素殺菌を行うパルプの製造、製紙工場が有機ハロゲン化合物、例えばダイオキシン類の発生源として騒がれており、この処理方法が種々検討・開発されてきている。このダイオキシン類のうちダイオキシンの毒性は、一般にサリンの2倍、青酸カリの1000倍と言われている。
【0003】
ダイオキシンの処理方法としては、熱分解法、プラズマ処理法、超臨界水分解法、光分解法(レーザや紫外線を照射して分解)等がある。
しかし、これらの処理方法のうち、プラズマ処理方法は、超高温で処理することができるがプラズマ発生装置の入力電力に対するプラズマ変換効率が小さすぎるという問題があり、超臨界水分解法は、高圧容器内で分解反応を行うため設備費が高くなるという問題があり、光分解法は副反応生成物は少ないが反応時間がかかるという問題がある。
また、これらのハイテク設備を運転するには、高度な技術が必要となるため熟練技術者がどうしても必要であった。
そこで、実際上はこれらの処理方法の中で熱分解法が最もよく行われている。従来の熱分解法として、例えば図5に示すようなダイオキシンの熱分解処理装置100が知られている。
この装置100は、セラミック製の円筒炉101の外周に発熱体として電気抵抗体102を巻き回し、電力を供給して円筒炉101を加熱し、この加熱炉の中にダイオキシンを含んだ排ガスを流通して分解処理するようにしたものである。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような炉101は、大気中で電気抵抗体102により加熱するため、電気抵抗体102が大気中の酸素により酸化腐食されて消耗しやすくなるという問題があった。
また、円筒炉101の昇温に要する時間がかかるため、導入されるダイオキシンを含んだ排ガスの負荷変動に対する温度の追従性が悪く、また、スタートアップに時間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであって、焼却設備の排気系の端部に取り付けられ、発熱体の寿命を長くすることができ、かつ、セラミックパイプを熱分解する温度まで短時間で昇温できるダイオキシン等の有機ハロゲン化合物を好適に分解することができる有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであって、請求項1に記載の有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置は、有機ハロゲン化合物を含む排ガスを、
加熱手段により所定の温度に昇温したガス流路と接触させて、有機ハロゲン化合物を熱分解する有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置において、前記熱分解処理装置が、前記有機ハロゲン化合物を含む排ガスを導入する導入部と、前記導入部から導入された前記有機ハロゲン化合物を含む排ガスを熱分解する熱分解部と、前記熱分解部で熱分解された熱分解ガスを排出する排出部とから構成され、前記熱分解部の内部には、複数の貫通孔を有する発熱体と、前記発熱体の前記複数の貫通孔に挿通され、両端部がそれぞれをパイプ支持板で支持される前記ガス流路としてのセラミックパイプとが設けられ、前記熱分解部の外周には、高周波電力を供給されて前記発熱体を加熱する誘導加熱コイルを囲繞して設けたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項1に記載の発明によると、
(1)誘導加熱するので抵抗加熱よりも所定の温度に昇温するまでの時間を短縮できる。従って、本発明の熱分解処理装置を排気設備に取り付けても、スタートアップに要する時間を短くできる。
(2)発熱体に複数の貫通孔を設けたので、誘導加熱したときに、発熱体が外側から内側へと昇温されるため、起動時から加熱ガスを流通させることができるようになるまでの時間を短縮することができる。
【0008】
請求項2に記載の有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置は、前記熱分解部には、前記熱分解部の本体内部を減圧する減圧手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明によると、前記熱分解部の本体内部を減圧する減圧手段を備えたことで、従来問題となっていた大気中の酸素や水分による発熱体の消耗や腐食を防止することができる。その結果、発熱体の寿命が延びる。
【0010】
請求項3に記載の有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置は、前記熱分解部には、前記熱分解部の本体内部を不活性ガスで加圧する加圧手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置である。
【0011】
請求項3に記載の発明によると、前記熱分解部の本体内部を不活性ガスで加圧する加圧手段を備えたことにより、本体内部の大気を不活性ガスで置換できるので、従来問題となっていた大気中の酸素や水分による発熱体の消耗や腐食を防止することができる。その結果、発熱体の寿命が延びる。
【0012】
請求項4に記載の有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置は、前記パイプ支持板には、前記有機ハロゲン化合物を含む排ガスを前記セラミックパイプ内に導入するためのガイド部材を設けたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置である。
【0013】
請求項4に記載の発明によると、有機ハロゲン化合物を含む排ガスをセラミックパイプ内に導入するためのガイド部材をパイプ支持板に設けたことで、前記セラミックパイプ内に好適にガスを分配して導入することができる。
【0014】
請求項5に記載の有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置は、前記セラミックパイプの材料として、炭化珪素、アルミナのうちの少なくとも1種類を使用することを特徴とする請求項4に記載の有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置である。
【0015】
請求項5に記載の発明によると、炭化珪素、アルミナのうちの少なくとも1種類を用いることにより、高周波に誘導されない耐熱性の高いガス流路が形成できる。
【0016】
請求項6に記載の有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置は、前記発熱体の両端部に、スペーサと嵌合させるための段差部を設けたことを特徴とする請求項5に記載の有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置。
【0017】
請求項6に記載の発明によると、前記発熱体の両端部に、スペーサと嵌合させるための段差部を設けたことにより、熱分解部の本体内における発熱体位置を所定の位置に位置決めすることができる。従って、セラミックパイプ内の温度が大きく変化するのを防止できる。
【0018】
請求項7に記載の有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置は、前記スペーサが、非誘電体材料から形成され、前記複数の貫通孔を有するフランジと筒状体とから形成されることを特徴とする請求項6に記載の有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置である。
【0019】
請求項7に記載の発明によると、非誘電体材料から形成され、前記複数の貫通孔を有するフランジと筒状体とから形成されるスペーサを設けることにより、
セラミックパイプと発熱体を両側から好適に支持することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置の一実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。
尚、図1は、本発明に係る有機ハロゲン化合物の熱分解装置の外形斜視図、図2は、本発明に係る有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置の内部構造を示す斜視図、図3は、図1の縦断面図である。
また、図4は、本発明に係る有機ハロゲン化合物を含有する排ガスをセラミックパイプに分配・導入するためのガイド部材の他の実施形態を示す図である。尚、図4(a)は、円錐の斜面に沿って溝を設けたガイド部材、図4(b)は、ドームの形状をしたガイド部材である。
【0021】
本発明に係る有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置1は、図1に示すように、ダイオキシン含有ガスを導入する導入部2と、前記導入部2に導入されたダイオキシン含有ガスを熱分解する熱分解部3と、前記熱分解部3で分解された熱分解ガスを排出する排出部4と、前記熱分解部3の本体3aを外部から囲繞して内部の発熱体3fを加熱する誘導加熱コイル5とから主要部が構成される。
【0022】
導入部2は、ダイオキシン含有ガスの導入口2aと、上流側から下流側に拡径するダクト2bとから主要部が構成される。
ダクト2bの外周には、導入部2を冷却するための水冷式の冷却ジャケット2cが設けられている。
ダクト2bの大径側端部にはフランジ2dが設けられており、後記する熱分解部3の端部に設けられたフランジ3bと複数組のボルトB・ナットNにより接合されている。
また、ダクト2bの内部には、図2に示すように、熱分解部3のパイプ支持板3cの中央部から上流側に突起し、ダイオキシン含有ガスをセラミックパイプ3dへ導入しやすくするためのガイド部材3eが設けられている。ガイド部材3eは、本実施形態では円錐形をしているが他の実施形態については後述する。
【0023】
熱分解部3は、図2に示すように、円筒の本体3aと、前記本体3a内部の略中央部に設けられ、径方向の外周の内側に沿って8個の貫通孔3h,3h・を有する発熱体3fと、前記発熱体3fの8個の貫通孔3h,3h・に挿通される複数のセラミックパイプ3d,3d・と、前記セラミックパイプ3d,3d・の両端部をそれぞれ支持するパイプ支持板3c,3gと、前記発熱体3fの前記熱分解部3における位置決めをするためのスペーサ3k,3lとから主要部が構成される。
【0024】
本体3aは、円筒形をしたアルミナ製の容器である。前記本体3aの外周面には、図1に示すように、発熱体3fを加熱するための誘導加熱コイル5を囲繞して設けている。
本実施形態では、本体3aの材料としてアルミナを使用しているが、アルミナ以外に使用できる材料としては非誘電体のセラミックス、例えばシリカがある。本実施形態の本体3aには、本体3aの内部と減圧手段、例えば真空ポンプとを配管で接続するための1個のノズル3a1が取り付けられている(図1、図2参照)。
このように本体3aと減圧手段とを接続するように構成することで、発熱体を誘導加熱する場合に、減圧手段より本体3a内を減圧すれば大気中の酸素の量を少なくすることができるので、発熱体3fを構成する燃焼成分、例えばカーボンの消耗量を低減できる結果、発熱体3fの寿命を延ばすことができる。
尚、別の方法として、さらにノズル3a1を別に1個設けて、2つのノズルをそれぞれガスの入口、出口とし、不活性ガスの加圧手段、例えばガスボンベとノズル3a1を接続して不活性ガスにより本体3a内のガスを置換した後に誘導加熱するようにすれば、大気中の酸素が無いので、さらに発熱体3fの寿命を延長することができる。
尚、不活性ガスとして窒素や炭酸ガスは、高温ではセラミックスと窒素化合物や炭素化合物を生成するためアルゴンガスやヘリウムガスで置換するのが好ましい。
【0025】
発熱体3fの材料としては、本実施形態では図2に示すように練炭と同様な円柱形をしたクレイカーボンを使用している。発熱体3fには径方向の外周の内側に沿って8個の貫通孔3h,3h・が設けられている。
8つの貫通孔3h,3h・を発熱体の径方向の外周の内側に沿って設けることにより、発熱体3fを誘導加熱したときに、発熱体3fは外側から内側へと加熱されるので、ダイオキシン含有ガスを直ちに8つの貫通孔3h,3h・に流通させることができる。
尚、発熱体3fの材料としては、誘電体セラミックス等の材料も使用できるが、加熱するときの昇温速度を速くするためカーボン系の材料、例えば黒鉛等を使用するのがより好ましい。
発熱体3fの形状としては、円柱形以外に角柱形のものも使用できるが角部に電流が集中して温度分布が不均一になりやすい。
【0026】
セラミックパイプ3dとしては、非誘電体材料、例えばアルミナの円管が使用される。尚、アルミナ以外の使用できる材料としては炭化珪素も使用できる。
セラミックパイプ3dは、発熱体3fに設けられた8個の貫通孔3h,3h・に挿通され、両端部を2枚のパイプ支持板3c,3gの貫通孔3H,3H・及び3H,3H・により支持されている。また、ダクト2b内でガス流路の断面積をガイド部材3eで縮小して流速を速くすることにより、ダイオキシン含有ガス中に未燃のカーボン等の固形分が含まれていてもセラミックパイプ3d内が固形分により閉塞するのを防止することができる。
【0027】
パイプ支持板3c,3gは、金属製、例えばアルミニウム製の円盤の板であり、8つの貫通孔3H,3H・及び3H,3H・が径方向の外周の内側に沿って設けられている。パイプ支持板3c,3gの中央部のそれぞれには、各セラミックパイプ3dにダイオキシン含有ガスを分配・導入するガイド部材3e,3iとして円錐形の突起が設けられている。
このような円錐形の突起を設けて流路断面積を変化させることにより、ダイオキシン含有ガス及び熱分解ガスの導入及び排出をダクト2b,4b内で好適に行うことができる。
尚、ガイド部材3iの取り付け位置は、導入部2ではパイプ支持板3cの上流側に取り付けられているが、排出部4ではパイプ支持板3gの下流側に取り付けられている。尚、排出部4側のガイド部材3iは省略することが可能である。
【0028】
スペーサ3k,3lは、筒状体である円筒のパイプ3k,3lとフランジ3k,3lとから構成され、前記パイプ3k,3lの開口端部では、前記開口端部の内面と前記発熱体3fの両端部に設けられた段差部3f,3fとが着脱自在に嵌合して嵌合部で発熱体3fを支持できるように形成されている。
また、フランジ3k,3lのそれぞれには、セラミックパイプを挿通するための8つの貫通孔(3kh,3kh・),(3lh,3lh・)が設けられている。
発熱体3fの両端部を両側から2つのスペーサ3k,3lで支持することにより、熱分解部3における発熱体3fの位置をいつも本体3aの略中央に固定することができる。その結果、誘導加熱コイル5で加熱する位置をいつも発熱体3fの中央部にすることができるので、発熱体3fを加熱する位置がずれてセラミックパイプ3d内の温度が大きく変化することがない。
尚、スペーサ3k,3lの材料として本実施形態では、非誘電体材料、例えばアルミニウムが使用されている。
【0029】
排出部4は、ダイオキシン熱分解ガスの排出口4aと、上流側から下流側に縮径するダクト4bとから主要部が構成される。
ダクト4bの外周には、図1に示すように、導入部2と同様にダクト4bを冷却するための水冷式の冷却ジャケット4cが設けられている。
ダクト4bの大径側端部にはフランジ4dが設けられており、熱分解部3の端部に設けられたフランジ3jとボルトB・ナットNにより接合されている。
また、ダクト4bの内部には、熱分解部3のパイプ支持板3gの中央部から下流側に突起し、熱分解部3でダイオキシン含有ガスを熱分解した熱分解ガスをセラミックパイプ3dから排出しやすくするためのガイド部材3iが設けられている。
【0030】
以上の構成からなる本発明に係る有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置の作用について図3を参照して説明する。尚、図3は、図1及び図2の構成部材を判り易くするため一部簡略化してある。
(1)誘導加熱コイル5内に冷却水を流して電力を供給し、熱分解部3内に収納された発熱体3fを加熱する。
(2)発熱体3fが加熱され、発熱体3fの熱がセラミックパイプ3dに熱伝達され、数秒でセラミックスパイプ3dが所定の温度、例えば1400℃に昇温される。
(3)ダイオキシン含有ガスを導入部2の導入口2aを介してダクト2b内へ導入する。
(4)導入されたダイオキシン含有ガスは、ダクト2b内に設けられた円錐のガイド部材3eにより剪断力を受けて円錐の斜面に沿って加速され、円筒の発熱体3fの8個の貫通孔3H,3H・にそれぞれが挿通され、両端部をパイプ支持板3c、3gで固定された8本のセラミックパイプ3d,3d・内に分配・導入される。
(5)各セラミックパイプ3d内に導入されたダイオキシン含有ガスは、1400℃に加熱されたセラミックパイプ3dの内壁面と接触することで好適に熱分解される。
(6)熱分解されたガスは排出部4へと排出される。このとき排出部4のダクト4b内に設けられたガイド部材3iにより、熱分解ガスは、8本のセラミックパイプ3d,3d・内から排出口4aに好適に排出される。
(7)排出口4aから排出されたダイオキシン熱分解ガスは、後段でハロゲンガス、NO等を除去するためのガス浄化設備で処理して人体への有害成分を除去した後に大気へと放出される。
尚、前記ガス浄化設備としては、例えば湿式のアルカリ洗浄設備を用いてもよいし、乾式の吸着装置を用いてもよい。
【0031】
尚、上述したガイド部材3e,3iは、本実施形態では円錐形を示しているが、ここで他の実施形態について図4を参照して説明する。
他の第一実施形態のガイド部材6eは、円錐形のガイド部材よりもダイオキシン含有ガスをセラミックパイプの内部に導入し易くするため、図4(a)に示すように、円錐の頂点から斜面に沿って複数の溝GTを設けたものである。溝GTの形状は、円錐の頂点から円錐の底辺に向って溝GTの幅が拡大するように設けることが好ましい。
このように導入部のダクト内に円錐の斜面に沿って複数の溝GTを設けたガスのガイド部材6eを設けることにより、ダクト内のガスの流路断面積が下流側にいくに従って小さくなるので、圧力エネルギーがガスの速度エネルギーに変換される。そして、この溝GTに沿ってセラミックパイプの中へガスを押し込むことにより、ガスが好適に分配され、かつ、ガス流速を高めてセラミックパイプ内にガスを流通させることができる。
【0032】
他の第二実施形態のガイド部材7eは、図4(b)に示すように、ドーム状の突起を設けてもよい。突起としては、例えば2:1の楕円の鏡板や皿形の形状等であればよい。
ガイド部材7eをこのように形成することにより、ダイオキシン含有ガスをセラミックパイプの内部に導入し易くすることができる。
【0033】
【実施例】
次に、本発明に係る有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置をダイオキシン含有ガスの処理に適用した場合の実施例について表1を参照して説明する。
1.実験条件
(a)高周波電源;50kW、200V×3φ,周波数f=10kHz
(b)熱分解処理装置のサイズ:465L×170W×170H
(c)分析装置:高分解ガスクロマトグラフィー、高分解質量分析計
2.実験方法
(1)高周波電源の電力を誘導加熱コイルに供給する。このとき、コイル内には冷却水が流通される。
(2)熱分解部本体内の発熱体の中心温度が1400℃になるまで加熱する。
(3)ステンレス製の容器にダイオキシン100mg及び塩化ビニール50gを入れ、これを大気中で加熱して蒸発させたダイオキシン含有ガスを熱分解装置の導入部に供給する。
(4)導入部内でガイド部材により好適に分配されたダイオキシン含有ガスは、1400℃に加熱されたセラミックパイプの内壁と接触して熱分解される。
尚、ダイオキシンの熱分解温度としては、▲1▼低温熱分解温度800〜1000℃(塩素のみ脱離させる場合、すなわちベンゼン環が分解しない場合)と▲2▼高温熱分解温度1400℃相当(塩素の脱離及びベンゼン環を分解)の温度とがあるが、本実施例では1400℃の温度で熱分解を行ったときのデータを例示する(表1参照)。
(5)熱分解部から排出部へ排出された熱分解ガスはガイド部材により排出部に集められ排出口から排出される。
【0034】
【表1】
Figure 0003582066
【0035】
【表2】
Figure 0003582066
【0036】
表1からも判るように、熱分解装置の出口におけるダイオキシン、ジベンゾフラン、コプラナーPCBの実測値は、環境基準を充分満足する値であった。
また、コプラナーPCBのうちの3種類の有機塩素化合物を除いては、ダイオキシン、ジベンゾフラン、コプラナーPCB、全ての化合物が検出限界(定量限界)以下の濃度であった。
尚、表1の毒性等量(TEQ)とは、ダイオキシン類の中で、最も強い2,3,7,8−TCDD(四塩化ジベンゾパラジオキシン)の毒性に換算した量を示す。また、表1の毒性等量(TEQ)の欄の左側に記載された定数は、毒性等価係数といい、最も有毒な2,3,7,8‐TCDD(四塩化ジベンゾパラジオキシン)の毒性を1とした時の毒性を示している。
【0037】
【発明の効果】
1.請求項1に記載の発明によれば、
(1)誘導加熱するので抵抗加熱よりも所定の温度に昇温するまでの時間を短縮できる。従って、本発明の熱分解処理装置を排気設備に取り付けても、スタートアップに要する時間を短くできる。
(2)発熱体に複数の貫通孔を設けたので、誘導加熱したときに、発熱体が外側から内側へと昇温されるため、起動時から加熱ガスを流通させることができるようになるまでの時間を短縮することができる。
2.請求項2に記載の発明によれば、前記熱分解部の本体内部を減圧する減圧手段を備えたことで、従来問題となっていた大気中の酸素や水分による発熱体の消耗や腐食を防止することができる。その結果、発熱体の寿命が延びる。
3.請求項3に記載の発明によれば、前記熱分解部の本体内部を不活性ガスで加圧する加圧手段を備えたことにより、本体内部の大気を不活性ガスで置換できるので、従来問題となっていた大気中の酸素や水分による発熱体の消耗や腐食を防止することができる。その結果、発熱体の寿命が延びる。
4.請求項4に記載の発明によれば、有機ハロゲン化合物を含む排ガスをセラミックパイプ内に導入するためのガイド部材をパイプ支持板に設けたことで、前記セラミックパイプ内に好適にガスを分配して導入することができる。
5.請求項5に記載の発明によれば、炭化珪素、アルミナのうちの少なくとも1種類を用いることにより、高周波に誘導されない耐熱性の高いガス流路が形成できる。
6.請求項6に記載の発明によれば、前記発熱体の両端部に、スペーサと嵌合させるための段差部を設けたことにより、熱分解部の本体内における発熱体位置を所定の位置に位置決めすることができる。従って、セラミックパイプ内の温度が大きく変化するのを防止できる。
7.請求項7に記載の発明によれば、非誘電体材料から形成され、前記複数の貫通孔を有するフランジと筒状体とから形成されるスペーサを設けることにより、セラミックパイプと発熱体を両側から好適に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有機ハロゲン化合物の熱分解装置の外形斜視図である。
【図2】本発明に係る有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置の内部構造を示す斜視図である。
【図3】図1の縦断面図である。
【図4】本発明に係る有機ハロゲン化合物を含有する排ガスをセラミックパイプに分配・導入するためのガイド部材の他の実施形態を示す図である。
(a)円錐の斜面に沿って溝を設けた他の第一実施形態のガイド部材を示す斜視図である。
(b)ドーム状の突起を有する他の第二実施形態のガイド部材を示す斜視図である。
【図5】従来の有機ハロゲン化合物を熱分解処理する熱分解処理装置の一例(円筒炉)を示す図である。
【符号の説明】
1 有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置
2 導入部
2d,4d フランジ
3 熱分解部
3a 本体
3b,3j フランジ
3c,3g パイプ支持板
3d セラミックパイプ
3e,3i ガイド部材
3f 発熱体
3h,3H,3H,3kh,3lh 貫通孔
3k,3l スペーサ
4 排出部
5 誘導加熱コイル

Claims (7)

  1. 有機ハロゲン化合物を含む排ガスを、加熱手段により所定の温度に昇温したガス流路と接触させて、有機ハロゲン化合物を熱分解する有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置において、
    前記熱分解処理装置が、
    前記有機ハロゲン化合物を含む排ガスを導入する導入部と、前記導入部から導入された前記有機ハロゲン化合物を含む排ガスを熱分解する熱分解部と、前記熱分解部で熱分解された熱分解ガスを排出する排出部とから構成され、
    前記熱分解部の内部には
    数の貫通孔を有する発熱体と、
    前記発熱体の前記複数の貫通孔に挿通され、両端部がそれぞれをパイプ支持板で支持される前記ガス流路としてのセラミックパイプとが設けられ、
    前記熱分解部の外周には、高周波電力を供給されて前記発熱体を加熱する誘導加熱コイルを囲繞して設けたことを特徴とする有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置。
  2. 前記熱分解部には、前記熱分解部の本体内部を減圧する減圧手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置。
  3. 前記熱分解部には、前記熱分解部の本体内部を不活性ガスで加圧する加圧手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置。
  4. 前記パイプ支持板には、前記有機ハロゲン化合物を含む排ガスを前記セラミックパイプ内に導入するためのガイド部材を設けたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置。
  5. 前記セラミックパイプの材料として、炭化珪素、アルミナのうちの少なくとも1種類を使用することを特徴とする請求項4に記載の有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置。
  6. 前記発熱体の両端部に、スペーサと嵌合させるための段差部を設けたことを特徴とする請求項5に記載の有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置。
  7. 前記スペーサが、非誘電体材料から形成され、前記複数の貫通孔を有するフランジと筒状体とから形成されることを特徴とする請求項6に記載の有機ハロゲン化合物の熱分解処理装置。
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