JP4148279B2 - テスト用ドット記録方法およびプリンタ - Google Patents

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Description

この発明は、ドット記録ヘッドの往復双方向動作中に記録媒体にドットを形成し画像を記録するプリンタに関し、詳しくは該プリンタによりテスト用ドットを形成する技術に関する。
ドット記録ヘッドが主走査方向に往復運動し、記録媒体を副走査方向に走査しながら記録を行う記録装置としては、インクジェットプリンタがある。このようなプリンタにおいては、記録速度の向上のため、ドット記録ヘッドに複数のノズルを備えたものが多い(以下、マルチヘッドという)。カラー印刷が可能なプリンタでは、各色インクについてそれぞれ上述のマルチヘッドを備えたものが多い。
このようなプリンタにおいては、さらに記録速度を向上するために、ドット記録ヘッドの主走査方向の往運動中のみならず、復運動中にもドットを形成するものもある。この場合、復運動中に形成されるドットが、往運動中に形成されたドットとの相対的関係において本来形成されるべき位置からずれた位置に形成されては、良好な画像が記録され得ないことになる。この現象は、種々の要因、例えばプリンタの駆動機構上必要となるあそび(バックラッシ)等によって生じるが、記録媒体たる用紙の厚さの違いによっても生じ得る。
図12に用紙の厚さによって記録ドットにずれが生じる様子を示す。図11(a)に示す通り、用紙PA1上に往行程においてドットdt11を形成し、その隣にドットdt12を復行程において形成する場合を考える。このときノズルNzは、それぞれ往行程、復行程における速度を考慮して図11(a)に示す位置でインク滴Ik11、Ik12を発射する。これらはそれぞれ図11(a)に示す軌跡を描いて目標とする位置に着弾し、ドットdt11、dt12を形成する。
一方、用紙を厚いものに変更した場合の様子を図11(b)に示す。この場合は、ノズルNzと用紙PA2との間の距離は、図11(a)におけるノズルNzと用紙PA1との間の距離よりも小さくなる。従って、往行程、復行程において図11(a)の場合と同じタイミングでインク滴を発射したとすれば、インク滴Ik21、Ik22はそれぞれ図11(b)に示す軌跡を描いて着弾し、ドットdt21、dt22を形成する。この結果、形成された両ドットは隣接しないものとなり、本来の記録されるべき画像が得られなくなる。本来記録されるべき画像を得るためには、復行程のインク発射タイミングを図11(b)に示したタイミングよりは遅らせる必要がある。
上記ずれをなくすために、往行程と復行程のドット記録タイミングを種々に変化させて所定のテストパターンを記録させ、最も良好な記録結果が得られたタイミングを選択することにより、ドット記録タイミングの調整を行う方法が採られている。上述した原因等も考慮すると、ドット記録タイミングの調整は、プリンタの出荷時のみならず、その使用者が行う場合もある。
従来より、上記テストパターンとして、図12に示すライン状のものが用いられている。図12に示した各ラインについて、上半分は往行程により記録されたものであり、下半分は復行程により記録されたものである。ドット記録タイミングを種々のタイミングに変化させることにより、図12(a)から(e)に示すように上半分と下半分の位置関係が種々変化したラインが形成される。図12(c)は上半分と下半分の相対的ずれが生じていない良好な画像であるため、ドット記録タイミングとして、図12(c)に対応するタイミングを選択すればよいことになる。
また、適正なタイミングで記録された場合には、一定領域がドットで埋め尽くされる、いわゆるベタ塗り状態となるテストパターンを記録する方法も提案されている。このテストパターンは、ドット記録タイミングが適正なタイミングからずれている場合には、ベタ塗り状態となるべき領域にドットが形成されない白い筋が現れる。従って、このような筋が現れないドット記録タイミングを選択することにより、その調整をすることができる。
特開平7−81190号公報
しかし、図12に示したようなライン状のテストパターンでは、ドット記録タイミングが十分に調整できないという課題があった。図12は、説明の便宜上、テストパターンを拡大して示してあるが、実際には1列のドットにより形成されるものであり、図12(b)または図12(d)と図12(c)の判別は非常に困難である。特に、プリンタの使用者にとっては、日頃テストパターンを見慣れていないため、上記判別はさらに困難のものとなっていた。高解像度化が進んだ最近のプリンタでは、ドット記録タイミングを精度よく調整できない場合には、良好な画像が記録され得ない可能性もあった。
また、一定領域をベタ塗り状態とするテストパターンにおいても、ドット記録タイミングが十分に調整できない場合があった。つまり、上記白い筋は非常に微細なものであるため、用紙にインクが着弾した際のにじみ等により判別が困難となることがあった。
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、往行程と復行程におけるドット記録タイミングを適切に調整することができるテストパターンを形成する技術を提示することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1のプリンタは、
ドット記録ヘッドを用いて記録媒体の表面にドットを形成し画像の記録を行うプリンタであって、
前記ドット記録ヘッドと前記記録媒体の少なくとも一方を駆動して、前記ドット記録ヘッドの往復運動からなる主走査を行う主走査駆動手段と、
前記主走査がなされる方向と交差する方向に前記ドット記録ヘッドと記録媒体の少なくとも一方を送る副走査駆動手段と、
前記主走査の運動中に前記ドット記録ヘッドを駆動してドットの形成を行わせるヘッド駆動手段と、
前記主走査の往運動中に、前記主走査方向に第1の所定間隔ずつ離れ、前記副走査方向に第2の所定間隔ずつ離れた複数のドットからなるテストパターンを形成するように前記ヘッド駆動手段を制御する往行程テストパターン形成手段と、
前記主走査の復運動中に、前記往行程テストパターン形成手段により形成された各ドットとの間隔が、前記主走査方向においては前記第1の所定間隔の約半分となる条件、または前記副走査方向においては前記第2の所定間隔の約半分となる条件の少なくとも一方が成立する位置にある複数のドットからなるテストパターンを形成すべきタイミイングで前記ヘッド駆動手段を制御する復行程テストパターン形成手段とを備えることを要旨とする。
本発明の第1のテストパターン形成方法は、
ドット記録ヘッドにより記録媒体にドットを形成し画像を記録するプリンタにおいて、前記ドット記録ヘッドの往運動中および復運動中の双方向で複数のドットからなるテストパターンを形成するテストパターン形成方法であって、
前記ドット記録ヘッドの往運動中に、前記主走査方向に第1の所定間隔ずつ離れ、前記副走査方向に第2の所定間隔ずつ離れた複数のドットからなる往行程テストパターンを形成し、
前記ドット記録ヘッドの復運動中に、前記往行程テストパターンにおける各ドットとの間隔が、前記主走査方向においては前記第1の所定間隔の約半分となる条件、または前記副走査方向においては前記第2の所定間隔の約半分となる条件の少なくとも一方が成立する位置にある複数のドットからなる復行程テストパターンを形成すべきタイミイングでドットを形成することを要旨とする。
上述のプリンタまたはテストパターン形成方法によれば、ドット記録ヘッドの往運動中に、主走査方向に第1の所定間隔ずつ離れ、副走査方向に第2の所定間隔ずつ離れた複数のドットからなる往行程テストパターンを形成することができる。また、復運動中に前記往行程テストパターン形成手段により形成された各ドットとの間隔が、前記主走査方向においては前記第1の所定間隔の約半分となる条件、または前記副走査方向においては前記第2の所定間隔の約半分となる条件の少なくとも一方が成立する位置にある複数のドットからなるテストパターンを形成することができる。従って、ドット記録タイミングが適正なタイミングに調整されている場合には、往行程テストパターンと復行程テストパターンの重ね合わせにより一定領域内に複数のドットが一様な間隔で並んだテストパターンが形成される。このテストパターンは、濃淡のムラのない一様なパターンとして目視される。
これに対し、ドット記録タイミングが適正な状態からずれている場合には、往行程テストパターンと復行程テストパターンとの間に相対的なずれが生じる。このとき、両行程により形成される複数のドットの一様性がくずれ、ドットが密な部分と疎な部分とが生じる。この疎密は、ドットが形成された領域内の濃淡のムラとして目視される。以上より、本発明のプリンタまたはテストパターン形成方法によれば、この濃淡のムラの有無を判別することにより、プリンタのドット記録タイミングの調整をすることができる。
前記プリンタにおいては、
前記第1の所定間隔および第2の所定間隔の少なくとも一方は、前記往行程テストパターン形成手段および前記復行程テストパターン形成手段の双方により形成されるテストパターンの空間周波数が0.4〜2.0サイクル/mmとなる間隔とすることが望ましい。
また、前記テストパターン形成方法においては、
前記第1の所定間隔または第2の所定間隔の少なくとも一方は、形成されるテストパターンの空間周波数が0.4〜2.0サイクル/mmとなる間隔にすることが望ましい。
上述の通り、本発明のプリンタまたはテストパターン形成方法は、形成されたテストパターンに生じる濃淡のムラの有無を判別することにより、プリンタのドット記録タイミングの調整をするものである。一般に人間の目視感度は、空間周波数に応じて変化することが知られており、0.4〜2.0サイクル/mmのとき感度が高くなることが知られている。従って、テストパターンの空間周波数を0.4〜2.0サイクル/mmとすることにより、ドット記録タイミングのずれによる濃淡を感度よく目視することができる。このような観点からすれば、テストパターンの空間周波数は、厳密に0.4〜2.0サイクル/mmである必要はなく、かかる範囲外であっても、ドット形成タイミングのずれによる濃淡のムラが感度よく目視しうる空間周波数であればよい。0.4〜2.0サイクル/mmとは、このような幅を含んだ空間周波数を意味している。
かかる観点から、従来にはなかった次の方法でテストパターンを設計するものとしてもよい。即ち、本発明のテストパターン設計方法は、
ドット記録ヘッドにより記録媒体にドットを形成するプリンタにおいて、前記ドット記録ヘッドの往運動中および復運動中の双方向で形成される複数のドットからなるテストパターンを設計するテストパターン設計方法であって、
前記テストパターンは、所定領域内において所定間隔ごとに形成された複数のドットからなるテストパターンとし、
明度に対する人間の目視感度の極大値となる最適空間周波数を特定し、
前記テストパターンの空間周波数が前記最適空間周波数と略同一となるようにドット間の前記所定間隔を定めることを要旨とする。
一方、前記プリンタを、
前記副走査方向に該プリンタにより形成しうる最小ドット間隔よりも大きい一定のノズル間隔ごとに設置された複数のノズルを備えたものとし、
前記第2の所定間隔は前記ノズル間隔の整数倍もしくは1/整数倍とすることも望ましい。
従来技術において述べた通り、ドット記録を行うプリンタには、ドット記録ヘッドに複数のノズルを備えたものが多く、このようなプリンタの中には副走査方向のノズル間隔が該プリンタにより形成しうる最小ドット間隔よりも大きいものもある。かかるプリンタにおいては、前記テストパターンについて、副走査方向のドット間隔である前記第2の所定間隔を、前記ノズル間隔の整数倍もしくは1/整数倍に一致させることにより、テストパターンを効率的に形成することができる。
本発明の第2のプリンタは、
ドット記録ヘッドを用いて記録媒体の表面にドットを形成し画像の記録を行うプリンタであって、
前記ドット記録ヘッドと前記記録媒体の少なくとも一方を駆動して、前記ドット記録ヘッドの往復運動からなる主走査を行う主走査駆動手段と、
前記主走査がなされる方向と交差する方向に記録媒体を送る副走査駆動手段と、
前記主走査の運動中に前記ドット記録ヘッドを駆動してドットの形成を行わせるヘッド駆動手段と、
前記主走査の往運動と復運動の両運動中において、ドットを形成することにより所定のテストパターンを形成するように前記ヘッド駆動手段を制御する双方向ドット形成手段と、
前記主走査の往運動中または復運動中のいずれかの運動中のみにドットを形成することにより前記所定のテストパターンを形成するように前記ヘッド駆動手段を制御する単方向ドット形成手段と、
前記双方向ドット形成手段により形成されるテストパターンに近接して、前記単方向ドット形成手段により形成されるテストパターンを記録するように、双方向ドット形成手段と単方向ドット形成手段を選択する選択手段とを備えることを要旨とする。
このプリンタは、所定のテストパターンをドット記録ヘッドの往運動と復運動の両運動中、即ち双方向で形成することができる。また、所定のテストパターンをヘッドの往運動中または復運動中のいずれかの運動中、即ち単方向でのみドットを形成することもできる。単方向で形成されたテストパターンは、ドット形成タイミングのずれがない理想的なテストパターンとなる。さらに、上記双方向で形成したテストパターン(双方向テストパターン)と単方向で形成したテストパターン(単方向テストパターン)とを近接して記録することができる。従って、双方向テストパターンのドット形成タイミングのずれを比較的容易に目視することができ、そのずれの調整を比較的容易に行うことができる。
なお、近接とは、単方向テストパターンと双方向テストパターンとを比較し易い位置関係で記録するものであればよく、以下の種々の態様が含まれる。例えば、両者を上下または左右にそれぞれ接するように記録する場合、両者をわずかなすきまを隔てて記録する場合等である。また、ドット形成タイミングを種々に変化させて複数の双方向テストパターンを記録する場合、各双方向テストパターンの間に単方向テストパターンを挿入するように記録してもよいし、双方向テストパターンの周囲等の一部に単方向テストパターンを代表的に記録するようにしてもよい。
一方、単方向テストパターンを形成できないプリンタであっても、次のテストパターン記録媒体を用いることにより、上述と同じ効果を得ることができる。このテストパターン記録方法に用いられるテストパターン記録媒体は、
前記テストパターン形成方法によりテストパターンが形成される領域とは、少なくとも一部において重複しない領域に、
前記主走査の復運動中のドット形成タイミングが最も好ましい状態において、前記主走査の往運動および復運動の双方により形成されるべき最適テストパターンが予め記録されていることを要旨とする。
本発明におけるコンピュータ読みとり可能な記憶媒体は、
ドット記録ヘッドにより記録媒体にドットを形成し画像を記録するプリンタに備えられたコンピュータにより、前記ドット記録ヘッドの往運動中および復運動中の双方向で複数のドットからなるテストパターンを形成するためのプログラムを記憶したコンピュータ読みとり可能な記憶媒体であって、
前記ドット記録ヘッドの往運動中に、前記主走査方向に第1の所定間隔ずつ離れ、前記副走査方向に第2の所定間隔ずつ離れた複数のドットからなる往行程テストパターンを形成する工程と、
前記ドット記録ヘッドの復運動中に、前記往行程テストパターンにおける各ドットとの間隔が、前記主走査方向においては前記第1の所定間隔の約半分となる条件、または前記副走査方向においては前記第2の所定間隔の約半分となる条件の少なくとも一方が成立する位置にある複数のドットからなる復行程テストパターンを形成すべきタイミイングでドットを形成する工程とを
コンピュータに実現させるプログラムを記憶したことを要旨とする。
このようなプログラムがコンピュータにより実行されると、上述の所定のテストパターンが形成され、プリンタのドット記録タイミングの調整を行うことができる。
なお、記憶媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。また、コンピュータに上記の発明の各工程または各手段の機能を実現させるコンピュータプログラムを通信経路を介して供給するプログラム供給装置としての態様も含む。
(1)装置の構成
図4に本発明のプリンタの概略構造を示し、図3に本発明のプリンタを用いたシステム例としてのカラー画像処理システムの構成を示す。プリンタの機能を明確にするため、まず、図3によりカラー画像処理システムの概要を説明する。このカラー画像処理システムは、スキャナ12と、パーソナルコンピュータ90と、カラープリンタ22とを有している。パーソナルコンピュータ90は、カラーディスプレイ21とキーボード、マウス等からなる入力部92を備えている。スキャナ12は、カラー原稿からカラー画像データを読み取り、R,G,Bの3色の色成分からなる原カラー画像データORGをコンピュータ90に供給する。
コンピュータ90の内部には、図示しないCPU,RAM,ROM等が備えられており、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれており、アプリケーションプログラム95からはこれらのドライバを介して、最終カラー画像データFNLが出力されることになる。画像のレタッチなどを行うアプリケーションプログラム95は、スキャナから画像を読み込み、これに対して所定の処理を行いつつビデオドライバ91を介してCRTディスプレイ21に画像を表示している。このアプリケーションプログラム95が、印刷命令を発行すると、コンピュータ90のプリンタドライバ96が、画像情報をアプリケーションプログラム95から受け取り、これをプリンタ22が印字可能な信号(ここではCMYKの各色についての2値化された信号)に変換している。図3に示した例では、プリンタドライバ96の内部には、アプリケーションプログラム95が扱っているカラー画像データをドット単位の画像データに変換するラスタライザ97と、ドット単位の画像データに対してプリンタ22が使用するインク色CMYおよび発色の特性に応じた色補正を行う色補正モジュール98と、色補正モジュール98が参照する色補正テーブルCTと、色補正された後の画像情報からドット単位でのインクの有無によってある面積での濃度を表現するいわゆるハーフトーンの画像情報を生成するハーフトーンモジュール99とが備えられている。プリンタ22は、印字可能な上記信号を受け取り、記録用紙に画像情報を記録する。
次に、図4によりプリンタ22の概略構成を説明する。図示するように、このプリンタ22は、紙送りモータ23によって用紙Pを搬送する機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ31をプラテン26の軸方向に往復動させる機構と、キャリッジ31に搭載された印字ヘッド28を駆動してインクの吐出およびドット形成を制御する機構と、これらの紙送りモータ23,キャリッジモータ24,印字ヘッド28および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とから構成されている。
このプリンタ22のキャリッジ31には、黒インク用のカートリッジ71とシアン,マゼンタ,イエロの3色のインクを収納したカラーインク用カートリッジ72が搭載可能である。キャリッジ31の下部の印字ヘッド28には計4個のインク吐出用ヘッド61ないし64が形成されており、キャリッジ31の底部には、この各色用ヘッドにインクタンクからのインクを導く導入管65(図5参照)が立設されている。キャリッジ31に黒インク用のカートリッジ71およびカラーインク用カートリッジ72を上方から装着すると、各カートリッジに設けられた接続孔に導入管が挿入され、各インクカートリッジから吐出用ヘッド61ないし64へのインクの供給が可能となる。
インクが吐出される機構を簡単に説明する。図4に示すように、インク用カートリッジ71,72がキャリッジ31に装着されると、毛細管現象を利用してインク用カートリッジ内のインクが導入管65を介して吸い出され、キャリッジ31下部に設けられた印字ヘッド28の各色ヘッド61ないし64に導かれる。なお、初めてインクカートリッジが装着されたときには、専用のポンプによりインクを各色のヘッド61ないし64に吸引する動作が行われるが、本実施例では吸引のためのポンプ、吸引時に印字ヘッド28を覆うキャップ等の構成については図示および説明を省略する。
各色のヘッド61ないし64には、図5に示したように、各色毎に32個のノズルNzが設けられており、各ノズル毎に電歪素子の一つであって応答性に優れたピエゾ素子PEが配置されている。ピエゾ素子PEとノズルNzとの構造を詳細に示したのが、図6である。図示するように、ピエゾ素子PEは、ノズルNzまでインクを導くインク通路80に接する位置に設置されている。ピエゾ素子PEは、周知のように、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネルギの変換を行う素子である。本実施例では、ピエゾ素子PEの両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加することにより、図6下段に示すように、ピエゾ素子PEが電圧の印加時間だけ伸張し、インク通路80の一側壁を変形させる。この結果、インク通路80の体積は、ピエゾ素子PEの伸張に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、粒子Ipとなって、ノズルnの先端から高速に吐出される。このインク粒子Ipがプラテン26に装着された用紙Pに染み込むことにより、印刷が行われることになる。
以上説明したハードウェア構成を有するプリンタ22は、紙送りモータ23によりプラテン26その他のローラを回転して用紙Pを搬送しつつ(以下、副走査という)、キャリッジ31をキャリッジモータ24により往復動させ(以下、主走査という)、同時に印字ヘッド28の各色ヘッド61ないし64のピエゾ素子PEを駆動して、各色インクの吐出を行い、ドットを形成して用紙P上に多色の画像を形成する。各色のヘッド61〜64におけるノズルの具体的な配列に関してはさらに後述する。なお、キャリッジ31の往運動時にのみドットを形成する記録モード(単方向記録)とキャリッジ31の往復運動時双方においてドットを形成する記録モード(双方向記録)とが選択可能となっている。
用紙Pを搬送する機構は、紙送りモータ23の回転をプラテン26のみならず、図示しない用紙搬送ローラに伝達するギヤトレインを備える(図示省略)。また、キャリッジ31を往復動させる機構は、プラテン26の軸と並行に架設されキャリッジ31を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ31の原点位置を検出する位置検出センサ39等から構成されている。
制御回路40の内部には、図示しないCPUやメインメモリ(ROMやRAMU)のほかに、書き換え可能な不揮発性メモリとしてのプログラマブルROM(PROM)42が備えられている。PROM42には、双方向記録においてドットを形成する記録タイミングに関する情報等、複数のドット記録モード情報が格納されている。ドット記録モード情報は、コンピュータ90の起動時にプリンタドライバ96(図3)がインストールされる際に、プリンタドライバ96によってPROM42から読み出されており、主走査および副走査の動作等は、この情報に応じて実行される。
なお、PROM42は、書き換え可能な不揮発性メモリであればよく、EEPROMやフラッシュメモリなどの種々の不揮発性メモリを使用することができる。また、モード指定情報は書き換え可能な不揮発性メモリに格納することが好ましいが、ドット記録モード情報は、書き換えができないROMに格納するようにしてもよい。また、複数のドット記録モード情報は、PROM42ではなく、他の記憶手段に格納されていてもよく、また、プリンタドライバ96内に登録されていてもよい。
図7は、インク吐出用ヘッド61〜64におけるインクジェットノズルの配列を示す説明図である。第1のヘッド61には、ブラックインクを噴射するノズルアレイが設けられている。また、第2ないし第4のヘッド62〜64にも、シアン、マゼンタ及びイエローのインクをそれぞれ噴射するノズルアレイが設けられている。これらの4組のノズルアレイの副走査方向の位置は、互いに一致している。
4組のノズルアレイは、副走査方向に沿って一定のノズルピッチkで千鳥状に配列された32個のノズルNzをそれぞれ備えている。なお、各ノズルアレイに含まれる32個のノズルNzは、千鳥状に配列されている必要はなく、一直線上に配置されていてもよい。但し、図7(a)に示すように千鳥状に配列すれば、製造上、ノズルピッチkを小さく設定し易いという利点がある。
図7(b)は、1つのノズルアレイによって形成される複数のドットの配列を示している。この実施例では、インクノズルの配列が千鳥状か直線状かに関わらず、1つのノズルアレイによって形成される複数のドットは、副走査方向に沿ってほぼ一直線上に並ぶように、各ノズルのピエゾ素子PE(図6)に駆動信号が供給される。例えば、図7(a)のようにノズルアレイが千鳥状に配列されている場合において、図の右方向にヘッド61が走査されてドットを形成していく場合を考える。この時、先行するノズル群100,102…は、後追するノズル群101,103…よりも、d/v[秒]だけ早いタイミングで駆動信号が与えられる。ここで、d[インチ]は、ヘッド61における2つのノズル群の間のピッチ(図7(a)参照)であり、v[インチ/秒]はヘッド61の走査速度である。この結果、1つのノズルアレイによって形成される複数のドットは、副走査方向に沿って一直線上に配列される。なお、各ヘッド61〜64に設けられている32個のノズルは、常に全数が使用されるとは限らず、ドット記録方式によっては、その一部のノズルのみが使用される場合もある。
(2)双方向記録におけるドット記録タイミング調整
上述のプリンタ22が双方向記録を行う場合のドット記録タイミングの調整方法について説明する。入力部92を介して調整モードによる印字が指示されると、コンピュータ90は、プリンタドライバ96を用いて、ROMに記憶されているテストパターンをプリンタ22に印字させる。印字されるまでの過程は、既に説明した画像情報の記録と同様である。テストパターンは、その一部がキャリッジ31の往運動中に形成され、残りの部分が復運動中に形成される。なお、本実施例のプリンタ22はカラー印刷が可能であるが、ドット記録タイミングの調整は、一色で行えば十分であるため、上記テストパターンの印刷は、黒の単色にて行われる。
コンピュータ90は、双方向記録におけるドット記録タイミングの調整を可能とするため、キャリッジ31の復運動中のドット記録タイミングを種々変化させながら、上記テストパターンを印刷する。ドット記録タイミングは既に述べた通り、プリンタ22のPROMに記憶されており、コンピュータ90の起動時にプリンタドライバ96によってPROM42から読み出されている。コンピュータ90は、このドット記録タイミングを中心として所定の範囲ずつ記録タイミングを早めたものと遅めたものとを印刷するのである。また、各ドット記録タイミングで記録された各テストパターンの横には、記録タイミングを特定できる符号が同時に印刷される。
プリンタ22の使用者は、このように印刷されたテストパターンを比較し、その中で最も良好な画像が記録されているものを選択し、選択したテストパターンの横に記録されている符号を入力部92からコンピュータ90に入力する。入力後、プリンタドライバ96は、入力された符号に相当するドット記録タイミングでプリンタ22に印刷を実行させる。こうしてプリンタ22のドット記録タイミングの調整が完了する。また、新たに設定されたドット記録タイミングは、プリンタ22のPROMに記憶され、一旦電源をオフにしてもその情報は維持されるため、頻繁にドット記録タイミングの調整を行う必要はない。
なお、上述したドット記録タイミングの調整方法は、一例に過ぎず、ドット記録タイミングの入力と該ドット記録タイミングによるテストパターンの印刷とを繰り返し行うことによって、逐次良好なタイミングに調整していくものとしてもよい。また、上記コンピュータ90、プリンタドライバ96および入力部92に相当する機能をプリンタ22本体に備え、プリンタ22単独で、ドット記録タイミングの調整が行えるものとしてもよい。
(3)正規ディザマトリックスによるテストパターン
前記「(2)双方向記録におけるドット記録タイミング調整」では、ドット記録タイミング調整方法として一般的な事項を説明した。以下では、本発明の第1実施例たるプリンタ22に特徴的な部分について説明する。即ち、プリンタ22により形成されるテストパターン、およびそのテストパターンを用いたドット記録タイミングの調整方法等について説明する。
本実施例のプリンタ22は、テストパターンとして正規ディザマトリックスからなる複数のドットを印刷する。正規ディザマトリックスとは、主走査方向および副走査方向に規則正しくドットが並ぶパターンをいう。具体的なテストパターンの拡大図を図2(a)に示す。これは、ドット記録タイミングが最も良好な状態で記録された場合のテストパターンである。図2(a)において、丸印で記載されているのが、キャリッジ31の往行程により形成されるドットであり、四角で記載されているのが、復行程により形成されるドットである。往行程または復行程により形成される各ドット間の主走査方向の間隔d1および副走査方向の間隔d2は等しく、前述したノズルピッチk(図7)と一致している。また、往行程により形成されるドットと復行程により形成されるドットとの主走査方向の間隔d3および副走査方向の間隔d4は等しく、ノズルピッチkの半分(k/2)となっている。つまり、本テストパターンは、互いに主走査方向および副走査方向にそれぞれk/2だけ離れた複数のドットが規則正しく並んだパターンとなっている。
次に、ドット記録タイミングが変化した場合のテストパターンの様子を図1に示す。ここに示した図も拡大図であり、現実には更に細かいドットおよび間隔からなるテストパターンが形成される。図1(a)は、最も良好なタイミングでドットが形成された場合のテストパターンを示しており、図1(b)、図1(c)の順にドット記録タイミングがずれていった状態を示している。また、各図の右側にテストパターンの一部を拡大して示す。拡大図において下向きの矢印で示されたドットD1は、キャリッジ31の往行程で形成されたものであり、上向きの矢印で示されたドットD2は復行程で形成されたものである(以下、前者を往行程ドットD1といい、後者を復行程ドットD2という)。
図1(a)では、往行程ドットD1と復行程ドットD2とが、一定の間隔で規則正しく並んでいるため、テストパターンは濃淡のムラのない一様な状態として目視される。このとき、往行程ドットD1と復行程ドットD2の主走査方向の間隔は、前述の通りk/2となっている。これに対し、図1(b)は、復行程ドットD2が図の右方向に若干ずれている。従って、往行程ドットD1と復行程ドットD2の主走査方向の間隔は、復行程ドットD2の左側ではk/2よりも大きく、右側ではk/2よりも小さくなっている。このようなドット間隔の偏りが原因となって、図1(b)ではテストパターンに濃淡のムラが現れる。図1(c)は、復行程ドットD2がさらに右方向にずれた場合であり、往行程ドットD1と復行程ドットD2の主走査方向の間隔も、さらに偏っている。この結果、図1(c)ではテストパターンに図1(b)よりも大きな濃淡のムラが現れる。
このように正規ディザマトリックスからなるテストパターンを種々のドット記録タイミングで印刷し、濃淡のムラのない、最も一様に記録されたものを選択するようにすれば、プリンタ22のドット記録タイミングの調整を行うことができる。また、この方法によれば、ドット記録タイミングのずれを一定の領域に印刷されたテストパターンの濃淡で判断するため、図12に示したライン状のテストパターンのように微細なドットのずれによる判断手法よりも、容易かつ精密にドット記録タイミングのずれを判断することができる。
なお、テストパターンは適正なドット記録タイミングで印刷された場合に、濃淡のムラのない一様な状態として目視し得るものであればよい。例えば、上述した図2(a)に示すパターンの他、図2(b)および図2(c)に示すパターン等にしてもよい。図2(b)に示すパターンでは、往行程ドットは主走査方向に間隔d1、副走査方向に間隔d2で一様に並んでいるが、間隔d1が間隔d2の2倍となっている点で、間隔d1と間隔d2が等しい図2(a)の場合と異なる。図2(b)の復行程ドット同士の間隔は往行程ドットと同じく主走査方向に間隔d1、副走査方向に間隔d2であり、往行程ドットと復行程ドットの間隔は、主走査方向に間隔d1/2、副走査方向に間隔0となっている。つまり、副走査方向には、往行程ドットと復行程ドットは同じ位置に並んでいる。間隔d1/2は間隔d2と等しくなるため、このようなテストパターンが適正なタイミングで印刷された場合には、図2(b)に示す通り、各ドットがそれぞれd2の間隔で規則正しく並んだテストパターンとなり、濃淡のムラのない一様な状態として目視される。また、図2(b)のテストパターンにおいて主走査方向と副走査方向を入れ替えたテストパターン、つまり図2(b)のテストパターンを90度回転させたパターンとしてもよい。
図2(c)に示したテストパターンは、往行程ドット同士、復行程ドット同士の間隔および往行程ドットと復行程ドット間の間隔は、図2(b)と同じであるが、往行程ドット、復行程ドットがそれぞれ千鳥状に並んでいる点で図2(b)と異なる。このようなテストパターンが、適正なタイミングで印刷された場合には、各ドットがそれぞれd2の間隔で規則正しく並んだテストパターンとなり、濃淡のムラのない一様な状態として目視される。
前記各種のテストパターンは、適正なタイミングで印刷された場合には各ドットは、主走査方向にも副走査方向にも一定の間隔で一様に並んでいるが、必ずしも両者が一定の間隔で並ぶ必要はなく、それぞれの方向において一定の間隔で一様に並んでいるものであればよい。例えば、図2(a)において、主走査方向の間隔d1と副走査方向の間隔d2が異なるものとしてもよいし、主走査方向の間隔d1および副走査方向の間隔d2は、それぞれノズルピッチkと異なる間隔としてもよい。この場合において、主走査方向の間隔d1と副走査方向の間隔d2の相違は、一方が他方の数倍以上に至る大きな相違であっても構わない。
本実施例のプリンタ22は、上記図2(a)に示したテストパターンについて、主走査方向および副走査方向の間隔をそれぞれ空間周波数が1サイクル/mmとなるような間隔d1、間隔d2で印刷することもできる。空間周波数とは、この場合、印刷されたテストパターンの濃淡変化の周波数をいう。図2(a)では、往行程ドットが形成されている部分および復行程ドットが形成されている部分は濃となり、ドットが形成されていない部分は淡となる。例えば、図2(a)を最も左の列(図2(a)のc1列)に記録された往行程ドットから始めて主走査方向に見た場合を考える。このとき、c1列は往行程ドットが形成されているため濃の列となり、そのすぐ右側(同図のc2列)は淡の列となる。さらに右側(同図のc3列)には復行程ドットが形成されているため濃の列となり、その右側(同図のc4列)は淡の列となる。このようにc1列の往行程ドットから次の往行程ドット(同図c5列)に至るまでの間には濃淡変化が2回現れることになる。ここで、図1(b)に示したようにドット記録タイミングがずれた場合も考慮すれば、濃淡変化は往行程ドット間の間隔d1に現れる2回の変化で一周期の変化であるといえる。従って、主走査方向の間隔d1が1mmであるとき、空間周波数は1サイクル/mmとなる。同様の考え方によれば、図2(b)および図2(c)においても、主走査方向の間隔d1が1mmであるとき、主走査方向の空間周波数が1サイクル/mmとなる。
一般に空間周波数に応じて記録された画像のノイズに対して、人間の視覚の感度は変化することが知られている。この関係を図8に示す。これは、視覚の空間周波数特性(VTF:Visual Transfer Function)として知られているグラフであり、横軸に空間周波数、縦軸に各空間周波数における視覚の感度を示したものである。このグラフによれば、空間周波数が0.4〜2.0サイクル/mmである場合に視覚感度が比較的高くなり、約1サイクル/mmにおいて極大となることが分かる。上述のテストパターンは、このような空間周波数で記録されているため、ドット記録タイミングのずれによる濃淡のムラを感度よく目視することができ、ドット記録タイミングの調整を精度よく行うことができる。
ドット記録タイミングは、主走査方向に生じるずれを調整するものであるため、主走査方向のみ視覚感度が高くなる空間周波数を選択するものとしてもよい。従って、主走査方向は空間周波数の観点から間隔d1を1mmとし、副走査方向はテストパターンを効率よく形成する観点から間隔d2をノズルピッチkに一致するものとしてもよい。
ここで、空間周波数に基づく視覚感度の変化に着目したテストパターンの設計方法について説明する。図8のグラフから明らかな通り、視覚感度は空間周波数が0.4〜2.0サイクル/mmの範囲で比較的高くなっている。従って、この範囲でテストパターンの空間周波数を選択する。この際、必ずしも視覚感度の極大値である約1サイクル/mmを選択する必要はなく、目標とするドット記録タイミングの調整精度に応じて、十分な視覚感度が得られる空間周波数を選択すればよい。こうして得られた空間周波数の逆数をとれば、テストパターンの往行程ドット間隔(図2(a)におけるd1、d2)を求めることができる。なお、明度に対する視覚感度が縦方向と横方向で相違する場合には、をそれぞれの感度が高くなる空間周波数に合わせて間隔d1と間隔d2をそれぞれ設定してもよい。次に復行程ドット位置(図2(a)におけるd3、d4)について、d3=d1/2またはd4=d2/2の少なくとも一方が成立するように間隔d3,d4を設定することにより好適なテストパターンが設計される。
以上で設計されたテストパターンは、ドット記録タイミングの調整を行う目的を十分果たすことができるが、本実施例のように図7に示した通り、複数のノズルがヘッドに備えられているプリンタ(図7参照)では、副走査方向の間隔d2をノズルピッチkの整数倍もしくは1/整数倍に一致させるものとしてもよい。こうすることにより、視覚感度が高い空間周波数において、テストパターンを効率的に形成することもできる好ましいテストパターンを得ることができる。この場合において、さらに主走査方向の間隔d1も副走査方向の間隔d2と一致したものとすれば、主走査方向および副走査方向の双方においてテストパターンの一様性を確保することができる。以上で説明した通り、空間周波数と視覚感度の特性に着目することにより、目標とするドット記録タイミングの調整精度に応じて種々のテストパターンを設計することができる。
次にプリンタ22に用いられるテストパターン記録用紙の実施例について図9を用いて説明する。これは、本実施例のプリンタ22におけるドット記録タイミングの調整をさらに精度よく、容易なものとするために用いられる。図9(a)に示すテストパターン記録用紙には、中央部に所定の間隔をおいて帯状に、最も適切なタイミングで記載されたテストパターン(図1(a)に相当する)が予め記録されている。本実施例のプリンタ22は、この記録用紙中央部のドット記録領域にテストパターンを印刷する。このような記録用紙を用いれば、予め記載されているテストパターンと印刷されたテストパターンとの直接対比が可能となり、ドット記録タイミングの調整を比較的容易かつ精度よく行うことができる。特に、普段テストパターンを見慣れていないプリンタ使用者であっても、容易かつ精度よくドット記録タイミングの調整を行うことが可能である。
予め記載するテストパターンは、印刷されたテストパターンとの直接対比がしやすいものであればよく、図9(a)に示す場合の他、テストパターンを記録用紙の上下に記載するもの(図9(b))、記録用紙の一部に代表的に記載するもの(図9(c))、副走査方向に所定の間隔をおいて数行にわたって記載するもの(図9(d))等が考えられる。また、これらのテストパターンとプリンタ22により印刷されるテストパターンとが、互いに重ならない領域が存在するものであれば、一部において重なりが生じるものであっても構わない。例えば、図9(d)に示した記録用紙の場合、プリンタ22のプラテン26への記録用紙の装着ずれにより、テストパターンが重複して印刷される可能性があるが、副走査方向に所定の間隔を設けているため、両者が重ならない部分が存在する。このような記録用紙であれば、ドット記録タイミングの調整は可能である。
本実施例のプリンタ22によるテストパターンの印刷は、コンピュータ90がこのような機能を実現するプログラムに従ってプリンタ22を動かすことにより実現しているものである。従って、本発明は上記各機能を実現するプログラムを記憶した記憶媒体としての実施の形態をとることもできる。つまり、上述の機能を実現するプログラムは、フロッピディスクやCD−ROM等の、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された形態で提供される。コンピュータは、その記憶媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送する。あるいは、通信経路を介してコンピュータにプログラムを供給するようにしてもよい。プログラムの機能を実現する時には、内部記憶装置に格納されたプログラムがコンピュータのマイクロプロセッサによって実行される。また、記憶媒体に記憶されたプログラムをコンピュータが読み取って直接実行するようにしてもよい。
なお、コンピュータは、CPU、RAM、ROM、入力部等を備え、プログラムを実行することにより上記機能を実現できるものであればよく、プリンタ22にコンピュータが内蔵されているものとしてもよい。また、「記憶媒体」としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。
(4)第2実施例
次に本発明の第2実施例としてのプリンタ22について説明する。このプリンタ22の構成は、第1実施例と同じであり、印刷するテストパターンも第1実施例(図2(a))と同じである。但し、本実施例のプリンタ22は、テストパターンの印刷方法が第1実施例と異なっている。
本実施例のプリンタ22は、第1実施例と同じくキャリッジ31の往行程と復行程の双方向において印刷する双方向記録と、キャリッジ31の往行程のみで印刷する単方向記録により、図2(a)に示した正規ディザマトリックスを印刷することができる。単方向記録の場合には、図2(a)に丸印と四角印で示したドット全てがキャリッジ31の往行程において印刷されるのである。従って、単方向記録の場合には、ドット記録タイミングのずれが生じないため、常に最も良好な状態のテストパターンが印刷されることになる。
テストパターンの印刷が指示されると、本実施例のプリンタ22は、単方向記録により形成されたテストパターン(以下、単方向テストパターンという)と、双方向記録により形成されたテストパターン(以下、双方向テストパターンという)とが近接するようにテストパターンの印刷を行う。具体的には、図10(d)に示す通り、単方向テストパターンと双方向テストパターンとが副走査方向に交互に並ぶように印刷する。双方向テストパターンは、ドット記録タイミングを種々の値に変化させて印刷されている。
このようなプリンタ22によれば、上述したテストパターン記録用紙を用いなくても、理想的な状態を示す単方向テストパターンと印刷されたテストパターンとの直接対比が可能となり、ドット記録タイミングの調整を比較的容易かつ精度よく行うことができる。特に、普段テストパターンを見慣れていないプリンタ使用者であっても、容易かつ精度よくドット記録タイミングの調整を行うことが可能である。
なお、単方向テストパターンと双方向テストパターンの記録位置は、両者の直接対比が可能となる位置であればよい。例えば、図10(a)に示す通り単方向テストパターンの両端に双方向テストパターンを記録したり、図10(b)に示す通り単方向テストパターンの上下に双方向テストパターンを記録するようにしたり、図10(c)に示す通り用紙の一部に代表的に双方向テストパターンを記録するようにしてもよい。また、図10(a)〜(d)では両者を一定の隙間をおいて印刷しているが、両者を接するように記録してもよい。
以上、本発明の種々の実施例について説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の形態が可能である。
正規ディザマトリックスを用いたテストパターン例を示す説明図である。 正規ディザマトリックス例を示す説明図である。 本発明のプリンタを用いた画像処理システムの概略構成図である。 本発明のプリンタの概略構成図である。 本発明のプリンタのドット記録ヘッドの概略構成を示す説明図である。 本発明のプリンタにおけるドット形成原理を示す説明図である。 本発明のプリンタのキャリッジにおけるノズル配列および該ノズルによるドット形成の様子を示す説明図である。 空間周波数と視覚感度の関係を示すグラフである。 テストパターン記録用紙例を示す説明図である。 本発明の第2実施例におけるテストパターンの印刷状態を示す説明図である。 用紙厚さとインク着弾位置の関係を示す説明図である。 従来のテストパターン例を示す説明図である。
符号の説明
12…スキャナ
21…カラーディスプレイ
22…カラープリンタ
23…紙送りモータ
24…キャリッジモータ
26…プラテン
28…印字ヘッド
31…キャリッジ
32…操作パネル
34…摺動軸
36…駆動ベルト
38…プーリ
39…位置検出センサ
40…制御回路
42…プログラマブルROM(PROM)
61、62、63、64…インク吐出用ヘッド
65…導入管
71…黒インク用のカートリッジ
72…カラーインク用カートリッジ
80…インク通路
90…パーソナルコンピュータ
91…ビデオドライバ
92…入力部
95…アプリケーションプログラム
96…プリンタドライバ
97…ラスタライザ
98…色補正モジュール
99…ハーフトーンモジュール

Claims (2)

  1. ドット記録ヘッドを用いて記録媒体の表面にドットを形成し画像の記録を行うプリンタであって、
    前記ドット記録ヘッドと前記記録媒体の少なくとも一方を駆動して、前記ドット記録ヘッドの往復運動からなる主走査を行う主走査駆動手段と、
    前記主走査がなされる方向と交差する方向に前記ドット記録ヘッドと記録媒体の少なくとも一方を送る副走査駆動手段と、
    前記主走査の運動中に前記ドット記録ヘッドを駆動してドットの形成を行わせるヘッド駆動手段と、
    前記主走査の往運動中に、前記主走査方向に第1の所定間隔ずつ離れ、前記副走査方向に第2の所定間隔ずつ離れた複数のドットからなるテストパターンを形成するように前記ヘッド駆動手段を制御する往行程テストパターン形成手段と、
    前記主走査の復運動中に、前記往行程テストパターン形成手段により形成された各ドットとの間隔が、前記主走査方向においては前記第1の所定間隔よりも小さくなる条件、または前記副走査方向においては前記第2の所定間隔よりも小さくなる条件の少なくとも一方が成立する位置にある複数のドットからなるテストパターンを形成すべきタイミングで前記ヘッド駆動手段を制御する復行程テストパターン形成手段とを備え、
    前記第1の所定間隔および第2の所定間隔の少なくとも一方は、前記往行程テストパターン形成手段および前記復行程テストパターン形成手段の双方により形成されるテストパターンの空間周波数が0.4〜2.0サイクル/mmとなる間隔であるプリンタ。
  2. ドット記録ヘッドにより記録媒体にドットを形成し画像を記録するプリンタにおいて、前記ドット記録ヘッドの往運動中および復運動中の双方向で複数のドットからなるテストパターンを形成するテストパターン形成方法であって、
    前記ドット記録ヘッドの往運動中に、前記主走査方向に第1の所定間隔ずつ離れ、前記副走査方向に第2の所定間隔ずつ離れた複数のドットからなる往行程テストパターンを形成し、
    前記ドット記録ヘッドの復運動中に、前記往行程テストパターンにおける各ドットとの間隔が、前記主走査方向に第3の所定間隔ずつ離れ、前記副走査方向に第4の所定間隔ずつ離れた複数のドットからなる往行程テストパターンを形成し、
    前記第1の所定間隔または第2の所定間隔の少なくとも一方は、形成されるテストパターンの空間周波数が0.4〜2.0サイクル/mmとなる間隔であるテストパターン形成方法。
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