JP3580156B2 - ドット記録モード選択方法および印刷装置、並びに、そのためのプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

ドット記録モード選択方法および印刷装置、並びに、そのためのプログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、印刷媒体の表面にドットを記録することによって画像を印刷する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録ヘッドが主走査方向と副走査方向に走査しながら記録を行う記録装置としては、シリアルスキャン型プリンタやドラムスキャン型プリンタ等がある。この種のプリンタにおける記録方式を規定するパラメータとしては、一色分の印刷に使用するノズル個数や、ノズルピッチ、副走査送り量などがある。同じプリンタにおいても、これらのパラメータのうちのいくつかが異なる種々の記録方式を採用することが可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、画質の良否はドット記録装置の種々の部品の製造誤差にも依存する。従って、同一の設計に従って製造された個々のドット記録装置に関しても、きれいな画像を記録する上で好ましいドット記録方式が異なる場合がある。従来は、このような個々のドット記録装置に適した好ましいドット記録方式をうまく選択することは困難であった。
【0004】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、個々のドット記録装置に適した好ましいドット記録方式を選択することができる技術を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明では、階調レベルが約5%〜約30%の範囲である中間調領域のカラー画像を印刷する際に使用されるドットサイズのシアンおよびマゼンタのインクドットを用い、約5%〜約30%の範囲の中間調領域での印刷に適用される駆動信号を用いて所定の検査用画像をそれぞれ印刷する。そして、この検査用画像を検査することによって、複数のドット記録モードの中から好ましいドット記録モードを決定する。なお、前記複数のドット記録モードは、それぞれ複数回の副走査送りが繰り返し実行され、前記繰り返し実行される複数回の副走査における送り量の値の並び方がそれぞれ異なり、これによって隣接する2本のラスタラインを記録する複数のノズルの組合せが異なるとともに、同一の解像度を有し記録速度がほぼ等しい記録モードである。
【0006】
階調レベルが約5%〜約30%の範囲である中間調領域では、バンディングと呼ばれる筋状の画質劣化部分が目立ち易い傾向にある。従って、このような中間調領域の画像を印刷する際に使用されるドットサイズのシアンおよびマゼンタのインクドットを用いて検査用画像をそれぞれ作成し、これを検査すれば、バンディングが発生し難い好ましいドット記録モードを個々の印刷装置毎に選択することが可能である。
【0007】
印刷装置がシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4種類のインクを用いてカラー画像を印刷可能なときには、検査用画像として、中間調領域の画像の印刷に使用されるシアンのドットを用いて作成されるシアン検査用画像と、中間調領域の画像の印刷に使用されるマゼンタのドットとを用いて作成されるマゼンタ検査用画像とを少なくとも作成する。そして、シアン検査用画像に関する評価値と、マゼンタ検査用画像に関する評価値とに少なくとも基づいて、好ましい1つのドット記録モードを選択する。
【0008】
シアンのドットやマゼンタのドットは、他のドットに比べて、中間調領域において画質の良否に与える影響が大きい。従って、これらのインクのドットでそれぞれ印刷された検査用画像を用いて好ましいドット記録モードを選択すれば、画質の良いドット記録モードをうまく選択することが可能である。
【0009】
あるいは、印刷装置が濃シアンと、淡シアンと、濃マゼンタと、淡マゼンタとを含む複数種類のインクを用いてカラー画像を印刷可能なときには、検査用画像として、中間調領域の画像の印刷に使用される淡シアンのドットを用いて作成される淡シアン検査用画像と、中間調領域の画像の印刷に使用される淡マゼンタのドットとを用いて作成されるマゼンタ検査用画像とを少なくとも作成する。そして、淡シアン検査用画像に関する前記評価値と、淡マゼンタ検査用画像に関する評価値とに少なくとも基づいて、好ましい1つのドット記録モードを選択する。
【0010】
淡シアンや淡マゼンタを用いる印刷装置では、これらのインクのドットが中間調領域において画質に大きな影響を与える。従って、これらのインクのドットでそれぞれ印刷された検査用画像を用いて好ましいドット記録モードを選択すれば、画質の良いドット記録モードをうまく選択することが可能である。
【0011】
なお、検査用画像は、階調レベルが約5%〜約30%の範囲である中間調領域の画像を印刷する際に適用されるドット記録動作に従ってそれぞれ印刷されることが好ましい。
【0012】
画質の良否は、中間調領域の画像において特に顕著に現れる。従って、中間調領域での印刷に適用されるドット記録動作に従って検査用画像を印刷し、この検査用画像を検査すれば、中間調領域における画像の良否を正しく判断することができる。個々のドット記録装置に適した好ましいドット記録方式をうまく選択することができる。
【0013】
なお、検査用画像は、複数のドット形成要素がそれぞれ主走査方向に沿ってドットを間欠的に記録することによって形成された複数の直線状パターンを含むものであってもよい。このとき、複数の直線状パターンの間の距離を測定し、これらの複数の直線状パターンの間の距離から、印刷の際に隣接して記録されるラスタラインの間隔のバラツキを示す第1の評価値を算出する。そして、第1の評価値に少なくとも基づいて好ましい1つのドット記録モードを選択する。
【0014】
この第1の評価値は、ラスタラインの間隔のバラツキを示しているので、このような第1の評価値を利用すれば、高画質が得られるドット記録モードを容易に決定することができる。
【0015】
あるいは、検査用画像は、複数のドット形成要素がそれぞれ主走査方向に沿ってドットを間欠的に記録することによって形成された複数の直線状パターンを含むものであってもよい。このとき、複数の直線状パターンの幅をそれぞれ測定し、各直線状パターンの幅に少なくとも基づいて、複数のドット記録モードのそれぞれに従って印刷される画像において隣接して記録されるラスタラインの重なりのバラツキを示す第2の評価値を算出する。そして、この第2の評価値に少なくとも基づいて好ましい1つのドット記録モードを選択する。
【0016】
この第2の評価値も、ラスタラインの間隔のバラツキに関係しているので、このような第2の評価値を利用すれば、高画質が得られるドット記録モードを容易に決定することができる。
【0017】
なお、隣接して記録されるラスタラインの幅を、複数の直線状パターンの幅からそれぞれ決定し、また、隣接して記録されるラスタラインの距離の実測値と設計値との差分を求め、さらに、隣接して記録されるラスタラインの幅を上記差分によって補正することによって、ラスタラインの重なりを決定するようにしてもよい。
【0018】
こうすれば、隣接ラスタラインの実際の距離を考慮した実際の重なり量をかなり正確に算出することが可能である。
【0019】
なお、印刷装置としては、1つのドット形成要素を用いて大きさの異なる複数種類のドットを印刷媒体上に記録可能なものがある。このとき、検査用画像は、中間調領域の画像の印刷に適用される駆動信号周波数を有する駆動信号がドット記録要素に与えられて、中間調領域の画像の印刷に使用される1種類のドットが印刷媒体上に記録されることによって印刷されるようにしてもよい。
【0020】
こうすれば、画質の良否の違いが現れ易いドットの記録条件の下で、検査用画像を印刷することが可能である。
【0021】
なお、本発明は、上述の特徴を有する装置や方法、あるいは、その機能をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムを記録した記録媒体などの種々の態様を取りうる。
【0022】
【発明の実施の形態】
A.装置の構成:
図1は、本発明の実施例としてのカラー画像処理システムの構成を示すブロック図である。このカラー画像処理システムは、スキャナ12と、パーソナルコンピュータ90と、カラープリンタ22とを有している。パーソナルコンピュータ90は、カラーディスプレイ21を備えている。スキャナ12は、カラー原稿からカラー画像データを読み取り、R,G,Bの3色の色成分からなる原カラー画像データORGをコンピュータ90に供給する。
【0023】
コンピュータ90の内部には、図示しないCPU,RAM,ROM等が備えられており、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれており、アプリケーションプログラム95からはこれらのドライバを介して、最終カラー画像データFNLが出力されることになる。画像のレタッチなどを行なうアプリケーションプログラム95は、スキャナから画像を読み込み、これに対して所定の処理を行ないつつビデオドライバ91を介してCRTディスプレイ93に画像を表示している。このアプリケーションプログラム95が、印刷命令を発行すると、コンピュータ90のプリンタドライバ96が、画像情報をアプリケーションプログラム95から受け取り、これをプリンタ22が印字可能な信号(ここではCMYKの各色についての2値化された信号)に変換している。図1に示した例では、プリンタドライバ96の内部には、アプリケーションプログラム95が扱っているカラー画像データをドット単位の画像データに変換するラスタライザ97と、ドット単位の画像データに対してプリンタ22が使用するインク色CMYおよび発色の特性に応じた色補正を行なう色補正モジュール98と、色補正モジュール98が参照する色補正テーブルCTと、色補正された後の画像情報からドット単位でのインクの有無によってある面積での濃度を表現するいわゆるハーフトーンの画像情報を生成するハーフトーンモジュール99と、後述するモード指定情報をカラープリンタ22内のメモリに書き込むためのモード指定情報書込モジュール110とが備えられている。
【0024】
図2は、プリンタ22の概略構成図である。図示するように、このプリンタ22は、紙送りモータ23によって用紙Pを搬送する機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ31をプラテン26の軸方向に往復動させる機構と、キャリッジ31に搭載された印刷ヘッド28を駆動してインクの吐出およびドット形成を制御する機構と、これらの紙送りモータ23,キャリッジモータ24,印刷ヘッド28および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とから構成されている。
【0025】
このプリンタ22のキャリッジ31には、黒インク用のカートリッジ71と、シアン,マゼンタ,イエロの3色のインクを収納したカラーインク用カートリッジ72とが搭載可能である。キャリッジ31の下部の印刷ヘッド28には計4個のインク吐出用ヘッド61ないし64が形成されており、キャリッジ31の底部には、この各色用ヘッドにインクタンクからのインクを導く導入管65(図3参照)が立設されている。キャリッジ31に黒インク用のカートリッジ71およびカラーインク用カートリッジ72を上方から装着すると、各カートリッジに設けられた接続孔に導入管が挿入され、各インクカートリッジから吐出用ヘッド61ないし64へのインクの供給が可能となる。
【0026】
インクが吐出される機構を簡単に説明する。図3に示すように、インク用カートリッジ71,72がキャリッジ31に装着されると、毛細管現象を利用してインク用カートリッジ内のインクが導入管65を介して吸い出され、キャリッジ31下部に設けられた印刷ヘッド28の各色ヘッド61ないし64に導かれる。なお、初めてインクカートリッジが装着されたときには、専用のポンプによりインクを各色のヘッド61ないし64に吸引する動作が行なわれるが、本実施例では吸引のためのポンプ、吸引時に印刷ヘッド28を覆うキャップ等の構成については図示および説明を省略する。
【0027】
各色のヘッド61ないし64には、図3に示したように、各色毎に32個のノズルnが設けられており、各ノズル毎に電歪素子の一つであって応答性に優れたピエゾ素子PEが配置されている。ピエゾ素子PEとノズルnとの構造を詳細に示したのが、図4である。図示するように、ピエゾ素子PEは、ノズルnまでインクを導くインク通路80に接する位置に設置されている。ピエゾ素子PEは、周知のように、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネルギの変換を行なう素子である。本実施例では、ピエゾ素子PEの両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加することにより、図4下段に示すように、ピエゾ素子PEが電圧の印加時間だけ伸張し、インク通路80の一側壁を変形させる。この結果、インク通路80の体積は、ピエゾ素子PEの伸張に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、粒子Ipとなって、ノズルnの先端から高速に吐出される。このインク粒子Ipがプラテン26に装着された用紙Pに染み込むことにより、印刷が行なわれることになる。
【0028】
以上説明したハードウェア構成を有するプリンタ22は、紙送りモータ23によりプラテン26その他のローラを回転して用紙Pを搬送しつつ、キャリッジ31をキャリッジモータ24により往復動させ、同時に印刷ヘッド28の各色ヘッド61ないし64のピエゾ素子PEを駆動して、各色インクの吐出を行ない、用紙P上に多色の画像を形成する。各色のヘッド61〜64におけるノズルの具体的な配列に関してはさらに後述する。
【0029】
用紙Pを搬送する機構は、紙送りモータ23の回転をプラテン26のみならず、図示しない用紙搬送ローラに伝達するギヤトレインを備える(図示省略)。また、キャリッジ31を往復動させる機構は、プラテン26の軸と並行に架設されキャリッジ31を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ31の原点位置を検出する位置検出センサ39等から構成されている。
【0030】
制御回路40の内部には、図示しないCPUやメインメモリ(ROMやRAM)のほかに、書き換え可能な不揮発性メモリとしてのプログラマブルROM(PROM)42が備えられている。PROM42には、複数のドット記録モードのパラメータを含むドット記録モード情報が格納されている。ここで、「ドット記録モード」とは、各ノズルアレイにおいて実際に使用するノズル個数Nや、副走査送り量L等で規定されるドットの記録方式を意味している。この明細書では、「記録方式」と「記録モード」はほぼ同じ意味で用いられている。具体的なドット記録モードの例や、それらのパラメータについては後述する。PROM42には、さらに、複数のドット記録モードの中から好ましいモードを指定するためのモード指定情報も格納されている。
【0031】
ところで、各ドット記録モードで記録される画像の画質は、印刷ヘッド28におけるノズルアレイの配列特性(個々のノズルの実際の位置)に依存する。例えば、ノズルアレイの中に、それぞれの設計位置よりも互いに離れる方向に(または近づく方向に)ずれている2つのノズルが存在する場合がある。このような2つのノズルが隣接する2本のラスタラインを記録すると、これらの2本のラスタラインの間に「バンディング」と呼ばれる筋状の画質劣化部分が発生する。一方、隣接するラスタラインを記録してゆくノズルの番号の配列は、ドット記録モード(特に副走査送り量)に応じて決定される。従って、好ましいドット記録モードは、プリンタに搭載された印刷ヘッド28の特性(個々のノズルによる実際のドット記録位置)に依存する。このように、モード指定情報で指定されるドット記録モードは印刷ヘッド28の特性に応じて決まるので、モード指定情報は印刷ヘッド28の種類を示す識別子と考えることもできる。そこで、この明細書では、モード指定情報を「ヘッドID」とも呼び、あるいは、「モードID」とも呼ぶ。
【0032】
ドット記録モード情報は、コンピュータ90の起動時にプリンタドライバ96(図1)がインストールされる際に、プリンタドライバ96によってPROM42から読み出される。すなわち、プリンタドライバ96は、モード指定情報で指定された好ましいドット記録モードに対するドット記録モード情報をPROM42から読み込む。ラスタライザ97とハーフトーンモジュール99における処理や、主走査および副走査の動作は、このドット記録モード情報に応じて実行される。
【0033】
なお、PROM42は、書き換え可能な不揮発性メモリであればよく、EEPROMやフラッシュメモリなどの種々の不揮発性メモリを使用することができる。また、モード指定情報は書き換え可能な不揮発性メモリに格納することが好ましいが、ドット記録モード情報は、書き換えができないROMに格納するようにしてもよい。また、複数のドット記録モード情報は、PROM42ではなく、他の記憶手段に格納されていてもよく、また、プリンタドライバ96内に登録されていてもよい。
【0034】
図5は、インク吐出用ヘッド61〜64におけるインクジェットノズルの配列を示す説明図である。第1のヘッド61には、ブラックインクを噴射するノズルアレイが設けられている。また、第2ないし第4のヘッド62〜64にも、シアン、マゼンタ及びイエローのインクをそれぞれ噴射するノズルアレイが設けられている。これらの4組のノズルアレイの副走査方向の位置は、互いに一致している。
【0035】
4組のノズルアレイは、副走査方向に沿って一定のノズルピッチkで千鳥状に配列された複数個(例えば32個や48個)のノズルnをそれぞれ備えている。なお、各ノズルアレイに含まれる複数個のノズルnは、千鳥状に配列されている必要はなく、一直線上に配置されていてもよい。但し、図5(A)に示すように千鳥状に配列すれば、製造上、ノズルピッチkを小さく設定し易いという利点がある。
【0036】
図5(B)は、1つのノズルアレイによって形成される複数のドットの配列を示している。この実施例では、インクノズルの配列が千鳥状か直線状かに関わらず、1つのノズルアレイによって形成される複数のドットは、副走査方向に沿ってほぼ一直線上に並ぶように、各ノズルのピエゾ素子PE(図4)に駆動信号が供給される。例えば、図5(A)のようにノズルアレイが千鳥状に配列されている場合において、図の右方向にヘッド61が走査されてドットを形成していく場合を考える。この時、先行するノズル群100,102…は、後追するノズル群101,103…よりも、d/v[秒]だけ早いタイミングで駆動信号が与えられる。ここで、d[インチ]は、ヘッド61における2つのノズル群の間のピッチ(図5(A)参照)であり、v[インチ/秒]はヘッド61の走査速度である。この結果、1つのノズルアレイによって形成される複数のドットは、副走査方向に沿って一直線上に配列される。なお、後述するように、各ヘッド61〜64に設けられている複数個のノズルは、常に全数が使用されるとは限らず、ドット記録方式によっては、その一部のノズルのみが使用される場合もある。
【0037】
図6は、ドット記録モードに応じた駆動制御に関連する構成の機能ブロック図である。この機能ブロック図には、モードIDメモリ202と、記録モード設定部204と、記録モードテーブル206と、駆動部制御部208と、主走査駆動部210と、副走査駆動部212と、印刷ヘッド駆動部214と、ラスタデータ格納部216と、印刷ヘッド28と、印刷用紙Pとが示されている。
【0038】
記録モードテーブル206は、複数のドット記録モード情報を格納している。この記録モードテーブル206には、各ドット記録モード情報に含まれる種々のパラメータの中で、記録解像度と、モードグループと、モードIDと、使用ノズル数Nと、副走査量Lとが示されている。なお、各ドット記録モード情報には、この他にも、主走査と副走査の動作を規定するための種々のパラメータが含まれているが図6では図示を省略している。
【0039】
図6の例では、記録モードテーブル206に格納されている複数のドット記録モードが、記録解像度と記録速度の組合せに応じて、4つのモードグループM1〜M4に分類されている。第1のモードグループM1は、「360dpiで速い」グループである。また、第2のモードグループM2は「360dpiできれいな(そして遅い)」グループ、第3のモードグループM3は「720dpiで速い」グループ、第4のモードグループM4は「720dpiできれいな(そして遅い)」グループである。
【0040】
モードIDメモリ202は、各モードグループに関して、好ましいドット記録モードを指定するモードID(モード指定情報)を格納している。記録モード設定部204は、コンピュータ90から与えられる印刷データと、モードIDメモリ202から与えられるモードID(モード指定情報)とに応じて、駆動部制御部208とラスタデータ格納部216に主走査と副走査の動作を規定するパラメータを供給する。なお、印刷データは、図1の最終カラー画像データFNLと同じものである。印刷データの図示しないヘッダ部分には、印刷に使用するモードグループM1〜M4の中の1つを指定するデータが含まれている。記録モード設定部204は、このモードグループの指定と、モードIDメモリ202から供給されたモードIDとから、印刷の実行に使用するドット記録モードを決定する。
【0041】
記録モード設定部204は、こうして決定されたドット記録モードにおける使用ノズル数Nと副走査送り量Lとを含む走査パラメータを、駆動部制御部208とラスタデータ格納部216とに供給する。使用ノズル数Nと副走査送り量Lとは1回の走査毎に変更される可能性があるので、各回の走査の前にこれらを含む走査パラメータが駆動部制御部208とラスタデータ格納部216に供給される。
【0042】
ラスタデータ格納部216は、使用ノズル数Nと副走査量Lとを含む走査パラメータに応じて、印刷データを図示しないバッファメモリ内に格納する。一方、駆動部制御部208は、使用ノズル数Nと副走査量Lとを含むパラメータに応じて、主走査駆動部210と副走査駆動部212と印刷ヘッド駆動部214とを制御する。
【0043】
なお、モードIDメモリ202と記録モードテーブル206とは、図2に示した1つのPROM42内に設けられている。また、記録モード設定部204と駆動部制御部208とラスタデータ格納部216とは、図2に示した制御回路40内に設けられている。主走査駆動部210は、図2に示すキャリッジモータ24を含むキャリッジ31の送り機構によって実現されており、副走査駆動部212は紙送りモータ23を含む用紙の送り機構によって実現されている。さらに、印刷ヘッド駆動部214は、各ノズルのピエゾ素子PEを含む回路によって実現されている。
【0044】
図7は、印刷ヘッド駆動部214の内部構成を示すブロック図である。また、図8は、印刷ヘッド駆動部214の動作を示すタイミングチャートである。印刷ヘッド駆動部214は、原駆動信号発生部220と、複数のマスク回路222と、各ノズルのピエゾ素子PEと、を備えている。マスク回路222は、印刷ヘッド28の各ノズル#1,#2…に対応して設けられている。なお、図7、図8において、信号名の最後に付されたかっこ内の数字は、その信号が供給されるノズルの番号を示している。
【0045】
原駆動信号発生部220は、各ノズルに共通に用いられる原駆動信号ODRV(図8(a))を生成して複数のマスク回路222に供給する。この原駆動信号ODRVは、例えば図8(b)に示すように、1画素分の主走査期間Td内に1つのパルスを含む信号である。i番目のマスク回路222は、i番目のノズルのシリアル印刷信号PRT(i)のレベルに応じて原駆動信号ODRVをマスクする。具体的には、マスク回路222は、印刷信号PRT(i)が1レベルのときには原駆動信号ODRVをそのまま通過させて駆動信号DRVとしてピエゾ素子PEに供給し、一方、印刷信号PRT(i)が0レベルのときには原駆動信号ODRVを遮断する。このシリアル印刷信号PRT(i)は、i番目のノズルが1回の主走査で記録する各画素の記録状態を示す信号であり、コンピュータ90から与えられた印刷画像データFNL(図2)をノズル毎に分解したものである。なお、図8の例は、1画素おきにドットが記録される場合の例であり、全画素にドットが記録される場合には、原駆動信号ODRVがそのまま駆動信号DRVとしてピエゾ素子PEに供給される。
【0046】
図9は、駆動信号DRVの周波数fDRV と、ドット記録密度との関係を示している。ここで、「ドット記録密度」とは、ドットが記録される画素の密度を言う。すべての画素にドットが記録されるときにはドット記録密度は100%であり、半分の画素にドットが記録されるときにはドット記録密度は50%である。
【0047】
図9から解るように、駆動信号周波数fDRV は、ドット記録密度に比例する。ドット記録密度が100%のときには、駆動信号周波数fDRV は原駆動信号ODRV(図8(a))の周波数f0 に等しく、ドット記録密度が低下すると駆動信号周波数fDRV もこれに比例して低下する。中間調領域の画像を印刷するときには、ドット記録密度が低いので、駆動信号周波数fDRV もこれに応じて低くなる。
【0048】
なお、ドットが記録される画素(「記録画素」と呼ぶ)の間隔は、図8(c)のように常に一定であるとは限らず、ドット記録密度によっては、記録画素の間隔が長いものと短いものとが混在している場合もある。例えば、ドット記録密度が75%の場合には、連続した4画素のうちの3画素にドットが記録され、残りの1画素にはドットが記録されないので、記録画素の間隔としては、1画素と2画素とが混在することになる。このような場合にも、駆動信号周波数fDRV を、記録画素の平均的な周波数として定義すれば、図9のような直線的な特性が得られる。
【0049】
B.ドット記録方式のパラメータの例:
図10は、ドット記録方式を規定するパラメータを示す説明図である。図10(A)は、4個のノズルを用いた場合の副走査送りの一例を示しており、図10(B)はそのドット記録方式のパラメータを示している。図10(A)において、数字を含む実線の丸は、各副走査送り後の4個のノズルの副走査方向の位置を示している。丸の中の数字0〜3は、ノズル番号を意味している。4個のノズルの位置は、1回の主走査が終了する度に副走査方向に送られる。但し、実際には、副走査方向の送りは紙送りモータ23(図1)によって用紙を移動させることによって実現されている。
【0050】
図10(A)の左端に示すように、この例では副走査送り量Lは2ドットの一定値である。従って、副走査送りが行われる度に、4個のノズルの位置が2ドットずつ副走査方向にずれてゆく。図10(B)には、このドット記録方式に関する種々のパラメータが示されている。ドット記録方式のパラメータには、ノズルピッチk[ドット]と、使用ノズル個数N[個]と、スキャン繰り返し数sと、実効ノズル個数Neff [個]と、副走査送り量L[ドット]とが含まれている。
【0051】
図10の例では、ノズルピッチkは3ドットであり、使用ノズル個数Nは4個である。なお、使用ノズル個数Nは、実装されている複数個のノズルの中で実際に使用されるノズルの個数である。スキャン繰り返し数sは、一回の主走査において(s−1)ドットおきに間欠的にドットを形成することを意味している。従って、スキャン繰り返し数sは、1本のラスタライン上のすべてのドットを記録するために使用されるノズルの数にも等しい。図10の場合には、スキャン繰り返し数sは2である。なお、スキャン繰り返し数sが2以上のドット記録方式を「オーバーラップ方式」と呼ぶ。
【0052】
実効ノズル個数Neff は、使用ノズル個数Nをスキャン繰り返し数sで割った値である。この実効ノズル個数Neff は、一回の主走査で記録され得るラスタラインの正味の本数を示しているものと考えることができる。
【0053】
図10(B)の表には、各副走査送り毎に、副走査送り量Lと、その累計値ΣLと、各副走査送り後のノズルのオフセットFとが示されている。ここで、オフセットFとは、副走査送りが行われていない最初のノズルの周期的な位置(図10では4ドットおきの位置)をオフセット0の基準位置と仮定した時に、副走査送り後のノズルの位置が基準位置から副走査方向に何ドット離れているかを示す値である。例えば、図10(A)に示すように、1回目の副走査送りによって、ノズルの位置は副走査送り量L(2ドット)だけ副走査方向に移動する。一方、ノズルピッチkは3ドットである。従って、1回目の副走査送り後のノズルのオフセットFは2である(図10(A)参照)。同様にして、2回目の副走査送り後のノズルの位置は、初期位置からΣL=4ドット移動しており、そのオフセットFは1である。3回目の副走査送り後のノズルの位置は、初期位置からΣL=6ドット移動しており、そのオフセットFは0である。3回の副走査送りによってノズルのオフセットFは0に戻るので、3回の副走査を1つの小サイクルとして、この小サイクルを繰り返すことによって、有効記録範囲のラスタライン上のすべてのドットを記録することができる。なお、「有効記録範囲」とは、抜けや重複無しにラスタラインが記録される範囲を言い、この有効記録範囲内で画像を記録することができる。以下では、有効記録範囲内のラスタラインを「有効ラスタライン」と呼ぶ。
【0054】
図11は、記録速度がほぼ等しい3つのドット記録方式における走査パラメータを示す説明図であり、第4のモードグループM4(720dpiできれいな(そして遅い)モードグループ)に含まれている3つのドット記録方式の例を示している。図11(A)に示す第1ドット記録方式の走査パラメータは、ノズルピッチkが6ドット、使用ノズル個数Nが48個、スキャン繰り返し数sが2、実効ノズル個数Neff が24個である。また、副走査送り量L[ドット]には、異なる6つの値(20,27,22,28,21,26)が使用されている。図11(B)に示す第2ドット記録方式の走査パラメータは、副走査送り量L以外は第1ドット記録方式と同じである。図11(C)に示す第3ドット記録方式の走査パラメータは、ノズルピッチkが6ドット、使用ノズル個数Nが47個、スキャン繰り返し数sが2、実効ノズル個数Neff が23.5個である。また、副走査送り量L[ドット]には、異なる2つの値(21,26)が使用されている。
【0055】
第1および第2ドット記録方式は使用ノズル個数Nが48個であるが、第3ドット記録方式の使用ノズル個数Nは47個である。しかし、これらの3つのドット記録方式では、使用ノズル個数Nの差は約10%以下である。実際の記録速度(印刷速度)は、実効ノズル個数Neff (=N/s)にほぼ比例しているので、図11に示す3つのドット記録方式の記録速度は互いにほぼ等しいと言うことができる。このように、本明細書においては、「記録速度がほぼ等しい」とは、実効ノズル個数Neff の差が約10%以下であることを意味している。
【0056】
図12は、モードグループM4の第1ドット記録方式において、各有効ラスタラインを記録するノズル番号を示している。図12の左側の欄の1〜34の数字は有効ラスタライン番号を示している。また、図12の右側には、各副走査送り後の主走査において48個のノズル#0〜#47が記録する有効ラスタラインの位置が示されている。例えば、0番目の副走査送り後の主走査では、ノズル#44〜#47が、それぞれ3番目、9番目、15番目、および21番目の有効ラスタラインを記録する。なお、ノズル番号の数字の前に「#」が付されているものは、そのノズルでラスタライン上の偶数画素位置が記録されることを意味しており、ノズル番号の数字の前に「@」が付されているものは、そのノズルでラスタライン上の奇数画素位置が記録されることを意味している。
【0057】
図12から解るように、隣接する2本のラスタラインを記録する4つのノズルの組合せは、副走査送り量Lの配列に依存する。図11に示す3つのドット記録方式では、副走査送り量Lの配列がそれぞれ異なるので、隣接する2本のラスタラインを記録する4つのノズルの組合せも互いに異なる。ところで、前述したように、隣接する2本のラスタラインを記録するノズルの記録位置が、副走査方向に沿って互いに反対方向にずれていると、2本のラスタラインの間に「バンディング」と呼ばれる筋状の画質劣化部分が発生する。従って、複数のドット記録モードの中のどれが最も高画質を達成できるかは、ノズルの配列特性に依存する。そこで、本実施例では、後述するように、各ドット記録方式に従ってテストパターンを印刷してバンディングを評価し、バンディングが最も少なくなるドット記録方式を選択している。
【0058】
C.好ましいドット記録方式の選択:
図13は、好ましいドット記録方式を選択するための処理手順を示すフローチャートである。ステップS11では、所定のテストパターン(検査用画像)をカラープリンタ22で印刷する。きれいモードグループM4(図6)のように、同一の解像度を有し記録速度がほぼ等しい複数のドット記録方式の中から好ましいドット記録方式を選択する場合には、テストパターンは複数のドット記録方式に従ってそれぞれ印刷される。この際、テストパターンの印刷には、階調レベルが約50%以下の中間調領域の画像の印刷に用いられるインクのドットが使用される。この理由は、バンディングが目立ち易いのはこの範囲の中間調領域なので、この中間調領域で用いられるインクのドットでテストパターンを印刷した方が、バンディングの程度を評価し易いからである。
【0059】
CMYKの4色のインクを用いたカラー印刷においては、中間調領域の印刷にはシアンやマゼンタが最も多く用いられる。特に、階調レベルが約20%〜30%程度の範囲では、ブラックインクはほとんど使用されず、グレーの画像は、シアンとマゼンタとイエローのドットの組合せによって再現される。なお、イエローはあまり目立たない色なので、バンディングの発生に対する影響も小さい。そこで、4色のカラー印刷を行うプリンタでは、テストパターンを、シアンやマゼンタを使用してそれぞれ印刷すればよい。なお、シアンやマゼンタのテストパターンに加えて、イエローのテストパターンを印刷するようにしてもよい。
【0060】
CMYKのインクの他に、淡色のシアンインクと淡色のマゼンタインクとを用いてカラー画像を印刷するプリンタも存在する。このプリンタでは、中間調領域の印刷には淡色のシアンと淡色のマゼンタが主に用いられる。従って、このようなプリンタでは、淡色のシアンと淡色のマゼンタを用いてテストパターンをそれぞれ印刷することが好ましい。なお、淡色のシアンと淡色のマゼンタのテストパターンに加えて、イエローのテストパターンを印刷するようにしてもよい。
【0061】
なお、プリンタによっては、個々のドットを形成するインクの量を調節することによって、個々のドットのサイズを変更可能なものがある。このようなドットを、以下では「バリアブルドット」、「可変量ドット」または「マルチサイズドット」と呼ぶ。この場合には、中間調領域において使用されるサイズのドットを用いてテストパターンを印刷することが好ましい。
【0062】
図14は、淡インクと濃インクのバリアブルドットを利用可能なプリンタにおける階調値とドット記録率との関係を示す説明図である。ここで、「階調値」とは画像の濃度(画像信号のレベル)を意味しており、また、「ドット記録率」とは、ドットが記録されている画素位置の割合を示している。なお、図14では、色相がほぼ同じで濃度が異なる淡インクと濃インク(例えば淡シアンと濃シアン)についての特性のみが示されており、他のインクのドットの特性に関しては省略されている。
【0063】
図14に示すように、階調値が約50%以下の中間調領域では、淡小ドットと淡大ドットと濃小ドットとが記録され、濃大ドットは記録されない。特に、階調値が約30%以下の中間調領域では、濃小ドットも記録されず、淡小ドットと淡大ドットのみ使用される。なお、以下では淡小ドットと淡大ドットを併せて「淡ドット」と呼び、濃小ドットと濃大ドットを併せて「濃ドット」と呼ぶ。
【0064】
このようなバリアブルドットを用いる場合に、濃度やサイズが異なる複数種類のドットが形成されるような階調範囲ではバンディングは目立ち難く、1種類のドットのみが形成されるような階調範囲ではバンディングが目立ち易い傾向にある。例えば、濃小ドットの形成が開始される階調値(約30%)では、淡小ドットや淡大ドットも多数形成される。このように淡ドットが多数形成されていると、濃小ドットの形成位置に多少のずれが生じてもバンディングは目立ちにくい。この理由は、濃小ドットの形成位置にずれが生じてもそのずれを補間するように淡大ドットが形成される可能性があるからである。一方、淡小ドットのみが形成されるような低い中間調領域(約20%以下)では、このような効果は期待できず、バンディングは目立ち易い。
【0065】
そこで、図14のような特性を有するプリンタでは、淡小ドットのみを用いてテストパターンが印刷することが好ましい。但し、印刷画像において、淡大ドットがバンディングに大きな影響を与えていると思われる場合には、淡大ドットを用いてテストパターンを印刷するようにしてもよい。なお、サイズの異なる2種類以上のドットを用いてテストパターンを印刷することも可能であるが、1種類のサイズのドットを用いた方が、そのドットの特性をより良く検査できるという点で好ましい。
【0066】
なお、バリアブルドットを利用可能なプリンタにおけるテストパターンの好ましい印刷方法の他の例については、さらに後述する。
【0067】
テストパターンの印刷に関する走査パラメータは、カラープリンタ22内のPROM42(図2)、または、プリンタドライバ96(図1)に格納されている。また、テストパターンを印刷するための印刷データ(テストパターンデータ)も、カラープリンタ22内のPROM42、または、プリンタドライバ96に格納されている。なお、図6の構成では、テストパターンの印刷に使用される走査パラメータやテストパターンデータは、記録モードテーブル206に格納されている。
【0068】
なお、テストパターン(検査用画像)の印刷には、図6に示す各部204,206,208,210,212,214,216が使用されるので、これらの各部の全体は、検査用画像印刷部としての機能を有する。
【0069】
図15は、ステップS11で記録されるテストパターンの例と、その読み取り方法とを示す説明図である。図15は、図12に示す第1ドット記録方式に従って20本の横罫線を記録した例であり、各罫線がそれぞれどのノズルで記録されるかが示されている。また、図15の下部には、この処理で使用されるリニアイメージセンサ120とモード決定部122とが示されている。なお、モード決定部122は、コンピュータ90がコンピュータプログラムを実行することによって実現される。
【0070】
図15のラスタ番号とノズル番号(#0〜#7)は、前述した図12に対応していることが解る。なお、図15において、奇数番目のラスタ上の罫線は印刷用紙の左側に記録され、偶数番目のラスタ上の罫線は印刷用紙の右側に記録されている。この理由は、隣接するラスタの罫線を、左右方向に等しい範囲に記録すると、隣接する罫線を識別することが困難だからである。このような理由から、各罫線を記録する左右方向の範囲は、2つではなく、3つに区分するようにしてもよい。最下端の1本の罫線(20番目のラスタ上の罫線)だけは、奇数番目と偶数番目のラスタ上の罫線の範囲を包含する長さにわたって記録されている。以下では、この20番目のラスタ上の罫線を「共通ラインCL」と呼ぶ。
【0071】
図13のステップS12では、イメージセンサ120(図15)によって、複数の罫線の中心位置が読み取られる。このイメージセンサ120としては、例えばCCD等で構成されたリニアイメージセンサや、2次元イメージセンサなどが使用できる。イメージセンサ120は、プリンタ22に内蔵するようにしてもよく、あるいは、プリンタ22とは別個の画像読み取り装置内に設けるようにしてもよい。イメージセンサ120をプリンタ22内に設けるようにすれば、罫線を印刷しながら罫線位置を読み取ることができるという利点がある。
【0072】
罫線の中心位置は、例えば、モード決定部122が、イメージセンサ120で得られた各罫線を芯線化処理することによって決定できる。なお、各罫線の中心位置は、共通ラインCLからの距離DISとして測定される。例えば、図15の1番目と2番目のラスタ上の罫線の位置は、共通ラインCLからの距離DIS1−20 ,DIS2−20 としてそれぞれ求められる。
【0073】
図13のステップS13では、モード決定部122が、罫線間距離のバラツキの評価値ΔDras を各記録方式毎に計算する。ここで、「罫線間距離」とは、隣接するラスタ上の2本の罫線間の距離を意味する。例えば、図15の1番目と2番目のラスタ上の罫線の罫線間距離Dras は、共通ラインCLからのそれぞれの距離DIS1−20 ,DIS2−20 の差分から得られる。
【0074】
ところで、隣接するラスタを記録する2つのノズルの番号の組み合わせは、ドット記録方式に依存している。また、ドット記録方式とが決まっている条件下では、隣接するラスタを記録するノズル番号の組合せは有限個の組合せに決まる。そこで、図13のステップS13では、各ドット記録方式毎に、隣接するラスタを記録するノズルの番号のすべての組み合わせに対して、この罫線間距離Dras を測定する。
【0075】
図16は、1つのドット記録方式について得られた罫線間距離Dras の頻度分布を示すグラフである。図16に示すように、罫線間距離Dras は正規分布に近い頻度分布を示すものと期待される。罫線間距離Dras のバラツキの評価値としては、罫線間距離Dras の最大値と最小値との差分ΔDras を使用することができる。あるいは、罫線間距離Dras の頻度分布の標準偏差σや分散などを、罫線間距離Dras のバラツキの評価値として使用するようにしてもよい。これらの差分ΔDras や標準偏差σや分散などが大きいほど、罫線間距離の変動も大きい。一方、バンディング(主走査方向に伸びる筋状の画質劣化部)は、ラスタ間距離(これは罫線間距離に等しい)が一定ではなく、変動があるときに発生し易い。従って、罫線間距離のバラツキの評価値が大きいほど、バンディングが発生しやすい傾向にある。以上の説明から理解できるように、罫線パターンに基づく画質の評価値としては、罫線間距離Dras のバラツキ(変動)を示す種々の統計的な値を使用することが可能である。
【0076】
なお、上記の例では、罫線間距離Dras として隣接するラスタ上の2本の罫線の距離を使用したが、この代わりに、複数ラスタ分離れた2本の罫線の距離を使用することも可能である。例えば、4ラスタ分離れた2本の罫線間の距離や、6ラスタ分離れた2本の罫線間の距離などを使用してもよい。この理由は、副走査方向の記録解像度が高くなると、1ラスタの幅が小さくなるので、数ラスタの間の距離が変動したときにバンディングが目に付きやすくなるからである。このような場合に、複数ラスタ分離れた2本の罫線の距離を測定し、そのバラツキを示す統計的な値を画質の評価値として使用すれば、目に付きやすいバンディングが発生しにくいような好ましいドット記録方式を選択することができる。
【0077】
図13のステップS14では、モード決定部120が、複数のドット記録方式について得られた罫線間距離のバラツキの評価値ΔDras を比較して、評価値ΔDras が最も小さいドット記録方式を決定し、そのヘッドIDをヘッドIDメモリ202に設定する。
【0078】
なお、CMYKの4色のカラー印刷を行うプリンタにおいて、シアンとマゼンタのテストパターンを作成した場合には、シアンとマゼンタについて上記の評価値ΔDras がそれぞれ算出される。そして、これらの評価値から算出された総合的な評価値(例えばシアンとマゼンタの評価値ΔDras の合計)に基づいて、好ましいドット記録方式が決定される。また、淡シアンと淡マゼンタを含む6色のカラー印刷を行うプリンタにおいて、淡シアンと淡マゼンタのテストパターンを作成した場合には、淡シアンと淡マゼンタの評価値ΔDras から算出された総合的な評価値に基づいて、好ましいドット記録方式が決定される。
【0079】
図17は、テストパターンの記録とその読み取りの他の方法を示す説明図である。図17の上部には、1色分のノズルアレイの48個のすべてのノズル#0〜#47を用いて48本の横罫線を記録した例が示されている。偶数番目のノズルは印刷用紙の左側に罫線を記録し、奇数番目のノズルは印刷用紙の右側に罫線を記録している。また、最下端の1本の罫線(#47のノズルで記録される罫線)は、共通ラインCLとなっている。これらの罫線は、1回の主走査で記録される。従って、隣接する罫線の間隔は、ノズルピッチk[ドット]に等しい。なお、図17と同様に、各罫線を記録する左右方向の範囲は、2つではなく、3つに区分するようにしてもよい。
【0080】
図17のようなテストパターンを用いたときにも、図13の手順とほぼ同じ手順に従って処理が実行される。すなわち、ステップS12では、図17における各罫線の中心位置が、共通ラインCLからの距離DISとして測定される。例えば、図17のノズル番号#0と#1のノズルで記録された罫線の位置は、共通ラインCLからの距離DIS0−47,DIS1−47としてそれぞれ測定される。
【0081】
図17のようなテストパターンを利用した場合には、ステップS13におけるラスタ間距離Dras の決定は、以下に説明するように、図17のテストパターンを用いた場合とは多少異なる処理で実現される。実際の印刷時には、隣接するラスタラインを記録するノズルの組合せは、ドット記録方式に依存し、また、ドット記録方式が決まっている条件下では、隣接するラスタラインを記録するノズル番号の組合せは有限個の組合せに決まる。そこで、図17のようなテストパターンを利用した場合には、ラスタ間距離Dras は、実際の記録時において隣接するラスタラインを記録するノズル番号の組合せに応じて算出される。例えば、図12の記録方式では、3番目のラスタラインの偶数画素は0回目の副走査送り後にノズル#44で記録され、4番目のラスタラインは4回目の副走査送り後にノズル#28で記録される。このとき、3番目と4番目のラスタラインの偶数画素に関するラスタ間距離Dras は、以下の(1)式で与えられる。
【0082】
Dras =DIS44−47−DIS28−47+(ΣL)・w …(1)
【0083】
ここで、DIS44−47,DIS28−47は、図17のテストパターンにおいて、共通ラインCLからノズル#44とノズル#28で記録されたそれぞれの罫線までの距離であり、ΣLは実際の記録時における3番目のラスタラインと4番目のラスタラインの記録の間の副走査送り量の累計値、wはドットピッチ[インチ]である。この例では、3番目のラスタラインは0回目の副走査送り後に記録され、4番目のラスタラインは4回目の副走査送り後に記録されるので、ΣLは0回目の副走査送りから4回目の副走査送りまでの送り量の累計値である。なお、図11(A)に示されているように、0回目の副走査送りから4回目の副走査送りまでの送り量の累計値ΣLは97ドットである。
【0084】
他の隣接するラスタラインに関するラスタ間距離Dras も、上記と同様な式に従って算出することができる。従って、図17のように記録された罫線に関して距離DIS0−47〜DIS46−47を測定しておけば、あらゆるドット記録方式を用いたときの、あらゆる隣接ラスタラインに関してラスタ間距離Dras を算出することが可能である。そして、各ドット記録方式に関して、図9に示すようなラスタ間距離Dras の分布を求めることができる。なお、ラスタ間距離Dras の算出以降の処理は、図17の場合と同じなので、説明を省略する。
【0085】
なお、バンディング発生の主要な原因としては、副走査送り誤差と、ノズルピッチの製造誤差と、の2つがある。バンディングが主に副走査送り誤差に起因する場合には、図17のように、実際のドット記録方式に従って記録されたラスタラインの間の距離を測定することが好ましい。一方、バンディングが主にノズルピッチの製造誤差に起因する場合には、図17のように、1色分のすべてのノズルを用いて1回の主走査で直線状の罫線を記録し、これらの罫線の間の距離を測定するようにしても、ドット記録方式の良否を十分な精度で確認することができる。
【0086】
図18は、テストパターンの記録とその読み取りの更に他の方法を示す説明図である。図18の上部には、1色分のノズルアレイに設けられている48個のすべてのノズル#0〜#47を用いて48本の横罫線を記録した例が示されている。図18では、偶数番目のノズルも奇数番目のノズルも、印刷用紙の幅方向(X方向)に沿ったほぼ同じ位置に罫線を記録している。従って、隣接する罫線の間隔は、ノズルピッチk[ドット]に等しい。
【0087】
図18では、図示の便宜上、図17に比べて罫線を太く描いているが、実際には各罫線は図17のものと同じである。なお、図17と図18の方法の主な違いは、好ましい記録方式を選択する際に使用する評価値の算出方法の違いにあり、罫線の記録位置の違いには大きな意味は無い。すなわち、図17の方法において図18に示すテストパターンを用いてもよく、また、以下に説明する図18の方法において図17に示すテストパターンを用いてもよい。
【0088】
図19は、図18のテストパターンを用いたときの好ましい記録方式の選択手順を示すフローチャートである。ステップS21では、図18のようなテストパターンを印刷する。
【0089】
ステップS22では、イメージセンサ120によってテストパターンの画像を読取るとともに、モード決定部122がその画像を処理することによって、罫線の上端と下端の位置を決定する。例えば、図18のノズル#0で記録された罫線に関しては、罫線の上端位置Y0Uと下端位置Y0Lとが決定される。他のノズルで記録された罫線についても同様である。すなわち、48個のノズルでそれぞれ記録された48本の罫線について、その上端位置Y0U〜Y47U と下端位置Y0L〜Y47L とがそれぞれ決定される。なお、各罫線の上端位置と下端位置の値としては、各罫線上の複数の位置での平均値をそれぞれ採用することが好ましい。なお、Y方向(副走査方向)位置の基準位置の取り方は、任意である。例えばノズル#0で記録された罫線の上端位置Y0UをY=0の基準位置と取ってもよく、また、ノズル#47で記録された罫線の上端位置Y47U をY=0の基準位置と取ってもよい。
【0090】
ステップS23では、モード決定部122が、以下に示す手順に従って、各記録方式で画像を印刷した際の隣接ラスタライン間の重なりのバラツキの評価値ΔVras を計算する。ここではまず、テストパターンの各罫線の上端位置と下端位置とから、以下(2)式に従って各罫線の中心位置(すなわち重心)YiG(i=0〜47)を算出する。
0G=(Y0U+Y0L)/2
1G=(Y1U+Y1L)/2

iG=(YiU+YiL)/2

47G =(Y47U+Y47L)/2 …(2)
【0091】
次に、以下の(3)式に従って各罫線の線幅LBiG(i=0〜47)を算出する。
LB0G=(Y0U−Y0L
LB1G=(Y1U−Y1L

LBiG=(YiU−YiL

LB47G =(Y47U−Y47L) …(3)
【0092】
さらに、以下の(4)式に従って、#0ノズルを基準としたときのi番目のノズルのY方向アライメントYA(i=0〜47)を算出する。
YA = 0
YA =(Y1G−Y0G)−{P×1}

YA =(YiG−Y0G)−{P×i}

YA47=(Y47G−Y0G)−{P×47} …(4)
【0093】
ここで、Pは、ノズルピッチの設計値k[ドット]を距離の単位(例えば[mm])で表したものである。上記(4)式から理解できるように、#iノズルのY方向アライメントYAは、#0ノズルから#iノズルまでの実測距離(YiG−Y0G)と、その設計値{P×i}との差である。換言すれば、#iノズルのY方向アライメントYAは、#0ノズルから#iノズルまでの実測距離(YiG−Y0G)の、設計値{P×i}からのズレを示している。なお、#0ノズルのY方向アライメントYA は0であると定義している。この説明から解るように、Y方向アライメントYAは、各ノズルで記録される罫線の実測位置の設計位置からのズレを示す指標である。
【0094】
次に、以下の(5)式に従って、各ノズルのY方向絶対アライメントAYAを算出する。
AYA =YA −YAave=−Yave
AYA =YA −YAave

AYA =YA −YAave

AYA47=YA47−YAave …(5)
【0095】
ここで、YAaveは、次の(6)式に示すように、48本のノズルのY方向アライメントYAの平均値である。
Figure 0003580156
【0096】
上記(5)式から解るように、各ノズルのY方向絶対アライメントAYAは、各ノズルのY方向アライメントYA と、48本のノズルのY方向アライメントYAの平均値YAaveとの差である。
【0097】
次に、以下の(7)式に従って、各記録方式を用いて印刷された画像における隣接ラスタライン間の重なりVrasを算出する。
Vras=(LB +LBj+1 )−{D+(AYA −AYAj+1 )} …(7)
【0098】
ここで、LB ,LBj+1 は、印刷媒体の有効記録範囲におけるj番目とj+1番目のラスタラインの線幅をそれぞれ示し、Dは隣接ラスタライン間のピッチの設計値[mm]を、また、AYA ,AYAj+1 は有効記録範囲のj番目とj+1番目のラスタラインのY方向絶対アライメントを示す。
【0099】
(7)式の右辺第2項は、上述したY方向アライメントYAの説明からも理解できるように、隣接する2本のラスタラインの実際の距離を示している。従って、(7)式では、隣接する2本のラスタラインの実際の距離を考慮して(換言すれば実際の距離と設計値との差を考慮して)、その重なりを算出している。
【0100】
なお、隣接する2本のラスタラインの実際の距離を考慮せずに、その設計値Dを用い、次の(8)式に従って隣接ラスタライン間の重なりVrasを算出するようにしてもよい。
Vras=(LB +LBj+1 )−D …(8)
【0101】
但し、(8)式よりも、隣接する2本のラスタラインの実際の距離を考慮した(7)式を用いた方が、より現実的な重なり量を算出することが可能である。
【0102】
ところで、図12に示す第1のドット記録方式では、1番目のラスタラインは#24ノズルと#0ノズルとで記録されており、2番目のラスタラインは#36ノズルと#12ノズルとで記録されている。このように、j番目のラスタラインが2個のノズルで記録されるときには、その線幅LB としては、テストパターンにおいてそれらの2個のノズルで記録されたラスタラインの線幅の平均値が用いられる。従って、図12の場合には、1番目のラスタラインの線幅としては、図18において#24ノズルで記録されたラスタラインの線幅と、#0ノズルで記録されたラスタラインの線幅との平均値が用いられる。これは、Y方向絶対アライメントAYA に関しても同様である。なお、一般に、オーバーラップ方式においてj番目のラスタラインがm本(mは2以上の整数)のノズルを用いて記録されるときは、そのj番目のラスタラインの線幅LB とY方向絶対アライメントAYA としては、m本のノズルに対する線幅の平均値とm本のノズルに対するY方向絶対アライメントの平均値とがそれぞれ用いられる。
【0103】
上述した隣接ラスタライン間の重なりVrasの計算方法は、部分オーバーラップ方式でも同様である。例えばスキャン繰り返し数sが1より大きく2よりも小さな部分オーバーラップ方式では、j番目のラスタラインが2個のノズルで記録され、j+1番目のラスタラインは1個のノズルで記録される、という場合が起こり得る。このような場合には、j番目のラスタラインについては2個のノズルに対する線幅の平均値とY方向絶対アライメントの平均値とが上記(7)で用いられ、一方、j番目のラスタラインについては1個のノズルに対する線幅とY方向絶対アライメントとが用いられる。
【0104】
図20は、ドット記録方式が決まっている条件下で得られた隣接ラスタ間の重なりVras の頻度分布を示すグラフである。図20に示すように、ラスタ間の重なりVras も正規分布に近い頻度分布を示すものと期待される。ラスタ間の重なりVras のバラツキの評価値としては、ラスタ間の重なりVras の最大値と最小値との差分ΔVras を使用することができる。あるいは、ラスタ間の重なりVras の頻度分布の標準偏差σや分散などを、ラスタ間の重なりVras のバラツキの評価値として使用するようにしてもよい。これらの差分ΔVras や標準偏差σや分散などが大きいほど、ラスタ間の重なりの変動も大きい。一方、バンディングは、隣接するラスタ間の重なりが一定ではなく、変動があるときに発生し易い。従って、ラスタ間の重なりのバラツキの評価値が大きいほど、バンディングが発生しやすい傾向にある。以上の説明から理解できるように、テストパターンの画質の評価値としては、ラスタ間の重なりVras のバラツキ(変動)を示す種々の統計的な値を使用することが可能である。
【0105】
なお、上記の例では、ラスタ間の重なりVras として、隣接する2本のラスタラインの重なりを使用したが、この代わりに、複数ラスタラインにわたる重なりの合計値や平均値を使用することも可能である。例えば、隣接する7本のラスタラインの間の6箇所の重なりの平均値などを使用してもよい。この理由は、副走査方向の記録解像度が高くなると、1ラスタラインの幅が小さくなるので、数ラスタラインにわたる重なりの平均値が変動したときにバンディングが目に付きやすくなるからである。このような場合に、複数ラスタラインにわたる重なりの合計値や平均値を測定し、そのバラツキを示す統計的な値を画質の評価値として使用すれば、目に付きやすいバンディングが発生しにくいような好ましいドット記録方式を選択することができる。
【0106】
図19のステップS24では、モード決定部120が、複数のドット記録方式について得られたラスタ間の重なりのバラツキの評価値ΔVras を比較して、評価値ΔVras が最も小さいドット記録方式を決定し、そのヘッドIDをヘッドIDメモリ202に設定する。
【0107】
なお、図13や図19の手順の代わりに、ラスタ間距離のバラツキの評価値ΔDras とラスタ間の重なりのバラツキの評価値ΔVras との両方に基づいて、好ましい記録方式を選択するようにしてもよい。例えば、これらの評価値ΔDras ,ΔVras から算出される総合評価値(例えばΔDras +ΔVras )に基づいて、好ましい記録方式を選択することができる。なお、評価値としては、これらの評価値以外のものも併せて利用可能である。すなわち、一般には、ラスタ間距離のバラツキの評価値とラスタ間の重なりのバラツキの評価値とのうちの少なくとも一方に基づいて、好ましい記録方式を選択するようにすればよい。
【0108】
なお、上述したラスタ間距離のバラツキの評価値ΔDras や、ラスタ間の重なりのバラツキの評価値ΔVras の算出方法は単なる一例であり、これら以外の種々の方法で、ラスタ間距離のバラツキの評価値や、ラスタ間の重なりのバラツキの評価値を求めることも可能である。
【0109】
ところで、上記(4)式で与えられる各ノズルのY方向アライメントYAも、バンディングに影響を与えることは容易に理解できる。従って、線幅の代わりに、Y方向アライメントYA(すなわち罫線の実測位置の設計位置からのズレ)に基づいて、好ましい記録方式を選択するようにすることも可能である。また、線幅とY方向アライメントの両方に基づいて、好ましい記録方式を選択するようにすることも可能である。
【0110】
図21は、図18に示すテストパターンの代わりに用いられる他のテストパターンを示す説明図である。図21のテストパターンでは、横罫線の代わりに、ドット(黒丸で示す)を間欠的に記録した直線状パターンが記録されている。図21において複数のドットを貫通している直線は、単にラスタラインの中心位置を示すための補助線である。このようなテストパターンは、約50%以下の範囲の中間調領域内の特定の階調を有する画像を記録する際の駆動信号に応じて印刷される。この理由は、バンディングは中間調において目立ち易いので、中間調における記録動作に従って記録されたテストパターンを使用すれば、中間調におけるバンディングの発生をより適切に評価することができるからである。ここで、「駆動信号」とは、印刷ヘッド28の各ノズルの駆動素子(ピエゾ素子)に供給される信号(すなわち前述した図8(c)に示す信号)を意味している。なお、図15や図17においても、中間調における記録動作に従って、間欠的にドットを記録した直線状パターンを形成してもよい。
【0111】
図21に示すテストパターンの読取りや測定の方法は、図17の場合と同じなので、ここではその説明は省略する。
【0112】
なお、本明細書においては、直線上に配列されているパターンを一般に「直線状パターン」と呼んでいる。従って、図21に示した間欠的なパターンのみでなく、図18に示した横罫線も「直線状パターン」の一種である。この例から理解できるように、各ノズルの特性を知るためには、各ノズルで記録された直線状パターンの特徴を測定することが好ましい。
【0113】
上述のように、テストパターン(検査用画像)を何らかのセンサで読み取り、そのセンサの出力を分析して画質に影響する評価値を算出するようにすれば、検査者や使用者が検査用画像を観察せずに、自動的に好ましいドット記録方式を選択することが可能である。
【0114】
上述のテストパターンの印刷において、階調レベルが約50%以下である中間調領域の画像を有する画像を印刷する際の駆動信号を使用する理由は、以下の通りである。第1の理由は、バンディングが、このような中間調領域の画像において目立ち易いからである。第2の理由は、以下に説明するように、バンディングに影響を与えるインク滴の重量やドットの記録位置が画像の階調に依存して多少変化するので、中間調領域の画像におけるバンディングを正しく評価するためには、中間調領域の画像の印刷に使用される駆動信号を用いてテストパターンを印刷することが好ましいからである。
【0115】
バンディングが、インク滴の重量の変化やドットの記録位置の変化に影響されることは、以下のように理解することができる。多くの場合に、バンディングは、隣接するラスタラインの間に形成されたインクの無い帯状の部分である。インク的の重量が増加してドットが大きくなると隣接するラスタライン同士の重なりが大きくなるので、このようなバンディングは緩和される。また、副走査方向に沿ったドットの記録位置の変化は、ラスタ間距離のバラツキに影響するので、バンディングの発生に直接的な影響を与える。このように、ドットの大きさの変化と、ドットの記録位置の変化とは、いずれもバンディングに影響することが解る。また、以下に説明するように、インク滴の重量やドットの記録位置は、主走査方向に沿ったドットの記録頻度(すなわち駆動信号周波数fDRV )に依存して変化する。
【0116】
図22(A)は、駆動信号周波数fDRV とインク滴重量との関係を示しており、図22(B)は、駆動信号周波数fDRV とラスタ間距離のバラツキの評価値ΔDras との関係を示している。図22(A)に示されているように、駆動信号周波数fDRV が変わると、インク滴重量も変化する。インク滴重量が変化すると、ドットの大きさが変わる。また、インク滴重量の変化は、ノズルの先端からのインク滴の吐出速度にも影響を与え、この吐出速度の変化がドットの記録位置にも影響を与える。インク滴重量が駆動信号周波数fDRV に依存する理由は、駆動信号周波数fDRV が高いと、1つのパルスによって生起されたノズルのメニスカス振動(インク滴が凹凸になる振動)が収束しないうちに次のパルスがノズルに印可されるからであると推定される。図22(B)に示すように、駆動信号周波数fDRV が変わると各ノズルによるドットの記録位置も変化するので、ラスタ間距離のバラツキの評価値ΔDras も変動する。
【0117】
このように、バンディングの発生の程度は、駆動信号周波数fDRV に依存するので、階調レベルが約50%以下である中間調領域の画像におけるバンディングを評価するためには、このような中間調画像を記録する際の記録動作に応じてテストパターンを印刷することが好ましい。こうすれば、バンディングの発生を、実際の印刷に近い状態で評価することができる。
【0118】
なお、発明者の実験によれば、バンディングは、画像の階調レベルが約3%から約50%の範囲の中間調領域において目立ち易く、特に約5%から約30%の範囲で目立ち易い。従って、これらの範囲の中間調領域の画像を記録する際の記録動作に応じてテストパターンを印刷すれば、バンディングの発生を評価する上でより好ましい。
【0119】
ところで、上述の説明から解るように、バンディングの発生は、隣接するラスタライン同士の重なり量と、ラスタ間距離のバラツキとに大きな影響を受ける。そこで、ラスタ間距離のバラツキの評価値と、ラスタライン同士の重なり量のバラツキの評価値との両方を用いてバンディングの発生の程度を評価して、好ましいドット記録方式を選択するようにしてもよい。なお、ラスタライン同士の重なり量は、図21に示したテストパターンにおけるドットの大きさの測定値から決定することができる。
【0120】
ドットの大きさを変化させることのできるバリアブルドット(可変量ドット)を利用可能なプリンタにおいては、以下のようにして好ましいドット記録方式を選択することも可能である。
【0121】
図25は、可変量ドット印刷用の原駆動信号波形を示す説明図であり、図24は、この原駆動信号を利用して記録された可変量ドットの一例を示している。図25に示すように、この可変量ドット印刷用の原駆動信号では、1画素区間が小ドット部と中ドット部とに区分されている。小ドット部では小ドットパルスW1が発生し、中ドット部では中ドットパルスW2が発生する。小ドットを記録する場合には、1画素区間内の小ドットパルスW1のみをピエゾ素子に印加する。また、中ドットを記録する場合には、1画素区間内の中ドットパルスW1のみをピエゾ素子に印加する。また、1画素区間内の小ドットパルスW1と中ドットパルスW2の双方をピエゾ素子に印加すると、大ドットが記録される(図24参照)。
【0122】
図25は、可変量ドットを用いた階調再現方法を示すグラフである。図25の横軸は画像信号レベルの相対値を示し、縦軸は3種類のドットのドット記録密度を示している。なお、画像信号レベルは、画像の濃度階調(濃度レベル)を示す階調値に相当する。
【0123】
図25のグラフにおいて、画像信号レベルが0%〜約16%の階調範囲では、小ドットのドット記録密度が画像信号レベルの増加とともに0%から約50%まで直線的に増加している。この結果、画像信号レベルが約16%である画像部分では小ドットが約半分の画素位置に形成される。また、画像信号レベルが約16%〜約50%の階調範囲では、小ドットのドット記録密度が画像信号レベルの増加とともに約50%から約15%まで直線的に減少しており、一方、中ドットのドット記録密度が0%から約80%まで直線的に増加している。画像信号レベルが約50%〜100%の階調範囲では、小ドットと中ドットのドット記録密度が画像信号レベルの増加とともに0%に至るまで直線的に減少しており、一方、大ドットのドット記録密度が0%から100%まで直線的に増加している。このように、各画像部分の画像信号レベルに応じて、その画像部分が1種類または2種類のドットで記録されることにより、画像の濃度階調が滑らかに直線的に再現される。
【0124】
このような可変量ドットを用いて印刷した画像においては、階調値が約8%から約28%の範囲のときに、バンディングが目立ちやすいことが判明した。従って、テストパターンもこの階調範囲の中間調画像を印刷する際の記録動作に従って印刷することが好ましい。なお、約8%〜約16%の階調範囲では、小ドットのみが記録されるが、約16%〜約28%の階調範囲では小ドットと中ドットとが混在して記録される。小ドットと中ドットとが混在した状態で図21のテストパターンを印刷すると、ドットの大きさやラスタラインの中心位置を正確に測定することが難しくなる。従って、小ドットのみでテストパターンを印刷することが好ましい。一般には、階調レベルが約50%以下である中間調領域の画像を有する中間調画像の印刷に使用される1種類のドットを用いて、その中間調画像の印刷に適用されるドット記録動作に従ってテストパターンを印刷することが好ましい。また、テストパターンに適用する駆動信号としては、バンディングが特に目立ちやすい約8%〜約28%の範囲内での印刷に適用される駆動信号を用いることが好ましい。なお、バンディングが目立ち易い階調範囲は、プリンタによって異なるが、通常は、約3%〜約50%の階調範囲においてバンディングが目立ち易く、特に約5%〜約30%の階調範囲においてバンディングが目立ち易い傾向にある。従って、通常は、これらの階調範囲内での印刷に適用される駆動信号を用いることが好ましい。
【0125】
上述した好ましいドット記録方式の選択は、解像度と記録速度の各組合せ毎に実行するようにすることが好ましい。すなわち、カラープリンタ22において選択しうる解像度と記録速度の組合せが複数組存在する場合には、その各組ごとに、1つの好ましいドット記録方式が選択されることが好ましい。但し、記録速度の差があまり問題とならない場合には、記録速度に係わらず、同じの解像度を有する複数のドット記録方式の中から1つの好ましいドット記録方式を選択するようにしてもよい。
【0126】
また、上述した図13の手順は、以下のような種々の時点で実行することができる。
(1)印刷ヘッド28の製造時。
(2)カラープリンタ22の製造時。
(3)ユーザの使用時。
【0127】
例えば、上記(2)の時点、すなわち、カラープリンタ22の製造工程において、個々のカラープリンタ22に対して図13の処理を実行するようにすれば、出荷されるカラープリンタ22に対してそれぞれ高画質を達成するための好ましいドット記録方式を設定することができる。なお、カラープリンタ22の性能は経年的に変化するので、長年の使用の後には高画質を達成するドット記録方式が変わる可能性もある。従って、カラープリンタ22の使用開始後に、好ましいドット記録方式を変更することができるようにしておけば、経年変化による画質の劣化を或る程度防止することが可能である。この意味では、上記(3)の時点でも図13の手順を実行できるようにしておくことが好ましい。
【0128】
なお、この実施例では、好ましいドット記録方式を指定するためのモード指定情報が、書き換え可能なPROM42に格納されているので、好ましいドット記録方式を示すモード指定情報をカラープリンタ22内に常時格納しておくことができるとともに、必要に応じてモード指定情報を変更することが可能である。
【0129】
なお、モード指定情報(ヘッドID)は、プリンタ22内のPROM42以外にも、種々の態様で設定しておくことができる。例えば、印刷ヘッド28に設けられた不揮発性メモリにヘッドIDを格納しておくことが可能である。また、印刷ヘッド28の電気接点や形状的な突起などによってヘッドIDを識別可能に設定しておき、プリンタ22に、このヘッドIDを識別できる要素(回路やスイッチ)を設けるようにしてもよい。すなわち、モード指定情報を設定する手段としては、メモリに限らず、電気的な接点や機械的な構造などの種々の形態を採用することができる。
【0130】
前述したように、好ましいドット記録方式のパラメータは、コンピュータ90の起動時にプリンタドライバ96がインストールされる際に、プリンタドライバ96によってPROM42から読み出される。すなわち、プリンタドライバ96は、モード指定情報(ヘッドID)で指定された好ましいドット記録モードに対するドット記録モード情報をPROM42から読み込む。ラスタライザ97とハーフトーンモジュール99における処理や、主走査および副走査の動作は、このドット記録モード情報に応じて実行される。
【0131】
なお、PROM42から好ましいドット記録方式のパラメータを読み出すタイミングは、プリンタドライバ96のインストール時に限らず、種々の変形が可能である。例えば、コンピュータ90の電源投入時に毎回読み出すようにしてもよい。こうすれば、プリンタ22自身が交換された場合にも、新しいプリンタ22内のPROM42に格納された好ましいドット記録方式のパラメータを読み出すことができる。あるいは、印刷の実行時に(例えばユーザが印刷開始を指示する度に)、PROM42の情報を毎回読み出すようにしてもよい。これは、例えばネットワーク接続された多数の同型のプリンタが存在し、実際に印刷に使用するプリンタを選択できるような場合に好ましい態様である。この場合には、印刷の実行の度に、選択されたプリンタのPROM42から好ましいドット記録方式のパラメータを読み出せるので、選択されたプリンタに適したドット記録方式で記録を実行することができる。
【0132】
プリンタドライバ96内にすべてのドット記録モード情報が予め登録されている場合には、プリンタドライバ96は、PROM42からモード指定情報のみを読み出せばよい。この際、双方向のデータ通信ができないなどの理由によってモード指定情報の読み込みエラーが生じた場合には、以下のように対処することが可能である。すなわち、読み込みエラーが発生したときには、プリンタ本体に印刷媒体上にモード指定情報(すなわちヘッドID)を印刷させ、また、プリンタドライバ96のユーザインタフェイス(コンピュータ90の画面上に表示される)上に、印刷されたモード指定情報(ヘッドID)の入力をユーザに促すような表示を行う。具体的には、例えば、画面上のユーザインタフェイス領域に、「プリンタで印刷されたヘッドIDをキーボードから入力して下さい」という文字を表示すれば良い。こうすれば、プリンタドライバ96は、ユーザが入力したモード指定情報に応じたドット記録方式のパラメータを用いて各種の処理を実行することができる。
【0133】
以上のように、上記実施例によれば、少なくとも同一の解像度を有する複数のドット記録方式の中から、高画質を達成できる好ましいドット記録方式を選択するようにしたので、個々のカラープリンタ22の状態に応じてそれぞれ高画質の画像を記録することができる。
【0134】
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0135】
(1)この発明はカラー印刷だけでなくモノクロ印刷にも適用できる。また、ドラムスキャンプリンタにも適用できる。尚、ドラムスキャンプリンタでは、ドラム回転方向が主走査方向、キャリッジ走行方向が副走査方向となる。また、この発明は、インクジェットプリンタのみでなく、一般に、複数のドット形成要素アレイを有する記録ヘッドを用いて印刷媒体の表面に記録を行うドット記録装置に適用することができる。ここで、「ドット形成要素」とは、インクジェットプリンタにおけるインクノズルのように、ドットを形成するための構成要素を意味する。このようなドット記録装置としては、例えばファクシミリ装置や、コピー装置などがある。
【0136】
(3)上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、カラープリンタ22の制御回路40(図2)の機能を、コンピュータ90が実行するようにすることもできる。この場合には、プリンタドライバ96等のコンピュータプログラムが、制御回路40における制御と同じ機能を実現する。
【0137】
このような機能を実現するコンピュータプログラムは、フロッピディスクやCD−ROM等の、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供される。コンピュータシステム90は、その記録媒体からコンピュータプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送する。あるいは、通信経路を介してプログラム供給装置からコンピュータシステム90にコンピュータプログラムを供給するようにしてもよい。コンピュータプログラムの機能を実現する時には、内部記憶装置に格納されたコンピュータプログラムがコンピュータシステム90のマイクロプロセッサによって実行される。また、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータシステム90が直接実行するようにしてもよい。
【0138】
この明細書において、コンピュータシステム90とは、ハードウェア装置とオペレーションシステムとを含む概念であり、オペレーションシステムの制御の下で動作するハードウェア装置を意味している。コンピュータプログラムは、このようなコンピュータシステム90に、上述の各部の機能を実現させる。なお、上述の機能の一部は、アプリケーションプログラムでなく、オペレーションシステムによって実現されていても良い。
【0139】
なお、この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像処理システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】画像出力装置20の一例としてのカラープリンタ22の構成を示す概略構成図。
【図3】印刷ヘッド28の構造を例示する説明図。
【図4】インクの吐出の原理を説明する説明図。
【図5】インク吐出用ヘッド61〜64におけるインクジェットノズルの配列を示す説明図。
【図6】ドット記録モードに応じた駆動制御に関連する構成の機能ブロック図。
【図7】印刷ヘッド駆動部214の内部構成を示すブロック図。
【図8】印刷ヘッド駆動部214の動作を示すタイミングチャート。
【図9】駆動信号DRVの周波数fDRV とドット記録密度との関係を示すグラフ。
【図10】ドット記録方式を規定するパラメータを示す説明図。
【図11】記録速度がほぼ等しい4つのドット記録方式における走査パラメータを示す説明図。
【図12】第1ドット記録方式において各ラスタラインを記録するノズル番号を示す説明図。
【図13】好ましいドット記録方式の選択手順を示すフローチャート。
【図14】淡インクと濃インクのバリアブルドットを形成できるプリンタにおける階調値とドット記録率との関係を示す説明図。
【図15】テストパターンの記録とその読み取り方法とを示す説明図。
【図16】1つのドット記録方式について得られたラスタ間距離Dras の頻度分布を示すグラフ。
【図17】テストパターンの記録とその読み取りの他の方法を示す説明図。
【図18】テストパターンの記録とその読み取りの更に他の方法を示す説明図。
【図19】好ましいドット記録方式の他の選択手順を示すフローチャート。
【図20】1つのドット記録方式について得られたラスタ間の重なりVras の頻度分布を示すグラフ。
【図21】図18に示すテストパターンの代わりに用いられる他のテストパターンを示す説明図。
【図22】駆動信号周波数fDRV とインク滴重量との関係、および、駆動信号周波数fDRV とラスタ間距離のバラツキの評価値ΔDras との関係を示す説明図。
【図23】可変量ドット印刷用の原駆動信号波形を示す説明図。
【図24】可変量ドットの一例を示す説明図。
【図25】可変量ドットを用いた階調再現方法を示すグラフ。
【符号の説明】
12…スキャナ
20…画像出力装置
21…カラーディスプレイ
22…カラープリンタ
23…紙送りモータ
24…キャリッジモータ
26…プラテン
28…印刷ヘッド
31…キャリッジ
32…操作パネル
34…摺動軸
36…駆動ベルト
38…プーリ
39…位置検出センサ
40…制御回路
42…PROM
61〜64…インク吐出用ヘッド
65…導入管
71,72…インク用カートリッジ
80…インク通路
90…コンピュータ
91…ビデオドライバ
93…CRTディスプレイ
95…アプリケーションプログラム
96…プリンタドライバ
97…ラスタライザ
98…色補正モジュール
99…ハーフトーンモジュール
100〜103…ノズル群
110…モード指定情報書込モジュール
120…イメージセンサ
122…モード設定部
202…モードIDメモリ(モード指定情報設定手段)
204…記録モード設定部
208…駆動部制御部
206…記録モードテーブル(記録モード格納手段)
210…主走査駆動部
212…副走査駆動部
214…印刷ヘッド駆動部
216…ラスタデータ格納部
220…原駆動信号発生部
222…マスク回路

Claims (10)

  1. サイズの異なる複数種類のドットをインク毎に吐出可能なカラー印刷装置において、前記印刷装置の主走査および副走査の動作を規定するドット記録モードとして、複数のドット記録モードの中から好ましいドット記録モードを選択する方法であって、
    前記複数のドット記録モードは、それぞれ複数回の副走査送りが繰り返し実行され、前記繰り返し実行される複数回の副走査における送り量の値の並び方がそれぞれ異なり、これによって隣接する2本のラスタラインを記録する複数のノズルの組合せが異なるとともに、同一の解像度を有し記録速度がほぼ等しい記録モードであり、
    前記方法は、
    (a)階調レベルが約5%〜約30%の範囲である中間調領域のカラー画像を印刷する際に使用されるドットサイズのシアンおよびマゼンタのインクドットを用い、約5%〜約30%の範囲の中間調領域での印刷に適用される駆動信号を用いて所定の検査用画像をそれぞれ印刷する工程と、
    (b)前記検査用画像を検査することによって、前記複数のドット記録モードの中から好ましいドット記録モードを決定する工程と、
    を備えることを特徴とするドット記録モード選択方法。
  2. 請求項1記載の方法であって、
    前記印刷装置がシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4種類のインクを用いてカラー画像を印刷可能なときに、
    前記工程(a)は、前記検査用画像として、前記中間調領域の画像の印刷に使用されるシアンのドットを用いて作成されるシアン検査用画像と、前記中間調領域の画像の印刷に使用されるマゼンタのドットとを用いて作成されるマゼンタ検査用画像とを少なくとも作成する工程を含み、
    前記工程(b)は、前記シアン検査用画像に関する前記評価値と、前記マゼンタ検査用画像に関する前記評価値とに少なくとも基づいて、前記好ましい1つのドット記録モードを選択する工程を含む、ドット記録モード選択方法。
  3. 請求項1記載の方法であって、
    前記印刷装置が濃シアンと、淡シアンと、濃マゼンタと、淡マゼンタとを含む複数種類のインクを用いてカラー画像を印刷可能なときに、
    前記工程(a)は、前記検査用画像として、前記中間調領域の画像の印刷に使用される淡シアンのドットを用いて作成される淡シアン検査用画像と、前記中間調領域の画像の印刷に使用される淡マゼンタのドットとを用いて作成されるマゼンタ検査用画像とを少なくとも作成する工程を含み、
    前記工程(b)は、前記淡シアン検査用画像に関する前記評価値と、前記淡マゼンタ検査用画像に関する前記評価値とに少なくとも基づいて、前記好ましい1つのドット記録モードを選択する工程を含む、ドット記録モード選択方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の方法であって、
    前記検査用画像は、階調レベルが約5%〜約30%の範囲である中間調領域の画像を印刷する際に適用されるドット記録動作に従ってそれぞれ印刷される、ドット記録モード選択方法。
  5. 請求項4記載の方法であって、
    前記印刷装置は、印刷媒体上にドットを形成するための複数のドット形成要素が配列されたドット形成要素アレイを備えており、
    前記検査用画像は、複数のドット形成要素がそれぞれ主走査方向に沿ってドットを間欠的に記録することによって形成された複数の直線状パターンを含んでおり、
    前記工程(b)は、
    前記複数の直線状パターンの間の距離を測定する工程と、
    前記複数の直線状パターンの間の距離から、印刷の際に隣接して記録されるラスタラインの間隔のバラツキを示す第1の評価値を算出するとともに、前記第1の評価値に少なくとも基づいて前記好ましい1つのドット記録モードを選択する工程と、
    を備えるドット記録モード選択方法。
  6. 請求項4記載の方法であって、
    前記印刷装置は、印刷媒体上にドットを形成するための複数のドット形成要素が配列されたドット形成要素アレイを備えており、
    前記検査用画像は、複数のドット形成要素がそれぞれ主走査方向に沿ってドットを間欠的に記録することによって形成された複数の直線状パターンを含んでおり、
    前記工程(b)は、
    前記複数の直線状パターンの幅をそれぞれ測定する工程と、
    各直線状パターンの幅に少なくとも基づいて、前記複数のドット記録モードのそれぞれに従って印刷される画像において隣接して記録されるラスタラインの重なりのバラツキを示す第2の評価値を算出するとともに、前記第2の評価値に少なくとも基づいて前記好ましい1つのドット記録モードを選択する工程と、
    を備えるドット記録モード選択方法。
  7. 請求項6記載の方法であって、
    前記工程(b)は、
    前記隣接して記録されるラスタラインの幅を、前記複数の直線状パターンの幅からそれぞれ決定する工程と、
    前記隣接して記録されるラスタラインの距離の実測値と設計値との差分を求める工程と、
    前記隣接して記録されるラスタラインの幅を上記差分によって補正することによって、前記ラスタラインの重なりを決定する工程と、
    を備える、ドット記録モード選択方法。
  8. 請求項5ないし7のいずれかに記載の方法であって、
    前記印刷装置は、1つのドット形成要素を用いて大きさの異なる複数種類のドットを印刷媒体上に記録可能であり、
    前記検査用画像は、前記中間調領域の画像の印刷に適用される駆動信号周波数を有する駆動信号が前記ドット記録要素に与えられて、前記中間調領域の画像の印刷に使用される1種類のドットが印刷媒体上に記録されることによって印刷される、ドット記録モード選択方法。
  9. サイズの異なる複数種類のドットをインク毎に吐出可能なカラー印刷装置であって、
    階調レベルが約5%〜約30%の範囲である中間調領域のカラー画像を印刷する際に使用されるドットサイズのシアンおよびマゼンタのインクドットを用い、約5%〜約30%の範囲の中間調領域での印刷に適用される駆動信号を用いて所定の検査用画像をそれぞれ印刷する検査用画像印刷部と、
    前記検査用画像を読取るセンサと、
    前記センサの出力を分析することによって、複数のドット記録モードの中から好ましいドット記録モードを決定するドット記録モード決定部と、
    を備え、
    前記複数のドット記録モードは、それぞれ複数回の副走査送りが繰り返し実行され、前記繰り返し実行される複数回の副走査における送り量の値の並び方がそれぞれ異なり、これによって隣接する2本のラスタラインを記録する複数のノズルの組合せが異なるとともに、同一の解像度を有し記録速度がほぼ等しい記録モードであることを特徴とする印刷装置。
  10. サイズの異なる複数種類のドットをインク毎に吐出可能なカラー印刷装置を備えたコンピュータに使用され、前記印刷装置の主走査および副走査の動作を規定するドット記録モードとして、複数のドット記録モードの中から好ましいドット記録モードを選択するためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
    前記複数のドット記録モードは、それぞれ複数回の副走査送りが繰り返し実行され、前記繰り返し実行される複数回の副走査における送り量の値の並び方がそれぞれ異なり、これによって隣接する2本のラスタラインを記録する複数のノズルの組合せが異なるとともに、同一の解像度を有し記録速度がほぼ等しい記録モードであり、
    前記記録媒体は、
    階調レベルが約5%〜約30%の範囲である中間調領域のカラー画像を印刷する際に使用されるドットサイズのシアンおよびマゼンタのインクドットを用い、約5%〜約30%の範囲の中間調領域での印刷に適用される駆動信号を用いて所定の検査用画像をそれぞれ印刷する機能と、
    前記検査用画像を検査することによって、前記複数のドット記録モードの中から好ましいドット記録モードを決定する機能と、
    をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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