JP6259743B2 - 有害物質分解装置 - Google Patents

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Description

本発明は、人や動物等に有害な液体状有害物質を分解する有害物質分解装置に関する。
液体状有害物質には、有機化合物等が挙げられる。この有機化合物には、ハロゲンを含まない非環状と環状の炭化水素化合物や、ハロゲンを含む非環状と環状の有機ハロゲン化合物が含まれる。この有機ハロゲン化合物において、液体状有機ハロゲン化合物には、具体的に、PCB(Polychlorinated Biphenyl:ポリ塩化ビフェニル)が油に溶けたPCB油等の溶液や、ダイオキシンを含む溶液、DDT(Dichloro diphenyl trichloroethane:ジクロロジフェニルトリクロロエタン、有機塩素系の殺虫剤、農薬)を含む溶液等が挙げられる。
有機ハロゲン化合物であるPCBは、ダイオキシン類に含まれる。ダイオキシン類は、基本的には炭素で構成されるベンゼン環が、酸素で結合したりして、それに塩素が付いた構造を成す。また、PCBは、酸やアルカリに対する耐性が高く化学的に安定しており、熱的にも非常に安定で電気絶縁性に優れており、存在形態が液体から固体まで幅広く存在する。このため、PCBは、トランスやコンデンサ等の絶縁油、電線等の可塑剤、各種化学工業等の諸工程における熱媒体等、用途を問わず幅広い分野において大量に使用されてきた。
しかし、PCBは、有害物質であると共に、ある温度で気化して有害ガスとなり、また、燃焼するとダイオキシン等の有害ガスとなって環境汚染の原因となる。更に、PCBは、食物連鎖による生物濃縮により、特に魚介類を通してPCBに起因する有害物質が人体内に蓄積されること等が判明した。このため、PCBの製造は1972年に禁止されるに至った。
この結果、PCBの製造等による直接的な汚染問題は回避されたが、PCBはその汎用性の高さから多岐に渡り使用されており、現在ではPCBの処理や処分を人畜無害に行うことが模索されている。PCBの処理方法は種々検討されているが、代表的な分解処理方法として、高温焼却処理法やアルカリ脱塩素法が挙げられる。アルカリ脱塩素法としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。
特開2001−104938号公報
ところで、液体状有害物質である液体状PCBの場合、処理すべき量が少量であれば高温焼却炉での処理が可能である。しかし、高温焼却法でのPCBの処理は、焼却が不十分であると焼却炉から気体状PCBやダイオキシン類などの有害ガスが大気中に放出されてしまう。また、液体状PCBが大量の場合は、高温焼却炉では一度に処理できないという問題がある。この問題は、アルカリ脱塩素法を適用しても同様である。
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、大量の液体状有害物質を無害に分解処理することができる有害物質分解装置を提供することを課題とする。
前記した課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の有害物質分解装置は、体状有害物質を加熱して、有害ガスとして蒸発させる蒸発手段と、電源から高周波電流が供給されるコイルと、前記コイルへの高周波電流の供給時に誘導加熱されて発熱し、この発熱により前記有害ガスを分解する熱分解手段と、前記蒸発手段と前記熱分解手段とを上下に接触するように連続してこの順番に収容する筐体と、前記筐体内に前記液体状有害物質を導入し、前記蒸発手段を当該液体状有害物質に浸す導入手段と、前記熱分解手段で分解されたガスを前記筐体から排出する排出手段と、を備え、前記熱分解手段は、導電性を有する複数のブロック状部材であり、前記蒸発手段は、熱伝導性を有する複数のブロック状部材であり、前記ブロック状部材同士の間に気体が通る隙間が形成されるように、前記蒸発手段を構成するブロック状部材の上側に、前記熱分解手段を構成するブロック状部材が配置されており、前記蒸発手段は、前記発熱する熱分解手段からの熱伝導により、前記液体状有害物質を蒸発させる温度以上に加熱されることを特徴とする。
この構成によれば、コイルの高周波電流による誘導加熱で熱分解手段が発熱し、この発熱した熱分解手段からの熱伝導により、蒸発手段が液体状有害物質を蒸発させる温度以上に加熱される。この際、導入手段により筐体内に液体状有害物質が導入されると、蒸発手段が液体状有害物質に浸かるので、液体状有害物質が蒸発手段により加熱されて沸騰し、蒸発する。この蒸気中の有害ガスは、誘導加熱で発熱する熱分解手段に衝突又は接触する。この衝突又は接触時に有害ガスが無害に分解され、この分解ガスが排出手段により排出される。
つまり、導入手段により液体状有害物質を連続的に筐体内に導入しながら、蒸発手段の熱で沸騰させて蒸発させる。この蒸発した気体中の有害ガスを、更に誘導加熱される熱分解手段で熱分解して分解ガスとする。この分解ガスへの熱分解処理も連続して行うことができる。従って、大量の液体状有害物質を無害に分解処理することができる。
また、熱分解手段のブロック状部材がコイルの高周波電流による誘導加熱で発熱し、この発熱の熱伝導により、蒸発手段のブロック状部材が加熱されて液体状有害物質を蒸発させる。この際、液体状有害物質が沸騰しても、沸騰した液体状有害物質が、ブロック状部材の間の隙間により吸収されるので、液体状有害物質がオーバーフローすることが無くなる。また、蒸気中の有害ガスは、上側の発熱中のブロック状部材の隙間に流れるので、この有害ガスが、発熱中のブロック状部材に衝突又は接触して確実に分解される。
請求項に係る有害物質分解装置は、請求項において、前記熱分解手段を構成する前記ブロック状部材は、前記コイルへの高周波電流の供給時に誘導加熱されて発熱する導電性セラミックスであり、前記蒸発手段を構成する前記ブロック状部材は、導電性が無く且つ熱伝導性を有するセラミックス又は前記導電性セラミックスであることを特徴とする。
この構成によれば、蒸発手段及び熱分解手段の双方を、同材料である導電性セラミックスで構成することができるので、構成が容易となる。また、蒸発手段を導電性が無く且つ熱伝導性を有するセラミックスで構成したとしても、熱分解手段との双方とも酸化しないので、無酸素の環境下に配置する必要が無くなる。従って、無酸素の環境下に配置する構成を実現することに比較すれば、簡易構成で低コストに実現することができる。
請求項に係る有害物質分解装置は、請求項において、前記ブロック状部材は金属製であり、当該金属製のブロック状部材が収容される筐体内は、略無酸素状態とされることを特徴とする。
この構成によれば、蒸発手段及び熱分解手段を、金属部材で実現することができるので、低コスト化を図ることができる。
請求項に係る有害物質分解装置は、請求項1〜3の何れか1項において、前記蒸発手段及び前記熱分解手段を構成する前記ブロック状部材同士の間を上下方向に挿通して配設され、導電性及び熱伝導性の少なくとも何れか一方を有する棒状部材を更に備えることを特徴とする。
この構成によれば、熱伝導性を有する棒状部材を用いた場合、熱分解手段のブロック状部材の発熱を、棒状部材を介して下側の蒸発手段のブロック状部材に熱伝導することができる。この熱伝導と、熱分解手段から蒸発手段への直接の熱伝導との双方で、蒸発手段のブロック状部材を加熱することができるので、蒸発手段を短時間に所定温度まで加熱することができる。
また、導電性を有する棒状部材を用いた場合、棒状部材の熱分解手段のブロック状部材への挿通部位が誘導加熱して発熱し、この発熱が棒状部材の下側に熱伝導され、この熱が蒸発手段のブロック状部材に伝導される。このため、より高い温度の熱を蒸発手段に伝導することができる。従って、棒状部材自体が誘導加熱で発熱する熱と、熱分解手段から蒸発手段へ直接伝導される熱との双方で、蒸発手段のブロック状部材を加熱することができるので、蒸発手段を、より短時間に所定温度まで加熱することができる。
請求項に係る有害物質分解装置は、請求項1〜の何れか1項において、前記筐体内を減圧する減圧手段を更に備えることを特徴とする。
この構成によれば、筐体内が減圧されるので、有害ガスの分子が分解され易くなり、有害ガスの分解時間を短くすることができる。
本発明によれば、大量の液体状有害物質を無害に処理することができる有害物質分解装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係る有害物質分解装置の構成を示す図である。 本実施形態の有害物質分解装置において、蒸発熱分解装置を図1のA1−A1断面で示した図である。 本実施形態の有害物質分解装置の制御構成を示すブロック図である。 本実施形態の有害物質分解装置による有害液の熱分解処理の動作を説明するための図であり、(a)は縦軸の有害液の液位と横軸の時間との関係を示す図、(b)は縦軸の球状導電性セラミックスの温度と横軸の時間との関係を示す図である。 本実施形態のその他の例に係る有害物質分解装置の構成を示す図である。
次に、本発明の実施の形態(以下、「実施形態」と称する)について説明する。
<実施形態の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る有害物質分解装置の構成を示す図である。図2は、本実施形態の有害物質分解装置において、蒸発熱分解装置11を図1のA1−A1断面で示した図である。
図1に示す有害物質分解装置10は、PCB油等の溶液や、ダイオキシンを含む溶液、DDTを含む溶液等の液体状有機ハロゲン化合物や、これ以外の各種有害な液体や溶液等の有害液を、高温の加熱により沸騰させて蒸発させ、この蒸気中の有害ガスを熱分解して無害な分解ガスとする処理を行う。このように有害液を蒸発を経て、無害なガスに分解するということは、例えばPCBであれば、PCBを構成する炭素によるベンゼン環が分解されて、酸素や、塩素及び炭素に分離されることを指す。
有害物質分解装置10は、蒸発熱分解装置11と、有害液20が貯留されるタンク21と、液体導入管22aと、気体排出管22bと、開閉バルブ23a,23bと、吸引装置26と、水スクラバ27と、活性炭フィルタ28と、交流電源(電源)29とを備えて構成されている。
なお、タンク21及び液体導入管22aにより請求項記載の導入手段が構成され、気体排出管22b及び吸引装置26により請求項記載の排出手段が構成されている。
蒸発熱分解装置11は、筒状の石英ガラス管12と、筒状の耐熱セラミックス管13と、下側フランジ14a及び上側フランジ14bと、誘導加熱コイル15と、複数の球状導電性セラミックス16(図2参照)とを備えて、後述のように構成されている。なお、石英ガラス管12と耐熱セラミックス管13は、単に、管12,13と称し、誘導加熱コイル15は、コイル15と称す場合もある。
なお、下側フランジ14a内の球状導電性セラミックス16により請求項記載の蒸発手段及びブロック状部材が構成されている。下側フランジ14aの上側の球状導電性セラミックス16により請求項記載の熱分解手段及びブロック状部材が構成されている。但し、蒸発手段及びブロック状部材は、導電性が無く且つ熱伝導性を有する球状のセラミックス(図示せず)でもよい。
また、筒状の石英ガラス管12、筒状の耐熱セラミックス管13、下側フランジ14a及び上側フランジ14bにより請求項記載の筐体が構成されている。
液体導入管22aは、タンク21の下面に設けられた開口(図示せず)と、箱形の下側フランジ14aの側面下方側に設けられた開口(図2参照)とを接続し、矢印Y1で示すように、タンク21に貯留された有害液20を、下側フランジ14a内に流入する。液体導入管22aのタンク21と下側フランジ14aとの間には、開閉バルブ23aが配設されている。なお、タンク21は、この下面が下側フランジ14aの上面よりも高い位置に配置されているとする。また、タンク21には有害液20が自動で外部から投入される機構が備えられていてもよい。
気体排出管22bは、この一端側が、蒸発熱分解装置11の上側フランジ14bの側面上方側に設けられた出口側の開口(図2参照)に接続されている。気体排出管22bの一端側と、矢印Y6で示す分解ガス(後述)が排出される他端側との間には、一端側から他端側に向かって順に、開閉バルブ23b、吸引装置26、水スクラバ27及び活性炭フィルタ28が所定間隔で配設されている。
吸引装置26は、気体排出管22bの一端側から、上側フランジ14b内の気体を吸引する動作を行う。即ち、吸引装置16は、蒸発熱分解装置11の上側フランジ14bから矢印Y5で示すように分解ガス(後述)を含む空気等の気体を吸引し、この吸引された気体が、水スクラバ27及び活性炭フィルタ28を通って気体排出管22bの出口から排出(矢印Y6)されるようにする。吸引装置26には、ブロワや、真空ポンプ以外の標準ポンプ等が適用される。
開閉バルブ23aは、流量制御可能なバルブである。この開閉バルブ23aは、矢印Y1,Y2で示すように、タンク21から液体導入管22aを介して下側フランジ14aへ、単位時間当たり一定量の有害液20を流入する機能を有する。また、開閉バルブ23aは、液体導入管22aの内部通路を、バルブ閉時に遮蔽状態とし、バルブ開時に所定の流量が流れる状態で開放状態とする。
開閉バルブ23bは、電磁力で開閉動作を行う電磁バルブであり、気体排出管22bの内部通路を、バルブ閉時に遮蔽状態、バルブ開時に開放状態とする。開閉バルブ23bの開時に、吸引装置26が吸引動作を行うと、上側フランジ14bから矢印Y5で示す方向に分解ガスが気体排出管22bへ排出され、最終的に矢印Y6で示すように気体排出管22bの出口から排出される。一方、開閉バルブ23bの閉時には、開閉バルブ23bで気体排出管22bが遮蔽され、分解ガスが遮断される。
水スクラバ27は、球状導電性セラミックス16で有害ガスが分解された後の分解ガス中に、分解されずに僅かに残留した成分(炭素、水素、塩素等)を分離処理する。この水スクラバ27は、水等の液体を吸収液として、排ガス中の有害成分を吸収液の液滴や液膜中に捕集して分離する。
活性炭フィルタ28は、水スクラバ27で分離されずに臭気分子等の残留成分が残った際に、その残留成分の分子を活性炭の微細孔により吸着して除去する。この除去後の分解ガスが、無害無臭のものとして気体排出管22bの出口から排出(矢印Y6)される。
次に、蒸発熱分解装置11の構成について説明する。
外側の石英ガラス管12の内部には、図2に示すように、耐熱セラミックス管13が石英ガラス管12と離間状態で且つ上下に突き出て配置されている。この配置された双方の管12,13の下端側と上端側には、下側フランジ14aと上側フランジ14b(上下側フランジ14a,14bとも称す)が覆い被さる状態に取り付けられている。なお、石英ガラス管12は省略可能である。
上下側フランジ14a,14bの材料は、誘導加熱が行われず又は行われ難く、且つ耐熱性が高く、熱伸縮性が小さい、といった特性(この特性を、熱特性という)を有する材料が好ましい。この熱特性を有する材料としては、ガラスや、一般的なセラミックス、アルミナ等がある。例えば、上下側フランジ14a,14bの材料はアルミナでもよい。
下側フランジ14aは、箱形を成し、この上面に、耐熱セラミックス管13の下端側を挿通して嵌合する開口を有している。下側フランジ14aに双方の管12,13の下端側が取り付けられた状態は、耐熱セラミックス管13の下端開口が、下側フランジ14a内の底面に当接した状態となっている。
上側フランジ14bは、箱形を成し、この下面に、耐熱セラミックス管13の上端側を挿通して嵌合する開口を有している。上側フランジ14bに双方の管12,13の上端側が取り付けられた状態は、耐熱セラミックス管13の上端開口が、上側フランジ14b内の天井面と離間した状態となっている。
耐熱セラミックス管13は、後述する球状導電性セラミックス16とは特性が異なる一般的なセラミックスにより形成されており、後述の分解温度に耐え得る耐熱性を有する。耐熱セラミックス管13の内部には、複数の球状導電性セラミックス16が格納されている。この格納は、耐熱セラミックス管13の上部に所定容積の空間ができるように実施されている。
耐熱セラミックス管13の下端部の側壁には複数の貫通した開口が形成されている。これら開口からは、矢印Y2aで示すように、下側フランジ14aに溜まった有害液20が管13の内部に入るようになっている。
なお、耐熱セラミックス管13の下端と下側フランジ14a内の底面との間に、球状導電性セラミックス16の径よりも狭い隙間が出来るように配置してもよい。この場合は、球状導電性セラミックス16は耐熱セラミックス管13の外側に導出不可能であり、且つ隙間から有害液20が管13内に導入可能となる。このように管13を配置すれば、上述した下端部側壁の複数の貫通開口は不要となる。
誘導加熱コイル15は、石英ガラス管12の外周側に、所定間隔のギャップGを介して周回方向に導線が所定回数巻き付けられて構成されている。コイル15の両端は、交流電源29の正極及び負極に接続されている。また、コイル15は、上下に積み重ねられた内の上側の球状導電性セラミックス16の周囲を囲っている。従って、上下に積み重ねられた内の下側の球状導電性セラミックス16は、コイル15よりも下方に配置されている。
交流電源29は、コイル15に高周波電流を供給する。
但し、コイル15の配置は、後述のように球状導電性セラミックス16を誘導加熱する機能を果たせば、球状導電性セラミックス16の近傍に他の様態で配置してもよい。例えば、コイル15は、導線を平面の円形状や楕円形状に巻回した平面状コイルや、導線を平面に蛇行した蛇行状コイル等でもよく、これらコイルを球状導電性セラミックス16の外周面に所定のギャップを介して1乃至は複数配置してもよい。
球状導電性セラミックス16は、高導電率を有して高周波誘導加熱が可能な発熱体となる導電性セラミックスを用いて球状に形成されており、尚且つ一般的なセラミックスの特性も有している。なお、球状導電性セラミックス16は、球状以外に、楕円球状や多面体状、或いは凹凸のある塊状(ブロック状)であってもよい。このブロック状には、筒状、円柱及び角柱等の3次元形状も含まれる。なお、上述した蒸発手段としてのセラミックス(図示せず)も、そのブロック状であってもよい。
コイル15の内側に配置された複数の球状導電性セラミックス16は、交流電源29からコイル15に高周波電流が供給されると、その外周面に渦電流(誘導電流)が誘起され、この誘導電流によるジュール熱で外周面から内部に向かって加熱される。この加熱による熱伝導で球状導電性セラミックス16の全体が高温となる。この温度は、実用補償温度としては1800℃位であるが、球状導電性セラミックス16の融点の温度、即ち3000℃強位までは加熱可能となっている。
本実施形態では、コイル15の内側に配置された複数の球状導電性セラミックス16を、後述のように有害液20が蒸発した有害ガスの分解に必要な1350℃〜1500℃位の間の温度(分解温度という)に保持するようになっている。因みに、ベンゼン環の分解に必要な温度は、約1350℃である。また、分解温度は、交流電源29から高周波電流を供給する際の電力を変更することにより、周囲環境温度に応じた最低温度〜約3000℃の範囲で設定可能となっている。
下側フランジ14a内に位置する蒸発手段としての球状導電性セラミックス16は、この上側に位置する誘導加熱で発熱した熱分解手段としての球状導電性セラミックス16からの熱伝導により、有害液20を蒸発可能な温度以上に加熱される。PCB油が蒸発する温度は1気圧で600℃強である。この600℃強に加熱される球状導電性セラミックス16の温度は、コイル15の内側に配置された複数の球状導電性セラミックス16との距離で調整する。又は、コイル15の内側に配置された複数の球状導電性セラミックス16の誘導加熱による発熱温度を、1350℃以上で上下することにより調整する。
また、蒸発手段としての複数の球状導電性セラミックス16及び熱分解手段としての複数の球状導電性セラミックス16の各々の間には、気体が通過できる隙間が形成されている。
このような下側フランジ14a内の球状導電性セラミックス16の加熱で有害液20が沸騰して蒸発する。この蒸発した気体(蒸気)に含まれる有害ガスは隙間を抜ける過程で、上方の球状導電性セラミックス16に衝突又は接触しながら更に上方へ抜ける。その衝突又は接触時に有害ガスが無害に分解される。この分解ガスは、図2の矢印Y4,Y4aで示すように、耐熱セラミックス管13の上端開口から上側フランジ14b内に排出され、更に、矢印Y5で示すように、気体排出管22bへ排出される。
また、耐熱セラミックス管13に格納された多数の球状導電性セラミックス16の間には、多数の隙間ができている。このため、上述したように下側に位置する球状導電性セラミックス16の加熱で有害液20が沸騰しても、多数の隙間で吸収されるため、耐熱セラミックス管13から有害液20がオーバーフローすることはない。
また、球状導電性セラミックス16の加熱温度(発熱温度)は、次のように自動で調整する。
この発熱温度の調整は、図3に示すように、下側フランジ14a内の有害液20の液位(液面の高さ又は深さ)を計測する液面センサ31aと、誘導加熱される球状導電性セラミックス16の温度を検出する温度センサ32と、球状導電性セラミックス16の発熱温度を設定する温度設定部33と、交流電源29の電力を可変制御する電力制御部34とを備えて行う。
液面センサ31aは、フロート式や静電容量式等があり、例えば、被測定物としての有害液20の持つ固有の誘電率と空気の誘電率との差を検出して、有害液20の液位を検知する。
温度センサ32は、測温抵抗体、熱電対、放射温度計等、上記のような高温が計測可能なものであれば何れでもよい。
温度設定部33は、球状導電性セラミックス16を有害ガスの分解に最低限必要な分解温度以上とするための発熱温度が、設定温度として操作者により設定される。なお、設定温度と分解温度とは、予め対応関係が分かっているとする。次に、温度センサ32で球状導電性セラミックス16の温度を検出する。電力制御部34は、その検出温度と設定温度との差分に応じて、交流電源29の電力を、球状導電性セラミックス16の発熱温度が設定温度となるように可変制御する。
また、有害物質分解装置10は、タンク21に液面センサ31bを備えると共に、バルブ開閉制御部35と、吸引制御部36とを備える。
バルブ開閉制御部35は、次のよう制御を行う。まず、液面センサ31bで検知されるタンク21内の有害液20の液位(検知液位)が0レベルを超えたレベルを検知しているとする。この際に、液面センサ31aで検知される下側フランジ14a内の有害液20の検知液位が、予め定められた下限設定液位未満の場合に、バルブ開閉制御部35は、液体導入管22aの開閉バルブ23aを開とする制御を行う。また、バルブ開閉制御部35は、検知液位が予め定められた上限設定液位を超えた際に、開状態の開閉バルブ23aを閉とする制御を行う。
但し、下限及び上限設定液位の間は、所定の液位幅とする。この液位幅は、当該液位幅内の有害液20に複数の球状導電性セラミックス16が浸かり、この球状導電性セラミックス16の加熱により有害液20が沸騰して蒸発するようにすることが好ましい。
バルブ開閉制御部35は、液面センサ31bで検知されるタンク21内の検知液位が0レベルを検知した際に、液体導入管22aの開閉バルブ23aを閉とする制御を行う。これは、タンク21から液体導入管22aを介して下側フランジ14a内に大気が入るのを防止するためである。なお、バルブ開閉制御部35は、0レベル検知時から、液体導入管22a内の有害液20が下側フランジ14a内に全て導入される時間後に、開閉バルブ23aを閉とする制御を行うようにするのが好ましい。
バルブ開閉制御部35は、温度センサ32の検出温度が予め定められた閾値温度以上となった場合に、気体排出管22bの開閉バルブ23bを開とする制御を行う。また、バルブ開閉制御部35は、検出温度が閾値温度未満となった際に、開状態の開閉バルブ23bを閉とする制御を行う。
但し、閾値温度としては、球状導電性セラミックス16の内部空間が有害ガスの分解に最低限必要な温度(約1350℃)以上を設定するのが好ましい。
また、バルブ開閉制御部35は、下側フランジ14aの検知液位が0レベルとなった後に、後述のように交流電源19が停止され、これにより球状導電性セラミックス16の発熱温度が閾値温度未満になると、各開閉バルブ23a,23bを閉とする。
下側フランジ14aの0レベルは、有害液20の熱分解処理が終了したことを示す。このため、図示せぬ警報ブザーや警報ランプを作動させて、タンク21が空になったこと、又は熱分解処理が終了したことを知らせるようにしてもよい。
更に、バルブ開閉制御部35は、有害物質分解装置10の熱分解処理の開始ボタン(図示せず)がオンにされると、開閉バルブ23aを開とする制御を行う。
電力制御部23は、有害物質分解装置10の開始ボタンがオンにされた際に、交流電源29をオンにする制御を行う。これによって、コイル15への高周波電流の供給が開始され、球状導電性セラミックス16の誘導加熱が開始する。この際、球状導電性セラミックス16は、短時間で分解温度となって更に設定温度となる。
また、電力制御部23は、下側フランジ14aの検知液位が0レベルとなった場合、交流電源29を停止する制御を行う。これによって、交流電源19からコイル15への高周波電流の供給が停止され、球状導電性セラミックス16の誘導加熱が停止する。このため、全ての球状導電性セラミックス16は、時間経過に応じて温度が低下する。なお、球状導電性セラミックス16の温度を下げる場合は、冷風や冷却水等による強制的な冷却手段を用いてもよい。
吸引制御部36は、温度センサ32の検出温度が閾値温度以上となった場合に、停止状態の吸引装置26を作動させる制御を行う。この動作により蒸発熱分解装置11から有害ガスが気体排出管22bへ排出(矢印Y5)される。この際、電力制御部34は、検出温度に応じて、球状導電性セラミックス16の温度が常時設定温度となるように制御する。また、吸引装置16は、温度センサ32の検出温度が閾値温度未満となった場合に、作動中の吸引装置26を停止させる制御を行う。これは、球状導電性セラミックス16の温度が閾値温度未満では、有害ガスが適正に分解されず、有害ガスが残って排出されることを防止するためである。
また、有害物質分解装置10においては、操作者の操作によっても、次のように停止制御が行われる。
操作者によって有害物質分解装置10の停止ボタン(図示せず)が押されると、まず、交流電源29がオフとなる。次に、そのオフにより球状導電性セラミックス16の温度が閾値温度未満になると、吸引制御部36が吸引装置26を停止させると共に、バルブ開閉制御部35が開閉バルブ23a,23bを閉とする。この後、有害物質分解装置10の主電源をオフとするといった手順で制御が実行される。
なお、電力制御部34、バルブ開閉制御部35及び吸引制御部36の各制御は、例えば、図示せぬ記憶手段に記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)がRAM(Random Access Memory)等のメインメモリに展開して、実行することで実現される。
<実施形態の動作>
次に、実施形態に係る有害物質分解装置10による有害液の熱分解処理の動作を、図4を参照して説明する。
但し、図4(a)に示す縦軸は下側フランジ14a内の液位を示し、横軸は時間を示す。その縦軸には、0レベルL0(有害液20が無い状態)、下限設定液位L1及び上限設定液位L2を示した。
図4(b)に示す縦軸は誘導加熱される球状導電性セラミックス16の温度を示し、横軸は時間を示す。その縦軸に、現在の周囲温度に応じた温度(周囲温度ともいう)Tm1、分解温度に対応する閾値温度Th1と、設定温度Th2を示した。
まず、操作者により図3に示す有害物質分解装置10の主電源(図示せず)が投入される。次に、温度設定部33において、操作者により球状導電性セラミックス16の必要な加熱温度(発熱温度)が、設定温度Th2として設定される。設定温度Th2として、球状導電性セラミックス16を最低限必要な分解温度(1350℃)以上とするための、例えば1500℃が設定されたとする。
次に、図4(a)に示す時刻t1において、操作者が、有害物質分解装置10の熱分解処理の開始ボタン(図示せず)をオンにしたとする。この際、液面センサ31bがタンク21内の0レベル超を検知している場合、バルブ開閉制御部35の制御により液体導入管22aの開閉バルブ23aが開とされる。その開によって、タンク21に貯留された有害液20が矢印Y1,Y2で示すように下側フランジ14a内へ流れ込んで溜まって行く。この様子を、図4(a)の時刻t1から右肩上がりの直線で示す。
なお、液体導入管22aの開閉バルブ23aの開を、図4(a)又は(b)に入バルブ(開)と記載し、閉を入バルブ(閉)と記載する。また、気体排出管22bの開閉バルブ23bの開を、出バルブ(開)、閉を出バルブ(閉)と記載する。
また、時刻t1において開始ボタンがオンにされると、交流電源29がオン{図4(b)に電源オンと記載}になって交流電源29からコイル15に高周波電流が供給される。この供給により、球状導電性セラミックス16が誘導加熱され、球状導電性セラミックス16の温度が現在の周囲温度Tm1から図4(b)に右肩上がりの直線で示すように上昇する。この球状導電性セラミックス16の温度は、温度センサ32で検出されてバルブ開閉制御部25、吸引制御部36及び電力制御部23へ出力される。この温度検出は、以降の処理で常時行われている。
球状導電性セラミックス16が誘導加熱されると、これよりも下方側の下側フランジ14a内に位置する球状導電性セラミックス16は、その誘導加熱で発熱した球状導電性セラミックス16からの熱伝導により加熱される。
誘導加熱により上昇する球状導電性セラミックス16の温度が、図4(b)に示す時刻t2において、閾値温度(1350℃)Th1以上になると、バルブ開閉制御部35の制御により気体排出管22bの開閉バルブ23bが開{出バルブ(開)}とされる。この時、吸引制御部26の制御によって吸引装置26が作動{図4(b)に吸引作動と記載}する。
この後、球状導電性セラミックス16の温度が更に上昇し、時刻t3において、設定温度Th2(1500℃)になると、これ以降は、電力制御部23によって、球状導電性セラミックス16の温度が設定温度Th2で略一定となるように制御される。この際、下側フランジ14a内に位置する球状導電性セラミックス16は、この上方に位置する誘導加熱されている球状導電性セラミックス16からの熱伝導により、有害液20を蒸発可能な温度以上に加熱される。
一方、下側フランジ14a内には、有害液20が時々刻々と溜まり液位が上昇している。この液位は、液面センサ31aにより検知され、バルブ開閉制御部25及び電力制御部23へ出力される。その液位が、図4(a)に示す時刻t4において、下限設定液位L1以上になり、この際、有害液20が球状導電性セラミックス16により加熱されて沸騰したとする。この沸騰により蒸発した気体には有害ガスが含まれ、有害ガスは、上方に位置する球状導電性セラミックス16に衝突又は接触する。この衝突又は接触により、有害ガスは分解温度(1350℃)を超える熱(設定温度Th2=1500℃)で無害に分解される。
分解ガスは、矢印Y4,Y4aで示すように、耐熱セラミックス管13の上端開口から上側フランジ14b内に排出され、更に、矢印Y5で示すように気体排出管22bへ取り込まれる。なお、有害液20を蒸発させた有害ガスを無害な分解ガスとすることを、図4(b)の時刻t4以降に、有害液⇒有害ガス⇒分解ガスと記載して示した。
液体排出管22bに取り込まれた分解ガスは、更に吸引装置26で吸引されながら、水スクラバ27へ流入され、分解ガス中に残留した有害成分が分離処理される。この分離処理された分解ガスは、活性炭フィルタ28に流入され、ここで、更に残留した臭気分子等の残留成分が活性炭に吸着除去される。この除去後の分解ガスが空気と共に、無害無臭のものとして気体排出管22bから排出(矢印Y6)される。この動作は、後述の処理において、タンク21内の有害液20が下側フランジ14a内に全て流れ込み、全て蒸発して分解されるまで継続する。
その後、図4(a)に示す時刻t5において、下側フランジ14a内の液位が上限設定液位L2を超えたとすると、バルブ開閉制御部25の制御により開状態の開閉バルブ23aが閉{入バルブ(閉)}とされる。これにより、タンク21からの有害液20が下側フランジ14a内に流れ込まなくなる。
この後、下側フランジ14a内の有害液20が蒸発して液位が下がり、時刻t6において、下限設定液位L1未満となったとすると、バルブ開閉制御部35の制御により、液体導入管22aの開閉バルブ23aが開{入バルブ(開)}とされる。これによって、タンク21から有害液20が下側フランジ14a内に流れ込む。これ以降、下側フランジ14a内の有害液20は、バルブ開閉制御部25の制御によって、下限設定液位L1と上限設定液位L2間のレベルに保持される。この間、上述した有害液20の沸騰、蒸発、蒸気中の有害ガスの分解が行われる。
その後、時刻t7において、下側フランジ14a内の液位が下限設定液位L1未満となったとすると、バルブ開閉制御部35の制御によって、液体導入管22aの開閉バルブ23aが開{入バルブ(開)}とされる。この後も、液位が下がり、例えばタンク21の液面センサ31bが0レベルを検知したとすると、図4には示さないが、バルブ開閉制御部35の制御により開閉バルブ23aが閉とされる。
その後、時刻t8において、下側フランジ14aの液面センサ31aが0レベルL0を検知すると、電力制御部23の制御により、交流電源29がオフ{図4(a)に電源オフと記載}とされる。これによって、球状導電性セラミックス16の誘導加熱が停止し、その温度が、図4(b)に時刻t8から右肩下がりの直線で示すように、時間経過に応じて低下する。
この温度低下により、時刻t9において、球状導電性セラミックス16の温度が閾値温度Th1未満となると、吸引制御部36の制御により吸引装置26が停止{図4(b)には吸引停止と記載}し、バルブ開閉制御部35の制御により各開閉バルブ23a,23bが閉{入バルブ(閉),出バルブ(閉)}となる。この後、有害物質分解装置10の主電源がオフとなり、時間経過後の時刻t10において、球状導電性セラミックス16の温度が周囲温度Tm1に低下する。
また、有害物質分解装置10の熱分解処理中に、何らかの原因により球状導電性セラミックス16の温度が、設定温度Th2よりも所定温度以上高い温度となった場合、電力制御部34の制御により交流電源29がオフとされる。この際、図示せぬ警報ブザーや警報ランプを作動させて球状導電性セラミックス16の温度異常を知らせるようにしてもよい。
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態に係る有害物質分解装置10は、コイル12と、蒸発手段及び熱分解手段を有する蒸発熱分解装置11と、導入手段と、排出手段とを備える構成とした。
コイル12は、交流電源19から高周波電流が供給される。
蒸発熱分解装置11は、コイル12の近傍に配置され、当該コイル12への高周波電流の供給時に誘導加熱されて発熱する熱分解手段としての球状導電性セラミックス16と、当該球状導電性セラミックス16が内部に上下に積重なって格納され、この格納された下方側の蒸発手段としての球状導電性セラミックス16が、液体状有害物質としての有害液20に浸かる状態となる筐体とにより構成される。
筐体は、外側の筒状の石英ガラス管12内に、筒状の耐熱セラミックス管13を所定間隔離間して上下に突出る状態で挿通し、この下と上に、箱状の下側フランジ14a及び上側フランジ14bを嵌合して成る。耐熱セラミックス管13及び下側フランジ14a内に球状導電性セラミックス16が複数格納されている。
導入手段は、筐体内に液体状有害物質としての有害液20を導入するものであり、有害液20を貯留するタンク21と、タンク21から有害液20を筐体の一部である下側フランジ14a内に導入する液体導入管22aとを備えて構成される。
排出手段は、筐体の一部である上側フランジ14bから、熱分解手段で分解されたガスを排出する気体排出管22b及び吸引装置16を備えて構成される。
この構成によれば、コイル12の高周波電流による誘導加熱で球状導電性セラミックス16(熱分解手段)が発熱し、この発熱した球状導電性セラミックス16(熱分解手段)からの熱伝導により、下方側の下側フランジ14a内に格納された球状導電性セラミックス16(蒸発手段)が、有害液20を蒸発可能な温度以上に加熱される。この際、タンク21から液体導入管22aを介して下側フランジ14a内に有害液20が導入されると、下方側の球状導電性セラミックス16(蒸発手段)が有害液20に浸かるので、有害液20が加熱されて沸騰し、蒸発する。この蒸気中の有害ガスは、上方に流れるので、上方の発熱する球状導電性セラミックス16(熱分解手段)に衝突又は接触する。この衝突又は接触時に有害ガスが無害に分解され、この分解ガスが更に上方へ抜け、吸引装置16の吸引により気体排出管22bから排出される。
つまり、タンク21から有害液20を連続的に蒸発熱分解装置11の下側フランジ14a内に導入しながら、球状導電性セラミックス16(蒸発手段)の熱で沸騰させて蒸発させ、この蒸気中の有害ガスを、更に、誘導加熱される球状導電性セラミックス16(熱分解手段)で熱分解して分解ガスとすることができる。従って、大量の液体状有害物質を無害なガスに分解処理することができる。
その他、吸引装置26に、真空ポンプ(減圧手段)を用い、耐熱セラミックス管13及び石英ガラス管12の内部を減圧してもよい。但し、この場合、石英ガラス管12及び耐熱セラミックス管13の上端側の間の空間が、上側フランジ14bの内部空間に連通する状態とし、更に、石英ガラス管12及び耐熱セラミックス管13と、下側フランジ14a及び上側フランジ14bとの組合せ部分を外部と遮蔽された気密構造とする必要がある。
このような構造によって、耐熱セラミックス管13及び石英ガラス管12の内部を減圧することにより、有害ガスの分子が分解され易くなり、有害ガスの分解時間を短くすることができる。また、耐熱セラミックス管13及び石英ガラス管12の内部を減圧することで、下側フランジ14a内も減圧されるので、1気圧において600℃強のPCB油の蒸発温度を、600℃強よりも低くすることができる。
上述の気密構造において、減圧手段として、ブロワや、真空ポンプ以外の標準ポンプ等を適用しても、通常気圧よりも減圧は可能である。
<その他の例>
図5は、本実施形態のその他の例に係る有害物質分解装置の構成を示す図である。
図5に示す有害物質分解装置10Aが、図2に示した有害物質分解装置10と異なる点は、耐熱セラミックス管13内に縦方向(上下方向)に棒状導電性セラミックス41を配設したことにある。なお、棒状導電性セラミックス41により、請求項記載の棒状部材が形成されている。
棒状導電性セラミックス41は、耐熱セラミックス管13に格納された複数の球状導電性セラミックス16の間を上下方向に挿通され、棒状の下端が下側フランジ14aの底面に当接する状態に配設されている。棒状導電性セラミックス41の挿通位置は、耐熱セラミックス管13の中心軸に沿った位置とするのが好ましい。
棒状導電性セラミックス41は、コイル15に囲まれた部位(上側部位)が、コイル15への高周波電流の供給時に誘導加熱されて発熱し、この熱が棒状導電性セラミックス41の下側部位へ伝導する。これと共に、前述した球状導電性セラミックス16の誘導加熱による発熱も棒状導電性セラミックス41の上側部位へ伝導され、この伝導熱も同時に下側部位へ伝導する。このように下側部位へ伝導された熱は、下側フランジ14aの内部に位置する下側の球状導電性セラミックス16へ伝導される。
このため、下側の球状導電性セラミックス16には、上側の誘導加熱される球状導電性セラミックス16からの熱伝導と、棒状導電性セラミックス41からの熱伝導との双方で熱伝導が行われ、より多くの熱が伝導されて短時間に所定温度まで加熱されることになる。
また、下側の球状導電性セラミックス16の熱で蒸発した有害ガスが、棒状導電性セラミックス41に沿った隙間に集中して上昇するので、その分、短時間で多くの有害ガスを上昇させて分解処理することができる。
なお、棒状導電性セラミックス41の形状は、円柱や多角柱等の直線状の他に、波状や螺旋状としてもよい。
この他、耐熱セラミックス管13内の球状導電性セラミックス16に代え、タングステン等の耐熱性のあるブロック状の金属を用いてもよい。但し、その金属のブロック状とは、前述した導電性セラミックスのブロック状の各種の形状と同じである。
そのブロック状の金属は、請求項記載の金属製のブロック状部材を構成する。ここで、蒸発手段のブロック状部材を構成する金属を第1金属とし、熱分解手段のブロック状部材を構成する金属を第2金属とする。
第1及び第2金属は、タングステン等の伝導性及び熱伝導性や耐熱性を有する同じ金属であっても、異なる特性を有する金属であってもよい。即ち、蒸発手段と熱分解手段において異なる金属を用いる場合、第1金属は、下側フランジ14a内に格納されるものなので、熱伝導性があるが、誘導加熱が行われ難く且つ耐熱性のある銅やアルミナ等の金属を用いる。また、第2金属は、コイル15の内周側に配置されるので、熱伝導性があって誘導加熱が行われ易く且つ耐熱性のあるタングステン等の金属を用いる。
但し、第1及び第2金属を用いる場合、酸化防止のため、耐熱セラミックス管13、下側フランジ14a及び上側フランジ14bによる筐体内を無酸素状態にする必要がある。これは、下側フランジ14a側の開閉バルブ23aと、上側フランジ14b側の開閉バルブ23bとの開閉制御によって次のように実現される。
即ち、タンク21から下側フランジ14aへ有害液20が導入(矢印Y2)され、有害液20が蒸発されて有害ガスが上側フランジ14bから排出(矢印Y5)されている場合を想定する。この場合、筐体内には下層から上層へ向かって順に、有害液20、有害ガス、並びに分解ガスが存在するので、無酸素状態となっている。その後、タンク21の有害液20が無くなると、開閉バルブ23aが閉とされるので、タンク21から下側フランジ14aへの空気中の酸素の流入を防ぐことができる。
更に、下側フランジ14a内から有害液20が無くなって、交流電源29が停止されることにより、誘導加熱対象の球状導電性セラミックス16が分解温度未満となると開閉バルブ23bが閉とされる。この閉の直前まで、耐熱セラミックス管13及び上側フランジ14b内では有害ガスが分解されて分解ガスが生成されている。このため、空気が矢印Y5の逆方向から筐体内に流入(逆流)することはなく、この状態で開閉バルブ23bが閉とされるので、筐体内は無酸素状態に保持される。
また、蒸発手段及び熱分解手段をブロック状の金属(ブロック状部材)で実現した構成の場合、耐熱セラミックス管13内に、上述した棒状導電性セラミックス41に代え、棒状金属(棒状部材)を配設してもよい。この棒状金属は、誘導加熱が行われ易く且つ耐熱性のあるタングステン等の金属であることが好ましい。また、棒状金属は、コイル15に囲まれる上側部位のみを、誘導加熱が行われ易く且つ耐熱性のある金属とし、下側部位を誘導加熱が行われ難く且つ耐熱性のある金属としてもよい。
また、耐熱セラミックス管13を、導電性セラミックスで形成してもよい。但し、この場合、コイル15の内周部位には、複数の貫通穴を開けて、内部の球状導電性セラミックス16又は金属を誘導加熱可能としなければならない。
この構成の場合、下側フランジ14a内の有害液20の蒸発及び有害ガスの分解を、より効率的に素早く行うことができる。
この他、外側の石英ガラス管12、下側フランジ14a及び上側フランジ14bで囲まれる筐体部分を無酸素状態とすれば、耐熱セラミックス管13を導電性セラミックス以外の金属で形成してもよい。この金属は、誘導加熱可能で耐熱性があり、更にコイル15の内周部位に複数の貫通穴が形成されている必要がある。
その他、以上説明した実施形態においては、具体的な構成について、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
10 有害物質分解装置
11 蒸発熱分解装置
12 石英ガラス管
13 耐熱セラミックス管
14a 下側フランジ
14b 上側フランジ
15 誘導加熱コイル
16 球状導電性セラミックス
20 有害液
21 タンク
22a 液体導入管
22b 気体排出管
23a,23b 開閉バルブ
26 吸引装置
27 水スクラバ
28 活性炭フィルタ
29 交流電源
31a,31b 液面センサ
32 温度センサ
33 温度設定部
34 電力制御部
35 バルブ開閉制御部
36 吸引制御部
41 棒状導電性セラミックス

Claims (5)

  1. 体状有害物質を加熱して、有害ガスとして蒸発させる蒸発手段と、
    電源から高周波電流が供給されるコイルと、
    前記コイルへの高周波電流の供給時に誘導加熱されて発熱し、この発熱により前記有害ガスを分解する熱分解手段と、
    前記蒸発手段と前記熱分解手段とを上下に接触するように連続してこの順番に収容する筐体と、
    前記筐体内に前記液体状有害物質を導入し、前記蒸発手段を当該液体状有害物質に浸す導入手段と、
    前記熱分解手段で分解されたガスを前記筐体から排出する排出手段と、
    を備え、
    前記熱分解手段は、導電性を有する複数のブロック状部材であり、
    前記蒸発手段は、熱伝導性を有する複数のブロック状部材であり、
    前記ブロック状部材同士の間に気体が通る隙間が形成されるように、前記蒸発手段を構成するブロック状部材の上側に、前記熱分解手段を構成するブロック状部材が配置されており、
    前記蒸発手段は、前記発熱する熱分解手段からの熱伝導により、前記液体状有害物質を蒸発させる温度以上に加熱されることを特徴とする有害物質分解装置。
  2. 前記熱分解手段を構成する前記ブロック状部材は、前記コイルへの高周波電流の供給時に誘導加熱されて発熱する導電性セラミックスであり、
    前記蒸発手段を構成する前記ブロック状部材は、導電性が無く且つ熱伝導性を有するセラミックス又は前記導電性セラミックスである
    ことを特徴とする請求項に記載の有害物質分解装置。
  3. 前記ブロック状部材は金属製であり、当該金属製のブロック状部材が収容される筐体内は、略無酸素状態とされる
    ことを特徴とする請求項に記載の有害物質分解装置。
  4. 前記蒸発手段及び前記熱分解手段を構成する前記ブロック状部材同士の間を上下方向に挿通して配設され、導電性及び熱伝導性の少なくとも何れか一方を有する棒状部材
    を更に備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の有害物質分解装置。
  5. 前記筐体内を減圧する減圧手段
    を更に備えることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の有害物質分解装置。
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