JP3577934B2 - 電気洗濯機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インバータの出力に接続した電動機により駆動される電気洗濯機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開平5−137875号公報に開示されている電気洗濯機は、電流検出器によって洗濯運転中の直流ブラシレスモータに流れる電流を検知し、それが所定値よりも多い場合に、直流ブラシレスモータへの印加電圧を下げ、直流ブラシレスモータおよび撹拌翼(アジテータ)の回転数を低下させ、直流ブラシレスモータへの通電時間を短くして回転角度を小さくし、また撹拌翼が右回転から左回転するまでの間の直流ブラシレスモータの停止時間を長くするなどすることにより、水流を設定値よりも弱いものに変更し、直流ブラシレスモータでの消費電力値を小さくするものであった。
【0003】
また、洗濯時間を増加させ、洗濯の性能確保を行うものであった。これによって、同時に他の電気製品を使用しても家庭における電気容量が超過することを防ぎ、ブレーカなどが遮断しないようにするというものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の構成の電気洗濯機においては、洗い運転中に、負荷量の変動などが原因で直流ブラシレスモータに流れる電流が大となった場合に、水流の設定値として、直流ブラシレスモータの印加電圧を低くし、回転数を低下させるとともに、直流ブラシレスモータへの通電時間を短くするなどして、水流の設定を低いものにすることで、直流ブラシレスモータに流れる電流を所定値以下に抑えるというものであった。
【0005】
しかしながら、従来の電気洗濯機においては、洗い運転において、直流ブラシレスモータの電流が設定値をこえないように制限するものではなく、直流ブラシレスモータの電流が設定電流値をこえた場合に電流値を制限するものであり、一時的に電動機のトルクおよび消費電力が大となり、電動機の出力軸や、インバータに過大な負担をかけるという第1の問題を有していた。
【0006】
また、直流ブラシレスモータの電流を制限するのは洗い運転中のみで、すすぎ、脱水行程における負荷変動により過大な電流が流れた場合については、対応できないという第2の問題を有していた。
【0007】
また、洗い運転中においても、一度、直流ブラシレスモータの電流が設定電流値をこえると、水流の設定値を下げたままとなり、一時的に負荷が大となった場合でも水流設定値を復帰できないという第3の問題を有していた。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、布量、水量などの負荷量が多い場合などにおいても、常に電機子巻線に流れる電流を一定に抑えて、電動機のトルクを一定に抑え、電動機の出力軸にかかるトルクを一定に抑えることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、インバータの出力に電動機を接続し、インバータを構成するスイッチング素子のオンオフを制御手段により制御し、、電動機の電機子巻線に流れる電流に対応した電流を電流検知手段により検知するよう構成し、電流検知手段の出力値と設定値を比較し導通比設定手段によりスイッチング素子の導通比を制御するようにしたものである。
【0010】
これにより、布量、水量などの負荷量が多い場合などにおいても、常に電機子巻線に流れる電流を一定に抑え、電動機のトルクを一定に抑え、電動機の出力軸にかかるトルクを一定に抑えることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、インバータと、前記インバータの出力に接続した電動機と、前記インバータを構成するスイッチング素子のオンオフを制御する制御手段と、前記電動機の電機子巻線に流れる電流に対応した電流を検知する電流検知手段と、前記電流検知手段の出力値と設定値により前記電動機の目標回転数を設定する回転数設定手段と、前記電動機の回転数を検知する回転数検知手段と、前記スイッチング素子の導通比を設定する導通比設定手段とを備え、前記導通比設定手段は、前記回転数設定手段により設定した目標回転数と前記回転数検知手段により検知した電動機の回転数とにより導通比を設定するようにしたものであり、布量、水量などの負荷量が過大になっても、常に電機子巻線の電流を一定に制限するので、電動機のトルクを一定に抑え、電動機の出力軸にかかるトルクを抑え、出力軸の破損を防止するとともに、電動機およびインバータの過電流による過熱、故障を防止することができ、安全性を向上することができる。また、布量、水量の負荷量に応じて最適な加速を行うことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、導通比設定手段は、電動機の起動時においては、スイッチング素子の導通比を所定の設定値に設定し、その後、回転数設定手段の出力値と回転数検知手段の出力値とにより前記スイッチング素子の導通比を新たな設定値に設定するようにしたものであり、電動機の起動時に、電機子巻線に流れる電流が設定値を一時的に越えるのを、所定値により電機子巻線に流れる電流を制限することで防止し、電動機の出力軸に過大なトルクがかかることを防止することができ、過大なトルクにより出力軸が破損するのを防止し、安全性を向上することができる。また、起動時における回転数検知手段の検知速度が遅くても、フィードバック制御を行っていないので、不安定な動作をせずに確実に起動させることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、回転数設定手段は、電動機の起動時においては、目標回転数を所定の回転数に設定し、その後、電流検知手段の出力値と前記所定の回転数とにより前記目標回転数を新たな回転数に設定するようにしたものであり、電動機の起動時に、電動機の回転数が急加速することを防止し、それによる遠心力で洗濯物が傷むのを防止することができる。また、同時に電機子巻線の電流が設定値に対し急峻に立ち上がるのを防止するので、電機子巻線の電流が設定値を超過すること防止し、電動機の出力軸に過大なトルクがかかるのを防止し、安全性を向上することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、上記請求項1〜3に記載の発明において、回転数設定手段により設定する目標回転数に上限値を設けるとともに、前記上限値を運転時間あるいは負荷量に応じて変更可能としたものであり、電流検知手段の出力値と設定値の差が大である場合でも、目標回転数を急峻に上げることを制限するので、常に電動機が急加速で立ち上がるのを防止することができ、その結果、脱水時などに起こる布傷みを防止することが可能となり、また加速を制限することにより、電動機の出力軸にかかるトルクを制限し、安全性を向上することができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
(実施例1)
図2に示すように、水受け槽1は、内底部に撹拌翼2を回転自在に設けた洗濯兼脱水槽3を回転自在に設け、サスペンション4により洗濯機本体5に吊り下げている。減速機構6は、水受け槽1の底部に設け、撹拌翼2および洗濯兼脱水槽3に動力を伝達するもので、この減速機構6の下部に電動機7を設けている。給水弁8は洗濯兼脱水槽3内に給水するものであり、排水弁9は洗濯兼脱水槽3内の洗濯水などを排水するものである。
【0017】
電動機7の制御装置10は、たとえば100V60Hzの商用の交流電源11と、その出力に接続され交流電源11を整流して直流電圧に変換する整流平滑回路12により、第1の直流電源13を構成し、その出力に三相六石のインバータ14を接続し、その出力には電動機7を接続している。また、インバータ14は制御手段15に接続され、制御手段15によりオン、オフ制御されている。
【0018】
ここで、減速機構6は、遊星ギアを有し、撹拌翼2を回転駆動する際には、太陽歯車を電動機7の軸によって駆動し、遊星ギアの回転を撹拌翼2に伝達する構成により、1/6に減速するとともに電動機7の出力トルクを6倍に変換する。脱水および後ほど述べる通過洗浄においては、特に図示してないが、クラッチ機構により減速機構6を電動機7の出力軸より切り離し、洗濯兼脱水槽3を減速なしで電動機7で直接駆動する。
【0019】
本実施例では、電動機7を減速機構6の下部に直接取り付ける構成にすることにより、例えばベルトを介して動力を伝達する構成のものに比べ、プーリとベルトのスリップによる機械パワーの損失がなく、またベルトに大きな張力がかかることにより、ベルト切れなどのベルトによる故障が発生しない信頼性の高い電気洗濯機を実現できる。
【0020】
以上のように、図2に示した電気洗濯機においては、電動機7が水受け槽1の中心に配設されるので、水受け槽1の重量バランスが良好となり、バランスを取るために、重量を増加させる必要がなくなるという効果と、ボールベアリングなどの構成要素を減速機構6の構成要素と共用する効果により電気洗濯機の軽量化を実現することができる。
【0021】
しかしながら、特にこのような電動機の構成に限定するものではなく、例えばベルトにより電動機7の動力を減速機構6に伝える構成を取るものや、減速機構6を設けずに洗濯行程においても、直接動力を撹拌翼に伝えるダイレクトドライブの構成であってもよい。
【0022】
電動機7は、図3に示すように、固定子16と回転子17によって構成しており、固定子16は薄い珪素鋼板を積層して構成した鉄心18のティース(歯)部分に巻線19a〜19lを巻き付ける非ラップ型集中巻で構成されており、さらに位置検知手段としてホールIC20、21、22を設けている。
【0023】
図4は、巻線19a〜19lの結線を示したものであり、図4に示すように、4つずつの巻線を直列に接続することにより、電機子巻線23、24、25を構成している。図4において、各巻線の黒丸印は極性を示すものであり、各巻線の黒丸印がついている方から電流を流した場合に、各ティースの内側(回転子側)の面にN極が発生するように巻いて設けられている。ホールIC20、21、22は、いずれも対向する永久磁石の表面がS極である場合にはハイを出力し、N極である場合にはローを出力するように構成している。
【0024】
回転子17は、バックヨークとして動作するカップ状の鉄心26と鉄心26の表面に接着した永久磁石27a〜27h、および出力軸28を有している。ここで永久磁石27a〜27hはパラレル配向のフェライト磁石を使用している。また、永久磁石27a、27c、27e、27gは、外側にN極がくるように着磁がなされており、永久磁石27b、27d、27f、27hは、外側にS極がくるように着磁がなされている。
【0025】
なお、必要であれば、遠心力により永久磁石27a〜27hが飛び散ることを防ぐために、例えば熱収縮性のある樹脂チューブなどを回転子17に付加してもよく、また非磁性ステンレスの管を最外部に設け、堅牢な構成を実現してもよい。
【0026】
また、本実施例においては、固定子16を外側に配し、回転子17を内側に配したインナーロータ構成としているが、特にこのような構成に限定するものではなく、反対に回転子を固定子の外側に設けたアウターロータ構成としてもよい。
【0027】
以上のように本実施例の電動機7は、8極12スロットの構成としているが、特にこの構成に限定されるものではなく、他の極数、スロット数であってもよいし、また、電動機の原理的な種類に関しても、このような直流ブラシレスモータに制限しているものではなく、たとえば、3相誘導電動機や、リラクタンス電動機、ヒステリシス電動機などでもよく、また特に3相であることにも限定されるものでなく、例えば単相、4相などでも良い。要はインバータにより駆動されるものであって、整流平滑回路を有するものであるならば、いかなる種類の電動機を設けていても、同等の効果が得られる。
【0028】
つぎに、本実施例における図2に示した電気洗濯機の動作について説明する。洗濯兼脱水槽3内に洗濯物と洗剤を使用者が投入した状態で、運転を開始すると、給水弁8を開き、水道水を水受け槽1内に入れ、水受け槽1内の水を所定水位まで上昇させる。
【0029】
本実施例においては、クラッチ機構により洗濯兼脱水槽3と電動機7の出力軸28を直結させ、洗濯兼脱水槽3の回転駆動を150rpm程度で行う。洗濯兼脱水槽3を150rpmで回転駆動することにより、洗濯物は洗濯兼脱水槽3の内側に遠心力によって張り付いた状態となり、水受け槽1内の水は、中心部の水位が低下すると同時に洗濯兼脱水槽3の外側の水位が上昇し、水受け槽1の上部から再び洗濯兼脱水槽3内に落ちるという循環経路で水流を発生させる。
【0030】
この水流により、洗濯物に洗浄液を通過させ、洗濯物を洗浄する。この洗浄方式を本発明では通過洗浄と呼ぶものとする。ここで、洗濯物を通過する洗浄液は、特に遠心力により洗濯兼脱水槽3の外側に向いた力が強力に作用することから、通過洗浄の効果が非常に大きく、その効果は洗濯兼脱水槽3の回転速度が大きいほど大となり、洗濯兼脱水槽3の周囲の穴の数が多いほど大となる。
【0031】
なお、通過洗浄を行う場合は、洗浄液とこの洗浄液を含んだ洗濯物を洗濯兼脱水槽3に入れた状態で、洗濯兼脱水槽3を回転駆動することから、60kg・cm程度の高トルクが必要となるが、本実施例においては、前述したように、従来のコンデンサランの誘導電動機に比べ、低速時に出力トルクが大となる、回転子に永久磁石を備えた電動機7をインバータ14にて駆動する直流ブラシレスモータ方式を採用しており、通過洗浄を実現可能なものにしている。
【0032】
本実施例においては、通過洗浄を行った後、撹拌翼2による洗浄を行う。この洗浄においては、クラッチ機構により洗濯兼脱水槽3と電動機7の出力軸28を切り離すとともに、減速機構6と電動機7の出力軸28を接続し、電動機7の回転数を1/6に減速して撹拌翼2を回転駆動する。このとき、制御装置10は電動機7が正転、反転を繰り返すように電動機7を制御するが、電動機7の回転数制御としては、目標回転数の設定を通過洗浄時の150rpmから変更するだけで、通過洗浄時と同様に制御を行うことができる。
【0033】
撹拌翼2による洗浄が終了すると、排水弁9を開き、水受け槽1内の洗浄液を排水する。その後、通過洗浄時と同様にクラッチ機構により、電動機7の出力軸28と洗濯兼脱水槽3を直結させ、洗濯兼脱水槽3を電動機7により通過洗浄時よりも高い回転数で回転駆動することにより、洗濯物に含まれた洗浄液を脱水する。
【0034】
つぎに、すすぎが行われるが、ここでは撹拌翼2による洗浄と同様の動作により、撹拌翼2を減速機構6を介して電動機7により回転駆動する。
【0035】
最後の脱水行程では、排水弁9を開いて、水受け槽1内の洗浄液を排水し、通過洗浄と同様に、クラッチ機構により洗濯兼脱水槽3と電動機7を直結させ、洗濯兼脱水槽3を電動機7により900rpmで回転駆動し、この洗濯兼脱水槽3の回転数による遠心力で洗濯物の脱水を行う。なお、本実施例においては、脱水時と通過洗浄時の電動機7の回転数制御方法は同じである。
【0036】
図1は、本実施例における電動機7および制御装置10の回路図を示している。本実施例においては、整流平滑回路12は、ダイオードブリッジ29と、その交流電源11側に接続した力率改善および雑音防止を兼ねたコイル30、電解コンデンサを2個用いて構成した平滑コンデンサ31、32により構成され、交流電源11の倍の電圧で平滑するものである。したがって、実効電圧100Vの交流電源11が入力された場合は、直流288Vの直流電源を構成するものとなる。
【0037】
したがって、整流平滑回路12により交流電源11を整流平滑し直流電源にして使用することにより、地域によって電源周波数が異なるような場合にあっても、常に一定の性能が確保できる電気洗濯機を構成できるサイクルフリーという効果を得ることができる。
【0038】
インバータ14は、電動機7の3相巻線33に対応した3個の高電位側スイッチング素子(スイッチング素子)34、35、36と3個の低電位側スイッチング素子(スイッチング素子)37、38、39を備え、高電位側スイッチング素子34、35、36各々のゲートとエミッタ端子間に高電位側駆動回路40、41、42を接続し、低電位側スイッチング素子37、38、39の各々のゲートに低電位側駆動回路43、44、45を接続している。
【0039】
ここで、インバータ14および高電位側駆動回路40、41、42、低電位側駆動回路43、44、45は一つの部品にパッケージされた、IPM(インテグレーテッド・パワー・モジュール)構成にしているので、回路実装において、制御装置10を小さくすることが可能となる。
【0040】
高電位側駆動回路40、42、43は、3相の各々について、低電位側スイッチング素子37、38、39がオン状態にある期間に、例えばスイッチング電源などで構成された第2の直流電源46より、ダイオード47、48、49と充電抵抗50、51、52を介して電解コンデンサをブートストラップコンデンサ53、54、55として充電し、これを各相の高電位側駆動回路40、41、42の電源として使用する構成をとっている。
【0041】
ただし、このような部品で構成することに限定するものではなく、例えばIGBTが6個入ったモジュールを使用してもよく、またディスクリートのIGBT素子を6個用いて構成したものとしてもよく、またIGBT以外のパワー素子、例えばパワーMOS形FET、NPN形のバイポーラ式トランジスタなどを用いてもよい。
【0042】
なお、本実施例では、IGBTを用いていることから、いわゆるMOSゲートの駆動に必要な電力が小となり、よってブートストラップコンデンサ53、54、55の静電容量が小であっても、十分なスイッチング素子駆動が可能となっている。
【0043】
電流検知手段56は、インバータ14の入力電流を検知するもので、導通比設定手段57は、電流検知手段56の出力値Vinと設定電流値Vsを比較し、PWM出力手段58は、導通比設定手段57の出力値デューティに応じて15.5kHzのPWM信号を出力する。制御手段15は、ホールIC20、21、22の出力信号の組み合わせと電動機の回転方向によりスイッチング素子のオン・オフを設定し、高電位側駆動回路40、41、42および低電位側駆動回路43、44、45にオン・オフ信号を出力する。
【0044】
なお、導通比設定手段57、PWM出力手段58、制御手段15はマイクロコンピュータ59内で構成されている。本実施例においては、マイクロコンピュータ59は、8ビット並列処理ができるものを使用し、かつ内部のROM(リード・オンリー・メモリ)には、制御手段15の他にも、本実施例の電気洗濯機として動作するのに必要な通過洗浄、撹拌翼2による洗浄、すすぎ、脱水のシーケンスが、全てプログラムされている。
【0045】
本実施例においては、図1に示したマイクロコンピュータ59には、交流電源11の零電圧付近の位相でハイ信号を出力する零電圧検知回路60を接続し、マイクロコンピュータ59が電流検知手段56の出力値を読み取るタイミングを設定している。なお、本実施例においては、ノイズ対策として、電流検知手段56の出力値の何回かの平均値を電流検知手段56の出力値として確定しているが、別に1回の読み取りで確定しても構わない。
【0046】
PWM出力手段58は、15.5kHzでハイ、ローの論理を交互に出力するとともに、そのハイの期間の比率、すなわちパルス幅を加減するものとなっており、例えば、マイクロコンピュータ59内部のカウンタ61とマグニチュードコンパレータ62により、導通比設定値に応じて、PWM信号が出力される構成となっている。すなわち、導通比設定手段57の出力値とカウンタ61の出力値をマグニチュードコンパレータ62により比較することで、出力値に応じたパルス幅となるPWM信号が出力される構成となっている。
【0047】
AND回路63、64、65は、CMOSロジックICで構成し、PWM信号を入力するとともに、制御手段15の出力値を入力し、この出力値とPWM信号との論理積を高電位側駆動回路40、41、42に出力し、これによって高電位側スイッチング素子34、35、36を導通比設定手段57の出力値に応じた導通比でオンオフすることで、等価的に電動機7に印加する第1の直流電源13を低減させた状態と、ほぼ同様の運転ができる。
【0048】
電流検知手段56は、本実施例においては、インバータ14の入力電流のピーク値を検知するもので、整流平滑回路12とインバータ14間に接続したシャント抵抗25とシャント抵抗25の両端電圧値を増幅する増幅回路66と増幅回路67の出力電圧のピーク値をホールドするピークホールド回路68により構成し、この出力電圧値をマイクロコンピュータ59のAD入力端子で検知している。
【0049】
本実施例において、インバータ入力電流を検知するということは、図5の電機子巻線23、24、25とインバータ入力電流の関係を見てもわかるように、3相巻線33のすべての相電流を検知することになり、たとえば、電流センサを用いて相電流を検知するよりも簡単な構成で確実に3相巻線33に流れる電流を検知することが可能となる。したがって、インバータ入力電流のピーク値を検知するということは、すなわち3相巻線33の電流のピーク値を検知することになる。
【0050】
直流ブラシレスモータでは、3相巻線33の電流のピーク値は出力トルクとほぼ比例関係となるので、電動機7の出力トルクを検知することが可能となる。したがって、インバータ入力電流のピーク値を一定値に制御することで、電動機7のトルクを制御でき、脱水時や通過洗浄時に、電動機7の出力軸28に過大なトルクがかかることを防止し、出力軸28の破損を防止するとともに、洗濯時に撹拌翼2を駆動する場合においても、減速機構6を構成する遊星ギア、クラッチに過大なトルクがかかるのを防止することができる。
【0051】
直流ブラシレスモータにおいては、3相巻線電流が所定値を越えると、回転子を構成する永久磁石が減磁する現象が生じるが、インバータ入力電流を検知することは3相巻線電流を検知することであるので、所定値を検知することが可能となり、電動機7の減磁を防止し、減磁により性能低下することも防止できる。
【0052】
本実施例では、シャント抵抗66として、インダクタンスのある巻線型抵抗ではなく、無誘導抵抗を用いることにより、PWM信号に同期してオンオフするインバータ入力電流を確実に検知できる。また、PWM信号によりインバータ14を構成するスイッチング素子がオンしたときに流れる瞬時電流についても検知することが可能となり、電動機7のトルク制御だけでなく、スイッチング素子の過電流検知も行うことが可能となる。ただし、巻線型抵抗を使用した場合でも、ローパスフィルタを設けることにより、多少応答性は悪くなるものの、インバータ入力電流を検知できる。
【0053】
本実施例においては、シャント抵抗66を小さい値に設定しており、マイクロコンピュータ59でその両端電圧を検知するには精度を要することから、増幅回路67を設けている。増幅回路67は15.5kHzの電圧波形を増幅するという目的で、図6に示すように、NPNトランジスタとPNPのトランジスタを1個ずつ使用した構成とするが、特にトランジスタを使う方式ではなく、たとえば、図7に示すように、オペアンプによる反転増幅器の構成を用いてもよい。ただし、オペアンプの場合、15.5kHzの波形を増幅するにはスリューレートの高いものを使用する必要があり、高コストになることが多く、そのため、平均値を検知することが多い。
【0054】
なお、本実施例においては、増幅回路67を用いたが、マイクロコンピュータの検知精度が高いものであれば、特に増幅回路67を設けずに、直接ピークホールドしてもよい。また、ピークホールド回路68を図6、図7に示すように、エミッタフォロワにて構成しているが、特にトランジスタを使用せずにダイオードを使用してもよい。
【0055】
また、本実施例においてはインバータ入力電流のピーク値を検知し、ピーク値が一定になるように制御しているが、これはピーク値に限定するものではなく、実効値や平均値を検知する方法にしても構わない。この場合、インバータ入力電流の実効値は直流ブラシレスモータにおいては、その出力トルクと比例関係になっており、この値を一定値に制限することで、トルクを制限でき、ピーク値と同様に、回転子17に接続した出力軸28や減速機構6を構成する遊星ギア、クラッチなどに過度の負担をかけるのを防止することができる。
【0056】
インバータ入力電流の平均値を検知する場合においては、一般的に整流平滑回路12への入力電流値を検知することと等価になり、コイル30に流れる電流を抑えることが可能となり、高調波を抑制することも可能となるが、電動機7のトルクと比例関係は成立しない。したがって、トルク制限を行う場合は、電動機7の回転数などで設定電流値の補正を行う方式などが考えられる。
【0057】
なお、本実施例においては、インバータ入力電流を検知しているが、これに限定するわけではなく電流センサを用いて、3相巻線の電流を検知する方法を用いてもよい。
【0058】
導通比設定手段57は、マイクロコンピュータ59が読み込んだ電流検知手段56の出力値Vinと予めROMに記憶された電圧値に変換された設定電流値Vsを比較し、その大小によりPWM出力手段58への出力値を制御する。なお、設定電流値Vsは一つに限定する必要はなく、必要であるならば、洗浄、すすぎ、脱水など各行程で設定してもかまわない。
【0059】
導通比設定手段57は、図8に示すように構成しており、電流偏差演算部69は、設定電流値Vsと電流検知手段56の出力値Vinの偏差Hiを Hi=Vs−Vin として演算し、その結果を導通比変化量演算部70に出力する。導通比変化量演算部70はこの結果に応じた導通比設定値の変化量Δdutyを予め記憶された変換表により設定し、この変化量を導通比演算部71に出力する。導通比演算部71は、
duty=duty+Δdutyを計算する。つまり前回の導通比設定値にΔdutyを加算し、新しい導通比設定値dutyにして、PWM出力手段58へ出力する。
【0060】
なお、電流偏差を導通比変化量に変換するのに変換表を用いる方法に限定するものではなく、たとえば、電流偏差にある所定値を掛け算して導通比変化量を導出しても構わない。
【0061】
また、導通比設定手段57についても、図9に示すように、電流検知手段56の今回の出力値Vin(n)と前回の出力値Vin(n−1)の差、すなわちVinの変化量を電流変化量演算部72にて演算し、導通比変化量演算部73において、この変化量に応じた導通比設定値の変化量を設定し、また電流偏差演算部69において設定値Vsと今回の出力値Vin(n)の差(偏差)を演算し、導通比変化量演算部70において、この偏差に応じた導通比設定値の変化量を設定し、導通比演算部74において、この2つの変化量を前回の導通比設定値に加算したものを新しい導通比設定値の変化量として設定するようにしてもよい。
【0062】
また、それ以外にも、図10に示すように、電流偏差演算部69が出力する電流偏差Hiをランク分けする電流偏差ランク設定部75と電流変化量演算部72が出力する電流変化量Diをランク分けする電流変化量ランク設定部76を設け、この2つのランクを導通比変化量演算部77に予め記憶してあるデータテーブルにより導通比設定値の変化量を設定し、導通比演算部71にて前回の導通比設定値にこの変化量を加算し、新しい導通比設定値としてPWM出力手段58に出力するようにしてもよい。
【0063】
図5は、電動機7を運転するときの、各部の電圧、電流波形を示しており、(a)〜(c)は、それぞれ位置検知手段を構成するホールIC20、21、22からの出力電圧波形を示している。本実施例では、ホールIC20、22については、回転子17が有する永久磁石の対向する表面がS極である場合にはハイ出力を、N極である場合にはロー出力をするように構成している。また、ホールIC21については、対向する永久磁石の表面がN極である場合にはハイ出力を、S極である場合にはロー出力をするように構成している。
【0064】
(d)〜(i)は、制御手段15からの出力電圧波形V1〜V6を示している。(j)〜(l)は、電機子巻線23、24、25に流れる3相電流を示している。ここでは、高電位側スイッチング素子がオンしているときに、電機子巻線23、24、25に正方向に電流が流れるようにしている。(m)はシャント抵抗66に流れるインバータ入力電流を示している。なお、このときの波形は導通比が100%のときのものを示している。
【0065】
以上のように、図5において、ホールIC20、21、22の出力信号の論理の組み合わせは、電気角で60度回転するたびに、1ビットずつ変化し、これを制御手段15に入力し、正方向に電動機7を回転駆動するという条件のもとに、制御手段15が処理し、V1〜V6を出力する。この出力に対応してインバータ14を構成するスイッチング素子をオンオフし、電機子巻線23、24、25の3つの入力端子の内の2つの端子間に第1の直流電源13の電圧を印加し、この電圧と電動機7の回転による誘導起電力の差分の電圧により(j)〜(l)のように電機子巻線23、24、25に電流を流す。
【0066】
以上のように、本実施例においては、等価的に第1の直流電源13の電圧値に、PWM信号のハイの期間の比率(導通比)を乗じた値が印加されたものとして、3相巻線33に電流が供給され、この電流と電動機7の永久磁石の間にフレミング左手の法則に従った作用、反作用の力が発生し、これにより、回転子17と固定子16間にトルクを発生し、回転の動力を機械的な負荷に供給することができる。
【0067】
なお、本実施例においては、ホールIC20、21、22を用いた位置検知手段により回転子17が備えた永久磁石に同期した制御をおこなっているが、特にホールICにより位置検知を行うものに限定するものではなく、たとえば、電機子巻線23、24、25に発生する誘導起電力を検出し、その出力にローパスフィルタを介し、その出力の零点を検知することにより、ホールICを用いた位置検知手段と同様の位置検知を行うものを使用してもよいし、また、フォトインタラプタを用いて光学的に位置検知をするなどの方法を行ってもよい。
【0068】
図11は、脱水制御のフローチャートを示している。ここで、図11においては、脱水制御について説明するが、前述したように電動機7の回転制御は通過洗浄、撹拌翼2による洗浄、すすぎ、脱水のいずれにおいても同様のものである。ただし、電動機7の最終目標回転数は、通過洗浄、撹拌翼2による洗浄、すすぎ、脱水では異なる。
【0069】
図11の脱水制御においては、図5に示した信号により、インバータ14を駆動し、電動機7を回転駆動し、電動機7の出力軸28より洗濯兼脱水槽3を回転駆動し、脱水動作を行う。
【0070】
マイクロコンピュータ59のシーケンス制御により脱水制御を選択すると、ステップ91において脱水制御を開始する。電動機7の起動時には、マイクロコンピュータ59に予め記憶したステップ92の初期充電モードにおいて、高電位側駆動回路40、41、42の電源を構成するブートストラップコンデンサ53、54、55に充電する。ここで、初期充電モード92について説明する。
【0071】
本実施例においては、高電位側駆動回路40、41、42の電源をブートストラップコンデンサ53、54、55にて確保するブートストラップ方式を採用しており、このブートストラップコンデンサ53、54、55に電源電圧を充電する期間を設けている。
【0072】
図12に示すように、高電位側スイッチング素子34、35、36をオフ状態に保ったままで、低電位側スイッチング素子37、38、39を同じタイミングで間欠的にオンオフし、ブートストラップコンデンサ53、54、55を第2の直流電源46からダイオード47、48、49および充電抵抗50、51、52を介して充電する。
【0073】
つぎに、初期充電モード92からソフトスタート制御94へ移行する際に、ステップ93として、高電位側スイッチング素子34、35、36と低電位側スイッチング素子37、38、39を所定時間、すべてオフする。
【0074】
その後、PWM出力手段58のパルス幅を所定値まで絞り、起動後に徐々に増加させていくソフトスタート制御94で電動機7の回転数を徐々に上昇させていく。
【0075】
ソフトスタート制御94について説明すると、ステップ95において導通比設定値dutyをd1に設定する。それと同時にステップ96としてマイクロコンピュータ59内に構成されたタイマを起動させ、所定時間t経過後に、ステップ97として duty=duty+d2の計算を行う。ステップ98では、この計算結果がd3かどうかを判定し、そうである場合は、ソフトスタート制御94を終了し、つぎのステップとして電流制御99に移動する。そうでない場合は、再び所定時間t経過後にd2を加算し、再びd3であるかを判定する。
【0076】
電流制御99に移動すると、まずステップ100として、設定電流値Vsが設定される。ここで、Vsは予めマイクロコンピュータ59に記憶されているものである。つぎに、ステップ111で電流検知手段56の出力値Vinを入力する。本実施例においては、特に示してはいないが、零電圧検知回路60のハイ出力ごとに電流検知手段56の出力値を検知し、4回の平均値をVinと判定する。また、Vinの書き換えのタイミングはホールIC22の出力に同期させている。
【0077】
ステップ112では、電流偏差Hiを Hi=Vs−Vin で計算し、ステップ113でHiに対する導通比変化量Δdutyを求める。このΔdutyにより、ステップ114で導通比設定値dutyを duty=duty+Δdutyとして計算する。したがって、導通比変化量Δdutyを前回の導通比設定値dutyに加算し、新しい導通比設定値dutyにし、ステップ115でPWM出力手段58に出力する。
【0078】
ステップ115にて、導通比設定値dutyをPWM出力手段58に出力すると、この設定値に応じたパルス幅でPWM信号を出力し、AND回路63、64、65を介して高電位側駆動回路40、41、42をPWM信号に同期させてオンオフ制御する。なお、特に図示していないが、電流制御99はマイクロコンピュータ59に記憶された脱水時間が経過し、脱水制御終了の判定がなされるまで続ける。
【0079】
前述したように、インバータ入力電流のピーク値を電流検知手段56にて検知し、電流検知手段56の出力値をマイクロコンピュータ59が検知するタイミングを零電圧検知回路60の出力タイミングと同期させており、このタイミングは必ずしも直流ブラシレスモータにおいては、インバータ入力電流のピークのタイミングとは一致しない。しかしながら、シャント抵抗66の出力値を増幅回路67にて増幅後、ピークホールド回路68を接続することにより、インバータ入力電流のピークタイミングに一致しなくても確実にインバータピーク電流値を検知することができる。
【0080】
ただし、マイクロコンピュータ59の性能によっては、電流検知のタイミングを位置検知手段の出力タイミングに同期させることで、ピークホールド回路68を設けなくても、インバータピーク電流を検知することができる。
【0081】
以上のように、本実施例においては、脱水あるいは通過洗浄の起動時においては、特に洗濯兼脱水槽3に水を含んだ布が入っていることから、慣性モーメントが約0.8kg平方メートルという大きな値となるが、負荷の慣性モーメントは、布の量や質などによって変化する。また、脱水回転の遠心力により布から洗浄液がぬける際に、洗浄液が洗濯兼脱水槽3の回転により泡を発生したり、洗剤の入れ過ぎなどにより、洗濯時に泡が発生した場合には、泡の摩擦力により洗濯兼脱水槽3の回転に必要なトルクが大となり、モータ電流が大となる状態が発生する。
【0082】
したがって、いかなる場合でもインバータ入力電流のピーク値がほぼ一定となるように制御することにより、電動機7の出力軸28にかかるトルクを制限し、各スイッチング素子の過電流を防止し、かつ電動機7が有する永久磁石の減磁を防止しながら脱水制御を行うことが可能となる。
【0083】
それ以外にも、制御装置10の入力電力の上限も制限される効果が発生し、整流平滑回路12の構成素子の電流定格や、放熱部品についても削減可能となり、低コスト化が可能となる。また商用電源系統への負担も軽減することができる。
【0084】
図11においては、脱水制御について述べたが、通過洗浄、撹拌翼2による洗浄およびすすぎの制御においても、脱水制御と同様に制御を行うことにより、電動機7のトルクを制限できるので、脱水制御と同様の効果を得ることができる。
【0085】
また、本実施例では、ソフトスタート制御94を行うことにより、電動機7の起動時に電流制御99により生じるインバータ入力電流の設定値に対するオーバーを低く抑えることが可能となり、インバータ入力電流の過大なオーバーシュートにより、電動機7の出力軸28に過大なトルクがかかるのを防ぐとともに、各スイッチング素子の過電流を抑え、かつ電動機7が有する永久磁石の減磁を防止し、また整流平滑回路12の各構成素子への電気的な負担についても過大とならないように制限することができ、信頼性の高い装置を実現している。
【0086】
また、電流検知手段56とは別に、減磁電流検知手段、過電流検知手段を独立に設け、電動機7および制御装置10、減速機構6などの安全性を確保する場合もある。この場合、減磁電流検知手段は、たとえば、コンパレータで構成し、電動機7が有する永久磁石が減磁する電流よりも低い値を設定値とし、設定値を越えた場合はコンパレータをロー出力とすることで、高電位側駆動回路34、35、36および低電位側駆動回路37、38、39へのマイクロコンピュータ59からの信号をすべてオフにし、瞬時にインバータ14の動作を停止する。
【0087】
なお、このときの電流検知はシャント抵抗66で行って構わない。また、過電流検知手段は、たとえば減磁電流検知手段と同様にコンパレータで構成し、判定を行う設定値として、インバータ14を構成するスイッチング素子が破壊される電流値よりも低い値を設定し、設定値以上の電流が流れると、コンパレータがローを出力し、高電位側駆動回路34、35、36および低電位側駆動回路37、38、39へのマイクロコンピュータ59からの信号をすべてオフにし、瞬時にインバータ14の動作を停止する。
【0088】
ここで、過電流検知手段の電流設定値は、減磁電流検知手段の電流設定値よりも大とし、減磁電流検知手段の電流設定値はマイクロコンピュータ59が予め記憶している導通比設定手段57に入力する設定電流値よりも大とする。こうすることにより、電動機7の減磁保護については、減磁電流検知手段が故障しても、電流検知手段56があることにより、二重の保護が可能となり、また、過電流保護についても、電流検知手段56、減磁電流検知手段、過電流検知手段により、三重の保護になるので、ほぼ確実に電動機7およびインバータ14を保護することができる。
【0089】
(実施例2)
図13に示すように、回転数設定手段78は、電流検知手段56の出力値と設定値により電動機7の目標回転数を設定するものである。回転数検知手段79は、ホールIC22の出力信号の周期を演算して電動機7の回転数を検知し、この結果を導通比設定手段80に出力する。ここで、回転数設定手段78、回転数検知手段79は、ともにマイクロコンピュータ81のソフトウェアにて構成される。他の構成は上記実施例1と同じである。
【0090】
本実施例においては、回転数検知の確定はホールIC22のパルス数により判定する。従って、電動機7の回転数により回転数検知の周期は変動するものになるが、回転数の範囲により、確定に必要なホールIC22のパルス数を調整することにより、その変動を少なくしている。本実施例では、特に脱水制御において、回転数検知の範囲をa、b、c、d、eの5つに分類し、範囲aでは回転数検知を行わず、範囲bではホールIC22の出力信号1周期にて回転数検知を確定し、範囲cでは出力信号2周期にて確定し、範囲dでは出力信号4周期にて確定し、範囲eでは出力信号8周期にて確定するようにマイクロコンピュータ81のソフトウェアにて設定している。
【0091】
図13は回転数設定手段78および導通比設定手段80の構成を示しており、回転数設定手段78は、電流検知手段56の出力値と予めROMに記憶された設定電流値Vsに応じて、電動機7の目標回転数を設定する。
【0092】
なお、本実施例においては、図14の構成にて動作の説明を行うものであるが、この構成に限定するものではなく、図8のように偏差演算部のみで構成したり、また、図9のようにランク設定部を設けず、演算のみで目標回転数を設定する構成にしてもよい。
【0093】
図14において、電流偏差演算部69は電流検知手段56の現在の出力値Vin(n)と予め記憶された設定電流値Vsの偏差Hi=Vs−Vinを演算し、その結果を電流偏差ランク設定部75に出力する。また、電流変化量演算部72は電流検知手段56の現在の出力値Vin(n)と前回値Vin(n−1)の差、即ちVinの変化量Diを演算し、その結果を電流変化量ランク設定部76に出力する。
【0094】
電流偏差ランク設定部75、電流変化量ランク設定部76は各々の入力値に対し予め記憶された電流偏差ランク、電流変化量ランクを設定し、回転数変化量演算部82に出力する。回転数変化量演算部82は予め設定されたデータテーブルに基づいて、目標回転数の変化量ΔNsを設定し、回転数演算部83に出力する。回転数演算部83は前回の目標回転数NsにΔNsを加算し、その結果を新しい目標回転数Nsとして導通比設定手段80に出力する。
【0095】
導通比設定手段80は、図14に示すように構成され、回転数偏差演算部84は回転数設定手段78が出力した目標回転数Nsと回転数検知手段79の現在の出力値Nin(n)の偏差Hn=Ns−Nin(n)を演算し、回転数偏差ランク設定部85にその結果を出力する。回転数変化量演算部86は回転数検知手段79の現在の出力値Nin(n)と前回出力値Nin(n−1)の差、すなわち回転数の変化量Dnを演算し、その結果を回転数変化量ランク設定部87に出力する。
【0096】
回転数偏差ランク設定部85、回転数変化量ランク設定部87は予め記憶された回転数偏差Hn、回転数変化量Dnに対応する回転数偏差ランク、回転数変化量ランクを設定し、導通比変化量演算部77に出力する。導通比変化量演算部77には予めデータテーブルが記憶されており、入力された回転数偏差ランク、回転数変化量ランクに基づいて、導通比設定値の変化量Δdutyを設定し、導通比演算部71に出力する。
【0097】
導通比演算部71はこの変化量Δdutyを前回の導通比設定値に加算し、その結果を新たな導通比設定値dutyとしてPWM出力手段30に出力する。
【0098】
図15は、本実施例における脱水制御のフローチャートを示したものである。ここで、図15においては脱水制御について説明するが、前述したように電動機7の回転制御は通過洗浄、撹拌翼2による洗浄、すすぎ、脱水のいずれにおいても同様のものである。但し、電動機7の最終目標回転数は、通過洗浄、撹拌翼2による洗浄、すすぎ、脱水では異なる。
【0099】
図15において、ステップ132としてマイクロコンピュータ81により脱水制御開始が選択されると、ステップ92の初期充電モードにおいて、ブートストラップコンデンサ53、54、55を充電し、ステップ93としてインバータ14を構成する全スイッチング素子を所定時間オフにした後、ソフトスタートサブルーチン133を行う。
【0100】
ここで、ソフトスタートサブルーチン133を説明する。図16は本発明の一実施例であるソフトスタートサブルーチンを示している。図16においてソフトスタートサブルーチン133になると、ステップ152としてソフトスタートサブルーチンを開始し、ステップ153にて導通比設定手段80からの出力を禁止し、導通比設定値をd1に設定し、ステップ154で導通比設定値d1をPWM出力手段58に出力する。
【0101】
PWM出力手段58がこの出力値に対応したPWM信号を出力し、インバータ14を駆動すると、電動機7は回転を開始する。その後、ステップ155にてホールIC22のパルスが所定数入力されたかを判定する。そうでない場合は、ステップ156としてタイマにて所定時間t経過を確認し、ステップ157として前回の導通比設定値に所定導通比変化量d2を加算し、新たな導通比設定値に設定する。
【0102】
このとき、ステップ158として導通比設定値が所定値d3を越えているかを判定し、そうでない場合は、ステップ154に戻り、導通比設定値dutyをそのまま出力し、そうである場合は、ステップ159にて導通比設定値をd3に設定し、ステップ154戻ってこの値をPWM出力手段58に出力する。
【0103】
なお、ステップ155にてホールIC22のパルス数が所定数入力されたと判定した場合は、ステップ160にてソフトスタートサブルーチンを終了し、つぎのステップへ移行する。
【0104】
ソフトスタートサブルーチン133が終了すると、ステップ134にて回転数検知手段79により電動機7の回転数検知を開始する。次にステップ135として、導通比設定手段80からの出力の禁止を解除し、回転数設定手段78の出力する目標回転数の初期値にNsminを入力する。ステップ135においては、回転数設定手段78を動作させるために予めマイクロコンピュータ内に記憶しておいた設定電流値Vsを設定する。
【0105】
つぎに、ステップ137にて回転数検知手段79が電動機7の回転数を確定し、出力した検知回転数Nin(n)を入力する。すると、電流検知手段56の出力値Vin(n)の入力タイミングも、回転数検知手段79の出力値Nin(n)の入力タイミングに同期させているので、ステップ139にてVin(n)を入力し、電流制御138を開始する。
【0106】
ステップ139にて電流検知手段56の出力値Vin(n)を入力すると、ステップ140において電流偏差Hi=Vs−Vin(n)を計算し、その結果より電流偏差ランク設定部75にて偏差ランクを設定する。ステップ141においては電流変化量Di=Vin(n)−Vin(n−1)を計算し、この結果より電流変化量ランク設定部76にて変化量ランクを設定する。
【0107】
なお、Vin(n−1)はソフトスタートサブルーチン133から移行した直後は、まだ電流検知が行われていないので0が入力されている。ステップ142においては、偏差ランク、変化量ランクに対応した目標回転数の変化量ΔNsをデータテーブルを用いて設定する。ステップ142にて目標回転数の変化量ΔNsが設定されると、ステップ143において、前回の目標回転数にΔNsを加算し、新しい目標回転数Nsとして、導通比設定手段80に出力する。
【0108】
したがって、起動直後はNs=Nsmin+ΔNsが目標回転数として設定されることになる。その後、ステップ144にて現在の出力値Vin(n)を前回出力値Vin(n−1)として記憶しておくところで、電流制御138は一旦終了する。電流制御138が終了すると、ステップ145で回転数設定手段78が出力した目標回転数Nsを確認し、ホールIC22の出力パルス何回で回転数検知を確定するかを判定し、速度制御111に移動する。
【0109】
速度制御111においては、まずステップ146で目標回転数Nsと回転数検知手段79の出力値Nin(n)の偏差Hnを計算し、この結果に対応した回転数偏差ランクを設定する。つづいて、ステップ147で回転数の変化量Dnを回転数検知手段79が出力した現在の回転数Nin(n)から前回出力した回転数Nin(n−1)を引き算して求め、この結果に対応した回転数変化量ランクを設定する。
【0110】
ステップ148では、この回転数偏差ランク、回転数変化量ランクに対する導通比変化量Δdutyを予めマイクロコンピュータ81に記憶されたデータテーブルで設定し、ステップ149で前回の導通比設定値にこのΔdutyを加算し、新しい導通比設定値dutyとして、ステップ150でPWM出力手段58に出力する。
【0111】
ステップ150にて、導通比設定値をPWM出力手段58に出力すると、この値に応じたパルス幅でPWM信号を出力し、AND回路63、64、65を介して高電位側駆動回路40、41、42をPWM信号に同期させてオンオフ制御する。
【0112】
その後、回転数検知手段79の出力値の前回値Nin(n−1)に今回の出力値Nin(n)を入力し、再び、ステップ137で回転数検知手段79が検知回転数を確定し、Nin(n)を出力したら、電流制御138、速度制御111を行い、徐々に電動機7の回転数を上昇させていく。
【0113】
図16に示したソフトスタートサブルーチンは、電動機7の起動時に導通比設定手段80の出力に関わらず、予め設定した所定値d1より徐々に導通比設定値を上げていくものである。
【0114】
なお、図16に示したソフトスタートサブルーチンは、電動機7の起動時に電流制御138により、インバータ入力電流が設定電流値Vsになろうとする際に発生する一時的な設定電流値に対するオーバーを抑えることを可能とするので、3相巻線33に流れる電流が過大になることを抑え、電動機7の出力軸28にかかるトルクを抑えることができる。したがって、過大なトルクにより、電動機7と洗濯兼脱水槽3を接続する出力軸28が破損することを防止でき、信頼性の高い電気洗濯機を実現できる。
【0115】
また、本実施例のように、回転数検知を位置検知手段を構成するホールIC22で行う場合には、電動機7の回転数が低い時の回転数検知の確定時間が長くなるという応答性の問題により、低速時に速度制御を行うと導通比設定値が大となり、その結果、3相巻線33に流れる電流が過大となり、電動機7の出力軸28にかかるトルクが過大となることがあるが、図16に示したソフトスタートサブルーチンを行えば、回転数がある程度高くなるまでの間、速度制御を行わず、導通比設定値を低い値に絞っておくので、3相巻線33に流れる電流は一定値以下に抑えられ、電動機7の出力軸28に過大なトルクがかかるのを防止することができる。
【0116】
図17は、他の実施例であるソフトスタートサブルーチンである。なお、これ以降の実施例の説明は、回転数検知を行わない範囲をなくし、0〜900rpmの範囲で回転数検知を行う条件で行うものとする。
【0117】
図17においては、ステップ161で回転数設定手段78に入力する設定電流値をVsよりも低い値Vs2に設定する。ステップ162では、電流検知手段56の前回の出力値Vin(n−1)に初期値として0を入力し、ステップ163で回転数検知手段79の前回の出力値Nin(n−1)に初期値として0を入力する。その後、ステップ134で回転数検知を開始し、ステップ135において回転数検知手段79が電動機7の現在の回転数を確定すると、図15に示した電流制御138を行う。
【0118】
電流制御138において、設定した目標回転数がNsminを越えているかをステップ164にて判定し、Nsmin以下の場合は、図15に示した速度制御111を行う。また、Nsminを越えている場合は、ステップ160にてソフトスタートサブルーチンを終了し、次のステップへ移行する。
【0119】
したがって、図17に示したソフトスタートサブルーチンは、電動機7の起動時において設定電流値を小にした状態で電流制御を行うことにより、設定電流値に対するオーバーシュートが大となった場合でも設定電流値自体が低いので、3相巻線33に流れる電流は低いものとなり、電動機7の出力軸28にかかるトルクを低く抑え、出力軸28の破損を防止するとともに、インバータ14を構成するスイッチング素子にも過電流が流れることを防止することができる故障の少ない安全な電気洗濯機を実現できる。
【0120】
図18は、本発明の請求項5の発明の一例を示すソフトスタートサブルーチンである。図18においては、ステップ171で導通比設定手段80に入力される目標回転数Nsの初期値をNs1に設定し、ステップ163で回転数検知手段79の前回の出力値Nin(n−1)に初期値として0rpmを入力する。その後、ステップ134において回転数検知手段79による回転数検知を開始し、ステップ137で回転数検知手段79が電動機7の回転数を確定したところで、図15に示した速度制御111を行う。
【0121】
速度制御111の終了後、ステップ172で目標回転数NsにΔNs1を加算し、新しい目標回転数にする。ステップ173ではNsがNsminであるかを判定し、そうでないならば、再び、回転数検知手段79の出力後に速度制御111を行う。また、Ns=Nsminである場合は、ステップ160にてソフトスタートサブルーチンを終了し、次のステップに移行する。
【0122】
したがって、起動時において回転数検知手段79の出力値に関係なく目標回転数を低い値から徐々に上昇させて速度制御111のみを行い、電流制御138を行わないことにより、電流制御時の設定電流値に対するオーバーを生じさせないものにする。
【0123】
また、速度制御においても目標回転数を低い値に制限するので、回転数検知手段79の電動機7の起動時における検知速度が遅かったり、検知精度にばらつきがあっても、導通比設定手段80の出力する導通比設定値は低い値に抑えられるので、三相巻線電流が過大になるのを防止し、電動機7の出力軸28に過大なトルクがかかることを防止する。従って、故障の少ない安全な電気洗濯機を実現できる。
【0124】
以上のように図15において、ソフトスタートサブルーチン133を設けることで、電動機7の起動時に、電流制御138による電動機7の出力トルクの一時的なオーバーシュートを抑え、電動機7の出力軸28にかかるトルクを抑えることができる。
【0125】
ただし、回転数設定手段78および導通比設定手段80の入力対出力の変換比率を調整すれば、3相巻線33に流れる電流の起動時におけるオーバーシュートおよび電動機7の回転数の起動時におけるオーバーシュートを低減できるので、ソフトスタートサブルーチン133は特に必要なくなる。
【0126】
この場合は、起動後すぐに電流制御によりインバータ入力電流が設定電流値で安定するので、脱水制御および通過洗浄時に電動機7の出力軸28にかかるトルクを抑えながら電動機7の立ち上がりが素早く行われるものとなり、駆動時間を短くし、消費電力の小さくすることもできる。
【0127】
(実施例3)
図19に示すように、リミッタ判定手段88は、回路設定手段78の出力側に設けている。ここで、リミッタ判定手段88はマイクロコンピュータ89のソフトウェアにて構成されるものである。他の構成は上記実施例2と同じである。
【0128】
本実施例においては、脱水時の電動機7の最終目標回転数を脱水性能を満足するものとして900rpmに設定している。したがって、900rpm以上で電動機7を回転駆動すればよいのであるが、900rpmを大幅に越える場合は洗濯兼脱水槽3の遠心力により電動機7の出力軸28に大きな力がかかり、場合によっては出力軸28の破損することも考えられる。
【0129】
ここで、リミッタ判定手段88は回転数設定手段78の出力する目標回転数が900rpmを越えるかどうかを判定し、900rpmを越える場合は目標回転数を900rpmに設定することで、電動機7の回転数を900rpm以下に抑え、洗濯兼脱水槽3の遠心力により電動機7の出力軸28にかかる力を抑えることが可能となり、安全な電気洗濯機を実現できる。
【0130】
図19において、リミット判定手段88の判定条件を900rpmという一定値ではなく、電動機7の起動時からの動作時間tによって変化させるものとなる。この場合において、電動機7の起動時からの動作時間tに対するリミッタ用関数Nsmax(t)を予めマイクロコンピュータ89内に設定し、動作時間tにおけるリミッタ値Nsmax(t)とその時の回転数設定手段78が出力した目標回転数Nsの大小を比較し、目標回転数Nsが大であればNsmax(t)を新たに目標回転数に設定することで、殆ど無負荷の状態で電動機7を駆動しても、インバータ入力電流のピーク値が設定電流値Vsよりも過小であるために目標回転数Nsが大となることを防止する。
【0131】
したがって、急加速で立ち上がるのを防止し、急加速による振動を防止するとともに、急加速による遠心力で洗濯物が洗濯兼脱水槽3に押しつけられることによる布傷みなどを防止する安全かつ高性能の電気洗濯機を実現できる。
【0132】
本実施例においては、図17のソフトスタートサブルーチン133以外は回転数設定手段78に入力する設定電流値Vsを変更しないものであるが、特に限定するものではなく、たとえば、本実施例の脱水制御において、電動機7の回転数が大となってきた場合に、設定電流値Vsを低くすることで、加速をゆっくりにし、最終目標回転数900rpmに対する実際の回転数の一時的なオーバーシュートの値を小さくすることが可能となる。
【0133】
したがって、オーバーシュート時の電動機7の回転数が目標回転数900rpmに対し過大になることを防止し、洗濯兼脱水槽3の遠心力により電動機7の出力軸28にかかる力を抑えることが可能となり、故障の少ない電気洗濯機を実現できる。また、遠心力で洗濯物が洗濯兼脱水槽3に押しつけられることによる布傷みなどを防止することができる。
【0134】
なお、上記各実施例において、インバータ14の高電位側駆動回路40、41、42の電源をブートストラップコンデンサ53、54、55により確保する方式を用いて電流フィードバック制御を用いた脱水制御の一例を示してきたが、インバータ14の駆動方式は、特にブートストラップコンデンサを用いた方法にする必要はなく、たとえば、ブートストラップコンデンサの代わりに、スイッチング電源などにより高電位側駆動回路40、41、42の電源を個々に設けてもよい。この場合は、脱水制御の起動時を含め、電動機7の起動時に初期充電モードを設ける必要はなくなる。
【0135】
以上のように本実施例の電気洗濯機の脱水制御について述べてきたが、実施例1においても述べたように、電動機7の回転制御は通過洗浄、撹拌翼2による洗浄、すすぎ、脱水のいずれにおいても同様のものである。ただし、電動機7の最終目標回転数は、通過洗浄、撹拌翼2による洗浄、すすぎ、脱水では異なる。
【0136】
したがって、通過洗浄、撹拌翼2による洗浄およびすすぎの制御においても、脱水制御と同様に制御を行うことにより、電動機7のトルクを制限できるので、脱水制御と同様の効果を有する。
【0137】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、インバータと、前記インバータの出力に接続した電動機と、前記インバータを構成するスイッチング素子のオンオフを制御する制御手段と、前記電動機の電機子巻線に流れる電流に対応した電流を検知する電流検知手段と、前記電流検知手段の出力値と設定値により前記電動機の目標回転数を設定する回転数設定手段と、前記電動機の回転数を検知する回転数検知手段と、前記スイッチング素子の導通比を設定する導通比設定手段とを備え、前記導通比設定手段は、前記回転数設定手段により設定した目標回転数と前記回転数検知手段により検知した電動機の回転数とにより導通比を設定するようにしたから、布量、水量などの負荷量が過大になっても、常に電機子巻線の電流を一定に制限するので、電動機のトルクを一定に抑え、電動機の出力軸にかかるトルクを抑え、出力軸の破損を防止するとともに、電動機およびインバータの過電流による過熱、故障を防止することができ、安全性を向上することができる。また、布量、水量の負荷量に応じて最適な加速を行うことができる。
【0138】
また、請求項2に記載の発明によれば、導通比設定手段は、電動機の起動時においては、スイッチング素子の導通比を所定の設定値に設定し、その後、回転数設定手段の出力値と回転数検知手段の出力値とにより前記スイッチング素子の導通比を新たな設定値に設定するようにしたから、電動機の起動時に、電機子巻線に流れる電流が設定値を一時的に越えるのを、所定値により電機子巻線に流れる電流を制限することで防止し、電動機の出力軸に過大なトルクがかかることを防止することができ、過大なトルクにより出力軸が破損するのを防止し、安全性を向上することができる。また、起動時における回転数検知手段の検知速度が遅くても、フィードバック制御を行っていないので、不安定な動作をせずに確実に起動させることができる。
【0139】
また、請求項3に記載の発明によれば、回転数設定手段は、電動機の起動時においては、目標回転数を所定の回転数に設定し、その後、電流検知手段の出力値と前記所定の回転数とにより前記目標回転数を新たな回転数に設定するようにしたから、電動機の起動時に、電動機の回転数が急加速することを防止し、それによる遠心力で洗濯物が傷むのを防止することができる。また、同時に電機子巻線の電流が設定値に対し急峻に立ち上がるのを防止するので、電機子巻線の電流が設定値を超過すること防止し、電動機の出力軸に過大なトルクがかかるのを防止し、安全性を向上することができる。
【0140】
また、請求項4に記載の発明によれば、回転数設定手段により設定する目標回転数に上限値を設けるとともに、前記上限値を運転時間あるいは負荷量に応じて変更可能としたから、電流検知手段の出力値と設定値の差が大である場合でも、目標回転数を急峻に上げることを制限するので、常に電動機が急加速で立ち上がるのを防止することができ、その結果、脱水時などに起こる布傷みを防止することが可能となり、また加速を制限することにより、電動機の出力軸にかかるトルクを制限し、安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の電気洗濯機のブロック図
【図2】同電気洗濯機のシステム構成図
【図3】同電気洗濯機の電動機の要部上面図
【図4】同電気洗濯機の電動機の電機子巻線の結線図
【図5】同電気洗濯機の電動機の要部電圧、電流波形図
【図6】同電気洗濯機の電流検知手段の一例の回路図
【図7】同電気洗濯機の電流検知手段の他の例の回路図
【図8】同電気洗濯機の導通比設定手段の一例のブロック図
【図9】同電気洗濯機の導通比設定手段の他の例のブロック図
【図10】同電気洗濯機の導通比設定手段の他の例のブロック図
【図11】同電気洗濯機の脱水制御の動作フローチャート
【図12】同電気洗濯機の脱水制御の初期充電モードでの要部電圧波形図
【図13】本発明の第2の実施例の電気洗濯機のブロック図
【図14】同電気洗濯機の回転数設定手段と導通比設定手段のブロック図
【図15】同電気洗濯機の脱水制御の動作フローチャート
【図16】同電気洗濯機のソフトスタートサブルーチンの一例のフローチャート
【図17】同電気洗濯機のソフトスタートサブルーチンの他の例のフローチャート
【図18】同電気洗濯機のソフトスタートサブルーチンの他の例のフローチャート
【図19】本発明の第3の実施例の電気洗濯機のブロック図
【符号の説明】
7 電動機
14 インバータ
15 制御手段
23〜25 電機子巻線
34〜36 高電位側スイッチング素子(スイッチング素子)
37〜39 低電位側スイッチング素子(スイッチング素子)
56 電流検知手段
57 導通比設定手段
Claims (4)
- インバータと、前記インバータの出力に接続した電動機と、前記インバータを構成するスイッチング素子のオンオフを制御する制御手段と、前記電動機の電機子巻線に流れる電流に対応した電流を検知する電流検知手段と、前記電流検知手段の出力値と設定値により前記電動機の目標回転数を設定する回転数設定手段と、前記電動機の回転数を検知する回転数検知手段と、前記スイッチング素子の導通比を設定する導通比設定手段とを備え、前記導通比設定手段は、前記回転数設定手段により設定した目標回転数と前記回転数検知手段により検知した電動機の回転数とにより導通比を設定するようにした電気洗濯機。
- 導通比設定手段は、電動機の起動時においては、スイッチング素子の導通比を所定の設定値に設定し、その後、回転数設定手段の出力値と回転数検知手段の出力値とにより前記スイッチング素子の導通比を新たな設定値に設定するようにした請求項1記載の電気洗濯機。
- 回転数設定手段は、電動機の起動時においては、目標回転数を所定の回転数に設定し、その後、電流検知手段の出力値と前記所定の回転数とにより前記目標回転数を新たな回転数に設定するようにした請求項1記載の電気洗濯機。
- 回転数設定手段により設定する目標回転数に上限値を設けるとともに、前記上限値を運転時間あるいは負荷量に応じて変更可能とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気洗濯機。
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