JP3472873B2 - 気体状有機ハロゲン化合物の分解処理装置、及びこれを応用した液体状有機ハロゲン化合物の分解処理装置 - Google Patents

気体状有機ハロゲン化合物の分解処理装置、及びこれを応用した液体状有機ハロゲン化合物の分解処理装置

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JP3472873B2
JP3472873B2 JP2001222010A JP2001222010A JP3472873B2 JP 3472873 B2 JP3472873 B2 JP 3472873B2 JP 2001222010 A JP2001222010 A JP 2001222010A JP 2001222010 A JP2001222010 A JP 2001222010A JP 3472873 B2 JP3472873 B2 JP 3472873B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気体状有機ハロゲ
ン化合物の分解処理に好適な分解処理装置に関するもの
であり、より詳細には、気体状PCBやその他有害ガス
の分解処理に特に好適な気体状有機ハロゲン化合物の分
解処理装置に関する。加えて、この気体状有機ハロゲン
化合物の分解処理装置を応用した液体状有機ハロゲン化
合物の分解処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】有機ハロゲン化合物、例えば、ポリ塩化
ビフェニル(以下、PCBという)は、酸やアルカリに
対する耐性が高く化学的に安定であること、熱的に非常
に安定で電気絶縁性に優れていること、存在形態が液体
から固体までと幅広いこと等から、トランスやコンデン
サなどの絶縁油、電線などの可塑剤、各種化学工業など
の諸工程における熱媒体として用途を問わず幅広い分野
において大量に使用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、PCBは燃焼
するとダイオキシンなどの有害ガスが発生し環境汚染の
原因となること、食物連鎖による生物濃縮により、特に
魚介類を通してPCBに起因する有害物質が人体内に蓄
積されることなどが判明し、PCBの製造は1972年
に禁止されるに至った。その結果、PCBの製造などに
よる直接的な汚染問題は回避されたが、PCBはその汎
用性の高さから多岐にわたって使用されており、今度は
PCBの処理・処分が新たな問題となっている。
【0004】すなわち、PCBを処理・処分するために
通常の焼却処理を行うと、通常の焼却処理では焼却温度
が低いためにダイオキシンなどの有害物質が発生し、こ
れら有害物質が排煙と共に大気中に放出されてさらなる
大気汚染を生じるからである。そのため、PCBを容易
に処理・処分することができず、自治体などでは回収し
たPCBを特別管理物質として貯蔵庫などに保管してい
るのが実状であった。
【0005】このような事情のもと、PCBの処理方法
が種々検討されており、代表的な分解処理方法として、
高温焼却処理法やアルカリ脱塩素法が挙げられる。しか
し、この高温焼却法でのPCBの処理に際し、焼却が不
十分であると焼却炉から気体状PCBやダイオキシン類
などの有害ガスが大気中に放出されることになる。その
結果、焼却炉の周辺環境の汚染を生ずることになり、気
体状PCBやその他有害ガスを無害な形に処理する処理
装置に対する要求が潜在的に存在していた。
【0006】また、液体状PCBの場合、処理すべき量
が少量ならばこの高温焼却炉での処理が可能であるが、
大量となるとこの高温焼却炉では一度に処理できなかっ
た。このことはアルカリ脱塩素法でも同様であった。よ
って、液体状PCBについてもその処理に対する潜在的
な要求が存在していた。
【0007】従って、本発明の目的は、気体状PCBや
ダイオキシンのような気体状の有害化合物の分解処理に
好適な分解処理装置、すなわち、気体状有機ハロゲン化
合物の分解処理装置を提供すること。加えて、液体状有
機ハロゲン化合物の分解処理装置を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
鋭意検討を重ねた結果、次のように構成することで上記
課題を解決するに至った。すなわち、気体状有機ハロゲ
ン化合物を熱分解手段に導く気体導入手段と、前記気体
導入手段により導かれた前記気体状有機ハロゲン化合物
を発熱体と接触させて熱分解する一次分解部及び前記一
次分解部で前記気体状有機ハロゲン化合物が熱分解され
て成る分解ガスと未分解の前記気体状有機ハロゲン化合
物との混合気体を前記発熱体に形成した孔を通過させて
輻射熱により熱分解する二次分解部を備えた熱分解手段
と、前記気体導入手段を介して前記気体状有機ハロゲン
化合物を前記熱分解手段まで供給し、当該熱分解手段に
おいて前記気体状有機ハロゲン化合物が熱分解されてな
る分解ガスを、前記熱分解手段から排出させる気体排出
手段と、を備えた構成とした(請求項1)。
【0009】かかる構成によると、気体状有機ハロゲン
化合物は気体導入手段の存在により、確実に熱分解手段
に導かれる。そして、当該熱分解手段で発熱体との接触
による接触熱分解及び当該発熱体に形成された孔を通過
する際の輻射熱による熱分解という二段階の熱分解を経
て分解され、分解ガスとなる。よって、この気体状有機
ハロゲン化合物の分解処理装置の後流側には、有害な有
機ハロゲン化合物は排出されない。
【0010】また、前記発熱体は、その両端が封止され
た筒状体からなり、当該筒状体の内部と外部とを連通さ
せる孔をその外周面に備え、前記気体導入手段は、前記
気体状有機ハロゲン化合物を、前記筒状体の内部に導く
管である構成とした(請求項2)。
【0011】かかる構成によると、気体状有機ハロゲン
化合物は、その両端が封止された筒状体内に導かれるの
で、より確実に発熱体に接触して熱分解されると共に、
必ずこの発熱体に設けられた孔を通過して、この発熱体
である筒状体の外部に排出されるので、仮に発熱体に接
触しなくても、この筒状体の外周面上に設けられた孔を
通過する際に輻射熱により確実に熱分解される。
【0012】また、液体状有機ハロゲン化合物を所定量
ずつ排出する排出手段と、前記排出手段により排出され
た前記液体状有機ハロゲン化合物を、加熱された筒内に
滴下して、当該筒内で気化させて気体状有機ハロゲン化
合物とする気化手段と、前記気化手段で気化されてなる
前記気体状有機ハロゲン化合物を熱分解する請求項1又
は請求項2記載の気体状有機ハロゲン化合物の分解処理
装置と、前記気体状有機ハロゲン化合物の分解処理装置
において生成した分解ガスに含まれる分解物を付着およ
び反応させて回収する回収手段とを備えた構成とした
(請求項4)。
【0013】かかる構成によると、液体状有機ハロゲン
化合物は、気化手段において気体状有機ハロゲン化合物
とされ、この気体状有機ハロゲン化合物は前記気体状有
機ハロゲン化合物の分解処理装置で確実に分解される。
よって、液体状有機ハロゲン化合物であっても問題なく
分解処理することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面を参照しながら説明する。本発明の気体状有機ハ
ロゲン化合物の分解処理装置とは、気体状態で供給され
た有機ハロゲン化合物などの有害ガスを、加熱により熱
分解して無害化処理する装置である。また、液体状有機
ハロゲン化合物の分解処理装置とは、液体状体の有機ハ
ロゲン化合物を加熱して、一旦、気体状有機ハロゲン化
合物とし、これを加熱により熱分解して無害化処理する
装置である。
【0015】ここで、本実施の形態における気体状有機
ハロゲン化合物とは、例えば、ポリ塩化ビフェニル(以
下、PCBという)やダイオキシンなどの含ハロゲン化
合物系の有害気体などのことである。液体状有機ハロゲ
ン化合物とは、例えば、液体状PCBのことである。
【0016】図1は本発明の気体状有機ハロゲン化合物
の分解処理装置1の概略構成図である。図2(a)
(b)は共に本発明の気体状有機ハロゲン化合物の分解
処理装置1の要部断面図である。この気体状有機ハロゲ
ン化合物の分解処理装置1には、気体導入手段2、熱分
解手段3、加熱手段4、及び気体排出手段5が含まれて
いる。
【0017】この気体状有機ハロゲン化合物の分解処理
装置1の気体導入手段2は、気体状PCBや各種有害ガ
ス(以下、被処理ガスという)を、後述する熱分解手段
3に誘導する。図1乃至図2に示すように、本実施の形
態では、この気体導入手段2は所定の長さを有する円管
10であり、当該円管10の孔11内に被処理ガスを挿
通させて、後述する熱分解手段3の円筒12の内部へ導
入する。この円管10を構成する材料は、耐熱性に富
む、熱による伸縮が少ない、容易に誘導加熱されない、
といった特性を有する材料であれば特に限定されるもの
ではない。なお、本実施の形態ではアルミナが用いられ
ている。また、この円管10の直径も、気体状有機ハロ
ゲン化合物の分解処理装置1の大きさ、被処理ガスの処
理量に応じて適宜選択可能である。なお、本実施の形態
では、28mmφの円管10を用いている。
【0018】この気体状有機ハロゲン化合物の分解処理
装置1の熱分解手段3は、前記気体導入手段2により導
入された被処理ガスに、発熱体との接触による接触熱分
解、発熱体に形成された孔(スリット14)を通過させ
て輻射熱による熱分解という2段階の熱分解を適用し、
無害な気体状物質へ変換させる。
【0019】本実施の形態の前記発熱体は、その両端が
封止された円筒12である(図1乃至図2(b)参
照)。この円筒12の一端面には、前記気体導入手段2
である円管10が挿通され、挿通された円管10の先端
は、この円筒12内の他端側に及んで配置されている。
また、この円筒12の前記円管10が挿通された一端側
の外周面には、円筒12の内部と外部とを連通させるス
リット14,14…が、この円筒12の一端側から他端
側に向かって複数設けられている。なお、このスリット
14,14…は、この円筒12の中心部に対して点対象
となる位置に二カ所設けられている(図2(a)参
照)。
【0020】従って、この発熱体に供給された被処理ガ
スは、常に前記円筒12内の他端側に供給される。そし
て、この円筒12内の他端側に導かれた被処理ガスは、
当該円筒12内を流れて他端側から前記スリット14,
14…の設けられた一端側に移動し、当該スリット1
4,14…を通過してこの円筒12の外部に排出され
る。
【0021】ここで、この円筒12は、後述する加熱手
段4により加熱されているので、この円筒12内に導か
れた被処理ガスは、当該円筒12内を前記スリット1
4,14…側(一端側)に移動する際に、加熱された円
筒12の内壁面に接触して熱分解される。また、被処理
ガスがこの円筒12の内壁面に接触しない場合でも、こ
の円筒12に設けられたスリット14,14…を通過す
る際に、後述する理由でこのスリット14,14…が高
温に加熱されているので、輻射熱により分解される。よ
って、この円筒12のスリット14,14…からは被処
理ガスが排出されることなく、無害な状体に分解された
分解ガスのみが排出される。
【0022】ここで、この円筒12の直径、装置の大き
さ、被処理ガスの処理量に応じて適宜選択可能である。
なお、本実施の形態では、35mmφの円筒12を用い
ている。また、この発熱体を構成する材料もモリブデ
ン、SUS、インコロイなど適宜選択可能である。
【0023】なお、発熱体としてモリブデンを用いる
と、モリブデンは耐熱温度が2800℃と他の材料に比
べて耐熱性が良好である、加熱した際に白色光を与える
と共にエネルギー密度が高いので、被処理ガスが発熱体
に触れなくても輻射熱で分解できる、といった利点があ
る。また、発熱体としてニッケル合金であるインコロイ
を用いると、ニッケルの触媒作用により、発熱体に接触
した被処理ガス中の有機物が炭素分へ変換され回収され
るという利点がある。よって、この発熱体を構成する材
料として、SUSよりもインコロイを、インコロイより
もモリブデンを用いるのが好ましい。
【0024】また、この円筒12に設けられたスリット
14,14…の数、スリット幅も適宜選択可能である。
なお、本実施の形態では、スリット幅は2mmである。
【0025】なお、本実施の形態では、図1に示すよう
にこの発熱体の外周面から所定距離離間した位置に加熱
手段4である高周波コイル15が設けられている。よっ
て、この発熱体を加熱するために高周波コイル15に高
周波電流が流されると、この発熱体の円筒12の外周面
上にはうず電流が生じる。この際、スリット14,14
…部分には電流は流れることができないので、各スリッ
ト14,14…の間の部分(以下、狭間部16という)
に電流が集中する。その結果、各狭間部16は、この円
筒12の他の部分よりも高温に加熱される。そのため、
このスリット14,14…内の空間もまた高温状体とな
る。よって、たとえ被処理ガスが前記円筒12の内壁面
と接触せずにこのスリット14,14…に導かれたとし
ても、このスリット14,14…を通過する際に輻射熱
により確実に熱分解される。
【0026】さらに、円筒12の内壁面に、図2(b)
示すライフリング17を、この円筒12の他端側から一
端側に向かって設けた構成とすることも可能である。こ
の場合、この円筒12の他端側に供給された被処理ガス
が、このライフリング17の存在により螺旋状に攪拌さ
れながらスリット14の設けられた一端側に導かれるこ
とになる。よって、被処理ガスと円筒12との接触機会
が増加し、被処理ガスがより効率よく接触熱分解され
る。
【0027】この気体状有機ハロゲン化合物の分解処理
装置1の加熱手段4は、前記熱分解手段3を加熱する。
【0028】この加熱手段4は、前記熱分解手段3をそ
の内部に収容するアルミナチャンバ18と、そのアルミ
ナチャンバ18の外周面より所定距離離間した位置に、
アルミナチャンバ18の一端側から他端側に向かって螺
旋状に巻き付けられた高周波コイル15とから構成され
ている(図1乃至図2参照)。この高周波コイル15
は、電流制御式の高周波電源(図示せず)と接続されて
いる。よって、この高周波コイル15に流される電力を
変更することで、前記アルミナチャンバ18内に収容さ
れた熱分解手段3を誘導加熱して、適宜所望の温度に加
熱する。
【0029】この気体状有機ハロゲン化合物の分解処理
装置1の気体排出手段5は、被処理ガスを前記熱分解手
段3内に導くと共に、当該熱分解手段3において被処理
ガスが分解されてなる分解ガスを前記熱分解手段3より
排出させる。
【0030】この気体排出手段5は、本実施の形態で
は、前記熱分解手段3の後流側に配管を介して接続され
た、一般的な真空ポンプ(図示せず)のことである。この
真空ポンプは、被処理ガスを、前記気体導入手段2の円
管10を介して吸引し、前記熱分解手段3の円筒12内
に導く。そして、当該円筒12内及び/又は円筒12に
設けられたスリット14を通過させた際に、被処理ガス
の熱分解により生じた分解ガスをこの熱分解手段3の後
流側に吸出して排出させる。
【0031】なお、必要に応じて、前記分解ガス中に含
まれる分解物を吸着または反応させて回収する捕捉手段
を、この気体排出手段5と前記熱分解手段3との間に設
けた構成とすることも可能である。
【0032】次に、前記熱分解手段3と気体導入手段2
の第2の態様を、図3を参照しながら説明する。なお、
前記第1の態様の気体状有機ハロゲン化合物の分解処理
装置1と共通する部分については同一の符号を用い、そ
の説明を省略する。
【0033】本発明の第2の態様である気体状有機ハロ
ゲン化合物の分解処理装置20は、主要部として気体導
入手段2a、熱分解手段3a、加熱手段4を含み、さら
に気体排出手段5(図示せず)を後流側に備えて構成さ
れている。ここで、この気体状有機ハロゲン化合物の分
解処理装置20の加熱手段4及び気体排出手段5(図示
せず)は前記気体状有機ハロゲン化合物の分解処理装置
1と同じ構成であるので説明を省略する。
【0034】この気体状有機ハロゲン化合物の分解処理
装置20の熱分解手段3aの発熱体は、その両端が封止
された円筒22である(図3参照)。この円筒22内に
は、その一端面より他端面に向かって気体導入手段2a
である円管23が貫通されて設けられている。この円管
23の、前記円筒22内に位置する部分の外周面には、
排出孔24,24…が複数設けられている。そして、こ
の円管23を挿通させた円筒22の外周面には、円筒2
2の内部と外部とを連通させるスリット14,14…が
複数設けられている。なお、この円管23の下流側末端
は封止されている。
【0035】従って、この発熱体に供給された被処理ガ
スは、前記円管23の外周面に設けられた排出孔24,
24…より、前記円筒22内に供給される。そして、こ
の円筒22内に供給された被処理ガスは、当該円筒22
の外周面に設けられたスリット14,14…を通過して
この円筒22の外部に排出される。
【0036】ここで、この円筒22は、加熱手段4によ
り加熱されているので、この円筒22内に導かれた被処
理ガスは、当該円筒22内を前記スリット14側に移動
する際に、加熱された円筒22の内壁面に接触して分解
される。また、被処理ガスがこの円筒22の内壁面に接
触しない場合でも、この円筒22に設けられたスリット
14,14…を通過する際に、輻射熱により熱分解され
る。よって、この円筒22のスリット14からは被処理
ガスが排出されることなく、無害な状体に分解された分
解ガスのみが排出されることになり、被処理ガスの分解
処理が達成される。
【0037】ここで、この円筒22の直径、材料、スリ
ット14,14…の数、スリット幅などの決定は、前記
第1の態様と同様に適宜選択可能である。さらに、被処
理ガスの攪拌を効率的に行うために、円筒22の内壁面
にライフリング17を設けた構成とすることも可能であ
る。
【0038】また、前記円管23に設けられた排出孔2
4,24…と円筒22に設けられたスリット14,14
…との位置関係は、前記排出孔24,24…から排出さ
れた被処理ガスが、スリット14,14…からダイレク
トに排出されることがないように、互いにずれるように
配置されているのが好ましい。なお、本実施の形態では
スリット14は排出孔24に対して90℃方向に設けら
れている(図3b参照)。
【0039】さらに、この前記熱分解手段3と気体導入
手段2の第3の態様を、図4を参照しながら説明する。
本発明の第3の態様である気体状有機ハロゲン化合物の
分解処理装置30は、主要部として気体導入手段2b、
熱分解手段3b、加熱手段4を含み、さらに気体排出手
段5(図示せず)を下流側に備えて構成されている。こ
こで、加熱手段4及び気体排出手段5は前記気体状有機
ハロゲン化合物の分解処理装置1と同じ構成であるので
説明を省略する。
【0040】この気体状有機ハロゲン化合物の分解処理
装置30の気体導入手段2b及び熱分解手段3bは、そ
れぞれ筐体部31内に収容されている。この筐体部31
は、筒状の外筒部32と、この外筒部32の両端にねじ
34により螺設された蓋33より構成される。この筐体
部31内には、円筒形状を有するアルミナチャンバ35
が、その両末端に設けられたO−リング36を介して前
記蓋33により挟持された状体で収容されている。
【0041】この筐体部31の上流側には、被処理ガス
をこの気体状有機ハロゲン化合物の分解処理装置30内
に導入させる円管2bが挿入され、この円管2bの先端
は、前記アルミナチャンバ35の上流側に内方に突出さ
せて設けられた上流側突起37の凹部38に嵌合されて
いる。一方、この筐体部31の下流側には、この筐体部
31から被処理ガスが分解されて成る分解ガスを排出さ
せる排出管39が挿入され、この排出管39の先端は、
前記アルミナチャンバ35の下流側に内方に突出させて
設けられた下流側突起40の凹部41に嵌合されてい
る。
【0042】前記アルミナチャンバ35の上流側突起3
7と下流側突起40との間には、熱分解手段3bである
円筒42が、この上流側突起37と下流側突起40とに
より挟持されて設けられている。この円筒42内にはこ
の円筒42内の空間を上流側中空部44と下流側中空部
45とに区画する区画壁43が設けられている。
【0043】この円筒42の上流側中空部44と下流側
中空部45に該当する位置の外周面には、この円筒42
の内部と外部とを連通させるスリット14a,14a
…、およびスリット14b,14b…がそれぞれ複数設
けられている。そして、前記アルミナチャンバ35の上
流側突起37と下流側突起40とにより囲まれた部分
と、この円筒42との外周面との間により、前記上流側
中空部44と下流側中空部45とを連絡させる連絡空間
46が形成されている。
【0044】ここで、この円筒42は、前記加熱手段4
の高周波コイル15により誘導加熱されており、また、
気体排出手段5(図示せず)によりこの円筒42の上流
側から下流側に向かって気体の流れが生じさせられてい
る。
【0045】よって、この気体状有機ハロゲン化合物の
分解処理装置30内に前記円管2bを通過して導入され
た被処理ガスは、はじめにこの円筒42の上流側中空部
44の内壁や区画壁43に接触して接触熱分解されると
共に、この上流側中空部44に設けたスリット14a,
14a…を通過して連絡空間46内に導かれる際に輻射
熱により熱分解される。さらに、この連絡空間46内か
らスリット14b,14b…を通過して、下流側中空部
45内に導かれる。
【0046】よって、前記上流側中空部44からこの連
絡空間46内に導かれた気体に未分解の被処理ガスが含
まれていても、この未分解の被処理ガスは、再び輻射熱
による熱分解および下流側中空部45の内壁面との接触
による接触熱分解を受ける機会を得ることになる。その
結果、ハロゲン化合物の気化ガスは確実に無害な分解ガ
スに分解されることになる。
【0047】前記誘導管2bの前記アルミナチャンバ3
5に収容される位置の外周面上には、この誘導管2bの
内部と外部とを連通させる連通孔47が設けられてい
る。さらに、前記アルミナチャンバ35の上流側にも、
このアルミナチャンバ35の内部と外部とを連通させる
排出孔48,48…が設けられている。
【0048】よって、この気体状有機ハロゲン化合物の
分解処理装置30の後流に位置する減圧手段4の真空ポ
ンプ(図示せず)の稼動により、この気体状有機ハロゲ
ン化合物の分解処理装置30の上流側から下流側に向か
って気体の流れが生じると、このアルミナチャンバ35
の外周面と、筐体部31との間の空間部49内の気体も
吸引され、この空間部49内は減圧雰囲気下に保たれ
る。
【0049】この空間部49内には加熱手段4の高周波
コイル15が収容されているので、この空間部49内を
減圧雰囲気に保つことは、この高周波コイル15の酸化
による劣化を防止することになる。また、この空間部4
9内が減圧雰囲気下に保たれているので、高周波コイル
15により加熱された前記熱分解手段3bに加えられた
熱が、伝熱によりこの筐体部31外に放出されることが
ない。よって、熱ロスを生ずることなく総ての熱を前記
熱分解手段3bの円筒42の加熱に利用できる。
【0050】次に、本発明の気体状有機ハロゲン化合物
の分解処理装置を適用した、液体状有機ハロゲン化合物
の分解処理装置50について説明する。
【0051】図5は本発明の気体状有機ハロゲン化合物
の分解処理装置を適用した液体状有機ハロゲン化合物の
分解処理装置50の概略構成図である。この液体状有機
ハロゲン化合物の分解処理装置50は、主要部として、
貯留手段51、排出手段52、気化手段53、分解処理
手段54、捕捉手段55、減圧手段56を含んで構成さ
れる。
【0052】この液体状有機ハロゲン化合物の分解処理
装置50の貯留手段51は、液体状PCBを貯留する。
この貯留手段51は、スライドゲートバルブ60、第1
貯留タンク61、第2貯留タンク62、を含んで構成さ
れる。
【0053】この貯留手段51のスライドゲートバルブ
60は、前記第1貯留タンク61と漏斗形状を有する投
入口63との間に介設され、第1貯留タンク61内への
液体状PCBの投入が完了した後、閉塞して余剰大気の
第1貯留タンク61内への混入を防止する。第1貯留タ
ンク61は、前記スライドゲートバルブ60の下側に設
けられ、前記スライドゲートバルブ60を介して投入さ
れた液体状PCBを貯留する。第2貯留タンク62は、
前記第1貯留タンク61の下側に供給バルブ64を介し
て設けられ、前記第1貯留タンク61より排出された液
体状PCBを減圧雰囲気下で貯留する。
【0054】なお、この第2貯留タンク62内への減圧
雰囲気の形成は、後述する減圧手段56の真空ポンプ9
3が、この第2貯留タンク62内に液体状PCBを供給
した際に一緒に導かれた大気を、この第2貯留タンク6
2の上部に設けられた真空排気配管65を介して排出す
ることで行われる。
【0055】また、この第1貯留タンク61と第2貯留
タンク62との間に介設された供給バルブ64の開閉
は、第2貯留タンク62内に設けられた上限液面センサ
66、下限液面センサ67によりこの第2貯留タンク6
2内に貯留された液体状PCBの量を検知して、その検
知結果に基づいて適宜行われる。同様に、前記スライド
ゲートバルブ60の開閉は、前記第1貯留タンク61内
に設けられた液面センサ68の検知結果に基づいて適宜
行われる。
【0056】従って、この貯留手段51は、液体状PC
Bの分解処理に当たり、この貯留手段51の後流側(気
化手段53から捕捉手段55まで)に大気が混入して、
この液体状有機ハロゲン化合物の分解処理装置50内の
減圧度が低下することを防止する。すなわち、大気系と
減圧系とを液体によりシールする構造を形成している。
【0057】この液体状有機ハロゲン化合物の分解処理
装置50の排出手段52は、前記貯留手段51の第2貯
留タンク62内に貯留された液体状PCBを、後述する
気化手段53の液供給管70の内方に、所定量ずつ供給
する。
【0058】ここで、本実施の形態では、この排出手段
52として、ニードルバルブ69が用いられている。な
お、このニードルバルブ69は、後述する気化手段53
の処理チャンバ73内に設けられた圧力センサ77の測
定値等に基づいて、ニードルバルブ69の開閉度を決定
し、あらかじめ決められた速度・量の液体状PCBを、
後述する気化手段53の液供給管70内に滴下させる。
従って、この排出手段52の存在により、後述する気化
手段53内での液体状PCBの気化に最適な量の液体状
PCBが常に供給される。
【0059】この液体状有機ハロゲン化合物の分解処理
装置50の気化手段53は、前記貯留手段51内から前
記排出手段52を介して供給された液体状PCBを加熱
して気化させ、気体状PCBとする装置である(図2参
照)。
【0060】この気化手段53は、液供給管70と、気
化筒71と、加熱部72と、処理チャンバ73より構成
されている。
【0061】この気化手段53の液供給管70は、前記
排出手段52により前記貯留手段51から排出された液
体状PCBを、この気化手段53の気化筒71に導入す
る。本実施の形態では、この液供給管70として円管を
用いており、この液供給管70の上端は前記排出手段5
2の排出口(図示せず)に接続され、下端は後述する気
化筒71に挿入され、この液供給管70の先端はこの気
化筒71内の下方に及んでいる。なお、この液供給管7
0は加熱・冷却による伸縮に起因して前記排出手段52
からの離脱、及び液供給管70の破損を防止するため
に、耐熱性に優れ、熱による伸縮が少ないアルミナより
構成されている。
【0062】この液供給管70は、後述する加熱部72
により常時高温に加熱されると共に、後述するこの液体
状有機ハロゲン化合物の分解処理装置50の減圧手段5
6である真空ポンプ93の稼動により常時減圧雰囲気下
にさらされている。よって、前記排出手段52より、こ
の液供給管70内に滴下または噴霧された液体状PCB
は、この液供給管70内をその上部から下方に向かって
自由落下する途中で加熱され、そのほとんどが気体状P
CBとなる。そして、この液供給管70が収容されてい
る処理チャンバ73内の雰囲気が、後述する減圧手段5
6の真空ポンプ93により常時吸引されているので、こ
の気体状PCB及び液体状PCBは、この液供給管70
が挿通された気化筒71の内側に吸出される。
【0063】この気化手段53の気化筒71は、前記液
供給管70を介して供給された液体状PCB及び気体状
PCBを、加熱環境下に暴露して、その総てを気化させ
て気体状PCBとする。この気化筒71は、その両端を
閉塞された円筒形状を有しており、その上方の一端側よ
り前記液供給管70が挿入されている(図2参照)。こ
の気化筒71は、この気化筒71を収容する処理チャン
バ73内に配置されたアルミナ台座74の上面に載置さ
れており、この気化筒71の外周面には、その内部と外
部とを連通させる複数のスリット75,75…が気化筒
71の中央部から上部のその円周方向に沿って設けられ
ている。
【0064】この気化筒71もまた、前記液供給管70
と同様に、後述する加熱部72により加熱されている。
従って、前記液供給管70より吸出された気体状PCB
は、気化筒71の内壁面に接触すると熱により分解され
る。一方、気体状PCBが、気化部の内壁面に接触せず
にスリット75,75…に導かれたとしても、スリット
75,75…を気体状PCBが通過する際に熱により分
解されることになる。
【0065】しかし、本実施の形態では前記液供給管7
0及び気化筒71において液体状PCBを気化させる構
成となっているので、液体状PCBが気化する際に液供
給管70及び気化筒71内の熱が奪われることになる。
そのため、気化筒71内で分解されずに、気化手段53
の後流側に導かれる気体状PCBの存在が危惧される。
よって、本実施の形態の液体状有機ハロゲン化合物の分
解処理装置50では、気化手段53の後流側に、分解処
理手段54として前記気体状有機ハロゲン化合物の分解
処理装置1を設け、気体状PCBの分解処理に万全を期
している。
【0066】気化手段53の加熱部72は、液供給管7
0、気化筒71を加熱する。加熱部72は、高周波コイ
ル76より構成される。この高周波コイル76は、前記
液供給管70、気化筒71の外周面から所定距離離間し
た位置に、その上方から下方に向かって螺旋状に設けら
れている。この高周波コイル76は、図示しない高周波
電源に接続され、気化筒71、液供給管70を適宜所望
の温度に加熱する。
【0067】気化手段53の処理チャンバ73は、液供
給管70、気化筒71、加熱部72を収容する。この処
理チャンバ73の内部は、後述する減圧手段56の真空
ポンプ93により、常時減圧雰囲気に保たれている。こ
の処理チャンバ73には、この処理チャンバ73内の圧
力を測定する圧力センサ77と、圧力開放弁78として
働くラプチャーディスク100が備えられている。この
圧力開放弁78は、後述する減圧手段56の真空ポンプ
93の排気能力を上回る多量のガスが処理チャンバ73
内に発生し、処理チャンバ73内が加圧状体になった場
合に、解放して処理チャンバ73内の圧力を解放する。
【0068】ここで、この圧力開放弁78が処理チャン
バ73内の圧力を解放すると、処理チャンバ73内の気
体状PCBを大気中に放出することになる。そのため、
PCBの大気中への放出を防止するために、図7に記載
したトラップ103を設けることが好ましい。
【0069】このトラップ装置は、前記処理チャンバ7
3に配管101を介して接続されておりこのトラップの
後流側には、バルブを介してこのトラップ内に減圧環境
を作り出す真空ポンプ104が設けられている。トラッ
プ103内は常に真空ポンプ104により減圧状態に保
たれているので、前記処理チャンバ73の圧力開放弁7
8が解放された際に、配管101からトラップ103間
での空間内で、圧力を吸収する。なお、トラップ103
内および配管101の外周面上には、液体窒素などの適
当な冷却媒体を挿通させる冷却管102が設けられてい
る。この冷却管102は、トラップ103内では蛇行さ
せて設けられており、この冷却管102のトラップ10
3内の部分の外周面上には、トラップ103内を効率よ
く冷却するためにフィンが設けられている。よって、こ
の冷却管102に冷却媒体を挿通させることで、前記処
理チャンバ73内から放出された高温の気体を急速に冷
却し、気体の体積を減少させる。その結果、トラップ1
03や配管101の破損を防ぐと共に、PCBが装置外
へ放出されるのを防止する。
【0070】液体状有機ハロゲン化合物の分解処理装置
50の分解処理手段54は、前記気化手段53の処理チ
ャンバ73の後流に接続され、前記処理チャンバより排
出されたPCBの気化ガスを、熱分解する。この処理手
段54は、前記前記気体状有機ハロゲン化合物の分解処
理装置1と同じ構成であるので、ここではその説明を省
略する。
【0071】この液体状有機ハロゲン化合物の分解処理
装置50の捕捉手段55は、前記分解処理手段54にお
いて気体状PCBが分解されてなる分解ガスに含まれる
分解物を回収する。
【0072】この捕捉手段55は、前記分解処理手段5
4の後流側に接続され、冷却板80を備えた上部チャン
バ81と、この上部チャンバ81の下側にゲートバルブ
83を介して接続された下部チャンバ82とから構成さ
れる。この上部チャンバ81に設けられた冷却板80
は、ニッケル合金により構成され、この捕捉手段55内
に導かれた高温の分解ガスを、ニッケルの触媒反応を利
用して炭素分として吸着させると共に、前記高温の分解
ガスが、この捕捉手段55の後流側に設けた減圧手段5
6内に、ダイレクトに供給されるのを防止する。
【0073】前記冷却板80は、図示しない冷却管に接
続され、この冷却管に通過させた液体窒素などの冷媒に
より、常時冷温に冷却されている。よって、この捕捉手
段55の上流の分解処理手段54より排出された高温の
分解ガスを急冷して、当該分解ガス中の分解物の吸着を
促進させる。この冷却板80の配設方法は、この上部チ
ャンバ81内の雰囲気が、この冷却板80とこの上部チ
ャンバ81の壁面との隙間を経た後に、後流側の減圧手
段56に導かれるように配設されていれば特に限定され
るものではない。
【0074】この下部チャンバ82は、上部チャンバ8
1内で吸着捕捉された分解物を回収するための装置であ
る。よって、この下部チャンバ82内には、この下部チ
ャンバ82内をアルゴンなどの不活性ガスで置換するた
めの不活性ガスボンベ(図示せず)及び真空ポンプ87
が、それぞれ不活性ガス供給配管84、排気配管85を
介して接続されている。
【0075】よって、この下部チャンバ82と上部チャ
ンバ81とを区画するゲートバルブ83を閉じ、続いて
この下部チャンバ82に接続された不活性ガス供給配管
84を介して不活性ガスを供給して、この下部チャンバ
82内の圧力を大気圧とした後で、この下部チャンバ8
2に貯留された炭素などの分解物を、炭素粉取出口86
より回収できる。
【0076】そして、この下部チャンバ82より炭素粉
を取り除いた後、この下部チャンバ82に接続された真
空ポンプ87により再びこの下部チャンバ82内を減圧
雰囲気にした後、前記ゲートバルブ83を解放して前記
上部チャンバ81と連通させて、再びこの下部チャンバ
82に炭素などの分解物を貯留させることができる。従
って、本発明の液体状有機ハロゲン化合物の分解処理装
置50を止めることなしに、炭素粉等の除去作業を行え
る。
【0077】また、前記冷却板80の代わりにニッケル
球90,90…を充填したケージ91を設け、前記分解
処理手段54より排出された分解ガスを、このケージ9
1内を通過させて、この捕捉手段55の後流に排出させ
る構成とすることも可能である(図6参照)。本実施の
形態では、適当な冷却手段により冷却されたニッケル球
90,90…を、このケージ91の上方から下方に断続
的に落下させる構成となっている。この場合、このケー
ジ91を通過する分解ガスは、ニッケルの触媒作用によ
りニッケル球90,90…の表面に炭素などとして付着
する。そして、このケージ91の下側に設けた振動ふる
い92による振揺により、ニッケル球90,90…の表
面に付着した炭素などを剥離させて、前記下部チャンバ
82内に回収する。なお、炭素等が除去されたニッケル
球90,90…は循環させて、再びケージ91に供給さ
れる。
【0078】本発明の液体状有機ハロゲン化合物の分解
処理装置50の減圧手段56は、前記貯留手段51の第
2貯留タンク62、前記気化手段53の処理チャンバ7
3内、前記捕捉手段55内の雰囲気を強制的に装置外に
排出し、本発明の液体状有機ハロゲン化合物の分解処理
装置50内に減圧雰囲気を形成させる。本実施の形態で
は、この減圧手段56として真空ポンプ93を用いてい
る。この真空ポンプ93は、前記気体状有機ハロゲン化
合物の分解処理装置1と同様に、この分野において用い
られる一般的な真空ポンプを使用している。
【0079】なお、図8に示すように、この減圧手段5
6の配管にバルブ106を介して分解処理手段54捕捉
手段55、減圧手段56をさらに接続した構成とするこ
とも可能である。この構成とすることにより、液体状有
機ハロゲン化合物の分解処理装置50の気化手段53か
ら捕捉手段55までの間に不具合が生じた場合に、この
気化手段53から捕捉手段55までの間に残留する未分
解のPCBを無害化処理できる。
【0080】<動作>次に、本発明の液体状有機ハロゲ
ン化合物の分解処理装置50の動作を説明する。
【0081】はじめに、前記貯留手段51のスライドゲ
ートバルブ60を開け、第1貯留タンク61内に液体状
有機ハロゲン化合物を投入し、投入完了後スライドゲー
トバルブ60を閉じる。続いて、供給バルブ64を開
き、前記第1貯留タンク61内の液体状有機ハロゲン化
合物を第2貯留タンク62に移動させる。この第2貯留
タンク62の上面に接続された真空排気配管65のバル
ブ79を解放し、この第2貯留タンク62内の大気を真
空ポンプ93により排出し、第2貯留タンク62内に減
圧雰囲気を形成する。
【0082】この第2貯留タンク62の下側に取り付け
られたニードルバルブ79を開き、第2貯留タンク62
内に貯留された液体状有機ハロゲン化合物を、気化手段
53の液供給管70内に滴下させる。
【0083】この液供給管70内を滴下する液体状有機
ハロゲン化合物は、この液供給管70内を滴下する際に
加熱されて気化し、そのほとんどが気体状有機ハロゲン
化合物となる。なお、この液供給管70内で気化しなか
った液体状有機ハロゲン化合物は、この液供給管70の
先端部が収容されている気化筒71内で加熱され完全に
気化される。
【0084】続いて、この気化手段53内で発生した気
体状有機ハロゲン化合物は、減圧手段56の真空ポンプ
93により、この後流に位置する分解処理手段54側に
吸出され、分解処理手段54の円管10内を通過し、円
筒12内に導かれる(図2及び図5参照)。そして、こ
の円筒12内に導かれた気体状有機ハロゲン化合物は、
この円筒12内のライフリング17により螺旋状に攪拌
されながらこの円筒12の外周面上に設けられたスリッ
ト14,14…に導かれる。この際、この円筒12の内
壁面に接触した気体状有機ハロゲン化合物は、熱により
接触分解され分解ガスとなる。また、接触しなかったも
のは、スリット14,14…を通過する際に輻射熱によ
り分解され、分解ガスとなる。
【0085】そして、この分解処理手段54の後流に位
置する捕捉手段55に導かれた分解ガスは、当該捕捉手
段55内の冷却されたニッケル製の冷却板80と接触す
ると、ニッケルの触媒作用により、すすとして冷却板8
0上に吸着回収される。
【0086】<実施例>次に、本発明の気体状有機ハロ
ゲン化合物の分解処理装置1を用いた実験の結果を説明
する。実験には、三水準のオイル試料(試料1:電気絶
縁オイルのみ、試料2:液体状PCBを10質量%含有
した電気絶縁オイル、試料3:液体状PCBのみ)を用
いて行った。
【0087】ここで、各試料の気化は、真空ポンプの稼
動により100Pa以下に調整されたチャンバ内で、前
記各試料を入れたステンレス製の容器を高周波誘導加熱
することで行った。また、分解処理装置での分解処理
は、ステンレス製の分解部を高周波誘導加熱により10
00℃に加熱して行った。また、PCBが分解されたか
否かの判断は、気体状有機ハロゲン化合物の分解処理装
置1と真空ポンプとの間に乾式トラップを介設し、この
乾式トラップの充填剤である活性炭に、PCB及びダイ
オキシンが含有されているかをガスクロマトグラフ装置
を用いて行った。
【0088】その結果、下表1に示すように、試料3で
は0.2ppmのPCBが検出されたものの、ほとんど
のPCBが分解された。また、試料2では、すべてのP
CBが分解された。
【0089】
【表1】 よって、本発明の有機ハロゲン化合物の分解処理装置
は、ほぼ確実に気体状態で供給されたPCBを分解処理
し無害化できることが確認された。
【0090】
【発明の効果】請求項1記載の発明のよると、気体状有
機ハロゲン化合物は気体導入手段の存在により、確実に
熱分解手段に導かれ、当該熱分解手段内で熱分解されて
分解ガスとされる。よって、この気体状有機ハロゲン化
合物の分解処理装置の後流側には、有害な有機ハロゲン
化合物は排出されない。
【0091】請求項2記載の発明によると、円筒内に導
かれた気体状有機ハロゲン化合物は、より確実に発熱体
に接触して熱分解されると共に、仮に発熱体に接触しな
くても、この円筒の外側にスリットを通過して排出され
る際に輻射熱により確実に熱分解される。
【0092】請求項3記載の発明によると、液体状有機
ハロゲン化合物は、気化手段において気体状有機ハロゲ
ン化合物とされ、この気体状有機ハロゲン化合物は前記
気体状有機ハロゲン化合物の分解処理装置で確実に分解
される。よって、液体状有機ハロゲン化合物であっても
問題なく分解処理できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の気体状有機ハロゲン化合物の分解処
理装置の概略構成図である。
【図2】 (a)(b)は共に、本発明の気体状有機ハ
ロゲン化合物の分解処理装置の要部断面図である。
【図3】本発明の気体状有機ハロゲン化合物の分解処理
装置の第2の態様の概略構成図である。
【図4】本発明の気体状有機ハロゲン化合物の分解処理
装置の第3の態様の概略断面図である。
【図5】本発明の液体状有機ハロゲン化合物の分解処理
装置の概略説明図である。
【図6】本発明の液体状有機ハロゲン化合物の分解処理
装置の捕捉手段の一態様図である。
【図7】本発明の液体状有機ハロゲン化合物の分解処理
装置の処理チャンバに設けられた圧力開放弁およびトラ
ップの概略説明図である。
【図8】本発明の液体状有機ハロゲン化合物の分解処理
装置減圧手段側に設けた保安装置の概略説明図である。
【符号の説明】
1・・・気体状有機ハロゲン化合物の分解処理装置 2・・・気体導入手段 3・・・熱分解手段 4・・・加熱手段 5・・・気体排出手段 10・・・円管 11・・・孔 12・・・円筒 14・・・スリット 15・・・高周波コイル 16・・・狭間部 17・・・ライフリング 18・・・アルミナチャンバ 50・・・液体状有機ハロゲン化合物の分解処理装置 51・・・貯留手段 52・・・排出手段 53・・・気化手段 54・・・分解処理手段 55・・・捕捉手段 56・・・減圧手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−12321(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 19/00 - 19/32 A62D 3/00 B01D 53/34 - 53/85

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】気体状有機ハロゲン化合物を熱分解手段に
    導く気体導入手段と、 前記気体導入手段により導かれた前記気体状有機ハロゲ
    ン化合物を発熱体と接触させて熱分解する一次分解部及
    び前記一次分解部で前記気体状有機ハロゲン化合物が熱
    分解されて成る分解ガスと未分解の前記気体状有機ハロ
    ゲン化合物との混合気体を前記発熱体に形成した孔を通
    過させて輻射熱により熱分解する二次分解部を備えた熱
    分解手段と、前記気体導入手段を介して前記気体状有機
    ハロゲン化合物を前記熱分解手段まで供給し、当該熱分
    解手段において前記気体状有機ハロゲン化合物が熱分解
    されてなる分解ガスを、前記熱分解手段から排出させる
    気体排出手段と、を備えたことを特徴とする気体状有機
    ハロゲン化合物の分解処理装置。
  2. 【請求項2】 前記発熱体は、その両端が封止された筒
    状体からなり、当該筒状体の内部と外部とを連通させる
    孔をその外周面に備え、 前記気体導入手段は、前記気体状有機ハロゲン化合物
    を、前記筒状体の内部に導く管であることを特徴とする
    請求項1記載の気体状有機ハロゲン化合物の分解処理装
    置。
  3. 【請求項3】 液体状有機ハロゲン化合物を所定量ずつ
    排出する排出手段と、 前記排出手段により排出された前記液体状有機ハロゲン
    化合物を、加熱された筒内に滴下して、当該筒内で気化
    させて気体状有機ハロゲン化合物とする気化手段と、 前記気化手段で気化されてなる前記気体状有機ハロゲン
    化合物を熱分解する請求項1又は請求項2記載の気体状
    有機ハロゲン化合物の分解処理装置と、 前記気体状有機ハロゲン化合物の分解処理装置において
    生成した分解ガスに含まれる分解物を付着および反応さ
    せて回収する回収手段とを備えたことを特徴とする液体
    状有機ハロゲン化合物の分解処理装置。
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