JP3573587B2 - 微小欠陥検査方法およびその装置並びに露光方法および半導体基板の製造方法 - Google Patents

微小欠陥検査方法およびその装置並びに露光方法および半導体基板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハおよびホトマスク、レチクル、液晶基板等の電子部品の製造において、表面にパターンの形成された基板の表面上に付着した微小異物等の微小欠陥を検出する微小欠陥検査方法及びその装置に関わり、特にサブミクロンオーダーの微細な異物を簡単な構成で容易にパターンと分離して検出する微小欠陥検査方法およびその装置並びに微小異物等の微小欠陥のないレチクル上に形成されたパターンを投影光学系で被露光基板上に露光する露光方法および半導体ウエハや液晶用基板等の半導体基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば異物検査においては、レーザ光等の指向性の高い光源で斜方照明を行い、異物から発生する散乱光を検出する方法が検査時間、および感度の点から有利で一般的に使用されている。ところが上記検査方法ではパターンのエッジ部からも散乱光が発生するため、これと異物からの散乱光を区別して検出するための工夫が必要であり、そのための技術が知られている。
従来技術1としては、例えば特開昭54−101390号公報に記載されているように、直線偏光レーザと、特定の入射角度で該レーザ光を斜めから入射する手段と、偏光板およびレンズを用いた斜方集光光学系を特徴とする異物検査装置で、直線偏光を照射した際、パターンからの回折光と異物からの散乱光では、光の偏光方向が異なることを利用し、異物のみを輝かせて検出するものである。
【0003】
従来技術2としては、例えば特開昭59−65428号公報および特開平1−117024号公報および特開平1−153943号公報に記載されているように、レーザを斜方から被検査試料に照射し走査する手段と、該レーザ光の照射点と集光面がほぼ一致するように設けられ、該レーザ光の散乱光を集光する第1のレンズと、該第1のレンズのフーリエ変換面に設けられ、被検査試料のパターンからの規則的回折光を遮光する遮光板と、該遮光板を通して得られる異物からの散乱光を逆フーリエ変換する第2のレンズと、該第2のレンズの結像点に設けられ、被検査試料上のレーザ光照射点からの散乱光を遮光するスリットと、該スリットを通過した異物からの散乱光を受光する受光器とから構成される異物検査装置がある。この装置は回路パターンが一般的に視野内で同一方向かあるいは2〜3の組み合わせで構成されていることに着目し、この方向の回路パターンによる回折光をフーリエ変換面に設置した空間フィルタで除去することにより、異物からの散乱光だけを強調して検出しようとするものである。
【0004】
従来技術3としては、例えば特開昭63−315936号公報に記載されているように、複数の照明方向から照明を行い、発生した散乱光をそれぞれの照明源対応に分離して得た各検出信号の論理積をとることでパターンエッジ部から発生する回折光をキャンセルして、異物等からの散乱光のみを検出するものである。従来技術4としては、例えば特開昭58−62543号公報、および特開昭63−33648号公報に記載されているように、回路パターンエッジ部で生じた回折光には指向性があるが、異物による散乱光には指向性が無いことに着目し、試料の表面側および裏面側の斜方に設置した検出器のそれぞれの検出出力を比較することで、異物の付着面や、形状等を判別する構成のものである。
【0005】
従来技術5としては、例えば特開昭60−154634号公報および特開昭60−154635号公報に記載されているように、回路パターンエッジからの回折光はある特定の方向にのみ集中していくのに対して、異物からはすべての方向に散乱していくという現象を利用し、複数の検出器を配置して異物を弁別するものである。
なお、微小異物検査に関連する方法および装置として、シュリーレン法、位相差顕微鏡等の有限の大きさの回折像等に関する技術が、例えば久保田広著、応用光学(岩波全書)第129頁〜第145頁に記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
LSIの集積度の増大に伴って、パターンの構造が微細化、複雑化する一方で、検出すべき異物は微細化していているため、従来技術ではこれに対応することが困難となってきた。
上記従来技術1では、微小異物等の欠陥からの散乱光の偏光方向と、パターンのエッジ部分からの回折光の偏光方向との際が小さくなることから微小な異物等の欠陥の弁別検出に関しては困難であった。
また、上記従来技術2では、異物等の欠陥からの散乱光を遮光板によってパターンからの回折光と分離し、かつスリットにより異物等の欠陥からの散乱光のみを検出するもので、異物等の欠陥を簡単な2値化法により検出するため検出機構が簡単になる特徴を有するが、上記パターンの交差部分からの回折光には直線部分からの回折光のように特定位置に偏る傾向は小さく、上記空間フィルタによりパターンの交差部からの回折光を完全に遮光することは出来ず、また近年のLSI高集積化に伴うサブミクロンオーダーの微細構造を有するパターンから発生する散乱光は、異物からの散乱光と挙動が類似しているためいっそう前記傾向が強く、簡単な2値化法により微小な異物等の欠陥をパターンから分離して検出することが事実上困難であった。
【0007】
また、上記従来技術3においても同様に、ミクロンオーダー、サブミクロンオーダーの微細構造を有するパターンから発生する散乱光が異物からの散乱光と挙動が似ていることにより、単純な照明方向ごとの論理積結果では微小な異物等の欠陥をパターンから分離して検出することが困難であった。
また、上記従来技術4および前記従来技術5における各装置では、その装置構成上微小な異物等の欠陥に関しては、十分な集光能力を持つ光学系の採用が困難であり、微小な異物等の欠陥から発生する微弱な散乱光を検出するのは実際上困難であった。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決すべく、近年のLSI高集積化に伴ってミクロンオーダー、サブミクロンオーダーの微細構造部分を有するパターンを表面に形成した基板の表面上に付着したサブミクロンオーダーの微小な異物等の微小欠陥を、簡単な構成で、上記微細構造部分を有するパターンから分離して検出することを可能にした微小欠陥検査方法およびその装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、近年のLSI高集積化に伴ってミクロンオーダー、サブミクロンオーダーの微細構造部分を有するパターンを表面に形成したレチクルの表面上に付着したサブミクロンオーダーの微小な異物等の微小欠陥を、簡単な構成で、上記微細構造部分を有するパターンから分離して検出することを可能にして、上記微小欠陥のないレチクル上のミクロンオーダー、サブミクロンオーダーの微細構造部分を有するパターンを投影光学系で被露光基板上に露光して高歩留まりを実現するようにした露光方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、近年のLSI高集積化に伴ってミクロンオーダー、サブミクロンオーダーの微細構造部分を有するパターンを表面に形成した半導体基板の表面上に付着したサブミクロンオーダーの微小な異物等の微小欠陥を、簡単な構成で、上記微細構造部分を有するパターンから分離して検出することを可能にして、半導体基板を高歩留まりで製造することができるようにした半導体基板の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、表面にパターンが形成された基板(半導体ウエハおよびホトマスク、レチクル、液晶基板等)上の所望の個所に、第1の照明光を表面側から前記パターンを構成する主要な直線群の直線方向に対してほぼ同じ方向から斜方照射すると共に第2の照明光を表面側から前記主要な直線群の直線方向に対してほぼ直交する方向から斜方照射し、前記基板の表面から発生する散乱光を集光光学系で集光して前記第1の照明光による散乱光と前記第2の照明光による散乱光とに分離し、分離後の各フーリエ変換面上に設けた空間フィルタによりパターンからの散乱光を遮光し、空間フィルタを通過したそれぞれの散乱光を第1および第2の検出器の各々で受光して信号に変換し、該第1および第2の検出器の各々から得られる信号を比較して前記基板の表面に存在する微小欠陥を前記パターンの微細構造部分からなるエッジと弁別して検出することを特徴とする微小欠陥検査方法である。
また本発明は、表面にパターンが形成された透明基板(ホトマスクやレチクル等)上の所望の個所に、第1の照明光を表面側から前記パターンを構成する主要な直線群の方向に対してほぼ直交する方向から斜方照射すると共に第2の照明光を裏面側から前記主要な直線群の直線方向に対してほぼ同じ方向から斜方照射し、前記透明基板の表面から発生する散乱光を集光光学系で集光して前記第1の照明光による散乱光と前記第2の照明光による散乱光とに分離し、分離後の各フーリエ変換面上に設けた空間フィルタによりパターンからの散乱光を遮光し、空間フィルタを通過したそれぞれの散乱光を第1および第2の検出器の各々で受光して信号に変換し、該第1および第2の検出器の各々から得られる信号を比較して前記透明基板の表面に形成されたパターン上に存在する微小欠陥を前記パターンの微細構造部分からなるエッジと弁別して検出することを特徴とする微小欠陥検査方法である。
【0011】
また本発明は、表面にパターンが形成された透明基板(ホトマスクやレチクル等)上の所望の個所に、第1の照明光を表面側から前記パターンを構成する主要な直線群の方向に対してほぼ直交する方向から斜方照射すると共に第2の照明光を裏面側から前記主要な直線群の直線方向に対してほぼ同じ方向から斜方照射し、前記透明基板の表面から発生する散乱光を集光光学系で集光して前記第1の照明光による散乱光と前記第2の照明光による散乱光とに分離し、分離後の各フーリエ変換面上に設けた空間フィルタによりパターンからの散乱光を遮光し、空間フィルタを通過したそれぞれの散乱光を第1および第2の検出器の各々で受光して信号に変換し、少なくとも該第2の検出器から得られる信号に基いて透明基板部分に存在する微小欠陥を検出し、前記第1および第2の検出器の各々から得られる信号を比較して前記透明基板の表面に形成されたパターン上に存在する微小欠陥を前記パターンの微細構造部分からなるエッジと弁別して検出することを特徴とする微小欠陥検査方法である。
また本発明は、表面にパターンが形成された基板上の所望の個所に、第1の照明光を表面側から前記パターンを構成する主要な直線群の直線方向に対してほぼ同じ方向から斜方照射する第1の斜方照明系と、前記所望の個所に、第2の照明光を表面側から前記主要な直線群の直線方向に対してほぼ直交する方向から斜方照射する第2の斜方照明系と、前記基板の表面から発生する散乱光を集光する集光光学系と、該集光光学系で集光された散乱光を前記第1の照明光による散乱光と前記第2の照明光による散乱光とに分離する分離光学系と、該分離光学系で分離された各散乱光についてパターンからの散乱光を遮光するように各フーリエ変換面上に設けた第1および第2の空間フィルタと、該各空間フィルタを通過したそれぞれの散乱光を受光して信号に変換する第1および第2の検出器と、該第1および第2の検出器の各々から得られる信号を比較して前記基板の表面に存在する微小欠陥を前記パターンの微細構造部分からなるエッジと弁別して検出する比較判定手段とを備えたことを特徴とする微小欠陥検査装置である。
【0012】
また本発明は、前記微小欠陥検査装置において、前記比較判定手段は、第1および第2の検出器の各々から得られる信号を所望の閾値で2値化信号に変換する第1および第2の2値化判定回路と、該第1および第2の2値化判定回路の各々から得られる2値化信号の論理積をとる論理積回路とを有することを特徴とする。また本発明は、前記微小欠陥検査装置において、前記第1および第2の斜方照明系の各々を、相対向する一対の斜方照明系で構成したことを特徴とする。また本発明は、前記微小欠陥検査装置において、前記第1の斜方照明系で照射される第1の照明光と第2の斜方照明系で照射される第2の照明光との波長を異ならしめ、前記分離光学系を、波長分離光学系で構成したことを特徴とする。
また本発明は、基板を載置してX、Y、Zの各方向へ任意に移動可能なステージおよびその駆動制御系から成る検査ステージ部と、基板表面のパターンを構成する主要な直線群に対し、表面上でそれら直線群と同方向、かつ表面側の斜方から照明を行う第1の斜方照明系と、表面上で前記パターンを構成する主要な直線群と直交する方向、かつ表面側の斜方から照明を行う第2の斜方照明系と、基板の表面側に位置し、該各照明系による照明により基板から発生する散乱光および回折光を集光して、前記第1の照明、および第2の照明の照明方向別に光線分離し、分離後の各フーリエ変換面上に設けた空間フィルタによりパターンからの回折光および散乱光を遮光し、それぞれ第1、第2の検出器で検出する検出光学系と、前記第1および第2の検出器の各々の出力を所望の閾値により2値化信号に変換する第1および第2の2値化回路、および該第1および第2の2値化回路の各々の出力信号の論理積をとる論理積回路を有して論理積結果である微小異物等の微小欠陥データを演算表示する信号処理系とを備える構成にしたものである。
【0013】
また本発明は、表面にパターンが形成された透明基板上の所望の個所に、第1の照明光を表面側から前記パターンを構成する主要な直線群の直線方向に対してほぼ直交する方向から斜方照射する第1の斜方照明系と、前記所望の個所に、第2の照明光を裏面側から前記主要な直線群の直線方向に対してほぼ同じ方向から斜方照射する第2の斜方照明系と、前記透明基板の表面から発生する散乱光を集光する集光光学系と、該集光光学系で集光された散乱光を前記第1の照明光による散乱光と前記第2の照明光による散乱光とに分離する分離光学系と、該分離光学系で分離された各散乱光についてパターンからの散乱光を遮光するように各フーリエ変換面上に設けた第1および第2の空間フィルタと、該各空間フィルタを通過したそれぞれの散乱光を受光して信号に変換する第1および第2の検出器と、該第1および第2の検出器の各々から得られる信号を比較して前記透明基板の表面に形成されたパターン上に存在する微小欠陥を前記パターンの微細構造部分からなるエッジと弁別して検出する比較判定手段とを備えたことを特徴とする微小欠陥検査装置である。
また本発明は、前記微小欠陥検査装置において、前記比較判定手段は、第1および第2の検出器の各々から得られる信号を所望の閾値で2値化信号に変換する第1および第2の2値化判定回路と、該第1および第2の2値化判定回路の各々から得られる2値化信号の排他的論理和をとる排他的論理和回路とを有することを特徴とする。
また本発明は、前記微小欠陥検査装置において、前記第1の斜方照明系で照射される第1の照明光と第2の斜方照明系で照射される第2の照明光との波長を異ならしめ、前記分離光学系を、波長分離光学系で構成したことを特徴とする。
【0014】
また本発明は、表面にパターンが形成された透明基板上の所望の個所に、第1の照明光を表面側から前記パターンを構成する主要な直線群の直線方向に対してほぼ直交する方向から斜方照射する第1の斜方照明系と、前記所望の個所に、第2の照明光を裏面側から前記主要な直線群の直線方向に対してほぼ同じ方向から斜方照射する第2の斜方照明系と、前記透明基板の表面から発生する散乱光を集光する集光光学系と、該集光光学系で集光された散乱光を前記第1の照明光による散乱光と前記第2の照明光による散乱光とに分離する分離光学系と、該分離光学系で分離された各散乱光についてパターンからの散乱光を遮光するように各フーリエ変換面上に設けた第1および第2の空間フィルタと、該各空間フィルタを通過したそれぞれの散乱光を受光して信号に変換する第1および第2の検出器と、該第2の検出器から得られる信号に基いて前記透明基板部分に存在する微小異物を検出し、前記第1および第2の検出器の各々から得られる信号を比較して前記基板の表面に形成されたパターン上に存在する微小欠陥を前記パターンの微細構造部分からなるエッジと弁別して検出する判定手段とを備えたことを特徴とする微小欠陥検査装置である。
また本発明は、表面にパターンが形成されたレチクル上の所望の個所に、第1の照明光を表面側から前記パターンを構成する主要な直線群の直線方向に対してほぼ同じ方向から斜方照射すると共に第2の照明光を表面側から前記主要な直線群の直線方向に対してほぼ直交する方向から斜方照射し、前記レチクルの表面から発生する散乱光を集光光学系で集光して前記第1の照明光による散乱光と前記第2の照明光による散乱光とに分離し、分離後の各フーリエ変換面上に設けた空間フィルタによりパターンからの散乱光を遮光し、空間フィルタを通過したそれぞれの散乱光を第1および第2の検出器の各々で受光して信号に変換し、該第1および第2の検出器の各々から得られる信号を比較して前記レチクルの表面に存在する微小欠陥を前記パターンの微細構造部分からなるエッジと弁別して検出する微小欠陥検査工程と、該微小欠陥検査工程で表面に微小欠陥のないレチクルに対して露光光を照射して前記パターンを投影光学系により被露光基板に投影露光する露光工程とを有することを特徴とする露光方法である。
【0015】
また本発明は、表面にパターンが形成されたレチクル上の所望の個所に、第1の照明光を表面側から前記パターンを構成する主要な直線群の方向に対してほぼ直交する方向から斜方照射すると共に第2の照明光を裏面側から前記主要な直線群の直線方向に対してほぼ同じ方向から斜方照射し、前記レチクルの表面から発生する散乱光を集光光学系で集光して前記第1の照明光による散乱光と前記第2の照明光による散乱光とに分離し、分離後の各フーリエ変換面上に設けた空間フィルタによりパターンからの散乱光を遮光し、空間フィルタを通過したそれぞれの散乱光を第1および第2の検出器の各々で受光して信号に変換し、該第1および第2の検出器の各々から得られる信号を比較して前記レチクルの表面に形成されたパターン上に存在する微小欠陥を前記パターンの微細構造部分からなるエッジと弁別して検出する微小欠陥検査工程と、該微小欠陥検査工程で表面に微小欠陥のないレチクルに対して露光光を照射して前記パターンを投影光学系により被露光基板に投影露光する露光工程とを有することを特徴とする露光方法である。また本発明は、表面にパターンが形成された半導体基板上の所望の個所に、第1の照明光を表面側から前記パターンを構成する主要な直線群の直線方向に対してほぼ同じ方向から斜方照射すると共に第2の照明光を表面側から前記主要な直線群の直線方向に対してほぼ直交する方向から斜方照射し、前記半導体基板の表面から発生する散乱光を集光光学系で集光して前記第1の照明光による散乱光と前記第2の照明光による散乱光とに分離し、分離後の各フーリエ変換面上に設けた空間フィルタによりパターンからの散乱光を遮光し、空間フィルタを通過したそれぞれの散乱光を第1および第2の検出器の各々で受光して信号に変換し、該第1および第2の検出器の各々から得られる信号を比較して前記半導体基板の表面に存在する微小欠陥を前記パターンの微細構造部分からなるエッジと弁別して検出し、この検出結果に基いて半導体基板を製造することを特徴とする半導体基板の製造方法である。
【0016】
以上説明したように、前記構成によれば、近年のLSI高集積化に伴ってミクロンオーダー、サブミクロンオーダーの微細構造部分を有するパターンを表面に形成した基板の表面上に付着したサブミクロンオーダーの微小な異物等の微小欠陥を、簡単な構成で、上記微細構造部分を有するパターンから分離して検出することができる。
また、前記構成によれば、近年のLSI高集積化に伴ってミクロンオーダー、サブミクロンオーダーの微細構造部分を有するパターンを表面に形成したレチクルの表面上に付着したサブミクロンオーダーの微小な異物等の微小欠陥を、簡単な構成で、上記微細構造部分を有するパターンから分離して検出することを可能にして、上記微小欠陥のないレチクル上のミクロンオーダー、サブミクロンオーダーの微細構造部分を有するパターンを投影光学系で被露光基板上に露光して高歩留まりを実現することができる。
また、前記構成によれば、近年のLSI高集積化に伴ってミクロンオーダー、サブミクロンオーダーの微細構造部分を有するパターンを表面に形成した半導体ウエハや液晶基板等の半導体基板の表面上に付着したサブミクロンオーダーの微小な異物等の微小欠陥を、簡単な構成で、上記微細構造部分を有するパターンから分離して検出することを可能にして、半導体基板を高歩留まりで製造することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係る異物等の欠陥検査方法およびその装置並びに露光方法および半導体基板の製造方法の実施の形態について、図を用いて説明する。
被検査対象物としては、半導体ウエハ、レチクル等のホトマスクおよび液晶基板等のように、ミクロンオーダー、サブミクロンオーダーの微細構造を持つパターンが表面に形成された基板79がある。これらの基板79において、異物等の欠陥を検査する際、ミクロンオーダー、サブミクロンオーダーの微細構造を持つパターン(回路パターン)と異物等の欠陥とを区別して検出する必要がある。
本発明は、これらパターン(回路パターン)の微細構造を持つ主要な直線群の方向に対する照明方向によってパターンの微細構造からの散乱光量が大きく変化するという本発明者によって確認された実験的事実に基づくものである。
即ち、本発明は、図1に示すようなミクロンオーダーより微細な微細構造部分(0.4〜1.5μm程度の長さを有する微小変化部分)84を有するパターン(回路パターン)80を有する基板上に存在する異物等の欠陥を微細構造を有するパターン80と弁別して検出できるようにしたものである。83は最も狭いパターン80の間隔を示す。
【0018】
まず、本発明に係る異物等の欠陥検査方法およびその装置の基本原理について、図2乃至図7を用いて説明する。
まず、基板上に形成されたパターンの微細構造部分(微小変化部分)の長さ(大きさ)Wを変化させた場合における散乱光の出力[V]と、標準粒子径を変えた場合の散乱光の出力との関係について図2を用いて説明する。なお、散乱光の出力は、後述する図8に示す検出光学系4により空間フィルタ44を通して一方の検出器51で検出される検出出力(V)を示す。図2は、パターンの微細構造部分の長さWを0.2〜1.5μmに変化させた時のパターンの微細構造部分からの散乱光の出力の大きさを表した実験結果を示すもので、110aはパターンの微細構造部分に対して直角方向に斜方照明(図3(a)における105a)したときの散乱光の出力[V]を示し、110bはパターンの微細構造部分に対して平行方向(図3(a)における106a)に斜方照明したときの散乱光の出力[V]を示す。また、109bは約0.34μmの標準粒子からの散乱光の出力を示し、109aは約0.25μmの標準粒子からの散乱光の出力を示す。
【0019】
このように標準粒子径が約0.34μmの場合には、該粒子径からの散乱光の出力109b(約250V)が、パターンの微細構造部分の長さWが0.2〜1.5μmに変化したとしても、どちらの斜方照明によっても散乱光の出力110a、110b(最大約200V)よりも大きくなり、弁別することは可能である。
【0020】
しかしながら、標準粒子径が約0.25μmになると、パターンの微細構造部分の長さWが約0.3〜0.6μmの範囲におけるパターンの微細構造部分に対して平行方向に斜方照明したときの散乱光の出力110b(最大200V)の方が、約0.25μmの粒子径からの散乱光の出力109a(約130V)よりも大きくなるという現象が生じることになる。一方、約0.25μmの粒子径からの散乱光の出力109aは二つの斜方照明に対して一定の値(約130V)を示し、長さWが約0.3〜0.6μmの範囲におけるパターンの微細構造部分から生じる散乱光の出力は二つの斜方照明のうち一方の斜方照明について約0.25μmの粒子径からの散乱光の出力109aより著しく小さくなる特性を示す。そこで、二つの斜方照明の各々において検出される散乱光の出力を例えば約100Vの閾値で2値化信号に変換し、この2値化信号の論理積をとることによって、約0.25μmまでの異物を、約0.2〜0.7μm程度の長さを有する微細構造部分と弁別して検出することが可能となる。なお、0.7μm程度以上の長さを有する微細構造部分から生じる散乱光については、二つの斜方照明によるものが、ともに約0.25μmの粒子径からの散乱光の出力109aに接近してくるので、後述する対向斜方照明を用いることによって閾値を設定しやすくして約0.25μmまでの異物を、0.7μm程度以上の長さを有する微細構造部分と容易に弁別して検出することが可能となる。
【0021】
以上説明したように、本発明に係る検出方式により、約0.2μm程度以上の長さWを有する微細構造部分を有するパターン(回路パターン)が形成された基板上に存在する約0.25μmまでの異物を検出することが可能となる。
図4(a)は、基板上に形成された微細構造部分を有するパターンと異物のモデルである標準粒子と第1の照明系による斜方照明光および第2の照明系による斜方照明光とを示す平面図である。102は基板79の平面上に形成されたパターン80の微細構造部分(パターンの境界がパターンの幅方向に僅か直線状に変化する0.4〜0.6μm程度の長さを有する微小変化部分)、101は異物のモデルである0.2〜0.3μm程度の大きさを有する標準粒子、106aはパターン80における微細構造部分の方向と直交する方向から該パターン面を斜方照明する第1の照明系による照明光、105aはパターン80における微細構造部分の方向と同方向から該パターン面を斜方照明する第2の照明系による照明光である。図中のWはパターン80における微細構造部分(微小変化部分)の大きさを表す寸法である。
【0022】
図4(b)(c)は、標準粒子の径が約0.25μmで、微細構造部分(微小変化部分)の長さWが約0.5μmの場合において各々から発生する散乱光について、後述する図8に示す検出光学系4により空間フィルタ44を通して一方の検出器51で検出される検出出力(V)を示したグラフである。即ち、図4(b)に示す102aは斜方照明105aによってパターン80の微細構造部分(微小変化部分)102から発生する散乱光の大きさ、図4(c)に示す102bは斜方照明106aによってパターン80の微細構造部分(微小変化部分)102から発生する散乱光の大きさ、図4(b)に示す101aは斜方照明105aによって標準粒子から発生する散乱光の大きさ、図4(c)に示す101bは斜方照明106aによって標準粒子から発生する散乱光の大きさを示す。基板上に形成されたパターン80は断面構造を有し(厚さを持ち)、この場合パターン80から発生する散乱光は斜方照明の方向によって大きく変化を示す。例えば図4(b)(c)に102bと102aとで示すように、斜方照明106aによりパターンの微細構造部分102から発生する散乱光は大きく、一方斜方照明105aによりパターンの微細構造部分102から発生する散乱光はWが約0.5μmであるため、殆ど一次以上の回折光が発生せず、極僅かとなる。一方、図4(b)(c)に101bと101aとで示すように、異物のごとく、微小な物体で明確には異方性を示さない物体からの散乱光は、照明方向によって大きな変化を示さない。 しかしながら、斜方照明106aでは、標準粒子からの散乱光101bよりもパターン80の微細構造部分からの散乱光102bが大きく、単純な2値化しきい値Th1では異物だけを検出することが出来ない。その一方、斜方照明105aでは、標準粒子からの散乱光101aがパターンからの散乱光102aよりも大きく、単純な2値化しきい値Th1で、0.2〜0.3μm程度までの大きさの微小異物を検出することが出来る。
【0023】
図3(a)に示す場合のパターン80の微細構造部分102では、斜方照明105aによる散乱光を検出すれば微小な異物を弁別することができるが、パターンの微細構造部分の方向はもう一つあり、その様子を図4(a)に示す。即ち、図4(a)に示すパターンの微細構造部分(微小変化部分)103は、図3(a)に示す場合を90度回転させた状態である。図4(b)(c)に示すように、斜方照明105aによりパターンの微細構造部分103から発生する散乱光は大きく、一方斜方照明106aによりパターンの微細構造部分103から発生する散乱光は小さい。一方、図4(b)(c)に示すように、異物のごとく、微小な物体で明確には異方性を示さない物体からの散乱光は、照明方向によって大きな変化を示さない。
図4(b)(c)は、標準粒子の径が約0.25μmで、微細構造部分(微小変化部分)の長さWが約0.5μmの場合において各々から発生する散乱光について、後述する図8に示す検出光学系4により空間フィルタ44を通して一方の検出器51で検出される検出出力(V)を示したグラフである。これら図4(b)(c)に示すように、斜方照明105aでは、標準粒子からの散乱光101eよりもパターンの微細構造部分103からの散乱光103aが大きく、単純な2値化しきい値Th2では異物だけを検出することが出来ない。その一方、斜方照明106aでは、標準粒子からの散乱光101fがパターンの微細構造部分103からの散乱光103bよりも大きく、単純な2値化しきい値Th1で、異物のみを検出することが出来る。このように図4(a)に示すパターンの微細構造部分103に対しては、斜方照明106aによる散乱光を検出すれば、0.2〜0.3μm程度までの大きさの微小な異物を弁別することができる。
【0024】
しかしながら、パターン80の微細構造部分は、図3(a)に示す場合と図4(a)に示す場合とが、検査中に任意に現れるため、どちらか一方を選択的に検出することは不可能である。
そこで、本発明に係る検出方式においては、図3および図4に示すどちらの場合でも、異物に対しては2つの斜方照明の105a、106aの両方の検出結果において、2値化閾値Th1、Th2の両方よりも散乱光が大きくなっており、またパターンの微細構造部分(パターンの境界がパターンの幅方向に僅か直線状に変化する0.4〜0.6μm程度の長さを有する微小変化部分)に対しては、2値化閾値Th1、Th2の両方に対して散乱光が大きくなることはないことを利用して、斜方照明105aおよび106aによる散乱光をそれぞれ分離して検出し、それぞれを2値化閾値Th1、Th2により2値化してその論理積を求めることで、0.2〜0.3μm程度までの大きさの微小異物からの散乱光だけを検出する構成としている。なお、2つの斜方照明の105a、106aの両方による散乱光の出力を示すディジタル信号に対して同様な演算処理を施すことによっても異物からの散乱光だけを検出することが可能である。
また、上記の動作は、直交する斜方照明の光源の波長をそれぞれ異なるものとしておけばその散乱光を色分離フィルタ等により簡単に分離することができるため、二つの直交する斜方照明による検出を同時に行え、検出判定も実時間で行うことができる。
また、斜方照明105aおよび106aを、それぞれ対向する2方向から照明を行うように構成した場合、さらに大きな効果を得ることができる。
【0025】
図5はそれを説明するための図で、(a)はパターンの微細構造部分と異物のモデルである標準粒子と対向する方向からパターン面を斜方照明する照明光とを示す断面図である。図5(a)に示す107aはパターン面を斜方照明する照明光(105aまたは106aが対応)、107bは107aと対向する方向からパターン面を斜方照明する照明光(105bまたは106bが対応)である。104はパターンの微細構造部分(102または103が対応)を示し、101は異物のモデルである標準粒子を示す。
この場合、パターン80の微細構造部分104からの散乱光の大きさは、対向する照明方向によって異なり、斜方照明107aにより発生する散乱光は大きく、それに対し斜方照明107bにより発生する散乱光は小さくなる。発明者らの実験によれば、照明107bによるパターンの微細構造部分104からの散乱光の大きさは照明107aによる散乱光の大きさのおよそ1/2〜1/4になることが確認されている。一方で、異物のごとく微小で明確には異方性を示さない物体からの散乱光は、照明方向によって大きな変化は示さない。
その様子を示すと、図5(b)(c)(d)の散乱光の検出出力(V)を示したグラフの様になる。図5(b)(c)(d)は、標準粒子の径が約0.25μmで、微細構造部分(微小変化部分)の長さWが約0.8μmの場合を示す。斜方照明107aでは、標準粒子101からの散乱光101gとパターン80の微細構造部分104からの散乱光104aとがほとんど同じで、異物検出のための2値化閾値の設定が困難となる。しかし、それと対向する斜方照明107bでは、標準粒子101からの散乱光101hの方がパターンの微細構造部分104からの散乱光104bよりも大きくなる。これにより、対向した照明107aおよび107bの両方で照明した場合、パターンの微細構造部分104からの散乱光出力は104aと104bとの和で104cとなり、また標準粒子101からの散乱光の出力は101gと101hとの和で101iとなり、検出のための2値化閾値Th3により異物の検出が可能となる。このように、対向する2方向から照明を行うことにより、さらに微細な異物の検出が可能になる。図2に示すように微細構造部分の長さWが0.8μmより小さくなれば、2つの斜方照明105a、106aによる散乱光の出力102a、103aが小さくなるので、対向する斜方照明107aと斜方照明107bによる散乱光の和の出力をすることによって益々小さくなり2値化閾値Th3により異物の検出がますます容易となる。
【0026】
また、上記の動作は、直交する斜方照明の光源の波長をそれぞれ異なるものとしておけばその散乱光を色分離フィルタ等により簡単に分離することができるため、二つの直交する斜方照明による検出を同時に行え、検出判定も実時間で行うことができる。
さらに、以上までに説明した、パターン80の微細構造部分102、103からの散乱光の大きさと、照明方向との関係から、パターンの微細構造部分の方向に対する平行、直角の4方向からの照明による散乱光の論理積結果をとることによって、さらに大きな効果を上げることができる。図6はそれを説明するための図で、(a)はパターンの微細構造部分と異物のモデルである標準粒子と4方向からパターン面を斜方照明する照明光とを示す平面図である。図6(a)に示す102はパターンの微細構造部分、101は異物のモデルである標準粒子である。斜方照明は105a、105b、106a、106bの4方向から行うものとする。
図6(b)(c)(d)(e)は、標準粒子の径が約0.25μmで、微細構造部分(微小変化部分)の長さWが約0.8μmの場合を示す。これら図6(b)(c)(d)(e)に示すように、斜方照明105aによってパターンの微細構造部分102および標準粒子101から発生する散乱光の大きさをそれぞれ102a、101aに、また斜方照明106aによってパターンの微細構造部分102および標準粒子101から発生する散乱光の大きさをそれぞれ102b、101bに、また斜方照明105bによってパターンの微細構造部分102および標準粒子101から発生する散乱光の大きさをそれぞれ102c、101cに、また斜方照明106bによってパターンの微細構造部分102および標準粒子101から発生する散乱光の大きさをそれぞれ102d、101dに示す。
【0027】
そこで、4方向の照明毎に得られる散乱光の出力に基づく2値化信号の論理積をとれば、さらに微細な異物をパターンの微細構造部分と弁別して検出することができる。即ち、散乱光の出力を2値化信号に変換する際の2値化閾値は、4方向から照明されることによってパターンの微細構造部分から発生する散乱光の出力102a〜102dの内一番小さいもの102cよりも大きければよいので、図6(b)〜(e)に示すようにTh4と非常に低く設定することができ、さらに微細な異物の検出が可能となる。なお、4方向の照明毎に得られる散乱光の出力を示すディジタル信号に対して同様な演算処理を施すことによっても微細な異物について検出することが可能となる。
この場合も、上記の動作は、斜方照明105a、106a、105b、106bの光源の波長を異なるものとしておけばその散乱光を色分離フィルタ等により簡単に分離することができるため、斜方照明105a、106a、105b、106bによる検出を同時に行え、検出判定も実時間で行うことができる。
【0028】
次に、基板79に対して平面上で直交する2方向の照明を、一方については基板のパターン面(表面)側から、他方については基板のパターン面(表面)に対して裏面側から行う場合について図7を用いて説明する。これは、レチクル、マスク等の光を透過する基板79上に遮光膜でパターン80が形成された被検査対象物上の微小異物の検出に有効な方法である。すなわち、基板79のパターン面(表面)に対して裏面側から照明することにより基板の光透過部分上に存在する異物等の欠陥から発生する出力の大きい前方散乱光を検出することにより、基板の光透過部分における検出感度を向上させることができる。また基板79の遮光膜パターン80上に存在する異物等の欠陥に関しては、基板のパターン面(表面)側からの照明による散乱光と、基板の平面上ではそれと直交する方向からの基板の裏面側からの照明による散乱光の排他的論理和をとることで、パターンの微細構造部分と弁別して高感度で検出することができる。その原理を図7に示す。図7(a)は、基板上に形成された微細構造部分(0.4〜0.6μm程度の長さを有する微小変化部分)を有するパターンと異物のモデルである標準粒子と一方を基板のパターン面(表面)側から、他方を基板のパターン面に対する裏面側から行う平面上で直交する2方向の照明とを示した斜視図である。106aは基板79の表面側からパターンの微細構造部分102の方向と平行な方向から斜方で行われる照明、108は基板の裏面側からパターンの微細構造部分102の方向と直角な方向から斜方で行われる照明、102はパターン80の微細構造部分、101は異物のモデルである標準粒子、79は基板、80は透明な基板上に形成された遮光性を有する金属膜のパターンである。
【0029】
ところで、基板79の表面側からの照明106aによって、図7(b)に示すように遮光膜パターン上に存在する標準粒子(異物等の欠陥)101から散乱光の出力101jが発生するが、基板79の裏面側からの照明108は遮光膜パターン80によって遮られるため、図7(c)に示すように遮光膜パターン上の異物から散乱光の出力101kは発生しない。一方、パターンの微細構造部分102からは基板の表面側からの照明106aによっても図7(b)に示すように散乱光の出力102eは発生し、基板の裏面側からの照明108によっても図7(b)に示すように散乱光の出力102fが発生する。この両者の照明による散乱光の検出結果を示す2値化信号の排他的論理和をとれば、基板79の遮光膜パターン80上の異物等の欠陥を検出することができる。この場合、図7(b)に示すように表面側の照明105aによる検出のしきい値Th5を非常に低くとることができるため、基板の遮光膜上の異物等の欠陥を高感度で検出することが可能となる。図7(c)に示すTh6は検出の閾値を示す。なお、排他的論理和をとって異物等の欠陥を検出する場合、必ずしも2値化信号の排他的論理和を取る必要はなく、両者の照明による散乱光の出力結果を示すディジタル信号に対して同様な演算処理することによって基板79の遮光膜パターン80上の異物等の欠陥を検出することができる。
ところで、ここでは、パターンの微細構造部分の方向が0°、90°の2方向の場合を想定したが、パターンの微細構造部分の方向がそれ以外の方向も有する場合には、それに応じて照明系および検出器を増やして設ける必要がある。
【0030】
次に本発明に係る異物等の欠陥検査方法およびその装置についての具体的な実施の形態について説明する。
図8は、本発明に係る異物等の欠陥検査装置の一実施の形態を示す構成図である。座標x、y、zは図に示す方向を示す。被検査対象物6は、基板79上に0.2〜1.2μm(特に0.4〜0.6μm程度)程度の長さWの微細構造部分(微小変化部分)を有するパターン80を形成したものである。検査ステージ部1は、被検査対象物6を固定手段18により上面に固定してz方向に移動可能なzステージ10と、zステージ10を介して被検査対象物6をx方向に移動させるxステージ11と、同じく被検査対象物6をy方向に移動させるyステージ12と、zステージ10、xステージ11、yステージ12の各ステージを駆動するステージ駆動系13と、被検査対象物6のz方向位置を検出する焦点位置検出用の制御系14から構成されており、各ステージは、被検査対象物6の検査中常に必要な精度で焦点合わせ可能に制御される。焦点位置検出用の制御系14はエアマイクロメータを用いるものでも、あるいはレーザ干渉法で位置を検出するものでも、またあるいは縞パターンを投影し、そのコントラストを検出する構成のものでも良い。なお、ステージ駆動系13および制御系14は、マイクロコンピュータ54からの指令に基いて制御される。
図9には、被検査対象物6として微細構造部分(微小変化部分)を有するパターン80を形成したレチクルにペリクル膜7aを付けた枠7bを装着したものを示す。図9に示すごとく、xステージ11およびyステージ12は、CCD投影部15を鎖線の矢印131で示すように走査する。その走査速度は任意に設定することが出来るが、例えば、xステージ11を約0.2秒の等加速時間と、4.0秒の等速時間と、0.2秒の等減速時間とに設定し、約0.2秒の停止時間を1/2周期で最高速度約25mm/秒、振幅105mmの周期運動をするように形成し、yステージ12を、xステージ11の等加速時間および等減速時間に同期して被検査対象物6を0.5mmずつステップ状にy方向に移送するように構成すれば、1回の検査時間中に200回移送することにすると、約960秒で100mm移送することが可能となり、100mm四方の領域を約960秒で走査することが出来る。133はx方向の連続送りを示し、134はy方向のステップ送りを示す。
【0031】
2および20は各々対向させて第1の波長の光を斜方照射する第1の斜方照明系、3および30は各々対向させて第1の波長と異なる第2の波長の光を斜方照射する第2の斜方照明系である。これらは独立しており、かつ同一の構成要素から成っている。21、201は第1の斜方照明系の光源であり、31、301は第2の斜方照明系の光源である。22、202、32、302は集光光学系であり、光源21、201、31、301より射出された光束をそれぞれ集光して被検査対象物6上のパターン面(の同一位置)を照明する。上記集光光学系22、202、32、302の各々は、図10に示すように、光束径を拡大する凹レンズ223と、凹レンズ223で拡大された光束をx’軸方向に集束するシリンドリカルレンズ224と、シリンドリカルレンズ224で得られる光束を被検査対象物6上に集束させるコリメータレンズ225および集光レンズ226とから構成される。この場合、図10に示すように検出光軸47に対する入射角iは、後述する検出光学系4の対物レンズ41を避ける程度の大きさを持つ必要がある。なお、被検査対象物6のパターン面に対する入射角は(90°−i)で表すことができる。また被検査対象物6がレチクル等のマスクであって、これに異物付着防止用のペリクル膜7aを付着した枠7bを装着したものであるような場合にはこの枠7bを避けるために、被検査対象物6のパターン面に対する入射角iは、ほぼ80°より小さくする必要がある。
斜方照明系2、20、3、30は、照明を行う面に対して平行な方向に電界ベクトルを持つ直線偏光(S偏光と称する)を持つように構成する。S偏光にするのは、例えば入射角iが60°の場合、ガラス基板79上における反射率がP偏光(照明を行う面に対して直角方向に電界ベクトルを持つ直線偏光)の場合に比べてやく5倍程度高い(例えば久保田 広著「応用光学」(岩波全書)第144頁)ことにより、より小さい異物まで検出することが可能になるからである。
【0032】
各斜方照明系2、20、3、30の照度を高めるため、例えば集光光学系22、202、32、302の開口数(NA:Numerical Aperture)を約0.1にし、照明スポットを約10μmまで絞り込んだ場合、この絞り込みにより焦点深度は約30μmと小さくなり、図10に示す検査視野15の全域S(例えば500μm)に焦点を合わせることが出来なくなる。しかし、本実施の形態ではこの対策として、シリンドレカルレンズ224を図10に示すX’軸周りに傾け、(図10はすでに傾けた状態を示す)、例えば入射角iが60°でも検査視野15の全域Sに焦点を合わせることが可能になっており、後述する信号処理系5の検出器51、551に一次元固体撮像素子を使用した場合に、検査視野15が検出器51、551と同様に直線状になっても、この領域を高い照度でかつ均一な分布で照明することが可能となる。
【0033】
図10においてシャッタ23は光源21からの光を必要に応じて遮光するためにある。シャッタによる光の制御は、ペリクルを装着したレチクル等の基板の検査の際に必要となる。斜方照明で基板を検査する場合、に検査対象の基板にペリクルが装着されていると、基板の端部を照明しようとしたときに、照明がペリクル枠に当たり、けられが生じることがある。照明がペリクルの枠7bにけられた場合、検査視野を照明する光量はけられによって減少し、しかもその減少量は、けられ量の変化によって刻々と変化し、安定な照明が行われなくなる。しかもけられた光の一部は迷光となり、検出に悪影響を及ぼす。このため、枠7bによってけられが起こる以前に、図10に示すシャッタ23によって枠7bによってけられる側の照明系を遮光する必要がある。従って斜方照明系2、20、3、30によって照明される領域は、斜方照明の角度と、ペリクル保持枠7bとの関係で定まる。図11(a)に枠7b内の照明領域2710〜2718の例を示す。図11(b)には枠7b内の照明領域2710〜2717に照射する光束を示す図である。105aは斜方照明系2により照射される光束、105bは斜方照明系20により照射される光束、106aは斜方照明系3により照射される光束、106bは斜方照明系30により照射される光束を示す。図11(a)に示す照明領域2710では図11(b)に示す(A)の状態で、また図11(a)に示す照明領域2711では図11(b)に示す(B)の状態で、また図11(a)に示す照明領域2712では図11(b)に示す(C)の状態で、また図11(a)に示す照明領域2713では図11(b)に示す(D)の状態で、また図11(a)に示す照明領域2714では図11(b)に示す(E)の状態で、また図11(a)に示す照明領域2715では図11(b)に示す(F)の状態で、また図11(a)に示す照明領域2716では図11(b)に示す(G)の状態で、また図11(a)に示す照明領域2717では図11(b)に示す(H)の状態で照明を行うように各斜方照明系2、20、3、30に設置されたシャッタ23を制御する。また図11(a)に示す照明領域2718は、4つの斜方照明系2、20、3、30によって4方向からの照明が可能な領域である。図10および図11はペリクル保持枠7bが大きさ102×102mm、高さ6.3mm、照明光の光軸とレチクルの表面とのなす角度が30°(入射角iは60°)の場合であり、また、すべての照明が行えてもっとも検出が安定している照明領域2718は、レチクル内でもっとも検出感度が必要な領域をカバーするように設定される。裏面側の照明を行う場合に関しても、レチクルの裏面にペリクル膜7aが取り付けられているタイプのレチクルに関しては同様のことが言える。
【0034】
一方図12に示すように、レチクルへの照明を対物レンズ41の周りから行って枠7bによってさえぎられるのを少なくすれば、上記に説明したシャッタ34の切り替え制御は不要となる。即ち、斜方照明系2、20、3、30の各々から得られる照射光束を上方から対物レンズ41の周囲に沿って下方へ導いて、対物レンズ41の周囲の下端に設置されたミラー2831〜2834によって反射させてレチクルの表面上に斜め方向から集光して照射し、枠7bによってさえぎられるのを少なくすれば、切り替えなしで照明することが可能となる。
検出光学系4は、0.4〜0.6程度のNAを有する対物レンズ41と、該対物レンズ41の結像位置付近に設けられる視野レンズ(以下フィールドレンズと呼ぶ)43、フィールドレンズ43により集光された光束の波長分離用プリズム(あるいはミラー)42とを有する。検出光学系4に入射した光は、波長分離用プリズム42により、第1の斜方照明系2、20によって被検査対象物6の表面から発生した散乱光(回折光も含む)と、第2の斜方照明系3、30によって被検査対象物6の表面から発生した散乱光(回折光も含む)とに分離される。この分離された光は、それぞれ被検査対象物6の検査視野15に対するフーリエ変換面に設けられた帯状の遮光部とその外部に透過部を有する空間フィルタ44、444、および結像レンズ45、455を経て、被検査対象物6上の検査視野15が、検出器(CCDセンサ)51、551上に結像される。フィールドレンズ43は対物レンズ41上の上方の焦点位置46の像を空間フィルタ44、444を設置した位置に結像する。なお、第1の斜方照明系2、20によって被検査対象物6の表面から発生した散乱光(回折光も含む)と、第2の斜方照明系3、30によって被検査対象物6の表面から発生した散乱光(回折光も含む)とに分離するのを、上記波長分離用プリズム42で行う必要はなく、上記波長分離用プリズム42の位置にハーフミラーを設置して2つの光路に分岐し、分岐光路の各々に第1の斜方照明系2、20および第2の斜方照明系3、30の各々による波長の散乱光を通すフィルタを設置することによっても可能となる。
【0035】
ところで、被検査対象物6は基板79上にパターン80が形成されて構成される。パターン80のエッジには、ミクロンオーダーより微細な微細構造部分84(102、103)の他に図13に示すように通常のエッジの直線部分81とエッジの微細なコーナ部分82とを有することになる。そこで、第1の斜方照明系2、20および第2の斜方照明系3、30の各々によって照射された光束105a、105b、106a、106bの各々によって図13に示す通常のエッジの直線部分81から発生し、対物レンズ41に入射する散乱光(回折光も含む)131を、検出光学系4のフーリエ変換面に設置した空間フィルタ44、444によって遮光することによって微小異物70からの散乱光132を検出器(CCDセンサ)51、551で受光して検出することができる。即ち、パターン80の微細構造部分84(102、103)からの散乱光については、上記空間フィルタ44、444では遮光されずに通過して検出器(CCDセンサ)51、551で受光して検出されることになる。なお、照明光が平行光であれば、パターン80のエッジ81、82、84から発生する回折光の広がりを小さくすることができる(弁別比を大きくすることができる。)。しかし、照明を集光光で行い、照明光の照度を高めればCCDセンサ(検出器)51、551で受光される光の出力レベルを大きくすることができ、高いS/Nで検出することができる。
【0036】
図8に示す信号処理系5は、検出器51、551の出力を補正するシェーディング補正回路113、123と、4画素加算回路114、124と、2値化判定回路52、552と、論理積回路57と、ブロック処理回路58、558と、マイクロコンピュータ54と、表示手段55とから構成される。
検出器51、551は、例えば電荷移動形の一次元固体撮像素子等により構成され、xステージ10を走査しながら被検査対象物6上のパターン面からの信号を検出するが、この場合被検査対象物6上の異物70等の欠陥が検出視野に存在するとき、図13に示すように、パターン80の微細構造部分(コーナ部分)82から発生して空間フィルタ44、444を通過する散乱光135よりも、異物70から発生する散乱光による信号レベルおよび光強度が大きくなるため、検出器51、551の出力も大きくなる。前述したように、これとは逆にパターン80においてWが0.3〜0.6μm程度の微細構造部分(微小変化部分)84から発生して空間フィルタ44、444を通過する散乱光135は、0.25μm程度の異物70から発生する散乱光に比して大きくなる。なお、前述のごとく検出器51、551に一次元固体撮像素子を用いれば、分解能を維持したまま検出視野を広くすることができる利点を有するが、これに限定されることはなく、2次元のもの、あるいは単素子のものでも使用可能である。
【0037】
シェーディング補正回路113、123および4画素加算回路114、124については後述する。
2値化判定回路52、552は、検出判定のための2値化のしきい値があらかじめ任意に設定出来るようになっており、検出器51、551からの出力が、図5に示すように設定された閾値Th3以上となった場合に、論理レベル“1”、あるいは論理レベル“1”と検出値を出力するように形成する。即ち、各検出器51、551から得られる図5(d)に示す出力信号に対して閾値Th3で2値化することによって、0.2〜0.3μm程度の微小異物を、パターン80の0.2μm程度以上の微細構造部分84(102、103)から弁別して論理レベル“1”として検出することができる。ところで、2値化判定回路52、552の各々において、論理レベル(判定結果)とともに検出器51、551の各々から検出される検出値も出力するのは、最終的な異物等の欠陥の検出結果に加えて、その検出値を付随させることで、検出された異物等の欠陥の大きさ等の推定、および検出判定のための2値化の閾値の設定の利便のためである。
論理積回路57は、2値化判定回路52および552からの2つの論理出力の積を取るものであり、その結果互いに直角をなす2つの斜方照射光束105a,105b;106a、106bの各々によって被検査対象物6から発生して各空間フィルタ44;444を通過して検出器51;551の各々によって検出されて2値化判定回路52;552の各々で2値化された論理レベルの論理積をとることによって、パターン80の微細構造部分の向きが図3(a)に示す場合と図4(a)に示す場合との論理積がとられてパターン80の微細構造部分の向きに関係なく、0.2〜0.3μm程度の微小異物を、パターン80の0.2〜1.2μm程度の微細構造部分84(102、103)から弁別して検出することができることになる。即ち、論理積回路57の出力が0.2〜0.3μm程度の微小異物からなる欠陥の検出判定結果となる。またその際の出力にも論理レベルの判定結果のみでなく、検出値も出力した方が良いことは先にも述べたとおりである。
【0038】
ブロック処理回路58、558は、検出結果信号を取り込み、複数の信号のダブルカウントを防止する回路であるが、これに関しても後述する。
また、マイクロコンピュータ54は、ブロック処理回路58、558によって処理された結果を格納するメモリを有し、xステージ10およびyステージ11の位置情報、単素子ではない検出器51、551の場合にはその素子中の画素位置から計算される欠陥の位置情報、および検出器51、551の検出出力値を欠陥データとして記憶し、その結果を表示手段55に出力する様に形成される。また装置各部の機構の制御および作業者とのインターフェースも行う。
次に、微小異物70から生じる散乱光を有効に対物レンズ41の瞳に入射させて分解能を高めて各検出器51、551における各画素によっ検出することについて説明する。即ち、Wolf著、“光学の原理“pp950−971などの文献によれば、微小な粒子が照明光の波長と同程度の大きさになった場合、異物からの散乱光は均一ではなく、鋭い分布を持つ。このように微小異物からの散乱光は不規則な指向性をもつため、対物レンズ41の開口数(NA)が小さいと、微小異物からの散乱光をできるかぎり対物レンズ41の瞳に入射させることができず、その結果異物の検出見逃しが起こることが生じることになる。すなわち、微小異物を検出することができるようにするためには、検出すべき異物の大きさを解像する程度の分解能が必要であることが判明した。以下にその検討の過程を述べる。
【0039】
光散乱の物理学の歴史は古く、空間に浮遊した単一の球に平面波が照射された場合といったもっとも簡単な問題が、1908年にGustav Mieによって初めて解析された。
ラテックス球などの微小物体は、反射、屈折、吸収そして回折といったプロセスの組合せで、照明光を散乱する。球状異物(粒子)からの散乱光強度を図17に示す。図17は、Mie散乱の理論値を、基板上に付着した粒子の場合に変形したもので、異物からの散乱光強度に比例する散乱光断面積(μm)を異物の径d(μm)に対して示した図である。図17に示すように、照明光の光源波長:λを用いた無次元数πd/λがおおむね4より小さな領域、即ちλ=550nmの時d=0.7μmより小さな異物においては、特にレーリー散乱領域と呼ばれ、異物からの散乱光の強度は、縦軸に散乱断面積(μm)で示す如く横軸に示す異物の直径dの6乗に比例(照明光源波長λの4乗に反比例)して、急激に減少する。
ところで、πd/λがおおむね4より大きな領域、即ちλ=550nmの時d=0.7μmより大きな異物においては、その散乱光は、回折の理論に従って図14において141で示すように主な成分は方向性を持って散乱することになる。従って、この領域、即ち0.7μm程度より大きな異物を検出するためには、異物からの散乱光が分布を持つことにより検出光学系4における対物レンズ41のNAを微小異物からの散乱光の分布に注意して決定する必要がある。
【0040】
図15には、被検査対象物(例えばレチクル)6上の異物70に対してレーザ光斜め照明2221(105a、105b、106a、106b)を行った場合における回折光の方向を示す。回折光は、0次回折光(正反射光)2222、1次回折光2223、さらに角度θだけ離れて2次回折光……と続く。
0次回折光2222は、レーザ照明2221の正反射光であり、異物の散乱光を検出するということは、1次以上の回折光を検出することになる。
ここでθは、回折光の式からd・sinθ=λで求められる。(dは、不定形な異物に対しては、直径、幅、長さあるいは直径の平均値など様々な定義が考えられる。しかし、以下の議論はdの値によらず成り立つので、上記のいずれの定義でも、結果に影響をおよぼさない。そこで、ここではd=d、すなわちdを異物の径と仮定した。
検出光学系4の必要なNAを、最も条件の厳しいπd/λ=4の場合について求める。
Figure 0003573587
【0041】
これは、回折光の間隙が最大で52°になることを意味し、従って、52°以上の開口を有する検出光学系4の対物レンズ41を用いれば、最低でも1次の回折光だけは検出できることになり、異物は見逃しとはならない。
【0042】
図16において、NA=sin(θ/2)(n:光路の屈折率、空気ではn≒1)で検出光学系4の対物レンズ41のNAは求められ、NA=1・sin(52°/2)=0.44となる。
よって、概ね0.44より大きなNAをもつ検出光学系4により異物からの散乱光を見逃しなく検出できる。
この場合、NAが大きい程検出に余裕ができ、またレーリー領域の異物の検出にも都合が良くなる。逆にNA≧0.44を満たさない場合でもNA=0.4程度ならば、回折光にある程度の幅があるため、実用上は異物の検出は可能である。逆に、NAを0.5より大きくすると後で述べる理由によってパターン80からの散乱光が検出光学系4に入射してしまい、異物からの散乱光だけを検出する要求に障害をおよぼし、NAをわざわざ大きくするメリットが減少する。このため、検出光学系4における対物レンズ41のNAは、おおよそ0.4から0.6位までが実用上適切な値となる。
【0043】
次にレーリー領域の異物の検出について述べる。
ところで、「微小異物の検出」と言う目標を達成するためには、検出すべき異物の大きさを解像する程度の分解能が必要である。そのため、検出光学系4における対物レンズ41は、検出すべき微小異物を解像する程度の開口数(NA)を有する必要がある。
具体的には次の(数1)式により、算出される。
d=0.6(λ/NA) …………(数1)
このNAに概ね近い値を有する検出光学系4が望ましい。ここで、dは検出すべき微小異物の寸法、λは照明光の波長、NAは開口数である。また検出光学系4のNAを(数1)式を満たすように設定できない場合、照明系のλを短くして(数1)式を満たす必要がある。
すなわち、微小異物検査のための検出光学系4は、(数1)式に示すような微小異物を解像する必要であるという新規な考え方に立っている。
ただし、(数1)式における係数は、0.6という一般の解像度を算出する際の値ほど大きい必要はなく、発明者により実施された実験によると、0.24〜0.6の範囲であれば必要とされる微小異物の検出性能は発揮される。
【0044】
その理由について、以下に説明する。図17には、横軸に異物径d(μm)をとり、縦軸に散乱断面積(μm)をとってある。この散乱断面積は、異物から発生する散乱光に比例し、Mieの散乱の理論から求められる。その解釈は、発生する散乱光を観察した場合、あたかも図中の実線で示される異物から発生する散乱光であるかのように観察されることを意味する。図中には、点線で、幾何学的な断面積も合わせて示した。
これにより、散乱光で観察した場合には、実際の異物寸法よりも大きく観察されることがわかる。(これは、まさしく異物検査が散乱光で行われている理由である。)そして、その比率は、図17より面積比で約3倍〜6倍、従って直径では√3〜√6倍となる。
この場合、上記(数1)式は、次に示す(数2)式の関係となり、先の実験結果を説明できる。
Figure 0003573587
また、レチクル上の微小異物検査をとれば、検出すべき微小異物のサイズdはレチクル最小寸法の1/4程度とされているため、レチクル上のパターンの最小寸法が約1.5μm(5:1縮小転写の場合、ウェハ上で0.3μm、これは、64MDRAM相当)の場合約0.4μm、レチクル上のパターンの最小寸法が約1.0μm(256MDRAM相当)の場合約0.25μmである。
【0045】
従って、約0.25μmの微小異物を、先の検討から求められたNA=0.5の検出光学系4で検出するためには、上記(数2)式を変形した次の(数3)式の関係から、斜方照射する光の波長は、λ=520nm〜360nmよりも短くする必要がある。即ち、第1の斜方照明系の光源21、201および第2の斜方照明系の光源31、301は、λ=520nm〜360nmよりも短い波長の光を出射するレーザ光源等で構成する必要がある。
λ=d・NA/(0.35〜0.24) …………(数3)
図13(a)には、レチクルである被検査対象物6を示している。即ち、透明基板79上には、直線部分81とコーナ部分82および微小変化部分84からなる微細構造部分とのエッジを有するパターン80が形成される。70は透明基板上に付着した微小異物を示す。ところで、本発明においては、0.25〜0.3μm程度の微小異物70を検出する必要がある。
レチクル6を斜方照明系2(または斜方照明系20、3、30のいずれか)で斜方より照射し、直接反射光および直接透過光は集光せず、発生する散乱光および回折光のみを対物レンズ41で集光すれば、図18に示す基板79上のパターン80と斜方照明系2(または斜方照明系22、3、33のいずれか)の基板79の面上への投影像60との位置関係で定義される角度ψが0゜のときの角度パターン(以下0゜パターンという)の回折光のみが、対物レンズ41のフーリエ変換面上で図19(a)に示すように帯状に表れる。ここで前記パターン80の角度ψの種類は、0゜45゜、90゜の角度パターンに限られていて、図13(a)に示すように45゜および90゜のパターンからの回折光133、134は、対物レンズ41の瞳に入射しないため、検出に影響を及ぼさない。一方、異物70からの散乱光は、図19(c)に示すようにフーリエ変換面上の全面に広がる。このため、フーリエ変換面上に帯状の遮光部と、その外部に透過部とを有する空間フィルタ44、444を配置し、図13(a)に示すパターン80の直線部分(エッジにおいてψが0゜の部分)81からの回折光131を遮光することにより、検出器51、551は微小異物70をパターン80の直線部分81から弁別して検出することができる。
【0046】
この構成により検出光学系4のNAを0.4〜0.6程度にすることによって高NAを実現して微小異物70からの散乱光である回折光を入射せしめ、しかも空間フィルタ44、444でパターン80の直線部分81からの散乱光である回折光を遮光することによって微小異物70をパターン80の直線部分81から弁別して検出することができる。
但し、パターン80の微細構造部分82、84からの散乱光は、直線状の空間フィルタ44、444では十分に遮光しきれない。そこで、図13(b)に示すように、CCDセンサ51、551の一つの画素中に一度に複数の微細構造部分82、84から生じる散乱光を入射させないように、CCDセンサ51、551が受光する画素を、パターン80の最小寸法(レチクルにおいて64MDRAM相当の場合には約1.5μm、256MDRAM相当の場合には約1.0μm)に対応するように被検査対象物6上での換算で2×2μm〜0.8×0.8μm程度にまで高分解能化して、パターン80の微細構造部分82、84からの散乱光による影響を極力排除した。即ち、CCDセンサ51、551の画素寸法が、例えば13×13μmである場合には、被検査対象物6上での換算で2×2μm〜0.8×0.8μm程度にまで高分解能化するには、検出光学系4の拡大倍率を7倍〜16倍程度にすることが必要となる。被検査対象物6上での換算によるCCDセンサ51、551の画素寸法は、被検査対象物6のパターン80の寸法Lよりも小さければ良い。実際にはパターン80の微細構造部分82、84からの影響を十分に小さくできる値であれば、さらに大きくても、小さくても良い。具体的には、被検査対象6となる基板上の最小パターン寸法程度が望ましい。この最小パターン寸法程度の大きさであれば、CCDセンサ(検出器)51、551の1画素には1つの微細構造部分からの散乱光のみが受光されることになり十分である。例えば、パターンの最小寸法が1.0μm程度の256MDRAM用レチクルでは、0.8〜1.5μm程度の画素寸法が望ましい。この場合、CCDセンサ51、551の画素寸法を例えば13×13μmとしたとき検出光学系4の拡大倍率を9倍〜16倍程度にし、CCDセンサ51、551の画素寸法を例えば7×7μmとしたとき検出光学系4の拡大倍率を5倍〜9倍程度にすることが必要となる。
【0047】
次に図8に示す実施の形態についての作用について、更に説明する。図20(a)には、パターン80のコーナ部分に形成された微細構造部分82を示し、図20(b)には、該微細構造部分82を微視的に示したものである。即ち、図20(b)に示すようにパターン80のコーナ部分に形成された微細構造部分82は、連続的な角度820で構成されているため、該微細構造部分82からの回折光135も図13に示すようにフーリエ変換面上で広がる傾向があり、空間フィルタ44、444により完全に遮光することができず、図19(b)に示すようになる。このため、一つの検出器51または551に複数のコーナー部82からの回折光が入射すると、検出器51または551の出力Vが増大して、異物70と弁別して検出ができなくなる。図21はこの状態を示したもので、複数のコーナー部からなる微細構造部分84からの検出出力値822が単一のコーナー部82からの検出出力値821に比べて高い値になり、図に示す点線90で示す閾値のレベルで2値化したのでは、異物70からの検出出力値701を分離して検出することができないことを示している。
【0048】
上記図21にて説明した不具合点の対策として、前述したとおり、被検査対象物6上の検査視野15を対物レンズ41、結像レンズ45、445等を介して検出器51、551に結像するように構成し、検出器51、551の寸法と検出光学系4の結像倍率を選択することにより、被検査対象物6の面上における検出視野15を任意の寸法(例えば2×2μm〜0.8×0.8μm程度に設定し、簡易な検出光学系4でありながらパターン80の複数の微細構造部分82からの回折光が検出器51、551に同時に入射しないようにしている。しかし、サブミクロンオーダー以下の微小異物の検出においては、パターン80の形状によっては一部のコーナー部82との分離検出が不十分であり、また、LSIの高集積化により、図1に示すように、パターン80の通常の構造部分の寸法83よりも微細なミクロンオーダー以下の寸法を有する微細構造部分84から発生するような回折光は、異物70からの散乱光と挙動が更に類似して来ているため、異物70を回路パターンから分離して検出することが一層難しくなってくる。
【0049】
そこで、前述した基本原理で説明したように構成することによって、ミクロンオーダー以下の微細構造部分84を有するパターンに対しても、0.2〜0.3μm程度の微小異物を検出することができる。
すなわち、図8に示す構成において、斜方照明系2、20と斜方照明系3、30との各々から520nm〜360nmよりも短い波長で、且つ互いに波長を異ならして、斜方照明105a、105bと斜方照明106a、106bとを、基板79上に微細構造部分82、84および直線部分81のエッジを有するパターン80を形成した被検査対象物6に対して検査視野15の全域Sに焦点が結ぶように行う。その結果、被検査対象物6上の微小異物からの散乱光(一次以上の回折光)およびパターン80のエッジからの散乱光(一次以上の回折光)が高NAの対物レンズ41の瞳に入射する。そして、波長分離用プリズム42によって、斜方照明105a、105bによる散乱光と斜方照明106a、106bによる散乱光とに波長分離されて各々の第1および第2の光路にそって進むことになる。 一方第1の光路においてフーリエ変換面に設置された空間フィルタ44により、斜方照明105a、105bによる散乱光の内パターン80のエッジの直線部分(照射方向に対して直角方向を向いた直線部分)81から発生する散乱光(回折光)が遮光されて、空間フィルタ44を通過した散乱光(微小異物70からの散乱光とパターン80のエッジにおける微細構造部分82、84からの散乱光とからなる。)がCCDセンサ51の各画素上に結像されて、CCDセンサ51の各画素によって受光されて信号が得られる。この場合、相対向する斜方照明105aによる散乱光と斜方照明105bによる散乱光とが、図5(d)に示すように加えられてCCDセンサ51の各画素に受光されることになる。
【0050】
他方第2の光路においてフーリエ変換面に設置された空間フィルタ444により、斜方照明106a、106bによる散乱光の内パターン80のエッジの直線部分(照射方向に対して直角方向を向いた直線部分)81から発生する散乱光(回折光)が遮光されて、空間フィルタ444を通過した散乱光(微小異物70からの散乱光とパターン80のエッジにおける微細構造部分82、84からの散乱光とからなる。)がCCDセンサ551の各画素上に結像されて、CCDセンサ551の各画素によって受光されて信号が得られる。この場合、相対向する斜方照明106aによる散乱光と斜方照明106bによる散乱光とが、図5(d)に示すように加えられてCCDセンサ51の各画素に受光されることになる。
何れのCCDセンサ51、551においても、微細構造部分84の長さWが約0.7μm以上になっても、この微細構造部分84から発生する散乱光の出力と約0.2〜0.3μmから発生する散乱光の出力との間に差をだすことが可能となり、容易に閾値Th3を設定することが可能となる。それは図5において説明したように、斜方照明107bによるパターンの微細構造部分104から発生する散乱光の大きさが、斜方照明107aによるパターンの微細構造部分104から発生する散乱光の大きさのおよそ1/2〜1/4になるからである。
【0051】
そして、2値化判定回路52において、CCDセンサ51の各画素から得られる信号に対して、設定された閾値Th3によって2値化信号に変換する。2値化判定回路552においても、CCDセンサ551の各画素から得られる信号に対して、設定された閾値Th3によって2値化信号に変換する。更に論理積回路57において、2値化判定回路52および552からの2つの論理出力の積をとることによって、0.2〜0.3μm程度までの微小異物については論理積がとれ、微細構造部分84については論理積がとれないことにより、0.2〜0.3μm程度までの微小異物について微細構造部分84と弁別した論理出力を得ることができる。その理由は、図2に110bで示すように微細構造部分84に対して直角方向から斜方照明(図3(a)においては106a、図4(a)においては105a)による微細構造部分84からの散乱光の強度が、109aで示すように0.2〜0.3μm程度の微小異物から発生する散乱光の強度より越えることがあるが、110aで示すように微細構造部分84に対して直角方向から斜方照明(図3(a)においては105a、図4(a)においては106a)による微細構造部分84からの散乱光の強度が、109aで示すように0.2〜0.3μm程度までの微小異物から発生する散乱光の強度よりも小さくなるからである。以上説明したように、直交する斜方照明の光源の波長をそれぞれ異なるものとしておけばその散乱光を色分離用フィルタや色分離用プリズム等の波長分離光学系により簡単に分離することができるため、二つの直交する斜方照明による0.2〜0.3μm程度までの微小異物の検出を同時に行え、検出判定も実時間で行うことができる。
【0052】
2値化判定回路52、552の各々において、論理レベルとともに検出器51、551の各々から検出される検出値も出力するのは、最終的な微小異物等の欠陥の検出結果に加えて、その検出値を付随させることで、検出された微小異物等の欠陥の大きさ等の推定、および2値化の閾値の設定のためである。この場合論理積回路57においても2値化判定回路52、552の各々から得られる検出値もそのまま出力するように構成する。
ブロック処理回路58、558の各々は、論理積回路57から得られる検出結果信号を取り込み、複数の信号のダブルカウントを防止することを実行する。
【0053】
マイクロコンピュータ54は、ブロック処理回路58、558によって処理された結果を格納するメモリを有し、xステージ10およびyステージ11の位置情報、単素子ではない検出器51、551の場合にはその素子中の画素位置から計算される欠陥の位置情報、および検出器51、551の検出出力値を欠陥データとして記憶し、その結果を表示手段55に出力するように処理する。またマイクロコンピュータ54は、装置各部の機構の制御および作業者とのインターフェースも行う。
なお、図8に示す実施の形態においては、斜方照明系2および3の各々について対向斜方照明系20および30を設置する場合を示したが、図3および図4で説明した基本原理に示すように、対向斜方照明系20および30をなくしてもよい。
【0054】
次に、本発明に係る他の実施の形態について図22を用いて説明する。図22に示す構成において、斜方照明系2と斜方照明系20と斜方照明系3と斜方照明系30との各々から520nm〜360nmよりも短い波長で、且つ互いに波長を異ならして、斜方照明105aと斜方照明105bと斜方照明106aと斜方照明106bとを直交する4方向から、基板79上に微細構造部分82、84および直線部分81のエッジを有するパターン80を形成した被検査対象物6に対して検査視野15の全域Sに焦点が結ぶように行う。その結果、被検査対象物6上の微小異物からの散乱光(一次以上の回折光)およびパターン80のエッジからの散乱光(一次以上の回折光)が高NAの対物レンズ41の瞳に入射する。そして、波長分離用プリズム42によって、斜方照明105a、105bによる散乱光と斜方照明106a、106bによる散乱光とに分岐分離されて第1および第2の光路にそって進むことになる。
一方第1の光路においてフーリエ変換面に設置された空間フィルタ44により、斜方照明105a、105bによる散乱光の内パターン80のエッジの直線部分(照射方向に対して直角方向を向いた直線部分)81から発生する散乱光(回折光)が遮光されて、空間フィルタ44を通過した散乱光(微小異物70からの散乱光とパターン80のエッジにおける微細構造部分82、84からの散乱光とからなる。)がハーフミラー46によって分岐され、斜方照明105aによる散乱光が波長分離用フィルタ47aによって分離されてCCDセンサ51aの各画素上に結像されて、CCDセンサ51aの各画素によって受光されて信号が得られ、斜方照明105bによる散乱光が波長分離用フィルタ47bによって分離されてCCDセンサ51bの各画素上に結像されて、CCDセンサ51bの各画素によって受光されて信号が得られる。この場合、CCDセンサ51aの各画素からは図6(b)に示す信号が得られ、CCDセンサ51bの各画素からは図6(d)に示す信号が得られることになる。
【0055】
他方第2の光路においてフーリエ変換面に設置された空間フィルタ444により、斜方照明106a、106bによる散乱光の内パターン80のエッジの直線部分(照射方向に対して直角方向を向いた直線部分)81から発生する散乱光(回折光)が遮光されて、空間フィルタ444を通過した散乱光(微小異物70からの散乱光とパターン80のエッジにおける微細構造部分82、84からの散乱光とからなる。)がハーフミラー446によって分岐され、斜方照明106aによる散乱光が波長分離用フィルタ447aによって分離されてCCDセンサ551aの各画素上に結像されて、CCDセンサ551aの各画素によって受光されて信号が得られ、斜方照明106bによる散乱光が波長分離用フィルタ447bによって分離されてCCDセンサ551bの各画素上に結像されて、CCDセンサ551bの各画素によって受光されて信号が得られる。この場合、CCDセンサ551aの各画素からは図6(c)に示す信号が得られ、CCDセンサ551bの各画素からは図6(e)に示す信号が得られることになる。
何れのCCDセンサ51a、51b、551a、551bにおいても、微細構造部分84の長さWが約0.7μm以上になっても、この微細構造部分84から発生する散乱光の出力と約0.2〜0.3μmから発生する散乱光の出力との間に大きく差をだすことが可能となり、容易に閾値Th4を設定することが可能となる。それは図5において説明したように、斜方照明107bによるパターンの微細構造部分104から発生する散乱光の大きさが、斜方照明107aによるパターンの微細構造部分104から発生する散乱光の大きさのおよそ1/2〜1/4になるからである。即ち、微細構造部分84の長さWが約0.7μm以上になっても、図6(e)に示す斜方照明106bによる出力102dを非常に小さくできるので、閾値Th4を低くすることができる。
【0056】
そして、2値化判定回路52aにおいて、CCDセンサ51aの各画素から得られる信号に対して、設定された閾値Th4によって2値化信号に変換する。2値化判定回路52bにおいても、CCDセンサ51bの各画素から得られる信号に対して、設定された閾値Th4によって2値化信号に変換する。2値化判定回路552aにおいても、CCDセンサ551aの各画素から得られる信号に対して、設定された閾値Th4によって2値化信号に変換する。2値化判定回路552bにおいても、CCDセンサ551bの各画素から得られる信号に対して、設定された閾値Th4によって2値化信号に変換する。更に論理積回路57において、2値化判定回路52a、52b、552aおよび552bからの4つの論理出力の積をとることによって、0.2〜0.3程度までの微小異物については論理積がとれ、微細構造部分84については論理積がとれないことにより、0.2〜0.3程度までの微小異物について微細構造部分84と弁別した論理出力“1”を得ることができる。その理由は、図2に110bで示すように微細構造部分84に対して直角方向から斜方照明(図3(a)においては106a、図4(a)においては105a)による微細構造部分84からの散乱光の強度が、109aで示すように0.2〜0.3μm程度の微小異物から発生する散乱光の強度より越えることがあるが、110aで示すように微細構造部分84に対して直角方向から斜方照明(図3(a)においては105a、図4(a)においては106a)による微細構造部分84からの散乱光の強度が、109aで示すように0.2〜0.3程度の微小異物から発生する散乱光の強度よりも小さくなり、しかも図5において説明したように、斜方照明107bによるパターンの微細構造部分104から発生する散乱光の大きさが、斜方照明107aによるパターンの微細構造部分104から発生する散乱光の大きさのおよそ1/2〜1/4になるからである。即ち、論理積回路57において、4方向の斜方照明による散乱光の出力の論理積をとれば、微小異物検出のための2値化閾値Th4は、4つの散乱光の出力のうち、最も小さい散乱光の出力よりも大きければよいので、図6(b)〜(e)に示すように非常に低く設定することができ、さらに微細な異物の検出が可能となる。
【0057】
また、直交する4つの斜方照明の光源の波長をそれぞれ異なるものとしておけばその散乱光を波長分離用フィルタ等の波長分離光学系により簡単に分離することができるため、直交する4つの斜方照明による0.2〜0.3μm程度までの微小異物の検出を同時に行え、検出判定も実時間で行うことができる。
なお、ここでは空間フィルタ41、444に1次元(直線状遮光帯)のものを利用することとして説明を行なったが、空間フィルタはこれに限らず、2次元(周期性を持つ遮光帯)でも、あるいはパターンからの散乱光(の下部分)を遮光できるものであれば、どのような形式でも良い。
また、ここでは、空間フィルタ41、444を通過後、散乱光を検出器上に結像するものとして説明を行なったが、本発明に係るパターンの微細構造部分から発生する散乱光の大きさが照明方向によって大きく変化することを利用する形式であれば、必ずしも結像させる必要はなく、結像せずに散乱光を検出する方式でも良い。
【0058】
次に、本発明に係る他の実施の形態について図23を用いて説明する。図23に示す構成は、レチクル、マスク等の光を透過する基板上に遮光膜でパターンが形成された被検査対象物上の微小異物検出に有効な方法である。図23に示す構成において、被検査対象物6の表面側(パターン80の面側)からの斜方照明系3と被検査対象物6の裏面側からの斜方照明系2’との各々から520nm〜360nmよりも短い波長で、且つ互いに波長を異ならして、斜方照明106aと斜方照明128とを直交する2方向から、基板79上に微細構造部分82、84および直線部分81のエッジを有するパターン80を形成した被検査対象物6に対して検査視野15の全域Sに焦点が結ぶように行う。その結果、被検査対象物6上の微小異物からの散乱光(一次以上の回折光)およびパターン80のエッジからの散乱光(一次以上の回折光)が高NAの対物レンズ41の瞳に入射する。そして、波長分離用プリズム42によって、表面側からの斜方照明106aによる散乱光と裏面側からの斜方照明108による散乱光とに分離されて各々の散乱光が分岐された第1および第2の光路にそって進むことになる。
一方第1の光路においてフーリエ変換面に設置された空間フィルタ44により、斜方照明106aによる散乱光の内パターン80のエッジの直線部分(照射方向に対して直角方向を向いた直線部分)81から発生する散乱光(回折光)が遮光されて、空間フィルタ44を通過した散乱光(微小異物70からの散乱光とパターン80のエッジにおける微細構造部分82、84からの散乱光とからなる。)がCCDセンサ51の各画素上に結像されて、CCDセンサ51の各画素によって受光されて信号が得られる。この場合、CCDセンサ51の各画素からは図7(b)に示す信号が得られることになる。
他方第2の光路においてフーリエ変換面に設置された空間フィルタ444により、斜方照明108による散乱光の内パターン80のエッジの直線部分(照射方向に対して直角方向を向いた直線部分)81から発生する散乱光(回折光)が遮光されて、空間フィルタ444を通過した散乱光(微小異物70からの散乱光とパターン80のエッジにおける微細構造部分82、84からの散乱光とからなる。)がCCDセンサ551の各画素上に結像されて、CCDセンサ551の各画素によって受光されて信号が得られる。この場合、CCDセンサ551の各画素からは図7(c)に示す信号が得られることになる。
【0059】
そして、2値化判定回路52において、CCDセンサ51の各画素から得られる信号に対して、設定された閾値Th5によって2値化信号に変換する。2値化判定回路552においても、CCDセンサ551の各画素から得られる信号に対して、設定された閾値Th6によって2値化信号に変換する。このように2値化判定回路552から得られる2値化信号のみで、基板光透過部分に存在する微小異物を検出することができる。その理由は、パターン面の裏面側から斜方照明108をすることにより、基板光透過部分に存在する微小異物から発生する出力の大きい前方散乱光が対物レンズ41に入射されることになり、上記微小異物が0.2〜0.3程度であっても、上記0.2〜0.7μm程度の微細構造部分84からの散乱光の出力よりも大きくなることによるものである。そこで、図23に示すように、2値化判定回路552から得られる2値化信号をブロック処理回路558に入力するように構成している。しかしながら、2値化判定回路552から得られる2値化信号では、パターン80上に存在する微小異物は検出できない。そこで、排他的論理和回路59において、2値化判定回路52および552の各々から得られる2つの論理出力の排他的論理和をとることによって、“0”なる信号としてパターン80上に存在する0.2〜0.3μm程度までの微小異物について高感度で検出することができる。即ち、表面側からの斜方照明106aおよび裏面側からの斜方照明108によりパターン80の微細構造部分82、84から発生する散乱光によって2値化判定回路52および552の各々から得られる信号は、図7(b)および(c)に示すように両方共に“1”なる信号となり、2つの論理出力の排他的論理和をとることができる。また表面側からの斜方照明106aによりパターン80上に存在する微小異物から発生する散乱光によって2値化判定回路52から得られる信号は“1”となり、裏面側からの斜方照明108によりパターン80上に存在する微小異物へは照射されないことにより微小異物から発生する散乱光はなく2値化判定回路52から得られる信号は“0”となり、2つの論理出力の排他的論理和をとることができず、パターン80上に存在する微小異物として検出することができる。他の部分については、CCDセンサ51、551によって受光されないことにより2値化判定回路52および552の各々から得られる信号は、両方共に“0”なる信号となり、2つの論理出力の排他的論理和をとることができ、パターン80の微細構造部分82、84と同じ結果を得ることができる。
すなわち、パターン面の裏面側から斜方照明108をすることにより、基板光透過部分上に存在する異物等の欠陥からは、出力の大きい前方散乱光として検出することができ、その結果、基板光透過部分の検出感度を向上させることができる。また遮光膜であるパターン上に存在する異物等の欠陥に関しては、表面側からの斜方照明106aによる散乱光と、基板平面上ではそれと直交する方向からの裏面側からの斜方照明108による散乱光との排他的論理和をとることで、高感度で検出することができる。その原理については図7を用いて説明した。
【0060】
以上説明した本発明に係る実施の形態は、パターン80の微細構造部分84の方向が0°、90°の2方向の場合を想定したが、微細構造部分の方向がそれ以外の方向も有する場合には、それに応じて斜方照明系および検出器を増やして設ける必要がある。
また、特にアレイ型の検出器51、551において、微小異物の検出・判定を画素単位で行った場合、以下のような不都合が生ずる。
被検査対象物6上での検出器51、551の画素寸法が2×2μmで微小異物の検出・判定を行った場合について説明すると、図24に示すごとく、微小異物が複数(2から4個)の画素間にまたがって検出される条件では、微小異物からの散乱光も複数の画素に分散してしまい、結果として1つの画素の検出出力は1/2〜1/4(実際には、検出器画素間のクロストークの影響で1/3程度)にまで低下してしまい、微小異物の検出率が低下する。また、検出器の画素と微小な異物との位置関係はその寸法から大変微妙であり、毎回の検査で変化する。この場合、同一被検査対象物でも検査ごとに結果が異なり、検出の再現性が低下する。
そこで、図25に示すごとく、検出画素を例えば1×1μmに縮小して行い、CCDセンサ51、551の各々において得られる各画素の隣接する4つの1×1μm画素の検出出力を、4画素加算回路114、124の各々において電気的に加算して、2×2μm画素による検出出力をシミュレートする。これを1μmずつ重複して求め(図25中でa、b、c、d)、最大値(図中でa)を2×2μm画素による代表出力として微小異物の検出判定を行うようにした。このように4画素加算回路114、124を設けることにより、同一微小異物からの検出出力の変動は実績で±10%におさまり、全ての微小異物に対して検出再現性80%以上を確保できる。
【0061】
図26は、4画素加算回路114、124の具体的構成を示すブロック図である。この4画素加算回路114、124は、CCDセンサ51、551として1μmに縮小した場合の画素を512画素並べ、奇数番目の画素からの出力2503と偶数番目の画素の出力2502がそれぞれ別々に出力される(一般的な)1次元型撮像素子で構成した場合を示す。4画素加算回路114、124の各々は、256段シフトレジスタ2501と1段シフトレジスタ2505と加算器2505〜2508により縮小した1画素(1μm)ずつ4方向にシフトした4画素(2×2画素)を加算し、除算器2509〜2512により各々の平均値の平均値を求め、そして最大値判定回路2513によりそ4方向の内の最大値を求め、微小異物からの検出値2514として出力する構成である。
本方式では、光学的な処理により微小異物のみを明るく顕在化し、検出を行うため、設定されたしきい値より検出された信号が大きい場合に「異物有り」と判定(2値化)して異物の検出が可能である。しかし、検出信号には、(1)一次元撮像素子検出器51、551の各画素ごとの感度特性のばらつき(±15%程度)及び(2)照明光源の照度分布に起因する感度ムラ(シェーディング)が存在する。これにより図27に示す様に、同一微小異物でも検出する画素(Y方向の位置)により検出信号の大きさが異なり、閾値による2値化で微小異物を安定に検出することは不可能である。
そこで、シェーディング補正回路113、123の各々は、予め標準試料(図8に示す。)111を用いて、CCDセンサ51、551の各々から得られる上記(1)と(2)を含んだシェーディング(図28(a)に示す。)を測定し、この測定データの逆数を演算したシェーディング補正データ(図28(b)に示す。)を作成する。実際に微小異物70を検出する際には、シェーディング補正回路113、123の各々は、予め作成されたシェーディング補正データによりCCDセンサ51、551の各々から得られる検出信号の増幅器ゲインを各画素ごとに変化させ、シェーディングの影響を無くする(図28(c)に示す。)補正を行う。標準試料111は、図8に示す検査ステージ12上に載置あるいは、検査ステージ12の近傍に設置されるが、シェーディング測定時だけ被検査対象物6に代えて試料台12に載置される構成も可能である。
【0062】
標準試料111は、微小凹凸表面で、均一な散乱特性を有する試料であれば良い。例えば、ガラス基板を研磨し微細な加工痕を付けたものや、ガラス基板に特定の大きさの標準粒子を一様に付着させたもの、アルミニウムをスパッタ処理して基板上に成膜したもの等の微小な凹凸のできる薄膜を付けたものを用いる。ただし、標準試料111上の微小凹凸を画素1×1μmに対して均一に加工することは現実的には困難である。そこで、シェーディングの測定を多数回(たとえば1000回)繰り返した平均値から補正データを求める。
また、微小凹凸からの散乱光には強弱のムラが有るため、単純な平均値(たとえば1000回の繰返しデータを1000で割ったもの)では、その値が小さくなりすぎて、演算の精度が低下する場合がある。このような条件では、割る値を繰返し回数の数分の1(例えば1000回の繰返しで200)にすれば良い。
図28に示す様に、補正前のシェーディング(a)及び補正後(c)を比較すると、補正前には50%程度存在したシェーディングが5%以下に補正されている様子がわかる。
なお、上記補正データを毎回の検査ごとに再測定・更新すれば、照明・検出系等が時間的に不安定でも、光学的な変動成分を除去することができる。
【0063】
図29には、シェーディング補正回路113,123の具体例のブロック図を示す。シェーディング補正回路113,123の各々は、CCDセンサ51、551の各々からの検出値をA/D変換(ここでは256階調、8bit)し、このA/D変換した値3212からCCDセンサ(一次元撮像素子)の暗電流部分の値を、各画素ごとに同期回路3205により制御されるメモリ3206からのデータによって減算する減算回路3209と、シェーディング補正倍率を、各画素ごとに同期回路3205により制御されるメモリ3207からのデータによって乗算する乗算回路3210と、CCDセンサの検出値をA/D変換(ここでは256階調、8bit)した値3212の2倍のbit数(ここでは16bit)になった乗算結果をもとのbit数(ここでは8bit)に戻す中位bit出力回路3211とからなる。同図からも判るように本実施例は、デジタル回路によって補正を行う例であるが、A/D変換前にアナログ的に補正を行っても同様の結果が得られる。
異物判定を例えば1×1μmの画素単位で行っている場合、1μm以上の大きさの異物が存在した場合、異物を検出した画素の数は、実際の異物の個数と異なることになる。仮に5μmの大きさの異物が1個存在した場合、(5μm/1μm)=25個程度の画素数で検出されることになりこのままでは、検出した異物を観察しようとした場合、25個検出結果全てを確認する必要が有り、不都合が生じる。
この不都合を回避するために、ソフトウェア的に、異物を検出した画素間の連結関係を調べ、画素が隣接している場合には、「1個の異物を検出した」と判断するグルーピング処理機能により行うことができる。しかしこの方法では、ソフトウェア的な処理を必要とするため、検出信号が多数の場合に処理に多大な時間(例えば検出信号1000個で約10分)を要し新たな不都合を生じる。
【0064】
そこで、ブロック処理回路58、558の各々において、全検査領域を1度に観察のできる視野範囲(例えば32×32μm)のブロックに分割し、同一のブロック内の検出信号をすべて同一の異物として判定(ブロック処理)する様にした。これにより、大きな異物でもその形状に関係無く、1度で視野範囲内に収めて、観察・確認が可能となる。
ブロック処理回路58、558の各々におけるブロック処理は、機能からすると簡易なグルーピング処理であるが、ハードウェア化が容易であるという特徴を有する。ブロック処理のハードウェア化により処理が実時間で行われ、検査時間を含めた装置のスループットを大幅(検出信号1000個の場合、比で2/3以下)に向上することができる。
図30にはブロック処理回路58、558の具体例のブロック図を示す。図30には、CCDセンサ51、551の各々からの検出信号を、その値によって大、中、小、の3ランクの異物に分類し、検出器画素の16画素×16画素=256画素を1ブロックとして、ブロック毎に大、中、小異物の個数をカウントし、1ブロック内の異物の個数が0以上の場合にのみ、異物メモリに対して、1ブロック内の、ランク毎の異物個数と、1ブロック内での検出器信号の最大値と、ブロックの座標を書き込むためのブロック処理回路を示す。
【0065】
ラッチ4201にはCPU54から検出すべき異物の個数が設定される。これは、あまりに検出異物の個数が多い場合には、検査を続行することの意義が小さいため、異物検査を途中で打ち切る判定とする個数である。この回路では、検出された異物の個数は、結果としてカウンタ4221で計数されるので、検査途中打ち切りの判定はラッチ4201の内容とカウンタ4221の内容とを比較器4221で比較することにより行われる。
ラッチ4202には、検出器信号の値がラッチ4202以上である場合に、検出器信号が大異物からの信号であると考えられる値がCPUにより設定される。検出器信号は、ラッチ4202の設定値と比較器4212によって比較され、ラッチ4202の設定値以上の場合、大異物と判定され、カウンタ4222で計数される。
ラッチ4203には、検出器信号の値がラッチ4203以上である場合に、検出器信号が中異物からの信号であると考えられる値がCPUにより設定される。検出器信号は、ラッチ4203の設定値と比較器4213によって比較され、ラッチ4203の設定値以上の場合、中異物と判定され、カウンタ4223で計数される。
【0066】
ラッチ4204には、検出器信号の値がラッチ4204以上である場合に、検出器信号が小異物からの信号であると考えられる値がCPUにより設定される。検出器信号は、ラッチ4204の設定値と比較器4214によって比較され、ラッチ4204の設定値以上の場合、小異物と判定され、カウンタ4224で計数される。
以上の動作では、大異物は、中異物用カウンタ4223と小異物用カウンタ4224にも重複して計数される。また、中異物は、小異物用カウンタ4224にも重複して計数される。よって、小異物の実数は、本ブロック処理回路から出力された値から中異物の値を引いたものであり、中異物の実数は、本ブロック処理回路から出力された値から大異物の値を引いたものである。このことは、検出結果の表示または出力時に注意すれば良い事であるが、比較回路を2段に設けて、大異物用の設定値と中異物用の設定値の中間にあるものだけを中異物と判定し、中異物用の設定値と小異物用の設定値の中間にあるものだけを小異物と判定する様にすれば、本ブロック処理回路の出力値をそのまま表示または出力することもできる。
【0067】
CCD検出器等の一次元検出器アレイ51、551からの信号を2次元的な面積(この例では、16画素×16画素)でブロック処理するのが、加算器4232、4233、4234、およびシフトレジスタ4242、4243、4244である。シフトレジスタの段数は、(CCDアレイの画素数)/(ブロック処理の一辺の画素数)で求められ、この例では、CCDアレイの画素数が256画素、ブロック処理の一辺の画素数が16画素であるので、256/16=16となり、この例では16段シフトレジスタが用いられている。
この例では、シフトレジスタの段数が、16段であり、ブロック処理の1辺の画素数と同一になっているが、これは上記のようにCCDアレイの画素数とブロック処理の1辺の画素数から求められた画素数が、偶然同一だったためであり、シフトレジスタの段数とブロック処理の1辺の画素数とは独立である。但し、(CCDアレイの画素数)/(ブロック処理の一辺の画素数)が整数とならない場合には、更に処理回路が複雑になるため、可能な限り、(CCDアレイの画素数)/(ブロック処理の一辺の画素数)が整数となるように、CCDアレイの画素数およびブロック処理の一辺の画素数を定めるのが望ましい。
【0068】
大異物カウンタ4222の内容は、1ブロックの1辺(この例では16画素)毎にクリア(ゼロリセット)される。クリア信号は検出器のY方向の1画素毎に出されるクロックを16分周することにより得る。クリアされる直前の計数値(Y方向16画素分の計数値)は、加算器4232によって大異物用16段シフトレジスタ4242の出力端に出力された値と加算されて大異物用16段シフトレジスタ4242の入力端に入力される。ここで大異物用16段シフトレジスタ4242の内容は、1段シフトされる。大異物用16段シフトレジスタ4242の内容は、検出器のY方向の1画素毎に出されるクロックを16分周したクリア信号でシフトされるので、結果的にY方向の16画素毎に1段シフトされる。そして16段シフト後に再び出力端に現れる。この時、CCDアレイは、1画素X方向に移動しているので、シフトレジスタ4242内容には、加算器4232によってY方向16画素分の検出大異物個数が加算される。大異物用16段シフトレジスタ4242の内容は、X方向の1画素移動毎に出力されるエンコーダのパルスを16分周して得られる信号によりクリアされる。即ち、X方向の16画素毎にクリアされる。従って、クリアされる直前の大異物用16段シフトレジスタ4242には16画素×16画素分の検出大異物の個数が蓄えられている。よって、個数が0個より大きいことを比較器4215で判定し、異物メモリへ異物の個数およびブロック座標を出力する。但し、比較器4215と比較すべき検出異物個数は、大、中、小、の異物の個数のすべてを含んでいる(前述)小異物の検出個数である。
ここでは、大異物用の個数を例にとり説明を行ったが、中異物、小異物用の回路も動作は同じである。
【0069】
次に、1つのブロック内での、検出器信号の最大値を求める回路に関しても、16画素×16画素の処理を、Y方向16画素毎のクリア信号と、X方向16段のシフトレジスタ4245を用いている点で検出個数の計数と同様である。但し、この部分では、目的が最大値検出なので、CPUにより設定されるラッチ4201、4202、4203およびカウンタ4222、4223、4224に代えて、Y方向16画素内の最大値を保持するラッチ4205を、加算器4232、4233、4234に代えて比較器4217およびセレクタ4251を用いる点が異なる。
以上説明したように、被検査対象物がペリクル膜を貼付た枠を装着し、表面に微細構造部分82、84のエッジを有するパターンを形成したレチクル上の場合には、微小異物等の微小欠陥検査装置の実施の形態により、露光する前の検査工程において上記レチクルの表面に0.2〜0.3μmまでの微小異物が存在しないか否かについて検査され、次に0.2〜0.3μmまでの微小異物が存在しないことが確認されたペリクル膜が装着されたレチクルが投影露光装置のレチクルステージに搬入され、露光工程においてレチクル上に形成されたパターンが露光光により投影露光光学系で被露光基板に転写されて露光される。
また被検査対象物が、表面に微細構造部分82、84のエッジを有するパターンを形成した半導体ウエハや液晶基板等の半導体基板の場合には、微小異物等の微小欠陥検査装置の実施の形態により、半導体基板の表面に微小異物等の微小欠陥について検査され、その結果が、半導体基板の前工程(例えばスパッタやCVD等の成膜工程や、エッチング工程)や後工程(組立工程やモールド工程)にフィードバックされて半導体基板が高歩留まりで製造される。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、半導体ウエハおよびホトマスク、レチクル、液晶基板等の被検査対象物において、近年のLSI高集積化に伴ってミクロンオーダー、サブミクロンオーダーの微細構造部分を有するパターンを表面に形成した被検査対象物の表面上に付着したサブミクロンオーダーの微小な異物等の微小欠陥を、簡単な構成で、上記微細構造部分を有するパターンから分離して検出することができる顕著な効果を奏する。
また、本発明によれば、表面にパターンの形成されたレチクル等の被検査対象物上に付着した0.2〜0.3μm程度のサブミクロンオーダーの微小な異物等の欠陥を簡単な構成でエッジに0.2μm程度までの微細構造部分を有するパターンから分離して検出することができる顕著な効果を奏する。
【0071】
また、本発明によれば、近年のLSI高集積化に伴ってミクロンオーダー、サブミクロンオーダーの微細構造部分を有するパターンを表面に形成したレチクルの表面上に付着したサブミクロンオーダーの微小な異物等の微小欠陥を、簡単な構成で、上記微細構造部分を有するパターンから分離して検出することを可能にして、上記微小欠陥のないレチクル上のミクロンオーダー、サブミクロンオーダーの微細構造部分を有するパターンを投影光学系で被露光基板上に露光して高歩留まりを実現することができる効果を奏する。
また、本発明によれば、近年のLSI高集積化に伴ってミクロンオーダー、サブミクロンオーダーの微細構造部分を有するパターンを表面に形成した半導体ウエハや液晶基板等の半導体基板の表面上に付着したサブミクロンオーダーの微小な異物等の微小欠陥を、簡単な構成で、上記微細構造部分を有するパターンから分離して検出することを可能にして、半導体基板を高歩留まりで製造することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る微細構造部分を有するパターンを示す図である。
【図2】本発明に係るパターンの微細構造部分84の長さWと径が0.34μmおよび0.25μmの標準粒子とにおいて検出器が検出する散乱光の出力を示す図である。
【図3】本発明に係る論理積検出の基本原理を示す図で、(a)は微細構造部分102および微小標準粒子101に対して互いに直交する第1および第2の斜方照明105a、106aをする状態を示す平面図、(b)は第1の斜方照明105aによって得られる散乱光の出力を示す図、(c)は第2の斜方照明106aによって得られる散乱光の出力を示す図である。
【図4】本発明に係る論理積検出の基本原理を示す図で、(a)は微細構造部分103および微小標準粒子101に対して互いに直交する第1および第2の斜方照明105a、106aをする状態を示す平面図、(b)は第1の斜方照明105aによって得られる散乱光の出力を示す図、(c)は第2の斜方照明106aによって得られる散乱光の出力を示す図である。
【図5】本発明に係る論理積検出の基本原理を示す図で、(a)は微細構造部分104および微小標準粒子101に対して互いに対向する斜方照明107a、107bをする状態を示す平面図、(b)は斜方照明107aによって得られる散乱光の出力を示す図、(c)は斜方照明107baによって得られる散乱光の出力を示す図、(d)は対向斜方照明107a、107bによって得られる散乱光の合成出力を示す図である。
【図6】本発明に係る4方向斜方照明の論理積検出の基本原理を示す図で、(a)は微細構造部分102および微小標準粒子101に対して4つの方向からの第1の斜方照明105a、105bおよび第2の斜方照明106a、106bをする状態を示す平面図、(b)は第1の斜方照明105aによって得られる散乱光の出力を示す図、(c)は第2の斜方照明106aによって得られる散乱光の出力を示す図、(d)は対向第1の斜方照明105bによって得られる散乱光の出力を示す図、(e)は対向第2の斜方照明106bによって得られる散乱光の出力を示す図である。
【図7】本発明に係る表面側から微細構造部分102に対して平行な方向からの斜方照明106aと裏面側からの直角な斜方照明108による排他的論理和検出の基本原理を示す図で、(a)は微細構造部分102および微小標準粒子101に対して表面側からの斜方照明106aと裏面側からの斜方照明108をする状態を示す平面図、(b)は表面側からの斜方照明106aによって得られる散乱光の出力を示す図、(c)は裏面側からの斜方照明108によって得られる散乱光の出力を示す図である。
【図8】本発明に係る微小欠陥検査装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図9】本発明に係るレチクルに対してCCD投影部の走査状況を示す図である。
【図10】斜方照明系の具体的な一実施の形態を示す構成図である。
【図11】本発明に係るレチクルの検査状況を説明するための図である。
【図12】対物レンズの周囲に沿って照明光を導いて対物レンズの周囲から斜方照明を行う実施の形態を示す図である。
【図13】本発明に係る斜方照明によってパターンのエッジおよび微小異物から発生する散乱光の対物レンズに入射し、空間フィルタによってパターンの直線部分のエッジから生じる散乱光を遮光し、空間フィルタを通してCCDセンサに結像して受光される散乱光の状態を説明するための図である。
【図14】本発明に係る斜方照明によって微小異物からの散乱光の対物レンズに入射する状態を説明するための図である。
【図15】本発明に係る斜方照明によって微小異物からの0次、1次回折光の発生状態を示す図である。
【図16】本発明に係る対物レンズについてのNAの定義を示した図である。
【図17】異物からの散乱光強度に比例する散乱光断面積を異物径dに対して示した図である。
【図18】パターンにおける角度パターンを示した図である。
【図19】本発明に係るフーリエ変換面上における散乱光および回折光の分布状況を示す図である。
【図20】パターンの微細構造部分の一つの実施例であるコーナー部を示す図である。
【図21】微小異物からの散乱光検出出力値とパターンの微細構造部分からの検出出力値との関係を説明するための図である。
【図22】本発明に係る微小欠陥検査装置の他の実施の形態を示す構成図である。
【図23】本発明に係る微小欠陥検査装置の更に他の実施の形態を示す構成図である。
【図24】4画素加算処理を行わずに2×2μm画素で異物を検出した場合を説明するための図である。
【図25】本発明に係る4画素加算回路において行う4画素加算処理によって1×1μm画素で異物の検出を行った場合を説明するための図である。
【図26】本発明に係る4画素加算処理回路の具体的構成を示すブロック図である。
【図27】シェーディングによる微小異物検出への影響を示した図である。
【図28】本発明に係るシェーディングの原理を示した図で、(a)はシェーディング補正前の検出出力を示す図、(b)はシェーディング補正データを演算した結果を示す図、(c)はシェーディング補正後の検出出力を示す図である。
【図29】本発明に係るシェーディング補正回路の具体的構成を示すブロック図である。
【図30】本発明に係るブロック処理回路の具体的構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
1…検査ステージ部、 2、20…第1の斜方照明系、 2’…裏面側からの斜方光学系、 3、30…第2の斜方照明系、 21、21’、201、31、301…光源、 4…検出光学系、 6…被検査対象物(基板)、 10…zステージ、 11…xステージ、 12…yステージ、 14…焦点位置検出用の制御系、 41…対物レンズ、 42…波長分離用プリズム、 43…フィールドレンズ、 45、455…結像レンズ、 44、444…空間フィルタ、 5…信号処理系、 46、446…ハーフミラー、 47a、47b…波長分離用フィルタ、 447a、447b…波長分離用フィルタ、 51、51a、51b…第1の検出器(CCDセンサ)、 551、551a、551b…第2の検出器(CCDセンサ)、 113、113a、113b、123、123a、123b…シェーディング補正回路、 114、114a、114b、124、124a、124b…4画素加算回路、 52、52a、52b、552、552a、552b…2値化判定回路、 57…論理積回路、 58、58a、58b、558、558a、558b…ブロック処理回路、 54…マイクロコンピュータ、 55…表示手段、 59…排他的論理和回路、 70…微小異物、 79…基板、 80…パターン(回路パターン)、 81…直線部分、 82…微細構造部分(コーナー部) 84…微細構造部分(微小変化部分)、 101…標準粒子(微小異物)、 102、 103…微細構造部分(微小変化部分)、105a、105b…第1の斜方照明、 106a、106b…第2の斜方照明、 108…裏面側からの斜方照明

Claims (14)

  1. 表面にパターンが形成された基板上の所望の個所に、第1の照明光を表面側から前記パターンを構成する主要な直線群の直線方向に対してほぼ同じ方向から斜方照射すると共に第2の照明光を表面側から前記主要な直線群の直線方向に対してほぼ直交する方向から斜方照射し、前記基板の表面から発生する散乱光を集光光学系で集光して前記第1の照明光による散乱光と前記第2の照明光による散乱光とに波長分離し、該波長分離後の各フーリエ変換面上に設けた空間フィルタによりパターンからの散乱光を遮光し、空間フィルタを通過したそれぞれの散乱光を第1および第2の検出器の各々で同時に受光して信号に変換し、該第1および第2の検出器の各々から同時に得られる信号を比較して、両方の信号が所望の閾値を越えている場合には前記基板の表面に存在する微小欠陥と判定し、何れかの信号が所望の閾値を越えていない場合には前記パターンの微細構造部分からなるエッジと判定することにより前記微小欠陥を前記エッジと弁別して検出することを特徴とする微小欠陥検査方法。
  2. 表面にパターンが形成された透明基板上の所望の個所に、第1の照明光を表面側から前記パターンを構成する主要な直線群の方向に対してほぼ直交する方向から斜方照射すると共に第2の照明光を裏面側から前記主要な直線群の直線方向に対してほぼ同じ方向から斜方照射し、前記透明基板の表面から発生する散乱光を集光光学系で集光して前記第1の照明光による散乱光と前記第2の照明光による散乱光とに波長分離し、該波長分離後の各フーリエ変換面上に設けた空間フィルタによりパターンからの散乱光を遮光し、空間フィルタを通過したそれぞれの散乱光を第1および第2の検出器の各々で受光して信号に変換し、該第1および第2の検出器の各々から得られる信号を比較して前記透明基板の表面に形成されたパターン上に存在する微小欠陥を前記パターンの微細構造部分からなるエッジと弁別して検出することを特徴とする微小欠陥検査方法。
  3. 表面にパターンが形成された透明基板上の所望の個所に、第1の照明光を表面側から前記パターンを構成する主要な直線群の方向に対してほぼ直交する方向から斜方照射すると共に第2の照明光を裏面側から前記主要な直線群の直線方向に対してほぼ同じ方向から斜方照射し、前記透明基板の表面から発生する散乱光を集光光学系で集光して前記第1の照明光による散乱光と前記第2の照明光による散乱光とに波長分離し、該波長分離後の各フーリエ変換面上に設けた空間フィルタによりパターンからの散乱光を遮光し、空間フィルタを通過したそれぞれの散乱光を第1および第2の検出器の各々で受光して信号に変換し、少なくとも該第2の検出器から得られる信号に基いて透明基板部分に存在する微小欠陥を検出し、前記第1および第2の検出器の各々から得られる信号を比較して前記透明基板の表面に形成されたパターン上に存在する微小欠陥を前記パターンの微細構造部分からなるエッジと弁別して検出することを特徴とする微小欠陥検査方法。
  4. 表面にパターンが形成された基板上の所望の個所に、第1の照明光を表面側から前記パターンを構成する主要な直線群の直線方向に対してほぼ同じ方向から斜方照射する第1の斜方照明系と、前記所望の個所に、第2の照明光を表面側から前記主要な直線群の直線方向に対してほぼ直交する方向から斜方照射する第2の斜方照明系と、前記基板の表面から発生する散乱光を集光する集光光学系と、該集光光学系で集光された散乱光を前記第1の照明光による散乱光と前記第2の照明光による散乱光とに波長分離する波長分離光学系と、該波長分離光学系で波長分離された各散乱光についてパターンからの散乱光を遮光するように各フーリエ変換面上に設けた第1および第2の空間フィルタと、該各空間フィルタを通過したそれぞれの散乱光を同時に受光して信号に変換する第1および第2の検出器と、該第1および第2の検出器の各々から同時に得られる信号を比較して、両方の信号が所望の閾値を越えている場合には前記基板の表面に存在する微小欠陥と判定し、何れかの信号が所望の閾値を越えていない場合には前記パターンの微細構造部分からなるエッジと判 定することにより前記微小欠陥を前記エッジと弁別して検出する判定手段とを備えたことを特徴とする微小欠陥検査装置。
  5. 前記判定手段は、第1および第2の検出器の各々から得られる信号を所望の閾値で2値化信号に変換する第1および第2の2値化判定回路と、該第1および第2の2値化判定回路の各々から得られる2値化信号の論理積をとる論理積回路とを有することを特徴とする請求項4記載の微小欠陥検査装置。
  6. 前記第1および第2の斜方照明系の各々を、相対向する一対の斜方照明系で構成したことを特徴とする請求項4記載の微小欠陥検査装置。
  7. 前記第1の斜方照明系で照射される第1の照明光と第2の斜方照明系で照射される第2の照明光との波長を異ならしめて構成したことを特徴とする請求項4記載の微小欠陥検査装置。
  8. 表面にパターンが形成された透明基板上の所望の個所に、第1の照明光を表面側から前記パターンを構成する主要な直線群の直線方向に対してほぼ直交する方向から斜方照射する第1の斜方照明系と、前記所望の個所に、第2の照明光を裏面側から前記主要な直線群の直線方向に対してほぼ同じ方向から斜方照射する第2の斜方照明系と、前記透明基板の表面から発生する散乱光を集光する集光光学系と、該集光光学系で集光された散乱光を前記第1の照明光による散乱光と前記第2の照明光による散乱光とに波長分離する波長分離光学系と、該波長分離光学系で波長分離された各散乱光についてパターンからの散乱光を遮光するように各フーリエ変換面上に設けた第1および第2の空間フィルタと、該各空間フィルタを通過したそれぞれの散乱光を受光して信号に変換する第1および第2の検出器と、該第1および第2の検出器の各々から得られる信号を比較して前記透明基板の表面に形成されたパターン上に存在する微小欠陥を前記パターンの微細構造部分からなるエッジと弁別して検出する判定手段とを備えたことを特徴とする微小欠陥検査装置。
  9. 前記判定手段は、第1および第2の検出器の各々から得られる信号を所望の閾値で2値化信号に変換する第1および第2の2値化判定回路と、該第1および第2の2値化判定回路の各々から得られる2値化信号の排他的論理和をとる排他的論理和回路とを有することを特徴とする請求項8記載の微小欠陥検査装置。
  10. 前記第1の斜方照明系で照射される第1の照明光と第2の斜方照明系で照射される第2の照明光との波長を異ならしめ構成したことを特徴とする請求項8記載の微小欠陥検査装置。
  11. 表面にパターンが形成された透明基板上の所望の個所に、第1の照明光を表面側から前記パターンを構成する主要な直線群の直線方向に対してほぼ直交する方向から斜方照射する第1の斜方照明系と、前記所望の個所に、第2の照明光を裏面側から前記主要な直線群の直線方向に対してほぼ同じ方向から斜方照射する第2の斜方照明系と、前記透明基板の表面から発生する散乱光を集光する集光光学系と、該集光光学系で集光された散乱光を前記第1の照明光による散乱光と前記第2の照明光による散乱光とに波長分離する波長分離光学系と、該波長分離光学系で波長分離された各散乱光についてパターンからの散乱光を遮光するように各フーリエ変換面上に設けた第1および第2の空間フィルタと、該各空間フィルタを通過したそれぞれの散乱光を受光して信号に変換する第1および第2の検出器と、該第2の検出器から得られる信号に基いて前記透明基板部分に存在する微小異物を検出し、前記第1および第2の検出器の各々から得られる信号を比較して前記基板の表面に形成されたパターン上に存在する微小欠陥を前記パターンの微細構造部分からなるエッジと弁別して検出する判定手段とを備えたことを特徴とする微小欠陥検査装置。
  12. 表面にパターンが形成されたレチクル上の所望の個所に、第1の照明光を表面側から前記パターンを構成する主要な直線群の直線方向に対してほぼ同じ方向から斜方照射すると共に第2の照明光を表面側から前記主要な直線群の直線方向に対してほぼ直交する方向から斜方照射し、前記レチクルの表面から発生する散乱光を集光光学系で集光して前記第1の照明光による散乱光と前記第2の照明光による散乱光とに波長分離し、該波長分離後の各フーリエ変換面上に設けた空間フィルタによりパターンからの散乱光を遮光し、空間フィルタを通過したそれぞれの散乱光を第1および第2の検出器の各々で同時に受光して信号に変換し、該第1および第2の検出器の各々から同時に得られる信号を比較して、両方の信号が所望の閾値を越えている場合には前記レチクルの表面に存在する微小欠陥と判定し、何れかの信号が所望の閾値を越えていない場合には前記パターンの微細構造部分からなるエッジと判定することにより前記微小欠陥を前記エッジと弁別して検出する微小欠陥検査工程と、
    該微小欠陥検査工程で表面に微小欠陥のないレチクルに対して露光光を照射して前記パターンを投影光学系により被露光基板に投影露光する露光工程とを有することを特徴とする露光方法。
  13. 表面にパターンが形成されたレチクル上の所望の個所に、第1の照明光を表面側から前記パターンを構成する主要な直線群の方向に対してほぼ直交する方向から斜方照射すると共に第2の照明光を裏面側から前記主要な直線群の直線方向に対してほぼ同じ方向から斜方照射し、前記レチクルの表面から発生する散乱光を集光光学系で集光して前記第1の照明光による散乱光と前記第2の照明光による散乱光とに波長分離し、該波長分離後の各フーリエ変換面上に設けた空間フィルタによりパターンからの散乱光を遮光し、空間フィルタを通過したそれぞれの散乱光を第1および第2の検出器の各々で受光して信号に変換し、該第1および第2の検出器の各々から得られる信号を比較して前記レチクルの表面に形成されたパターン上に存在する微小欠陥を前記パターンの微細構造部分からなるエッジと弁別して検出する微小欠陥検査工程と、
    該微小欠陥検査工程で表面に微小欠陥のないレチクルに対して露光光を照射して前記パターンを投影光学系により被露光基板に投影露光する露光工程とを有することを特徴とする露光方法。
  14. 表面にパターンが形成された半導体基板上の所望の個所に、第1の照明光を表面側から前記パターンを構成する主要な直線群の直線方向に対してほぼ同じ方向から斜方照射すると共に第2の照明光を表面側から前記主要な直線群の直線方向に対してほぼ直交する方向から斜方照射し、前記半導体基板の表面から発生する散乱光を集光光学系で集光して前記第1の照明光による散乱光と前記第2の照明光による散乱光とに波長分離し、該波長分離後の各フーリエ変換面上に設けた空間フィルタによりパターンからの散乱光を遮光し、空間フィルタを通過したそれぞれの散乱光を第1および第2の検出器の各々で同時に受光して信号に変換し、該第1および第2の検出器の各々から同時に得られる信号を比較して、両方の信号が所望の閾値を越えている場合には前記半導体基板の表面に存在する微小欠陥と判定し、何れかの信号が所望の閾値を越えていない場合には前記パターンの微細構造部分からなるエッジと判定することにより前記微小欠陥を前記エッジと弁別して検出し、この検出結果に基いて半導体基板を製造することを特徴とする半導体基板の製造方法。
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