JP3577647B2 - ガス湯沸器の水栓 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水または湯の流路を開閉するガス湯沸器の水栓に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、台所等で使用される小型の元止式湯沸器では、給水部に水栓を備え、操作ボタンを押して出湯させる時は、まず操作ボタンに連動した水栓を開き、次にガス流路も開弁してバーナに点火燃焼させる。そして、この水栓の開閉を小さな操作力で行なうために、パイロット弁方式の水栓が用いられる。こうした水栓は、小さな操作力でパイロット弁を開閉するだけで、水栓に供給された水流と水圧を利用してメインの水栓が自動的に開閉する。
この一例について説明する。水栓は、図6に示すように、水栓本体3の水入口側に設けられ、水栓本体3に被せられ水栓本体3と共に水室を形成する蓋14と、その水室を2つに仕切り仕切られた水室間に生じた差圧により往復移動を繰り返すダイアフラム13と、ダイアフラム13と一体に設けられ貫通した小孔の連通孔41aとパイロット孔41bとを備えたダイアフラム受41と、パイロット孔41bを開閉して水流路を開閉するパイロット弁15と、パイロット弁15を先端に設け蓋14にガイドされて摺動するパイロットスピンドル17と、パイロット弁15を閉弁方向に付勢する水栓バネ19とを備える。連通孔41aは、ダイアフラム受41の中央からわずかにずれた水入口部側を円錐台形状に形成し、同じくパイロット孔41bは、ダイアフラム受41の中央部を円錐台形状と弁座とを形成したもので、図7に示すように、それぞれの中心に小孔を貫通させる。水入口部に設けられた連通孔41aは、中央に設けられたパイロット孔41bに比較して、通過抵抗を大きくする。(例えば、孔の直径を小さくする。)パイロット孔41bは、小孔の周りにパイロット弁15に対応して弁座が形成される。なお、ダイアフラム受41において連通孔41aとパイロット孔41bとの入口部分は、ダイアフラム13を一体に組み付ける時に、ダイアフラム受41がダイアフラム13に挿入しやすいように、円錐台形状に形成されている。
【0003】
この水栓40を開いて出湯させるには、図1にも示すように、まず操作ボタン24を押し込んでその位置でロックをかけると共に、レバー18にその動きを伝え、パイロットスピンドル17を水栓バネ19の力に抗してパイロット弁15開弁方向に摺動させる。
パイロット弁15が開弁すると、水栓二次室10bはパイロット孔41bを介して水栓出口10cと連通される。水栓出口10cは湯出口23を介して外部即ち大気と通じているので、水栓二次室10b内は、今まで加わっていた水圧が開放されて低下する。それに伴い水栓本体入口部3cに供給された水は、水栓本体3側の水栓一次室10aからダイアフラム受41の連通孔41aを通過してダイアフラム13で仕切られた蓋14側の水栓二次室10bへ達し、パイロット弁15で開弁されたパイロット孔41bを通過して再びダイアフラム13で仕切られた水栓本体3側の水栓出口10cへ入る。こうした水流が生じると、連通孔41aはパイロット孔41bより水流に対する通過抵抗が大きいので、水栓二次室10b側へ差圧力が生じ、ダイアフラム受41と共にダイアフラム13が水栓弁座3dよりリフトする。水栓一次室10aから水栓弁座3dを経由して水栓出口10cへの通水が開始され、ダイアフラム13が所定距離リフトすると、水栓一次室10aと水栓二次室10bの水圧が同一となってリフトが終了し、水栓40が全開状態となる。その結果、水栓本体入口部3cより水圧応動装置16へ通水される。
一方、水栓40を閉じて出湯を停止させるには、操作ボタン24を再度押してロックを解除すると共に手前に戻し、レバー18も戻す。すると、水栓バネ19の力によりパイロットスピンドル17が摺動してパイロット弁15がパイロット孔41bを閉じつつダイアフラム13が水栓弁座3dを塞ぐ。同時に、常に開いている連通孔41aを介して水栓一次室10aから水栓二次室10bに水が供給されると共に、水栓本体入口部3cの水圧が直接水栓二次室10bに加えられ、ダイアフラム13を水栓弁座3dの閉塞状態を保持する方向に押圧する。そして、この水圧による押圧力によって確実に止水状態が保持される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この連通孔41aは、そこを通過する水流を利用して差圧を生じさせ小さな操作力で水栓40を開閉する機能をもたせるため、例えば直径0.6mmという小孔が開けられる。そのため、図7に示すように、水流中の異物は、たとえそれが比較的小さな異物であっても、連通孔41aより大きいと連通孔41a入口を塞いでしまう恐れがある。もし、連通孔41aが、異物により塞がれると、水栓一次室10aと水栓二次室10bとの導通が阻害され、閉弁できなかったり、止水状態が保持できなくなる。
このため、水栓40上流にストレーナ9を設け、水流により運ばれてくる異物の侵入を防止するが、ストレーナ9のフィルター網目を細かくして小さな異物の侵入を防止しようとする場合には、フィルター網目がすぐにつまってしまってストレーナ9の掃除あるいは交換がたいへんである。
これをきらって、ストレーナ9を通過してしまった小さな異物を通過させてしまう目的で連通孔41aを大きくすると、それに伴ってパイロット弁15等も大きくなってしまって、水栓バネ19も強い力が必要となる。そして、水栓バネ19の力に抗してパイロット弁15を開くための動作力即ち操作ボタン24の押込み力も増加してしまう。
本発明のガス湯沸器の水栓は、コンパクトな形状を保ったまま上記課題を解決し、水流中に異物が混入しても、しかも小さな異物であっても、連通孔の導通を確保し、確実に止水状態を保持することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のガス湯沸器の水栓は、水室及び水栓弁座を持つ水栓本体と、上記水栓本体の水室を一次室と二次室とに仕切るダイアフラムと、上記ダイアフラムと一体に設けられ上記一次室と上記二次室とを連通する連通孔及びパイロット孔とを形成したダイアフラム受と、上記ダイアフラム受のパイロット孔を開閉するパイロット弁とを備え、上記パイロット弁を開くと上記連通孔を経由する水流が生じることにより上記一次室と上記二次室との間に圧力差が生じ上記ダイアフラムが上記水栓本体の水栓弁座と離間して水流路を開き、上記パイロット弁を閉じると上記ダイアフラムが上記水栓本体の水栓弁座と密着して水流路を閉じるガス湯沸器の水栓において、上記ダイアフラム受は、連通孔の入口部分に連通孔と略同一幅の溝を形成したことを要旨とする。
【0006】
上記構成のガス湯沸器の水栓によれば、パイロット弁を開くと、水栓本体水室の二次室に加わっていた圧力がパイロット孔を経由して開放される。それに伴って、水栓本体水室の一次室側からダイアフラム受に形成された連通孔を経由して二次室側へ水が供給される。一次室と二次室との間に圧力差が生じ、一次室と二次室との間を仕切っているダイアフラムが、この差圧力により水栓弁座から離間し、水流路が開く。
一方、パイロット弁を閉じると同時にダイアフラムを水栓弁座に密着させると、いったん一次室から二次室へ流入した水は、行き場を失う。そして、常に開いている連通孔を介して水の圧力が直接二次室に加わるので、二次室の圧力によりダイアフラムは水栓弁座に強く押しつけられる。こうして止水状態が継続される。
この水栓によれば、水栓開閉時に、水流中の異物が水流により連通孔の入口に吸い寄せられくっついてしまっても、連通孔の入口部分に連通孔と略同一幅の溝を形成しているので、同時にその溝をも塞がれてしまうということはなく、その溝を介して一次室と二次室との間の導通や水流が確保される。なお、連通孔が塞がれた時でも、略同一幅の溝の開口部が全体の通過抵抗に大きく影響を与えることもない。溝が大きすぎて、溝そのものが先に塞がれてしまうこともない。
【0007】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明のガス湯沸器の水栓の好適な実施例について説明する。
図1は一実施例としての水栓を備えたガス湯沸器の概略構成図である。
水栓10を備えたガス湯沸器1は、大別して自動装置部と燃焼部とケーシング部とから構成される。
まず、自動装置部は、器具正面に設けられた操作ボタン24と、操作ボタン24と連動し通電制御回路をオンオフする点火スイッチ25と、同じく操作ボタン24と連動しガスの供給路を開閉する器具栓12および水の供給路を開閉する水栓10と、水栓10上流で水流中の異物の侵入を防ぐストレーナ9と、水栓10下流で通水により作動する水圧応動装置16と、燃焼熱により通水を湯に変える熱交換器21と、熱交換器21からの湯を出湯させる湯出口23とを備える。
水栓10の構成で従来技術と同一部分の詳しい説明は、既に説明したので重複を避けるため省略する。
水圧応動装置16は、内部に部屋を持った水栓本体3と、その部屋を2つに仕切り水圧によって往復移動を行なうダイアフラム6を備える。水栓本体3は、水を供給される水入口部3cと、水の流路を水栓10により開閉される水栓弁座3dと、その下流でダイアフラム6により仕切られた一次室3aと二次室3bとを備える。
水栓10は、従来の技術(図6)でも既に説明したが、図2に示すように、ダイアフラム13と一体で貫通した小孔の連通孔11aとパイロット孔11bとを備えたダイアフラム受11と、パイロット孔11bを開閉して水流路を開閉するパイロット弁15等を備え、連通孔11aは、ダイアフラム受11の中央からわずかにずれた水入口部側を円錐台形状に形成し、同じくパイロット孔11bは、ダイアフラム受11の中央部を円錐台形状と弁座とを形成する。そして、図3に示すように、それぞれの中心に小孔を貫通させる。さらに、水入口部の連通孔11aは、円錐台形状の入口部分に小孔の直径よりわずかに小さい幅の凹み形状の溝11pを備える。この溝11pは、連通孔11aの入口部分から所定の深さだけ小孔を中心にはさんで左右にわたって凹みを形成したものである。
また、自動装置部は、図1に示すように、ダイアフラム6と当接して摺動するスピンドル27と、スピンドル27に貫通されガス流路を開閉する水圧応動弁20と、スピンドル27の摺動によりガス流路を開閉する電磁安全弁7と、スピンドル27先端で電磁安全弁7を押し開く開弁装置8と、通水時に前進したスピンドル27を後退方向に付勢するバネ26とを備える。
【0008】
燃焼部は、燃料ガスを噴出するノズル5と、その燃料ガスを燃焼させるバーナ4と、燃焼火炎を取り巻く燃焼室2と、高電圧を印加され放電する電極37と、電極37の放電により燃料ガスに点火されるパイロットバーナ38と、パイロットバーナ38の燃焼熱により熱起電力を発生する一次熱電対36と、バーナ4の燃焼熱により熱起電力を発生する二次熱電対13と、高電圧を発生させ電極37へ印加するイグナイター(図示略)と、点火,消火等の電気的制御を司どるコントローラ28とを備える。
【0009】
ケーシング部は、自動装置部や燃焼部を固定するバックカバー(図示略)と、自動装置部や燃焼部を前面から覆い操作関係の表示等を行なうフロントカバー(図示略)とを備える。
【0010】
次に、ガス湯沸器1の作動について説明する。
操作ボタン24を押すと、レバー18を介して操作ボタン24に連動した水栓10が開弁し通水を開始する。ガス湯沸器1に供給された水は、まず水圧応動装置16を経由し熱交換器21を通過して湯となり湯出口23から出湯する。なお、水栓10の開閉動作の詳しい説明については、既に従来技術で説明した内容と同一で重複するので省略する。
水栓10が開き、水圧応動装置16に通水されると、ダイアフラム6で区切られた水栓本体一次室3aと水栓本体二次室3b間に差圧を生じ、ダイアフラム6に発生した差圧力によりダイアフラム6が変移すると共に、ダイアフラム6に当接したスピンドル27が摺動して、水圧自動弁20を開弁する。
この時の各弁の動きを順を追って説明する。まず、スピンドル27の先端に設けられた開弁装置8がマグネット安全弁7を押す。開弁装置8がマグネット安全弁7を押動開弁している位置ではスピンドル27はまだ水圧自動弁20を開弁しない関係に設定してある。開弁装置8は、マグネット安全弁7を押し開いた後(開弁完了後)、ロックが解除されスピンドル27上を摺動して戻る。
この時、マグネット安全弁7は、コントローラ28の指令による通電により吸着開弁状態を維持し、開弁装置8の後退により閉弁可能状態となる。そして、さらにスピンドル27が前進して水圧自動弁20が開き始める。水圧自動弁20が開弁するとガスは、バーナ4に達して燃焼を始める。燃焼中には、コントローラ28が一次熱電対36及び二次熱電対13の発生する熱起電力によって炎および燃焼異常を監視しており、熱起電力が所定値より変化すればマグネット安全弁7への通電を停止して閉弁する。
【0011】
次に消火動作には、止水によって水圧応動装置16に差圧力の発生がなくなるので、スピンドル27はバネ26によって最初の停止位置まで戻る。スピンドル27の後退により、まず水圧自動弁20が閉弁し、さらにスピンドル27が後退して停止位置に近づくと開弁装置8はスピンドル27と係合して停止位置に至る。同時に、コントローラ28によりマグネット安全弁7への通電を停止してマグネット安全弁7を閉弁する。
【0012】
このガス湯沸器1の水栓10は、開閉に伴って、水栓一次室10aと水栓二次室10bの間に、ダイアフラム受11の連通孔11aを介して水流が生じる。こうした時、水流中の異物がこの水流により連通孔11aの入口に吸い寄せられ、そのままくっついてしまっても、その入口部分に連通孔11aと略同一幅の溝11pを形成しているので、図3に示すように、異物が塞ぎきらない溝11pの開口部分を介して導通が確保される。そのため、こうした状況になっても、さらに溝11pの開口部分を異物で塞がれない限り、正常に開閉することができる。また、止水時には、常に開いている連通孔11aを介して、水栓一次室10aから水栓二次室10bに水が供給されると共に、水栓本体入口部3cの水圧が直接水栓二次室10bに加えられ、ダイアフラム13を水栓弁座3dの閉塞状態を保持する方向に押圧するので、この水圧による押圧力によって確実に止水状態を保持することができる。なお、連通孔11aの入口が異物で塞がれた時でも、この溝11pは十分開口面積を確保しているので、全体の通過抵抗に大きく影響を与えることもない。溝11pが大きすぎて、溝11pそのものが先に塞がれてしまうこともない。
また、ストレーナ9を通過してしまう小さい異物に対しても有効なため、連通孔11aを大きくして異物を通過させてしまう必要もないので、コンパクトな形状のまま実施できる。小さい異物を通過させてしまう目的で連通孔11aを大きくした場合は、既に説明したように、水栓10全体が大きくなって操作力も増大してしまうという問題があった。
【0013】
つぎに、第2実施例について説明する。図5は第2実施例としてのガス湯沸器の水栓の概略構成図で、給湯付風呂釜の浴槽への給湯通路で湯の開閉を行なう水電磁弁30を表す。
水電磁弁30は、側部に湯入口と内部に水室とを備え下部から湯を排出する水電磁弁本体34と、その水室を水電磁弁本体一次室34aと水電磁弁本体二次室34bとの2つに仕切り仕切られた水室間に生じた差圧により往復移動を繰り返すダイアフラム33と、ダイアフラム33と一体に設けられ貫通した小孔の連通孔31aとパイロット孔31bとを備えたダイアフラム受31と、パイロット孔31bを開閉して湯流路を開閉するパイロット弁35と、パイロット弁35を上下に摺動させるソレノイド32とを備える。水電磁弁本体34は、側部の湯入口と、それに続く水電磁弁本体一次室34aと、ダイアフラム33で仕切られた水電磁弁本体二次室34bと、ダイアフラム33が密着あるいは離間する水電磁弁本体弁座34dと、逆流防止弁(図示略)へ接続する水電磁弁本体出口34cとから構成される。水電磁弁本体34の湯入口には、給湯中の異物侵入を防止するストレーナ39が設けられる。
連通孔31aは、ダイアフラム受31の中央からわずかにずれた湯入口部側を円錐台形状に形成し、同じくパイロット孔31bは、ダイアフラム受31の中央部を円錐台形状と弁座とを形成したもので、それぞれの中心に小孔を貫通させる。湯入口部に設けられた連通孔31aは、中央に設けられたパイロット孔31bに比較して、直径を小さくすることにより通過抵抗を大きくする。そして、連通孔31aは、第1実施例のダイアフラム受11の連通孔11aと同様に、円錐台形状の入口部に小孔の直径よりわずかに小さい幅の凹み形状の溝を形成する。(図3参照)
【0014】
水電磁弁30は、図示しないが、給湯付風呂釜の浴槽への給湯通路に逆流防止弁と共に設けられ、コントローラの指令に基づき浴槽への給湯を開閉する。熱交換器を経由して水電磁弁30に供給された湯は、水電磁弁本体出口34cを通って逆流防止弁へ流入する。逆流防止弁は、いったん外部即ち大気と通じることにより、給湯側が負圧となった場合でも、浴槽の湯を給湯側へ逆流させない働きをする。そのため、水電磁弁30出口側は、大気と通じているので、大気圧を越えた圧力が生じることはない構成である。
コントローラ(図示略)の指令に基づきソレノイド32が働きパイロット弁35が開弁すると、水電磁弁本体二次室34bはパイロット孔31bを介して水電磁弁本体出口34cと導通される。水電磁弁本体出口34cは逆流防止弁(図示略)を介して大気と通じているので、水電磁弁本体二次室34b内は、今まで加わっていた圧力が開放され低下する。それに伴い第1実施例と同様に、水電磁弁30に供給された湯は、入口部に続く水電磁弁本体一次室31aからダイアフラム受31の連通孔31aを通過してダイアフラム33で仕切られたソレノイド32側の水電磁弁本体二次室34bへ達し、パイロット弁35で開弁されたパイロット孔31bを通過して再びダイアフラム33で仕切られた水電磁弁本体33側の水電磁弁本体出口34cへ入る。こうした湯の流れが生じると、連通孔31aはパイロット孔31bより湯の流れに対する通過抵抗が大きいので、水電磁弁本体二次室34b側へ差圧力が生じ、ダイアフラム受31と共にダイアフラム33が水電磁弁本体弁座34dよりリフトする。ダイアフラム33が所定距離リフトして水電磁弁本体一次室34aと水電磁弁本体二次室34bの水圧が同一となるとリフトが終了し水電磁弁30が全開状態となる。そして、水電磁弁本体一次室34aから水電磁弁本体弁座34dを経由して水電磁弁本体出口34cへ湯が流れる。
一方、水電磁弁30を閉じて出湯を停止する時は、コントローラ(図示略)の指令に基づきソレノイド32が働きパイロット弁35が摺動してパイロット孔31bを閉じつつ、ダイアフラム33が水電磁弁本体弁座34dを塞ぐ。同時に、常に開いている連通孔31aを介して水電磁弁本体一次室34aから水電磁弁本体二次室34bに湯が供給されると共に、その湯の圧力が直接水電磁弁本体二次室34bに加えられ、ダイアフラム33を水電磁弁本体弁座34dの閉塞状態を保持する方向に押圧する。そして、この押圧力によって確実に出湯停止状態が保持される。
【0015】
この給湯付風呂釜の水電磁弁30は、第1実施例と同様に、水電磁弁30の開閉に伴って、水電磁弁本体一次室34aと水電磁弁本体二次室34bの間に、ダイアフラム受31に設けられた連通孔31aを介して湯の流れが生じる。そして、給湯中の異物が連通孔31aの入口にくっついてしまっても、連通孔31aの略円錐台形の連通部の入口部分に連通孔と略同一幅の凹み形状の溝を形成しているので、異物により塞ぎきらない溝の開口部を介して、湯の導通が確保され、正常に開閉することができる。
また、同様に、連通孔31aを大きくする必要がないので、コンパクトな形状のまま実施できる。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、第1実施例の水栓10の連通孔11aに設けられた溝11pの代りに、図4(ア)に示すように、スリット形状の溝11qを用いてもよい。スリット形状の溝11qは、凹み形状の溝11pと違って、略円錐台の斜面にまで開口しているので、入口部分を異物で塞がれても、斜面の開口部分から水の導通が確保できる。第2実施例の水電磁弁30の場合でも同様である。
また、溝11pの代りに、図4(イ)に示すように、スリット形状の溝を直角方向にもう1本追加した十字形状の溝11rとしてもよい。溝11rを備えた連通孔は、入口部分を異物で塞がれ、さらに溝までも異物で塞がれても、同時に溝の4箇所が塞がれない限り、水の導通は確保される。第2実施例の水電磁弁30の場合でも同様である。
【0016】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のガス湯沸器の水栓によれば、水栓が開閉し水栓本体一次室から二次室への水流が生じる時に、水流中の異物が水流によりダイアフラム受の連通孔の入口に吸い寄せられくっついてしまっても、連通孔の入口部分に連通孔と略同一幅の溝を形成しているので、その溝を介して導通や水流が確保され、正常に開閉することができる。そのため、異物によって水栓が閉じなくなったり閉じても水がリークしてしまったりすることがなく信頼性が高い。また、連通孔を大きくする必要もないことからコンパクトなまま実現できるので、操作力が大きくなったりしない。そのうえスペースもとらず安価である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例としてのガス湯沸器の水栓の概略構成図である。
【図2】水栓部分の概略構成図である。
【図3】連通孔説明図である。
【図4】別の連通孔説明図である。
【図5】第2実施例としてのガス湯沸器の水栓の概略構成図である。
【図6】従来例としてのガス湯沸器の水栓の概略構成図である。
【図7】従来例の連通孔説明図である。
【符号の説明】
1 ガス湯沸器
2 燃焼室
3 水栓本体
3a 水栓本体一次室
3b 水栓本体二次室
3c 水栓本体水入口部
3d 水栓弁座
4 バーナ
9 ストレーナ
10,40 水栓
10a 水栓一次室
10b 水栓二次室
10c 水栓出口
11,31 ダイアフラム受
11a,31a 連通孔
11b,31b パイロット孔
6,13,33 ダイアフラム
15,35 パイロット弁
17 パイロットスピンドル
18 レバー
19 水栓バネ
30 水電磁弁
34 水電磁弁本体
Claims (1)
- 水室及び水栓弁座を持つ水栓本体と、
上記水栓本体の水室を一次室と二次室とに仕切るダイアフラムと、
上記ダイアフラムと一体に設けられ上記一次室と上記二次室とを連通する連通孔及びパイロット孔とを形成したダイアフラム受と、
上記ダイアフラム受のパイロット孔を開閉するパイロット弁とを備え、
上記パイロット弁を開くと上記連通孔を経由する水流が生じることにより上記一次室と上記二次室との間に圧力差が生じ上記ダイアフラムが上記水栓本体の水栓弁座と離間して水流路を開き、上記パイロット弁を閉じると上記ダイアフラムが上記水栓本体の水栓弁座と密着して水流路を閉じるガス湯沸器の水栓において、
上記ダイアフラム受は、連通孔の入口部分に連通孔と略同一幅の溝を形成したことを特徴とするガス湯沸器の水栓。
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