JP3578356B2 - 金属錯体のジフェニルグアニジン塩及び電子写真用トナー - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は電子写真、静電記録等に於て静電潜像を現像するために用いられるトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
静電気を利用した静電記録、静電写真等の画像形成プロセスは、フタロシアニン顔料、セレン、硫化カドミウム、アモルファスシリコン等の光導電性物質をアルミ、紙等の基材上に塗布することにより得られた感光体上に光信号により静電潜像を形成する過程と、トナーと称される5−20μに調整された着色微粒子を二成分系現像法では該トナーをキャリヤー(鉄粉、フェライト粉等)により接触帯電させ、また、一成分系現像法ではトナーを直接帯電ブレード等で帯電させた後静電潜像に作用せしめ顕像化させる過程から構成されている。尚、トナーは感光体上に形成される静電潜像の極性に対応した電荷、すなわち正、負のいずれかの電荷が付与される必要がある。
【0003】
一般にトナーと称される着色微粒子はバインダー樹脂と着色材とを必須成分としその他必要に応じ磁性粉等から構成されている。トナーに電荷を付与する方法としては荷電制御剤を用いることなくバインダー樹脂そのものの帯電特性を利用することもできるが、それでは経時安定性、耐湿性が劣り良好な画質を得ることが出来ない。従って通常トナーの電荷保持、荷電制御の目的で荷電制御剤が加えられる。このトナーに要求される品質特性としては帯電性、流動性、定着性等に優れていることが挙げられるが、これらの品質特性はトナーに用いられる荷電制御剤によって大きく影響される。
【0004】
従来トナーに添加される荷電制御剤としては、1)有色の負荷電制御剤としての2:1型含クロムアゾ錯塩染料(例えば特公昭45−26478、特公昭41−20153)、2:1型含鉄アゾ錯塩染料(例えば特開昭62ー129358、特開昭61ー155463、特開昭61ー155464)、フタロシアニン顔料(例えば特開昭52−45931)、また、無色の負電荷制御剤の例として芳香族ダイカルボン酸の金属錯体(例えば特公昭59−7384)、サリチル酸の金属錯体(例えば特開昭57ー104940)、または特開昭61ー3149等に記載された荷電制御剤等が知られており、また、2)正荷電制御剤としてはニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、各種4級アンモニウム塩(静電気学会誌1980第4巻第3号P−144)、ジブチル錫オキサイド等の有機スズ化合物(例えば特公昭57−29704)等が知られている。
【0005】
しかし、これらを荷電制御剤として含有したトナーは、帯電性、経時安定性等トナーに要求される品質特性を充分に満足させるものではない。例えば負荷電制御剤として知られる2:1型含金属錯塩染料を含有したトナーは帯電量の高さについては一応の水準を有するものの、2:1型含金属錯塩染料は概してバインダー樹脂に対する分散性が劣るという欠点がある。そのためバインダー樹脂中に均一に分布せず、得られたトナーの帯電量分布も極めてシャープさに欠けるものであり、得られる画像は階調が低く画像形成能に劣るものである。また、2:1型含金属錯塩染料のなかでも含鉄錯塩染料は色相が焦げ茶もしくは茶色であり、作製したトナーが赤見を帯びると言う欠点を有している。さらに、コピーした画像を塩ビ等に挟むと荷電制御剤中の赤味成分がブリードしてくるという欠点を有している。
【0006】
無色の負荷電制御剤で比較的良好な帯電性能を持つものとしてサリチル酸の金属錯体が挙げられるが(特開昭57ー104940)、このものは重金属類を含有しており、その安全性に問題がある。無色で重金属を含まない負電荷制御剤として特開昭61ー3149及び特開昭63ー38958に紹介された化合物が知られているが、このものは帯電の立ち上がり速度が遅く、帯電量が不足するという欠点がある。また、正帯電制御剤として知られるニグロシン系染料や、トリフェニルメタン系染料はトナーの連続複写に対する経時安定性が良好でないという欠点がある。また、従来の4級アンモニウム塩は、トナー化した場合耐湿性が不十分であることに起因する経時安定性に劣り、繰り返し使用で良質な画像を与えないという欠点を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、負に帯電する荷電制御剤で、帯電立ち上がり特性、帯電量および経時安定性、環境安定性にすぐれ、トナー製出時に安定した性質を示し、塩ビ等にブリードせず、黒トナーの色相に悪影響を与えない荷電制御剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記したような課題を解決すべく鋭意努力した結果、特定の化合物をトナーに含有せしめることにより、トナーの帯電特性が大幅に改善されることを見いだし本発明を完成させた。すなわち本発明は、
(1)下記式(I)
【0009】
【化2】
【0010】
(式中、Xはハロゲン原子、ニトロ基もしくはスルホンアミド基を、Yは水素原子もしくはN−フェニルカルボアミド基を、nは1または2を表す)
で表される金属錯体のジフェニルグアニジン塩、
(2)上記(1)記載の金属錯体のジフェニルグアニジン塩を少なくとも1種含有することを特徴とする電子写真用トナー、
に関する。
【0011】
本発明を詳細に説明する。本発明において式(I)の化合物の置換基Xのハロゲンとしては、例えば弗素原子、塩素原子、臭素原子、よう素原子等が挙げられる。
【0012】
式(I)の化合物は荷電制御剤として働くが、このものはバインダー樹脂に対する相溶性が良好であり、これを含有せしめたトナーは比帯電量が高く、その経時安定性も良好であることからトナーを長時間保存しても静電記録の画像形成において安定して鮮明な画像を与え、黒色で負の帯電性能をもつため、濃度の高い黒色のトナーを製出することが出来る。また、このものはクロム化合物を使用しないため環境に対する安全性が高い。また、懸濁重合法や乳化重合法でトナーを作成する際には、含クロム荷電制御剤で見られるような重合禁止作用がないので、安定してトナーを製出することが出来る。
【0013】
本発明で荷電制御剤としてトナーに含有せしめられる式(I)の化合物の具体例としては、例えば下記の構造式で表される化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】
【化6】
【0018】
【化7】
【0019】
【化8】
【0020】
【化9】
【0021】
【化10】
【0022】
【化11】
【0023】
本発明の前記式(I)の化合物を製造する方法としては、例えば特開昭61−155463号、特開昭61−155464号または特開昭62−129358号等に記載された式(I)の金属錯体のナトリウム塩を水中に分散させ、その分散液にジフェニルグアニジンを添加するという塩交換反応による方法があげられる。
【0024】
前記式(I)の化合物を含有するトナーを製造する方法としては、式(I)の化合物、着色剤及びバインダー樹脂からなる混合物を加熱ニーダー、二本ロール等の加熱混合処理可能な装置によりバインダー樹脂の溶融下で混練し、次いで冷却固化したものをジェットミル、ボールミル等の粉砕機により3〜20μ粒径に粉砕することによって得る方法、着色剤とバインダー樹脂と式(I)の化合物を溶媒(例 アセトン、酢酸エチル)に溶解し、かくはん処理後、水中に投じて再沈澱せしめ、濾過、乾燥後、ボールミル等の粉砕機により3ー20μ粒径に粉砕することによって得る方法、式(I)の化合物、着色剤およびバインダー樹脂の単量体を水中に均一に懸濁させ撹はん下において単量体を微粒子状で重合させて沈澱を生成させ、沈澱物を濾過、水洗、乾燥して微粒子状粉末とし、これを分級して3ー20μの粒径の目的物を得る方法、あらかじめ作製した3ー20μの樹脂ビーズにメタノール等の極性溶媒中で式(I)の化合物および着色剤を染着させる方法があげられる。またバインダー等の圧力定着用低融点樹脂、式(I)の化合物、着色剤、磁性体等を含む軟質粒子状芯材(芯粒子)を、保護機能および荷電制御機能を有する硬い外殻で覆った形態を有するマイクロカプセルトナーの外殻材料として使用することも出来る。さらに、荷電制御剤を含まない着色微粒子を上記方法により調製し、次いで式(I)の化合物を単独もしくはコロイダルシリカ等の外添剤と供にメカノケミカル的な方法等により粒子表面に固着添加する方法によっても前記式(I)の化合物を含有するトナーを製造することが出来る。
【0025】
これらの場合通常バインダー樹脂成分は、好ましくは99〜65%、より好ましくは95〜85%、着色剤は、好ましくは1〜15%、より好ましくは5.0〜12%、荷電制御剤(本発明の前記式(I)の化合物)は、好ましくは0.1〜30%、より好ましくは0.5〜3%の割合(いずれも重量比)で使用される。
【0026】
本発明の電子写真用トナーに用いうる着色剤の例としては、カーボンブラック、群青、鉄黒、酸化銅、二酸化マンガン、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、ベンガラ、カドミウムレッド、マンガン紫、酸化チタン、硫化亜鉛、クロムグリーン、酸化クロム、アンチモン白等の無機顔料、CI.ピグメントイエロー1、CI.ピグメントレッド9、CI.ピグメントブルー15、アニリンブラック、ナフトールエローS、ベンジジンエローGR、キノリンエローレーキ、アンスラピリミジンエロー、ハンザエローG、パーマネントエローNCG、ピラゾロンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジGK、ピラゾロンレッド、ブリリアントカーミン6B、ローダミンレーキB、キナクリドン、アリザリンレーキ、チオインジゴレッド、チオインジゴマルーン、ブリリアントカーミン3B、メチルバイオレットレーキ、ジオキサジンバイオレット、アニリンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等の有機顔料、CI.ソルベントイエロー93、CI.ソルベンヨレッド146、CI.ソルベントブルー35、CI.ジスパーズイエロー42、CI.ジスパーズレッド59、CI.ジスパーズブルー81、CI.ソルベントレッド49、CI.ソルベントレッド52、CI.ソルベントレッド109、CI.ベイシックレッド12、CI.ベイシックレッド1、CI.ダイレクトレッド1、CI.アシッドレッド1、CI.ベーシックレッド1、CI.ダイレクトレッド4、CI.モーダントレッド30、CI.ダイレクトブルー2、CI.アシッドブルー9、CI.ベーシックブルー3、CI.ベーシックブルー5、CI.アシッドブルー15、CI.モーダントブルー7、CI.(CIはカラーインデックスの略、以下同様)等の油溶性染料等従来公知の着色剤が挙げられ、またこれらを単独もしくは混合して使用することが出来る。この着色剤の色相は、使用する荷電制御剤である前記式(I)の化合物の色相が黒色であることから、黒色が好ましい。黒色は、黒色の色素に限らず例えば3原色を混合することによっても得られる。
【0027】
また、バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレンーメタクリル酸共重合体、スチレンーメタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレンーアクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が単独または、混合して使用することが出来る。また、バインダー樹脂の単量体は上記樹脂の単量体が使用され、具体的にはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、エチルスチレン、ジビニルベンゼン等のビニル芳香族炭化水素単量体、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ー2ーエチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ー2ーエチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェニル等のアクリル系化合物の単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の二重結合を有するモノカルボン酸類、マレイン酸、マレイン酸メチル、マレイン酸ブチル、マレイン酸ジメチル、フタル酸、コハク酸、テレフタル酸などのジカルボン酸類、エチレン、プロピレン、ブチレン、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、等のビニル単量体、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1、2ープロピレングリコール、1、3ープロピレングリコール、1、4ーブタンジオール、1、6ーヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA等のポリオール化合物、p−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1、4ーテトラメチレンジイソシアネート等のイソシアネート類、エチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、1、4ージアミノベンゼン、1、4ージアミノブタン、モノエタノールアミン等のアミン類、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物等が単独または混合して使用することが出来る。
【0028】
更に本発明の電子写真用トナーには更に酸化珪素、酸化チタンのごとき流動剤が通常0.01から1%程度添加され、また鉱物油のごとき被り防止剤が必要に応じ添加される。2成分系用のトナーでは、例えば上記トナーと125ー200メッシュ程度の鉄粉もしくはフェライト粉(キャリヤー)とを例えば2−8:98−92(トナー:キャリヤー)というような重量比で混合し現像剤となし、電子写真に於ける現像工程に使用される。また、1成分系用のトナーを得るためには、上記トナーに更に鉄粉および各種磁性体、酸化亜鉛のごとき導電性付与剤等を必要に応じそれぞれ40から60%程度加えればよい。このトナーはそのまま、または必要に応じ流動剤等を添加した後、電子写真に於ける現像工程に使用される。
【0029】
本発明の電子写真用トナーは、従来の荷電制御剤を用いたトナーに比べ速い帯電立ち上がり特性及び良好な経時安定性と環境安定性を有している。その結果極めて階調性の高い画像が得られ且つ反復画像形成能が極めて良好であることが特徴である。また、クロム化合物を使用しないため、環境に対する安全性に優れており、塩ビに対する耐ブリード性が良いことも特徴である。
【0030】
実施例
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。実施例中、部は特に限定しない限り重量部を表す。
【0031】
実施例1
化合物(1)の金属錯体のナトリウム塩 71.6部を水 700部に均一に分散し、その分散液に、ジフェニルグアニジン 22.5部を2.1%濃度塩酸183.9部に懸濁溶解させた溶液を30分で滴下し、その後1夜攪拌する。析出した結晶をろ過、水洗し、80℃で乾燥し、化合物(1) 91.2部を得た。得られた結晶を示差走査熱量分析計(DSC)により測定したところ、分解開始温度に相当する発熱開始温度(Ti)は260.1℃、発熱ピークの温度(Tp)は314.9℃であった。なお、比較として原料のナトリウム塩をDSCで測定したところ、Tiは249.3℃、Tpは309.6℃であり、本発明の化合物のようにジフェニルグアニジンを対イオンとすることにより、耐熱性が向上することが判った。
【0032】
実施例2
【0033】
上記組成の混合物を120〜140℃に調整されたニーダーにて溶融混合処理(10分)した後冷却、固化せしめた。次いで、粗粉砕機により粗粉砕した後、ジェットミル粉砕機にて微粉砕を行い、さらに気流式分級機にて分級し粒径5〜20μのトナーを得た。得られたトナーを約125メッシュのシリコンコートフェライトキャリヤーと3:97(トナー:キャリヤー)の重量比で混合し現像剤Aを得た。次にブローオフ帯電量測定装置によりこの現像剤Aの初期比帯電量を測定したところ−6.0μC/gであった。更にこの現像剤Aを用いて複写機によりコピーを行ったところ階調性に優れ、鮮明な黒色の画像が得られた。また、現像剤Aを用いて経時安定性試験(帯電量経時安定性試験、帯電量耐湿安定性試験)を実施したところ下記表1、表2の結果を得た。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
以上の結果のごとく現像剤Aの経時安定性が極めて優れていた。
【0037】
帯電安定性試験は次の方法によった。
(1)帯電量経時安定性試験
本発明のトナーとキャリヤーをポリ容器中に計量し、8rpmのボールミルにて5分間静かに2者を均一混合し現像剤とした後、30rpmのボールミルにて1時間、その後100rpmのボールミルで残り1時間接触帯電させ、その際の時間毎のトナーの帯電量をブローオフ法により測定する。
【0038】
(2)帯電量耐湿安定性試験
上記帯電量経時安定性試験と同様にポリ容器中にトナーとキャリアを計量し、8rpmのボールミルにて5分間静かに2者を均一混合し現像剤とした後、調製直後に30rpmのボールミルにて1分間接触帯電後の帯電量を初期帯電量とする。一方本発明のトナーとキャリアを同様のポリ容器中に計量し容器をオープンにして34℃,86%RHの条件下に1日間放置し、8rpmのボールミルにて5分間静かに2者を均一混合した後、30rpmのボールミルにて1分間接触帯電したものを耐湿試験後の帯電量としてトナーの帯電量をブローオフ法により測定する。ここで、減衰率は下記式により算出した。
減衰率=(初期帯電量ー耐湿試験後の帯電量)/初期帯電量×100(%)
【0039】
実施例3
【0040】
上記組成の混合物を120−150℃に調整されたニーダーにて溶融混合処理(10分)した後、冷却、固化せしめた。次いで粗粉砕機により粗粉砕後、ジェットミル粉砕機にて微粉砕を行い、さらに気流式分級機にて分級し粒径5−20μのトナーを得た。得られたトナーを約125メッシュのフェライトキャリヤーと3:97(トナー:キャリヤー)の重量比で混合し現像剤Bを得た。次にブローオフ帯電量測定装置によりこの現像剤Bの初期比帯電量を測定したところ−22.6μC/gであった。更にこの現像剤Bを用いて複写機によりコピーを行ったところ階調性に優れた黒色の画像が得られた。また、現像剤Bを用いて実施例1と同様に経時安定性試験を実施したところ下表3、表4の結果を得た。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
以上の結果のごとく、現像剤Bの経時安定性及び耐湿安定性が極めて優れていた。
【0044】
実施例4
【0045】
上記混合物を1000部のアセトン、酢酸エチルの混合溶剤に溶解させ、常温にて1時間撹はんした。次いで、この混合物を10000部の水中へ撹はん下に滴下し沈澱せしめた。生成した沈澱を濾過、乾燥することにより粗粒子のトナーを得た。次いでジェットミル粉砕機にて微粉砕を行い、更に気流式分級機にて分級し5−20μのトナーを得た。得られたトナーを約200メッシュの鉄粉キャリヤーと3:97(トナー:キャリヤー)重量比で混合し現像剤Cを得た。次いでブローオフ帯電量測定装置によりこの現像剤Cの初期比帯電量を測定したところ−6.5μC/gであった。更にこの現像剤Cを用いて複写機によりコピーを行ったところ階調性に優れ鮮明な黒色の画像が得られた。また、現像剤Cを用いて実施例1と同様に経時安定性試験を実施したところ下記表5、表6の結果を得た。
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】
以上の結果のごとく、現像剤Cの経時安定性及び耐湿安定性が極めて優れていた。
【0049】
実施例5
【0050】
上記組成の混合物を130−150℃に調整されたニーダーにて溶融混合処理した後自然冷却、固化せしめた。次いで粗粉砕機、ジェットミル粉砕機にて微粉砕を行い、さらに気流式分級機にて分級し粒径5−20μのトナーを得た。得られたトナー100部に対しコロイダルシリカ0.3部をヘンシェルミキサーで混合した。このものを約125メッシュのシリコンコートフェライトキャリヤーと3:97(トナー:キャリヤー)の重量比で混合し現像剤Dを得た。次いでブローオフ帯電量測定装置によりこの現像剤Dの初期比帯電量を測定したところ−29.4μC/gであった。さらにこの現像剤Dを用いて複写機によりコピーを行ったところ階調性に優れ、鮮明な黒色の画像が得られた。また、現像剤Dを用いて実施例1と同様に経時安定性試験を実施したところ下記表7、表8の結果を得た。
【0051】
【表7】
【0052】
【表8】
【0053】
以上の結果のごとく、現像剤Dの経時安定性が極めて優れていた。
【0054】
実施例6
【0055】
上記組成の混合物をホモミキサーを用い5分間撹拌混合して均質な液状物とし、これを水:120部/炭酸マグネシウム:2.3部の分散液に加え、ホモミキサーにより6500rpmで5分間撹拌し均一な懸濁液を得る。この懸濁液を300mlの3つ口フラスコに入れ200rpmで撹拌しながら70℃で5時間重合反応を行い、40℃まで放冷後5%希塩酸水溶液90部を加え、濾過水洗した後40℃にて乾燥して粒径5〜20μのトナーを得た。得られたトナー100部に対しコロイダルシリカ0.3部をヘンシェルミキサーで混合した。このものを約125メッシュのフェライトキャリヤーと3:97(トナー:キャリヤー)の重量比で混合し現像剤Eを得た。次いでブローオフ帯電量測定装置によりこの現像剤Eの初期比帯電量を測定したところ−16.7μC/gであった。さらにこの現像剤Eを用いて複写機によりコピーを行ったところ階調性に優れ、鮮明な黒色の画像が得られた。また、現像剤Eを用いて実施例1と同様に経時安定性試験を実施したところ下記表9、表10の結果を得た。
【0056】
【表9】
【0057】
【表10】
【0058】
以上の結果のごとく現像剤Eの経時安定性が極めて優れていた。
【0059】
実施例7
以下の方法で、耐ブリード性試験を実施した。酸化チタンを練り込んで作製した塩化ビニルのシートと本願実施例4で得られたコピー画像、および本願実施例4で使用した化合物(1)の代わりに特開昭62ー129358中の実施例4に記載されている金属錯塩化合物(化合物(1)の金属錯体の水素イオン体)を使用して同様に作製したコピー画像を、10cm×10cmの鉄板に挟み、35℃×20時間放置した後、塩化ビニルシートを剥し、両者のシートに移った着色を顕微鏡観察したところ本願実施例4で得られたトナーの方が耐ブリード性に優れていた。
【0060】
【発明の効果】
本発明の化合物を使用して得られた電子写真用トナーは従来の荷電制御剤を用いたトナーに比べて速い帯電帯電立ち上がり特性とすぐれた耐湿性及び経時安定性を有している。その結果極めて階調性の高い画像が得られ、且つ反復画像形成能が極めて良好であることが特徴である。また、クロム化合物を使用しないため、環境に対する安全性に優れており、塩ビに対する耐ブリード性が良いことも特徴である。
【産業上の利用分野】
本発明は電子写真、静電記録等に於て静電潜像を現像するために用いられるトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
静電気を利用した静電記録、静電写真等の画像形成プロセスは、フタロシアニン顔料、セレン、硫化カドミウム、アモルファスシリコン等の光導電性物質をアルミ、紙等の基材上に塗布することにより得られた感光体上に光信号により静電潜像を形成する過程と、トナーと称される5−20μに調整された着色微粒子を二成分系現像法では該トナーをキャリヤー(鉄粉、フェライト粉等)により接触帯電させ、また、一成分系現像法ではトナーを直接帯電ブレード等で帯電させた後静電潜像に作用せしめ顕像化させる過程から構成されている。尚、トナーは感光体上に形成される静電潜像の極性に対応した電荷、すなわち正、負のいずれかの電荷が付与される必要がある。
【0003】
一般にトナーと称される着色微粒子はバインダー樹脂と着色材とを必須成分としその他必要に応じ磁性粉等から構成されている。トナーに電荷を付与する方法としては荷電制御剤を用いることなくバインダー樹脂そのものの帯電特性を利用することもできるが、それでは経時安定性、耐湿性が劣り良好な画質を得ることが出来ない。従って通常トナーの電荷保持、荷電制御の目的で荷電制御剤が加えられる。このトナーに要求される品質特性としては帯電性、流動性、定着性等に優れていることが挙げられるが、これらの品質特性はトナーに用いられる荷電制御剤によって大きく影響される。
【0004】
従来トナーに添加される荷電制御剤としては、1)有色の負荷電制御剤としての2:1型含クロムアゾ錯塩染料(例えば特公昭45−26478、特公昭41−20153)、2:1型含鉄アゾ錯塩染料(例えば特開昭62ー129358、特開昭61ー155463、特開昭61ー155464)、フタロシアニン顔料(例えば特開昭52−45931)、また、無色の負電荷制御剤の例として芳香族ダイカルボン酸の金属錯体(例えば特公昭59−7384)、サリチル酸の金属錯体(例えば特開昭57ー104940)、または特開昭61ー3149等に記載された荷電制御剤等が知られており、また、2)正荷電制御剤としてはニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、各種4級アンモニウム塩(静電気学会誌1980第4巻第3号P−144)、ジブチル錫オキサイド等の有機スズ化合物(例えば特公昭57−29704)等が知られている。
【0005】
しかし、これらを荷電制御剤として含有したトナーは、帯電性、経時安定性等トナーに要求される品質特性を充分に満足させるものではない。例えば負荷電制御剤として知られる2:1型含金属錯塩染料を含有したトナーは帯電量の高さについては一応の水準を有するものの、2:1型含金属錯塩染料は概してバインダー樹脂に対する分散性が劣るという欠点がある。そのためバインダー樹脂中に均一に分布せず、得られたトナーの帯電量分布も極めてシャープさに欠けるものであり、得られる画像は階調が低く画像形成能に劣るものである。また、2:1型含金属錯塩染料のなかでも含鉄錯塩染料は色相が焦げ茶もしくは茶色であり、作製したトナーが赤見を帯びると言う欠点を有している。さらに、コピーした画像を塩ビ等に挟むと荷電制御剤中の赤味成分がブリードしてくるという欠点を有している。
【0006】
無色の負荷電制御剤で比較的良好な帯電性能を持つものとしてサリチル酸の金属錯体が挙げられるが(特開昭57ー104940)、このものは重金属類を含有しており、その安全性に問題がある。無色で重金属を含まない負電荷制御剤として特開昭61ー3149及び特開昭63ー38958に紹介された化合物が知られているが、このものは帯電の立ち上がり速度が遅く、帯電量が不足するという欠点がある。また、正帯電制御剤として知られるニグロシン系染料や、トリフェニルメタン系染料はトナーの連続複写に対する経時安定性が良好でないという欠点がある。また、従来の4級アンモニウム塩は、トナー化した場合耐湿性が不十分であることに起因する経時安定性に劣り、繰り返し使用で良質な画像を与えないという欠点を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、負に帯電する荷電制御剤で、帯電立ち上がり特性、帯電量および経時安定性、環境安定性にすぐれ、トナー製出時に安定した性質を示し、塩ビ等にブリードせず、黒トナーの色相に悪影響を与えない荷電制御剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記したような課題を解決すべく鋭意努力した結果、特定の化合物をトナーに含有せしめることにより、トナーの帯電特性が大幅に改善されることを見いだし本発明を完成させた。すなわち本発明は、
(1)下記式(I)
【0009】
【化2】
【0010】
(式中、Xはハロゲン原子、ニトロ基もしくはスルホンアミド基を、Yは水素原子もしくはN−フェニルカルボアミド基を、nは1または2を表す)
で表される金属錯体のジフェニルグアニジン塩、
(2)上記(1)記載の金属錯体のジフェニルグアニジン塩を少なくとも1種含有することを特徴とする電子写真用トナー、
に関する。
【0011】
本発明を詳細に説明する。本発明において式(I)の化合物の置換基Xのハロゲンとしては、例えば弗素原子、塩素原子、臭素原子、よう素原子等が挙げられる。
【0012】
式(I)の化合物は荷電制御剤として働くが、このものはバインダー樹脂に対する相溶性が良好であり、これを含有せしめたトナーは比帯電量が高く、その経時安定性も良好であることからトナーを長時間保存しても静電記録の画像形成において安定して鮮明な画像を与え、黒色で負の帯電性能をもつため、濃度の高い黒色のトナーを製出することが出来る。また、このものはクロム化合物を使用しないため環境に対する安全性が高い。また、懸濁重合法や乳化重合法でトナーを作成する際には、含クロム荷電制御剤で見られるような重合禁止作用がないので、安定してトナーを製出することが出来る。
【0013】
本発明で荷電制御剤としてトナーに含有せしめられる式(I)の化合物の具体例としては、例えば下記の構造式で表される化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】
【化6】
【0018】
【化7】
【0019】
【化8】
【0020】
【化9】
【0021】
【化10】
【0022】
【化11】
【0023】
本発明の前記式(I)の化合物を製造する方法としては、例えば特開昭61−155463号、特開昭61−155464号または特開昭62−129358号等に記載された式(I)の金属錯体のナトリウム塩を水中に分散させ、その分散液にジフェニルグアニジンを添加するという塩交換反応による方法があげられる。
【0024】
前記式(I)の化合物を含有するトナーを製造する方法としては、式(I)の化合物、着色剤及びバインダー樹脂からなる混合物を加熱ニーダー、二本ロール等の加熱混合処理可能な装置によりバインダー樹脂の溶融下で混練し、次いで冷却固化したものをジェットミル、ボールミル等の粉砕機により3〜20μ粒径に粉砕することによって得る方法、着色剤とバインダー樹脂と式(I)の化合物を溶媒(例 アセトン、酢酸エチル)に溶解し、かくはん処理後、水中に投じて再沈澱せしめ、濾過、乾燥後、ボールミル等の粉砕機により3ー20μ粒径に粉砕することによって得る方法、式(I)の化合物、着色剤およびバインダー樹脂の単量体を水中に均一に懸濁させ撹はん下において単量体を微粒子状で重合させて沈澱を生成させ、沈澱物を濾過、水洗、乾燥して微粒子状粉末とし、これを分級して3ー20μの粒径の目的物を得る方法、あらかじめ作製した3ー20μの樹脂ビーズにメタノール等の極性溶媒中で式(I)の化合物および着色剤を染着させる方法があげられる。またバインダー等の圧力定着用低融点樹脂、式(I)の化合物、着色剤、磁性体等を含む軟質粒子状芯材(芯粒子)を、保護機能および荷電制御機能を有する硬い外殻で覆った形態を有するマイクロカプセルトナーの外殻材料として使用することも出来る。さらに、荷電制御剤を含まない着色微粒子を上記方法により調製し、次いで式(I)の化合物を単独もしくはコロイダルシリカ等の外添剤と供にメカノケミカル的な方法等により粒子表面に固着添加する方法によっても前記式(I)の化合物を含有するトナーを製造することが出来る。
【0025】
これらの場合通常バインダー樹脂成分は、好ましくは99〜65%、より好ましくは95〜85%、着色剤は、好ましくは1〜15%、より好ましくは5.0〜12%、荷電制御剤(本発明の前記式(I)の化合物)は、好ましくは0.1〜30%、より好ましくは0.5〜3%の割合(いずれも重量比)で使用される。
【0026】
本発明の電子写真用トナーに用いうる着色剤の例としては、カーボンブラック、群青、鉄黒、酸化銅、二酸化マンガン、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、ベンガラ、カドミウムレッド、マンガン紫、酸化チタン、硫化亜鉛、クロムグリーン、酸化クロム、アンチモン白等の無機顔料、CI.ピグメントイエロー1、CI.ピグメントレッド9、CI.ピグメントブルー15、アニリンブラック、ナフトールエローS、ベンジジンエローGR、キノリンエローレーキ、アンスラピリミジンエロー、ハンザエローG、パーマネントエローNCG、ピラゾロンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジGK、ピラゾロンレッド、ブリリアントカーミン6B、ローダミンレーキB、キナクリドン、アリザリンレーキ、チオインジゴレッド、チオインジゴマルーン、ブリリアントカーミン3B、メチルバイオレットレーキ、ジオキサジンバイオレット、アニリンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等の有機顔料、CI.ソルベントイエロー93、CI.ソルベンヨレッド146、CI.ソルベントブルー35、CI.ジスパーズイエロー42、CI.ジスパーズレッド59、CI.ジスパーズブルー81、CI.ソルベントレッド49、CI.ソルベントレッド52、CI.ソルベントレッド109、CI.ベイシックレッド12、CI.ベイシックレッド1、CI.ダイレクトレッド1、CI.アシッドレッド1、CI.ベーシックレッド1、CI.ダイレクトレッド4、CI.モーダントレッド30、CI.ダイレクトブルー2、CI.アシッドブルー9、CI.ベーシックブルー3、CI.ベーシックブルー5、CI.アシッドブルー15、CI.モーダントブルー7、CI.(CIはカラーインデックスの略、以下同様)等の油溶性染料等従来公知の着色剤が挙げられ、またこれらを単独もしくは混合して使用することが出来る。この着色剤の色相は、使用する荷電制御剤である前記式(I)の化合物の色相が黒色であることから、黒色が好ましい。黒色は、黒色の色素に限らず例えば3原色を混合することによっても得られる。
【0027】
また、バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレンーメタクリル酸共重合体、スチレンーメタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレンーアクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が単独または、混合して使用することが出来る。また、バインダー樹脂の単量体は上記樹脂の単量体が使用され、具体的にはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、エチルスチレン、ジビニルベンゼン等のビニル芳香族炭化水素単量体、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ー2ーエチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ー2ーエチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェニル等のアクリル系化合物の単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の二重結合を有するモノカルボン酸類、マレイン酸、マレイン酸メチル、マレイン酸ブチル、マレイン酸ジメチル、フタル酸、コハク酸、テレフタル酸などのジカルボン酸類、エチレン、プロピレン、ブチレン、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、等のビニル単量体、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1、2ープロピレングリコール、1、3ープロピレングリコール、1、4ーブタンジオール、1、6ーヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA等のポリオール化合物、p−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1、4ーテトラメチレンジイソシアネート等のイソシアネート類、エチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、1、4ージアミノベンゼン、1、4ージアミノブタン、モノエタノールアミン等のアミン類、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物等が単独または混合して使用することが出来る。
【0028】
更に本発明の電子写真用トナーには更に酸化珪素、酸化チタンのごとき流動剤が通常0.01から1%程度添加され、また鉱物油のごとき被り防止剤が必要に応じ添加される。2成分系用のトナーでは、例えば上記トナーと125ー200メッシュ程度の鉄粉もしくはフェライト粉(キャリヤー)とを例えば2−8:98−92(トナー:キャリヤー)というような重量比で混合し現像剤となし、電子写真に於ける現像工程に使用される。また、1成分系用のトナーを得るためには、上記トナーに更に鉄粉および各種磁性体、酸化亜鉛のごとき導電性付与剤等を必要に応じそれぞれ40から60%程度加えればよい。このトナーはそのまま、または必要に応じ流動剤等を添加した後、電子写真に於ける現像工程に使用される。
【0029】
本発明の電子写真用トナーは、従来の荷電制御剤を用いたトナーに比べ速い帯電立ち上がり特性及び良好な経時安定性と環境安定性を有している。その結果極めて階調性の高い画像が得られ且つ反復画像形成能が極めて良好であることが特徴である。また、クロム化合物を使用しないため、環境に対する安全性に優れており、塩ビに対する耐ブリード性が良いことも特徴である。
【0030】
実施例
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。実施例中、部は特に限定しない限り重量部を表す。
【0031】
実施例1
化合物(1)の金属錯体のナトリウム塩 71.6部を水 700部に均一に分散し、その分散液に、ジフェニルグアニジン 22.5部を2.1%濃度塩酸183.9部に懸濁溶解させた溶液を30分で滴下し、その後1夜攪拌する。析出した結晶をろ過、水洗し、80℃で乾燥し、化合物(1) 91.2部を得た。得られた結晶を示差走査熱量分析計(DSC)により測定したところ、分解開始温度に相当する発熱開始温度(Ti)は260.1℃、発熱ピークの温度(Tp)は314.9℃であった。なお、比較として原料のナトリウム塩をDSCで測定したところ、Tiは249.3℃、Tpは309.6℃であり、本発明の化合物のようにジフェニルグアニジンを対イオンとすることにより、耐熱性が向上することが判った。
【0032】
実施例2
【0033】
上記組成の混合物を120〜140℃に調整されたニーダーにて溶融混合処理(10分)した後冷却、固化せしめた。次いで、粗粉砕機により粗粉砕した後、ジェットミル粉砕機にて微粉砕を行い、さらに気流式分級機にて分級し粒径5〜20μのトナーを得た。得られたトナーを約125メッシュのシリコンコートフェライトキャリヤーと3:97(トナー:キャリヤー)の重量比で混合し現像剤Aを得た。次にブローオフ帯電量測定装置によりこの現像剤Aの初期比帯電量を測定したところ−6.0μC/gであった。更にこの現像剤Aを用いて複写機によりコピーを行ったところ階調性に優れ、鮮明な黒色の画像が得られた。また、現像剤Aを用いて経時安定性試験(帯電量経時安定性試験、帯電量耐湿安定性試験)を実施したところ下記表1、表2の結果を得た。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
以上の結果のごとく現像剤Aの経時安定性が極めて優れていた。
【0037】
帯電安定性試験は次の方法によった。
(1)帯電量経時安定性試験
本発明のトナーとキャリヤーをポリ容器中に計量し、8rpmのボールミルにて5分間静かに2者を均一混合し現像剤とした後、30rpmのボールミルにて1時間、その後100rpmのボールミルで残り1時間接触帯電させ、その際の時間毎のトナーの帯電量をブローオフ法により測定する。
【0038】
(2)帯電量耐湿安定性試験
上記帯電量経時安定性試験と同様にポリ容器中にトナーとキャリアを計量し、8rpmのボールミルにて5分間静かに2者を均一混合し現像剤とした後、調製直後に30rpmのボールミルにて1分間接触帯電後の帯電量を初期帯電量とする。一方本発明のトナーとキャリアを同様のポリ容器中に計量し容器をオープンにして34℃,86%RHの条件下に1日間放置し、8rpmのボールミルにて5分間静かに2者を均一混合した後、30rpmのボールミルにて1分間接触帯電したものを耐湿試験後の帯電量としてトナーの帯電量をブローオフ法により測定する。ここで、減衰率は下記式により算出した。
減衰率=(初期帯電量ー耐湿試験後の帯電量)/初期帯電量×100(%)
【0039】
実施例3
【0040】
上記組成の混合物を120−150℃に調整されたニーダーにて溶融混合処理(10分)した後、冷却、固化せしめた。次いで粗粉砕機により粗粉砕後、ジェットミル粉砕機にて微粉砕を行い、さらに気流式分級機にて分級し粒径5−20μのトナーを得た。得られたトナーを約125メッシュのフェライトキャリヤーと3:97(トナー:キャリヤー)の重量比で混合し現像剤Bを得た。次にブローオフ帯電量測定装置によりこの現像剤Bの初期比帯電量を測定したところ−22.6μC/gであった。更にこの現像剤Bを用いて複写機によりコピーを行ったところ階調性に優れた黒色の画像が得られた。また、現像剤Bを用いて実施例1と同様に経時安定性試験を実施したところ下表3、表4の結果を得た。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
以上の結果のごとく、現像剤Bの経時安定性及び耐湿安定性が極めて優れていた。
【0044】
実施例4
【0045】
上記混合物を1000部のアセトン、酢酸エチルの混合溶剤に溶解させ、常温にて1時間撹はんした。次いで、この混合物を10000部の水中へ撹はん下に滴下し沈澱せしめた。生成した沈澱を濾過、乾燥することにより粗粒子のトナーを得た。次いでジェットミル粉砕機にて微粉砕を行い、更に気流式分級機にて分級し5−20μのトナーを得た。得られたトナーを約200メッシュの鉄粉キャリヤーと3:97(トナー:キャリヤー)重量比で混合し現像剤Cを得た。次いでブローオフ帯電量測定装置によりこの現像剤Cの初期比帯電量を測定したところ−6.5μC/gであった。更にこの現像剤Cを用いて複写機によりコピーを行ったところ階調性に優れ鮮明な黒色の画像が得られた。また、現像剤Cを用いて実施例1と同様に経時安定性試験を実施したところ下記表5、表6の結果を得た。
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】
以上の結果のごとく、現像剤Cの経時安定性及び耐湿安定性が極めて優れていた。
【0049】
実施例5
【0050】
上記組成の混合物を130−150℃に調整されたニーダーにて溶融混合処理した後自然冷却、固化せしめた。次いで粗粉砕機、ジェットミル粉砕機にて微粉砕を行い、さらに気流式分級機にて分級し粒径5−20μのトナーを得た。得られたトナー100部に対しコロイダルシリカ0.3部をヘンシェルミキサーで混合した。このものを約125メッシュのシリコンコートフェライトキャリヤーと3:97(トナー:キャリヤー)の重量比で混合し現像剤Dを得た。次いでブローオフ帯電量測定装置によりこの現像剤Dの初期比帯電量を測定したところ−29.4μC/gであった。さらにこの現像剤Dを用いて複写機によりコピーを行ったところ階調性に優れ、鮮明な黒色の画像が得られた。また、現像剤Dを用いて実施例1と同様に経時安定性試験を実施したところ下記表7、表8の結果を得た。
【0051】
【表7】
【0052】
【表8】
【0053】
以上の結果のごとく、現像剤Dの経時安定性が極めて優れていた。
【0054】
実施例6
【0055】
上記組成の混合物をホモミキサーを用い5分間撹拌混合して均質な液状物とし、これを水:120部/炭酸マグネシウム:2.3部の分散液に加え、ホモミキサーにより6500rpmで5分間撹拌し均一な懸濁液を得る。この懸濁液を300mlの3つ口フラスコに入れ200rpmで撹拌しながら70℃で5時間重合反応を行い、40℃まで放冷後5%希塩酸水溶液90部を加え、濾過水洗した後40℃にて乾燥して粒径5〜20μのトナーを得た。得られたトナー100部に対しコロイダルシリカ0.3部をヘンシェルミキサーで混合した。このものを約125メッシュのフェライトキャリヤーと3:97(トナー:キャリヤー)の重量比で混合し現像剤Eを得た。次いでブローオフ帯電量測定装置によりこの現像剤Eの初期比帯電量を測定したところ−16.7μC/gであった。さらにこの現像剤Eを用いて複写機によりコピーを行ったところ階調性に優れ、鮮明な黒色の画像が得られた。また、現像剤Eを用いて実施例1と同様に経時安定性試験を実施したところ下記表9、表10の結果を得た。
【0056】
【表9】
【0057】
【表10】
【0058】
以上の結果のごとく現像剤Eの経時安定性が極めて優れていた。
【0059】
実施例7
以下の方法で、耐ブリード性試験を実施した。酸化チタンを練り込んで作製した塩化ビニルのシートと本願実施例4で得られたコピー画像、および本願実施例4で使用した化合物(1)の代わりに特開昭62ー129358中の実施例4に記載されている金属錯塩化合物(化合物(1)の金属錯体の水素イオン体)を使用して同様に作製したコピー画像を、10cm×10cmの鉄板に挟み、35℃×20時間放置した後、塩化ビニルシートを剥し、両者のシートに移った着色を顕微鏡観察したところ本願実施例4で得られたトナーの方が耐ブリード性に優れていた。
【0060】
【発明の効果】
本発明の化合物を使用して得られた電子写真用トナーは従来の荷電制御剤を用いたトナーに比べて速い帯電帯電立ち上がり特性とすぐれた耐湿性及び経時安定性を有している。その結果極めて階調性の高い画像が得られ、且つ反復画像形成能が極めて良好であることが特徴である。また、クロム化合物を使用しないため、環境に対する安全性に優れており、塩ビに対する耐ブリード性が良いことも特徴である。
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