JP3579736B2 - スクリーン印刷機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプリント回路基板などの基板上にペーストを印刷するスクリーン印刷機に係り、特に圧入ヘッドから圧力によりパターン開口部にペーストを充填して、ペーストを基板に印刷し、基板にペーストパターンを形成するスクリーン印刷機に関する。
【0002】
【従来の技術】
基板上に半導体装置や抵抗、コンデンサなどの電子部品を搭載(固着)して所望の電子回路を実現するために、例えば、マスクと基板を所定の位置に固定し、弾性体のスキージをマスクに接触させ、かつ、マスクと基板の接触が連続して行われるようにスキージを移動させるスクリーン印刷機(以下、印刷機という)が使用されている。
【0003】
また、最近の印刷機には前述したスキージの代わりとして、圧入ヘッドの吐出口をマスクに押し付けて移動させて、圧力によりペーストをパターン開口部に充填して印刷する圧入ヘッドも用いられている。圧入ヘッドの利点としては、密閉構造のため鉛レスハンダ等の高価なペーストの使用時に酸化等による劣化がしにくい、ペースト供給システムの構築が容易で省人化しやすい、ペーストの吐出圧力を上げると小さなパターン開口部に充填しやすい、等があげられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、電子部品の小型化と共にパターン開口部が小さくなっており、圧入ヘッドにより小さなパターン開口部に充填するためには、圧入ヘッドに充填されているペーストの吐出圧力を高くする必要がある。しかし、ペーストの吐出圧力を高くすると、密着させている圧入ヘッドの吐出口とマスクの間からのペーストの漏れによる圧力損失が考えられる。従って、圧力損失を防止するために、圧入ヘッドのマスクへの押し付け力を高くする必要がある。しかしながら、押し付け力を高くすると薄型の基板等に印刷する場合に、基板の破壊や塑性変形などが生じたり、圧入ヘッドの吐出部のシール部の劣化も激しくなる、などの問題がある。
【0005】
それゆえ、本発明の目的は、パターン開口部が小さい場合でも、基板に損傷を与えることのない押し付け力で圧入ヘッドを基板に押し付け、基板にペーストパターンを形成することができるスクリーン印刷機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため本発明は、ペーストを充填した圧入ヘッドをパターン開口部を有するマスクを介して基板の主面に対して垂直方向に押し付け、圧入ヘッドの吐出口からペーストを吐出させながら圧入ヘッドをマスクもしくは基板の主面と平行な方向に相対移動させてマスクのパターン開口部を通して基板にペーストを印刷し、該基板にペーストパターンを形成するスクリーン印刷機において、前記圧入ヘッドを、該圧入ヘッドと前記マスクとの接触部分が直線状となる構成とし、さらに、前記圧入ヘッドまたは前記マスクおよび基板の少なくとも一方を上記相対移動の際に基板またはマスクの上面と平行な面上にて上記相対移動の方向と直交する方向に往復移動させ、前記圧入ヘッドを前記マスクおよび基板に対してジグザグ方向に移動させる手段を設けたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の他の特徴は、複数の薄板形状の補助スキージを、該補助スキージの下端面が圧入ヘッドの吐出口に向くように、該圧入ヘッドの吐出口から内部方向に向かって任意の間隔及び角度で配置させ、且つ各補助スキージの下端面が、圧入ヘッドの吐出口面において該圧入ヘッドの移動方向に対して斜めに配列していることにある。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図を用いて説明する。
【0009】
図1は本発明による圧入ヘッドの第一の実施形態を示す平面図、図2は第一の実施形態を示す側面図である。
【0010】
両図において、1は圧入ヘッド、3はマスク、6は基板、7はフレーム、8は上部テーブル、9は基板受け、10はマスク枠、11は圧入ヘッド上下軸、12は圧入ヘッド押し付けシリンダ、13,17はボールネジ、14は第一モータ、15,20はレール、16,21は直動ベアリング、18はボールナット、19は第二モータ、22は印刷ブロック、23は印刷ブロック保持板である。
【0011】
両図において、マスク3はマスク枠10に固定され、マスク枠10はフレーム7に固定されている。上部テーブル8には第一モータ14が設置されると共にレール15が固定され、フレーム7に固定される。第一モータ14にはボールネジ13が結合され、ボールネジ13のボールナット(図示していない)は印刷ブロック保持板23に固定されている。基板受け9は基板6を固定的に支持して、フレーム7に固定されている。また、レール15上には直動ベアリング16を介して印刷ブロック保持板23があり、印刷ブロック保持板23に固定したレール20と直動ベアリング21を介して印刷ブロック22が有る。この印刷ブロック22には圧入ヘッド押し付けシリンダ12が固定され、その出力軸である圧入ヘッド上下軸11には圧入ヘッド1が固定されている。
【0012】
次に上記構成からなる第一の実施形態の動作について説明する。
【0013】
図2に示すように、基板6を基板受け9上にマスク3と適正な位置関係で固定する。この時、圧入ヘッド1の位置は垂直方向においては圧入ヘッドの垂直方向の動作源である圧入ヘッド押し付けシリンダ12の上限の位置にあり、水平方向においてはマスク3の最も外側に配置されているパターン開口部よりも外側の位置にある。印刷機の動作が開始されると圧入ヘッド1は移動され、圧入ヘッド押し付けシリンダ12に圧縮空気を付加することにより、圧入ヘッド上下軸11を下降させ、圧入ヘッド1の先端をマスク3に押し付けることによりマスク3と、基板6とを接触させる。
【0014】
次に、マスクにおける1個のパターン開口部に対する圧入ヘッドのマスクとの相対移動を一方向に見た時の印刷状況を図3について説明する。先ず、図3(a)に示すように圧入ヘッド1に圧縮空気Pを付加する。この時点では圧入ヘッド1の吐出部はマスク3により塞がれているため、ペースト2はパターン開口部4へは充填されず、基板6上のパッド5へは印刷されない。次に第一モータ14(図1参照)を動作させると、圧入ヘッド1は図3(b)に示すようにパターン開口部4に向かって移動される。さらに圧入ヘッド1が移動されると、図3(c)に示すように圧力による充填力によりペースト2がパターン開口部4内に充填され、次いで図3(d)に示すように、圧入ヘッド1の吐出口が移動方向に対向するパターン開口部4の4辺のうちの1辺であるパターン開口部エッジ30を通過時には、前述した圧力によるペースト2のパターン開口部4への充填力の他に削ぎ落し力Fが新たに充填力として基板6上のパッド5方向に発生する。さらに圧入ヘッド1が移動されると、図3(e)に示すようにペースト2は圧力による充填力と削ぎ落し力Fによる充填力によりパターン開口部4へ充填され、基板6上のパッド5へのペースト2の印刷が完了する。
【0015】
本実施形態では、図1に示す印刷ブロック22を横方向に動作させる第一モータ14と縦方向に動作させる第二モータ19とを同時に動作させる。このようにすると、印刷ブロック22に設けられた圧入ヘッド1は図4に示すようにマスク3を押し付けながら圧入ヘッドを移動方向29のようなジグザグ方向に移動させる。この移動により、圧入ヘッド1は図4のイ部詳細に示すような圧入ヘッド1の移動方向に対向するパターン開口部4の各パターン開口部の3辺つまり3ケ所のパターン開口部エッジ30を通過するように移動するため、削ぎ落し力Fは3ケ所のパターン開口部エッジ30により発生する。
【0016】
従って、本実施形態における削ぎ落し力Fは、一ケ所のパターン開口部エッジ30によりしか発生しない圧入ヘッド1が基板の端面と平行に手前側から奥側に移動する直線移動の場合よりも増加する。
【0017】
次に、本発明の第二の実施形態を図5について説明する。この実施形態は、図1に示したボールネジ17,ボールナット18および第二モータ19の代わりに圧入ヘッド1の往復動作の動作源としてカム24と圧縮バネ26を用いる。たとえば、圧入ヘッド1が取付けられている印刷ブロック22の縦方向の両端面を利用して、片側はカム24が接触する面で反対側は印刷ブロック保持板23との間に設けた圧縮バネ26の一端部が接触する面とする。カム24を動力源であるモータ等で回転させることによりカム24は接触している印刷ブロック22に対して往復動作の動作源となり、反対側の圧縮バネ26が往復動作に合わせる動作で圧縮,伸びを繰り返し、これにより往復動作が可能となり、この動作と第一モータ14による相対移動を同時に行わせることにより、圧入ヘッド1はジグザグ方向に移動されるため、第一の実施形態と同様の効果が得られる。
【0018】
さらに、本発明の第三の実施形態としては、第一モータ14(図1)を正逆回転させて、図3に示すように圧入ヘッド1をマスク3に押し付けて、左から右,右から左へと往復の相対移動させると同時に、第二モータ19(図1)を動作させて印刷ブロック22を直線移動させても圧入ヘッド1はジグザグ方向に移動されるため、第一の実施形態と同様の効果が得られる。
【0019】
さらに、図6(a)(b)は第四の実施形態になる圧入ヘッド1を図2に示すマスク3側から見た図であり、図6(a)に示すように圧入ヘッド1の内部に厚さtなる薄板の補助スキージ32を任意の間隔で配置させて、圧入ヘッド1を削ぎ落し力が発生するように移動、つまり、圧入ヘッド1の移動角度(圧入ヘッドの前面と移動方向がなす角度)が補助スキージ取り付け角度θと同角度ならぬように移動させて、補助スキージ32がパターン開口部エッジを通過する度に削ぎ落し力が発生するため充填力を増すことができる。
【0020】
さらに、図6(b)に示すように第四の実施形態になる圧入ヘッド1の吐出口に開口部34を有して補助マスク33を設けても、開口部34の一辺が対向するパターン開口部エッジを通過する度に前述した補助スキージ32を設けた場合と同様の効果が得られる。
【0021】
上記の実施形態によれば、モータ,カム,圧縮バネ等の動作源を利用して圧入ヘッドがマスクの任意の位置に移動可能な水平移動機構を設けたことにより、圧入ヘッドをマスクに押し付け、密着させながら、圧入ヘッドからペーストを吐出させて、圧入ヘッドがパターン開口部の形状が四角形であればその直線部を1辺とする4辺からなる少なくとも各パターン開口部エッジの平行に対向する2辺を対向する2辺の一方の片側方向と他方の片側方向の2方向から通過するように往復移動することが可能となったため、削ぎ落し力による充填力を増加できる。
【0022】
これにより、パターン開口部が小さい場合でも、圧入ヘッドを削ぎ落し力が増加するように移動させることにより、ペーストをパターン開口部へ充填しやすくなり、ペーストの吐出圧力を高くする必要がなくなる。そのため、ペーストの吐出圧力を高くすることにより発生する可能性がある圧入ヘッドの吐出口とマスクの間からのペースト漏れによる圧力損失を防止するための圧入ヘッドのマスクへの押し付け力も高くする必要がない。従って、圧入ヘッドのマスクへの高い押し付け力で発生する基板の破壊や塑性変形を防止できる。
【0023】
さらに、圧入ヘッドの内部に補助スキージもしくは圧入ヘッドの吐出口に補助マスクを設けて、圧入ヘッドの移動方向と直交する方向において、圧入ヘッドを圧入ヘッドの移動の際に基板に押し付けて往復移動させることにより、ペーストの各パターン開口部への充填力を増加させることができるため、パターン開口部が小さい場合でもペーストが充填しやすくなる。
【0024】
なお、上記実施形態では、圧入ヘッドを可動部、マスクおよび基板を固定部としたが、本発明はこれに限るものではなく、圧入ヘッドを固定部、マスクおよび基板を移動部としてもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、パターン開口部が小さい場合でも、基板に損傷を与えることのない押し付け力で圧入ヘッドを基板に押し付け、基板にペーストパターンを形成することができるスクリーン印刷機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるスクリーン印刷機の第一の実施形態を示す平面図である。
【図2】第一の実施形態を示す側面図である。
【図3】マスクにおける1個のパターン開口部に対する圧入ヘッドのマスクとの相対移動を一方向に見た時の印刷状況を示す説明図である。
【図4】第一の実施形態における圧入ヘッドの動作方向を示す図である。
【図5】第二の実施形態を示す平面図である。
【図6】第四の実施形態にけおる圧入ヘッドの平面図である。
【符号の説明】
1…圧入ヘッド、2…ペースト、3…マスク、4…パターン開口部、5…パッド、6…基板、7…フレーム、8…上部テーブル、9…基板受け、10…マスク枠、11…圧入ヘッド上下軸、12…圧入ヘッド押し付けシリンダ、13,17…ボールネジ、14…第一モータ、15,20…レール、16,21…直動ベアリング、18…ボールナット、19…第二モータ、22…印刷ブロック、23…印刷ブロック保持板、24…カム、26…圧縮バネ、29…圧入ヘッド移動方向、30…パターン開口部エッジ、32…補助スキージ、33…補助マスク、34…開口部。
Claims (2)
- ペーストを充填した圧入ヘッドをパターン開口部を有するマスクを介して基板の主面に対して垂直方向に押し付け、圧入ヘッドの吐出口からペーストを吐出させながら圧入ヘッドをマスクもしくは基板の主面と平行な方向に相対移動させてマスクのパターン開口部を通して基板にペーストを印刷し、該基板にペーストパターンを形成するスクリーン印刷機において、
前記圧入ヘッドを、該圧入ヘッドと前記マスクとの接触部分が直線状となる構成とし、
さらに、前記圧入ヘッドまたは前記マスクおよび基板の少なくとも一方を上記相対移動の際に基板またはマスクの上面と平行な面上にて上記相対移動の方向と直交する方向に往復移動させ、前記圧入ヘッドを前記マスクおよび基板に対してジグザグ方向に移動させる手段を設けたことを特徴とするスクリーン印刷機。 - 請求項1に記載のスクリーン印刷機において、
複数の薄板形状の補助スキージを、該補助スキージの下端面が圧入ヘッドの吐出口に向くように、該圧入ヘッドの吐出口から内部方向に向かって任意の間隔及び角度で配置させ、且つ各補助スキージの下端面が、圧入ヘッドの吐出口面において該圧入ヘッドの移動方向に対して斜めに配列していることを特徴とするスクリーン印刷機。
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