JP3580503B2 - 車両用シートの高さ調節装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、前提項である請求項１の特徴を備えた車両用シート、特に、自動車用シートの高さ調節装置及び請求項７の特徴を備えた車両用シートに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
高さ調節可能な車両用シートにおいて、高さが調節されたときに、その高さに応じて移動できるように、安全ベルト用のロックがシートフレームに取り付けられている。衝撃によって大きな力がベルトのロックに作用したとき、支持点、シートフレームの関連部品及び駆動部材は深刻な損傷を受ける。ＤＥ１９７４００４３Ａ１は、この種の高さ調節装置を開示しており、ベルト用ロックがＬ形コネクタ上に設けられている。一体物のコネクタは、アームの一端においてシートフレームに結合されており、結合点とベルト用ロックの支持点との間において、独立した係合用カムを構成している。衝撃が生じたとき、Ｌ形をしているためにコネクタは揺動し、ピボットピン近傍に位置するカムを後方のロックアームに形成されている歯状セグメント内に押圧する。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前述の高さ調節装置を改良することである。本発明によるとこの目的は、請求項１の特徴を備えた高さ調節装置、及び、請求項７の特徴を備えた車両用シートによって達成される。効果のある構成は、従属項の主題として記載されている。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
特に、車両用シートの長手方向において、係合領域とシート用ロックの結合点との間に回転軸が設けられているので、シートフレームの異なる側で改良された簡単な方法で、係合領域及び結合点を構成することができる。同時に、係合領域と結合点の間隔は、回転軸から同じ長さにしても、所定のレバー操作に応じて異なる長さにしてもよい。この観点から、回転軸から係合領域までの間隔が、ベルト用ロックの結合点から回転軸までの間隔より大きいと効果的である。歯状セグメントに近くに位置すると、通常時に僅かな引張力で突然の係合が生じるが、係合領域が大きな長さを持つと、このような問題がない。
【０００５】
ベルト用ロックのための結合点によって動作をカバーする範囲を小さくするには、車両用シートの長手方向、すなわち、自動車の走行方向で結合点が回転軸の前方で、好ましくは同じ高さレベルに設けられていると効果的である。僅かな回転が生じただけで、結合点と回転軸は一線上に整列しようとして、引張力がコネクタの長手方向に伝達されるようになる。
【０００６】
好ましくは、係合領域は少なくとも２つの歯を備え、係合の信頼性が高められている。係合領域及び歯状セグメントの歯を傾斜させ、特に、係合領域の歯を僅かに曲げて、鋸歯のような鈎状にすると、「歯対歯」のような同位相位置を避けることができる。
【０００７】
コネクタを並列二股構造にすると、構造を簡素化できる効果がある。この場合、係合領域は、２つの部材の一方に構成され、ベルト用ロックの結合点は他方の部材に構成される。経済性を考慮して構成部品の数を可能な限り少なくするには、コネクタの２つの部材が、それぞれ、シートフレームのベアリングマウントのための１つの肩部を一体で構成していることが好ましい。この場合、これらの肩部は、コネクタのそれぞれの部材と一体で、かつ、回転軸に直角に構成されている。２つの部材の共通回転軸は、肩部の中心を貫通している。好ましくは、２つの部材は、共同回転できるように結合されている。この観点において、２つの部材は、互いに係合しており、好ましくは、歯による係合又は他の構造的な係合により係合しており、２つの部材は回転軸の回りでスリップすることなく共に回転する。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示された実施形態を参照して本発明を詳細に説明する。
【０００９】
自動車用の車両用シート１は、それぞれの両側において、シート構造物と一体の上部レール３と車両構造物と一体の下部レール５を備えている。それぞれの上部レール３には、前方ロックアーム７と後方ロックアーム９の一端が結合されている。ロックアームの他端は、シートフレーム１０に結合されている。ロックアーム７，９は、図示されていない駆動部材とともに、高さ調節装置１１を構成する。シートフレーム１０は、図面において点線で示されたシートクッションを備えている。点線で示された背凭れが、取付部品にとってシートクッションに結合されている。
【００１０】
以下、ドライバー用シートとして機能する車両用シート１の右側を例にして説明する。後方ロックアーム９は、シートフレーム１０の内側に設けられている。水平軸１３は、車両用シート１の幅方向において、車両用シート１の一端から多他端に横断しており、シートフレーム１０に対する後方ロックアーム９の支持点を構成している。車両用シート１の幅方向において、ロックアーム９は、そのすぐ外側に歯状セグメント１５を備えている。歯状セグメント１５の曲率中心は、軸１３に一致している。ロックアーム９及び歯状セグメント１５は、一体に構成されていてもよい。
【００１１】
シートフレーム１０の内側には、爪体１６が設けられている。爪体１６は、上端のすぐ外側において、環状の肩部１８を備えている。環状の肩部１８には、同心で、肩部１８より外径が僅かに小さく、外側に指向する歯部２０が形成されている。この歯部２０は、肩部１８にきつく圧入されている。肩部１８は、爪体１６と一体に構成されている。爪体１６は、シートフレーム１０の開口内で回転できるように肩部１８に取り付けられている。
【００１２】
爪体１６は、歯状セグメント１５に厚みに相当する長さで、車両用シート１の幅方向で後方ロックアーム９に近付くように、下端が当該爪体１６の残りの部分からオフセットされており、爪体１６はその下端において２つの歯１６’を備えている。歯１６’は、歯状セグメント１５に向って揺動する方向に指向している。歯１６’は、歯状セグメント１５の歯と勘合するように設計構成されており、車両用シート１の通常使用時には、歯状セグメント１５のこれらの歯と僅かに離間している。高さ調節装置１１の動作時には、ロックアーム９が、特に、シートフレーム１０に対して変位する。その結果、歯状セグメント１５も爪体１６に対して変位する。図２及び図５に示されるように、爪体１６は、ロックアーム９が最下位にあるとき歯状セグメント１５の下端に対向し、ロックアーム９が最上位にあるとき歯状セグメント１５の上端に対向する。歯状セグメント１５の曲りによって、歯１６’と歯状セグメント１５との間の間隔は一定に保たれ、歯１６’は、歯状セグメント１５に常に指向するようになっている。
【００１３】
シートフレーム１０の外側には、平坦なレバー２２が取り付けられている。レバー２２は、内側に指向するさらなる環状の肩部２４を備えている。さらなる肩部２４は一体の歯を有しており、その歯は、肩部２４の厚み方向全長に亘ってに延びており、歯部２０と係合するようになっている。さらなる肩部２４を備えたレバー２２は、爪体１６のようにシートフレーム１０の同じボアに回転可能に支持されている。歯部２０がさらなる肩部２４の内側の歯と隙間なく係合している。また、シートフレーム１０は、爪体１６とレバー２２との間に設けられており、レバー２２と爪体１６は共回りするように互いに結合され、２つのアームを持つレバーの形をしたコネクタを形成している。レバー２２は、すぐ外側に幅方向の突出するピン２８を備えており、そのピン２８は、図示しない安全ベルト用ロックの結合点として機能する。
【００１４】
爪体１６とレバー２２の共通回転軸３０は、肩部１８，２４及び歯部２０の中心を通っている。回転軸３０は、軸１３及びピン２８と平行に延びている。爪体１６の歯１６’と回転軸３０との間の間隔は、回転軸３０とピン２８との間の間隔より大きい。ピン２８及び回転軸３０は、本実施形態において用いられる車両の床面に対して略同じ高さレベルに位置し、ピン２８は、車両用シート１の長手方向で回転軸の前方に設けられている。
【００１５】
急ブレーキや衝撃が生じたとき、安全ベルトは力を受ける。すなわち、引張力がベルトロックに作用し、ピン２８上のベルト用ロックは上方に引っ張られる。これによって、レバー２２が回転軸３０の回りで回転する。歯部２０によってレバー２２と爪体１６とが係合しており、これによって爪体１６も同様に回転する。爪体１６の回転は、歯１６’を歯状セグメント１５に向って揺動させ、そこで歯同士が係合する。歯１６’は僅かに鈎状をしており、歯状セグメント１５もこれに対応する鈎状をしており、爪体１６が僅かに回転すると「対向」位置から「係合」位置に変わる。
【００１６】
シート用ロックに作用する引張力は、ロックアーム９とシートフレーム１０の間で動作を行う高さ調節装置１１の駆動部材に力を伝えることなく、後方ロックアーム９に直接作用するようになる。また、レバー２２及び爪体１６は、ベルト用ロックと後方ロックアーム９との間のコネクタとして作用する。歯１６’は、爪体１６の係合領域に亘って形成しておく。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明による車両用シートの側面図である。
【図２】シートフレーム及びレバーを除き、最下位にある実施形態の側面図ある。
【図３】シートフレーム及びレバーを備えた、図２に相当する側面図である。
【図４】図３のＩＶ−ＩＶ線断面図である。
【図５】最高位にある図２に相当する側面図である。
【符号の説明】
１ 車両用シート
３ 上部レール
５ 下部レール
７ 前方ロックアーム
９ 後方ロックアーム
１０ シートフレーム
１１ 高さ調節装置
１５ 歯状セグメント
１６ 爪体
１６’歯
１８ 肩部
２０ 歯部
２２ レバー
２４ 肩部
２８ ピン
３０ 回転軸

Claims (7)

1. シートフレーム（１０）に結合されて歯状セグメント（１５）を備えたロックアーム（９）と、
   ベルト用ロックの結合点（２８）を備え、前記シートフレーム（１０）に対して回転軸（３０）の回りで回転できるように前記シートフレーム（１０）に取り付けられた２つの部材より構成されたコネクタ（１６，２２）とを有し、
   前記コネクタ（１６，２２）の２つの部材のそれぞれが、ベアリングマウントと一体の肩部（１８，２４）を備えており、
   前記コネクタ（１６，２２）が、衝撃時に前記歯状セグメント（１５）と協働する係合領域（１６’）を備えている車両用シートの高さ調節装置において、
   前記回転軸（３０）が、前記係合領域（１６’）とベルト用ロックの前記結合点（２８）との間に設けられていること
   を特徴とする高さ調節装置。
2. 前記２つの部材（１６，２２）が歯係合によって互いに噛み合っていること
   を特徴とする請求項１に記載の高さ調節装置。
3. 前記係合領域（１６’）と前記回転軸（３０）との間の間隔が、前記回転軸（３０）とベルト用ロックの前記結合点（２８）との間の間隔より大きいこと
   を特徴とする請求項１又は２記載の高さ調節装置。
4. ベルト用ロックの前記結合点（２８）が、前記車両用シート（１）の長手方向で前記回転軸（３０）の前方に設けられていること
   を特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の高さ調節装置。
5. ベルト用ロックの前記結合点（２８）と前記回転時（３０）が略同じ高さであること
   を特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載の高さ調節装置。
6. 前記係合領域（１６’）が少なくとも２つの歯を備えていること
   を特徴とする請求項１乃至５のいずれかに記載の高さ調節装置。
7. 請求項１乃至６のいずれかに記載の高さ調節装置を備えている車両用シート。

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