JP3574844B2 - 銅塩と窒素含有化合物からなる銅系触媒の存在下アルデヒドを用いて化合物を酸化する方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
【0001】
本発明は、特定のアルカン、置換アルカン、シクロアルカン、置換シクロアルカン及び縮合環化合物を触媒的酸化反応を用いて酸素酸化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機化学や工業化学の分野において、アルカン類における酸素官能基導入法の必要性は近年ますます増加しており、効率的な酸素酸化反応の開発が早急に求められている。
【0003】
アルカン類の酸化により得られるアルコールおよびケトンは、医薬品、化成品、ポリマーをはじめとして種々の機能性材料等のビルデイングブロックまたはその原料として用いることができる。
従来、工業的に行われているアルカン類の酸素酸化方法としては、コバルト系触媒存在下に、フリーラジカル反応を経由する自動酸化法が採用されている。しかし、このような方法の場合、充分な酸化速度を得るためには高温、高圧条件を必要とし、更に目的物のアルコールまたはケトンを選択的に得るためには転化率を低く抑える必要があった。このような問題を解決するために、酸素圧1気圧の温和な条件を用いることによる新しい原理に基づく酸素酸化法の開発が強く望まれている。
【0004】
そこで、1気圧の温和な条件を用いる炭化水素の酸素酸化について種々検討が行われている。たとえば、金属触媒存在下、1気圧の酸素を用いて炭化水素を酸化するには1当量以上の還元剤が用いられる。還元剤としては、亜鉛(J. Chem. Soc., Perkin. Trans. 1 1986, 947; J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1991, 102; New J. Chem. 16, 621 (1992)、ヒドラジン(J. Am. Chem. Soc. 112, 879 (1990))、水素(J. Am. Chem. Soc.103, 7371 (1981); J. Am. Chem. Soc. 109, 2837 (1987); J. Chem. Soc., Chem.Commun. 1992, 1446.)、硫化水素(Chem. Commun. 1997, 557)、アスコルビン酸塩(Tetrahedron 40, 4297 (1984))、ヒドロキノン(Chem. Lett. 1991, 1819)等が提案されている。上記いずれの反応系においても、生成物の収率と触媒のターンオーバー数が低いという問題がある。
【0005】
一方で、本発明者らは先にアルカン類を銅/クラウンエーテル触媒あるいは銅/クラウンエーテル/無機塩触媒の存在下、アルデヒドを用いて酸素酸化を行う方法を見いだした(特開平6−263664、特開平11−255682)。この方法により1気圧の酸素を用いてアルカンの酸化を行うことが可能となったが、更なる触媒活性(ターンオーバー数)向上と、クラウンエーテルに代わる安価な触媒系の構築が求められていた。
【0006】
【課題を解決するための解決手段】
本発明者らは更に、経済性を考慮に入れつつ触媒活性を向上させるための検討を行った結果、銅触媒にニトリル類等の含窒素化合物を配位させることにより、触媒活性が飛躍的に向上する事を見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、特定のアルカン、置換アルカン、シクロアルカン、置換シクロアルカン及び縮合環化合物を酸素で酸化する方法において、アルデヒド類、銅系触媒と補助配位子となる含窒素化合物共存下で反応させることを特徴とするアルカンおよびシクロアルカンの酸化方法を提供しようとするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態について具体的に説明する。
(1)アルカン、置換アルカン、シクロアルカン、置換シクロアルカン及び縮合環化合物
本発明の酸化方法に用いるアルカン、置換アルカン、シクロアルカン、置換シクロアルカン及び縮合環化合物の具体例を以下に示す。
【0008】
アルカンとしては、一般式CnH2n+2(n=1〜30)で表される、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n-オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン等が挙げられる。また、置換アルカンとしては、一般式CnH2n+1R(n=1〜30、R はエステル基又は芳香族基を示す)で表される、トルエン、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン、エチルベンゼン、デカン酸メチル等を挙げることができる。
【0009】
シクロアルカンとしては、一般式CnH2n(n=5〜30)で表される、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタン、シクロヘプタン、シクロドデカン等が挙げられる。また、置換シクロアルカンとしては、一般式CnH2n-1R(n=5〜30、 R はエステル基又は芳香族基を示す)で表される、メチルシクロヘキサン、アダマンタン、 cis- デカリン、 trans- デカリン、シクロヘキサンカルボン酸メチル等が挙げられる。また、芳香環とシクロアルカン環がそれぞれオルト位で縮合している縮合環化合物としては、インダン、テトラリン、フルオレン等を挙げることができる。
【0010】
(2)銅系触媒
本発明に用いられる銅系触媒としては、従来公知の銅無機塩を用いることができる。例えば、Cu(OAc)2・nH2O、Cu(OAc)、Cu(OCOCF3)2、CuCN、CuCl、CuCl2・nH2O、CuBr、CuBr2、CuSO4・nH2O、Cu(NO3)2・nH2O、Cu(ClO4)2、Cu(OCH3)2、Cu(PO4)2・nH2O、CuO、Cu2O、Cu(acac)2、Cu(OH)2、 Cu 粉末等が挙げられる(nは0〜6の整数である)。また、あらかじめ窒素系配位子により置換されている銅配位性化合物、およびそれらが酸素下において容易に形成するペルオキソ架橋ニ核銅錯体も同様に用いることができる。例えば、[Cu(CH3CN)4]X 、[Cu(C5H5N)4]X(C5H5N=ピリジン)、[Cu(bpy)2]X(bpy=2,2’−ビピリジン)、[Cu(C3H4N2)4]X2(C3H4N2=イミダゾール)、[Cu(phen)2]X2(phen=1,10−フェナントロリン)、[Cu(C14H32N4)]X2(C14H32N4=1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン)、[CuX(tmpa)]X’(tmpa=トリス(2−ピリジルメチル)アミン)、[Cu(tmpa)(CH3CN)]X、[{Cu(C5H5N)3}2(O2)]X2、[{Cu(tmpa)}2(O2)]X等が挙げられる(X, X’はCl, NO3, ClO4, PF6, BF4等である)。中でも入手/取扱いともに容易で、且つ、反応性の高い Cu(OAc)2 が好ましく用いられる。銅系触媒の使用量は特に制限されないが、通常基質に対して 0.000001〜200 モル%、好ましくは 0.00001〜5 モル%の範囲である。
【0011】
(3)アルデヒド類
本発明に用いられるアルデヒド類としては、脂肪族アルデヒドおよび芳香族アルデヒドが可能である。具体的には、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n− バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ピバルアルデヒド、n− へキシルアルデヒド、n− ヘプチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒドや、ベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、m−シアノベンズアルデヒド、p−トルアルデヒド、p−メトキシベンズアルデヒド等の置換もしくは非置換の芳香族アルデヒドおよびこれらの混合物が挙げられる。なかでも、工業的に入手容易なアセトアルデヒドが反応性、経済性の点から好ましく用いられる。アルデヒド類の使用量は特に制限されないが、通常基質に対して 0.1〜1000 モル%、好ましくは 1〜400 モル%の範囲である。
【0012】
(4)窒素含有化合物
本発明に用いられる含窒素化合物は、ニトリル類、芳香族アミン類および第3級アミン類である。ニトリル類としては、脂肪族/芳香族ニトリルを問わず従来公知のものを用いることができる。具体例では脂肪族ニトリルとして、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニトリル、トリメチルアセトニトリル、ヘキサンニトリル、4-メチルバレロニトリル、ヘプタンニトリル、オクタンニトリル、ウンデカンニトリル、デカンニトリル、ステアロニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、シクロペンタンカルボニトリル等、また、脂肪族ジニトリル類ではマロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル等が挙げられる。芳香族ニトリルではべンゾニトリル、o-, m-, p-フタロニトリル等があげられる。芳香族アミン類および第3級アミン類の具体例では、ピリジン、2,2'−ビピリジン、2,2'−biquinoline(ビキノリン)、2, 2':6', 2''−terpyridine(ターピリジン)、イミダゾール、ピラゾール、1,10−フェナントロリン、1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、トリス(2−ピリジルメチル)アミン等の非置換もしくは置換誘導体が挙げられる。中でも、アセトニトリルが反応性、経済性の点から好ましく用いられる。ニトリル類、芳香族アミン類および第3級アミン類の使用量は特に制限されないが、通常基質に対して0.000001〜50 当量用いられる。ニトリル類の場合は好ましくは1から2当量用いられる。
【0013】
(5)反応条件
(5−1)溶媒
本反応における溶媒についてであるが、基質である炭化水素(例えばシクロヘキサン)を基質兼溶媒として用いることができる。また、他の溶媒を用いても良い。溶媒としてはハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルムなど)、ケトン(アセトンなど)、エステル(酢酸エチルなど)、カルボン酸(酢酸など)および芳香族炭化水素(ベンゼン、クロロベンゼンなど)等が使用できる。これらを単独で使用することも2種類以上を混合して使用することも可能である。
【0014】
(5−2)反応温度
反応温度は、通常、0℃から150℃であり、好ましくは25℃〜80℃程度の範囲である。反応温度が20℃程度の室温でも反応は進行するが、触媒量を10〜100倍程度多く必要とし、反応時間が長くなる場合がある。
【0015】
(5−3)その他の処理
本反応で生成するアルカン、置換アルカン、シクロアルカン、置換シクロアルカン及び縮合環化合物に対応するアルコールまたはケトンは、反応溶液を亜硫酸水素ナトリウム水溶液で処理した後、水で洗浄等を行うことにより触媒を除去することができ、必要に応じて蒸留等の操作を行うことにより、反応混合物から容易に分離することができる。
【0016】
(5−4)酸化反応
酸素酸化反応の実施方法について説明する。
本反応に用いられる酸素は、(a) 酸素ガス、(b) 空気(酸素20%,窒素78%,二酸化炭素 1 %等から成る)、(c) 酸素ガスと窒素等の不活性ガスとの混合物のいずれを用いてもよい。気体圧は減圧または加圧条件であってもよいが、酸素圧1気圧でも可能である。
室温付近の実験では、反応容器に1気圧の酸素を供給する為の酸素を充填した風船を取り付けた状態で反応を行うことが好ましい。
40℃以上での高温実験ではハステロイ製のオートクレーブを用いるのがましい。実験は最初に容器内を窒素圧8気圧で置換、反応開始から反応中を通じて常時酸素圧1気圧が供給される装置にオートクレーブを接続し反応を行うことが好ましい。
また、反応に用いたアルデヒド類は必要に応じて精製する(例えば、アセトアルデヒドは蒸留して用いる。)
【0017】
(5−5)
本発明のアルカン、置換アルカン、シクロアルカン、置換シクロアルカン及び縮合環化合物の酸化方法は以下のように考えられる。例えば、アセトアルデヒド及び2価の銅系触媒を例にとると、アセトアルデヒドは2価の銅触媒の存在下アシルラジカルを生成し、酸素による自動酸化過程により過酢酸を生じる。この時、2価の銅は1価に還元される。生じた1価の銅は過酢酸と反応することにより3価の銅活性種を生じ、これがアルカン、置換アルカン、シクロアルカン、置換シクロアルカン及び縮合環化合物から水素原子を引き抜く。これに続くヒドロキシル配位子の再結合を経てアルコールが生成し、1価の銅が再生する。同様にしてアルコールはケトンに酸化される。
【0018】
(実施例)
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明がこれら実施例によって何等限定されるものではない。まず、アルカンあるいはシクロアルカンの酸化を70℃で行った場合の実施例を示す。
【0019】
[実施例1]シクロヘキサンの酸化―(1)〜(2)
1−(1) アセトニトリル/ジクロロメタン混合溶媒(15 mL)を用いた場合
ハステロイ製オートクレーブ内のガラス容器にシクロヘキサン(120 mmol)、Cu(OAc)2(7.5×10− 5 mmol)、アセトアルデヒド(3mmol)、アセトニトリル(9mL)、ジクロロメタン(6 mL)を加えた後、8atm の窒素で加圧した。さらに、酸素 1 atm を導入し(合計 9 atm)、 70℃で24時間撹拌した。室温まで冷却した後、内部の圧力を1気圧に戻した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロヘキサノール収率 41%(対アセトアルデヒド1当量)、とシクロヘキサノン収率54%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 27000 であった。
【0020】
1−(2) 少量のアセトニトリル溶媒(1.5 mL)を用いた場合
ハステロイ製オートクレーブ内のガラス容器にシクロヘキサン(120 mmol)、Cu(OAc)2(7.5 x 10− 5 mmol)、アセトアルデヒド(12.0 mmol)、アセトニトリル(1.5 mL)を加えた後、8 atm の窒素で加圧した。さらに、酸素1atm を導入し(合計9atm)、70℃で24時間撹拌した。室温まで冷却した後、内部の圧力を1気圧に戻した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロヘキサノール収率13%(対アセトアルデヒド1当量)、とシクロヘキサノン収率 28 %(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は42000であった。
【0021】
[実施例2]シクロオクタンの酸化
ハステロイ製オートクレーブ内のガラス容器にシクロオクタン(120 mmol)、Cu(OAc)2(7.5×10− 5 mmol)、アセトアルデヒド(12.0 mmol)、アセトニトリル(6 mL)を加えた後、8 atm の窒素で加圧した。さらに、酸素1 atm を導入し(合計9 atm)、70℃で24時間撹拌した。室温まで冷却した後、内部の圧力を1気圧に戻した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロオクタノール収率3%(対アセトアルデヒド1当量)、とシクロオクタノン収率19%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 21000であった。
【0022】
[実施例3]n−ヘキサンの酸化
ハステロイ製オートクレーブ内のガラス容器にn−ヘキサン(120 mmol)、Cu(OAc)2(3.0×10− 5 mmol)、アセトアルデヒド(3mmol)、アセトニトリル(9 mL)、ジクロロメタン(6 mL)を加えた後、8 atm の窒素で加圧した。さらに、酸素 1 atmを導入し(合計9 atm)、70℃で24時間撹拌した。室温まで冷却した後、内部の圧力を1気圧に戻した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、2−ヘキサノールと3−ヘキサノールの収率6%(44:56)(対アセトアルデヒド1当量)、と2−ヘキサノンと3−ヘキサノンの収率25%(50:50)(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 7200 であった。
また、本反応は室温付近でも行うことができる。25℃での実施例を示す。
【0023】
[実施例4]シクロヘキサンの酸化−(1)〜(7)
4−(1) Cu(OAc)2 /アセトアルデヒド/アセトニトリルの場合
25 mL のナスフラスコ中にシクロヘキサン(40 mmol)、Cu(OAc)2(2.5×10− 3 mmol)、アセトアルデヒド(4.0 mmol)、アセトニトリル(3 mL)、ジクロロメタン(2 mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で48時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロヘキサノール収率9%(対アセトアルデヒド1当量)、とシクロヘキサノン収率33%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 436 であった。
【0024】
4−(2) Cu(OAc)/アセトアルデヒド/アセトニトリルの場合
25 mL のナスフラスコ中にシクロヘキサン(40 mmol)、Cu(OAc)(2.5×10− 3 mmol)、アセトアルデヒド(4.0 mmol)、アセトニトリル(3 mL)、ジクロロメタン(2mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で48時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロヘキサノール収率10%(対アセトアルデヒド1当量)、とシクロヘキサノン収率 34%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 449 であった。
【0025】
4−(3) Cu 粉末/アセトアルデヒド/アセトニトリルの場合
50 mL のナスフラスコ中にシクロヘキサン(80 mmol)、Cu 粉末(2.0×10− 2 mmol)、アセトアルデヒド(8.0 mmol)、アセトニトリル(5mL)、ジクロロメタン(5mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で24時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロヘキサノール収率10%(対アセトアルデヒド1当量)、とシクロヘキサノン収率 34%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 110 であった。
【0026】
4−(4) Cu(OAc)2 /アセトアルデヒド/ピリジンの場合
25 mL のナスフラスコ中にシクロヘキサン(40 mmol)、Cu(OAc)2 (1.0×10− 2 mmol)、アセトアルデヒド(4.0 mmol)、ピリジン(1.0x 10− 2 mmol)、ジクロロメタン(5mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で36時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロヘキサノール収率 9%(対アセトアルデヒド1当量)、とシクロヘキサノン収率21%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 79 であった。
【0027】
4−(5) Cu(OAc)2 /アセトアルデヒド/グルタロニトリルの場合
25 mL のナスフラスコ中にシクロヘキサン(80 mmol)、Cu(OAc)2 (2.0×10− 2 mmol)、アセトアルデヒド(8.0 mmol)、グルタロニトリル(5mL)、ジクロロメタン(15 mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で24時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロヘキサノール収率11%(対アセトアルデヒド1当量)、とシクロヘキサノン収率27%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 98 であった。
【0028】
4−(6) Cu(OAc)2 /アセトアルデヒド/ベンズニトリルの場合
25 mL のナスフラスコ中にシクロヘキサン(40 mmol)、Cu(OAc)2 (2.5×10− 3 mmol)、アセトアルデヒド(4.0 mmol)、ベンズニトリル(2.5 mL)、ジクロロメタン(2.5 mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で48時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロヘキサノール収率 9 %(対アセトアルデヒド1当量)、とシクロヘキサノン収率29%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 375であった。
【0029】
4−(7) CuCl2/ベンズアルデヒド/1, 4, 8, 11−テトラメチル−1, 4, 8, 11−テトラアザシクロテトラデカンの場合
50 mL のナスフラスコ中にシクロヘキサン(80 mmol)、CuCl2(2.0×10− 2 mmol)、アセトアルデヒド(8.0 mmol)、1, 4, 8, 11−テトラメチル−1, 4, 8, 11−テトラアザシクロテトラデカン(2.0×10− 2 mmol)、ジクロロメタン(10 mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で24時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロヘキサノール収率7%(対ベンズアルデヒド1当量)、とシクロヘキサノン収率 10%(対ベンズアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 51 であった。
【0030】
[実施例5]シクロオクタンの酸化
25 mL のナスフラスコ中にシクロオクタン(40 mmol)、Cu(OAc)2(2.5×10− 3 mmol)、アセトアルデヒド(4.0 mmol)、アセトニトリル(2 mL)、ジクロロメタン(3 mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で48時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロオクタノール収率3%(対アセトアルデヒド1当量)、とシクロオクタノン収率33%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 310 であった。
【0031】
[実施例6]n−ヘキサンの酸化
25 mL のナスフラスコ中にn−ヘキサン(40 mmol)、Cu(OAc)2(1.0×10− 3 mmol)、アセトアルデヒド(4.0 mmol)、アセトニトリル(3 mL)、ジクロロメタン(2 mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で24時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、2−ヘキサノールと3−ヘキサノールの収率2%(37:63)(対アセトアルデヒド1当量)、と2−ヘキサノンと3−ヘキサノンの収率10%(48:52)(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 274であった。
【0032】
[実施例7]エチルベンゼンの酸化
25 mL のナスフラスコ中にエチルベンゼン(4.0 mmol)、Cu(OAc)2(2.5×10− 5 mmol )、アセトアルデヒド(4.0 mmol)、アセトニトリル(3mL)、ジクロロメタン(2 mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で36時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、1−フェニルエチルアルコール収率3%(対アセトアルデヒド1当量)、アセトフェノン収率25%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 24500 であった。
【0033】
[実施例8]インダンの酸化
25 mL のナスフラスコ中にインダン(4.0 mmol)、Cu(OAc)2(2.5 ×10− 5 mmol )、アセトアルデヒド(4.0 mmol)、アセトニトリル(3 mL)、ジクロロメタン(2 mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で36時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、1−インダノール収率8%(対アセトアルデヒド1当量)、1−インダノン収率 53%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 54500 であった。
【0034】
[実施例9]1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンの酸化
25 mL のナスフラスコ中に1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(4.0 mmol)、Cu(OAc)2(2.5×10− 5 mmol )、アセトアルデヒド(4.0 mmol)、アセトニトリル(3mL)、ジクロロメタン(2mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で36時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール収率12%(対アセトアルデヒド1当量)、α−テトラロン収率 67%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 72000 であった。
【0035】
[実施例10]アダマンタンの酸化
25mL のナスフラスコ中にアダマンタン (4.0 mmol)、Cu(OAc)2(1.0×10−2mmol )、アセトアルデヒド(4.0 mmol)、アセトニトリル(2mL)、ジクロロメタン(8mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で48時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、1−アダマンタノール収率16%(対アセトアルデヒド1当量)、2−アダマンタノール収率2%(対アセトアルデヒド1当量)、2−アダマンタノン収率1%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は73であった。
【0036】
【発明の効果】
本発明のアルカン、置換アルカン、シクロアルカン、置換シクロアルカン及び縮合環化合物の酸化方法では、触媒として銅塩を用い、更に反応系内に含窒素化合物を共存させ酸素酸化することによりアルコール類およびケトン類を高い効率、高いターンオーバー数で製造することができる。即ち本発明は、銅塩を触媒とし、アルデヒドを用いる炭化水素の酸素酸化によりアルコールおよびケトンを製造する反応に、少なくとも1種類の含窒素化合物を共存させることを組み合わせることを特徴とする銅系触媒による炭化水素の酸素酸化法である。本発明により、アルデヒド当たりの生成物の収率および触媒のターンオーバー数を増加させ、アルカン、アルキルベンゼン等の炭化水素の酸化を効率よく行うことができることから本発明の有用性は高い。
【0001】
本発明は、特定のアルカン、置換アルカン、シクロアルカン、置換シクロアルカン及び縮合環化合物を触媒的酸化反応を用いて酸素酸化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機化学や工業化学の分野において、アルカン類における酸素官能基導入法の必要性は近年ますます増加しており、効率的な酸素酸化反応の開発が早急に求められている。
【0003】
アルカン類の酸化により得られるアルコールおよびケトンは、医薬品、化成品、ポリマーをはじめとして種々の機能性材料等のビルデイングブロックまたはその原料として用いることができる。
従来、工業的に行われているアルカン類の酸素酸化方法としては、コバルト系触媒存在下に、フリーラジカル反応を経由する自動酸化法が採用されている。しかし、このような方法の場合、充分な酸化速度を得るためには高温、高圧条件を必要とし、更に目的物のアルコールまたはケトンを選択的に得るためには転化率を低く抑える必要があった。このような問題を解決するために、酸素圧1気圧の温和な条件を用いることによる新しい原理に基づく酸素酸化法の開発が強く望まれている。
【0004】
そこで、1気圧の温和な条件を用いる炭化水素の酸素酸化について種々検討が行われている。たとえば、金属触媒存在下、1気圧の酸素を用いて炭化水素を酸化するには1当量以上の還元剤が用いられる。還元剤としては、亜鉛(J. Chem. Soc., Perkin. Trans. 1 1986, 947; J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1991, 102; New J. Chem. 16, 621 (1992)、ヒドラジン(J. Am. Chem. Soc. 112, 879 (1990))、水素(J. Am. Chem. Soc.103, 7371 (1981); J. Am. Chem. Soc. 109, 2837 (1987); J. Chem. Soc., Chem.Commun. 1992, 1446.)、硫化水素(Chem. Commun. 1997, 557)、アスコルビン酸塩(Tetrahedron 40, 4297 (1984))、ヒドロキノン(Chem. Lett. 1991, 1819)等が提案されている。上記いずれの反応系においても、生成物の収率と触媒のターンオーバー数が低いという問題がある。
【0005】
一方で、本発明者らは先にアルカン類を銅/クラウンエーテル触媒あるいは銅/クラウンエーテル/無機塩触媒の存在下、アルデヒドを用いて酸素酸化を行う方法を見いだした(特開平6−263664、特開平11−255682)。この方法により1気圧の酸素を用いてアルカンの酸化を行うことが可能となったが、更なる触媒活性(ターンオーバー数)向上と、クラウンエーテルに代わる安価な触媒系の構築が求められていた。
【0006】
【課題を解決するための解決手段】
本発明者らは更に、経済性を考慮に入れつつ触媒活性を向上させるための検討を行った結果、銅触媒にニトリル類等の含窒素化合物を配位させることにより、触媒活性が飛躍的に向上する事を見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、特定のアルカン、置換アルカン、シクロアルカン、置換シクロアルカン及び縮合環化合物を酸素で酸化する方法において、アルデヒド類、銅系触媒と補助配位子となる含窒素化合物共存下で反応させることを特徴とするアルカンおよびシクロアルカンの酸化方法を提供しようとするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態について具体的に説明する。
(1)アルカン、置換アルカン、シクロアルカン、置換シクロアルカン及び縮合環化合物
本発明の酸化方法に用いるアルカン、置換アルカン、シクロアルカン、置換シクロアルカン及び縮合環化合物の具体例を以下に示す。
【0008】
アルカンとしては、一般式CnH2n+2(n=1〜30)で表される、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n-オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン等が挙げられる。また、置換アルカンとしては、一般式CnH2n+1R(n=1〜30、R はエステル基又は芳香族基を示す)で表される、トルエン、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン、エチルベンゼン、デカン酸メチル等を挙げることができる。
【0009】
シクロアルカンとしては、一般式CnH2n(n=5〜30)で表される、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタン、シクロヘプタン、シクロドデカン等が挙げられる。また、置換シクロアルカンとしては、一般式CnH2n-1R(n=5〜30、 R はエステル基又は芳香族基を示す)で表される、メチルシクロヘキサン、アダマンタン、 cis- デカリン、 trans- デカリン、シクロヘキサンカルボン酸メチル等が挙げられる。また、芳香環とシクロアルカン環がそれぞれオルト位で縮合している縮合環化合物としては、インダン、テトラリン、フルオレン等を挙げることができる。
【0010】
(2)銅系触媒
本発明に用いられる銅系触媒としては、従来公知の銅無機塩を用いることができる。例えば、Cu(OAc)2・nH2O、Cu(OAc)、Cu(OCOCF3)2、CuCN、CuCl、CuCl2・nH2O、CuBr、CuBr2、CuSO4・nH2O、Cu(NO3)2・nH2O、Cu(ClO4)2、Cu(OCH3)2、Cu(PO4)2・nH2O、CuO、Cu2O、Cu(acac)2、Cu(OH)2、 Cu 粉末等が挙げられる(nは0〜6の整数である)。また、あらかじめ窒素系配位子により置換されている銅配位性化合物、およびそれらが酸素下において容易に形成するペルオキソ架橋ニ核銅錯体も同様に用いることができる。例えば、[Cu(CH3CN)4]X 、[Cu(C5H5N)4]X(C5H5N=ピリジン)、[Cu(bpy)2]X(bpy=2,2’−ビピリジン)、[Cu(C3H4N2)4]X2(C3H4N2=イミダゾール)、[Cu(phen)2]X2(phen=1,10−フェナントロリン)、[Cu(C14H32N4)]X2(C14H32N4=1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン)、[CuX(tmpa)]X’(tmpa=トリス(2−ピリジルメチル)アミン)、[Cu(tmpa)(CH3CN)]X、[{Cu(C5H5N)3}2(O2)]X2、[{Cu(tmpa)}2(O2)]X等が挙げられる(X, X’はCl, NO3, ClO4, PF6, BF4等である)。中でも入手/取扱いともに容易で、且つ、反応性の高い Cu(OAc)2 が好ましく用いられる。銅系触媒の使用量は特に制限されないが、通常基質に対して 0.000001〜200 モル%、好ましくは 0.00001〜5 モル%の範囲である。
【0011】
(3)アルデヒド類
本発明に用いられるアルデヒド類としては、脂肪族アルデヒドおよび芳香族アルデヒドが可能である。具体的には、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n− バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ピバルアルデヒド、n− へキシルアルデヒド、n− ヘプチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒドや、ベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、m−シアノベンズアルデヒド、p−トルアルデヒド、p−メトキシベンズアルデヒド等の置換もしくは非置換の芳香族アルデヒドおよびこれらの混合物が挙げられる。なかでも、工業的に入手容易なアセトアルデヒドが反応性、経済性の点から好ましく用いられる。アルデヒド類の使用量は特に制限されないが、通常基質に対して 0.1〜1000 モル%、好ましくは 1〜400 モル%の範囲である。
【0012】
(4)窒素含有化合物
本発明に用いられる含窒素化合物は、ニトリル類、芳香族アミン類および第3級アミン類である。ニトリル類としては、脂肪族/芳香族ニトリルを問わず従来公知のものを用いることができる。具体例では脂肪族ニトリルとして、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニトリル、トリメチルアセトニトリル、ヘキサンニトリル、4-メチルバレロニトリル、ヘプタンニトリル、オクタンニトリル、ウンデカンニトリル、デカンニトリル、ステアロニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、シクロペンタンカルボニトリル等、また、脂肪族ジニトリル類ではマロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル等が挙げられる。芳香族ニトリルではべンゾニトリル、o-, m-, p-フタロニトリル等があげられる。芳香族アミン類および第3級アミン類の具体例では、ピリジン、2,2'−ビピリジン、2,2'−biquinoline(ビキノリン)、2, 2':6', 2''−terpyridine(ターピリジン)、イミダゾール、ピラゾール、1,10−フェナントロリン、1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、トリス(2−ピリジルメチル)アミン等の非置換もしくは置換誘導体が挙げられる。中でも、アセトニトリルが反応性、経済性の点から好ましく用いられる。ニトリル類、芳香族アミン類および第3級アミン類の使用量は特に制限されないが、通常基質に対して0.000001〜50 当量用いられる。ニトリル類の場合は好ましくは1から2当量用いられる。
【0013】
(5)反応条件
(5−1)溶媒
本反応における溶媒についてであるが、基質である炭化水素(例えばシクロヘキサン)を基質兼溶媒として用いることができる。また、他の溶媒を用いても良い。溶媒としてはハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルムなど)、ケトン(アセトンなど)、エステル(酢酸エチルなど)、カルボン酸(酢酸など)および芳香族炭化水素(ベンゼン、クロロベンゼンなど)等が使用できる。これらを単独で使用することも2種類以上を混合して使用することも可能である。
【0014】
(5−2)反応温度
反応温度は、通常、0℃から150℃であり、好ましくは25℃〜80℃程度の範囲である。反応温度が20℃程度の室温でも反応は進行するが、触媒量を10〜100倍程度多く必要とし、反応時間が長くなる場合がある。
【0015】
(5−3)その他の処理
本反応で生成するアルカン、置換アルカン、シクロアルカン、置換シクロアルカン及び縮合環化合物に対応するアルコールまたはケトンは、反応溶液を亜硫酸水素ナトリウム水溶液で処理した後、水で洗浄等を行うことにより触媒を除去することができ、必要に応じて蒸留等の操作を行うことにより、反応混合物から容易に分離することができる。
【0016】
(5−4)酸化反応
酸素酸化反応の実施方法について説明する。
本反応に用いられる酸素は、(a) 酸素ガス、(b) 空気(酸素20%,窒素78%,二酸化炭素 1 %等から成る)、(c) 酸素ガスと窒素等の不活性ガスとの混合物のいずれを用いてもよい。気体圧は減圧または加圧条件であってもよいが、酸素圧1気圧でも可能である。
室温付近の実験では、反応容器に1気圧の酸素を供給する為の酸素を充填した風船を取り付けた状態で反応を行うことが好ましい。
40℃以上での高温実験ではハステロイ製のオートクレーブを用いるのがましい。実験は最初に容器内を窒素圧8気圧で置換、反応開始から反応中を通じて常時酸素圧1気圧が供給される装置にオートクレーブを接続し反応を行うことが好ましい。
また、反応に用いたアルデヒド類は必要に応じて精製する(例えば、アセトアルデヒドは蒸留して用いる。)
【0017】
(5−5)
本発明のアルカン、置換アルカン、シクロアルカン、置換シクロアルカン及び縮合環化合物の酸化方法は以下のように考えられる。例えば、アセトアルデヒド及び2価の銅系触媒を例にとると、アセトアルデヒドは2価の銅触媒の存在下アシルラジカルを生成し、酸素による自動酸化過程により過酢酸を生じる。この時、2価の銅は1価に還元される。生じた1価の銅は過酢酸と反応することにより3価の銅活性種を生じ、これがアルカン、置換アルカン、シクロアルカン、置換シクロアルカン及び縮合環化合物から水素原子を引き抜く。これに続くヒドロキシル配位子の再結合を経てアルコールが生成し、1価の銅が再生する。同様にしてアルコールはケトンに酸化される。
【0018】
(実施例)
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明がこれら実施例によって何等限定されるものではない。まず、アルカンあるいはシクロアルカンの酸化を70℃で行った場合の実施例を示す。
【0019】
[実施例1]シクロヘキサンの酸化―(1)〜(2)
1−(1) アセトニトリル/ジクロロメタン混合溶媒(15 mL)を用いた場合
ハステロイ製オートクレーブ内のガラス容器にシクロヘキサン(120 mmol)、Cu(OAc)2(7.5×10− 5 mmol)、アセトアルデヒド(3mmol)、アセトニトリル(9mL)、ジクロロメタン(6 mL)を加えた後、8atm の窒素で加圧した。さらに、酸素 1 atm を導入し(合計 9 atm)、 70℃で24時間撹拌した。室温まで冷却した後、内部の圧力を1気圧に戻した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロヘキサノール収率 41%(対アセトアルデヒド1当量)、とシクロヘキサノン収率54%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 27000 であった。
【0020】
1−(2) 少量のアセトニトリル溶媒(1.5 mL)を用いた場合
ハステロイ製オートクレーブ内のガラス容器にシクロヘキサン(120 mmol)、Cu(OAc)2(7.5 x 10− 5 mmol)、アセトアルデヒド(12.0 mmol)、アセトニトリル(1.5 mL)を加えた後、8 atm の窒素で加圧した。さらに、酸素1atm を導入し(合計9atm)、70℃で24時間撹拌した。室温まで冷却した後、内部の圧力を1気圧に戻した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロヘキサノール収率13%(対アセトアルデヒド1当量)、とシクロヘキサノン収率 28 %(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は42000であった。
【0021】
[実施例2]シクロオクタンの酸化
ハステロイ製オートクレーブ内のガラス容器にシクロオクタン(120 mmol)、Cu(OAc)2(7.5×10− 5 mmol)、アセトアルデヒド(12.0 mmol)、アセトニトリル(6 mL)を加えた後、8 atm の窒素で加圧した。さらに、酸素1 atm を導入し(合計9 atm)、70℃で24時間撹拌した。室温まで冷却した後、内部の圧力を1気圧に戻した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロオクタノール収率3%(対アセトアルデヒド1当量)、とシクロオクタノン収率19%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 21000であった。
【0022】
[実施例3]n−ヘキサンの酸化
ハステロイ製オートクレーブ内のガラス容器にn−ヘキサン(120 mmol)、Cu(OAc)2(3.0×10− 5 mmol)、アセトアルデヒド(3mmol)、アセトニトリル(9 mL)、ジクロロメタン(6 mL)を加えた後、8 atm の窒素で加圧した。さらに、酸素 1 atmを導入し(合計9 atm)、70℃で24時間撹拌した。室温まで冷却した後、内部の圧力を1気圧に戻した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、2−ヘキサノールと3−ヘキサノールの収率6%(44:56)(対アセトアルデヒド1当量)、と2−ヘキサノンと3−ヘキサノンの収率25%(50:50)(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 7200 であった。
また、本反応は室温付近でも行うことができる。25℃での実施例を示す。
【0023】
[実施例4]シクロヘキサンの酸化−(1)〜(7)
4−(1) Cu(OAc)2 /アセトアルデヒド/アセトニトリルの場合
25 mL のナスフラスコ中にシクロヘキサン(40 mmol)、Cu(OAc)2(2.5×10− 3 mmol)、アセトアルデヒド(4.0 mmol)、アセトニトリル(3 mL)、ジクロロメタン(2 mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で48時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロヘキサノール収率9%(対アセトアルデヒド1当量)、とシクロヘキサノン収率33%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 436 であった。
【0024】
4−(2) Cu(OAc)/アセトアルデヒド/アセトニトリルの場合
25 mL のナスフラスコ中にシクロヘキサン(40 mmol)、Cu(OAc)(2.5×10− 3 mmol)、アセトアルデヒド(4.0 mmol)、アセトニトリル(3 mL)、ジクロロメタン(2mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で48時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロヘキサノール収率10%(対アセトアルデヒド1当量)、とシクロヘキサノン収率 34%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 449 であった。
【0025】
4−(3) Cu 粉末/アセトアルデヒド/アセトニトリルの場合
50 mL のナスフラスコ中にシクロヘキサン(80 mmol)、Cu 粉末(2.0×10− 2 mmol)、アセトアルデヒド(8.0 mmol)、アセトニトリル(5mL)、ジクロロメタン(5mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で24時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロヘキサノール収率10%(対アセトアルデヒド1当量)、とシクロヘキサノン収率 34%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 110 であった。
【0026】
4−(4) Cu(OAc)2 /アセトアルデヒド/ピリジンの場合
25 mL のナスフラスコ中にシクロヘキサン(40 mmol)、Cu(OAc)2 (1.0×10− 2 mmol)、アセトアルデヒド(4.0 mmol)、ピリジン(1.0x 10− 2 mmol)、ジクロロメタン(5mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で36時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロヘキサノール収率 9%(対アセトアルデヒド1当量)、とシクロヘキサノン収率21%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 79 であった。
【0027】
4−(5) Cu(OAc)2 /アセトアルデヒド/グルタロニトリルの場合
25 mL のナスフラスコ中にシクロヘキサン(80 mmol)、Cu(OAc)2 (2.0×10− 2 mmol)、アセトアルデヒド(8.0 mmol)、グルタロニトリル(5mL)、ジクロロメタン(15 mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で24時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロヘキサノール収率11%(対アセトアルデヒド1当量)、とシクロヘキサノン収率27%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 98 であった。
【0028】
4−(6) Cu(OAc)2 /アセトアルデヒド/ベンズニトリルの場合
25 mL のナスフラスコ中にシクロヘキサン(40 mmol)、Cu(OAc)2 (2.5×10− 3 mmol)、アセトアルデヒド(4.0 mmol)、ベンズニトリル(2.5 mL)、ジクロロメタン(2.5 mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で48時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロヘキサノール収率 9 %(対アセトアルデヒド1当量)、とシクロヘキサノン収率29%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 375であった。
【0029】
4−(7) CuCl2/ベンズアルデヒド/1, 4, 8, 11−テトラメチル−1, 4, 8, 11−テトラアザシクロテトラデカンの場合
50 mL のナスフラスコ中にシクロヘキサン(80 mmol)、CuCl2(2.0×10− 2 mmol)、アセトアルデヒド(8.0 mmol)、1, 4, 8, 11−テトラメチル−1, 4, 8, 11−テトラアザシクロテトラデカン(2.0×10− 2 mmol)、ジクロロメタン(10 mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で24時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロヘキサノール収率7%(対ベンズアルデヒド1当量)、とシクロヘキサノン収率 10%(対ベンズアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 51 であった。
【0030】
[実施例5]シクロオクタンの酸化
25 mL のナスフラスコ中にシクロオクタン(40 mmol)、Cu(OAc)2(2.5×10− 3 mmol)、アセトアルデヒド(4.0 mmol)、アセトニトリル(2 mL)、ジクロロメタン(3 mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で48時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロオクタノール収率3%(対アセトアルデヒド1当量)、とシクロオクタノン収率33%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 310 であった。
【0031】
[実施例6]n−ヘキサンの酸化
25 mL のナスフラスコ中にn−ヘキサン(40 mmol)、Cu(OAc)2(1.0×10− 3 mmol)、アセトアルデヒド(4.0 mmol)、アセトニトリル(3 mL)、ジクロロメタン(2 mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で24時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、2−ヘキサノールと3−ヘキサノールの収率2%(37:63)(対アセトアルデヒド1当量)、と2−ヘキサノンと3−ヘキサノンの収率10%(48:52)(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 274であった。
【0032】
[実施例7]エチルベンゼンの酸化
25 mL のナスフラスコ中にエチルベンゼン(4.0 mmol)、Cu(OAc)2(2.5×10− 5 mmol )、アセトアルデヒド(4.0 mmol)、アセトニトリル(3mL)、ジクロロメタン(2 mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で36時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、1−フェニルエチルアルコール収率3%(対アセトアルデヒド1当量)、アセトフェノン収率25%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 24500 であった。
【0033】
[実施例8]インダンの酸化
25 mL のナスフラスコ中にインダン(4.0 mmol)、Cu(OAc)2(2.5 ×10− 5 mmol )、アセトアルデヒド(4.0 mmol)、アセトニトリル(3 mL)、ジクロロメタン(2 mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で36時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、1−インダノール収率8%(対アセトアルデヒド1当量)、1−インダノン収率 53%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 54500 であった。
【0034】
[実施例9]1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンの酸化
25 mL のナスフラスコ中に1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(4.0 mmol)、Cu(OAc)2(2.5×10− 5 mmol )、アセトアルデヒド(4.0 mmol)、アセトニトリル(3mL)、ジクロロメタン(2mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で36時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール収率12%(対アセトアルデヒド1当量)、α−テトラロン収率 67%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は 72000 であった。
【0035】
[実施例10]アダマンタンの酸化
25mL のナスフラスコ中にアダマンタン (4.0 mmol)、Cu(OAc)2(1.0×10−2mmol )、アセトアルデヒド(4.0 mmol)、アセトニトリル(2mL)、ジクロロメタン(8mL)を加えた後、1気圧の酸素を供給する為の酸素風船を取り付け、25℃で48時間撹拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析すると、1−アダマンタノール収率16%(対アセトアルデヒド1当量)、2−アダマンタノール収率2%(対アセトアルデヒド1当量)、2−アダマンタノン収率1%(対アセトアルデヒド2当量)、触媒のターンオーバー数は73であった。
【0036】
【発明の効果】
本発明のアルカン、置換アルカン、シクロアルカン、置換シクロアルカン及び縮合環化合物の酸化方法では、触媒として銅塩を用い、更に反応系内に含窒素化合物を共存させ酸素酸化することによりアルコール類およびケトン類を高い効率、高いターンオーバー数で製造することができる。即ち本発明は、銅塩を触媒とし、アルデヒドを用いる炭化水素の酸素酸化によりアルコールおよびケトンを製造する反応に、少なくとも1種類の含窒素化合物を共存させることを組み合わせることを特徴とする銅系触媒による炭化水素の酸素酸化法である。本発明により、アルデヒド当たりの生成物の収率および触媒のターンオーバー数を増加させ、アルカン、アルキルベンゼン等の炭化水素の酸化を効率よく行うことができることから本発明の有用性は高い。
Claims (4)
- 一般式C n H 2n+2 (n=1〜30)で表されるアルカン、一般式C n H 2n+1 R(n=1〜30、Rはエステル基又は芳香族基を示す)で表される置換アルカン、一般式C n H 2n (n=5〜30)で表されるシクロアルカン、一般式C n H 2n-1 R(n=5〜30、Rはエステル基又は芳香族基を示す)で表される置換シクロアルカン、及び芳香環とシクロアルカン環がそれぞれオルト位で縮合している縮合環化合物からなる群から選択される化合物を酸素酸化する方法において、
ニトリル類、芳香族アミン類及び第3級アミン類からなる群から選択される含窒素化合物、アルデヒド類、並びに銅系触媒の存在下で反応させることを特徴とする前記化合物の酸化方法。 - 銅系触媒が銅無機塩または銅配位性化合物である請求項1に記載の酸化方法。
- アルデヒド類が脂肪族あるいは芳香族アルデヒド類である請求項1又は2に記載の酸化方法。
- 前記化合物を酸素酸化することによってアルコールおよびケトンを生成する請求項1乃至3のいずれかに記載の酸化方法。
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