JP3577846B2 - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハイブリッド車両の制御装置に係り、特に、変速時や前後輪のトルク分配率変更時に発生するショックを低減する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料の燃焼によって作動するエンジンと、電気エネルギーで作動する電動モータとを車両走行時の動力源として備えているハイブリッド車両が、例えば特開平7−67208号公報等に記載されている。このようなハイブリッド車両においては、運転状態に応じてエンジンと電動モータとを使い分けて走行することにより、燃料消費量や排出ガス量が低減され、エンジンのみを動力源として使用したり、電動モータのみを動力源として使用したり、エンジンおよび電動モータの両方を動力源として使用したり、エンジンを動力源として走行しながら電動モータ(モータジェネレータ)を発電機として使用して蓄電装置を充電したりするなど、種々の運転モードが考えられている。
【0003】
また、かかるハイブリッド車両において、動力源と駆動輪との間に変速比を変更可能な自動変速機を備えているものがある。自動変速機としては、クラッチやブレーキなどの係合手段により変速比が異なる複数の変速段で変速制御を行う有段の自動変速機や、変速比を連続的に変化させる無段変速機が使われており、変速に際して油圧回路などの個体差や経時変化などに拘らず適切な変速制御が行われるように学習制御を行っている場合がある。例えば、有段の自動変速機において、一つの係合手段を開放するとともに他の係合手段を係合させる所謂クラッチツウクラッチ変速では、変速ショックを軽減するために例えば入力トルクなどの運転状態に応じてそれ等の係合手段の係合力(油圧式摩擦係合装置の変速過渡油圧など)を学習することが、エンジンのみを動力源としているオートマチック車両において広く行われている。
【0004】
一方、動力源と駆動輪との間に前後輪のトルク分配率を変更可能なトルク分配機構を備えているものもある。トルク分配機構としては、相対回転可能な3つの回転要素と、そのうちの一対の回転要素を連結する差動制限クラッチとを有する遊星歯車装置(センタデフ装置)や、傘歯車式の差動装置などが使われており、この場合も同じく適切なトルク分配制御が行われるように学習制御を行っている場合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、複数の運転モードで走行するハイブリッド車両においては、運転モードの相違に拘らず常に同じ学習制御を行った場合、イナーシャトルクや出力特性の違いなどで学習値がずれたり、変速時或いは前後輪のトルク分配率変更時の学習制御方法が適切でなかったりしてショックを生じる恐れがあるなど、必ずしも適切な変速制御或いは前後輪のトルク分配率変更制御を行うことができない可能性があった。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、運転モードの相違に拘らず適切な変速制御および前後輪のトルク分配率変更制御が行われるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) 燃料の燃焼によって作動するエンジンと、電気エネルギーで作動する電動モータとを車両走行時の動力源として備えており、動力源の作動状態が異なる複数の運転モードで走行すると共に、(b) 動力源と駆動輪との間に変速比を変更可能な自動変速機が配設されており、予め定められた変速条件に従って自動変速機の変速比を変更する変速手段と、(c) 前記変速手段による変速時に、変速に関与する所定の制御要素を学習制御する学習制御手段とを有するハイブリッド車両の制御装置において、(d) 前記学習制御手段は、前記運転モードに応じて異なる学習制御を行うもので、且つ、 (e) 前記運転モードの切換え時には、前記自動変速機の入力トルクが安定するまでに要する時間として各運転モードに応じて設定された所定時間が経過するまで、前記学習制御手段による学習制御を禁止する学習制御制限手段を有することを特徴とする。
第2発明は、第1発明のハイブリッド車両の制御装置において、(a) 前記自動変速機は変速用の油圧回路を備えており、(b) その油圧回路の油温が所定値より低い場合、および前記エンジンを動力源として使用する運転モードでエンジン水温が所定値より低い場合は、前記学習制御手段による学習制御が中止されることを特徴とする。
【0008】
発明は、(a) 燃料の燃焼によって作動するエンジンと、電気エネルギーで作動する電動モータとを車両走行時の動力源として備えており、動力源の作動状態が異なる複数の運転モードで走行すると共に、(b) 動力源と駆動輪との間に前後輪のトルク分配率を変更可能なトルク分配機構が配設されており、予め定められた分配率変更条件に従ってトルク分配機構のトルク分配率を変更するトルク分配率変更手段と、(c) 前記トルク分配率変更手段によるトルク分配率変更時に、トルク分配率の変更に関与する所定の制御要素を学習制御する学習制御手段とを有するハイブリッド車両の制御装置において、(d) 前記学習制御手段は、前記運転モードに応じて異なる学習制御を行うものであることを特徴とする。
【0009】
第4発明は、(a) 燃料の燃焼によって作動するエンジンと、電気エネルギーで作動する電動モータとを車両走行時の動力源として備えており、動力源の作動状態が異なる複数の運転モードで走行すると共に、(b) 動力源と駆動輪との間に前後輪のトルク分配率を変更可能なトルク分配機構が配設されており、予め定められた分配率変更条件に従ってそのトルク分配機構のトルク分配率を変更するトルク分配率変更手段と、(c) 前記トルク分配率変更手段によるトルク分配率変更時に、トルク分配率の変更に関与する所定の制御要素を学習制御する学習制御手段とを有するハイブリッド車両の制御装置において、(d) 前記運転モードの切換え時には、前記学習制御手段による学習制御を禁止する学習制御制限手段を有することを特徴とする。
【0010】
【発明の効果】
第1発明、第2発明の制御装置によれば、変速時に変速に関与する所定の制御要素を学習制御する場合に、運転モードに応じて異なる学習制御を行うため、エンジンと電動モータとのイナーシャトルクや出力特性の相違などに拘らず常に適切な学習値が得られ、又は運転モード毎に最適な学習制御方法を設定することもできるなど、変速ショックの少ない適切な変速制御が可能となる。
また、運転モードの切換え時には、自動変速機の入力トルクが安定するまでに要する時間として各運転モードに応じて設定された所定時間が経過するまで学習制御が禁止されるため、動力源のイナーシャトルクや出力特性が確定していない過渡的な値は学習されず、不安定な状況下での学習によって変速制御が損なわれることが防止される。
【0011】
発明の制御装置によれば、前後輪のトルク分配率変更時にトルク分配率の変更に関与する所定の制御要素を学習制御する場合に、運転モードに応じて異なる学習制御を行うため、エンジンと電動モータとのイナーシャトルクや出力特性の相違などに拘らず常に適切な学習値が得られ、又は運転モード毎に最適な学習制御方法を設定することもできるなど、ショックの少ない適切なトルク分配率変更制御が可能となる。
【0012】
第4発明の制御装置によれば、前後輪のトルク分配率変更時にトルク分配率の変更に関与する所定の制御要素を学習制御する場合に、運転モード切換え時には学習制御が禁止されるため、動力源のイナーシャトルクや出力特性が確定していない過渡的な値は学習されず、不安定な状況下での学習によって前後輪のトルク分配率変更制御が損なわれることが防止される。
【0013】
【発明の実施の形態】
ここで、本発明は、例えばクラッチにより動力伝達を接続、遮断することによって動力源を切り換える切換タイプや、遊星歯車装置などの合成、分配機構によってエンジンおよび電動モータの出力を合成したり分配したりするミックスタイプ、電動モータを補助的に使うアシストタイプなど、エンジンと電動モータとを車両走行時の動力源として備えている種々のタイプのハイブリッド車両に適用され得る。
【0014】
自動変速機としては、クラッチやブレーキなどの係合手段により変速比が異なる複数の変速段で変速制御を行う有段の自動変速機や、変速比を連続的に変化させる無段変速機であって、学習しながら変速制御を行うもの、例えば有段の自動変速機においてクラッチツウクラッチ変速を有するものなどに、本発明は好適に適用される。変速条件は、例えば車速およびアクセル操作量をパラメータとする変速マップなどによって定められる。
【0015】
トルク分配機構は、例えば相対回転可能な3つの回転要素と、そのうちの一対の回転要素を連結させる差動制限クラッチとを備えた遊星歯車装置(センタデフ装置)であって、学習しながらトルク分配率変更制御を行うものなどに本発明は好適に適用される。この差動制限クラッチの係合力を制御することにより、前後輪のトルク配分を適切に調整できる。分配率変更条件は、例えば車両のヨーレートや操舵角度、車速等をパラメータとするトルク分配率マップなどによって定められる。トルク分配機構としては、上記遊星歯車装置の代わりに傘歯車式の差動装置などを用いることもできるし、前後輪間の動力伝達を制御するスタンバイ4WD用のクラッチなどでも良い。これらのクラッチは伝達トルクを連続的に制御するものでも、単にON、OFFを制御するだけのものでも良い。
【0016】
また、学習制御手段は、例えば運転モード毎に異なる学習マップに学習値を記憶したり、運転モード毎に異なる学習制御方法で学習制御を行ったりするなど種々の態様を採用できる。より具体的には、例えば有段の自動変速機のクラッチツウクラッチ変速において、所定の変速過渡条件を満足するように係合手段の係合力(油圧式摩擦係合装置の変速過渡油圧など)を変更しながら、入力トルクなどの運転状態に応じてその変更値や補正値を学習マップに記憶する場合、その学習マップを運転モード毎に設けておけば良いし、運転モード毎に異なる運転状態をパラメータとして学習するようにしても良い。また、変速時の学習制御方法は、上記変速過渡条件などによって定められ、例えばクラッチツウクラッチ変速のアップシフトの場合、エンジンのみを動力源として走行するエンジン運転モードではエンジンの吹き上がりを防止するためにオーバーラップ(タイアップ)制御を行い、電動モータのみを動力源として走行するモータ運転モードではアンダーラップ制御を行うなど、運転モードに応じて異なる変速過渡条件を設定するようにしても良いのである。変速過渡条件は、例えば各種回転メンバの回転速度変化や回転加速度変化などに基づいて定められる。
【0017】
また、かかる学習制御手段による学習制御は、運転モードが一定の安定状態で変速が行われた場合、自動変速機の潤滑油温が所定値以上の場合など、所定の学習条件を満足する場合にのみ行われるようにすることが望ましい。運転モード毎に異なる学習条件を設定することもできる。
【0018】
また、学習制御される所定の制御要素には、変速に関与するものとして、例えば油圧式摩擦係合装置の変速過渡油圧などが挙げられ、前後輪のトルク分配率変更に関与するものとして、例えば差動制限クラッチの係合油圧などが挙げられる。かかる油圧式摩擦係合装置や差動制限クラッチに接続されるリニアソレノイドバルブの油圧などを所定の制御要素として学習しても良い。
【0019】
なお、クラッチツウクラッチ変速時の制御については、例えば特開平5−296323号公報、特開平6−341535号公報などに記載されており、特開昭63−291738号公報には変速時の油圧制御について記載されているが、本発明はそれらの制御と組み合わせて用いることが可能である。また、センタデフ装置の差動制限クラッチの油圧の制御方法および学習については、例えば特開平6−94737号公報などに記載されている。
【0020】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例であるハイブリッド駆動装置10の骨子図である。
【0021】
図1において、このハイブリッド駆動装置10はFR(フロントエンジン・リヤドライブ)車両用のもので、燃料の燃焼によって作動する内燃機関等のエンジン12と、電動モータ及び発電機としての機能を有するモータジェネレータ14と、シングルピニオン型の遊星歯車装置16と、自動変速機18とを車両の前後方向に沿って備えており、出力軸19から図示しないプロペラシャフトや差動装置などを介して左右の駆動輪(後輪)へ駆動力を伝達する。
【0022】
遊星歯車装置16は機械的に力を合成分配する合成分配機構で、モータジェネレータ14と共に電気式トルコン24を構成しており、そのリングギヤ16rは第1クラッチCEを介してエンジン12に連結され、サンギヤ16sはモータジェネレータ14のロータ軸14rに連結され、キャリア16cは自動変速機18の入力軸26に連結されている。また、サンギヤ16sおよびキャリア16cは第2クラッチCEによって連結されるようになっている。
【0023】
なお、エンジン12の出力は、回転変動やトルク変動を抑制するためのフライホイール28およびスプリング、ゴム等の弾性部材によるダンパ装置30を介して第1クラッチCEに伝達される。第1クラッチCEおよび第2クラッチCEは、何れも油圧アクチュエータによって係合、解放される摩擦式の多板クラッチである。
【0024】
自動変速機18は、前置式オーバードライブプラネタリギヤユニットから成る副変速機20と、単純連結3プラネタリギヤトレインから成る前進4段、後進1段の主変速機22とを組み合わせたものである。
【0025】
具体的には、副変速機20はシングルピニオン型の遊星歯車装置32と、油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる油圧式のクラッチC、ブレーキBと、一方向クラッチFとを備えて構成されている。
【0026】
また、主変速機22は、3組のシングルピニオン型の遊星歯車装置34、36、38と、油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる油圧式のクラッチC, C、ブレーキB,B,B,Bと、一方向クラッチF,Fとを備えて構成されている。
【0027】
そして、図2に示されているソレノイドバルブSL1〜SL4の励磁、非励磁に伴って図示しない電磁弁により油圧回路44が切り換えられたり、シフトレバーに機械的に連結されたマニュアルシフトバルブによって油圧回路44が機械的に切り換えられたりすることにより、クラッチC,C,C、ブレーキB,B,B,B,Bがそれぞれ係合、解放制御され、図3に示されているようにニュートラル(N)と前進5段(1st〜5th)、後進1段(Rev)の各変速段が成立させられる。
【0028】
なお、上記自動変速機18や前記電気式トルコン24は、中心線に対して略対称的に構成されており、図1では中心線の下半分が省略されている。
【0029】
図3のクラッチ、ブレーキ、一方向クラッチの欄の「○」は係合、「●」は図示しないシフトレバーがエンジンブレーキレンジ、たとえば「3」、「2」、及び「L」レンジ等の低速レンジへ操作された場合に係合、そして、空欄は非係合を表している。
【0030】
その場合に、ニュートラルN、後進変速段Rev、及びエンジンブレーキレンジは、シフトレバーに機械的に連結されたマニュアルシフトバルブによって油圧回路44が機械的に切り換えられることによって成立させられ、前進変速段の1st〜5thの相互間の変速はソレノイドバルブSL1〜SL4によって電気的に制御される。
【0031】
また、前進変速段の変速比は1stから5thとなるに従って段階的に小さくなり、4thの変速比i=1であり、5thの変速比iは、副変速機20の遊星歯車装置32のギヤ比をρ(=サンギヤの歯数Z/リングギヤの歯数Z<1)とすると1/(1+ρ)となる。後進変速段Revの変速比iは、遊星歯車装置36、38のギヤ比をそれぞれρ、ρとすると1−1/ρ・ρである。図3は各変速段の変速比の一例を示したものである。
【0032】
図3の作動表に示されているように、第2変速段(2nd)と第3変速段(3rd)との間の変速は、第2ブレーキBと第3ブレーキBとの係合・解放状態を共に変えるクラッチツウクラッチ変速になる。この変速を円滑に行うために、上述した油圧回路44には図4に示す回路が組み込まれている。
【0033】
図4において符号70は1−2シフトバルブを示し、また符号71は2−3シフトバルブを示し、さらに符号72は3−4シフトバルブを示している。これらのシフトバルブ70、71、72の各ポートの各変速段での連通状態は、それぞれのシフトバルブ70、71、72の下側に示している通りである。なお、その数字は各変速段を示す。
【0034】
その2−3シフトバルブ71のポートのうち第1変速段および第2変速段で入力ポート73に連通するブレーキポート74に、第3ブレーキBが油路75を介して接続されている。この油路にはオリフィス76が介装されており、そのオリフィス76と第3ブレーキBとの間にダンパーバルブ77が接続されている。このダンパーバルブ77は、第3ブレーキBにライン圧が急激に供給された場合に少量の油圧を吸入して緩衝作用を行うものである。
【0035】
また符号78はB−3コントロールバルブであって、第3ブレーキBの係合圧をこのB−3コントロールバルブ78によって直接制御するようになっている。すなわち、このB−3コントロールバルブ78は、スプール79とプランジャ80とこれらの間に介装したスプリング81とを備えており、スプール79によって開閉される入力ポート82に油路75が接続され、またこの入力ポート82に選択的に連通させられる出力ポート83が第3ブレーキBに接続されている。さらにこの出力ポート83は、スプール79の先端側に形成したフィードバックポート84に接続されている。
【0036】
一方、前記スプリング81を配置した箇所に開口するポート85には、2−3シフトバルブ71のポートのうち第3変速段以上でDレンジ圧を出力するポート86が油路87を介して連通させられている。また、プランジャ80の端部側に形成した制御ポート88には、リニアソレノイドバルブSLUが接続されている。
【0037】
したがって、B−3コントロールバルブ78は、スプリング81の弾性力とポート85に供給される油圧とによって調圧レベルが設定され、且つ制御ポート88に供給される信号圧が高いほどスプリング81による弾性力が大きくなるように構成されている。
【0038】
さらに、図4における符号89は、2−3タイミングバルブであって、この2−3タイミングバルブ89は、小径のランドと2つの大径のランドとを形成したスプール90と第1のプランジャ91とこれらの間に配置したスプリング92とスプール90を挟んで第1のプランジャ91とは反対側に配置された第2のプランジャ93とを有している。
【0039】
この2−3タイミングバルブ89の中間部のポート94に油路95が接続され、また、この油路95は2−3シフトバルブ71のポートのうち第3変速段以上でブレーキポート74に連通させられるポート96に接続されている。
【0040】
さらに、この油路95は途中で分岐して、前記小径ランドと大径ランドとの間に開口するポート97にオリフィスを介して接続されている。この中間部のポート94に選択的に連通させられるポート98は油路99を介してソレノイドリレーバルブ100に接続されている。
【0041】
そして、第1のプランジャ91の端部に開口しているポートにリニアソレノイドバルブSLUが接続され、また第2のプランジャ93の端部に開口するポートに第2ブレーキBがオリフィスを介して接続されている。
【0042】
前記油路87は第2ブレーキBに対して油圧を供給・排出するためのものであって、その途中には小径オリフィス101とチェックボール付きオリフィス102とが介装されている。また、この油路87から分岐した油路103には、第2ブレーキBから排圧する場合に開くチェックボールを備えた大径オリフィス104が介装され、この油路103は以下に説明するオリフィスコントロールバルブ105に接続されている。
【0043】
オリフィスコントロールバルブ105は第2ブレーキBからの排圧速度を制御するためのバルブであって、そのスプール106によって開閉されるように中間部に形成したポート107には第2ブレーキBが接続されており、このポート107より図での下側に形成したポート108に前記油路103が接続されている。
【0044】
第2ブレーキBを接続してあるポート107より図での上側に形成したポート109は、ドレインポートに選択的に連通させられるポートであって、このポート109には、油路110を介して前記B−3コントロールバルブ78のポート111が接続されている。尚、このポート111は、第3ブレーキBを接続してある出力ポート83に選択的に連通させられるポートである。
【0045】
オリフィスコントロールバルブ105のポートのうちスプール106を押圧するスプリングとは反対側の端部に形成した制御ポート112が油路113を介して、3−4シフトバルブ72のポート114に接続されている。このポート114は、第3変速段以下で第3ソレノイドバルブSL3の信号圧を出力し、また、第4変速段以上で第4ソレノイドバルブSL4の信号圧を出力するポートである。
【0046】
さらに、このオリフィスコントロールバルブ105には、前記油路95から分岐した油路115が接続されており、この油路115を選択的にドレインポートに連通させるようになっている。
【0047】
なお、前記2−3シフトバルブ71において第2変速段以下でDレンジ圧を出力するポート116が、前記2−3タイミングバルブ89のうちスプリング92を配置した箇所に開口するポート117に油路118を介して接続されている。また、3−4シフトバルブ72のうち第3変速段以下で前記油路87に連通させられるポート119が油路120を介してソレノイドリレーバルブ100に接続されている。
【0048】
そして、図4において、符号121は第2ブレーキB用のアキュムレータを示し、その背圧室にはリニアソレノイドバルブSLNが出力する油圧に応じて調圧されたアキュムレータコントロール圧が供給されている。このアキュムレータコントロール圧は、リニアソレノイドバルブSLNの出力圧が低いほど高い圧力になるように構成されている。したがって、第2ブレーキBの係合・解放の過渡的な油圧は、リニアソレノイドバルブSLNの信号圧が低いほど高い圧力で推移するようになっている。
【0049】
また、符号122はC−0エキゾーストバルブを示し、さらに符号123はクラッチC用のアキュムレータを示している。C−0エキゾーストバルブ122は2速レンジでの第2変速段のみにおいてエンジンブレーキを効かせるためにクラッチCを係合させるように動作するものである。
【0050】
したがって、上述した油圧回路44によれば、B−3コントロールバルブ78のポート111がドレインに連通していれば、第3ブレーキBの係合圧をB−3コントロ−ルバルブ78によって直接調圧することができ、また、その調圧レベルをリニアソレノイドバルブSLUによって変えることができる。
【0051】
また、オリフィスコントロールバルブ105のスプール106が、図の左半分に示す位置にあれば、第2ブレーキBはこのオリフィスコントロールバルブ105を介して排圧が可能になり、したがって第2ブレーキBからのドレイン速度を制御することができる。
【0052】
さらに、第2変速段から第3変速段への変速は、第3ブレーキBを緩やかに解放すると共に第2ブレーキBを緩やかに係合する所謂クラッチツウクラッチ変速が行われるわけであるが、その変速に先立って入力軸26への入力トルクを予め推定し、その入力トルク推定値に基づいてリニアソレノイドバルブSLUにより駆動される第3ブレーキBの解放過渡油圧を制御することにより変速ショックを好適に軽減することができる。
【0053】
ハイブリッド駆動装置10は、図2に示されるようにハイブリッド制御用コントローラ50及び自動変速制御用コントローラ52を備えている。これらのコントローラ50、52は、CPUやRAM、ROM等を有するマイクロコンピュータを備えて構成され、インプットシャフト回転数センサ、車速センサ、出力軸トルクセンサからそれぞれ自動変速機18の入力軸回転数N、車速V(自動変速機18の出力軸回転数Nに対応)、出力軸19のトルクTなどを表す信号が供給される他、エンジントルクT、モータトルクT、エンジン回転数N、モータ回転数N、蓄電装置58の蓄電量SOC、ブレーキのON、OFF、シフトレバーの操作レンジ、アクセル操作量θACなどに関する情報が、種々の検出手段などから供給されるようになっており、予め定められたプログラムに従って信号処理を行う。
【0054】
なお、エンジントルクTはスロットル弁開度や燃料噴射量などから求められ、モータトルクTはモータ電流などから求められ、蓄電量SOCはモータジェネレータ14がジェネレータとして機能する充電時のモータ電流や充電効率などから求められる。
【0055】
前記エンジン12は、ハイブリッド制御用コントローラ50によってスロットル弁開度や燃料噴射量、点火時期などが制御されることにより、運転状態に応じて出力が制御される。
【0056】
前記モータジェネレータ14は、図5に示すようにM/G制御器(インバータ)56を介してバッテリー等の蓄電装置58に接続されており、ハイブリッド制御用コントローラ50により、その蓄電装置58から電気エネルギーが供給されて所定のトルクで回転駆動される回転駆動状態と、回生制動(モータジェネレータ14自体の電気的な制動トルク)によりジェネレータとして機能して蓄電装置58に電気エネルギーを充電する充電状態と、ロータ軸14rが自由回転することを許容する無負荷状態とに切り換えられる。
【0057】
また、前記第1クラッチCE及び第2クラッチCEは、ハイブリッド制御用コントローラ50により電磁弁等を介して油圧回路44が切り換えられることにより、係合或いは解放状態が切り換えられる。
【0058】
前記自動変速機18は、自動変速制御用コントローラ52によって前記ソレノイドバルブSL1〜SL4、リニアソレノイドバルブSLU、SLT、SLNの励磁状態が制御され、油圧回路44が切り換えられたり油圧制御が行われることにより、運転状態に応じて変速段が切り換えられる。
【0059】
上記ハイブリッド制御用コントローラ50は、例えば本願出願人が先に出願した特願平7−294148号に記載されているように、図6に示すフローチャートに従って図7に示す9つの運転モードの1つを選択し、その選択したモードでエンジン12及び電気式トルコン24を作動させる。
【0060】
図6において、ステップS1ではエンジン始動要求があったか否かを、例えばエンジン12を動力源として走行したり、エンジン12によりモータジェネレータ14を回転駆動して蓄電装置58を充電したりするために、エンジン12を始動すべき旨の指令があったか否かを判断する。
【0061】
ここで、始動要求があればステップS2でモード9を選択する。モード9は、図7から明らかなように第1クラッチCEを係合(ON)し、第2クラッチCEを係合(ON)し、モータジェネレータ14により遊星歯車装置16を介してエンジン12を回転駆動すると共に、燃料噴射などのエンジン始動制御を行ってエンジン12を始動する。
【0062】
このモード9は、車両停止時には前記自動変速機18をニュートラルにして行われ、モード1のように第1クラッチCEを解放したモータジェネレータ14のみを動力源とする走行時には、第1クラッチCEを係合すると共に走行に必要な要求出力以上の出力でモータジェネレータ14を作動させ、その要求出力以上の余裕出力でエンジン12を回転駆動することによって行われる。
【0063】
また、車両走行時であっても、一時的に自動変速機18をニュートラルにしてモード9を実行することも可能である。このようにモータジェネレータ14によってエンジン12が始動させられることにより、始動専用のスタータ(電動モータなど)が不要となり、部品点数が少なくなって装置が安価となる。
【0064】
一方、ステップS1の判断が否定された場合、すなわちエンジン始動要求がない場合には、ステップS3を実行することにより、制動力の要求があるか否かを、例えばブレーキがONか否か、シフトレバーの操作レンジがLや2などのエンジンブレーキレンジ(低速変速段のみで変速制御を行うと共にエンジンブレーキや回生制動が作用するレンジ)で、且つアクセル操作量θACが0か否か、或いは単にアクセル操作量θACが0か否か、等によって判断する。
【0065】
この判断が肯定された場合にはステップS4を実行する。ステップS4では、蓄電装置58の蓄電量SOCが予め定められた最大蓄電量B以上か否かを判断し、SOC≧BであればステップS5でモード8を選択し、SOC<BであればステップS6でモード6を選択する。最大蓄電量Bは、蓄電装置58に電気エネルギーを充電することが許容される最大の蓄電量で、蓄電装置58の充放電効率などに基づいて例えば80%程度の値が設定される。
【0066】
上記ステップS5で選択されるモード8は、図7に示されるように第1クラッチCEを係合(ON)し、第2クラッチCEを係合(ON)し、モータジェネレータ14を無負荷状態とし、エンジン12を停止状態すなわちスロットル弁を閉じると共に燃料噴射量を0とするものであり、これによりエンジン12の引き擦り回転による制動力、すなわちエンジンブレーキが車両に作用させられ、運転者によるブレーキ操作が軽減されて運転操作が容易になる。また、モータジェネレータ14は無負荷状態とされ、自由回転させられるため、蓄電装置58の蓄電量SOCが過大となって充放電効率等の性能を損なうことが回避される。
【0067】
ステップS6で選択されるモード6は、図7から明らかなように第1クラッチCE を解放(OFF)し、第2クラッチCE を係合(ON)し、エンジン12を停止し、モータジェネレータ14を充電状態とするもので、車両の運動エネルギーでモータジェネレータ14が回転駆動されることにより、蓄電装置58を充電するとともにその車両にエンジンブレーキのような回生制動力を作用させるため、運転者によるブレーキ操作が軽減されて運転操作が容易になる。
【0068】
また、第1クラッチCE が開放されてエンジン12が遮断されているため、そのエンジン12の引き擦りによるエネルギー損失がないとともに、蓄電量SOCが最大蓄電量Bより少ない場合に実行されるため、蓄電装置58の蓄電量SOCが過大となって充放電効率等の性能を損なうことがない。
【0069】
一方、ステップS3の判断が否定された場合、すなわち制動力の要求がない場合にはステップS7を実行し、エンジン発進が要求されているか否かを、例えばモード3などエンジン12を動力源とする走行中の車両停止時か否か、すなわち車速に対応する出力回転数N=0か否か等によって判断する。
【0070】
この判断が肯定された場合には、ステップS8を実行する。ステップS8ではアクセルがONか否か、すなわちアクセル操作量θACが略零の所定値より大きいか否かを判断し、アクセルONの場合にはステップS9でモード5を選択し、アクセルがONでなければステップS10でモード7を選択する。
【0071】
上記ステップS9で選択されるモード5は、図7から明らかなように第1クラッチCE を係合(ON)し、第2クラッチCE を解放(OFF)し、エンジン12を運転状態とし、モータジェネレータ14の回生制動トルクを制御することにより、車両を発進させるものである。
【0072】
具体的に説明すると、遊星歯車装置16のギヤ比をρとすると、エンジントルクT:遊星歯車装置16の出力トルク:モータトルクT=1:(1+ρ):ρとなるため、例えばギヤ比ρを一般的な値である0.5程度とすると、エンジントルクTの半分のトルクをモータジェネレータ14が分担することにより、エンジントルクTの約1.5倍のトルクがキャリア16cから出力される。
【0073】
すなわち、モータジェネレータ14のトルクの(1+ρ)/ρ倍の高トルク発進を行うことができるのである。また、モータ電流を遮断してモータジェネレータ14を無負荷状態とすれば、ロータ軸14rが逆回転させられるだけでキャリア16cからの出力は0となり、車両停止状態となる。
【0074】
すなわち、この場合の遊星歯車装置16は発進クラッチおよびトルク増幅装置として機能するのであり、モータトルク(回生制動トルク)Tを0から徐々に増大させて反力を大きくすることにより、エンジントルクTの(1+ρ)倍の出力トルクで車両を滑らかに発進させることができるのである。
【0075】
ここで、本実施例では、エンジン12の最大トルクの略ρ倍のトルク容量のモータジェネレータ、すなわち必要なトルクを確保しつつできるだけ小型で小容量のモータジェネレータ14が用いられており、装置が小型で且つ安価に構成される。
【0076】
また、本実施例ではモータトルクTの増大に対応して、スロットル弁開度や燃料噴射量を増大させてエンジン12の出力を大きくするようになっており、反力の増大に伴うエンジン回転数Nの低下に起因するエンジンストール等を防止している。
【0077】
ステップS10で選択されるモード7は、図7から明らかなように第1クラッチCE を係合(ON)し、第2クラッチCE を解放(OFF)し、エンジン12を運転状態とし、モータジェネレータ14を無負荷状態として電気的にニュートラルとするもので、モータジェネレータ14のロータ軸14rが逆方向へ自由回転させられることにより、自動変速機18の入力軸26に対する出力が零となる。これにより、モード3などエンジン12を動力源とする走行中の車両停止時に一々エンジン12を停止させる必要がないとともに、前記モード5のエンジン発進が実質的に可能となる。
【0078】
一方、ステップS7の判断が否定された場合、すなわちエンジン発進の要求がない場合にはステップS11を実行し、要求出力Pdが予め設定された第1判定値P1以下か否かを判断する。要求出力Pdは、走行抵抗を含む車両の走行に必要な出力で、アクセル操作量θACやその変化速度、車速(出力回転数N)、自動変速機18の変速段などに基づいて、予め定められたデータマップや演算式などにより算出される。
【0079】
また、第1判定値P1はエンジン12のみを動力源として走行する中負荷領域とモータジェネレータ14のみを動力源として走行する低負荷領域の境界値であり、エンジン12による充電時を含めたエネルギー効率を考慮して、排出ガス量や燃料消費量などができるだけ少なくなるように実験等によって定められている。
【0080】
ステップS11の判断が肯定された場合、すなわち要求出力Pdが第1判定値P1以下の場合には、ステップS12で蓄電量SOCが予め設定された最低蓄電量A以上か否かを判断し、SOC≧AであればステップS13でモード1を選択する。一方、SOC<AであればステップS14でモード3を選択する。
【0081】
最低蓄電量Aはモータジェネレータ14を動力源として走行する場合に蓄電装置58から電気エネルギーを取り出すことが許容される最低の蓄電量であり、蓄電装置58の充放電効率などに基づいて例えば70%程度の値が設定される。
【0082】
上記モード1は、前記図7から明らかなように第1クラッチCE を解放(OFF)し、第2クラッチCE を係合(ON)し、エンジン12を停止し、モータジェネレータ14を要求出力Pdで回転駆動させるもので、モータジェネレータ14のみを動力源として車両を走行させる。
【0083】
この場合も、第1クラッチCE が解放されてエンジン12が遮断されるため、前記モード6と同様に引き擦り損失が少なく、自動変速機18を適当に変速制御することにより効率の良いモータ駆動制御が可能である。
【0084】
また、このモード1は、要求出力Pdが第1判定値P1以下の低負荷領域で且つ蓄電装置58の蓄電量SOCが最低蓄電量A以上の場合に実行されるため、エンジン12を動力源として走行する場合よりもエネルギー効率が優れていて燃費や排出ガスを低減できるとともに、蓄電装置58の蓄電量SOCが最低蓄電量Aより低下して充放電効率等の性能を損なうことがない。
【0085】
ステップS14で選択されるモード3は、図7から明らかなように第1クラッチCE および第2クラッチCE を共に係合(ON)し、エンジン12を運転状態とし、モータジェネレータ14を回生制動により充電状態とするもので、エンジン12の出力で車両を走行させながら、モータジェネレータ14によって発生した電気エネルギーを蓄電装置58に充電する。エンジン12は、要求出力Pd以上の出力で運転させられ、その要求出力Pdより大きい余裕動力分だけモータジェネレータ14で消費されるように、そのモータジェネレータ14の電流制御が行われる。
【0086】
一方、前記ステップS11の判断が否定された場合、すなわち要求出力Pdが第1判定値P1より大きい場合には、ステップS15において、要求出力Pdが第1判定値P1より大きく第2判定値P2より小さいか否か、すなわちP1<Pd<P2か否かを判断する。
【0087】
第2判定値P2は、エンジン12のみを動力源として走行する中負荷領域とエンジン12およびモータジェネレータ14の両方を動力源として走行する高負荷領域の境界値であり、エンジン12による充電時を含めたエネルギー効率を考慮して、排出ガス量や燃料消費量などができるだけ少なくなるように実験等によって予め定められている。
【0088】
そして、P1<Pd<P2であればステップS16でSOC≧Aか否かを判断し、SOC≧Aの場合にはステップS17でモード2を選択し、SOC<Aの場合には前記ステップS14でモード3を選択する。
【0089】
また、Pd≧P2であればステップS18でSOC≧Aか否かを判断し、SOC≧Aの場合にはステップS19でモード4を選択し、SOC<Aの場合にはステップS17でモード2を選択する。
【0090】
上記モード2は、前記図7から明らかなように第1クラッチCE および第2クラッチCE を共に係合(ON)し、エンジン12を要求出力Pdで運転し、モータジェネレータ14を無負荷状態とするもので、エンジン12のみを動力源として車両を走行させる。
【0091】
また、モード4は、第1クラッチCE および第2クラッチCE を共に係合(ON)し、エンジン12を運転状態とし、モータジェネレータ14を回転駆動するもので、エンジン12およびモータジェネレータ14の両方を動力源として車両を高出力走行させる。
【0092】
このモード4は、要求出力Pdが第2判定値P2以上の高負荷領域で実行されるが、エンジン12およびモータジェネレータ14を併用しているため、エンジン12およびモータジェネレータ14の何れか一方のみを動力源として走行する場合に比較してエネルギー効率が著しく損なわれることがなく、燃費や排出ガスを低減できる。また、蓄電量SOCが最低蓄電量A以上の場合に実行されるため、蓄電装置58の蓄電量SOCが最低蓄電量Aより低下して充放電効率等の性能を損なうことがない。
【0093】
上記モード1〜4の運転条件についてまとめると、蓄電量SOC≧Aであれば、Pd≦P1の低負荷領域ではステップS13でモード1を選択してモータジェネレータ14のみを動力源として走行し、P1<Pd<P2の中負荷領域ではステップS17でモード2を選択してエンジン12のみを動力源として走行し、P2≦Pdの高負荷領域ではステップS19でモード4を選択してエンジン12およびモータジェネレータ14の両方を動力源として走行する。
【0094】
また、SOC<Aの場合には、要求出力Pdが第2判定値P2より小さい中低負荷領域でステップS14のモード3を実行することにより蓄電装置58を充電するが、要求出力Pdが第2判定値P2以上の高負荷領域ではステップS17でモード2が選択され、充電を行うことなくエンジン12により高出力走行が行われる。
【0095】
ステップS17のモード2は、P1<Pd<P2の中負荷領域で且つSOC≧Aの場合、或いはPd≧P2の高負荷領域で且つSOC<Aの場合に実行されるが、中負荷領域では一般にモータジェネレータ14よりもエンジン12の方がエネルギー効率が優れているため、モータジェネレータ14を動力源として走行する場合に比較して燃費や排出ガスを低減できる。
【0096】
また、高負荷領域では、モータジェネレータ14およびエンジン12を併用して走行するモード4が望ましいが、蓄電装置58の蓄電量SOCが最低蓄電量Aより小さい場合には、上記モード2によるエンジン12のみを動力源とする運転が行われることにより、蓄電装置58の蓄電量SOCが最低蓄電量Aよりも少なくなって充放電効率等の性能を損なうことが回避される。
【0097】
次に、第1及び第2発明が適用された本実施例の特徴部分、即ち、変速ショックを低減するための制御作動について、図8のフローチャートに基づいて説明する。尚、本ルーチンにおいて、ステップSA6、SA7、SA9〜SA14が、学習制御手段に対応しており、ステップSA2、SA3が学習制御制限手段に対応しており、何れも自動変速制御用コントローラ52により実行される。
【0098】
図8において、ステップSA1では、油圧回路44の油温T(℃)がT≧Tであるか否かが判断される。温度Tは、例えば60℃〜70℃位の温度に設定される。
【0099】
この判断が否定された場合には、ステップSA2において、学習制御が中止させられる。したがって、油温Tが予め設定された油温Tよりも低い場合、すなわち、油圧回路44内を循環するオイルの流動性が著しく低下している場合には学習制御が行われないため、再現性の高い測定値のみが学習される。
【0100】
一方、この判断が肯定された場合には、ステップSA3において、前述した何れか1つの運転モードが選択されてから、所定時間tが経過したか否かが判断される。所定時間tは、各運転モードに応じて自動変速機18の入力軸26に入力される入力トルクが安定するまでに要する時間、例えば1〜2秒程度に設定される。
【0101】
この判断が否定された場合には、ステップSA2において、学習制御が中止させられる。したがって、或る運転モードが選択されてから経過した時間が、所定時間tよりも短い場合、すなわち、その運転モードに応じた入力トルクが十分安定していない場合には学習制御が行われないため、再現性の高い測定値のみが学習される。
【0102】
一方、この判断が肯定された場合には、ステップSA4において、第2変速段から第3変速段へのアップシフトが行われるか否かが判断される。この判断は、アクセル操作量θAC及び車速をパラメータとして予め定められた変速マップから現時点の走行状態が第2変速段から第3変速段へのアップシフト線を横切ったか否かを判断することによって行われる。尚、この変速マップに基づいて変速制御を行う自動変速制御用コントローラによる一連の信号処理が前記変速手段に対応している。
【0103】
この判断が否定された場合には、ステップSA2において、学習制御が中止させられる。したがって、第2変速段から第3変速段へのアップシフトが行われないと判断された場合、すなわち、クラッチツウクラッチ変速が行われていない場合には、学習制御は行われない。
【0104】
一方、この判断が肯定された場合には、ステップSA5において、変速中に運転モードの変更が行われたか否かが判断され、この判断が肯定された場合には、ステップSA2において、学習制御が中止させられる。
【0105】
一方、この判断が否定された場合には、ステップSA6において、モード1すなわちモータジェネレータ14のみを動力源として走行するモータ運転モードが選択されているか否かが判断される。
【0106】
この判断が肯定された場合には、ステップSA7においてモード1に対応した学習制御が行われる。すなわち、先ず自動変速機18の入力軸26に入力される入力トルクの推定値TGが、次式(1)に示されるように、モータジェネレータ14の出力トルクを表す出力トルク値T(S)、及びモータジェネレータ14のイナーシャトルクを表すイナーシャトルク値T(I)などから求められる。
TG=T(S)+T(I) ・・・(1)
【0107】
なお、出力トルク値T(S)は、モータ電流などをパラメータとして予め定められた演算式やデータマップなどから求められ、イナーシャトルク値T(I)は、モータ回転数Nの変化(回転加速度)などをパラメータとして予め定められた演算式やデータマップなどから求められる。
【0108】
続いて、予め記憶されたPSLU 及びΔPSLU のマップから、この入力トルクの推定値TGに基づいて、次式(2)における基本値PSLU と補正値(学習値)ΔPSLU が算出されることにより、リニアソレノイドバルブSLUの油圧PSLU が決定される。その結果、リニアソレノイドバルブSLUと接続されるブレーキBの変速時の過渡油圧PB3が、例えば図9に示されるように速やかに降圧させられる。
SLU =PSLU +ΔPSLU ・・・(2)
【0109】
尚、図10は基本値PSLU 算出用のマップの一例であり、図11は補正値ΔPSLU 算出用の学習マップの一例である。補正値ΔPSLU 算出用の学習マップは、モード1〜モード4のそれぞれに対応して4種類のマップが存在する。PSLU 及びΔPSLU は入力トルクの推定値TGからマップの補間処理によって求められる。
【0110】
続いて、ブレーキBの油圧PB3が所定の変化率で緩やかに変化させられ、この変化期間において所定の変速過渡条件を満足するように油圧PSLU が調圧制御されると共に、変速終了後に必要に応じて補正値ΔPSLU が書き換えられる。例えば、ブレーキBとブレーキBとがタイアップ状態(ブレーキBの解放に対してブレーキBの係合が相対的に早すぎる状態)にあるか否かが判断され、タイアップ状態にある場合には、油圧PSLU が直ちに低下させられると共に、変速終了後に上記補正値ΔPSLU が新たな値に書き換えられる。
【0111】
尚、タイアップ状態の判断は、たとえば特開平5−296323号公報に記載された技術などが用いられる。また、上記補正値ΔPSLU は、例えば、初期値よりも若干小さな所定値へ書き換えられてもよいし、タイアップ状態を判定する際に用いられる回転メンバの加速度の変化に基づいて、予め設定される演算式などからタイアップ状態を好適に抑制する値を算出し、そのような算出値に書き換えられてもよい。
【0112】
一方、ステップSA6の判断が否定された場合、すなわちモード1でない場合には、ステップSA8において、エンジン12の水温T(℃)がT≧Tであるか否かが判断される。温度Tは、例えば60℃〜70℃位の温度に設定される。
【0113】
この判断が否定された場合には、ステップSA2において、学習制御が中止させられる。したがって、水温Tが予め設定された水温Tよりも低い場合、すなわち、エンジン12が駆動し始めたばかりで未だ定常的な走行状態に達していない場合には学習制御が行われないため、再現性の高い測定値のみが学習される。
【0114】
一方、この判断が肯定された場合には、ステップSA9において、モード2すなわちエンジン12のみを動力源として走行するエンジン運転モードが選択されているか否かが判断される。
【0115】
この判断が肯定された場合には、ステップSA10においてモード2に対応した学習制御が行われる。すなわち、先ず自動変速機18の入力軸26に入力される入力トルクの推定値TGが、次式(3)に示されるように、エンジン12の出力トルクを表す出力トルク値T(S)、及びエンジン12のイナーシャトルクを表すイナーシャトルク値T(I)などから求められる。
TG=T(S)+T(I) ・・・(3)
【0116】
なお、出力トルク値T(S)は、スロットル弁開度や燃料噴射量などをパラメータとして予め定められた演算式やデータマップなどから求められ、イナーシャトルク値T(I)は、エンジン回転数Nの変化(回転加速度)などをパラメータとして予め定められた演算式やデータマップなどから求められる。
【0117】
続いて、予め記憶されたPSLU 及びΔPSLU のマップから、この入力トルクの推定値TGに基づいて、上記ステップSA7と同様にしてリニアソレノイドバルブSLUの油圧PSLU が決定され、ブレーキBの変速時の過渡油圧PB3が所定の変速過渡条件を満足するように調圧されると共に、必要に応じて上記補正値ΔPSLU が新たな値に書き換えられる。補正値ΔPSLU の学習マップは、図11に示されているモード2用のマップである。
【0118】
一方、ステップSA9の判断が否定された場合、すなわちモード2でない場合には、ステップSA11において、モード3すなわちエンジン12を動力源として走行しながら、モータジェネレータ14を発電機として使用して蓄電装置58を充電するモータ蓄電・エンジン運転モードが選択されているか否かが判断される。
【0119】
この判断が肯定された場合には、ステップSA12においてモード3に対応した学習制御が行われる。すなわち、先ず自動変速機18の入力軸26に入力される入力トルクの推定値TGが、次式(4)に示されるように、エンジン12の出力トルクを表す出力トルク値T(S)、エンジン12のイナーシャトルクを表すイナーシャトルク値T(I)、モータジェネレータ14のイナーシャトルクを表すイナーシャトルク値T(I)、及びモータジェネレータ14の充電によるトルクの損失を表す充電損失トルク値(回生制動トルク値)T(J)などから求められる。
TG=T(S)+T(I)+T(I)−T(J) ・・・(4)
【0120】
なお、エンジン12の出力トルク値T(S)、イナーシャトルク値T(I)、及びモータジェネレータ14のイナーシャトルク値T(I)は上記ステップSA7或いはSA10と同様にして求められ、モータジェネレータ14の充電損失トルク値T(J)は、発電に伴って発生する電流値などをパラメータとして予め定められた演算式やデータマップなどから求められる。
【0121】
続いて、予め記憶されたPSLU 及びΔPSLU のマップから、この入力トルクの推定値TGに基づいて、上記ステップSA7及びSA10と同様にしてリニアソレノイドバルブSLUの油圧PSLU が決定されることにより、ブレーキBの変速時の過渡油圧PB3が所定の変速過渡条件を満足するように調圧されると共に、必要に応じて上記補正値ΔPSLU が新たな値に書き換えられる。補正値ΔPSLU の学習マップは、図11に示されているモード3用のマップである。
【0122】
一方、ステップSA11の判断が否定された場合、すなわちモード3でない場合には、ステップSA13において、モード4すなわちエンジン12及びモータジェネレータ14を動力源として走行するエンジン・モータ運転モードが選択されているか否かが判断される。
【0123】
この判断が肯定された場合には、ステップSA14においてモード4に対応した学習制御が行われる。すなわち、先ず自動変速機18の入力軸26に入力される入力トルクの推定値TGが、次式(5)に示されるように、エンジン12の出力トルクを表す出力トルク値T(S)、イナーシャトルクを表すイナーシャトルク値T(I)、及びモータジェネレータ14の出力トルクを表す出力トルク値T(S)、イナーシャトルクを表すイナーシャトルク値T(I)などから求められる。
TG=T(S)+T(I)+T(S)+T(I) ・・・(5)
【0124】
なお、エンジン12の出力トルク値T(S)、イナーシャトルク値T(I)、及びモータジェネレータ14の出力トルク値T(S)、イナーシャトルク値T(I)は上記ステップSA7或いはSA10と同様にして求められる。
【0125】
続いて、予め記憶されたPSLU 及びΔPSLU のマップから、この入力トルクの推定値TGに基づいて、上記ステップSA7、SA10及びSA12と同様にしてリニアソレノイドバルブSLUの油圧PSLU が決定され、ブレーキBの変速時の過渡油圧PB3が所定の変速過渡条件を満足するように調圧されると共に、必要に応じて上記補正値ΔPSLU が新たな値に書き換えられる。補正値ΔPSLU の学習マップは、図11に示されているモード4用のマップである。
【0126】
上述のように本実施例によれば、自動変速制御用コントローラ52において、運転モード毎に異なる学習マップすなわち補正値ΔPSLU のマップが用意されているため、エンジン12とモータジェネレータ14とのイナーシャトルクや出力特性の相違などに拘らず常に適切な学習値が得られるようになり、変速ショックの少ない適切な変速制御が可能となる。
【0127】
また、運転モード切換え時には、自動変速機18の入力トルクが安定するまでに要する時間として各運転モードに応じて設定された所定時間t 1 が経過するまで学習制御が禁止されるため、動力源のイナーシャトルクや出力特性が確定していない過渡的な値は学習されず、不安定な状況下での学習によって変速制御が損なわれることが防止される。
【0128】
次に、第3及び第発明が適用された本実施例の特徴部分、即ち、前後輪のトルク分配率変更時のショックを低減するための制御作動について、図12及び図13を参照して説明する。尚、本実施例において、図13のフローチャートのステップSB5、SB6、SB8〜SB13が前記学習制御手段に対応しており、ステップSB2、SB3が学習制御制限手段に対応しており、何れも前記ハイブリッド制御用コントローラ50により実行される。
【0129】
図12において、自動変速機18の出力軸19には、自動変速機18からの出力トルクTを後輪出力軸130と前輪出力軸132とに分配して伝達するトランスファ(センタデフ装置)134が配設されている。自動変速機18の出力軸19の延長上にシンプル遊星歯車装置135が配置されており、そのキャリア137に自動変速機18の出力軸19が連結されている。また、そのリングギヤ138は、前記出力軸19と同一軸線上に配置した後輪出力軸130に一体回転するように連結されている。尚、トランスファ134は前記トルク分配機構に対応している。
【0130】
サンギヤ139は、出力軸19の外周側に同一軸線上に配置された駆動スプロケット142に一体化されており、これと対をなす従動スプロケット143が、出力軸19と平行に配置された前輪出力軸132に取り付けられるとともに、これらのスプロケット142、143にチェーン145が巻き掛けられている。
【0131】
そして、前記キャリア137とリングギヤ138との間に差動制限機構としての差動制限クラッチCが設けられている。この差動制限クラッチCは、油圧によって動作する湿式多板クラッチであり、その係合油圧Pは前記油圧回路44に設けられた図示しないリニアソレノイドバルブSLCにより連続的もしくは段階的に制御される。
【0132】
差動制限クラッチCの係合油圧Pの大小によって前後輪に対するトルク分配率が変化し、その制御の仕方は従来種々知られている。例えば、前後輪の回転数の差に応じて係合油圧Pを増大させる制御が一般的であり、また、操舵角度や車速に基づいて目標ヨーレートを演算し、検出されたヨーレートがこの目標ヨーレートに一致するように係合油圧Pを制御することが可能である。これは、後輪のトルクが大きいほど回頭性が増すことに基づいている。
【0133】
図13において、ステップSB1〜SB3は前記ステップSA1〜SA3と同様に実行される。次にステップSB4では、差動制限クラッチCの係合油圧Pの変更が行われるか否かが判断される。この判断は、車両のヨーレートや操舵角度、車速等をパラメータとするトルク分配率マップや、前後輪の回転数差ΔNFRの変化などに基づいて、差動制限クラッチCの油圧変更要求が或るか否かを判断することにより行われる。尚、このトルク分配率マップ等により前後輪のトルク分配率変更を行うハイブリッド制御用コントローラ50による一連の信号処理が前記トルク分配率変更手段に対応している。
【0134】
このステップSB4の判断が肯定された場合は、ステップSB5において、モード1即ちモータジェネレータ14のみを動力源として走行するモータ走行モードが選択されているか否かが判断される。
【0135】
この判断が肯定された場合は、ステップSB6においてモード1に対応した学習制御が行われる。即ち、予め記憶されたPSLC 及びΔPSLC のマップから、トランスファ134の入力トルク(自動変速機18の出力トルクTに相当)に基づいて、次式(6)における基本値PSLC と補正値(学習値)ΔPSLC が算出されることにより、リニアソレノイドバルブSLCの油圧PSLC が決定される。その結果、リニアソレノイドバルブSLCと接続される差動制限クラッチCの係合油圧Pが変更される。また、変更後の差動制限クラッチCの状態、例えば回転数差ΔNFRなどに基づいて、必要に応じて上記補正値ΔPSLC が書き換えられる。尚、出力軸トルクTは図2の出力軸トルクセンサにより検出される。
SLC =PSLC +ΔPSLC ・・・(6)
【0136】
尚、図14は基本値PSLC 算出用のマップの一例であり、図15は補正値ΔPSLC 算出用の学習マップの一例である。補正値ΔPSLC 算出用の学習マップは、モード1〜モード4のそれぞれに対応して4種類のマップが存在する。PSLC 及びΔPSLC はトランスファ134の入力トルクからマップの補間処理によって求められる。
【0137】
一方、ステップSB5の判断が否定された場合、即ちモード1でない場合には、ステップSB7が前記ステップSA8と同様に実行される。この判断が否定された場合には、ステップSB2において、学習制御が中止させられる。従って、水温Tが予め設定された水温Tよりも低い場合、即ち、エンジン12が駆動し始めたばかりで未だ定常的な走行状態に達していない場合には学習制御が行われないため、再現性の高い測定値のみが学習される。
【0138】
一方、この判断が肯定された場合には、ステップSB8において、モード2すなわちエンジン12のみを動力源として走行するエンジン走行モードが選択されているか否かが判断される。
【0139】
この判断が肯定された場合には、ステップSB9においてモード2に対応した学習制御が行われる。即ち、予め記憶されたPSLC 及びΔPSLC のマップから、トランスファ134の入力トルク(自動変速機18の出力トルクTに相当)に基づいて、上記ステップSB6と同様にしてリニアソレノイドバルブSLCの油圧PSLC が決定されると共に、必要に応じて上記補正値ΔPSLC が新たな値に書き換えられる。補正値ΔPSLC の学習マップは、図15に示されているモード2用のマップである。
【0140】
一方、ステップSB8の判断が否定された場合、すなわちモード2でない場合には、ステップSB10において、モード3すなわちエンジン12を動力源として走行しながら、モータジェネレータ14を発電機として使用して蓄電装置58を充電するモータ蓄電・エンジン走行モードが選択されているか否かが判断される。
【0141】
この判断が肯定された場合には、ステップSB11においてモード3に対応した学習制御が行われる。即ち、予め記憶されたPSLC 及びΔPSLC のマップから、トランスファ134の入力トルク(自動変速機18の出力トルクTに相当)に基づいて、上記ステップSB6及びSB9と同様にしてリニアソレノイドバルブSLCの油圧PSLC が決定されると共に、必要に応じて上記補正値ΔPSLC が新たな値に書き換えられる。補正値ΔPSLC の学習マップは、図15に示されているモード3用のマップである。
【0142】
一方、ステップSB10の判断が否定された場合、すなわちモード3でない場合には、ステップSB12において、モード4すなわちエンジン12及びモータジェネレータ14を動力源として走行するエンジン・モータ走行モードが選択されているか否かが判断される。
【0143】
この判断が肯定された場合には、ステップSB13においてモード4に対応した学習制御が行われる。即ち、予め記憶されたPSLC 及びΔPSLC のマップから、トランスファ134の入力トルク(自動変速機18の出力トルクTに相当)に基づいて、上記ステップSB6、SB9及びSB11と同様にしてリニアソレノイドバルブSLCの油圧PSLC が決定されると共に、必要に応じて上記補正値ΔPSLC が新たな値に書き換えられる。補正値ΔPSLC の学習マップは、図15に示されているモード4用のマップである。
【0144】
上述のように本実施例によれば、ハイブリッド制御用コントローラ50において、運転モード毎に異なる学習マップすなわち補正値ΔPSLC のマップが用意されているため、エンジン12とモータジェネレータ14とのイナーシャトルクや出力特性の相違などに拘らず常に適切な学習値が得られるようになり、ショックの少ない適切なトルク分配率変更制御が可能となる。
【0145】
また、運転モード切換え時には学習制御が禁止されるため、動力源のイナーシャトルクや出力特性が確定していない過渡的な値は学習されず、不安定な状況下での学習によってトルク分配率変更制御が損なわれることが防止される。
【0146】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0147】
図8の実施例においては、第2変速段から第3変速段への変速、即ちクラッチツウクラッチ変速の場合に学習制御が行われていたが、学習制御が適用されるのは、クラッチツウクラッチ変速の場合だけに限られず、例えば、イナーシャ相中のフィードバック制御、或いはスタンバイ4WDのクラッチ制御など様々な態様で適用され得る。
【0148】
また、前述の実施例においては、入力トルクの推定値TGに基づいて、リニアソレノイドバルブSLUの油圧PSLU が決定されることにより、ブレーキBの変速時の過渡油圧PB3が変化させられるように構成されていたが、例えば、ブレーキBの油圧PB2を制御するリニアソレノイドバルブSLNの油圧PSLN についても同様な学習制御を行うことができる。
【0149】
また、前述の実施例では、後進1段および前進5段の変速段を有する自動変速機18が用いられていたが、図16に示されるように、前記副変速機20を省略して前記主変速機22のみから成る自動変速機60を採用し、図17に示すように前進4段および後進1段で変速制御を行うようにすることも可能である。
【0150】
本発明はその主旨を逸脱しない範囲においてその他様々な態様に適用され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である制御装置を備えているハイブリッド駆動装置の構成を説明する骨子図である。
【図2】図1のハイブリッド駆動装置に備えられている制御系統を説明する図である。
【図3】図1の自動変速機の各変速段を成立させる係合要素の作動を説明する図である。
【図4】図1の自動変速機の油圧を制御する油圧回路を説明する図である。
【図5】図2のハイブリッド制御用コントローラと電気式トルコンとの接続関係を説明する図である。
【図6】図1のハイブリッド駆動装置の基本的な作動を説明するフローチャートである。
【図7】図6のフローチャートにおける各モード1〜9の作動状態を説明する図である。
【図8】第1及び第2発明が適用された自動変速制御用コントローラ52における制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【図9】図8の制御作動により達成されるブレーキBの油圧PB3とブレーキBの油圧PB2の変化を例示する図である。
【図10】図8の制御作動により決定されるリニアソレノイドバルブSLUの油圧PSLU の基本値PSLU を求めるためのマップを示す図である。
【図11】図8の制御作動により決定されるリニアソレノイドバルブSLUの油圧PSLU の補正値ΔPSLU を求めるための学習マップを示す図である。
【図12】トランスファを有するハイブリッド車両のハイブリッド駆動装置の構成を説明する骨子図である。
【図13】第3及び第発明が適用されたハイブリッド制御用コントローラ50における制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【図14】図13の制御作動により決定されるリニアソレノイドバルブSLCの油圧PSLC の基本値PSLC を求めるためのマップを示す図である。
【図15】図13の制御作動により決定されるリニアソレノイドバルブSLCの油圧PSLC の補正値ΔPSLC を求めるための学習マップを示す図である。
【図16】図1のハイブリッド駆動装置とは異なるハイブリッド駆動装置の構成を説明する骨子図である。
【図17】図16の自動変速機の各変速段を成立させる係合要素の作動を説明する図である。
【符号の説明】
12:エンジン
14:モータジェネレータ(電動モータ)
18:自動変速機
50:ハイブリッド制御用コントローラ(トルク分配率変更手段)
52:自動変速制御用コントローラ(変速手段)
134:トランスファ(トルク分配機構)
ステップSA6、SA7、SA9〜SA14、SB5、SB6、SB8〜SB13:学習制御手段
ステップSA2、SA3、SB2、SB3:学習制御制限手段

Claims (4)

  1. 燃料の燃焼によって作動するエンジンと、電気エネルギーで作動する電動モータとを車両走行時の動力源として備えており、動力源の作動状態が異なる複数の運転モードで走行すると共に、
    動力源と駆動輪との間に変速比を変更可能な自動変速機が配設されており、予め定められた変速条件に従って該自動変速機の変速比を変更する変速手段と、
    前記変速手段による変速時に、変速に関与する所定の制御要素を学習制御する学習制御手段と
    を有するハイブリッド車両の制御装置において、
    前記学習制御手段は、前記運転モードに応じて異なる学習制御を行うもので、且つ、
    前記運転モードの切換え時には、前記自動変速機の入力トルクが安定するまでに要する時間として各運転モードに応じて設定された所定時間が経過するまで、前記学習制御手段による学習制御を禁止する学習制御制限手段を有する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  2. 前記自動変速機は変速用の油圧回路を備えており、
    該油圧回路の油温が所定値より低い場合、および前記エンジンを動力源として使用する運転モードでエンジン水温が所定値より低い場合は、前記学習制御手段による学習制御が中止される
    ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  3. 燃料の燃焼によって作動するエンジンと、電気エネルギーで作動する電動モータとを車両走行時の動力源として備えており、動力源の作動状態が異なる複数の運転モードで走行すると共に、
    動力源と駆動輪との間に前後輪のトルク分配率を変更可能なトルク分配機構が配設されており、予め定められた分配率変更条件に従って該トルク分配機構のトルク分配率を変更するトルク分配率変更手段と、
    前記トルク分配率変更手段によるトルク分配率変更時に、トルク分配率の変更に関与する所定の制御要素を学習制御する学習制御手段と
    を有するハイブリッド車両の制御装置において、
    前記学習制御手段は、前記運転モードに応じて異なる学習制御を行うものであることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  4. 燃料の燃焼によって作動するエンジンと、電気エネルギーで作動する電動モータとを車両走行時の動力源として備えており、動力源の作動状態が異なる複数の運転モードで走行すると共に、
    動力源と駆動輪との間に前後輪のトルク分配率を変更可能なトルク分配機構が配設されており、予め定められた分配率変更条件に従って該トルク分配機構のトルク分配率を変更するトルク分配率変更手段と、
    前記トルク分配率変更手段によるトルク分配率変更時に、トルク分配率の変更に関与する所定の制御要素を学習制御する学習制御手段と
    を有するハイブリッド車両の制御装置において、
    前記運転モードの切換え時には、前記学習制御手段による学習制御を禁止する学習制御制限手段を有する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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