JP5314576B2 - Pcb無害化処理システム及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、PCBを含むPCB廃棄物を無害化するための処理技術に関する。
人体に有害なPCB(ポリ塩化ビフェニル)は、加熱や冷却用の熱媒体、変圧器やコンデンサといった電気機器の絶縁油、可塑剤、塗料、ノンカーボン紙の溶剤など、非常に幅広い分野に用いられていた。これらの廃棄物(PCB廃棄物)は、PCBを分解除去するなどして、無害化してから廃棄せねばならないことから、従来、PCB廃棄物を無害化するための様々な処理方式が提案されている。なお、PCB廃棄物には、廃PCB等(液状PCB廃棄物)とPCB汚染物(固形状PCB廃棄物)とがある。
上記のようなPCB廃棄物の無害化処理方法の一つとして、PCB汚染物を無害化する溶融分解処理方式が知られている。溶融分解処理方式は、PCB汚染物を1100℃以上の高温に加熱してPCB汚染物に含まれているPCBを分解し、PCBが分解して生じたガスを冷却し更に化学反応でHCl,SOx,NOxなどを除去することにより、無害化するものである。しかし、従来提案されているようなPCB廃棄物の無害化処理方法には、幾つもの課題が残されている。
課題の一つとして、上述の溶融分解処理方式をはじめ、通常のPCB廃棄物処理では、本処理の前にPCB廃棄物に対する処理準備工程が必要となることが挙げられる。処理準備工程では、PCB廃棄物を液体,金属,紙,プラスチック,汚泥等に分類する仕分け作業や、本処理での処理を容易なものとするためにPCB汚染物を切断や破砕することによって分割する解体作業や、所定容器へPCB廃棄物を詰め替える詰め替え作業などが行われる。例えば、PCB廃棄物のうち変圧器やコンデンサは、仕分け作業ののち、中身の廃PCB等は筐体から抜き取って吸着材とともに密閉容器に封入し、PCB汚染物である筐体は必要に応じて細分化して密閉容器に封入する処理準備が必要である。また、その他の安定器などのPCB汚染物は、仕分け作業ののち、必要に応じて細分化し、密閉容器に封入する処理準備が必要である。この処理準備工程に関して、PCBが周囲に漏洩したり付着したりして二次汚染及び二次汚染物を発生させること、PCB廃棄物に応じた処置を個別に行う必要があること、経済的に高価になること、などの問題が生じている。
また、課題の一つとして、PCB廃棄物処理に必要なコストが嵩むことが挙げられる。例えば、溶融分解処理方式では、金属容器などを含めてPCB汚染物ごと加熱することが行われており、処理炉内は、金属(例えば、融点が1535℃の鉄)が溶解する1500℃程度の温度に加熱され維持される。これは、PCBが分解するために必要とされている1100℃より遙かに高温であり、このため、処理炉として1500℃に耐えうる設備が必要となりこの温度に昇温するためのエネルギーを要するため、設備処理炉のイニシャルコストとランニングコストとが余計に必要となる。また、近年、PCBを使用していないはずの電気機器の中にも、数〜数十mg/kg程度のPCBで汚染された絶縁油を含むものがあることがわかり、特に、このような「微量PCB廃棄物」の処理の場合には、従来よりも安価で適切な処理法が有望視されている。
このようなPCB廃棄物処理に関する課題に対し、処理準備工程に係る作業を一部省略することによってPCB廃棄物処理に係るコストを削減しようとする発明が、特許文献1,2などで公開されている。
特許文献1では、コンデンサや安定器等の電気機器からPCBを抜き出すための部品分解や減圧蒸留、溶媒抽出等の抜き出しの工程を省くことを目的としたPCBを無害化する方法が提案されている。このPCBを無害化する方法では、PCBを含むコンデンサ,安定器,トランス,感熱紙等をアルカリ化合物及び発熱促進物とともに高周波誘導加熱炉に入れ、無酸素雰囲気で1500℃程度に加熱し、無害化する。この方法によれば、被処理物の金属部分は誘導加熱により一瞬のうちに1500℃以上の高温となって溶融する。
また、特許文献2では、照明用蛍光灯のコンデンサ等の内部にPCBを含む小型機器中のPCBを気化してその容器から抜き出し、さらに気化したPCBを加熱処分して無害化するPCB含有小型機器の処理装置が提案されている。この処理装置は、内部にPCBを密封している多数の小型機器を搬送する搬送手段と、搬送手段に搬送される小型機器の容器に抜き穴を形成する穿穴手段と、搬送手段によって搬送され抜き穴が形成された小型機器を600〜1300℃で加熱して含まれるPCBをガス化する予熱炉と、ガス化したPCBを1500±50℃で高温処理して分解する加熱炉と、加熱炉からの高温排ガスを冷却する冷却手段とを有する。予熱炉で加熱する際に、コンデンサに抜き穴を設けていない場合には、コンデンサの内部の圧力が上昇し、コンデンサが爆発して事故に繋がるおそれがあるので、穿穴手段でコンデンサに抜き穴を設けてこれを防止している。
特開2004−34015号公報 特開2002−361199号公報
特許文献1,2に記載された技術によれば、本処理の前の処理準備工程に関する作業を一部省略することによってPCB廃棄物処理に係るコストを削減できるものの、溶融分解処理方式と同様に金属が溶融する1500℃程度の高温で加熱したり副資材を必要としたりするため、前述したような処理に関する課題は残されている。
また、従来提案されているPCB廃棄物処理方法では、連続的に処理を行うことができないことから、1バッチごとに処理炉の冷却と加熱との時間を要し、処理量が少なく経済的ではない。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであって、PCB廃棄物の分離や解体などの仕分け作業に係る処理準備工程を省略し、廃PCB等の処理に必要とされている吸着材等の副資材の使用を省き、溶融分解処理方式と比較して低温での加熱処理を行うことによって省エネルギー及び設備の耐熱温度の低下の実現を図る、PCB廃棄物の無害化処理システム及び方法を提供することを目的とする。
本発明に係るPCB無害化処理システムは、PCB廃棄物を常温から250〜349℃の範囲に属する第一の温度まで昇温する第一の温度帯と、前記第一の温度から350〜450℃の範囲に属する第二の温度まで昇温する第二の温度帯と、前記第二の温度から前記PCB廃棄物が分解する所定の分解温度まで昇温する第三の温度帯との、温度条件によって分けられた各温度帯が入口から出口までの間に設けられており、前記各温度帯に応じた加熱を行う加熱手段と、前記入口から前記出口まで耐熱トレイに載置された前記PCB廃棄物を搬送する搬送手段とを有する分解処理室と、前記分解処理室の前記各温度帯で前記PCB廃棄物の温度を測定する温度測定手段と、前記分解処理室の前記出口の近傍に接続された排気ダクトと、前記排気ダクトを通じて前記分解処理室を強制排気することにより前記分解処理室を減圧雰囲気とする減圧手段とを、備えているものである。
上記構成のPCB無害化処理システムによれば、PCB廃棄物を常温から約300℃の第一の温度まで昇温するために要する時間の制御が容易となる。これにより、PCB廃棄物を、分離や解体などの仕分け作業、鉄やその他の含有物溶融時に必要なカレット等の副資材との封入作業、廃PCB等を吸着材に吸着させる作業などの処理準備工程を省いて、そのまま耐熱トレイに載置して処理に供しても、破裂や炉内の急激な内圧の変化を避けるように調整することができる。また、従来の溶融分解処理方式と比較して低温でPCB廃棄物を加熱するので、処理炉の省エネルギー運転及び処理炉の耐熱温度の低下によって、設備のイニシャルコストとランニングコストの削減を図ることができる。さらに、処理炉の冷却を待たずにPCB廃棄物を次々と処理することができるので処理能力が高まり、さらに、処理炉の昇温冷却に伴う熱疲労を低減することができるので、処理コストの削減に寄与することができる。
前記PCB無害化処理システムにおいて、前記分解処理室は、前記PCB廃棄物が5〜15℃/minの割合で昇温されながら前記第一の温度帯を通過するように構成されていることがよい。これにより、PCB廃棄物をそのまま耐熱トレイに載置して処理に供しても、破裂や炉内の急激な内圧の変化を避けることができる。
また、前記PCB無害化処理システムにおいて、前記分解処理室は、前記PCB廃棄物が、15〜20℃/minの割合で前記第一の温度から前記第二の温度まで昇温されながら前記第二の温度帯を通過するように構成されていることがよい。一般に、第一の温度から第二の温度までの間では分解されたPCBやダイオキシンが再合成されることがわかっており、本発明に係るPCB無害化処理システムにおいては第一の温度帯でPCBは気化するが分解されないので分解されたPCBは存在しないが、万が一、第一の温度帯及び第二の温度帯に分解されたPCBが存在したときにPCBの再合成を抑制することができる。
前記PCB無害化処理システムにおいて、前記所定の分解温度は1100℃である。或いは、前記所定の分解温度は850℃としてもよい。このように、PCB廃棄物は、従来の溶融分解処理方式と比較して低温で加熱されることとなる。
また、前記PCB無害化処理システムにおいて、前記分解処理室は、前記PCB廃棄物を常温から前記第一の温度まで昇温する低温側処理室と、前記第一の温度から前記所定の分解温度まで昇温する高温側処理室とに空間を物理的に分割可能に構成されていてもよい。これにより、第一の温度帯での温度制御がより容易となり、また、低温のガスが排気ダストを通じて排出されることを防止できる。
さらに、本発明に係るPCB無害化処理システムは、前記分解処理室の前段に設けられて前記PCB廃棄物を外部より受け取り前記分解処理室へ搬入する前室と、前記分解処理室の後段に設けられて処理後の前記PCB廃棄物を前記分解処理室より受け取り外部へ搬出する後室とのうち、いずれか一方若しくは両方を備えていることがよい。これにより、分解処理室から外部へのガスの漏出を防止することができ、また、連続的にPCB廃棄物を処理することが可能となる。
前記PCB無害化処理システムにおいて、前記分解処理室は、ウォーキングビーム炉内に形成することができる。これにより、既存の技術を利用することができ、さらに、PCB廃棄物は炉内壁と非接触であるので炉体の維持やメンテナンスが容易となる。
前記PCB無害化処理システムにおいて、前記排気ダクトは、分解処理室から排出された排ガスを冷却する減温塔と、前記排ガスから塵を除去するバグフィルタと、前記排ガスから塩素を除去するガス洗浄装置と、前記減圧手段と、前記排ガスから未分解のPCBを除去する活性炭フィルタとを備えた一連の排ガス処理部に接続されていることがよい。これにより、分解処理室からの排ガスを効果的に無害化して大気へ放出することができる。
前記PCB無害化処理システムにおいて、前記排ガス処理部は、前記減温塔よりも上流側に前記所定の分解温度で前記排ガスを所定時間だけ滞留させる熱滞留室を備えていることがよい。これにより、PCBの分解をより確実に行うことができる。
また、本発明に係るPCB廃棄物無害化処理方法は、PCB廃棄物を常温から250〜349℃の範囲に属する第一の温度まで昇温する第一の温度帯と、前記第一の温度から350〜450℃の範囲に属する第二の温度まで昇温する第二の温度帯と、前記第二の温度から前記PCB廃棄物が分解する所定の分解温度まで昇温する第三の温度帯との、温度条件によって分けた各温度帯が入口から出口までの間に設けられており、耐熱トレイに載置された前記PCB廃棄物を前記入口から前記出口まで搬送しつつ、前記各温度帯に応じて減圧雰囲気で加熱を行う連続炉を用いて、
前記第一の温度帯で、前記PCB廃棄物を常温から5〜15℃/minの割合で前記第一の温度まで昇温するステップと、
前記第二の温度帯で、前記PCB廃棄物を、15〜20℃/minの割合で前記第一の温度から前記第二の温度まで昇温するステップと、
前記第三の温度帯で、前記PCB廃棄物を、前記第二の温度から前記所定の分解温度まで昇温し、その温度で所定の必要分解時間以上維持するステップと、を行うものである。
上記PCB廃棄物無害化処理方法によれば、PCB廃棄物を常温から約300℃の第一の温度に昇温するために要する時間を制御して、PCB廃棄物をそのまま耐熱トレイに載置して処理に供しても、破裂や炉内の急激な内圧の変化を避けることができる。よって、分離や解体などの仕分け作業、鉄やその他の含有物溶融時に必要なカレット等の副資材との封入作業、廃PCB等を吸着材に吸着させる作業などの処理準備工程を省くことができる。また、従来の溶融分解処理方式と比較して低温でPCB廃棄物を加熱するので、処理炉の省エネルギー運転及び処理炉の耐熱温度の低下によって、設備のイニシャルコストとランニングコストの削減を図ることができる。さらに、処理炉の冷却を待たずにPCB廃棄物を次々と処理することができるので処理能力が高まり、さらに、処理炉の昇温冷却に伴う熱疲労を低減することができるので、処理コストの削減に寄与することができる。
前記PCB廃棄物無害化処理方法において、前記所定の分解温度は1100℃とすることがよい。或いは、前記所定の分解温度は850℃としてもよい。このように、PCB廃棄物は、従来の溶融分解処理方式と比較して低温で加熱されることとなる。
本発明によれば、PCB廃棄物を常温から約300℃の第一の温度に昇温するために要する時間の制御が容易となる。これにより、PCB廃棄物を、そのまま耐熱トレイに載置して処理に供しても、破裂や炉内の急激な内圧の変化を避けるように調整することができる。また、従来の溶融分解処理方式と比較して低温でPCB廃棄物を加熱するので、処理炉の省エネルギー運転及び処理炉の耐熱温度の低下を実現することができる。さらに、処理炉の冷却を待たずにPCB廃棄物を次々と処理することができるので、処理能力が高まり、また、処理炉の昇温冷却に伴う熱疲労を低減することができる。
本発明の実施の形態1に係るPCB無害化処理システムの全体的な構成を示した概略図である。 PCB分解処理部の構成を示した概略図である。 排ガス処理部の構成を示した概略図である。 PCB無害化処理システムの制御構成を説明するブロック図である。 本発明の実施の形態2に係るPCB無害化処理システムのPCB分解処理部の構成を示した概略図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複説明を省略する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係るPCB無害化処理システム1について、図1を参照しながら説明する。なお、PCB無害化処理システム1では、廃PCB等及びPCB汚染物をともに取り扱い可能であり、これらを総称してPCB廃棄物と呼ぶこととする。
PCB無害化処理システム1は、PCBを加熱分解するPCB分解処理部2と、PCB分解処理部2から排出された排ガスを無害化して大気放出する排ガス処理部3とを備えている。以下に、PCB無害化処理システム1の各処理部2,3の構造について詳細に説明する。
(PCB分解処理部2)
図2に示すように、PCB無害化処理システム1のPCB分解処理部2は、連続して配置された前室20、処理炉内に構成された分解処理室21、及び後室22により構成されている。前室20の入口、前室20の出口と分解処理室21の入口との間、分解処理室21の出口と後室22の入口との間、及び後室22の出口には、それぞれにシールゲート23,24,25,26が設けられている。これらのシールゲート23,24,25,26によって、前室20、分解処理室21、及び後室22の室内は密閉可能となっている。
前室20は、外部よりPCB廃棄物を受け取り分解処理室21へ搬入するための空間である。前室20は、前述の通り入口と出口とにそれぞれシールゲート23,24が設けられており、その内部には、前室20に搬入されてきたPCB廃棄物を受け取って分解処理室21へ送り出す搬送手段であるコンベヤ31が設けられている。コンベヤ31には、このコンベア31上を移動するPCB廃棄物を秤量する秤量装置43が備えられている。この秤量装置43で得られたPCB廃棄物の重量情報は、後述する制御装置60へ伝達される。
分解処理室21は、前室20から搬入されたPCB廃棄物を加熱してPCBを分解除去し、後室22へ搬出するための空間である。分解処理室21は、PCB廃棄物(特に廃PCB等)の気化により急速な炉内圧の変動が発生しないように、十分な容積が備えられている。分解処理室21の内部には、前室20より搬入されたPCB廃棄物を受け取って入口から出口まで後室22側へ搬送する搬送手段であるコンベヤ33と、コンベヤ33で搬送されるPCB廃棄物を加熱する加熱手段である加熱装置34とが設けられている。
分解処理室21は、いわゆる、連続式加熱処理炉(連続炉)30の炉内に構成されており、分解処理室21内のPCB廃棄物は、コンベヤ33により自動で連続的に入口から出口まで搬送されるうちに、加熱装置34により加熱されて常温から所定の分解温度まで徐々に昇温する。なお、処理炉30として、例えば、連続炉の一種であるウォーキングビーム炉を採用することができる。ウォーキングビーム炉の加熱方式は、例えば、還元雰囲気で容易に利用できる電気抵抗加熱方式を採用して、発熱体としては例えばカンタル線などの金属発熱体を用いることができる。このようにウォーキングビーム炉内に分解処理室21を形成することにより、既存の技術を利用することができ、さらに、PCB廃棄物は炉内壁と非接触であるので炉体の維持やメンテナンスが容易となる。
分解処理室21内は、PCB廃棄物を常温から約300℃の第一の温度まで昇温する第一の温度帯と、この第一の温度から約400℃の第二の温度まで昇温する第二の温度帯と、この第二の温度から前記PCB廃棄物が分解する所定の分解温度まで昇温する第三の温度帯との、温度条件によって分けられた各温度帯が入口から出口までの間に設けられている。上記において、前記「約300℃の第一の温度」とは、250℃から349℃の範囲に属する300℃及びその近傍の温度をいい、前記「約400℃の第二の温度」とは、350℃から450℃の範囲に属する400℃及びその近傍の温度をいい、前記「所定の分解温度」とは、PCBが分解するとされている1050℃から1150℃の範囲に属する1100℃及びその近傍の温度をいう。但し、PCBの分解には850℃でよいとする説もあり、この場合、所定の分解温度を850℃とすることができる。所定の分解温度をより低い温度で設定できれば、処理に必要な熱エネルギーを削減し、さらに、処理炉30の耐熱設計温度を低下させることができるので、処理炉30に関するイニシャルコストダウン及びランニングコストダウンの観点から望ましい。
なお、これらの温度帯は更に細分化することもできる。本実施の形態においては、分解処理室21の入口から出口までの間に、第一の温度帯として常温帯、第二の温度帯として300℃帯、第三の温度帯として400℃帯,800℃帯,1100℃帯の各温度帯が設けられている。そして、PCB廃棄物が各温度帯に入ったときに各温度帯に対応する温度となっているように、加熱装置34では、各温度帯に応じた加熱を行うべく発熱体の能力や各温度帯の領域が設定されている。
さらに、分解処理室21のコンベヤ33の搬送速度及び長さは、PCB廃棄物が各温度帯に入ったときに各温度帯に対応する温度となり、且つ、PCB廃棄物の炉内滞留時間が所定時間となるように決定されている。なお、PCB廃棄物の炉内総滞留時間は、好ましくは、およそ1時間程度である。
そして、コンベヤ33によって搬送されるPCB廃棄物は、常温帯から300℃帯に入るまでの領域を比較的時間をかけてゆっくりと通過し、300℃帯から400℃帯に入るまでの領域を比較的急速に通過し、1100℃帯で空気との反応でPCB類を二酸化炭素と塩化水素を含む物質に確実に分解できる必要分解時間(2〜3秒)以上長く滞留するように、各温度帯の領域(搬送距離)、コンベヤ33の搬送速度、加熱装置34の能力、又はこれらの組み合わせが設定される。具体的には、常温体から300℃帯に入るまでの領域はPCB廃棄物がそれに含まれるPCBの気化により破裂しないように5〜15℃/minの割合で昇温し、300℃帯から400℃帯に入るまでの領域は加熱装置34の能力やPCB廃棄物の重量にもよるが15〜25℃/minの割合でPCB廃棄物を昇温することが望ましい。なお、コンベヤ33の搬送速度は、定速であっても、変速であってもかまわない。定速の場合は各温度帯の領域に変化を設けることにより各温度帯の通過時間を設定することができ、変速の場合は各温度帯の領域が略一定であっても各温度帯に応じて搬送速度に変化を設けることによって各温度帯の通過時間を設定することができる。
分解処理室21の各温度帯の領域に入るPCB廃棄物が、各温度帯に対応する所定の温度に達していることを確認するために、処理炉30は各温度帯に対して温度計35を備えている。温度計35として、例えば、放射温度計を用いることができる。
そして、分解処理室21の1100℃帯であって出口の近傍には、排ガス処理部3へガスを排出する排気ダクト38が接続されている。排ガス処理部3は、減圧手段として後述するIDファン50を備えており、このIDファン50によって排気ダクト38を通じて分解処理室21内が強制排気されることにより、分解処理室21内は減圧雰囲気となっている。さらに、分解処理室21内は、窒素置換などの従来の手法により還元雰囲気となっている。また、PCBの分解を助けるために、分解処理室21内の400℃帯の領域へ微量の酸素及び水蒸気を供給する補助剤供給装置36が処理炉30に設けられている。なお、補助剤供給装置36により分解処理室21内に酸素が供給されるが、この酸素は微量であって分解処理室21内の還元雰囲気は維持される。
後室22は、分解処理室21から搬出されたPCBが分解された後のPCB廃棄物(処理物)を受け取り外部へ搬出するための空間である。後室22は、前述の通り入口と出口とにそれぞれシールゲート25,26が設けられており、その内部には、分解処理室21から搬出された処理物を受け取って外部へ搬出する搬送手段であるコンベヤ32が設けられている。このように分解処理室21の前段に前室20を、後段に後室22をそれぞれ設けることにより、分解処理室21へのPCB廃棄物搬入時及び処理物搬出時に外部環境へのガスが漏出することを防止している。また、分解処理室21の前後に前室20及び後室22をそれぞれ配置することにより、分解処理室21を構成する処理炉の冷却と昇温を待たずに連続的にPCB廃棄物を処理することが可能となる。
(排ガス処理部3)
次に、排ガス処理部3について説明する。図3に示すように、排ガス処理部3は、熱滞留室45と、減温塔46と、バグフィルタ47と、ガス洗浄装置48と、IDファン50と、活性炭フィルタ51とを備え、これらはこの順番で配管により接続されている。活性炭フィルタ51の排気口には排ガスを大気へ放出するガス排出ダクト53が接続されている。
熱滞留室45は、PCB分解処理部2の分解処理室21でガス化されて排出された排ガスを、所定の分解温度(1100℃)で2秒間以上保持することによって、万が一、分解処理室21からの排ガスにPCBが残留していた場合にPCBを分解できるようにするためのものである。従って、この熱滞留室45は、排ガス処理部3から省くこともできるが、安全を期すために設けることが望ましい。なお、分解処理室21から排出された排ガスの温度が低い場合に排ガスを加熱して所定の分解温度まで昇温できるように、熱滞留室45に加熱手段を備えることができる。
減温塔46は、熱滞留室45から排出された高温の排ガスを、200℃以下に急冷して排出するものである。減温塔46には、一般に、気水冷却方式が採用される。減温塔46で、排ガスを急速冷却することにより、冷却過程におけるPCB及びダイオキシン類の再合成を防止できるようにしている。
バグフィルタ47は、減温塔46から排出された排ガス中のダストや粉塵などを除去するものである。バグフィルタ47の濾布に付着し捕集されたダストや粉塵などは、入側と出側の圧力差を検知して必要時に又は定期的に、メンテナンスにより除去され、除去されたダストや粉塵などは、分析を行って安全が確認された後、産業廃棄物として処分される。
ガス洗浄装置48は、バグフィルタ47を通過した排ガス中の塩素を化学反応により除去するものである。ガス洗浄装置48では、一般に、排ガスに対して苛性ソーダ等を吹き付けて排ガスを中和させる処理が行われ、これにより排ガスが無害化される。
IDファン50は、分解処理室21から排ガス処理部3のIDファン50までの空間に存在する気体を強制排気するものである。これにより、前記空間の圧力が負圧に維持されて、PCB分解処理部2及び排ガス処理部3で処理されるPCB廃棄物40から気化した物の、外部への漏洩が防止される。
活性炭フィルタ51は、排ガス処理部3での排ガス処理の最後の工程に設置されている。活性炭フィルタ51では、PCBやダイオキシン類を吸着できる活性炭を備えて、万が一、IDファン50から排出された排ガスにPCBやダイオキシン類が含まれている場合に、排ガスからこれらを吸着除去して、PCBやダイオキシン類が除去された排ガスをガス排出ダクト53を通じて大気へ放出できるようにしている。なお、ガス排出ダクト53には、大気へ放出されるガスのPCB濃度を分析するためのガス分析計52が設けられており、このガス分析計52の検出値をモニタ装置で監視することにより大気へ放出されるガスのPCB濃度を監視している。
(制御装置60)
続いて、主にPCB分解処理部2の動作を制御する制御手段である制御装置60について、図4を用いて説明する。制御装置60は、図示しないCPUと、ROMと、RAMとを備えている。ROMには、PCB分解処理部2が少なくとも本実施の形態において説明するPCB廃棄物無害化処理を実行するのに必要なプログラム及びデータが記録されている。そして、制御装置60には、各シールゲート23,24,25,26の駆動手段と、各コンベヤ31,33,32の駆動手段と、加熱装置34と、補助剤供給装置36と、秤量装置43と、IDファン50等とが、それぞれ制御可能に接続されている。また、制御装置60には、各温度計35の測定値を監視するモニタ装置と、ガス分析計52の検出値を監視するモニタ装置が接続されている。上記構成において、制御装置60のCPUが、ROMに記録されたデータやRAMに記録された情報を参照しつつ、ROMに記録された所定のプログラムを実行することにより、制御装置60は、温度計35で測定される分解処理室21内の各温度帯におけるPCB廃棄物の温度と、ガス分析計52で分析された排ガス中のPCB濃度とを監視しつつ、各シールゲート23,24,25,26の開閉動作制御と、各コンベヤ31,33,32の運転速度制御と、加熱装置34の運転制御と、補助剤供給装置36の動作制御と、IDファン50の動作制御等とを行う。
(PCB廃棄物無害化処理の流れ)
続いて、上記構成のPCB無害化処理システム1で実行されるPCB廃棄物無害化処理の流れを説明する。待機状態のPCB分解処理部2では、各シールゲート23,24,25,26は閉じられ、IDファン50が動作して分解処理室21内は還元雰囲気且つ減圧雰囲気とされている。
PCB廃棄物無害化処理を開始すると、制御装置60は、まず、前室20のシールゲート23を開放し、耐熱トレイ41に乗せられたPCB廃棄物40が前室20のコンベヤ31上へ載置されたことを検出すると、シールゲート23を閉じ、コンベヤ31を動作させ、秤量装置43でPCB廃棄物40を秤量する。PCB廃棄物40の前室20への搬入作業は、フォークリフト等の搬入装置11を用いて行われる。
ここで処理されるPCB廃棄物40は、トランスやコンデンサ、安定器などのPCB汚染物、トランスやコンデンサに内包されていた廃PCB等、又はこれらの組み合わせであってよい。なお、これらのPCB廃棄物40に対して、液体,金属,紙,プラスチック,汚泥等に分類する仕分け作業、切断や破砕などの解体作業、所定容器への詰め替え作業、廃PCB等を筐体から抜き取って吸着材とともに密閉容器に封入する作業、及び穴あけ加工作業などの、各種の処理準備工程は不要である。PCB廃棄物40は、耐熱鋼やセラミックスなどの所定の分解温度(1100℃)の高温に耐えうる材料で形成された耐熱トレイ41に乗せるだけでよい。
続いて、制御装置60は、耐熱トレイ41がコンベヤ31の後端に至ると、シールゲート24を開放する。これにより、耐熱トレイ41に載置されたPCB廃棄物40が、前室20から分解処理室21へ搬入される。シールゲート24が開放されると、分解処理室21は減圧雰囲気であるため、前室20内の空気は分解処理室21側へ流れて外部へは漏洩しない。
制御装置60は、分解処理室21に耐熱トレイ41に載置されたPCB廃棄物40が搬入されると、シールゲート24を閉じ、コンベヤ33を動作させる。PCB廃棄物40はコンベヤ33で分解処理室21内を搬送されるうちに所定の分解温度(1100℃)まで昇温する。この間、PCB廃棄物40が各温度帯を通過するときに温度帯に応じた所定の温度となっているように、制御装置60は温度計35で検出されるPCB廃棄物40の温度を監視し、PCB廃棄物40の重量に応じて加熱装置34の出力とコンベア33の搬送速度を調整する。
PCB廃棄物40に含まれるPCBのガス化は、常温から400℃の間で進行する。さらに、ガス化されたPCBは、850℃以上の加熱帯で二酸化炭素と塩化水素を含む物質とに分解され始める。分解されたガスは、排気ダクト38を通じて排ガス処理部3へ排出される。このPCBのガス化及び分解と平行して、PCB廃棄物40に含まれているプラスチックの分解や、鉄より低い融点の鉛(融点327.5℃)や銅(融点1084.4℃)やハンダ(融点184℃)などの溶解が始まって、PCB廃棄物40は溶解したり崩れたりするが、これらは全て耐熱トレイ41の上に残り、耐熱トレイ41ごと後段の後室22まで搬出される。
分解処理室21から排ガス処理部3へ排出されたガスは、熱滞留室45で所定の分解温度以上の温度で所定時間滞留し、減温塔46で200℃以下まで急速冷却され、バグフィルタ47で塵などが除去され、ガス洗浄装置48で塩素が除去され、IDファン50及び活性炭フィルタ51を通過して、ガス排出ダクト53から大気へ放出される。このようにして、分解処理室21でPCB廃棄物40からPCBが気化し分解して生じたガスは、排ガス処理部3で無害化されたうえで大気へ放出される。
一方、分解処理室21では、耐熱トレイ41がコンベヤ33の後端に至ると、制御装置60は、シールゲート25を開放して、耐熱トレイ41を分解処理室21から後室22へ搬入する。さらに、制御装置60は、耐熱トレイ41が後室22へ搬入されると、シールゲート25を閉じてコンベヤ32を動作させる。そして、制御装置60は、耐熱トレイ41がコンベヤ32の後端に至り且つガス分析計52のモニタ装置より排ガス中に規定濃度以上のPCBが存在しないことが確認されると、シールゲート26を開放して、耐熱トレイ41を後室22から外部へ搬出する。外部へ搬出された耐熱トレイ41には、PCB廃棄物40からPCBが分解除去されて無害化された処理物(例えば、金属、土壌、ガス化されなかった無機質など)が残っている。耐熱トレイ41は、仮にPCBが付着していても分解処理室21での処理で無害化されるので、繰り返し使用に供される。後室22の処理物は、後室22で取り扱いできる温度まで冷却されるか、フォークリフト等の搬出装置で外部の冷却場へ移送されて冷却される。
制御装置60は、後室22から耐熱トレイ41が搬出されるとシールゲート26を閉じ、全てのシールゲート23,24,25,26が閉じられていることを確認して、新たなPCB廃棄物40が載置された耐熱トレイ41を前室20へ受け入れて上述のPCB廃棄物無害化処理を繰り返す。
上記のPCB廃棄物無害化処理は、PCB分解処理部2において、PCB廃棄物40が特段の処理準備工程を経ずに耐熱トレイ41に載置された状態で処理されることを特徴の一つとしている。また、PCB廃棄物無害化処理は、PCB分解処理部2において、PCB廃棄物40が、常温帯から300℃帯に入るまでの領域を比較的時間をかけてゆっくりと通過することを特徴の一つとしている。
廃PCB等をその筐体に内包したトランス又はコンデンサなどを、電気炉やプラズマ溶融炉などを用いて急速に加熱する場合には、筐体に密閉封入されたPCBが急速に過熱されて気化して炉内圧が急激に変化するので、筐体が破裂したり、処理炉内の負圧維持が困難になったり、気化が激しく進行して爆発が生じたりするおそれがある。そこで、従来は、トランスやコンデンサなどPCBを多量に含むPCB廃棄物は投入前に筐体の穴あけ加工を行ったり(特許文献2、参照)、液体状の廃PCB等はシリカゲル等の吸着材にしみ込ませる前処理を施して急激な気化を防止したりする処置が採られている。
これに対し、PCB分解処理部2では、PCB廃棄物40は、比較的時間をかけて常温から約300℃まで昇温する。これにより、例えば、トランスやコンデンサなどの筐体の密閉に使用されているゴム、コルク、及びハンダ等のシール材がPCB廃棄物40の昇温に伴って除々に軟化して溶解して生じたシール材と筐体との隙間から気化したPCBが漏出するため、筐体が破裂せず、また、比較的時間をかけてPCBが気化するため、急速な炉内圧の変動が発生しない。よって、PCB分解処理部2では、PCB廃棄物40に対する仕分け作業、解体作業、詰め替え作業、廃PCB等を筐体から抜き取って吸着材とともに密閉容器に封入する作業、及び穴あけ加工作業などの各種のPCB分解処理のための処理準備工程が不要となる。
また、前述のPCB廃棄物無害化処理は、300℃帯から400℃帯に入るまでの領域を比較的急速に通過することを特徴の一つとしている。
一般に、300℃近傍の温度において、分解されたPCBは再合成する。本実施の形態に係るPCB分解処理部2では、常温体及び300℃帯においてPCBは気化するものの分解されないためPCBの再合成のおそれはないが、万が一、常温体及び300℃帯に分解されたPCBが存在した場合にこの分解されたPCBの再合成を抑制するために、300℃帯から400℃帯に入るまでの領域を比較的急速に通過するようにして、十分な安全性を確保している。
さらに、前述のPCB廃棄物無害化処理は、PCB廃棄物40はPCBの分解温度までしか加熱されないことを特徴の一つとしている。従って、従来の溶融分解処理方式と比較して低温でPCB廃棄物を加熱することとなり、処理炉の省エネルギー運転、処理炉の耐熱温度の低下、及び熱疲労の低減などによって、設備のイニシャルコストとランニングコストの削減を図ることができる。
PCB無害化処理システム1では、前述の通り連続炉内に分解処理室21が形成されているので、PCB廃棄物40を常温から約300℃に昇温するために要する時間、並びに、PCB廃棄物40を約300℃から約400℃に昇温するために要する時間の制御が容易である。さらに、連続炉内に形成された分解処理室21を用いることによって、処理炉の冷却を待たずにPCB廃棄物40を次々と処理することができるので、処理能力が高まり、さらに、炉体の熱疲労が低減されるので炉体の寿命が長くなるので、処理コストの削減を図ることができる。
なお、上記目的から、PCB廃棄物40が常温帯から300℃帯に入るまでの領域を通過するのに要する時間(つまり、PCB廃棄物40を常温から約300℃に昇温するために要する時間)は、PCB廃棄物40に含まれるPCBが気化してPCB廃棄物40に含まれる筐体の内圧が上昇して破裂が生じる前にシール材が溶解するような十分な時間であり、この時間は実験やシミュレーションなどの結果からPCB廃棄物40に応じて定められる。また、PCB廃棄物40が300℃帯から400℃帯に入るまでの領域を通過するのに要する時間(つまり、PCB廃棄物40を約300℃から約400℃に昇温するために要する時間)は、PCB廃棄物40が300℃から400℃まで昇温するために必要な最短の時間であり、この時間は実験やシミュレーションなどの結果から加熱装置34の能力やPCB廃棄物40に応じて定められる。このようなPCB廃棄物40を約300℃から約400℃に昇温するために要する時間は、常温から約300℃に昇温するために要する時間又は約400℃から所定の分解温度まで昇温する時間と比較して短く設定されることが望ましい。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係るPCB無害化処理システム1について説明する。なお、実施の形態2に係るPCB無害化処理システム1は、PCB分解処理部2の分解処理室21の構成を除いて、前述の実施の形態1に係るPCB無害化処理システム1と同一の構成であり、行われる処理も同一工程を経る。そこで、以下では分解処理室21の構造に関して、前述の実施の形態1に係る分解処理室と異なる点について詳細に説明し、同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その他の重複説明を省略する。
図5に示すように、分解処理室21は、開閉可能なシールゲート27により低温側処理室21aと高温側処理室21bとに物理的に分割されている点で、前述の実施の形態1で説明した分解処理室21と異なる。シールゲート27は、待機状態において閉じられており、PCB廃棄物40が低温側処理室21aから高温側処理室21bへ移動する際に開放される。
そして、分解処理室21内において、低温側処理室21aに常温帯が設定されており、高温側処理室21bに300℃帯、400℃帯、800℃帯、及び1100℃帯の各温度帯が設定されている。そして、分解処理室21では、PCB廃棄物が各温度帯に入ったときに各温度帯に対応する温度となっているように、加熱装置34の発熱体の能力や各温度帯の領域が設定されている。すなわち、PCB廃棄物40は、低温側処理室21aで常温から約300℃まで昇温され、高温側処理室21bで約300℃から約1100℃まで昇温されることとなる。
上述のように、分解処理室21を、PCB廃棄物40に含まれるPCBが気化する低温側処理室21aと、気化したPCBが分解する高温側処理室21bとに物理的に分けることによって、低温側処理室21aの加熱条件や搬送速度の制御が更に容易となる。従って、低温側処理室21aで、個々のPCB廃棄物40の実態に応じた加熱条件や搬送速度をより正確に設定することが可能となり、この結果、一個の分解処理室21を、多種類のPCB廃棄物40の処理のために使用することが容易となる。また、シールゲート27という障害(しぼり)によって、分解処理室21の高温側処理室21bへ流入する低温側処理室21a側のガスは高温側処理室21b側のガスと攪拌されるので、より均一な温度の排ガスが排気ダクト38から排出されることとなる。これにより、低温のガスが排気ダクト38から排出されることを防止して、より確実なPCBの分解処理を行うことができる。
本発明は、PCBやダイオキシン類などを無害化処理するためのシステム及び方法に適用させることができる。
1 PCB無害化処理システム
2 PCB分解処理部
3 排ガス処理部
20 前室
21 分解処理室
22 後室
23,24,25,26,27 シールゲート
30 処理炉
31,32,33 コンベヤ
34 加熱装置
36 補助剤供給装置
38 排気ダクト
40 PCB廃棄物
41 耐熱トレイ
45 熱滞留室
46 減温塔
47 バグフィルタ
48 ガス洗浄装置
50 IDファン
51 活性炭フィルタ
52 ガス分析計
53 ガス排出ダクト
60 制御装置

Claims (13)

  1. PCB廃棄物を常温から250〜349℃の範囲に属する第一の温度まで昇温する第一の温度帯と、前記第一の温度から350〜450℃の範囲に属する第二の温度まで昇温する第二の温度帯と、前記第二の温度から前記PCB廃棄物が分解する所定の分解温度まで昇温する第三の温度帯との、温度条件によって分けられた各温度帯が入口から出口までの間に設けられており、前記各温度帯に応じた加熱を行う加熱手段と、前記入口から前記出口まで耐熱トレイに載置された前記PCB廃棄物を搬送する搬送手段とを有する分解処理室と、
    前記分解処理室の前記各温度帯で前記PCB廃棄物の温度を測定する温度測定手段と、
    前記分解処理室の前記出口の近傍に接続された排気ダクトと、
    前記排気ダクトを通じて前記分解処理室を強制排気することにより前記分解処理室を減圧雰囲気とする減圧手段とを、
    備えていることを特徴とするPCB無害化処理システム。
  2. 前記分解処理室は、前記PCB廃棄物が5〜15℃/minの割合で昇温されながら前記第一の温度帯を通過するように構成されている、請求項1に記載のPCB無害化処理システム。
  3. 前記分解処理室は、前記PCB廃棄物が15〜20℃/minの割合で前記第一の温度から前記第二の温度まで昇温されながら前記第二の温度帯を通過するように構成されている、請求項1に記載のPCB無害化処理システム。
  4. 前記所定の分解温度は、1100℃である、請求項1に記載のPCB無害化処理システム。
  5. 前記所定の分解温度は、850℃である、請求項1に記載のPCB無害化処理システム。
  6. 前記分解処理室は、前記PCB廃棄物を常温から前記第一の温度まで昇温する低温側処理室と、前記第一の温度から前記所定の分解温度まで昇温する高温側処理室とに空間を物理的に分割可能に構成されている、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のPCB無害化処理システム。
  7. 前記分解処理室の前段に設けられて前記PCB廃棄物を外部より受け取り前記分解処理室へ搬入する前室と、前記分解処理室の後段に設けられて処理後の前記PCB廃棄物を前記分解処理室より受け取り外部へ搬出する後室とのうち、いずれか一方若しくは両方を備えている、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のPCB無害化処理システム。
  8. 前記分解処理室は、ウォーキングビーム炉内に形成されている、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のPCB無害化処理システム。
  9. 前記排気ダクトは、分解処理室から排出された排ガスを冷却する減温塔と、前記排ガスから塵を除去するバグフィルタと、前記排ガスから塩素を除去するガス洗浄装置と、前記減圧手段と、前記排ガスから未分解のPCBを除去する活性炭フィルタとを備えた一連の排ガス処理部に接続されている、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のPCB無害化処理システム。
  10. 前記排ガス処理部は、前記減温塔よりも上流側に前記所定の分解温度で前記排ガスを所定時間だけ滞留させる熱滞留室を備えている、請求項9に記載のPCB無害化処理システム。
  11. PCB廃棄物を常温から250〜349℃の範囲に属する第一の温度まで昇温する第一の温度帯と、前記第一の温度から350〜450℃の範囲に属する第二の温度まで昇温する第二の温度帯と、前記第二の温度から前記PCB廃棄物が分解する所定の分解温度まで昇温する第三の温度帯との、温度条件によって分けた各温度帯が入口から出口までの間に設けられており、耐熱トレイに載置された前記PCB廃棄物を前記入口から前記出口まで搬送しつつ、前記各温度帯に応じて減圧雰囲気で加熱を行う連続炉を用いて、
    前記第一の温度帯で、前記PCB廃棄物を常温から前記第一の温度まで5〜15℃/minの割合で昇温するステップと、
    前記第二の温度帯で、前記PCB廃棄物を15〜20℃/minの割合で前記第一の温度から前記第二の温度まで昇温するステップと、
    前記第三の温度帯で、前記PCB廃棄物を、前記第二の温度から前記所定の分解温度まで昇温し、その温度で所定の必要分解時間以上維持するステップと、
    を行うことを特徴とするPCB廃棄物無害化処理方法。
  12. 前記所定の分解温度は、1100℃である、請求項11に記載のPCB廃棄物無害化処理方法。
  13. 前記所定の分解温度は、850℃である、請求項11に記載のPCB廃棄物無害化処理方法。
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