JP3818829B2 - 酸化触媒およびそれを用いた酸化方法 - Google Patents

酸化触媒およびそれを用いた酸化方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シクロアルカンからアルコール類、カルボニル化合物、有機酸などを製造する上で有用な酸化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化反応は、有機化学工業における最も基本的な反応の一つであるため、種々の酸化法が開発されている。好ましい酸化方法は、資源及び環境上の観点から、分子状酸素又は空気を酸化剤として直接利用する触媒的な酸化法である。しかし、触媒的な酸化法では、酸素を活性化するために高温や高圧を必要としたり、穏和な条件で反応させるためにはアルデヒトなどの還元剤の共存下で反応させる必要がある。そして、触媒的酸化方法でも転化率及び選択率が未だ小さいため、酸化反応を利用して、アルコール類、カルボニル化合物や有機酸を効率よく製造することが困難である。
【0003】
例えば、ナイロン66の原料であるアジピン酸は、シクロヘキサノール単独又はシクロヘキサノールとシクロヘキサンとの混合物(KAオイル)を硝酸で酸化する方法により製造されている。そして、前記KAオイルは、(1)シクロヘキサンに酸化剤としての分子状酸素を触媒的に直接接触させる酸化方法、(2)フェノールの触媒的水素添加方法、(3)ルテニウム触媒を用いてベンゼンをシクロヘキセンに部分水素添加し、さらに加水分解する方法などにより製造されている。前記の触媒的酸化方法(1)においては、コバルト触媒やホウ酸触媒などが有効な触媒系として開発されている。しかし、この触媒的酸化方法では、選択率が低く、低分子量の副生成物を中心として多数の化合物が副生する。そのため、例えば、反応転化率を5〜10%程度に制御することにより、90%以上の高い選択率を維持している。
【0004】
他の酸化方法(2)及び(3)、特にベンゼンからKAオイルを生成する方法(3)では、前記触媒的酸化方法(1)に比べて、アジピン酸の製造プロセスの律速段階となるKAオイルの生産効率を高めることができる。しかし、製造工程数などとの関係から、アジピン酸の製造コストを低減することはできない。
【0005】
さらに、前記方法では、いずれも硝酸酸化により生成するNOおよびNOを処理するために、高価な排ガス処理施設が必要となる。これらの点から、ブタジエンの酸化的カルボニル化方法やCO挿入法などによりアジピン酸の製造方法が検討されているものの、未だ技術的に工業化には至っていない。
【0006】
酸化方法として、ニトロキシド、特に有機溶媒に可溶で安定なフェノキシニトロキシド類を用いる方法も知られている。ニトロキシドによる酸化反応は、穏和な条件下で基質の汎用性も広いが、特に一級水酸基の酸化を選択的に行う点で特徴的である。一方、ニトロキシド類を用いる酸化反応の機構に関し、ニトロキシド(ニトロソ化合物)からニトロソニウム中間体(ニトロシル)を経由するラジカル反応機構が提示されている。また、ニトロソロニウム中間体を発生させる方法として、(1)電解によりラジカルを発生させる方法、(2)ラジカル発生剤を添加する方法、(3)ハロゲンを吹き込む方法、(4)等量の塩化銅−酸素系を用いる方法などが提案されている。しかし、電解法(1)は製造スケールの点で難点があり、ラジカル発生剤を用いる方法(2)は、触媒系のリサイクルの点で難点がある。また、ハロゲンを導入する方法(3)では発生するハロゲン化水素を処理する必要があるとともに装置が腐食するなどの問題が生じる。また、塩化銅−酸素系を用いる方法(4)は、多量の塩化銅を必要とし、経済的に不利であるとともに塩化銅を再度酸化するために酸素の供給が不可欠となる。
【0007】
一方、ニトロキシドについても検討され、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−オキソピペリジウムクロリド、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのピペリジン骨格を有するニトロキシド化合物が高い触媒活性を有することが報告されている[有機合成化学協会誌、51巻、10号(1993)]。
【0008】
そこで、ピペリジン骨格を有するニトロキシド化合物からなる触媒に対して、塩素や塩化銅に代わる共酸化剤が検討され、例えば、TEMPO−m−クロロ過安息香酸[J. Org. Chem., 40,1998 (1975) ]、NaOCl[J. Org. Chem., 52, 2559 (1987)]、NaBrO[J. Org. Chem., 55, 426 (1990) ]、テトラアンモニウムブロミド[Bull. Chem. Soc. Jpn., 64, 796 (1991) ]などが提案されている。これらの触媒系は比較的良好な結果を示し、有効な酸化手段である。しかし、共酸化剤の再生や反応条件の管理などの点で種々の制約を受ける。そのため、汎用的かつ簡易な方法で高い転化率および選択率で効率よく酸化することが困難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、温和な条件下、特別な還元剤などを存在させることなく、分子状酸素により基質としてのシクロアルカンを効率よく酸化できる酸化方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、分子状酸素により、高い反応転化率および選択率で目的酸化化合物を生成できる酸化方法を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、温和な条件下、排ガス処理を特に必要とせず、アルコール類、カルボニル化合物、アルデヒド化合物および有機カルボン酸を高い転化率及び選択率で製造できる酸化方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、KAオイルおよびアジピン酸を、温和な条件で、分子状酸素により高い転化率および選択率で有効に製造できる酸化方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、N−ヒドロキシフタルイミド化合物を触媒として用いると、特別な還元剤を加えることなく、常圧の酸素雰囲気下、アルコール類や炭化水素などの被酸化性基質を高い転化率および選択率で効率よく酸化できることを見いだし、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明では、特定の酸化触媒と共酸化剤との存在下、基質としてのシクロアルカンを分子状酸素により酸化する。この酸化方法において、前記酸化触媒の使用量は、基質1モルに対して0.001〜1モルであり、酸化触媒と共酸化剤との割合は、イミド化合物/共酸化剤=95/5〜5/95(モル比)である。本発明は、反応に不活性な有機溶媒中、又は基質を反応溶媒として利用し、前記イミド化合物と共酸化剤としてのコバルト化合物との存在下、前記基質を分子状酸素により酸化する酸化方法も含む。前記酸化触媒は、分子状酸素により基質を酸化するための触媒であって、飽和又は不飽和脂肪族ジカルボン酸無水物、飽和又は不飽和非芳香族性環状多価カルボン酸無水物、橋かけ環式多価カルボン酸無水物、及び芳香族多価カルボン酸無水物から選択された少なくとも一種の酸無水物に対応し、かつ下記式
【0015】
【化3】
Figure 0003818829
【0016】
(式中、Xは酸素原子又はヒドロキシル基を示す)
で表されるイミド単位を1〜3個有するイミド化合物で構成されている。
前記イミド化合物は、下記式(1a)、(1b)、(1c−1)、(1c−2)、(1d)、(1e)、(1f)、(1g)、(1h)又は(1i)
【0017】
【化4】
Figure 0003818829
【0018】
(式中、R 、R 、R 及びR は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R 及びR は互いに結合して置換基を有してもよい芳香族性又は非芳香族性の5〜12員環を形成してもよく、R 及びR は互いに結合して置換基を有してもよい芳香族性又は非芳香族性の5〜12員環を形成し てもよい。R 〜R は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を示す。Xは前記に同じ)
で表されるイミド化合物から選択された少なくとも一種であってもよい。なお、N−ヒドロキシフタルイミドは電解酸化におけるメディエータとして利用されているが、分子状酸素による基質の酸化において、高い活性を示すことは知られていない。
【0019】
酸化触媒は、前記イミド化合物と共酸化剤とで構成してもよい。共酸化剤は、遷移金属化合物(例えば、酸化物、有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物、錯体、およびヘテロポリ酸又はその塩など)やホウ素化合物などで構成できる。本発明では共酸化剤としてコバルト化合物を用いる。コバルト化合物としては、酸化物、有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物、錯体、およびヘテロポリ酸又はその塩などが例示できる。
【0020】
本発明の方法では、前記酸化触媒の存在下、基質と分子状酸素とを接触させることにより酸化する。基質には、シクロアルカンの他、種々の化合物、例えば、炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類または複素環化合物などが含まれる。
【0021】
本発明の酸化方法は、例えば、温度0〜300℃、常圧または加圧下で行なうことができ、温和な条件であっても反応が円滑に進行する。そのため、シクロアルカンを分子状酸素により酸化すると、シクロアルカノン、シクロアルカノール又はジカルボン酸を生成させることができる。また、例えば、基質としてシクロヘキサンを用いると、温和な条件下であっても、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール又はアジピン酸を高い転化率および選択率で生成させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明では、一般式(1)
【0023】
【化5】
Figure 0003818829
【0024】
(式中、R 及びR は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R 及びR は互いに結合して二重結合、または芳香族性又は非芳香族性の環を形成してもよい。Xは酸素原子又はヒドロキシル基を示し、nは1〜3の整数を示す)
で表されるイミド化合物と共酸化剤としてのコバルト化合物との存在下、基質としてのシクロアルカンを分子状酸素により酸化する。
【0025】
前記一般式(1)で表される化合物において、置換基R及びRのうちハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素が含まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル基などの炭素数1〜10程度の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含まれる。好ましいアルキル基としては、例えば、炭素数1〜6程度、特に炭素数1〜4程度の低級アルキル基が挙げられる。
【0026】
アリール基には、フェニル基、ナフチル基などが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などが含まれる。アルコキシ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜10程度、好ましくは炭素数1〜6程度、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基が含まれる。
【0027】
アルコキシカルボニル基には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル基などのアルコキシ部分の炭素数が1〜10程度のアルコキシカルボニル基が含まれる。好ましいアルコキシカルボニル基にはアルコキシ部分の炭素数が1〜6程度、特に1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基が含まれる。
【0028】
アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6程度のアシル基が例示できる。
【0029】
前記置換基R及びRは、同一又は異なっていてもよい。また、前記一般式(1)において、RおよびRは互いに結合して、二重結合、または芳香族性又は非芳香族性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又は非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度であり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化水素環である場合が多い。このような環には、例えば、非芳香族性脂環族環(シクロヘキサン環などの置換基を有していてもよいシクロアルカン環、シクロヘキセン環などの置換基を有していてもよいシクロアルケン環など)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネン環などの置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素環など)、ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有していてもよい芳香族環が含まれる。前記環は、芳香族環で構成される場合が多い。
【0030】
好ましいイミド化合物には、下記式で表される化合物が含まれる。
【0031】
【化6】
Figure 0003818829
【0032】
(式中、 、R 、R 及びR は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R 及びR は互いに結合して置換 基を有してもよい芳香族性又は非芳香族性の5〜12員環を形成してもよく、R 及びR は互いに結合して置換基を有してもよい芳香族性又は非芳香族性の5〜12員環を形成してもよい。R〜Rは、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を示す。Xは前記に同じ)
【0033】
置換基R〜Rにおいて、アルキル基には、前記例示のアルキル基と同様のアルキル基、特に炭素数1〜6程度のアルキル基が含まれ、アルコキシ基には、前記と同様のアルコキシ基、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基、アルコキシカルボニル基には、前記と同様のアルコキシカルボニル基、特にアルコキシ部分の炭素数が1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基が含まれる。また、アシル基としては、前記と同様のアシル基、特に炭素数1〜6程度のアシル基が例示され、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子が例示できる。置換基R〜Rは、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級アルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子である場合が多い。
【0034】
前記一般式(1)において、Xは酸素原子又はヒドロキシル基を示し、nは、通常、1〜3程度、好ましくは1又は2である。一般式(1)で表される化合物は酸化反応において一種又は二種以上使用できる。
【0035】
前記一般式(1)で表されるイミド化合物に対応する酸無水物には、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸などの飽和又は不飽和脂肪族ジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物)、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸 1,2−無水物などの飽和又は不飽和非芳香族性環状多価カルボン酸無水物(脂環族多価カルボン酸無水物)、無水ヘット酸、無水ハイミック酸などの橋かけ環式多価カルボン酸無水物(脂環族多価カルボン酸無水物)、無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ニトロフタル酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、無水メリト酸、1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族多価カルボン酸無水物が含まれる。
【0036】
好ましいイミド化合物としては、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタルイミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタルイミド、N−ヒドロキシテトラクロロフタルイミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシナフタレンテトラカルボン酸イミドなどが挙げられる。特に好ましい化合物は、脂環族多価カルボン酸無水物、なかでも芳香族多価カルボン酸無水物から誘導されるN−ヒドロキシイミド化合物、例えば、N−ヒドロキシフタルイミドなどが含まれる。
【0037】
前記イミド化合物は、慣用のイミド化反応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンNHOHとを反応させて酸無水物基を開環した後、閉環してイミド化することにより調製できる。
【0038】
このようなイミド化合物を用いると、塩化銅などの共酸化剤を併用しなくても、酸化活性を高めることができ、穏和な条件であっても、酸化反応を触媒的に促進できる。そのため、基質を効率よく高い選択率で酸化でき、アルコール類、ケトン類、アルデヒド類や有機カルボン酸類を生成させることができる。さらに、前記一般式(1)で表されるイミド化合物と共酸化剤との共存下で基質を酸化すると、転化率及び/又は選択率をさらに向上できる。
【0039】
助触媒としての共酸化剤には、金属化合物、例えば、遷移金属化合物や、ホウ素化合物などのように周期表13族元素(ホウ素B、アルミニウムAlなど)を含む化合物が含まれる。共酸化剤は、一種で又は二種以上組合わせて使用できる。
【0040】
前記遷移金属の元素としては、例えば、周期表3族元素(例えば、スカンジウムSc、イットリウムYの外、ランタンLa、セリウムCe、サマリウムSmなどのランタノイド元素、アクチノイドAcなどのアクチノイド元素)、周期表4族元素(チタンTi、ジルコニウムZr、ハフニウムHfなど)、5族元素(バナジウムV、ニオブNb、タンタルTaなど)、6族元素(クロムCr、モリブデンMo、タングステンWなど)、7族元素(マンガンMnなど)、8族元素(鉄Fe、ルテニウムRu、オスミウムOsなど)、9族元素(コバルトCo、ロジウムRh、イリジウムIrなど)、10族元素(ニッケルNi、パラジウムPd、白金Ptなど)、11族元素(銅Cu、銀Ag、金Auなど)などが挙げられる。
【0041】
好ましい共酸化剤を構成する元素には、遷移金属の元素(例えば、ランタノイド元素、アクチノイド元素などの周期表3族元素、V、Nbなどの5族元素、Cr、Mo、Wなどの6族元素、Mnなどの7族元素、Fe、Ruなどの8族元素、Co、Rhなどの9族元素、Niなどの10族元素、Cuなどの11族元素)、Bなどの13族元素が含まれる。特に、前記一般式(1)で表されるイミノ化合物と組合せたとき、Ceなどのランタノイド元素、Vなどの5族元素、Mo、Wなどの6族元素、Fe、Ruなどの8族元素、Co、Rhなどの9族元素、Niなどの10族元素、Cuなどの11族元素を含む化合物は、高い酸化活性を示す。
【0042】
共酸化剤(助触媒)は、前記元素を含み、かつ酸化能を有する限り特に制限されず、水酸化物などであってもよいが、通常、前記元素を含む金属酸化物、有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物、前記金属元素を含む配位化合物(錯体)やヘテロポリ酸又はその塩などである場合が多い。また、ホウ素化合物としては、例えば、水素化ホウ素(例えば、ボラン、ジボラン、テトラボラン、ペンタボラン、デカボランなど)、ホウ酸(オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸など)、ホウ酸塩(例えば、ホウ酸ニッケル、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸マンガンなど)、Bなどのホウ素酸化物、ボラザン、ボラゼン、ボラジン、ホウ素アミド、ホウ素イミドなどの窒素化合物、BF、BCl、テトラフルオロホウ酸塩などのハロゲン化物、ホウ酸エステル(例えば、ホウ酸メチル、ホウ酸フェニルなど)などが挙げられる。好ましいホウ素化合物には、水素化ホウ素、オルトホウ酸などのホウ酸又はその塩など、特にホウ酸が含まれる。これらの共酸化剤は一種又は二種以上使用できる。
【0043】
金属酸化物には、例えば、Sm、TiO、CrO、Cr、MnO、MnO、FeO、Fe、RuO、RuO、CoO、CoO、Co、RhO、Rh、Cuなどが含まれる。有機酸塩としては、例えば、酢酸コバルト、プロピオン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルトや対応するCe塩、Cr塩、Mn塩,Fe塩、Ni塩、Pd塩、Cu塩などが例示され、無機酸塩としては、例えば、硝酸コバルト、硝酸ニッケル、硝酸銅などの硝酸塩やこれらに対応する硫酸塩又はリン酸塩などが挙げられる。また、ハロゲン化物としては、例えば、SmCl、FeCl、FeCl、RuCl、CoCl、RhCl、RhCl、NiCl、PdCl、PtCl、CuCl、CuClなどの塩化物やこれらに対応する臭化物などが例示できる。
【0044】
錯体を形成する配位子としては、OH(ヒドロキソ)、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基などのアルコキシ基、アセチル、プロピオニルなどのアシル基、メトキシカルボニル(アセタト)、エトキシカルボニルなどのアルコキシカルボニル基、アセチルアセトナト、シクロペンタジエニル基、塩素、臭素などハロゲン原子、CO、CN、酸素原子、HO(アコ)、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィンなどのトリアリールホスフィン)などのリン化合物、NH(アンミン)、NO、NO(ニトロ)、NO(ニトラト)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェナントロリンなどの窒素含有化合物などが挙げられる。錯体又は錯塩において、同種又は異種の配位子は一種又は二種以上配位していてもよい。
【0045】
好ましい錯体には、遷移金属元素(例えば、Ceなどのランタノイド元素やアクチノイド元素が属する周期表3族元素、Fe、Ruなどの周期表8族元素、Co、Rhなどの周期表9族元素、Ni、Pd、Ptなどの周期表10族元素、Cuなどの周期表11族元素など)を含む錯体が含まれる。また、配位子は、例えば、OH、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アセチルアセトナト、ハロゲン原子、CO、CN、HO(アコ)、トリフェニルホスフィンなどのリン化合物や、NH、NO、NOを含めて窒素含有化合物である場合が多い。前記遷移金属元素と配位子は適当に組合せて錯体を構成することができ、例えば、セリウムアセチルアセトナト、コバルトアセチルアセトナト、ルテニウムアセチルアセトナト、銅アセチルアセトナトなどであってもよい。
【0046】
ヘテロポリ酸を形成するポリ酸は、例えば、周期表5族又は6族元素、例えば、V(バナジン酸),Mo(モリブデン酸)およびW(タングステン酸)の少なくとも一種である場合が多く、中心原子は特に制限されず、例えば、Cu、Be、B、Al、Si、Ge、Sn、Ti、Th、N、P、As、Sb、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、S、Se、Te、Mn、I、Fe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Pt、Cuなどであってもよい。ヘテロポリ酸の具体例としては、例えば、コバルトモリブデン酸塩、コバルトタングステン酸塩、モリブデンタングステン酸塩、バナジウムモリブデン酸塩、バナドモリブドリン酸塩などが挙げられる。
【0047】
共酸化剤としては、V、MoおよびWの少なくとも一種の元素を含むヘテロポリ酸塩(例えば、バナジウム−モリブデン系のヘテロポリ酸又はその塩など)、遷移金属化合物(例えば、ランタノイド元素、Ru、CoおよびCuの少なくとも一種の元素を含む遷移金属化合物)を用いる場合が多い。
【0048】
なお、酸化触媒においてヘテロポリ酸は水素引抜き反応に関与すると予測され、コバルト化合物やホウ素化合物などは過酸化物分解に関与すると予測される。
【0049】
一般式(1)で表されるイミド化合物、又はこのイミド化合物および前記共酸化剤で構成される触媒系は、均一系であってもよく、不均一系であってもよい。また、触媒系は、担体に触媒成分が担持された固体触媒であってもよい。担体としては、活性炭、ゼオライト、シリカ、シリカ−アルミナ、ベントナイトなどの多孔質担体を用いる場合が多い。固体触媒における触媒成分の担持量は、担体100重量部に対して、一般式(1)で表されるイミド化合物0.1〜50重量部好ましくは0.5〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部程度である。また、共酸化剤の担持量は、担体100重量部に対して、0.1〜30重量部好ましくは0.5〜25重量部、さらに好ましくは1〜20重量部程度である。
【0050】
前記一般式(1)で表されるイミド化合物の使用量は、広い範囲で選択でき、例えば、被酸化性基質1モルに対して0.001モル(0.1モル%)〜1モル(100モル%)、好ましくは0.01モル(1モル%)〜0.5モル(50モル%)、さらに好ましくは0.05モル(1モル%)〜0.30モル(30モル%)程度であり、0.05モル(5モル%)〜0.25モル(25モル%)程度である場合が多い。
【0051】
また、助触媒(共酸化剤)の使用量も、反応性および選択率を低下させない範囲で適当に選択でき、例えば、被酸化性基質1モルに対して0.001モル(0.1モル%)〜0.7モル(70モル%)、好ましくは0.005〜0.5モル、さらに好ましくは0.01〜0.3モル程度であり、0.005〜0.1モル程度である場合が多い。
【0052】
なお、一般式(1)で表されるイミド化合物に対する共酸化剤の割合は、反応速度、選択率を損わない範囲で選択でき、例えば、イミド化合物/共酸化剤=95/5〜5/95(モル比)、好ましくは90/10〜20/80(モル比)、さらに好ましくは85/15〜50/50(モル比)程度である。
【0053】
ヘテロポリ酸又はその塩を共酸化剤として使用する場合、基質100重量部に対して0.1〜25重量部、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部程度である。
【0054】
このような酸化触媒を利用すると、従来酸化することが非常に困難であった炭化水素であっても、高い効率で酸化できる。例えば、従来、シクロヘキサンなどの炭化水素の酸化反応での転化率が10%以上であれば、相当優れた酸化方法であるとされており、ジフェニルメタンなどの特異的な基質においてのみ、良好な結果が得られている。一方、本発明によれば、触媒量の前記化合物を酸素雰囲気下で基質である飽和炭化水素(例えば、シクロヘキサン)と撹拌するだけで、対応するカルボニル化合物やアルコール類などの酸化化合物を約20〜60%またはそれ以上という高い収率で得ることができる。そのため、本発明の方法は、基質にヒドロキシル基、カルボニル基、ホルミル基、カルボキシル基を導入する上で有用である。
【0055】
本発明の酸化方法では、前記触媒の存在下、分子状酸素と基質とを接触させて酸化する。前記基質としては、種々の化合物、例えば、炭化水素、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、複素環化合物に加えて、エタンチオール、フェニルメタンチオールなどのチオール類;ジエチルスルフィド、メチルプロピルスルフィド、ジフェニルスルフィドなどのスルフィド類;ホルムアミド、アセトアミドなどのアミド類などが挙げられる。
【0056】
好ましい基質には、飽和又は不飽和炭化水素、アルコール類、アルデヒド類、アミン類、複素環化合物などが含まれる。炭化水素の酸化により対応するヒドロキシ化合物、アルデヒド化合物、ケトン化合物や有機酸が生成する。また、アルコール類の酸化により、対応するアルデヒド(ホルミル)化合物、ケトン化合物や有機酸が生成し、アルデヒド化合物の酸化により対応する有機酸が形成する。さらに、ケトン類は酸化により解裂して、対応するアルデヒド(ホルミル)化合物、有機酸を生成する。
【0057】
炭化水素類には、分子状酸素により酸化可能な飽和又は不飽和炭化水素、例えば、直鎖及び分枝状の脂肪族炭化水素(例えば、高級炭化水素、好ましくは、イソブタンなどの分岐鎖状飽和炭化水素、2−ブテン、イソブテン、ブタジエン、イソプレンなどの分枝状不飽和炭化水素など)、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、クロロシクロヘキサン、メトキシシクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、シクロオクタジエン、橋かけ環式炭化水素(例えば、ジシクロペンタジエン、アダマンタン、リモネン、テルピネン、α−ピネンなどのテルペン類などを含む)などの脂環族炭化水素;アセナフテン、インデン、フルオレン、テトラリン、完全又は部分水素添加縮合多環式炭化水素などの縮合環式炭化水素;ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジベンジル、スチルベンなどの芳香族炭化水素などが含まれる。
【0058】
好ましい炭化水素には、(1)不飽和結合に隣接する部位に炭素−水素結合を有する化合物(例えば、アリル位又はベンジル位に炭素−水素結合を有する化合物)、(2)非芳香族性環状炭化水素(例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどのシクロアルカン、シクロヘキセンなどのシクロアルケン)、(3)非芳香族性環(例えば、シクロアルカン環や複素環)を含む縮合環式化合物、(4)3級炭素(メチン炭素)を含む橋かけ環式炭化水素などが含まれる。
【0059】
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、ネオペンタノール、1−ヘキサノール、1−オクタノール、1−デカノール、高級アルコール(例えは、1−ドデカノール、ミリスチルアルコール、1−ヘキサデカノールなど)などの飽和脂肪族一価アルコール、アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパルギルアルコール、ゲラニオール、シトロネロールなどの不飽和脂肪族一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ピナコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコール;シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、メチルヘキサノール、シクロヘキセン−1−オール、4−ヒドロキシ−1−シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、ボルネオール、メントールなどの脂環族一価アルコール;1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環族多価アルコール;ベンジルアルコール、サリチルアルコール、ベンズヒドロール、フェネチルアルコールなどの芳香族アルコールなどが挙げられる。
【0060】
これらのアルコール類のうち一級又は二級アルコールが好ましく、脂肪族アルコール、脂環族アルコールおよび芳香族アルコールのいずれであってもよい。なお、本発明の酸化方法は、一級アルコール類に対して優先的に酸化反応が進行する点で特徴的である。
【0061】
好ましいアルコール類には、(1)不飽和結合に隣接する部位にヒドロキシメチル基を有する化合物(例えば、アリルアルコール、ベンジルアルコール、ベンズヒドロールなどの不飽和アルコールや芳香族アルコール)、(2)脂環族アルコール(例えば、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノールなどのシクロアルカノール)、(3)3級炭素(メチン炭素)を有する脂環族アルコール(例えば、ボルネオールなど)などが含まれる。
【0062】
アルデヒド類としては、例えば、飽和脂肪族アルデヒド[例えば、ホルムアルテヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ヘキサナール、高位アルデヒド(オクタアルデヒド、ノナアルデヒドなど)]、不飽和脂肪族アルデヒド(例えば、アクロレインなど)、グリオキザール、メチルグリオキザール、脂肪族ポリアルデヒド(例えば、マロンアルデヒド、スクシンアルデド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒド、ピメリンアルデヒド、スベリンアルデヒド、セバシンアルデヒドなど)、アミノアセトアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド;ベンズアルデヒド、オキシベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、アミノベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、サリチルアルデヒド、アニスアルデヒド、1−ナフチルアセトアルデヒド、バニリン(バニルアルデヒド)、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド;ホルミルシクロヘキサン、シトロネラール、シトラールなどの脂環族アルデヒド;ニコチンアルデヒド、フルフラールなどの複素環アルデヒドなどが挙げられる。
【0063】
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、ピナコロンなどの脂肪族ケトン;シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロオクタノン、2−メチルシクロヘキサノン、2−エチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、4−クロロシクロヘキサノン、4−メトキシシクロヘキサノン、メントン、カンファーなどの脂環族ケトン(環状ケトン);アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、デオキシベンゾイン、1−ナフタレノンなどの芳香族ケトン;インデン−1−オン、1,2,3−インダントリオン、フルオレン−9−オン、4−ピラノンなどの複素環ケトンが挙げられる。
【0064】
アミン類としては、第1級または第2級アミン、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、ヒドロキシルアミン、エタノールアミンなどの脂肪族アミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミンなどの脂環族アミン、ベンジルアミン、トルイジンなどの芳香族アミンなどが例示される。アミン類は、酸化により対応するシッフ塩基、オキシムなどに酸化される。
【0065】
複素環化合物としては、非芳香族性複素環化合物または非芳香族性複素環を含む縮合環式炭化水素、例えば、ピラン、ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、イソインドリン、クロメン、キサンテン、クロマン、イソクロマンなどが例示される。
【0066】
基質の酸化に利用される分子状酸素は、特に制限されず、純粋な酸素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスで希釈した酸素を使用してもよい。操作性及び安全性のみならず経済性などの点から、空気を使用するのが好ましい。
【0067】
分子状酸素の使用量は、基質および目的化合物の種類に応じて選択でき、通常、基質化合物1モルに対して、0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは2〜50モル程度である。基質に対して過剰モルの分子状酸素を使用する場合が多い。
【0068】
本発明の酸化方法は、通常、反応に不活性な有機溶媒中で行なわれる。有機溶媒としては、例えば、酢酸、プロピオン酸などの有機酸、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、t−ブタノール、t−アミルアルコールなどのアルコール類、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロエタンなどのニトロ化合物、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、これらの混合溶媒など挙げられる。なお、過剰量の基質を用いることにより、基質を反応溶媒として利用してもよい。溶媒としては、ベンゾニトリルなどのニトリル類を用いる場合が多い。
【0069】
本発明の方法は、比較的温和な条件であっても円滑に酸化反応が円滑に進行するという特色がある。反応温度は、基質の種類などに応じて適当に選択でき、例えば、0〜300℃、好ましくは30〜250℃、さらに好ましくは50〜200℃程度であり、通常、70〜150℃程度で反応する場合が多い。また、反応は、常圧または加圧下で行なうことができ、加圧下で反応させる場合には、通常、1〜100atm(例えば、1.5〜80atm)、好ましくは2〜70atm、さらに好ましくは5〜50atm程度である場合が多い。反応時間は、反応温度及び圧力に応じて、例えば、30分〜48時間、好ましくは1〜36時間、さらに好ましくは2〜24時間程度の範囲から適当に選択できる。
【0070】
なお、反応温度及び/又は反応圧力が高い場合には、酸化反応速度を増加させることができるが、カルボン酸類や過酸化物類が副生する場合がある。
【0071】
本発明の方法は、前記のように種々の化合物を、温和な条件下、高い転換率および選択率で酸化し、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、有機酸類を得る上で有用である。特に、基質として置換基を有していてもよいシクロアルカンを用いると、温和な条件下、副反応を抑制しつつ、高い収率で、対応する置換基を有していてもよいシクロアルカノール、シクロアルカノンおよびジカルボン酸を得ることができる。そのため、基質としてシクロヘキサンを用いると、シクロヘキサノール、シクロヘキサノンおよびアジピン酸が生成する。また、シクロヘキサノールおよびシクロヘキサノン(KAオイル)は酸化により最終的にアジピン酸に転換できる。従って、本発明の酸化方法は、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、有機酸の製造方法としてのみならず、シクロヘキサン、シクロヘキサノールおよびシクロヘキサノンの少なくとも1つの成分と分子状酸素とを接触させることにより、ナイロン66などの原料となるアジピン酸を製造する上で極めて有用である。
【0072】
反応は、分子状酸素の存在下又は分子状酸素の流通下、回分式、半回分式、連続式などの慣用の方法により行なうことができる。反応終了後、反応生成物は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組合せた分離手段により、容易に分離精製できる。
【0073】
【発明の効果】
本発明の酸化触媒および酸化方法では、酸化触媒が前記一般式(1)で表されるイミド化合物と共酸化剤とで構成されているため、温和な条件下、特別な還元剤などを存在させることなく、分子状酸素により基質としてのシクロアルカンを効率よく酸化できる。また、分子状酸素により、高い反応転化率および選択率で目的とする酸化化合物を生成できる。さらに、分子状酸素として空気も利用できる。そのため、温和な条件下、排ガス処理を特に必要とせず、アルコール類、カルボニル化合物、アルデヒド化合物および有機カルボン酸を高い転化率及び選択率で簡単な操作で製造でき、経済性及び安全性の点でも有利である。
【0074】
さらに、本発明の方法では、前記酸化触媒を用いるため、温和な条件で、分子状酸素を用いて、シクロヘキサンからKAオイルおよびアジピン酸を高い転化率および選択率で有効に製造できる。
【0075】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0076】
参考例1
ベンズヒドロール184重量部(1モル)、N−ヒドロキシフタルイミド16重量部(0.1モル)およびベンゾニトリル1000重量部の混合溶液を酸素雰囲気下、100℃で5時間撹拌した。反応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分析により調べたところ、ベンゾフェノン140重量部(収率76%)が生成していた。
【0077】
参考例2
ベンズヒドロール184重量部(1モル)、N−ヒドロキシフタルイミド16重量部(0.1モル)、バナドモリブドリン酸塩(NPVMo)7重量部およびベンゾニトリル1000重量部の混合溶液を酸素雰囲気下、100℃で5時間攪拌した。反応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分析により調べたところ、ベンゾフェノン180重量部(収率99%)が生成していた。
【0078】
参考例3
ベンズヒドロール184重量部(1モル)、N−ヒドロキシフタルイミド16重量部(0.1モル)、バナドモリブドリン酸塩(NPVMo)2.8重量部およびt−アミルアルコール1000重量部の混合溶液を酸素雰囲気下、100℃で5時間攪拌した。反応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分析により調べたところ、ベンゾフェノン44重量部(収率24%)が生成していた。
【0079】
参考例4
ベンズヒドロール184重量部(1モル)、N−ヒドロキシマレイミド11.3重量部(0.1モル)およびベンゾニトリル1000重量部の混合溶液を酸素雰囲気下、100℃で5時間攪拌した。反応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分析により調べたところ、ベンゾフェノン36重量部(収率20%)が生成していた。
【0080】
参考例5
ベンジルアルコール108重量部(1モル)、N−ヒドロキシフタルイミド16重量部(0.1モル)およびベンゾニトリル1000重量部の混合溶液を酸素雰囲気下、100℃で10時間撹拌した。反応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分析により調べたところ、ベンズアルデヒド66重量部(収率62%)および安息香酸29重量部(収率23%)が生成していた。
【0081】
参考例6
ベンジルアルコール108重量部(1モル)、N−ヒドロキシフタルイミド16重量部(0.1モル)、バナドモリブドリン酸塩(NPVMo)2.8重量部およびベンゾニトリル1000重量部の混合溶液を酸素雰囲気下、100℃で10時間攪拌した。反応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分析により調べたところ、ベンズアルデヒド46重量部(収率43%)と安息香酸64重量部(収率52%)が生成していた。
【0082】
参考例7
ジフェニルメタン168重量部(1モル)、N−ヒドロキシフタルイミド16重量部(0.1モル)およびベンゾニトリル1000重量部の混合溶液を酸素雰囲気下、100℃で20時間攪拌した。反応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分析により調べたところ、ベンゾフェノン146重量部(収率80%)が生成していた。
【0083】
参考例8
フルオレン166重量部(1モル)、N−ヒドロキシフタルイミド16重量部(0.1モル)およびベンゾニトリル1000重量部の混合溶液を酸素雰囲気下、100℃で10時間撹拌した。反応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分析により調べたところ、フルオレノン144重量部(収率80%)が生成していた。
【0084】
参考例9
テトラリン132重量部(1モル)、N−ヒドロキシフタルイミド16重量部(0.1モル)、コバルトアセチルアセトナート6.4重量部(0.025モル)およびベンゾニトリル1000重量部の混合溶液を酸素雰囲気下、100℃で10時間攪拌した。反応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分析により調べたところ、α−テトラロン117重量部(収率80%)が生成していた。
【0085】
参考例10
コバルトアセチルアセトナートを用いることなく、反応時間を5時間とする以外、参考例9と同様にして反応させたところ、ベンジル位の炭素−水素結合が選択的に酸化され、1−ヒドロキシテトラリン(収率13%)およびα−テトラロン(収率37%)が生成した。
【0086】
参考例11
テトラリン132重量部(1モル)に代えて、イソクロマン1モルを用いる以外、参考例9と同様にして、コバルトアセチルアセトナートを用いることなく、5時間反応させたところ、ラクトン環を有するイソクロマン−1−オン(収率83%)が生成していた。
【0087】
参考例12
アダマンタン136重量部(1モル)、N−ヒドロキシフタルイミド16重量部(0.1モル)、コバルトアセチルアセトナート6.4重量部(0.025モル)およびベンゾニトリル1000重量部の混合溶液を酸素雰囲気下、100℃で10時間攪拌した。反応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分析により調べたところ、アダマンタノール79重量部(収率52%)が生成していた。
【0088】
参考例13
アダマンタン136重量部(1モル)、N−ヒドロキシフタルイミド16重量部(0.1モル)およびベンゾニトリル1000重量部の混合溶液を酸素雰囲気下、100℃で10時間攪拌した。反応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分析により調べたところ、アダマンタノール36重量部(収率24%)が生成していた。
【0089】
なお、反応時間を5時間とする以外、上記と同様に反応さたところ、収率12%でアダマンタノールが生成した。
【0090】
参考例14
シクロヘキサン84重量部(1モル)、N−ヒドロキシフタルイミド16重量部(0.1モル)およびベンゾニトリル1000重量部の混合溶液を酸素雰囲気下、100℃で10時間攪拌した。反応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分析により調べたところ、シクロヘキサン基準の転化率56%および選択率60%でシクロヘキサノンが得られた。
【0091】
また、シクロヘキサンの転化率56%、KAオイル選択率89%で、シクロヘキサノンが収率36%、シクロヘキサノールが収率4%で得られた。さらに酸化されたアジピン酸も収率10%で得られた。
【0092】
実施例1
シクロヘキサン84重量部(1モル)、N−ヒドロキシフタルイミド16重量部(0.1モル)、コバルトアセチルアセトナート6.4重量部(0.025モル)およびベンゾニトリル1000重量部の混合溶液を酸素雰囲気下、100℃で10時間攪拌した。反応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分析により調べたところ、シクロヘキサンの転化率56%、選択率67%でシクロヘキサノンが得られた。
【0093】
また、シクロヘキサンの転化率76%、KAオイル選択率88%で、シクロヘキサノンが収率28%、シクロヘキサノールが収率2%で得られた。さらに酸化されたアジピン酸も37%の収率で得られた。
【0094】
実施例2
表1に示すように、触媒量および酸素圧を変化させる以外、実施例1と同様にして反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、表1に示す結果を得た。なお、表中、NHPIはN−ヒドロキシフタルイミド、Co(AA)におけるAAはアセチルアセトナートを示す。
【0095】
【表1】
Figure 0003818829
【0096】
実施例3
表2に示すように、溶媒の種類とその量、反応時間を変更する以外、実施例1と同様にして反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、表2に示す結果を得た。
【0097】
【表2】
Figure 0003818829
【0098】
実施例4
表3に示すように、助触媒(共酸化剤)としてのコバルト化合物の種類とその量を変化させる以外、実施例1と同様にして反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、表3に示す結果を得た。なお、表3において、NHPIはN−ヒドロキシフタルイミド、AAはアセチルアセトナートを示す。
【0099】
【表3】
Figure 0003818829
【0100】
参考例15
表4に示すように、助触媒(共酸化剤)の種類を変化させる以外、実施例1と同様にして反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、表4に示す結果を得た。なお、表4において、NHPIはN−ヒドロキシフタルイミド、AAはアセチルアセトナート、OAcはアセチル基を示す。
【0101】
【表4】
Figure 0003818829
【0102】
比較例1
ベンズヒドロール184重量部(1モル)およびベンゾニトリル1000重量部の混合液を、酸素雰囲気下、100℃で5時間攪拌した後、混合液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、目的とする酸化反応生成物は何ら検出できなかった。
【0103】
比較例2
ベンズヒドロール184重量部(1モル)、バナドモリブドリン酸塩2.8重量部およびベンゾニトリル1000重量部の混合液を、酸素雰囲気下、100℃で5時間攪拌した後、混合液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、原料成分の一部損失が認められたものの、目的とする酸化反応生成物は何ら検出されなかった。
【0104】
比較例3
ベンズヒドロール184重量部(1モル)、コバルトアセチルアセトナート6.4重量部(0.025モル)およびベンゾニトリル1000重量部の混合液を、酸素雰囲気下、100℃で5時間攪拌した後、混合液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、原料成分の一部損失が認められたものの、目的とする酸化反応生成物は何ら検出されなかった。

Claims (11)

  1. 飽和又は不飽和脂肪族ジカルボン酸無水物、飽和又は不飽和非芳香族性環状多価カルボン酸無水物、橋かけ環式多価カルボン酸無水物、及び芳香族多価カルボン酸無水物から選択された少なくとも一種の酸無水物に対応し、かつ下記式
    Figure 0003818829
    (式中、Xは酸素原子又はヒドロキシル基を示す)
    で表されるイミド単位を1〜3個有するイミド化合物と共酸化剤としてのコバルト化合物との存在下、基質としてのシクロアルカンを分子状酸素により酸化する方法であって、前記イミド化合物の使用量が、基質1モルに対して0.001〜1モルであり、前記イミド化合物と共酸化剤との割合が、イミド化合物/共酸化剤=95/5〜5/95(モル比)である酸化方法。
  2. 反応に不活性な有機溶媒中、又は基質を反応溶媒として利用し、請求項1記載のイミド化合物と共酸化剤としてのコバルト化合物との存在下、基質としてのシクロアルカンを分子状酸素により酸化する酸化方法。
  3. 反応に不活性な有機溶媒中、又は基質を反応溶媒として利用し、基質を分子状酸素により酸化する請求項1記載の酸化方法。
  4. ミド化合物が、下記式(1a)、(1b)、(1c−1)、(1c−2)、(1d)、(1e)、(1f)、(1g)、(1h)又は(1i)
    Figure 0003818829
    (式中、 、R 、R 及びR は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R 及びR は互いに結合して置換基を有してもよい芳香族性又は非芳香族性の5〜12員環を形成してもよく、R 及びR は互いに結合して置換基を有してもよい芳香族性又は非芳香族性の5〜12員環を形成してもよい。〜Rは、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を示す。Xは前記に同じ)
    で表されるイミド化合物から選択された少なくとも一種である請求項1又は2記載の酸化方法。
  5. ミド化合物が、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタルイミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタルイミド、N−ヒドロキシテトラクロロフタルイミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸イミドおよびN,N′−ジヒドロキシナフタレンテトラカルボン酸イミドからなる群から選択された少なくとも一種の化合物である請求項1又は2記載の酸化方法。
  6. ミド化合物がN−ヒドロキシフタルイミドである請求項1又は2記載の酸化方法。
  7. コバルト化合物が、酸化物、有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物、錯体、およびヘテロポリ酸又はその塩から選ばれた少なくとも一種である請求項1又は2記載の酸化方法。
  8. 温度0〜300℃、常圧または加圧下で反応させる請求項1又は2記載の酸化方法。
  9. 温度50〜200℃、圧力1〜50atmで反応させる請求項1又は2記載の酸化方法。
  10. シクロアルカンを分子状酸素により酸化し、シクロアルカノン、シクロアルカノール又はジカルボン酸を生成させる請求項1又は2記載の酸化方法。
  11. シクロヘキサンを分子状酸素により酸化し、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール又はアジピン酸を生成させる請求項1又は2記載の酸化方法。
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