JPH0772093A - 異物等の欠陥検出方法および検査装置 - Google Patents

異物等の欠陥検出方法および検査装置

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JPH0772093A
JPH0772093A JP6139848A JP13984894A JPH0772093A JP H0772093 A JPH0772093 A JP H0772093A JP 6139848 A JP6139848 A JP 6139848A JP 13984894 A JP13984894 A JP 13984894A JP H0772093 A JPH0772093 A JP H0772093A
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light
detection
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illumination
foreign matter
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JP6139848A
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Hiroaki Shishido
弘明 宍戸
Shunichi Matsumoto
俊一 松本
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、ホトマスク等の回路パターン付基
板、特に転写解像度の向上等を目的とした位相シフト膜
を有するレチクル上に付着したサブミクロンオーダーの
微細な異物等の欠陥等の欠陥を安定して検出する装置を
提供することにある。 【構成】試料表面側(2、20、波長約780nm)お
よび試料裏面側(3、30、波長約488nm)から斜
方照明を行い、試料表面側のNA0.4以上の光学系
(41)で、発生する散乱光を集光、照明方向別に波長
分離して、フーリエ変換面上に設けた空間フィルタ(4
4、444)により回路パターンからの回折光を遮光、
検出器(51)上に結像させる検出光学系(4)と、検
出器の検出値を照明むらに合わせて補正する回路(11
3、123)と2×2画素の検出値の加算値を求める回
路および検出器がその周囲4方向へ1画素ずつシフトし
た4つの加算値の最大値を求める回路(114、12
4)と、最大値をの2値化結果の論理積を求める回路
(57)等から構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レチクルやホトマスク
等(以下レチクル等という)の回路パターン上に付着し
た異物等の欠陥を検出する欠陥検査装置に係り、特に、
ディープサブミクロンオーダーの微細な異物等の欠陥
を、簡単な構成で、レチクル等の製造工程およびレチク
ル等の回路パターンをウェハ上に転写する前に行なわれ
る前記レチクル等の異物等の欠陥を検出する検査方法お
よびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】LSI或いはプリント基板などを製造す
るのに使用されるレチクル等の露光工程において、レチ
クル等の回路パターンはウェハ上に焼付転写する前に検
査されるが、該回路パターン上にたとえばミクロンオー
ダーの微小異物が存在している場合においても、該異物
により前記回路パターンがウェハに正常に転写しないこ
とから、LSIチップ全数が不良になる問題がある。こ
の問題点は、最近のLSIの高集積化に伴い一層顕在化
し、より微小のサブミクロンオーダーあるいはそれ以下
のディープサブミクロンオーダー異物の存在も許容され
なくなってきている。上記転写不良防止のため、露光工
程前の異物検査は不可欠であり、レチクル等の管理上、
従来から種々の異物検査技術が提供されているが、レチ
クル等の回路パターンの検査は、レーザ光等の指向性の
良い光源で斜めから照射し、異物から発生する散乱光を
検出する方法が検査速度および感度の点から有利で一般
的に使用されている。ところが上記検査方法において
は、レチクル等の回路パターンのエッジ部からも回折光
が発生するため、この回折光から異物のみを弁別して検
出するための工夫が必要であり、そのための技術が公開
されている。その1は、直線偏光レーザと、特定の入射
角度で該レーザ光を斜めから照射する手段と、偏光板お
よびレンズを用いた斜方集光光学系を特徴とする異物検
査装置(例えば、特開昭54−101390)で、直線
偏光を照射した際、回路パターンからの回折光と異物か
らの散乱光では、光の偏光方向が異なることを利用し、
異物だけを輝かせて検出するものである。その2とし
て、レーザ光を斜方から被検査試料に照射し走査する手
段と、該レーザ光の照射点と集光点面がほぼ一致するよ
うに被検査試料の上方に設けられ、該レーザ光の散乱光
を集光する第1のレンズと、該第1のレンズのフーリエ
変換面に設けられ被検査試料の回路パターンからの規則
的回折光を遮光する遮光板と、遮光板を通して得られる
異物からの散乱光を逆フーリエ変換する第2のレンズ
と、該第2のレンズの結像点に設けられ被検査試料上の
レーザ光照射点以外からの散乱光を遮光するスリット
と、該スリットを通過した異物からの散乱光を受光する
受光器とから構成された異物検査装置が開示されている
(例えば、特開昭59−65428号公報および特開平
1−117024号公報および特開平1−153943
号公報)。この装置は、回路パターンが一般的に視界内
で同一方向か或いは2〜3の方向の組合せで構成されて
いることに着目し、この方向の回路パターンによる回折
光をフーリエ変換面に設置した空間フィルタで除去する
ことにより、異物からの散乱光だけを強調して検出しよ
うとするものである。
【0003】その3は、回路パターンエッジ部で生じた
回折光には指向性があるが、異物による散乱光には指向
性がないことに着目し、試料の表面側および裏面側の斜
方に設置した検出器のそれぞれの検出出力を比較するこ
とで異物の付着面や形状等を判別する構成のものである
(例えば、特開昭58−62543号公報、特開昭63
−33648号公報)。その4は、回路パターンエッジ
からの回折光は或る特定の方向にのみ集中して行くのに
対して、異物からはすべての方向に散乱していくという
現象を利用し、複数の検出器を試料表面側の斜方に配置
して異物を弁別するものである。(例えば、特開昭60
−154634号公報および特開昭60−154635
号公報)また、その5は、1次元固体撮像素子の様なア
レイ状の検出器を使用した場合、アレイを構成する各画
素と画素とにまたがって異物が検出された場合、異物か
らの出力が複数の画素に分散されて検出される。結果と
して、検出器からの出力は分散された分だけ小さなもの
となり、異物を見逃す可能性がある。これを避ける発明
として特開昭61−104242号公報にはアレイ状の
検出器の配置を試料台の走査方向に対して傾斜させる方
法が、また特開昭61−104244号公報、特開昭6
1−104659号公報には、特殊な形状・配列の、ア
レイ状検出器を使用する方法が記述されている。また、
その6は、照明のむらや、変動は、検出の再現性や精度
に影響をおよぼすが、特開昭53−005525号公報
にアレイ状の検出画素に対して照明のむらによる検出の
誤差を補正する基本的な考えが、また、特開昭60−0
38827号公報に散乱光の強度を予め測定した標準試
料を用いて、自動校正する発明が記載されている。ま
た、その7は、レチクル等に異物等の付着防止のために
設けられたペリクル膜のために発生する光損失による検
出出力の変化を補正するため、ペリクルに対して垂直に
ビームを入射し、入射前後の光量比からペリクルによる
光損失(或いは透過率)を測定、検査時の検出値を補正
する発明が特開平4−151663号公報に記載されて
いる。
【0004】また、その8は、特開昭56−13254
9号公報には、大きな異物から発生する多量の散乱光を
多数の小異物からの散乱光と誤認しないための発明が記
載されている。また、目的、構成、効果が異なるが、被
検査試料の表面、裏面からの照明を行う検査方式に関す
る発明が特開昭47−41784号公報および特開昭6
3−33649号公報などに、多種の波長の照明による
検査方式に関する発明が特開昭52−88085号公報
および特開平2−61540号公報に記載されている。
なお、微小異物検査に関連する方法および装置として、
シュリーレン法、位相差顕微鏡、有限の大きさの光源の
回折像等に関する技術が、例えば、久保田 広著、応用
光学(岩波全書)第129頁〜第145頁に記載されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、集積
度の増大にともなって、検出すべき異物等の欠陥が小さ
くなるに従い、LSIの製造に影響をおよぼす異物等の
欠陥の見逃しの増加が問題となり、それに対処すること
が課題となってきた。前記従来技術その1(例えば、特
開昭54−101390)においては、微小異物等の欠
陥からの散乱光の偏光方向と、回路パターンエッジから
の回折光の偏光方向との差異が小さくなることから微小
な異物等の欠陥の弁別検出に対しては新たな考案が求め
られていた。
【0006】つぎに前記従来技術その2(例えば、特開
昭59−65428号公報および特開平1−11702
4号公報および特開平1−153943号公報)は、異
物等の欠陥からの散乱光を遮光板によって回路パターン
からの回折光と分離し、かつスリツトにより異物等の欠
陥からの散乱光のみを検出するもので、異物等の欠陥を
簡単な2値化法により検出するため検出機構が簡単にな
る特徴を有するが、前記回路パターンの交差部分からの
回折光には、直線部分からの回折光のように特定位置に
偏る傾向は小さく、前記空間フィルタにより回路パター
ンの交差部分からの回折光を完全に遮光することはでき
ず、また、近年のLSI高集積化に伴うミクロンオーダ
ーの微細構造パターンを有する回路パターンから発生す
る回折光は、異物等の欠陥からの散乱光と挙動が類似し
てきているため一層前記傾向が強く、簡単な2値化法に
より微小な異物等の欠陥を回路パターンから分離して検
出することが事実上困難であり、新たな考案が求められ
ていた。
【0007】また、前記従来技術その3(例えば、特開
昭58−62543号公報、特開昭63−33648号
公報)および前記従来技術その4(例えば、特開昭60
−154634号公報および特開昭60−154635
号公報)における各装置においては、その装置構成上、
微小な異物等の欠陥に対しては、十分な集光能力を持つ
光学系の採用が困難であり。微小な異物等の欠陥から発
生する微弱な散乱光を検出するのは実際上困難なため、
新たな考案が求められていた。また、前記従来技術その
5(例えば特開昭61−104244や特開昭−104
242)における各装置においては、その構成上特殊な
検出器を特別に製作する必要や、特殊な光学系を構成す
る必要が有り、実用上コストがかさむ問題を有してい
た。また、前記従来技術その6(例えば、特開昭60−
038827)における装置では、高速検出に適したア
レイ状検出器への対応や、微小異物等の欠陥検出に対応
する構成精度の点で、難点を有していた。また、前記従
来技術その7は、近年使用されているペリクル膜上の反
射防止膜の影響で、垂直に入射し測定ビームでは、検出
時の照明ビームの損失を推定することが困難であるた
め、新たな考案が求められていた。
【0008】また、前記従来技術その8(例えば、特開
昭56−132544)における装置では、大異物等の
欠陥の1点だけを代表とするため、特に長細い異物等の
欠陥の形状を正確に認識できない問題点があった。最近
になり、クロム等の金属薄膜で形成されたレチクル上の
回路パターンの転写解像度の向上を目的として、レチク
ル上の回路パターン間に位相シフト膜、あるいは位相シ
フタと呼ばれる透明または半透明薄膜(概ね露光光源の
波長の1/2の奇数倍の膜厚を有する)を設けたレチク
ルが開発された。この膜は、透明または半透明だが、回
路パターン(厚さ0.1μm程度)の数倍の厚さの構造
を有しているため、膜のエッジ部分からの回折光は、従
来の回路パターン、エッジ部からの回折光と比べ、数倍
から数十倍のもの大きな光量となり、相対的に異物等の
欠陥からの微小な散乱光を検出することを困難にし、異
物等の欠陥の検出感度を著しく低下させるという問題が
ある。
【0009】本発明の目的は、上記従来技術の問題点を
解決し、回路パターンを有する透明、または半透明の基
板、特に転写解像度の向上を図った位相シフト膜を有す
るレチクル等の回路パターン上に付着したサブミクロン
オーダーの微細な異物等の欠陥等の欠陥を、簡単な構成
で容易に回路パターンから分離し、安定して検出ことが
できる異物等の欠陥検出方法およびそれを実行する装置
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、ホトマスクやレチクル等の回路パターン
を有する基板上に付着した異物等の欠陥等の欠陥を検出
する欠陥検査装置において、前記基板を載置してX、
Y、Zの各方向へ任意に移動可能なステージ部と、前記
回路パターン面を前記回路パターン面の表面側斜方から
対向し、かつペリクル保持枠とのけられを避けた側の照
明系が点灯する概ね780nmの波長を有する第1およ
び第2の独立した光源を有する照明系と、前記回路パタ
ーン面を前記回路パターン面の裏面側斜方から、基板を
透過して、対向し、かつ前記第1および第2の照明系の
うち点灯している照明系に対抗する側の照明系が点灯す
る概ね488nmの波長を有する第3および第4の独立
した光源を有する照明系と、前記回路パターン面の表面
側に位置し、該各照明系の照射による直接反射光および
直接透過光は集光せず、前記回路パターン上の同一位置
に発生する散乱光および回折光を集光して照射方向別に
波長分離し、分離後の各フーリエ変換面上に設けた空間
フィルタにより回路パターンの直線部分からの回折光を
遮光し、照明された検査領域を検出器上に結像するN.
A.が0.4以上の高開口数の結像光学系と、前記各検
出器の出力をしきい値を設定した2値化回路の2値化結
果と、各2値化結果の論理積により出力される信号によ
り前記回路パターン上の異物等の欠陥データを演算表示
する信号処理系とを備える構成にしたものである。
【0011】
【作用】
表/裏面論理積検出、処理回路、照明の切換 これまで述べたように、位相シフトレチクルをはじめと
する、例えば64MDRAM以降の製造に用いられるレ
チクルの回路パターンと異物を区別して異物だけを検出
することは、従来技術では困難である。
【0012】本発明では、これ等のレチクルの回路パタ
ーンからの散乱光量が照明の方向によって変化すると言
う本発明者によって発見された実験的事実によって上記
問題点を解決している。
【0013】図69、図70はその説明のための断面図
で、図中、6901はレチクル等のホトマスクのガラス
基板、6904は回路パターン面を表面側から照明する
波長λ1の斜方照明光、6905は回路パターン面を裏
面側から斜方照明6904と180°相対して照明する
波長λ2の斜方照明光、6902、7002は回路パタ
ーンのエッジ部分、6942は表面側の斜方照明690
4によって回路パターンのエッジ部分6902から発生
する散乱光、6952は裏面側からの斜方照明6905
によって回路パターンのエッジ部分6902から発生す
る散乱光、7042は表面側の斜方照明6904によっ
て回路パターンのエッジ部分7002から発生する散乱
光、7052は裏面側からの斜方照明6905によって
回路パターンのエッジ部分7002から発生する散乱
光、6903、7003は0.3μm程度の大きさの異
物のモデルである標準粒子、6943は表面側の斜方照
明6904によって標準粒子6903から発生する散乱
光、6953は裏面側からの斜方照明6905によって
標準粒子6903から発生する散乱光、7043は表面
側の斜方照明6904によって標準粒子7003から発
生する散乱光、7053は裏面側からの斜方照明690
5によって標準粒子7003から発生する散乱光を示し
ている。
【0014】レチクル等のホトマスクの回路パターンの
ように微小ながらも断面構造を有する(厚さのある)回
路パターンでは、斜方照明の方向によって、発生する散
乱光の強度が大きく変化する。例えば、図69では、回
路パターンのエッジ部分からの散乱光は、斜方照明69
05による照明で発生する散乱光が大きく、一方、斜方
照明6904による照明で発生する散乱光は小さい。ま
た、異物のごとく、微小な物体で明確な異方性を示さな
い物体からの散乱光は、大きな変化を示さない。
【0015】その様子は、図69中の散乱光の検出出力
(V)を示したグラフのようになり、斜方照明6905
による散乱光では、標準粒子からの散乱光6953より
も回路パターンからの散乱光6952の方が大きく、単
純な2値化しきい値Th2では異物だけを検出すること
はできない。しかし、斜方照明6904による散乱光で
は、標準粒子からの散乱光6943の方が回路パターン
からの散乱光6942よりも大きく、単純な2値化しき
い値Th1で、異物だけを検出することができる。
【0016】図69の場合の方向の回路パターン690
2では、斜方照明6904による散乱光を検出すればよ
いが、回路パターンのエッジの方向はもう一つあり、そ
の場合の様子を図70に示す。
【0017】図70では、回路パターンのエッジ部分か
らの散乱光は、斜方照明6904による照明で発生する
散乱光が大きく、一方、斜方照明6905による照明で
発生する散乱光は小さい。また、異物のごとく、微小な
物体で明確な異方性を示さない物体からの散乱光は、大
きな変化を示さない。
【0018】その様子は、図70中の散乱光の検出出力
(V)を示したグラフのようになり、斜方照明6904
による散乱光では、標準粒子からの散乱光7043より
も回路パターンからの散乱光7042の方が大きく、単
純な2値化しきい値Th1では異物だけを検出すること
はできない。しかし、斜方照明6905による散乱光で
は、標準粒子からの散乱光7053の方が回路パターン
からの散乱光7052よりも大きく、単純な2値化しき
い値Th2で、異物だけを検出することができる。
【0019】図70の場合の方向の回路パターン700
2では、斜方照明6905による散乱光を検出すればよ
いが、図69の場合、図70の場合は、検査中に任意に
現れるため、どちらか一方を選択的に検出する構成には
できない。そこで、本発明で考案された検出方式では、
図69、図70のどちらの場合でも、異物に関しては2
つの斜方照明6904、6905の両方の検出結果にお
いて、2値化しきい値Th1、Th2の両方よりも散乱
光が大きくなっており、また、回路パターンに関して
は、2値化しきい値Th1、Th2の両方よりも散乱光
が大きくなることはない。このため、斜方照明690
4、6905による散乱光をそれぞれ検出し、それぞれ
を2値化しきい値Th1、Th2により2値化してその
論理積を求めれば、異物からの散乱光だけを検出でき
る。
【0020】また、この動作は、2つの斜方照明690
4、6905の光源の波長を異なるものとしておけば、
その散乱光を色分離フィルタ等により簡単に分離するこ
とが出来るため、2つの斜方照明6904、6905に
よる検出を同時に行え、検出判定も実時間で行うことが
できる特長を有する。
【0021】裏面照明系、コヒーレント長、光量バラン
ス、光路長補正、照明位置補正これまでに述べたよう
に、位相シフトレチクルをはじめとする、例えば64M
DRAM以降の製造に用いられるレチクルの回路パター
ンと異物を区別して異物だけを検出することは、従来技
術では困難である。
【0022】本発明では、位相シフタのエッジの影響を
受けずに異物の検出が可能な裏面照明検出方式に関し、
裏面から斜方照明を行った場合に、ガラス基板の厚の種
類によって照明の集光状態や、照明位置が変化するのを
防ぐため、異なるガラス基板を検査する場合にはその厚
みの差の分だけの光路長を与えるためのガラス板をレチ
クルの裏面側に裏面と光学系の間に挿入し、レチクル等
のホトマスクの表面(回路パターン面)までの光路長を
レチクル等のホトマスクの厚みにかかわらず一定にする
ことにより、照明の集光状態や、照明位置が変化を防
ぐ。
【0023】また上記目的は、照明系を低NAの集光
(S/Nでは不利だが)にして、光路長の変化が照明の
集光状態に影響を及ぼしにくくすれば、照明位置の補正
をミラーの角度や位置の変化で補正することによっても
達成される。
【0024】観察用の空間フィルタ、観察用のレーザ斜
方照明 検出されるた異物の寸法が微小な場合(例えば0.3μ
m程度)、確認のため、観察光学系に呼び出しても、通
常の落射または透過照明だけでは観察が困難なことがあ
る。また、このような対象物では通常の暗視野照明を行
っても観察に十分な光量(明るさ)を得るのが難しい。
【0025】このような対象物に対しては、レーザによ
る斜方照明を行って、散乱光を観察するのが実用的であ
る。この場合、検出用のレーザを兼用できればいいが、
検出用のレーザが可視光ではなかった場合には、そのレ
ーザの波長に感度を有するTVカメラ等を介さなければ
ならず、不便である。そこで、検出用とは別に、可視光
色のレーザ照明系を設け、観察時に使用する。このため
には、近年開発された可視光域に発振波長を有するレー
ザダイオードによる照明を用いると、小型で簡便なシス
テムを構築出来て良い。
【0026】また、レーザによる斜方照明では、検出系
と同様に、空間フィルタによる回路パターン散乱光の除
去が可能となる特長を有する。このため、観察系にも必
要に応じて空間フィルタを挿入できる機構にしておけ
ば、異物等の欠陥からの散乱光が強調され、より異物等
の欠陥の確認が容易になる。
【0027】ペリクル用透過率測定 レチクルの回路パターン面を保護する目的で設けられた
ペリクル膜(以下、ペリクル)は、露光光(大抵の場合
近紫外光〜紫外光)に対しては、反射防止膜などの、透
過する光量が減少しないための工夫がなされている。し
かし、これ等の工夫は、露光光に対して最適化されてい
るため、異物等の欠陥検査に用いられる光源に対して
は、一般的に最適化されておらず、検査のための照明光
の減少をもたらす。しかも、その減少の割合は、個々の
ペリクルにより微妙に変化する。そのため、個々のペリ
クルの変化分が、検査の際の判定基準の余裕を小さくし
てしまう問題点を有する。
【0028】垂直にペリクルを透過する光の場合(本発
明においては、試料からの散乱光がこれにあたる)は、
個々の変化量は小さく、問題とはならない。しかし、斜
めに透過する光(本発明においては、試料を照明する斜
方照明光がこれにあたる)では、その影響は大きな問題
となる場合もある。以下に、この問題となる斜めに光が
透過する場合の透過率の測定方式について述べる。
【0029】検査の毎に個々のレチクルのペリクルの透
過率を測定し、検出出力を補正する方式としては、特開
平4−151663号公報に考案の一例がある。それに
よると、垂直に、ペリクルを介してレーザビームを入射
させ、レチクル基板上のクロム膜からの正反射光量を測
定し、入射前の光量との比からペリクル膜の透過率を求
めている。この従来技術では、その測定値が、ペリクル
自身だけでなく、レチクル基板の反射率も含むため、基
板反射率の変化が測定精度に影響を及ぼすことになる。
また、検出用の照明として、本発明のごとく斜方照明を
行う場合には、測定のためのレーザビームも、検査時と
同じ角度で斜方から入射させる必要があり、この従来例
を適用することはできない。
【0030】そこで、本発明では、検出用の波長と同じ
波長で、同じ照明角度で斜方からペリクルに入射させペ
リクル膜からの反射光量を測定、これと照明光源の出力
光量から、ペリクル膜の反射率を測定する。ペリクル膜
の内部損失がないと仮定すれば、 (透過光量)=
(入射光量)−(反射光量) また、 (透過率)=(透過光量)/(入射光量) なので、 (透過率)=((入射光量)−(反射光量))/(入射
光量) で透過率を求め、検出結果を補正できる。
【0031】空間フィルタ幅切換、偏光板 異物等の欠陥などの不規則な形状の物体の付着した試料
に対して、レーザー光等のコヒーレント光で斜方から照
明を行うと、発生する散乱光は、一般的にあらゆる方向
へ発散するか、またはそれに近い状態になる。一方、半
導体の回路パターンなどの規則的な形状のパターンが形
成された試料に対して、レーザー光等のコヒーレント光
で斜方から照明を行うと、発生する散乱光は、回折によ
り特定の方向へ集光する。図71中の写真は、発生する
散乱光パターンを試料の上方から観察した様子を示す。
それぞれの写真は、散乱光の発生点から30°の立体角
の範囲を写したものであり、写真中白い部分が散乱光で
ある。
【0032】図71(A)は、試料上の回路パターンが
直線状の回路パターンだけの場合の散乱光パターン71
01である。この場合、散乱光パターンは、直線状に集
光する。このため、この直線状部分を遮光する幅WAの
直線状空間フィルタ7111により回路パターンからの
散乱光は遮光でき、遮光部分以外の部分から異物等の欠
陥からの発散した散乱光を集光でき、結果として回路パ
ターンと異物等の欠陥を区別して検出することができ
る。
【0033】図71(B)は、試料上の回路パターンが
コーナー部を有し、かつ規則的な回路パターンが一定の
ピッチで整列している回路パターンからの散乱光パター
ン7102である。この場合、散乱光パターンは、直線
状には集光せず、分布する。しかし、その散乱光の大部
分は、中心付近に直線状に集光している。このため、こ
の直線状部分を遮光する、先の幅WAの直線状空間フィ
ルタ7111よりも広い幅WBの直線状空間フィルタ7
112によりの回路パターンからの大部分の散乱光は遮
光でき、遮光部分以外の部分から異物等の欠陥からの発
散した散乱光を集光でき、結果として回路パターンと異
物等の欠陥を区別して検出することができる。
【0034】図71(C)は、図71(B)とは別の試
料上の回路パターンがコーナー部を有し、かつ規則的な
回路パターンが一定のピッチで整列している回路パター
ンからの散乱光パターン7103である。この場合、中
心付近の直線状の集光は、図71(B)の場合より幅が
広いため、この直線状部分を遮光する、先の幅WBの直
線状空間フィルタ7112よりも広い幅WCの直線状空
間フィルタ7113によりの回路パターンからの大部分
の散乱光は遮光でき、遮光部分以外の部分から異物等の
欠陥からの発散した散乱光を集光でき、結果として回路
パターンと異物等の欠陥を区別して検出することができ
る。
【0035】以上のように、直線状空間フィルタの幅を
広くすれば、対応できる回路パターンの種類は増える。
しかし、直線状空間フィルタの幅は、狭いほど異物等の
欠陥からの散乱光が通過する部分が広くなり検出が安定
になるため、直線状空間フィルタの幅は、必要最低限の
幅に抑えることが望ましい。このため、本発明では、複
数の幅の直線状空間フィルタを切り変える機構を設ける
ことを考案した。切り変える直線状空間フィルタの幅は
連続的に変化する必要はなく、離散的に数種類、最低2
〜3種類でも効果のあることが発明者らによる実験で確
認されている。
【0036】また、図71(D)は、図71(B)ある
いは図71(C)とは別の試料上の回路パターンがコー
ナー部を有し、かつ規則的な回路パターンが一定のピッ
チで整列している回路パターンからの散乱光パターン7
104である。回路パターンからの散乱光が離散的に集
光してしまい、直線状空間フィルタでは遮光が不十分と
なる。この場合は、偏光フィルタの利用が効果的である
ことが特開昭54−101390号公報などに記載され
ている。これは、直線状に偏光したレーザによる照明で
発生する、回路パターンからの回折光と異物からの散乱
光では、光の偏光方向が異なることを利用し、異物から
の散乱光のうち、回路パターンと同じ成分を偏光フィル
タにより遮光して、異物だけを輝かせて検出するもので
ある。この検出方法では、検出光の波長以下に微小な異
物では、偏光方向の違いが微小なため、偏光フィルタに
より大部分の散乱光が遮光されてしまい、非常にS/N
を悪化させるため、主たる検出方式として使用するのは
不適当であるが、前述のごとく直線空間フィルタで遮光
することが困難な回路パターンを有する試料に対して補
助的に、前述の直線状空間フィルタと切りかえて用いる
ことは効果的である。
【0037】また、図71(B)あるいは図71(C)
のように回路パターンからの回折光が、中心付近の直線
状の集光と、それ以外の場所への離散的な分布になって
いる場合には、図71(B)あるいは図71(C)のご
とき直線状空間フィルタとその光透過部分には偏光フィ
ルタを配置したハイブリット型のフィルタでも良い。以
上のように、本発明中の検出技術では、試料上の回路パ
ターンのごとき構造物から発生する回折光の状況に合わ
せて、数種類の直線状空間フィルタと、偏光フィルタま
たは直線状空間フィルタ付の偏光フィルタを切りかえて
最適なフィルタにより効率良く異物等の欠陥を検出する
ものである。
【0038】4画素最大値検出および論理和検出 CCDなどのアレイ型の検出器において、異物等の欠陥
の検出・判定を画素単位で行った場合に、異物等の欠陥
が複数(2から4個)の画素間にまたがって検出される
条件では、異物等の欠陥からの散乱光も複数の画素に分
散してしまい、結果として1つの画素の検出出力が複数
の画素間にまたがらない場合に比較して1/2〜1/4
に低下し、検出の再現性が悪化する問題に対して、特開
平5−2262号公報では、検出画素寸法を一辺の長さ
を1/2(面積で1/4)に縮小して行い、各画素の隣
接する4つの画素の検出出力を電気的に加算、目的の画
素による検出出力をシミュレートする4画素加算処理方
式を考案している。
【0039】さて、上記方式では、検出判定を行う画素
寸法(例えば2μm×2μm)に比較して検出すべき異
物等の欠陥の寸法は小さい(例えば0.5μm)場合で
は、4画素加算処理前の検出器の1画素(例えば1μm
×1μm)中に異物等の欠陥が捕らえられさえすれば、
異物等の欠陥からの検出出力は4画素加算処理の前後で
同一である。(なぜなら、4画素加算方式は、前述のご
とく、1画素で捕らえられずに、複数の画素にまたがっ
てしまった場合の補償のための方式であるからであ
る。)この場合、回路パターンからの散乱光は、検出器
の画素の面積(画素寸法)が小さいほど1画素中に入っ
てしまう回路パターンコーナー部分個数(あるいは面
積)が減少するために、回路パターンからの散乱光は減
少することを考えると、画素寸法自体は、小さいほど好
ましく、より高感度な異物等の欠陥の検出が可能とな
る。従って、4画素加算処理方式は、検出の安定性と引
き換えに、検出感度に対して犠牲を払っているとも言え
る。犠牲を払った上で、検出感度が十分ならばこの問題
に対して新たな考案を行う必要はないが、プロセス条件
の変化や、露光方式の変化に追従してより柔軟な検出感
度を有した検査技術とするためには、この問題にも配慮
を行うことが必要である。
【0040】この問題に対しては、4画素加算処理を行
った高安定検出モードと、4画素加算処理を行わない高
感度検出モードとを選択可能にすることにより必要とさ
れる性能に応じて検出方式を切りかえれば良い。
【0041】また、上記2つのモードは、4画素加算処
理の前後で異物等の欠陥の検出判定を行えば、同時に動
作可能であることに着目し、本発明では、同時に動作を
行わせ、2つのモードの検出結果の論理和を求めること
で、高安定検出と高感度検出を同時に行う構成を考案し
た。
【0042】また、上記2つのモードを同期して動作さ
せる際に、4画素加算処理の前後でデータ量が4倍異な
る(処理後は、4画素につき一回データが得られるの
で、データ量が1/4になる)問題を有するが、処理前
のデータのうち隣接する4つの画素のうちの最大値の画
素のデータだけを出力する(4画素につき一回データが
得られるので、データ量が1/4になる)ようにすれ
ば、処理の前後でデータ量が同一となり、論理和を求め
ることが容易となる。
【0043】2画素加算処理 CCDなどのアレイ型の検出器において、異物等の欠陥
の検出・判定を画素単位で行った場合に、異物等の欠陥
が複数(2から4個)の画素間にまたがって検出される
条件では、異物等の欠陥からの散乱光も複数の画素に分
散してしまい、結果として1つの画素の検出出力が1/
2〜1/4に低下し、検出の再現性が悪化する問題に対
して、特開平5−2262号公報では、検出画素寸法を
一辺の長さを1/2(面積で1/4)に縮小して行い、
各画素の隣接する4つの画素の検出出力を電気的に加
算、目的の画素による検出出力をシミュレートする4画
素加算処理方式を考案している。
【0044】上記の従来例では、4画素加算処理は、検
出画素間にまたがる検出結果の出力低下の防止策である
から、処理画素は4画素より多い画素で処理しても構わ
ないし、効果が所望の目的を達せられるのであれば2画
素、あるいは3画素の処理でも構わない。
【0045】本考案では、ステージの送り速度を検出器
の蓄積時間に比べて早くすることにより、実現できる長
方形画素に着目した。例えば、試料上で1μm×2μm
の画素を形成しようとするのなら、試料上の大きさ1μ
m×1μmの検出器で、蓄積時間Tの間に、2μmステ
ージを送れば、試料上で1μm×2μmの画素を実現で
きる。
【0046】この場合、2画素を加算する処理を行えば
目的の画素の出力を得られる。2画素加算処理は、4つ
の画素にまたがる異物の出力低下を防止する効果が小さ
くなるが、4画素加算に比べてステージの送り速度が早
いため、検査速度が向上する特長を有する。
【0047】ペリクル/ガラス面検出系 本発明で用いられている技術は、高分解能な検出器を用
いるため、高速化が難しく、低感度な従来の方法に比べ
て検査時間の点で不利になる。一方、レチクル等のホト
マスクの異物検査には、高感度な検出の必要な回路パタ
ーン面部分のほかに、回路パターンの形成された面とは
逆の裏面(回路パターンがないのでガラス面とも言う)
やペリクル膜面上の検出を行うことも求められる。これ
等の面では回路パターン面と比べてはるかに低感度な検
出で十分なため、高分解能で高感度な検出方式を適用す
ることは、無用に検出時間を費やすことになる。
【0048】特開平4−273008号公報では、低感
度で良いことから生じる余裕を、高速化ではなく焦点深
度に着目し、回路パターン面検出用の照明系に工夫をす
ることにより低集光度のかわりに焦点深度の深い照明を
行う考案をしている。
【0049】本発明のように高NA検出の場合には、対
物レンズの倍率を変化させて分解能を変化させるのが通
例であるが、レチクル等のホトマスクでは、回路パター
ン面、裏面、ペリクル膜面がそれぞれ異なる平面に存在
するため、焦点(検出)位置を数mmの範囲を移動しな
くてはならず、回路パターン面検出時には焦点合わせの
ために高精度と高分解能を要求されるZステージ(レチ
クル等のホトマスクの厚み方向への移動ステージ)への
負担が大きくなる。
【0050】本発明では、裏面、ペリクル膜面用の低分
解能、高速の検出ユニットを回路パターン面用とは独立
させて、設けることを考案した。
【0051】シェーディング補正方式 本発明者は、散乱光検出方式の異物等の欠陥検査装置に
おいて、照明による被検査面の照度分布による検出信号
の出力の変化を補正する手段として、特開平5−226
2号公報に、標準試料からの散乱光分布を複数回測定
し、その平均値により照度分布を決定し、検出信号を補
正する方式を提案した。
【0052】しかし、散乱光検出用の標準試料を、検査
視野全域に渡って均質に作成することはは難しいため、
(特に、検出器をCCDセンサのような並列型の検出器
を用いた場合に)測定回数を多くしても、なかなか良好
な照度分布の決定が不可能な場合がある。その場合は、
連続する2画素以上(例えば3画素とか5画素)の画素
間で平均化(スムージング)処理を施して照度分布を決
定したほうが、良い結果を得られる場合もあるので、こ
れ等のアルゴリズムを選択可能にしておくと大きな効果
が得られ、より高精度な検出が可能となる。
【0053】検出波長決定方式 本発明のごとく、試料の表面側あるいは裏面側の斜方か
らの照明による散乱光を検出する検査技術においては、
検出すべき異物等の欠陥から検出される散乱光量は、異
物等の欠陥の大きさと照明光源の波長と照明/検出方向
により大きく変化する。
【0054】光の散乱理論によれば、粒子からの散乱光
は、波長と粒子径の相対的な関係について相似となる。
また、照明する光の入射方向と同じ方向に散乱する光の
成分を前方散乱光、逆に散乱する光の成分は後方散乱光
と呼ぶ。
【0055】ある大きさの粒子を考えたとき、照明光源
の波長が短いほど、前方散乱光成分が増え、照明光源の
波長が長いほど、散乱光の分布は均一化し、後方散乱光
成分の割合が大きくなる。
【0056】表面側から照明を行う検出方式では、照明
光の入射方向と検出光学系の位置関係から粒子からの後
方散乱光が検出される。また、裏面側から照明を行う検
出方式では、照明光の入射方向と検出光学系の位置関係
から粒子からの前方散乱光が検出される。また、異物等
の欠陥から発生する前方散乱光が、後方散乱光より小さ
くなることはない。
【0057】異物等の欠陥の検出出力を大きくするため
には、この前方散乱光を検出することが有効である。
(これはホトマスクやレチクル等に対してだけでなく、
シリコンウェハ等の異物等の欠陥の検出に対しても適用
でき、シリコンウェハ等を透過する波長、例えば近赤外
から赤外にかけての波長の光源を用いれば、前方散乱光
検出を実現することができる)すなわち、レチクル等の
ホトマスクの光透過部分上の異物等の欠陥検出は、裏面
側からの照明によって前方散乱光を検出する構成が有利
である。また、裏面側からの照明が行えない、遮光部分
上の異物等の欠陥の検出のためには、表面側からの照明
を行う。
【0058】すなわち、ホトマスクやレチクル等の遮光
膜で形成された回路パターンを有する透明(半透明)基
板上に付着した異物等の欠陥を検出する異物等の欠陥検
査装置では、遮光部分の異物等の欠陥を表面照明方式
で、透過部分の異物等の欠陥を裏面照明方式で検出する
構成をとることによって異物等の欠陥の検出出力を大き
くすることが可能になる。
【0059】また、それぞれの照明方式において、光源
波長の最適化を行うことにより、異物等の欠陥からの散
乱光分布を、検出光学系の方向へ偏らせることによっ
て、異物等の欠陥からの検出出力を最大にすることが可
能になる。そこで、本発明者らは、上記理論的考察と実
験的検証により、それぞれの照明方式において、異物等
の欠陥からの検出出力を最大にする光源波長を求めた。
【0060】表面照明方式では、照明光の波長を長くす
ることで、粒子からの後方散乱光成分を増やし、異物等
の欠陥からの検出出力を大きくすることができ、波長7
80nmにピークが存在する。
【0061】これに対して、裏面照明方式では、照明光
源の波長を短くするほど、前方散乱光成分が増え、これ
により粒子からの検出出力を上げることが可能になる。
【0062】回路パターン付の試料上の異物等の欠陥検
査では、異物等の欠陥からの散乱光の検出出力と、パタ
ーンからの散乱光との両方に着目し、 で定義される弁別比に基づいた検討を行う必要がある。
【0063】弁別比が1より大きければ散乱光検出出力
の大小比較(2値化)だけの簡単な装置構成により異物
等の欠陥の検出が可能である。実際の装置では、電気的
・光学的なノイズの影響や、機構部の振動、更には検出
系の感度ばらつきなど様々な要因によって検出出力のバ
ラツキが生じる、このため異物等の欠陥からの散乱光と
クロムパターン部分からの散乱光のレベルの間に余裕が
必要である。すなわち弁別比が大きいほど異物等の欠陥
の検出性能が高いことになる。
【0064】この弁別比により、最適な照明波長を検討
すると、表面側からの照明方式で異物等の欠陥検出性能
の最も良い光源は、波長780nm付近であると判断さ
れる。
【0065】この近傍の光源としては、半導体レーザを
利用することが考えられる。この波長では、従来から一
般に用いられている赤色ヘリウム−ネオンレーザ光(波
長632.8nm)より高い弁別比が得られ、安定な検
出が可能である。
【0066】裏面側からの照明方式の場合、弁別比が最
良となるのは波長488nm付近であることが判明し
た。
【0067】この近傍の光源としては、アルゴンイオン
レーザを利用することが考えられる。アルゴンイオンレ
ーザは大きな出力の光源を得ることが容易であり、その
出力は空冷で数百mW(水冷では数W)にもなり、赤色
ヘリウム−ネオンレーザ光と比べ、大きな検出出力を得
ることができる。
【0068】以上を総合して、本発明では回路パターン
面表面からの、光源波長約780nmの斜方照明と、回
路パターン面裏面からの、光源波長約488nmの斜方
照明との両者を組み合わせることにより、位相シフト膜
を持つ試料上の異物等の欠陥を、回路パターンから分離
して、試料全面にわたって検出することができる。
【0069】上に示した波長は、検出したい異物等の欠
陥の最小寸法を例えば0.5μmとして考えた場合であ
る。異物等の欠陥の大きさが大きいほど検出出力(発生
する散乱光量)は大きいので検出したい最小の大きさの
異物等の欠陥の検出出力を最大にする波長が最適波長で
ある。また、散乱現象は粒子の大きさdと、照明光源波
長λの相対的な関係d/λに関して相似であるから、上
の結果より、検出したい異物等の欠陥の最小寸法をdと
した場合の最適波長は、表面側からの照明で1.6d程
度、裏面側からの照明で1.0d程度となる。
【0070】表面側からの照明方式で、これより波長を
長くすると、粒子からの後方散乱成分は増えるものの、
全体の散乱光量が波長の4乗に反比例して低下(レーリ
ー散乱領域)するため、粒子の検出出力は低下する。ま
た、裏面側からの照明方式において、斜方照明で異物等
の欠陥の検出をおこなう場合には、これより波長を短く
すると、前方への散乱成分が大きくなりすぎ、検出光学
系へ入射できる光量は減少してしまい、粒子の検出出力
は低下する。検出したい異物等の欠陥の最小寸法が0.
5μmの場合、表面照明の波長は600〜800nm、
裏面照明の波長は450〜550nmの程度であること
が必要である。
【0071】検出感度の決定法 レチクルのクロム部分(遮光膜)上にある異物等の欠陥
は、そのままでは露光時の転写不良の原因とはならない
が、これがガラス部分上に移動した場合には転写不良の
原因となってしまう。このためクロム部分上から他の部
位へ移動する可能性のある異物等の欠陥(移動性異物等
の欠陥)の検出が必要である。
【0072】この場合、1μmより小さな異物等の欠陥
では、付着力である分子間力が支配的になり、移動しし
なくなるため、クロム部分(遮光膜)上にある異物等の
欠陥に関しては、ガラス部分上より検出感度は緩やかに
できる。
【0073】ただし、位相シフタのような層構造をもつ
レチクルでは、その製造工程において、クロム部分上の
異物等の欠陥が問題となる場合がある。位相シフト膜付
きのレチクルは、一般に、クロムによる回路パターンの
形成を行い(ここまではシフタ膜のないレチクルと同じ
プロセスである)、その後に全面にシフタ膜材料を塗布
またはスパッタにより成膜し、エッチングプロセスによ
りシフタ膜によるパターン(シフタパターン)が形成さ
れる。ここで、成膜前にクロム部分上に異物等の欠陥が
存在すると、シフタ膜に気泡や欠け等の欠陥を発生さ
せ、これが転写不良の原因となる場合がある。このた
め、これまでに述べたシフタパターン形成後の異物等の
欠陥検査の他に、成膜の前後にクロム部分上を含む全面
の検査(本発明の方式では気泡や欠け等の欠陥も異物等
の欠陥と同様に検出できる)を行なう必要がある。ただ
し、この場合はシフタパターンの形成前であり、シフタ
パターンからの散乱光は存在しないため、表面側・裏面
側の2系統の照明系で照明を行なうことにより全面で高
感度の検出が可能となる。
【0074】以上とは別に、遮光膜のパターニングがさ
れる以前の透明(半透明)基板の検査を行う場合は、回
路パターンからの回折光は存在しないので、空間フィル
タは無くても良い。このような構成で前方散乱光を検出
するようにすれば、反射照明方式に比べて異物等の欠陥
の検出出力を大きくすることができる。
【0075】以上のように、レチクルのごとく工程毎
に、回路パターンの形成状況と要求される検出感度が変
化する検査対象では、その要求検出感度を工程毎に変化
させた装置仕様が考えられ、本発明は、その仕様を巧み
に利用した装置構成を提案するものである。
【0076】
【実施例】以下本発明の一実施例の構成を図1を参照し
て説明する。図において、1は検査ステージ部で、検査
ステージ部1は、ペリクル7を有するレチクルを6を固
定手段18により上面に固定してZ方向に移動可能なZ
ステージ10と、Zステージ10を介してレチクル6を
X方向へ移動させるXステージ11と、同じくレチクル
をY方向へ移動させるYステージ12と、Zステージ1
0、Xステージ11、Yステージ12の各ステージを駆
動するステージ駆動系13と、レチクル6のZ方向位置
を検出する焦点位置検出用の制御系14とから構成され
ており、各ステージは、レチクル6の検査中常に必要な
精度で焦点合せ可能に制御される。
【0077】Xステージ11およびYステージ12は図
2に示すごとく走査され、その走査速度は任意に設定す
ることができるが、例えば、Xステージ11を、約0.
2秒の等加速時間と、4.0秒の等速運動と、0.2秒
の等減速時間とに設定し、約0.2秒の停止時間を1/
2周期で最高速度約25mm/秒、振幅105mmの周期運
動をするように形成し、Yステージ12を、Xステージ
11の等加速時間および等減速時間に同期してレチクル
6を0.5mmずつステップ状にY方向に移送するように
構成すれば、1回の検査時間中に200回移送すること
にすると、約960秒で100mm移送することが可能と
なり、100mm四方の領域を約960秒で走査すること
ができる。
【0078】また、焦点位置検出用の制御系13は、エ
アーマイクロメータを用いるものでも、或いはレーザ干
渉法で位置を検出するものでも、さらには縞パターンを
投影し、そのコントラストを検出する構成のものでもよ
い。なお、座標X、Y、Zは、図に示す方向である。
【0079】2は第1の表面照明系、20は第2の表面
照明系である。また3は第1の裏面照明系、30は第2
の裏面照明系である。これらは独立しており、かつ同一
の構成要素からなっている。21、201は表面照明系
のレーザ光源で、両者の波長は、例えば780nm、ま
たレーザ光源31、301は裏面照明系のレーザ光源
で、両者の波長は、例えば488nmである。22、2
02、32、302は集光レンズで、レーザ光源21、
201、31、301より射出された光束をそれぞれ集
光してレチクル6の回路パターン面を照明する。この場
合、回路パターンに対する入射角iは、後述する検出光
学系4の対物レンズ41を避けるため約30°より大き
くし、また、被検体がペリクル7を装着したレチクル6
の場合は、ペリクル7を避けるためにほぼ80°より小
さくしなければならないことから、おおよそ30°<i
<80°にされる。それぞれの光学系は、シャッタ2
3、203、33、303を備え、各照明系の光ビーム
を透過/遮光する。また、それぞれのシャッタは、必要
に応じて独立して動作できる。
【0080】上記第1の表面照明系2及び第2の表面照
明系20、および第1の裏面照明系3及び第2の裏面照
明系30の詳細な構成例を、図3を参照して説明する。
図3は図1の照明系2の構成例を示す図(他の照明系2
0、3、30も同一構成のため省略)である。図中、図
1と同符号のものは同じものを示す。20はレーザ光源
である。223は凹レンズ、224はシリンドリカルレ
ンズ、225はコリメータレンズ、226は集光レンズ
で、符号223〜226により集光レンズ22を形成す
る。
【0081】表面照明系2、20の光源21、201
は、X’方向に電界ベクトルを持つ直線偏光(この状態
をS偏光と呼ぶ)を有する様に配置する。S偏光にする
のは、例えば、入射角iが約60°の場合、ガラス基板
上における反射率が、P偏光(Y’方向に電界ベクトル
を持つ直線偏光)の場合より約5倍程度高い(例えば、
久保田 広著、応用光学(岩波全書)第144頁)から
で、より小さい異物まで検出する事が可能になるからで
ある。
【0082】また、裏面照明系3または30の光源3
1、301もS偏光を有するように配置する。その理由
としては、本発明者による実験結果によれば、P偏光照
明よりもS偏光照明の場合、異物と回路パターンの弁別
比を大きくできるためである。ただし、基板の透過率等
を考慮した場合には、前述のごとくP偏光の方が反射率
が低く(従って透過率が高い)、裏面照明をP偏光で行
う方がS/Nを高くでき、結果として検出性能が安定す
る場合もある。
【0083】本発明では、異物をパターンと区別して検
出するため、検出光学系のフーリエ変換面に設置した空
間フィルタを用いる、この場合、平行光で照明を行なえ
ば、パターンから発生する回折光の広がりを小さくする
ことができ、弁別比を大きくすることが可能になる。し
かし、照明を集光光で行ない、照明光の照度を高めれ
ば、検出器で受光される光の出力レベルを大きくするこ
とができ、S/Nを良くすることができる。
【0084】各照明系2、20、3、30の照度を高め
るため、たとえば集光系の開口数(NA)を約0.1に
し、レーザビームを約10μmまで絞り込んだ場合、こ
の絞り込みにより焦点深度は約30μmと短くなり、図
2に示す検査視野15の全域S(例えば500μm)に
焦点を合わせることができなくなる。しかし、本実施例
においてはこの対策として、シリンドリカルレンズ22
4を図3に示すX’軸回りに傾動させ(図3はすでに傾
動した状態を示す)、例えば、入射角iが60°でも検
査視野15の全域Sに焦点を合わせることが可能になっ
ており、後述する信号処理系5の検出器51、551に
一次元固体撮像素子を使用した場合に、検査視野15の
検査領域が検出器51、551と同様に直線状になって
も該直線状の検査領域を高い照度でかつ均一な分布で照
明をすることが可能になる。
【0085】さらに、シリンドリカルレンズ224を図
3に示すX’軸回りに加えて、Y’軸回りにも傾動させ
ると例えば、入射角iが60°で任意の方向から射出し
た場合でも、検査視野15の全域S上を高い照度で、か
つ均一な分布の直線状の照明をすることが可能である。
【0086】シャッタ23、203は、光源21からの
光を必要に応じて遮光するためにある。シャッタによる
光の制御は、以下の場合に必要となる。図38は、図1
中のレチクル6、ペリクル7、照明系2による斜方照明
光3802、照明系20による斜方照明光3820、照
明系3による斜方照明光3803、照明系30による斜
方照明光3830と検査視野(=照明位置)15との関
係を示している。図38(B)の状態から、検査の進行
と共に、ステージがY軸正方向へ送られて行くと、やが
て図38(A)の状態となり、照明系20からの斜方照
明光3820は、レチクル6に設けられたペリクル7の
保持枠3807によってけられるようになる。また、図
38(B)の状態よりステージがY軸負方向へ送られて
入る場合には、図38(C)の状態となる。これ等の状
態では、検査視野15を照明する光量はけられによって
減少し、しかもその減少量は、けられ量の変化によって
刻々と変化し、安定な照明が行われなくなる。しかも、
けられた光の一部は、迷光となり、検出に悪影響を及ぼ
す。このため、けられが起こる以前に、シャッタ203
(或いはシャッタ23)によって、けられる側の照明系
を遮光する必要がある。従って、照明系2または照明系
20によって照明される領域は、斜方照明の角度と、ペ
リクル保持枠との関係で定まる。図37に照明領域の例
を示す。図37の例は、ペリクル保持枠が大きさ102
mm×102mm、高さ6.3mm、照明光の光軸とレ
チクル回路パターン面とのなす角度が30度の場合であ
り、領域3704では図38(B)の照明が、領域37
24では図38(C)の照明が、領域3704では図3
8(A)の照明が行われる。また、、すべての照明が行
えて最も検出が安定している領域3704が64MDR
AMチップの概略のエリア3701をすべてカバーして
いることが分かる。
【0087】以上は、表面側の照明系2、20に関する
ことであったが、裏面側の照明系に関しても、レチクル
裏面にペリクルが取り付けられているタイプのレチクル
については同様のことがいえる。
【0088】図1では、小型の小出力レーザ2台を以て
裏面照明系3、および裏面照明系30を構成していた。
しかし、より大型で高出力のレーザ1台から射出される
レーザ光を2つに分岐する構成も可能である。図54に
その例を示す。図54では、図1の裏面側の照明系に相
当する部分を示している。高出力のレーザ1台から出る
レーザ光を分岐するため、光路が長くなり、光源540
1から射出されただけの光では、光路中のじょう乱の影
響を受け易くなるため、また、光が広がり易くなるた
め、一旦、ビームエクスパンダ5402によりビーム径
を大きくする。その後に分岐手段5403にて2つの光
路に分ける。一方の光路は、図1の照明系3に相当し、
シャッタ機構33により制御され、、光路ミラー540
6、5407、5408等により導かれ、集光レンズ3
2により試料上へ集光される。また、一方の光路は、図
1の照明系30に相当し、シャッタ機構303により制
御され、、光路ミラー5404、5405等により導か
れ、集光レンズ302により試料上へ集光される。これ
等は、1台のレーザ光源から2方向の照明を行うための
一例を示したに過ぎないので、同じ目的を達成できるの
であれば、他の構成でも構わない。直線偏光による光源
を用いる場合には、光路中のミラーは、照明光の偏光面
に悪影響を与えないように、十分配慮する必要がある。
また、分岐手段5403は、透過率によって光量を2分
するものや、偏光面によって分離するものや、或いは、
アルゴンレーザの様に複数の波長を発振できるレーザ光
源の場合には、波長によって分離するものでも構わな
い。二つの光路の光量は、等しく分配されるのが望まし
く、もし、等しく分配されるのが困難な場合には、図5
5に示すごとく、分岐後の光路に、可変調節式のNDフ
ィルタ5409、5410を用い、光量を等しくすれば
良い。また、偏光で分離した場合には、照明系3と照明
系30とで、試料上に照明された照明光の偏光面が異な
ってしまうのを防ぐため、図55に示すごとく、偏光分
離後の光路に、1/2波長板5414、5412を設置
して偏光面を揃えることも出来、更に偏光素子541
5、5413によって偏光の純度を高めることもでき
る。
【0089】また、1台のレーザ光源の光路を分岐し
て、再びそれぞれ試料上の同一視野を同時に照明する場
合には、試料上で干渉が起きてしまい、干渉縞の発生に
より照明に極端な不均一を生じる。この場合、分岐され
た2つの光路を、レーザ発振器の可干渉距離(例えば、
数mmから数m)以上に光路差を設ければ良い。また、
前記波長分岐手段に波長分離を用いた構成では、干渉が
起こらないため、2光路の干渉の影響は考慮する必要が
ないメリットを有する。また、アルゴンレーザの発振波
長のうち488nmと515nmを用るならば、互いの
波長の差が小さいので、検出感度が大きく異なることは
ないだけではなく、微妙な波長の差が、異物等の欠陥の
形状から生ずるために、解析が困難な干渉の効果によっ
て引き起こされる検出感度のむらをキャンセルできる特
徴を有する。
【0090】また、裏面から照明を行う場合、レチクル
基板のガラスの厚さはの変化は、照明光の光路差に影響
を及ぼし、図56に示すごとく、同じ照明を行っている
つもりでも、図56(1)の厚さが概略0(以下、厚さ
0と表現)のレチクル5601で照明が視野15を照ら
すように構成されている場合、同図(2)の厚さ小のレ
チクル5602では照明は光路5612のごとく進み、
視野15を照明するはずの光路5622は通らず、結果
として照明位置がE2だけずれることになる。同様に、
同図(3)の厚さ中のレチクル5603では照明は光路
5613のごとく進み、視野15を照明するはずの光路
5623は通らず、結果として照明位置がE3だけずれ
ることになる。また、同図(4)の厚さ大のレチクル5
604では照明は光路5614のごとく進み、視野15
を照明するはずの光路5624は通らず、結果として照
明位置がE4だけずれることになる。現在でも使用され
ているレチクル等のホトマスクは各種厚さの基板(例え
ば、2.3mm,4.6mm,6.3mmなど)からな
るため、対策が必要となる。
【0091】前記誤差E2からE4まですべてを含むよう
な広い範囲を照明すればレチクル等の基板の厚さの差に
対応できるが、視野の照度が低下し、S/Nが低下する
問題が生じる。そこで、照明位置を選択できるようにす
るのも一つの対策である。図57にその一例の原理を示
す。図57では、厚さ0のレチクル5601で照明する
視野15の位置が照明されるように、レチクルの厚さに
合わせ、同図(2)の厚さ小のレチクル5602のため
の照明光路5712、同図(3)の厚さ中のレチクル5
603のための照明光路5713、同図(4)の厚さ大
のレチクル5604のための照明光路5714と光路位
置を変えている様子を示す。図58にはこの原理を実現
するための、構成の一例を示す。図58には図55の光
路中に、光路移動手段5811、5801と光路移動手
段の駆動機構5802、5812を設け、光路位置を可
変にした構成を示した。また、図59では、裏面照明系
の最後の照明角度設定ミラー5408、5405の角度
を照明角度可変手段5901、5911と照明角度可変
手段の駆動機構5902、5912によって照明角度を
可変し、照明光路を変化させる構成を示した。
【0092】上記レチクル厚さの差による光路への影響
は、レチクル基板と照明光路の屈折率の差によって生じ
る。(屈折率差をなくせれば、影響もなくせる。)ま
た、屈折率差があると言うことは、照明系の集光部分
に、光路差を生ずることを意味する。つまり、照明を集
光する場合、レチクルの厚さの差は、集光にも影響を与
え、十分な焦点深度を持たない集光系の場合には、焦点
を調節して集光位置も調節する必要があり装置の複雑化
を招く。しかし、何らかの手段によってレチクルの厚さ
の差による光路長の変化を補正すれば、前記図58、図
59のような移動手段や焦点調節手段は不要となる。そ
の一例の原理を図60に示す。図60(1)では厚さ0
のレチクルの下に、厚さ大のレチクルの厚さt4に相当
する光路長の板(光路長補正板)が配置されている。図
60(2)では厚さt2のレチクルの下に、厚さt4−t
2に相当する光路長補正板が配置されている。図60
(3)では厚さt3のレチクルの下に、厚さt4−t3に
相当する光路長補正板が配置されている。このようにす
ると、厚さ0、t2、t3、t4のすべての場合で光路長
は同一となり、照明位置も焦点位置も同一となる。図6
1では、これ等の光路長補正板を一体にした光路長補正
ユニット6101、6111を駆動手段6102、61
12で切り変え、各種厚さのレチクルに対応させている
様子を示す。また、上記光路長補正ユニットは、光路長
を補正できれば良いので、板状の物だけでなく、液体を
変形や、電気光学的な手段により、連続的な光路長を得
られるものでも良い。
【0093】また、図1にはペリクル膜の透過率を測定
する目的で検出器49が設けられている。ペリクル膜
は、その膜厚や反射防止膜等の微妙な差によりその透過
率が変化する。垂直に透過する光の場合(本発明におい
ては、試料からの散乱光がこれにあたる)は、その変化
量は小さく、問題とはならない。しかし、斜めに透過す
る光(本発明においては、試料を照明する斜方照明光が
これにあたる)では、その影響は大きな問題となる場合
もある。この問題は、ペリクル膜の透過率を被検査試料
毎に測定し、検出結果を補正すれば良いのだが、ペリク
ル膜は、レチクルに装着されてしまっているために、透
過率を直接測定することはできない。そこで、検出器4
9により、照明系からのペリクル膜による反射光量を測
定、これと照明光源の出力光量から、ペリクル膜の反射
率を測定、ペリクル膜の内部損失がないと仮定し、(透
過率)=1−(反射率)で透過率を求め、検出結果を補
正する構成としてある。
【0094】図1中の4は検出光学系で、レチクル6の
パターン面に相対する対物レンズ41、対物レンズ41
の結像位置付近に設けられる視域レンズ(以下フィール
ドレンズという)43、フィールドレンズ43により集
光された光束の波長分離用のミラー42を持つ。検出光
学系に入射した光は、波長分離用ミラー42により、表
面照明系2、20によって発生した散乱、回折光と、裏
面照明系3、30によって発生した散乱、回折光とに分
離される。
【0095】分離された光は、それぞれレチクル6の検
査視野15に対するフーリエ変換面に設けられた帯状の
遮光部とその外部に透過部を有する空間フィルタ44、
444、および結像レンズ45、445を経て、レチク
ル6上の検査視野15が後述する信号処理系5の検出器
51、551上に結像される。フィールドレンズ43
は、対物レンズ41上の上方の焦点位置46の像を空間
フィルタ44、444上に結像する。
【0096】裏面照明方式(図17)はレチクル6の光
透過部分上(ガラス部分上)の異物等の欠陥からの散乱
光を検出する。図17中で、裏面からの斜方照明系3に
より発生した散乱光は、検出光学系4で、対物レンズ4
1、フィールドレンズ43、空間フィルタ44、結像レ
ンズ45を介して検出器51で検出される。
【0097】図17では、レチクル、照明系3、検出光
学系4を同図中に示した配置にしているが、照明系3
と、検出光学系4がレチクル6に対して、それぞれ反対
側にあれば良いため図34のような構成でも良い。図3
4中で、表面からの斜方照明系2により発生した散乱光
は、検出光学系40で、対物レンズ401、フィールド
レンズ403、空間フィルタ404、結像レンズ405
を介して検出器551で検出される。
【0098】ただし、図34のように、レチクル基板を
通して、検出光学系で回路パターン面を結像する構成で
は、レチクル基板による収差の影響で、解像が不十分に
なり、安定な検出が困難となる。安定な検出を行うに
は、結像光学系にレチクル基板の収差を補正する機能を
持つレンズを使用するなどの対策が必要となる。
【0099】また、レチクルの遮光部分上を含め全面の
検査を行いたい場合に、図34の構成を利用するには、
図35のように、レチクルの表面に照明系を、表面、裏
面の両方に検出系を設け、表面検出光学系4で遮光部分
上を、裏面検出光学系40で透過部分を検査する方式で
も、図1の構成と同様の目的を達成できる。なお、この
形式の場合、表面検出系4ではレチクル6の遮光部分上
(クロム等の金属薄膜回路パターン上)のみを、裏面検
出光学系40では、レチクル6の光透過部分上(ガラス
部分上)のみを検出する様にしたい場合には、それぞれ
の照明系2と照明系20の波長を異なる波長として、そ
れぞれの検出光学系に波長フィルタを設ければ良い。
【0100】レチクルのクロム部分(遮光膜)上にある
異物等の欠陥は、そのままでは露光時の転写不良の原因
とはならないが、これがガラス部分上に移動した場合に
は転写不良の原因となってしまう。このためクロム部分
上から他の部位へ移動する可能性のある異物等の欠陥
(移動性異物等の欠陥)の検出が必要である。ここで異
物等の欠陥の移動性について説明する。Mittal
編、”Particleson Surface”p
p.129−141などの文献によれば、基板に付着し
た異物等の欠陥に働く力は(1)van der Waals力、(2)静
電気力、(3)慣性力の3つである。(1)は異物等の欠陥が
基板に付着する力としてのみ働き、(2)は基板と異物等
の欠陥の間に引力、または斥力として働く。(3)は異物
等の欠陥に加えられる加速度の方向によって任意の方向
に働く。ここで、(2)に関しては、異物等の欠陥および
基板が通常可能な程度に帯電している場合(空気の絶縁
耐力の1/10程度)、(3)に関しては異物等の欠陥に
重力加速度が加わっている場合を想定すると、異物等の
欠陥に働く力は、異物等の欠陥が小さいほど(1)が支配
的となる。異物等の欠陥は、レチクル搬送時にレチクル
に加えられる加速度(衝撃)によって移動すると推定さ
れている。すなわち異物等の欠陥が小さいほど、移動す
る可能性は小さくなる。
【0101】例えば10μm程度の大きさの異物等の欠
陥を考えると、前述の条件において(2)は(1)の1/1
0、(3)は の1/10 である。すなわち大きさ10μ
mの異物等の欠陥を移動させるには重力加速度の10
倍以上の加速度が必要である。現実にこれほどの加速度
が加えられることは有りえず、10μmより小さい異物
等の欠陥は移動しないと考えられる。以上の検討より、
クロム上の移動性異物等の欠陥に関しては、例えば10
μmまでの検出能力でも実用上、対応が可能であるとい
う考えも成り立つ。あるいは、レチクル等のホトマスク
に形成される回路パターンの大きさを考慮すると、1μ
m程度の検出を考えれば良い。いずれにせよ、クロム部
分上の検出感度よりは緩くできる。
【0102】移動性異物等の欠陥の検出の他に、以下の
ような場合にクロム部分上の異物等の欠陥検出のニーズ
があると考えられる。
【0103】位相シフタをもつレチクルでは、その製造
工程において、クロム部分上の異物等の欠陥が問題とな
る場合がある。位相シフト膜付きのレチクルは、一般
に、クロムによる回路パターンの形成を行い(ここまで
はシフタ膜のないレチクルと同じプロセスである)、そ
の後に全面にシフタ膜材料を塗布またはスパッタにより
成膜し、エッチングプロセスによりシフタ膜によるパタ
ーン(シフタパターン)が形成される。ここで、成膜前
にクロム部分上に異物等の欠陥が存在すると、シフタ膜
に気泡や欠け等の欠陥を発生させ、これが転写不良の原
因となる場合がある。このため、これまでに述べたシフ
タパターン形成後の異物等の欠陥検査の他に、成膜の前
後にクロム部分上を含む全面の検査(本発明の方式では
気泡や欠け等の欠陥も異物等の欠陥と同様に検出でき
る)を行なう必要がある。
【0104】ただし、この場合はシフタパターンの形成
前であり、シフタパターンからの散乱光は存在しないた
め、図1の様な構成で表面・裏面の2系統の照明系で照
明を行なうことにより全面で高感度の検出が可能とな
る。
【0105】以上とは別に、遮光膜のパターニングがさ
れていない透明(半透明)基板の検査を行う場合は、図
17、あるいは図34の構成で全面の検査が可能であ
る。また、この場合回路パターンからの回折光は存在し
ないので、空間フィルタ44は無くても良い。このよう
な構成で前方散乱光を検出するようにすれば、反射照明
方式に比べて異物等の欠陥の検出出力を大きくすること
ができる。なお、空間フィルタ44の無い場合、検査時
のステージ走査はX−Y走査方式だけでなく、回転走査
方式を用いても良い。(検査時のステージ走査が回転式
であっても、空間フィルタ44に回転機構を設け、検査
時のステージ回転と同期して回転させるようにすれば、
空間フィルタ44を用いながら、回転走査することもで
きる。)従って、空間フィルタは、必要に応じて切り替
えられるように構成するのが望ましい。また、単に空間
フィルタ44の抜き差しだけでなく、直線状空間フィル
タの幅を変化させた物など、複数の空間フィルタを切り
替えられるように構成すると良い。図63中では通常の
直線状空間フィルタ6401と、直線状空間フィルタと
偏光板を組み合わせて空間フィルタ検出と偏光検出を同
時に行い回路パターン散乱光の除去能力を高めたフィル
タ6402と、フィルタ無しと、予備の空きスロットが
並んでいる状況を示している。また図64では、図63
中の空間フィルタ群6401、6411を駆動手段64
02、6412によって切り替えられる構成にしたもの
を示した。(図64では処理系は略されている。)以上
のように、レチクルのごとく工程毎に、回路パターンの
形成状況と要求される検出感度が変化する検査対象で
は、その要求検出感度を工程毎に変化させた装置仕様が
考えられ、またその仕様を巧みに利用した装置構成が考
えられる。
【0106】5は信号処理系で、信号処理系5は、前記
検出器51、551と、該検出器51、551の出力を
補正するシェーディング補正回路113、123と、4
画素加算回路114、124と、2値化判定回路52、
53、552、553と、論理和回路56、556と、
論理積回路57と、ブロック処理回路58、558とマ
イクロコンピュータ54と、表示手段55とからなる。
【0107】検出器51、551は、例えば電荷移動形
の一次元固体撮像素子などにて形成され、Xステージ1
0を走査しながらレチクル6上の回路パターンからの信
号を検出するが、この場合、レチクル6上の異物等の欠
陥が検出視野に存在するとき、入力する信号レベルおよ
び光強度が大きくなるため、検出器51、551の出力
も大きくなるように形成されている。なお、前記の如く
検出器51、551に一次元固体撮像素子を用いれば、
分解能を維持したまま検出視野を広くすることができる
利点を有するが、これに限定されることなく2次元のも
の、或いは、単素子のものでも使用可能である。
【0108】シェーデイング補正回路113、123お
よび4画素加算処理回路114、124および論理和回
路56、556および論理積回路57に関しては後述す
る。
【0109】2値化判定回路52、53、552、55
3は、2値化のしきい値が予め設定されており、検出器
51、551からの出力が、検出したい大きさの異物等
の欠陥に相当する散乱光強度以上の値となった場合に、
論理レベル”1”または論理レベル”1”および検出値
を出力するように形成される、論理レベル(判定結果)
とともに検出値も出力するのは、最終的な異物等の欠陥
の検出結果に、その検出値も残されていたほうが、大き
さ等の推定または検出判定しきい値の設定に便利なため
である。ブロック処理回路58、558は、検出結果信
号をとりこみ、複数の信号のダブルカウントを防止する
回路であるが、これに関しても後述する。
【0110】また、マイクロコンピュータ54は、ブロ
ック処理回路58、558によって処理された結果を格
納するメモリを有し、Xステージ10およびYステージ
11の位置情報、単素子ではない検出器51、551の
場合にその素子中の画素位置から計算される欠陥の位置
情報および検出器51、551の検出出力値を欠陥デー
タとして記憶し、その結果を表示手段55に出力するよ
うに形成される。また装置各部の機構の制御および作業
者とのインターフェイスも行う。
【0111】また、検査結果は、表示されるだけでな
く、結果に基づき、検出位置を観察手段に呼び出して作
業者が確認出来るように形成される。レチクルやホトマ
スク等の試料では、LSI製造の原盤となるため、LS
I製造の露光の際に露光転写に影響を及ぼす異物等の欠
陥は一個たりとも存在は許されない。このため、検出さ
れた異物等の欠陥が転写に影響を及ぼすかどうかを作業
者が厳重に確認を行う機能は、重要な構成要素である。
このため、検出結果を観察用の別ステーションに転送
し、観察するなどの機能が必要となる。図62では、観
察機能の一例として、検出光学系の光路を切りかえて、
検査と同一の装置で観察を可能にする構成について示
す。これにより別装置は不要となり、観察精度の向上、
作業の効率化と、別装置へ移動する間の汚染を防止でき
る。図62では検査の処理系、照明系は省略してある。
観察系用の照明系は、シャッタ機構6222を持った透
過照明系6221、ハーフミラー6212とその駆動手
段6213を持った落射照明系6211と、レーザ照明
手段による斜方照明系6231が示されている。斜方照
明系6231は、表面からの検査用の斜方照明系(図1
の2と20)が可視光の波長域にない場合には設けるべ
きであるが、表面からの検査用の斜方照明系が可視光の
波長域にある場合には、それを持って代用できる。上記
観察用照明は必要に応じて切り変え、組合わされて用い
られる。照明された異物等の欠陥の検出位置の像は、対
物レンズ41で集光され、駆動手段6203によって切
り変えられるミラー6202を経て、TVカメラや目視
等の観察手段6201によって観察される。また、観察
系中には検査時と同様に空間フィルタ6232が必要に
応じて駆動手段6233によって挿入される。
【0112】図62中には、ペリクル膜用の検査ユニッ
ト6251も合わせて示した、ペリクルやレチクル等の
裏面(非回路パターン面)の検査には、回路パターン面
のような高感度は求められないため、別途低感度ながら
簡易で高速な検査ユニットを設ける構成にすれば検査時
間短縮、装置構成の簡易化になる。また、回路パターン
の形成される以前の、鏡面上レチクルの基板(例えばガ
ラス基板やその上に金属薄膜を成膜しただけの状態の基
板)の検査では、異物等の欠陥の検出の障害となる回路
パターンが存在しないため、簡易な構成で、高速でも高
感度な検出ユニットを構成できるため、別途装置内に鏡
面上レチクル検査ユニットを設けるのも良い。
【0113】つぎに検査装置の作用について、図4〜図
10を参照して説明する。図中、図1と同符号のものは
同じものを示す。図4は回路パターンと異物等の欠陥と
の弁別の光処理による部分を説明する斜視図、図5は回
路パターンの角度パターンを説明する平面図、図6はフ
ーリエ変換面上における散乱光および回折光の分布状況
を示す図、図7(A)は回路パターンのコーナー部を示
す図、図7(B)は図7(A)の ”ア”部の詳細図、
図8は異物からの散乱光検出出力値と回路パターンから
の検出出力値との関係を説明する図、図9は微細構造パ
ターンを有する回路パターンを示す図、図10は異物お
よび回路パターンコーナー部から検出される検出信号の
出力値レベルを示す図である。
【0114】さて、Wolf著、“PRINCIPLE
S OF OPTICS(光学の原理)“pp647−6
64などの文献によれば、微小な粒子が照明光の波長と
同程度の大きさになった場合、異物等の欠陥からの散乱
光は均一ではなく、鋭い分布を持つ。
【0115】本発明では、前述の異物等の欠陥の見逃し
が増加してきたのは、この微小な粒子からの散乱光が分
布を持つためであることに着目した。
【0116】従来は、検出光学系の開口数に関して言及
されていなかっただけでなく、異物等の欠陥を検出する
場合、検出光学系が異物等の欠陥を解像できない場合で
あっても検出は可能であると考えられていた。ところ
が、上記の文献に示されたように微小異物等の欠陥から
の散乱光は不規則な指向性をもつため、開口数(NA)
の小さな検出光学系では検出できない可能性があり、こ
の結果、異物等の欠陥の検出見逃しが起こる。
【0117】すなわち、本発明の思想により、従来技術
の有する分解能の検出光学系では、「微小異物等の欠陥
を検出できることもある。」のであって、「安定して検
出できる。」のではないことが明らかになった。「異物
等の欠陥の検出」と言う目標を達成するためにも、検出
すべき異物等の欠陥の大きさを解像する程度の分解能が
必要であることが判明した。以下にその検討の過程を述
べる。
【0118】光散乱の物理学の歴史は古く、空間に浮遊
した単一の球に平面波が照射された場合といったもっと
も簡単な問題が、1908年にGustav Mieに
よって初めて解析された。
【0119】ラテックス球などのパーティクルは、反
射、屈折、吸収そして回折といったプロセスの組合せ
で、照明光を散乱する。球状異物等の欠陥(粒子)から
の散乱光強度を図11に示す。図11は、Mie散乱の
理論値を、本発明の適用先のごとく基板上に付着した粒
子の場合に変形したものである。
【0120】横軸は、異物等の欠陥の大きさ:d、およ
び照明光の光源波長:λを用いた無次元数πd/λであ
る。ここでπd/λがおおむね4より小さな領域(λ=
550nmの時d=0.7μmより小さな異物等の欠
陥)は、特にレーリー散乱領域と呼ばれ、異物等の欠陥
からの散乱光は、直径の6乗に比例(照明光源波長の4
乗に反比例)して、急激に減少する。
【0121】πd/λがおおむね4より大きな領域で
は、その散乱光は、回折の理論に従って方向性を持って
散乱する。
【0122】その様子は、図12に示すとおりである。
この領域の異物等の欠陥を検出するためには、異物等の
欠陥からの散乱光が分布を持つため、検出器のNAを分
布に注意して決定する必要がある。
【0123】図13にレチクル6上の異物等の欠陥70
に対し、レーザ照明2221を行った場合の回折光の方
向を示す。回折光は、0次回折光2222、1次元回折
光2223、さらに角度θだけ離れて2次元回折光……
と続く。
【0124】0次回折光2222は、レーザ照明222
1の正反射光であり、異物等の欠陥の散乱光を検出する
ということは、1次以上の回折光を検出することにな
る。
【0125】ここでθは、回折光の式からd0・sin
θ=λで求められている。(d0は、不定形な異物等の
欠陥に対しては、直径、幅、長さあるいは直径の平均値
など様々な定義が考えられる。しかし、以下の議論はd
0の値によらず成り立つので、上記のいずれの定義で
も、結果に影響をおよぼさない。そこで、ここではd0
=d、すなわちd0を異物等の欠陥径と仮定した。
【0126】検出光学系の必要なNAを、最も条件の厳
しいπd/λ=4の場合について求める。
【0127】π・d/λ=4 d/λ=1.27 λ/d=0.79 sinθ=λ/dより θ=sin~1(0.79) =52°となる。
【0128】これは、回折光の間隙が最大で52°にな
ることを意味し、従って、52°以上の開口を有する検
出光学系を用いれば、最低でも1次の回折光だけは検出
できることになり、異物等の欠陥は見逃しとはならな
い。
【0129】図14において、NA=sin(θ/2) (n:光路の屈折率、空気ではn≒1)で検出系対物レ
ンズ41のNAは求められ、NA=1・sin(52°
/2)=0.44となる。
【0130】よって、概ね0.44より大きなNAをも
つ検出系により異物等の欠陥からの散乱光を見逃しなく
検出できる。
【0131】この場合、NAが大きい程検出に余裕がで
き、またレーリー領域の異物等の欠陥の検出にも都合が
良くなる。逆にNA≧0.44を満たさない場合でもN
A=0.4程度ならば、回折光にある程度の幅があるた
め、実用上は異物等の欠陥の検出は可能である。
【0132】逆に、NAを0.5より大きくすると後で
述べる理由によって回路パターンからの散乱光が検出系
に入射してしまい、異物等の欠陥からの散乱光だけを検
出する要求に障害をおよぼし、NAをわざわざ大きくす
るメリットが減少する。このため、おおよそ0.4から
0.6位までのNAが実用上適切なNAとなる。
【0133】次にレーリー領域の異物等の欠陥の検出に
ついて述べる。
【0134】先に述べたごとく、従来技術の有する分解
能の検出光学系では、「微小異物等の欠陥を検出できる
こともある。」のであって、「安定して検出できる。」
のではない。
【0135】「異物等の欠陥の検出」と言う目標を達成
するためには、検出すべき異物等の欠陥の大きさを解像
する程度の分解能が必要である。
【0136】本発明は、この検出すべき異物等の欠陥を
解像する程度の開口数(NA)を有する検出光学系を有
する。
【0137】具体的には以下の式(1)により、算出さ
れる。
【0138】d=0.6(λ/NA) ……(1) このNAに概ね近い値を有する光学系が望ましい。ここ
で、dは検出すべき異物等の欠陥の寸法、λは照明光の
波長、NAは開口数である。また検出系のNAを式
(1)を満たすように設定できない場合、照明系のλを
短くして式(1)を満たす必要がある。
【0139】すなわち、異物等の欠陥検査のための検出
光学系では、従来は異物等の欠陥を解像する解像力が必
要と考えられていなかったが、本発明では式(1)に示
すような異物等の欠陥を解像する検出光学系が必要であ
るという新規な考え方に立っている。
【0140】ただし、式(1)の係数は、0.6という
一般の解像度を算出する際の値ほど大きい必要はなく、
本発明に際して発明者により実施された実験によると、
0.24〜0.6の範囲であれば必要とされる異物等の欠
陥検出性能は発揮される。(但し、大きいほど検出性能
が高いことはもちろんである。)その理由について、以
下に説明する。図15には、横軸に異物等の欠陥径を縦
軸に散乱断面積をとってある。この散乱断面積は、異物
等の欠陥から発生する散乱光に比例し、Mieの散乱の
理論から求められる。その解釈は、発生する散乱光を観
察した場合、あたかも図中の実線で示される異物等の欠
陥から発生する散乱光であるかのように観察されること
を意味する。図中には、点線で、幾何学的に断面積も合
わせて示した。
【0141】これにより、散乱光で観察した場合には、
実際の異物等の欠陥寸法よりも大きく観察されることが
わかる。(これは、まさしく異物等の欠陥検査が散乱光
で行われている理由である。)そして、その比率は、図
15より面積比で約3倍〜6倍、従って直径では√3〜
√6倍となる。
【0142】この場合、式(1)は、 d=(0.6/(√3〜√6))・(λ/NA) =(0.24〜0.35)・(λ/NA) …(1)’ となり、先の実験結果を説明できる。
【0143】また、レチクル上の異物等の欠陥検査で
は、検出すべき異物等の欠陥サイズdはレチクル最小寸
法の1/4程度とされているため、レチクル上最小寸法
2.5μm(5:1縮小転写の場合、ウェハ上0.5μ
m、これは、16MDRAM相等)の場合、0.6μ
m、レチクル上最小寸法1.5μm(64MDRAM相
等)の場合0.4μmである。
【0144】従って、0.4μmの異物等の欠陥を、先
の検討から求められたNA=0.5の検出光学系で検出
するためには、(1)’式を変形した λ=d・NA/(0.35〜0.24) …(2) より、λ=825nm〜575nmよりも波長の短い光
源が必要となる。
【0145】図4(A)において、70は固定手段18
によりZステージ10上に固定されたレチクル6上の異
物等の欠陥、81は回路パターン80の直線部分、82
は回路パターン80のコーナー部である。レチクル6を
照明系2(または照明系20、3、30のいずれか)で
斜方より照明し、直接反射光および直接透過光は集光せ
ず、発生する散乱光および回折光のみを対物レンズ41
で集光すれば、図5に示すレチクル6上の回路パターン
80と照明系2(または照明系22、3、33のいずれ
か)のレチクル6の面上への投影像60との位置関係で
定義される角度θが0゜のときの角度パターン(以下0
゜パターンという)の回折光のみが、対物レンズ41の
フーリエ変換面上で図6(a)に示すように帯状に表れ
る。ここで前記回路パターン80の角度θの種類は、0
゜45゜、90゜の角度パターンに限られていて、図4
に示すように45゜および90゜のパターンからの回折
光(b)、(c)は、対物レンズ41の瞳に入射しないた
め、検出に影響を及ぼさない。一方、異物等の欠陥70
からの散乱光は、図6(e)に示すようにフーリエ変換
面上の全面に広がる。このため、フーリエ変換面上に帯
状の遮光部と、その外部に透過部とを有する空間フィル
タ44、444を配置し、図4(A)に示す0゜パター
ンからの回折光(a)を遮光することにより,異物等の
欠陥70を回路パターン80と弁別して検出できる。ま
た、フーリエ変換面は、ここで示すように、対物レンズ
の後方に出来るだけでなく、対物レンズの入射瞳面にも
出来るので、対物レンズの直前に空間フィルタを配置す
ることもできる。この場合、レンズ系を経ていないので
検出光の波長による収差が無く、すべての波長のフーリ
エ変換面が同一平面となる利点もある。
【0146】また、ここでフーリエ変換面上で直接検出
しないのは、後で述べるように、フーリエ変換像をさら
に逆フーリエ変換した像面上で検出視野を小さくして検
出した方が高感度な検出が可能となるためである。しか
し、逆フーリエ変換は数学的な演算であるため、フーリ
エ変換面上でフーリエ変換像の振幅と位相差量を直接検
出し、計算機で逆フーリエ演算を行って検出しても良
い。またこの場合、計算機処理によるため、空間フィル
タリングの自由度が増すメリットもある。
【0147】以上のような構成により高NA検出光学系
が初めて実現でき、NAを0.5に選んだ場合、その開
口面積は、従来の低NA検出光学系(NA=0.1)の
約20倍になる。
【0148】但し、回路パターンコーナー部分(図4
(D)に示す)からの散乱光は、直線状の空間フィルタ
では十分に遮光しきれない。このため従来のような10
×20μmの検出画素で検出を行った場合(図4(B)
に示す)、画素中に複数のパターンコーナー部分からの
散乱光が入射してしまい、異物等の欠陥だけを検出する
ことができない。そこで本発明では、検出器の画素を例
えば2μm×2μmにまで高分解能化し(図4(C)に
示す)、回路パターンからの影響を極力排除、0.5μm
の異物等の欠陥検出を可能とした。またここで、検出器
の画素を2μm×2μmと設定したが、この理由は以下
に述べるものであり、必ずしもも2μm×2μmである
必要はない。この場合画素寸法は、レチクル上の最もパ
ターン寸法Lよりも小さければ良い。すなわち、0.8
μmプロセスLSIを縮小率1/5のステッパで露光す
る場合のレチクルでは、おおむね、0.8μm×5=4
μm、0.5μmプロセスLSIではおおむね0.5μm×
5=2.5μmよりも小さい画素で検出すれば良い。
【0149】また、実際には、画素寸法がパターンコー
ナーからの影響を十分に小さくできる値であれば、さら
に大きくても、小さくても良い。具体的には、検査対象
となるレチクル上の最小パターン寸法程度が望ましい。
この最小パターン寸法程度の大きさであれば、検出器の
1画素に2個未満のコーナーのみが入ることになり図1
0に示した実験によってもこの値で十分である。すなわ
ち、最小寸法が1.5μm程度の64MDRAM〜256
MDRAM用レチクルでは、1〜2μm程度の画素寸法
が望ましい。
【0150】上記内容を図7を用いて再度説明する。図
7(A)に示す回路パターン80の交差部分にできるコ
ーナー部82は、該部を微視的に見た図7(B)に示す
ように連続的な角度のコーナー820で構成されている
ため、コーナー部82からの回折光(d)もフーリエ変
換面上で広がる傾向があり、空間フィルタ44、444
により完全に遮光することができず図6(d)に示すよ
うになる。このため、一つの検出器51または551に
複数のコーナー部82からの回折光が入射すると、検出
器51または551の出力Vが増大して、異物等の欠陥
70と弁別して検出ができなくなる。図8はこの状態を
示したもので、複数のコーナー部82からの検出出力値
822が単一のコーナー部82からの検出出力値821
に比べて高い値になり、図に示す点線90のレベルで2
値化したのでは、異物等の欠陥70からの検出出力値7
01を分離して検出することができないことを示してい
る。
【0151】上記図8にて説明した不具合点の対策とし
て本発明では、レチクル6上の検査視野15を対物レン
ズ41、結像レンズ45、445等を介して検出器5
1、551に結像するように構成し、検出器51、55
1の寸法と結像倍率を選択することにより、レチクル6
面上における検出視野15を任意の寸法(例えば2μm
μm×2μm )に設定し、簡易な検出光学系4であり
ながら複数のコーナー部82からの回折光が検出器5
1、551に同時に入射しないようにしている。しか
し、前記従来の寸法の異物等の欠陥では検出ができて
も、ディープサブミクロンオーダーの異物等の欠陥の検
出においては、回路パターン80の形状によっては一部
のコーナー部82との分離検出が不十分であり、また、
LSIの高集積化により、回路パターン80の通常の構
造部分の寸法83よりも微細な図7に示すようなサブミ
クロンオーダーの寸法84を有する回路パターンから発
生するような回折光は、異物等の欠陥70からの散乱光
と挙動が更に類似して来ているため、異物等の欠陥70
を回路パターンから分離して検出することが一層難しく
なってきている。
【0152】本発明は、上記図9に示すようなサブミク
ロンオーダーの寸法84を有する回路パターンに対して
も、以下に説明する対策を有し、異物等の欠陥を検出す
ることができるようにしている。図10はその説明図
で、図中、701、702はディープサブミクロンオー
ダーの微小な異物等の欠陥70からの散乱光検出出力
値、864、874、865、875、866、87
6、867、877は、0゜、45゜、90゜の各回路
パターンで形成されるすべてのコーナー部82からの散
乱光の検出出力値、861、871、862、872、
863、873は、サブミクロンオーダーの寸法84を
有する微細構造回路パターンからの散乱光の検出出力値
をそれぞれ示す。このうち、701、861、862、
863、864、865、866、867は、第1の照
明系2(または3)による検出出力値を、また、70
2、871、872、873、874、875、87
6、877は、第2の照明系20(または30)による
検出出力値を示し、例えば861←→871は、回路パ
ターンの同一位置における照明系別の検出出力値で、8
61が第1の照明系2(または3)による値、871が
第2の照明系20(または30)による値を示す。ま
た、異物等の欠陥70は、図からもわかるように、回路
パターンに比べて照射方向による散乱光の検出出力値の
変動は小さい。なお、図中の破線91は、検出出力値の
しきい値を示す。
【0153】上記図8から、同一の回路パターンでも照
射される方向により散乱光の出力が大きく異なることが
判明し、しかも、レチクル6の面上で180°方向をず
らし、対向する2方向の斜方から照明した場合、いずれ
か一方の側の散乱光の出力値は、図中●印で示すよう
に、ディープサブミクロンオーダーの異物等の欠陥から
の出力値よりも必ず小さいことが分かる。
【0154】このため、図1のように、レチクル6の面
上で180°方向をずらし、対向する2方向の斜方から
同時に照明した場合、粒子、および回路パターンの検出
出力は、それぞれの照明による検出出力の和にしかなら
ず、やはり、しきい値で2値化することは困難である
が、対向する照明による散乱光をそれぞれ別々の2つの
検出器で検出し、それぞれを別々の2値化判定回路によ
り、しきい値91で2値化すると、異物等の欠陥の欠陥
の場合には2つの判定結果は両方共”1”となり、回路
パターンの場合には、2つの判定結果のうちどちらか1
方だけが”1”となるかまたは両方共”0”であるかの
いずれかとなる。これにより、2値化判定回路の判定結
果の論理積をとれば、ディープサブミクロンオーダーの
異物等の欠陥を含む異物等の欠陥70を回路パターンか
ら分離して検出できる。
【0155】上記論理積回路による検出を実現するため
には、対向する照明による散乱光を分離して検出する構
成を持つ必要がある。表面側に配置された照明系2およ
び照明系20で光源の波長を変えて波長分離(色分離)
を行う、または光源の偏光特性を変えて偏光分離を行う
等の構成が考えられる。しかし、前述のペリクル保持枠
によるけられの問題から、表面側に配置された照明系2
および照明系20でレチクルの全面に対して対向する照
明を行えない問題を有する。(図37の領域3724お
よび領域3704ではペリクル保持枠の影響で対向する
照明を行えない)そこで本発明では、以下の点に着目し
た。(1)検出感度が求められるのは、異物等の欠陥から
の散乱光の出力が小さいレチクルの光透過部分上(ガラ
ス部分上)であり、レチクルの遮光部分(クロム等の金
属薄膜部分上)の異物等の欠陥は、散乱光の出力が大き
く、前記論理積による検出は不要である。(2)表面側の
照明系の光源と、裏面側の照明系の光源では波長が異な
る。(3)表面と裏面で対向する照明を行うとペリクル保
持枠の影響を避けて全面を照明できる(後述)。
【0156】即ち、レチクルの光透過部分上の異物等の
欠陥に対し、表面側と裏面側とで対向する照明系、具体
的には、照明系2と照明系30、あるいは照明系20と
照明系3により照明を行い、波長分離により対向するそ
れぞれ照明系による散乱光検出値の2値化判定を行う構
成とした。
【0157】図69、図70はその効果を説明するため
の断面図で、図中、6901はレチクル等のホトマスク
のガラス基板、6904は回路パターン面を表面側から
照明する波長λ1の斜方照明光、6905は回路パター
ン面を裏面側から斜方照明6904と180°相対して
照明する波長λ2の斜方照明光、6902、7002は
回路パターンのエッジ部分、6942は表面側の斜方照
明6904によって回路パターンのエッジ部分6902
から発生する散乱光、6952は裏面側からの斜方照明
6905によって回路パターンのエッジ部分6902か
ら発生する散乱光、7042は表面側の斜方照明690
4によって回路パターンのエッジ部分7002から発生
する散乱光、7052は裏面側からの斜方照明6905
によって回路パターンのエッジ部分7002から発生す
る散乱光、6903、7003は0.3μm程度の大き
さの異物のモデルである標準粒子、6943は表面側の
斜方照明6904によって標準粒子6903から発生す
る散乱光、6953は裏面側からの斜方照明6905に
よって標準粒子6903から発生する散乱光、7043
は表面側の斜方照明6904によって標準粒子7003
から発生する散乱光、7053は裏面側からの斜方照明
6905によって標準粒子7003から発生する散乱光
を示している。
【0158】レチクル等のホトマスクの回路パターンの
ように微小ながらも断面構造を有する(厚さのある)回
路パターンでは、斜方照明の方向によって、発生する散
乱光の強度が大きく変化する。例えば、図69では、回
路パターンのエッジ部分からの散乱光は、斜方照明69
05による照明で発生する散乱光が大きく、一方、斜方
照明6904による照明で発生する散乱光は小さい。ま
た、異物のごとく、微小な物体で明確な異方性を示さな
い物体からの散乱光は、大きな変化を示さない。
【0159】その様子は、図69中の散乱光の検出出力
(V)を示したグラフのようになり、斜方照明6905
による散乱光では、標準粒子からの散乱光6953より
も回路パターンからの散乱光6952の方が大きく、単
純な2値化しきい値Th2では異物だけを検出すること
はできない。しかし、斜方照明6904による散乱光で
は、標準粒子からの散乱光6943の方が回路パターン
からの散乱光6942よりも大きく、単純な2値化しき
い値Th1で、異物だけを検出することができる。
【0160】図69の場合の方向の回路パターン690
2では、斜方照明6904による散乱光を検出すればよ
いが、回路パターンのエッジの方向はもう一つあり、そ
の場合の様子を図70に示す。
【0161】図70では、回路パターンのエッジ部分か
らの散乱光は、斜方照明6904による照明で発生する
散乱光が大きく、一方、斜方照明6905による照明で
発生する散乱光は小さい。また、異物のごとく、微小な
物体で明確な異方性を示さない物体からの散乱光は、大
きな変化を示さない。
【0162】その様子は、図70中の散乱光の検出出力
(V)を示したグラフのようになり、斜方照明6904
による散乱光では、標準粒子からの散乱光7043より
も回路パターンからの散乱光7042の方が大きく、単
純な2値化しきい値Th1では異物だけを検出すること
はできない。しかし、斜方照明6905による散乱光で
は、標準粒子からの散乱光7053の方が回路パターン
からの散乱光7052よりも大きく、単純な2値化しき
い値Th2で、異物だけを検出することができる。
【0163】図70の場合の方向の回路パターン700
2では、斜方照明6905による散乱光を検出すればよ
いが、図69の場合、図70の場合は、検査中に任意に
現れるため、どちらか一方を選択的に検出する構成には
できない。そこで、本発明で考案された検出方式では、
図69、図70のどちらの場合でも、異物に関しては2
つの斜方照明6904、6905の両方の検出結果にお
いて、2値化しきい値Th1、Th2の両方よりも散乱
光が大きくなっており、また、回路パターンに関して
は、2値化しきい値Th1、Th2の両方よりも散乱光
が大きくなることはない。このため、斜方照明690
4、6905による散乱光をそれぞれ検出し、それぞれ
を2値化しきい値Th1、Th2により2値化してその
論理積を求めれば、異物からの散乱光だけを検出でき
る。
【0164】また、この動作は、2つの斜方照明690
4、6905の光源の波長を異なるものとしておけば、
その散乱光を色分離フィルタ等により簡単に分離するこ
とが出来るため、2つの斜方照明6904、6905に
よる検出を同時に行え、検出判定も実時間で行うことが
できる特長を有する。
【0165】図39は図38と同様に、図1中のレチク
ル6、ペリクル7、照明系2による斜方照明光380
2、照明系20による斜方照明光3820、照明系3に
よる斜方照明光3803、照明系30による斜方照明光
3830と検査視野(=照明位置)15との関係を示し
ている。図39(A)は、図40に示すペリクル保持枠
の中心線4001を境に分けられた領域4024を検査
する場合の、照明状況を示し、表面側、裏面側で対向す
る1対の照明系による斜方照明光3820および斜方照
明光3803による照明が行われている状況を表してい
る。検査の進行と共に、ステージがY軸正方向へ送られ
て行くと、図40中の領域4004では、やがて図39
(B)の状態となり、表面側、裏面側で対向する1対の
照明系による斜方照明光3820および斜方照明光38
30により照明が行われる。領域を2つに分けて照明の
組を切り換えるのは、ペリクル保持枠3807によるけ
られを避けるためであり、従って、切り換えのタイミン
グは必ずしもペリクル保持枠の中心線4001を境に行
われる必要はない。
【0166】以上の照明方式に対する検出結果の信号処
理のブロック図を図41に示す。図41は、図1中の信
号処理系5の部分を表し、図1と同じ番号のものは、同
じものを表す。
【0167】裏面側の斜方照明系3(図41では省略)
または斜方照明系30(図41では省略)による散乱光
は、波長分離ミラー42(図41では省略)を透過して
検出器51により検出される。表面側の斜方照明系2
(図41では省略)または斜方照明系20(図41では
省略)による散乱光は、波長分離ミラー42(図41で
は省略)で反射され、検出器551により検出される。
【0168】検出器51の検出出力4101の2値化判
定結果である2値化判定回路52の論理出力4103
と、検出器551の検出出力4111の2値化判定結果
である2値化判定回路552の論理出力4113との論
理積出力、すなわち論理積回路57の出力4102が異
物等の欠陥の検出判定結果となる。また、出力4102
には論理レベルの判定結果だけでなく検出値も出力した
ほうがいいことは、さきにも述べた。そして、最終的な
判定結果に、論理レベルの判定結果だけでなく検出値も
出力したほうがいいことは以下に述べることにも共通で
ある。
【0169】この場合、図67に示されるような構成に
なる。2値化回路6701には、裏面側照明によって発
生した散乱光の検出(これを「裏面側照明による検出」
と呼ぶ、表面側照明の場合も同様)用のしきい値670
2があらかじめ設定される。また、2値化回路6711
には、表面側照明による検出用のしきい値6712があ
らかじめ設定される。そして2値化回路6701には裏
面側照明による検出値6703が、また、2値化回路6
711には表面側照明による検出値6713が入力さ
れ、2値化判定される。それぞれの判定結果は、論理積
手段6721で演算され、結果が論理レベル”1”の場
合にデータセレクタ6731で表面側照明による検出値
6732が検出結果として出力される。この場合、検出
結果の出力は、裏面側照明による検出値でも良い。
【0170】ただし、これまでに述べた構成だと、レチ
クル等のホトマスクの光透過部分上の異物等の欠陥に対
しては有効だが、遮光部分上の異物等の欠陥の検出では
以下のような問題を生じる。つまり、遮光部分上の異物
等の欠陥は、裏面側からの照明があたらないために、裏
面側からの照明により散乱光が発生しない。従って、大
きな寸法の(すなわち検出する必要のある)異物等の欠
陥が表面側からの照明により大きな散乱光を発生し、図
67における2値化回路6711の出力が論理レベル”
1”となったところで、2値化回路6701の出力は論
理レベル”1”にはならず、従って異物等の欠陥と判定
されることはない。
【0171】そこで、これを防ぐために、表面側の照明
により発生した散乱光が大きい場合には、裏面側からの
照明により発生する散乱光がない場合でも異物等の欠陥
と判定するようにする必要がある。これだと、遮光部分
上の異物等の欠陥は、発生する散乱光が小さい微小な異
物等の欠陥は検出されないが、作用の欄で述べた理由
(遮光部分上の異物等の欠陥は露光の際に転写されず、
光透過部分へ移動する可能性のある大きな異物等の欠陥
だけを検出すれば良い)から実用上は支障ない。
【0172】この場合の、処理回路のブロックを図72
に示す。図67のブロック図との違いは表面側照明によ
る検出結果の2値化回路として、2値化回路7201
と、判定結果の論理和演算回路7221が加わったこと
である。2値化回路7201には、表面側照明による検
出用のしきい値7212があらかじめ設定される。この
しきい値7212は、もう一方のしきい値6712より
も大きな値、具体的には、回路パターンからの散乱光の
検出値よりも大きくしておく。このしきい値を越えるよ
うな大きな検出値が検出された場合に、2値化回路72
01は論理レベル”1”を出力する。2値化回路720
1の出力と論理積回路6721の出力は、論理和演算回
路7221により論理和が演算され、結果が論理レベ
ル”1”の場合にデータセレクタ6731で表面側照明
による検出値6732が検出結果として出力される。こ
の場合、検出結果として出力されるのは、表面側照明に
よる検出値に限られる。なぜならば、遮光部分上の異物
等の欠陥では裏面側照明による検出結果は得られないか
らである。
【0173】また、例えば図46に示すごとく論理積処
理回路57、あるいは論理積処理回路57の周辺を構成
すれば、論理積演算器4157の入力の一方を切りかえ
手段4133によって検出結果4103に切りかえれ
ば、出力4102には論理積方式による検出判定結果が
得られ、また、論理積演算器4157の入力の一方を切
りかえ手段4133によって論理レベル”1”入力41
23に切りかえれば、出力4102および4112に
は、論理積方式を用いない検出方式の検出結果が得ら
れ、必要に応じて検査装置の検出方式を選択することが
できる。その場合、図41に示す構成は図47のごとく
なる。また、図46の目的は、同一装置でも、切りかえ
により検出方式を選択可能とすることにあるので、目的
が達成されるのであるならば、勿論、ソフトウェア処理
によるものなど他の構成でも構わない。
【0174】以上の構成より、異物等の欠陥からの散乱
光が検出されたと判定された場合、検出時のXステージ
10およびYステージ11の位置情報のほか、検出器5
1、651が単素子でない場合には、その素子中の画素
位置から計算される異物等の欠陥70の位置情報および
検出器51、551の検出出力値4101、4111
が、異物等の欠陥データとしてマイクロコンピュータ5
4が管理するメモリに記憶されるとともに、該記憶内容
が演算処理されてCRT等の表示手段55に表示され
る。
【0175】また、(特にアレイ型の検出器において)
異物等の欠陥の検出・判定を画素単位で行った場合、以
下のような不都合が生ずる。2μm×2μm検出器の画
素寸法で異物等の欠陥の検出・判定を行った場合を例に
すると、第26図に示すごとく、異物等の欠陥が複数
(2から4個)の画素間にまたがって検出される条件で
は、異物等の欠陥からの散乱光も複数の画素に分散して
しまい、結果として1つの画素の検出出力は複数の画素
間にまたがらない場合と比較して、1/2〜1/4(実
際には、検出器画素間のクロストークの影響で1/3程
度)にまで低下してしまい、異物等の欠陥の検出率が低
下する。また、検出器の画素と微小な異物等の欠陥との
位置関係はその寸法から大変微妙であり、毎回の検査で
変化する。この場合、同一試料でも検査ごとに結果が異
なり、検出の再現性が低下する。
【0176】そこで今回は、図27に示すごとく、検出
画素を1μm×1μmに縮小して行い、各画素の隣接す
る4つの1μm×1μm画素の検出出力を電気的に加
算、2μm×2μm画素による検出出力をシミュレート
する。これを1μmずつ重複して求め(図中でa、b、
c、d)、最大値(図中でa)を2μm×2μm画素に
よる代表出力として異物等の欠陥の検出判定を行うよう
にした(4画素加算処理、あるいは4画素加算方式)。
これにより、同一異物等の欠陥からの検出出力の変動は
実績で±10%におさまり、全ての異物等の欠陥に対し
て検出再現性80%以上を確保できる。
【0177】図28に4画素加算処理回路の具体例のブ
ロック図を示す。これは、1μmに縮小した場合の画素
を512画素並べた1次元型撮像素子で、1次元型撮像
素子の奇数番目の画素からの出力2503と偶数番目の
画素の出力2502がそれぞれ別々に出力される(一般
的な)1次元型撮像素子による例である。256段シフ
トレジスタ2501と1段シフトレジスタ2505と加
算器2505〜2508により縮小した1画素(1μ
m)ずつ4方向にシフトした4画素(2×2画素)を加
算し、除算器2509〜2512により各々の加算値の
平均値を求める。(ここで平均値を取るのは、加算の結
果、桁数が増加し、後の処理回路の規模が大きくなるの
を防ぐためである)そして最大値判定回路2513によ
りそ4方向の内の最大値を求め、異物等の欠陥からの検
出値2514として出力する。
【0178】このように構成すると、判定に必要な2μ
m単位に判定結果が出力され、データ量が1/4になっ
ているため、これ以降の処理回路で必要な信号処理の速
度が、1/4に減少し、回路設計上、回路動作上有利と
なる。このような構成により安定な異物等の欠陥の検出
が可能となる。
【0179】以上の例では、4画素の加算あるいは平均
処理は、検出画素間にまたがる検出結果の出力低下の防
止策であるから、処理画素は4画素より多い画素で処理
しても構わないし、効果が所望の目的を達せられるので
あれば2画素、あるいは3画素の処理でも構わない。図
65に2画素加算の場合に関してその一例を示す。同図
では、画素の形状が正方形ではなく、長方形になってい
る。これは、長方形形状をした検出器あるいは、ステー
ジの送り速度を検出器の蓄積時間に比べて早くすること
により実現できる(例えば、試料上で1μm×2μmの
画素を形成しようとするのなら、試料上の大きさ1μm
×1μmの検出器で、蓄積時間Tの間に、2μmステー
ジを送れば、実現できる)。そして、図65に示すごと
く、2画素を加算すれ処理を行えば良い。
【0180】同図の実施例では、図中b2のタイミング
で、 (a1+a2)/2 (a2+a3)/2 (b1+b2)/2 (b2+b3)/2 (a1+b1)/2 (b1+c1)/2 (a2+b2)/2 (b2+c2)/2 を演算し、そのうちの最大値を検出結果として出力す
る。即ち、4画素の場合と同様に加算値の平均値の最大
値を求めている。2画素加算は、4つの画素にまたがる
異物の出力低下を防止する効果が小さくなるが、4画素
加算に比べてステージの送り速度が早いため、検査速度
が向上する。
【0181】さて、上記例では、検出判定を行う画素寸
法(2μm×2μm)に比較して検出すべき異物等の欠
陥の寸法は小さい(例えば0.5μm)。このような場
合では、4画素加算処理前の検出器の1画素(上記例で
は1μm×1μm)中に異物等の欠陥が捕らえられさえ
すれば、異物等の欠陥からの検出出力は4画素加算処理
の前後で同一である。(なぜなら、4画素加算方式は、
前述のごとく、1画素で捕らえられずに、複数の画素に
またがってしまった場合の補償のための方式であるから
である。)この場合、回路パターンからの散乱光は、検
出器の画素の面積(画素寸法)が小さいほど1画素中に
入ってしまう回路パターンコーナー部分個数(あるいは
面積)が減少するために、回路パターンからの散乱光は
減少することを考えると、画素寸法自体は、小さいほど
好ましく、より高感度な異物等の欠陥の検出が可能とな
る。従って、4画素加算処理方式は、検出の安定性と引
き換えに、検出感度に対して犠牲を払っているとも言え
る。犠牲を払った上で、検出感度が十分ならばこの問題
に対して新たな考案を行う必要はないが、プロセス条件
の変化や、露光方式の変化に追従してより柔軟な検出感
度を有した検査技術とするためには、この問題にも配慮
を行うことが必要である。
【0182】この問題に対しては、4画素加算処理を行
った高安定検出モードと、4画素加算処理を行わない高
感度検出モードとを選択可能にすることにより必要とさ
れる性能に応じて検出方式を切りかえれば良い。
【0183】また、上記2つのモードは、4画素加算処
理の前後で異物等の欠陥の検出判定を行えば、同時に動
作可能であることに着目し、本発明では、図42に示す
ような構成で、高安定検出と高感度検出を同時に行う構
成を考案した。
【0184】図42では、検出器51あるいは検出器5
51で検出された信号は、4画素加算処理回路114あ
るいは4画素加算処理回路124にて処理を行われた結
果の検出判定(2値化)回路52あるいは検出判定(2
値化)回路552で検出判定されると同時に、4画素加
算処理を行わない結果の検出判定(2値化)回路53あ
るいは検出判定(2値化)回路553にて検出判定され
る。この結果をコンピュータ54に入力、格納し、表示
手段55に表示する。
【0185】また、異物等の欠陥の検出を達成するため
には、検出判定(2値化)回路52あるいは検出判定
(2値化)回路552で検出されるか、または、4画素
加算処理を行わない結果の検出判定(2値化)回路53
あるいは検出判定(2値化)回路553にて検出されれ
ばいいのであるから、図43のごとく、それぞれの検出
結果を論理和回路56あるいは論理和回路556で演算
し、この結果をコンピュータ54に入力、格納するよう
にすれば、回路上で、異物等の欠陥検出のデータ量小さ
くすることができる。この場合、4画素加算結果が、本
実施例の4画素加算処理ごとく最大値で得られデータ量
が減っている場合には、単純に4画素加算を行っていな
い結果と論理和を演算することが困難となる。この場合
には、図66に示すごとく加算処理を行わない状態での
4画素の最大値を求める処理を行い、データ量を1/4
に減らしておけば、論理和が演算しやすくなる。ここで
は、図中b2のタイミングで、 a1 a2 a3 a4 のうちの最大のものを検出結果として出力する。
【0186】また、検出結果の出力には論理レベルの判
定結果だけでなく検出値も出力したほうがいいことは、
論理積演算と同様、論理和演算にもあてはまる。
【0187】この場合、図68に示されるような構成に
なる。2値化判定回路6801には、4画素加算処理を
行わない検出用のしきい値6802があらかじめ設定さ
れる。また、2値化判定回路6811には、4画素加算
処理を行った検出用のしきい値6812があらかじめ設
定される。そして2値化判定回路6801には4画素加
算処理を行わない検出値6803が、また、2値化判定
回路6811には4画素加算処理を行った検出値681
3が入力され、2値化判定される。それぞれの判定結果
は、論理和手段6821で演算され、結果が論理レベ
ル”1”の場合にデータセレクタ6831で4画素加算
処理を行った検出値6832が検出結果として出力され
る。この場合、検出結果として出力されるのは、4画素
加算処理を行わない検出値6803でも良い。
【0188】図42のごとく、論理和回路56あるいは
論理和回路556を設けない場合には、表示手段55に
表示する前に、ソフトウェア的に異物等の欠陥検出デー
タの論理和を演算することが望ましい。
【0189】また、前述の論理積を用いた検出を行わな
い場合には、図44のごとく、検出判定(2値化)回路
52および検出判定(2値化)回路552および検出判
定(2値化)回路53および検出判定(2値化)回路5
53の結果を論理和回路5556で演算するかあるいは
ソフトウェア的に演算する構成も可能である。
【0190】また、論理積を用いた検出を行う場合に
は、図45のごとく、論理和回路56および論理和回路
556の出力を、論理積回路57で演算すれば良い。こ
の場合の、論理積演算は異物等の欠陥の検出の最終結果
であるから、検査の進行と同時に行われることが望まし
く、ソフトウェアによる演算よりは、回路による演算の
ほうが実際的である。
【0191】本発明では、光学的な処理により異物等の
欠陥のみを明るく顕在化し、検出を行うため、設定され
たしきい値より検出された信号が大きい場合に「異物等
の欠陥有り」と判定(2値化)して異物等の欠陥の検出が
可能である。しかし、検出結果には、(1)一次元撮像素
子検出器の各画素ごとの感度特性の差(ばらつき、±1
5%程度)による検出信号の不均一、(2)照明光源の被
検査面上での照度分布に起因する、被検査試料から発生
する散乱光量(強度)の不均一(シェーディング)によ
り、感度の分布が存在する。これにより図29に示す様
に、同一の異物等の欠陥でも検出する画素(Y方向の位
置)により検出信号の大きさが異なり、しきい値による
2値化で異物等の欠陥を安定に検出することは不可能で
ある。
【0192】本発明では、図30に示すように、予め図
1の標準試料111にて、上記(1)と(2)を含んだシェー
ディングを測定(a)し、この測定データの逆数を演算し
たシェーディング補正データ(b)を求め、これにより検
出器検出信号の増幅器ゲインを各画素ごとに変化させ、
シェーディングの影響を無くして(c)異物等の欠陥を検
出している。また、本発明のごとく、照明を複数の方向
から複数の組み合わせで行う方式の場合には、それぞれ
の照明の組み合わせに対応し、検出器毎に、個別に補正
データを採取する必要がある。
【0193】標準試料111は、図1の検査ステージ上
に載置あるいは、検査ステージの近傍に設置されるが、
シェーディング測定時だけレチクルに代えて試料台に載
置される構成も可能である。
【0194】標準試料111は、微小凹凸表面で、均一
な散乱特性を有する試料であれば良い。例えば、ガラス
基板を研磨し微細な加工痕を付けたものや、ガラス基板
に特定の大きさの標準粒子を一様に付着させたもの、ア
ルミニウムをスパッタ処理して基板上に成膜したもの等
の微小な凹凸のできる薄膜を付けたものを用いる。ただ
し、本発明においては、裏面側からの照明の補正も行う
必要があるため、レチクル等のホトマスクを検査時に照
明するのと同じ状況を再現できる補正試料である必要が
ある。即ち、ガラス基板を通して裏面側から照明を行
い、表面側に発生する散乱光を補正データとして採取で
きる構造の補正試料であるべきである。
【0195】また、標準試料111上の微小凹凸を画素
1μm×1μmに対して均一に加工することは現実的に
は困難である。そこで、シェーディングの測定を多数回
(たとえば1000回)繰り返した平均値から補正データを
求める。
【0196】また、標準試料111上で散乱光を発生す
るのは、標準試料111上で照明された部分のうち、上
記の形成された微小凹凸からの部分であり、標準試料1
11上で照明された全体から散乱光が発生するわけでは
ない。
【0197】従って、前述のごとく1000回測定を繰
り返してそれらの検出値を加算しても、標準試料111
上で照明された部分全体の照度分布を1000回加算し
たことにはならず、はるかに小さな加算値にしかならな
い。従って、単純な平均値(たとえば1000回測定を
繰り返した場合、その1000回の測定結果を加算した
値を1000で割ったもの)では、その値が小さくなり
すぎて、演算の精度が低下する場合がある。このような
条件では、割る値を繰返し回数の数分の1(例えば10
00回の繰返しで200)にすれば良い。
【0198】また、標準試料111上の微小凹凸が適切
に形成することが不可能で、1000回加算平均値で
も、凹凸の不均一さの影響を受ける場合には、さらに、
加算回数を増加させるか、あるいは、連続する2画素以
上(例えば3画素とか5画素)の画素間で平均化(スム
ージング)処理を施して補正データを求めた方が良い結
果を得られる場合もあるので、これ等のアルゴリズムを
選択可能にしておくと大きな効果が得られ、より高精度
な検出が可能となる。
【0199】図30に示す様に、補正前のシェーディン
グ(a)及び補正後(b)を比較すると,補正前には50%程
度存在したシェーディングが5%以下に補正されている
様子がわかる。なお、上記補正データを毎回の検査ごと
に再測定・更新すれば、照明・検出系等が時間的に不安
定でも、光学的な変動成分を除去することができる。図
31にシェーディング補正回路の具体例のブロック図を
示す。1次元撮像素子の検出値をA/D変換(ここでは
256階調、8bit)した値3212から1次元撮像
素子の暗電流部分の値を、各画素ごとに同期回路320
5により制御されるメモリ3206からのデータによっ
て減算する減算回路3209と、シェーディング補正倍
率を、各画素ごとに同期回路3205により制御される
メモリ3207からのデータによって乗算する乗算回路
3210と、1次元撮像素子の検出値をA/D変換(こ
こでは256階調、8bit)した値3212の2倍の
bit数(ここでは16bit)になった乗算結果をも
とのbit数(ここでは8bit)に戻す中位bit出
力回路3211からなる。同図からも判るように本例
は、デジタル回路によって補正を行う例であるが、A/
D変換前にアナログ的に補正を行っても同様の結果が得
られる。
【0200】異物等の欠陥判定を例えば2μm×2μm
の画素単位で行っている場合、2μm以上の大きさの異
物等の欠陥が存在した場合、異物等の欠陥を検出した画
素の数は、実際の異物等の欠陥の個数と異なることにな
る。仮に10μmの大きさの異物等の欠陥が1個存在し
た場合、(10μm/2μm)×(10μm/2μm)
=25個程度の画素数で検出されることになりこのまま
では、検出した異物等の欠陥を観察しようとした場合、
25個の検出結果全てを確認する必要が有り、不都合が
生じる。
【0201】従来は、ソフトウェア的に、異物等の欠陥
を検出した画素間の連結関係を調べ、画素が隣接してい
る場合には、「1個の異物等の欠陥を検出した」と判断
するグルーピング処理機能によりこの不都合を回避して
いた。しかしこの方法では、ソフトウェア的な処理を必
要とするため、検出信号が多数の場合に処理に多大な時
間(例えば検出信号1000個で約10分)を要し新た
な不都合を生じる。
【0202】そこで本発明では、全検査領域を、1度に
観察系視野に呼び出せる視野範囲(例えば32μm×3
2μm)を単位とするブロックに分割し、同一のブロッ
クの範囲内の検出信号を、すべて同一の異物等の欠陥か
らの検出信号として判定(ブロック処理)する様にし
た。これにより、大きな異物等の欠陥でもその大きさに
関係無く、1度で視野範囲内に収めて、観察・確認が可
能となる。
【0203】ブロック処理は、機能からすると簡易なグ
ルーピング処理であるが、ハードウェア化が容易である
という特徴を有する。本発明では、ブロック処理のハー
ドウェア化により処理が実時間で行われ、装置のスルー
プット(被検査試料を装置に投入してから、異物の自動
検出、検出結果の観察/確認、被検査試料の排出までの
時間)を大幅(検出信号1000個の場合、従来比で2
/3以下の時間)に向上出来る。図32にブロック処理
回路の具体例のブロック図を示す。
【0204】図32には、検出器信号を、その検出値
(大きい異物ほど大きな(強い)散乱光が発生し、検出
値は大きくなる)によって検出値の大きなほうの信号か
ら、大きい寸法の異物に相当する検出信号(以下、大異
物)、中位の寸法の異物に相当する検出信号(以下、中
異物)、小さい寸法の異物に相当する検出信号(以下、
小異物)の3種類のランクを持った異物等の欠陥のグル
ープに分類し、検出器画素の16画素×16画素=25
6画素を1ブロックとして、ブロック毎に大、中、小異
物等の欠陥の個数をカウントし、1ブロック内の異物等
の欠陥の検出信号の個数が1以上の場合にのみ、1ブロ
ック内の、グループ毎の異物等の欠陥個数と、1ブロッ
ク内での検出信号の最大値と、ブロックの座標を異物検
出結果格納用メモリ(以下、異物等の欠陥メモリ)42
71に書き込むための、ブロック処理回路を示す。検出
された異物等の欠陥に相当する検出信号と、検出された
異物等の欠陥とは、情報と物質であるから本来同一の物
ではないものの1対1に対応するものであるので、ここ
では、便宜上同一の物とし、『検出された異物等の欠陥
に相当する検出信号』を『検出された異物等の欠陥』と
表記する。
【0205】ラッチ4201には使用者が設定した検出
すべき異物等の欠陥の個数の最大値がCPUにより設定
される。これは、あまりに検出異物等の欠陥の個数が多
い場合には、検査を続行することの意義が小さいため、
使用者が設定した検出すべき異物等の欠陥の個数の最大
値より検出異物数が多くなった場合には異物等の欠陥検
査を途中で打ち切る判定とする個数である。この回路で
は、検出された異物等の欠陥の個数は、結果としてカウ
ンタ4221で計数されるので、検査途中打ち切りの判
定はラッチ4201の内容とカウンタ4221の内容と
を比較器4211で比較することにより行われる。
【0206】ラッチ4202には、検出器信号の値がラ
ッチ4202の内容以上である場合に、検出器信号が大
異物等の欠陥からの信号であると考えられる値がCPU
により設定される。検出器信号は、ラッチ4202の設
定値と比較器4212によって比較され、ラッチ420
2の設定値以上の場合、大異物等の欠陥と判定され、カ
ウンタ4222で計数される。
【0207】ラッチ4203には、検出器信号の値がラ
ッチ4203の内容以上である場合に、検出器信号が中
異物等の欠陥からの信号であると考えられる値がCPU
により設定される。検出器信号は、ラッチ4203の設
定値と比較器4213によって比較され、ラッチ420
3の設定値以上の場合、中異物等の欠陥と判定され、カ
ウンタ4223で計数される。
【0208】ラッチ4204には、検出器信号の値がラ
ッチ4204以上である場合に、検出器信号が小異物等
の欠陥からの信号であると考えられる値がCPUにより
設定される。検出器信号は、ラッチ4204の設定値と
比較器4214によって比較され、ラッチ4204の設
定値以上の場合、小異物等の欠陥と判定され、カウンタ
4224で計数される。
【0209】以上の動作では、大異物等の欠陥は、中異
物等の欠陥用カウンタ4223と小異物等の欠陥用カウ
ンタ4224にも重複して計数される。また、中異物等
の欠陥は、小異物等の欠陥用カウンタ4224にも重複
して計数される。よって、小異物等の欠陥の実数は、小
異物等の欠陥用カウンタ4224の値から中異物等の欠
陥用カウンタ4223の値を引いたものであり、中異物
等の欠陥の実数は、中異物等の欠陥用カウンタ4223
の値から大異物等の欠陥の値を引いたものである。この
ことは、検出結果の表示または出力時に注意すれば良い
事であるが、比較回路を2段に設けて(即ち、上下限値
を設けて)、大異物等の欠陥用の設定値と中異物等の欠
陥用の設定値の中間にあるものだけを中異物等の欠陥と
判定し、中異物等の欠陥用の設定値と小異物等の欠陥用
の設定値の中間にあるものだけを小異物等の欠陥と判定
する様にすれば、中異物等の欠陥用カウンタ4223の
値と小異物等の欠陥用カウンタ4224の値がそれぞれ
中異物、小異物の実数を表す。
【0210】CCD検出器等の一次元検出器アレイ(複
数の受光素子直線状に配列した検出器)からの信号を2
次元的な面積(この例では、16画素×16画素)でブ
ロック処理するのが、加算器4232、4233、42
34、およびシフトレジスタ4242、4243、42
44である。シフトレジスタの段数は、(CCDの画素
数)/(ブロック処理の一辺の画素数)で求められ、こ
の例では、CCDの画素数が256画素、ブロック処理
の1ブロックの一辺の画素数が16画素であるので、2
56/16=16となり、この例では16段シフトレジ
スタが用いられている。この例では、シフトレジスタの
段数が、16段であり、ブロック処理の1ブロックの1
辺の画素数と同一になっているが、これは上記のように
CCDの画素数とブロック処理の1辺の画素数から求め
られた画素数が、偶然同一だったためであり、シフトレ
ジスタの段数とブロック処理の1辺の画素数とは独立で
ある。但し、(CCDの画素数)/(ブロック処理の1
ブロックの一辺の画素数)が整数とならない場合には、
更に処理回路が複雑になるため、可能な限り、(CCD
の画素数)/(ブロック処理の1ブロックの一辺の画素
数)が整数となるように、CCDの画素数およびブロッ
ク処理の一辺の画素数を定めるのが望ましい。
【0211】大異物等の欠陥カウンタ4222の内容
は、1ブロックの1辺(この例では16画素)毎にクリ
ア(ゼロリセット)される。クリア信号は検出器のY方
向の1画素毎に出されるクロックを分周器4261によ
り16分周することにより得る。この時、Y方向の1画
素毎のクロックは、CCDの転送クロックを用いれば良
い。クリアされる直前の計数値(Y方向16画素分の計
数値)は、加算器4232によって大異物等の欠陥用1
6段シフトレジスタ4242の出力端に出力された値と
加算されて大異物等の欠陥用16段シフトレジスタ42
42の入力端に入力される。ここで大異物等の欠陥用1
6段シフトレジスタ4242の内容は、1段シフトされ
る。大異物等の欠陥用16段シフトレジスタ4242の
内容は、検出器のY方向の1画素毎に出されるクロック
を16分周したクリア信号でシフトされるので、結果的
にY方向の16画素毎に1段シフトされ、16段シフト
後に再び出力端に現れる。この時、CCDアレイは、1
画素X方向に移動しているので、シフトレジスタ424
2内容には、加算器4232によってY方向16画素分
の検出大異物等の欠陥個数が加算される。大異物等の欠
陥用16段シフトレジスタ4242の内容は、X方向の
1画素移動毎に出力されるエンコーダのパルスを分周器
4262で16分周して得られる信号によりクリアされ
る。即ち、X方向の16画素毎にクリアされる。従っ
て、クリアされる直前の大異物等の欠陥用16段シフト
レジスタ4242には16画素×16画素分の検出大異
物等の欠陥の個数が蓄えられている。よって、個数が0
個より大きいことを比較器4215で判定し、異物等の
欠陥メモリ4271へ異物等の欠陥の個数およびブロッ
ク座標を出力する。但し、比較器4215で比較すべき
検出異物等の欠陥個数は、大、中、小、の異物等の欠陥
の個数のすべてを含んでいる(前述)小異物等の欠陥カ
ウンタ4224の値である。
【0212】ここでは、大異物等の欠陥用の個数を例に
とり説明を行ったが、中異物等の欠陥、小異物等の欠陥
用の回路も動作は同じである。
【0213】次に、1つのブロック内での、検出器信号
の最大値を求める回路に関しても、16画素×16画素
の処理を、Y方向16画素毎のクリア信号と、X方向1
6段のシフトレジスタ4245を用いている点で検出個
数の計数と同様である。但し、この部分では、目的が最
大値検出なので、CPUにより設定されるラッチ420
1、4202、4203およびカウンタ4222、42
23、4224に代えて、Y方向16画素内の最大値を
保持するラッチ4205を、加算器4232、423
3、4234に代えて比較器4217およびセレクタ4
251を用いる点が異なる。
【0214】このようにして、異物データが蓄えられる
メモリ上には、異物が存在すると判定されたブロック
の、(1)大異物等の欠陥判定しきい値をこえた検出信号
の個数(大異物等の欠陥個数)、(2)中異物等の欠陥判
定しきい値をこえた検出信号の個数(中異物等の欠陥個
数)、(3)小異物等の欠陥判定しきい値をこえた検出信
号の個数(小異物等の欠陥個数)、(4)検出信号のうち
の最大値、(5)そのブロックの座標が蓄えられる。
【0215】表示の際には、これ等のデータを表示し、
上記(5)に基づき、確認のため、順次呼び出して、観察
系により確認するすることになるが、場合によっては、
これ等全部のデータを表示することが望ましくない場合
がある。
【0216】本発明のごとく、2値化処理で異物等の欠
陥を検出する装置では、2値化しきい値(特に小異物等
の欠陥の判定しきい値)の設定は検出感度に大きな影響
を及ぼす。即ち、しきい値を必要以上に大きく設定した
場合、実際に存在する小異物等の欠陥を異物等の欠陥と
判定できずに見落とす(見逃す)場合が発生する。用途
によっては、見落としは、大きな問題とはならない場合
もある(例えば工程で異物等の欠陥の増減状況をモニタ
することにより工程の健全性を確認するような用途)。
しかし、レチクル等のホトマスクの場合には、見落とさ
れた異物等の欠陥は、全製品の露光転写結果に影響を及
ぼすため、見落としはゼロを目指す必要がある。このた
め、判定しきい値は、可能な限り低め(小さめ)に設定
する。この場合、しきい値を必要以上に小さく設定した
場合、正常な回路パターンを異物等の欠陥と誤判定する
こともある。もちろん、本発明では、検出された異物等
の欠陥と思われる位置を呼び出して、作業者が異物等の
欠陥かまたは正常な回路パターンであるかを判定し、或
いは判定結果により誤検出結果をメモリ上から消去すれ
ば、誤検出があっても異物等の欠陥だけの検出結果を得
ることはできるし、また、そのように検査装置は構成さ
れるのが望ましく、また、本発明は、メモリ上に異物等
の欠陥が存在すると判定されたブロックの座標が記憶さ
れているために、その構成をとるように考慮されてい
る。
【0217】しかし、誤検出された正常パターンの個数
が、多過ぎると(LSI中に存在する正常パターンの個
数が数百万個以上であることは日常的である)確認作業
に時間がかかり実用的でなくなる。このため、異物等の
欠陥と判定された検出信号の個数が余りにも多い(この
ような場合、大部分が誤検出された正常な回路パターン
である)場合は、しきい値をより大きく設定し直して、
再検査することになる。このことは、再検査のために時
間が余計にかかることを意味する。このため、しきい値
の設定が確立されるまでは、検査領域を小さく限定して
(従って検査時間も短い)、しきい値の設定のための検
査を繰り返し、しきい値の確立後に必要な検査領域全体
を検査する検査方式や、異物等の欠陥と判定された検出
信号の個数が設定された値より大きくなった場合にはし
きい値設定が不適切だということで検査を中断する検査
方式や、その中断後にしきい値を設定値分だけ大きくし
て再検査を自動的に開始する検査方式や、或いは、一定
区画当たりの異物等の欠陥と判定された検出信号の個数
(異物等の欠陥と判定された検出信号の増加率)をチェ
ックし設定値以上になった場合には検査を中断する検査
方式や、その中断後にしきい値を設定値分だけ大きくし
て再検査を自動的に開始する検査方式などの考案を付加
するとより実用的となる。図32中のラッチ4201は
これ等の考案を実現するための重要な構成要素である。
【0218】また、前述の、グルーピング処理とは別
に、検出信号または異物等の欠陥と判定された検出信号
全部をメモリ上に蓄えておき、検査終了後に改めてしき
い値を設定してしきい値以上の検出信号だけを異物等の
欠陥からの検出信号と判断する構成も考えられる。但
し、この構成では、前述の、グルーピング処理回路が解
決を図ろうとした『大異物を複数の小異物と誤認識し、
検査結果の呼び出し確認に時間がかかる』あるいはその
問題を回避するための『ソフトウェアによる検査後のグ
ルーピングでは処理のために余計な時間が取られる』と
いった問題を解決できない。
【0219】そこで、本発明では、異物等の欠陥の検出
結果の表示および呼び出しはブロックを単位として行わ
れ、図32に示されるブロック処理回路の動作の結果、
メモリ上に異物等の欠陥の検出データとして、(1)大異
物等の欠陥判定しきい値をこえた検出信号の個数(大異
物等の欠陥個数)、(2)中異物等の欠陥判定しきい値を
こえた検出信号の個数(大異物等の欠陥および中異物等
の欠陥個数)、(3)小異物等の欠陥判定しきい値をこえ
た検出信号の個数(大異物等の欠陥、中異物等の欠陥お
よび小異物等の欠陥個数)、(4)検出信号のうちの最大
値、(5)そのブロックの位置座標、が蓄えられているこ
とに着目した。
【0220】即ち、表示および呼び出しを行う際に、小
異物等の欠陥判定しきい値をこえた検出信号すべての検
出信号を表示および呼び出しの対象とするのではなく、
中異物等の欠陥の欠陥判定しきい値をこえた信号、ある
いは大異物等の欠陥の判定しきい値をこえた信号が含ま
れるブロックだけを対象とすれば、対象ブロック数が減
らせ、高効率が実現できる。これは、上記(1)〜(3)につ
いて演算してもよいが、上記(4)の内容で判断するのが
最も短時間で達成される。
【0221】また、上記(4)で判定するのであれば、表
示あるいは呼び出しの判定を大、中、小の3ランクだけ
でなく、任意の設定値と比較して判定しても良い。即
ち、表示時に、該任意の設定値を少しずつ変化(増加)
させ、検出ブロック数が呼び出し確認に妥当なブロック
数になるまで変化(減少)させ、その後に呼び出しを行
うか、あるいは、減少後の該任意設定値を新たな、欠陥
の検出判定しきい値として再検査を行うか、あるいは上
記動作を自動のシーケンスで行っても良い。
【0222】図33には、検出器出力4101、411
1、、シェーディング補正回路113、123、4画素
加算処理回路114、124、ブロック処理回路58、
558、異物等の欠陥検出結果3301、3311の関
係の例を示す。図48には、図41にシェーディング補
正回路113、123、4画素加算処理回路114、1
24、ブロック処理回路58、558を適用した実施例
を示す。
【0223】図49には、図42にシェーディング補正
回路113、123、4画素加算処理回路114、12
4、ブロック処理回路58、558を適用した実施例を
示す。
【0224】図50には、図43にシェーディング補正
回路113、123、4画素加算処理回路114、12
4、ブロック処理回路58、558を適用した実施例を
示す。
【0225】図51には、図44にシェーディング補正
回路113、123、4画素加算処理回路114、12
4、ブロック処理回路58、558を適用した実施例を
示す。
【0226】図52には、図45にシェーディング補正
回路113、123、4画素加算処理回路114、12
4、ブロック処理回路58、558を適用した実施例を
示す。
【0227】図53には、図46にシェーディング補正
回路113、123、4画素加算処理回路114、12
4、ブロック処理回路58、558を適用した実施例を
示す。
【0228】
【発明の効果】本発明は、試料表面側(概ね波長780
nm)および試料裏面側(概ね波長488nm)から斜
方照明を行い、試料表面側のNA0.4以上の光学系
で、発生する散乱光を集光、照明方向別に波長分離し
て、フーリエ変換面上に設けた空間フィルタにより回路
パターンからの回折光を遮光、検出器上に結像させる検
出光学系と、検出器の検出値を照明むらに合わせて補正
する回路と2×2画素の検出値の加算値を求める回路お
よび検出器がその周囲4方向へ1画素ずつシフトした4
つの加算値の最大値を求める回路等で構成することによ
り、ホトマスク等の回路パターン付基板、特に転写解像
度の向上等を目的とした位相シフト膜を有するレチクル
上に付着したサブミクロンオーダーの微細な異物等の欠
陥等の欠陥を、主として光学的な簡単な構成で容易に安
定して回路パターンから分離して検出することができる
顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す全体概略構成図
【図2】本発明に係るレチクルの走査状況を示す図
【図3】図1の照射系の構成例を示す図(この場合対称
側は同一構成のため省略している)
【図4】本発明に係るレチクルの検査状況を示す図
【図5】本発明に係る回路パターンの角度パターンを説
明する平面図
【図6】本発明に係るフーリエ変換面上における散乱光
および回折光の分布状況を示す図
【図7】(A)は回路パターンのコーナー部を示す図 (B)は図7(A)の”ア”部の詳細図
【図8】異物等の欠陥からの散乱光検出出力値と回路パ
ターンからの検出出力値との関係説明図
【図9】微細構造パターンを有する回路パターンを示す
【図10】異物等の欠陥および回路パターンコーナー部
から検出される検出信号の出力値レベルを示す図
【図11】異物等の欠陥からの散乱光強度の理論値を粒
子の大きさ:d、照明光源波長:λによる無次元数πd
/λについて示した図
【図12】本発明に係る高NA光学系を用いて異物等の
欠陥からの散乱光を検出した図
【図13】異物等の欠陥からの回折光の方向を示す図
【図14】光学系のNAの定義を示した図
【図15】異物等の欠陥からの散乱光強度に比例する散
乱光断面積を異物等の欠陥径dに対して示した図
【図16】従来技術の一例を示した概略構成図
【図17】本発明の一実施例を示した概略構成図
【図18】粒子から発生する散乱光分布とd/λ(d:
粒子の大きさ、λ:照明光源波長)の関係を示した図。
【図19】装置の構成と検出される散乱光成分との関係
を示した図。
【図20】表面照明方式での各光源波長における、クロ
ム上粒子(0.5μm)およびクロムパターンの検出出
【図21】表面照明方式での各光源波長における、クロ
ム上粒子(1.0μm)の検出出力、および位相シフタ
パターンの検出出力
【図22】表面照明方式における弁別比(クロム上0.
5μm粒子/クロムパターン)と光源波長の関係
【図23】表面照明方式における弁別比(クロム上1.
0μm粒子/シフタパターン)と光源波長の関係
【図24】裏面照明方式での各光源波長における、ガラ
ス上粒子(0.5μm)およびクロムパターンの検出出
【図25】裏面照明方式における弁別比(ガラス上0.
5μm粒子/クロムパターン)と光源波長の関係
【図26】4画素加算処理を行わずに2μm×2μm画
素で異物等の欠陥を検出した場合の図
【図27】4画素加算処理によって1μm×1μm画素
で異物等の欠陥の検出を行った図
【図28】4画素加算処理回路の例のブロック図
【図29】シェーディングによる異物等の欠陥検出への
影響を示した図
【図30】シェーディングの原理を示した図 (a)はシェーディングの測定結果(補正前)の図 (b)はシェーディング補正データを演算した結果の図 (c)はシェーディングの測定結果(補正後)の図
【図31】シェーディング補正回路の例のブロック図
【図32】ブロック処理回路の例のブロック図
【図33】シェーディング補正回路、4画素加算処理回
路、ブロック処理回路の関係の例を示した図
【図34】本発明の他の一実施例を示した概略構成図
【図35】本発明の他の一実施例を示した概略構成図
【図36】本発明に係る位相シフタ膜付レチクルからの
散乱光・回折光を示す図
【図37】本発明に係る照明系の切りかえの状況を示す
平面図
【図38】本発明に係る照明系の切りかえの状況を示す
断面図
【図39】本発明に係る照明系の切りかえの状況を示す
断面図
【図40】本発明に係る照明系の切りかえの状況を示す
平面図
【図41】本発明に係る信号処理系のブロックの一例を
示す図
【図42】本発明に係る信号処理系のブロックの一例を
示す図
【図43】本発明に係る信号処理系のブロックの一例を
示す図
【図44】本発明に係る信号処理系のブロックの一例を
示す図
【図45】本発明に係る信号処理系のブロックの一例を
示す図
【図46】本発明に係る信号処理系のブロックの一例を
示す図
【図47】本発明に係る信号処理系のブロックの一例を
示す図
【図48】本発明に係る信号処理系のブロックの一例を
示す図
【図49】本発明に係る信号処理系のブロックの一例を
示す図
【図50】本発明に係る信号処理系のブロックの一例を
示す図
【図51】本発明に係る信号処理系のブロックの一例を
示す図
【図52】本発明に係る信号処理系のブロックの一例を
示す図
【図53】本発明に係る信号処理系のブロックの一例を
示す図
【図54】本発明に係る裏面照明系の一例を示す概略構
成図
【図55】本発明に係る裏面照明系の一例を示す概略構
成図
【図56】裏面照明系の問題点を示す断面図
【図57】裏面照明系の問題点を解決する原理を説明す
る断面図
【図58】本発明に係る裏面照明系の一例を示す概略構
成図
【図59】本発明に係る裏面照明系の一例を示す概略構
成図
【図60】裏面照明系の問題点を解決する原理を説明す
る断面図
【図61】本発明に係る裏面照明系の一例を示す概略構
成図
【図62】本発明に係る観察系の一例を示す概略構成図
【図63】本発明に係る空間フィルタの状況を示す平面
【図64】本発明に係る装置における空間フィルタの状
況の一例を示す概略構成図
【図65】2画素加算処理によって2μm×1μm画素
で異物等の欠陥の検出を行った図
【図66】4画素最大値処理によって1μm×1μm画
素で異物等の欠陥の検出を行った図
【図67】本発明に係る信号処理系で、論理積の演算結
果から、検出出力を出力するブロックの一例を示す図
【図68】本発明に係る信号処理系で、論理和の演算結
果から、検出出力を出力するブロックの一例を示す図
【図69】表裏面論理積検出における散乱光の発生状況
とその検出出力の図
【図70】表裏面論理積検出における散乱光の発生状況
とその検出出力の図
【図71】各種回路パターンからの散乱光の様子とそれ
に対応する空間フィルタ形状を示した図
【図72】本発明に係る信号処理系で、論理積の演算結
果から、検出出力を出力するブロックの一例を示す図
【符号の説明】
1…検査ステージ部、2…第1の表面照明系、20…第
2の表面照明系、3…第1の裏面照明系、30…第2の
裏面照明系、4…検出光学系、 5…信号処理系、6…
レチクル、10…Zステージ、11…Xステージ、12
…Yステージ、21、201、31、301…レーザ光
源、44、444…空間フィルタ、51、551…検出
器、52…第1の2値化回路、552…第2の2値化回
路、70…異物等の欠陥、80…回路パターン、111
…標準試料、112…ブロック処理回路、113…第1
のシェーディング補正回路、123…第2のシェーディ
ング補正回路、114…第1の4画素加算処理回路、1
24…第2の4画素加算処理回路、

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】遮光膜、光半透過膜、あるいは光透過膜で
    形成されたパターンを有する透明または半透明基板試料
    の製造時、あるいは該試料の保管時、運搬時、使用時に
    用いられる該試料上に付着した異物等の欠陥を検出する
    異物等の欠陥検出方法および検査装置において、前記を
    載置してX、Y、Zの各方向へ任意に移動可能なステー
    ジおよびその駆動制御系からなる検査ステージ部と、前
    記基板のパターン面に反射照明を行う第1の照明系と、
    透過照明を行う第2の照明系と、直接反射光および直接
    透過光は集光せず、基板から発生する散乱光および回折
    光を集光して、照明方向別に光線分離し、分離後の各フ
    ーリエ変換面上に設けた空間フィルタによりパターンか
    らの回折光および散乱光を遮光して、各々第1、第2の
    検出器上に結像する検出光学系と、検出結果を前記基板
    試料上の異物等の欠陥データとして演算表示する信号処
    理系とを備えることを特徴とする異物等の欠陥の検出方
    法および検査装置において、前記第1、第2の検出器の
    出力を比較手段により異物等の欠陥の検出を判定する手
    段を備えたことを特徴とする異物等の欠陥の検出方法お
    よび検査装置。
  2. 【請求項2】遮光膜、光半透過膜、あるいは光透過膜で
    形成されたパターンを有する透明または半透明基板上に
    付着した異物等の欠陥を検出する欠陥検査装置におい
    て、前記を載置してX、Y、Zの各方向へ任意に移動可
    能なステージおよびその駆動制御系からなる検査ステー
    ジ部と、前記基板のパターン面をその表面側から照明す
    る第1の照明系と、前記パターン面の表面側に位置し、
    該第1の照明系の照射による直接反射光は集光せず、該
    第1の照明系の照射による基板から発生する散乱光およ
    び回折光を集光して、フーリエ変換面上に設けた空間フ
    ィルタによりパターンからの回折光を遮光して、第1の
    検出器上に結像する第1の検出光学系と、前記基板のパ
    ターン面を、その表面側から照明する第2の照明系と、
    前記パターン面の裏面側に位置し、該第2の照明系の照
    射による直接透過光は集光せず、該第2の照明系の照射
    による基板から発生する散乱光および回折光を集光し
    て、フーリエ変換面上に設けた空間フィルタによりパタ
    ーンからの回折光を遮光して、第2の検出器上に結像す
    る第2の検出光学系と、第1、第2の検出器による検出
    結果を前記基板試料上の異物等の欠陥データとして演算
    表示する信号処理系とを備えることを特徴とする異物等
    の欠陥の検出方法および検査装置において、前記第1、
    第2の検出器の出力の比較手段により異物等の欠陥の検
    出を判定する手段を備えたことを特徴とする異物等の欠
    陥の検出方法および検査装置。
  3. 【請求項3】上記比較手段は、上記第1、第2の検出光
    学系の検出器の出力をしきい値を設定した2値化手段に
    より2値化した第1、第2の2値化結果を、必要に応じ
    て前記第1、第2の検出結果を論理積演算手段によって
    演算した論理積演算結果を検出結果とすることを特徴と
    する特許請求の範囲第1項および第2項記載の異物等の
    欠陥の検出方法および検査装置。
  4. 【請求項4】上記比較手段は、上記第1の検出光学系の
    検出器の出力を2個の異なる高いしきい値と低いしきい
    値を設定した2個の2値化手段により2値化した高いし
    きい値による第1の2値化結と低いしきい値による第3
    の2値化結果と、上記第2の検出光学系の検出器の出力
    をしきい値を設定した2値化手段により2値化した第2
    の検出結果から、必要に応じて前記第1、第2の2値化
    結果を論理積演算手段によって演算した論理積演算結果
    を、第3の2値化結果と論理和演算した論理和演算結果
    を検出結果とすることを特徴とする特許請求の範囲第1
    項および第2項記載の異物等の欠陥の検出方法および検
    査装置。
  5. 【請求項5】必要に応じ、上記第1、第2のそれぞれの
    検出器の検出画素による第1、第2の1画素検出結果
    と、該検出画素の周囲2画素以上の検出出力の加算値ま
    たは平均値である第1、第2の複数画素検出結果から、
    第1の1画素検出結果と第1の複数画素検出結果とを比
    較した結果を上記第1の検出出力とし、第2の1画素検
    出結果と第2の複数画素検出結果とを比較した結果を上
    記第2の検出出力とすることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項、第2項、第3項および第4項記載の異物等の
    欠陥の検出方法および検査装置。
  6. 【請求項6】上記比較手段は、上記第1、第2のそれぞ
    れの検出器の検出画素による検出出力をしきい値を設定
    した2値化手段により2値化した第1、第2の1画素2
    値化結果と、該検出画素の周囲2画素以上の検出出力の
    加算値または平均値をしきい値を設定した2値化手段に
    より2値化した第1、第2の複数画素2値化結果とによ
    り、第1の1画素2値化結果と第1の複数画素2値化結
    果との論理和を演算した論理和演算結果を上記第1の2
    値化結果とし、第2の1画素2値化結果と第2の複数画
    素2値化結果との論理和を演算した論理和演算結果を上
    記第2の2値化結果とすることを特徴とする特許請求の
    範囲第5項記載の異物等の欠陥の検出方法および検査装
    置。
  7. 【請求項7】上記第1の照明系の光源の波長を概ね波長
    780nmとし、上記第2の照明系の光源の波長を概ね
    波長488nmあるいは概ね波長488nmおよび概ね
    波長515nmとしたことを特徴とする特許請求の範囲
    第1項、第2項、第3項、第4項、、第5項および第6
    項記載の異物等の欠陥の検出方法および検査装置。
  8. 【請求項8】上記検出を望む異物等の欠陥の最小寸法を
    dとしたとき、上記第1の照明系の光源の波長を概ね波
    長1.6dとし、上記第2の照明系の光源の波長を概ね
    波長1.0dあるいは概ね波長1.0d近傍の複数の波
    長としたことを特徴とする、特許請求の範囲第1項、第
    2項、第3項、第4項、、第5項および第6項記載の異
    物等の欠陥の検出方法および検査装置。
  9. 【請求項9】上記第1の照明系の光源の波長を概ね波長
    600nm以上800nm以下の波長範囲のうち、単一
    または複数の波長とし、上記第2の照明系の光源の波長
    を波長450nm以上550nm以下の波長範囲のう
    ち、単一または複数の波長としたことを特徴とする、特
    許請求の範囲第1項、第2項、第3項、第4項、第5項
    および第6項記載の異物等の欠陥の検出方法および検査
    装置。
  10. 【請求項10】上記第1、第2の検出器の検出出力を、
    あらかじめ採取した第1、第2の照明系による照明光の
    試料上での照度分布によって補正を行う手段を設けたこ
    とを特徴とする、特許請求の範囲第1項、第2項、第3
    項、第4項、第5項、第6項、第7項、第8項、および
    第9項記載の異物等の欠陥の検出方法および検査装置。
  11. 【請求項11】遮光膜、光半透過膜、あるいは光透過膜
    で形成されたパターンを有する透明または半透明基板試
    料の製造時、あるいは該試料の保管時、運搬時、使用時
    に用いられる該試料上に付着した異物等の欠陥を検出す
    る異物等の欠陥検出方法および検査装置において、前記
    を載置してX、Y、Zの各方向へ任意に移動可能なステ
    ージおよびその駆動制御系からなる検査ステージ部と、
    前記基板のパターン面に照明を行う照明系と、該照明系
    による直接反射光および直接透過光は集光せず、基板か
    ら発生する散乱光および回折光を集光して、検出器上に
    結像する検出光学系と、該検出器の検出出力をあらかじ
    め設定されたしきい値によって、2値化して異物等の欠
    陥検出を判定し、該判定結果を前記基板試料上の異物等
    の欠陥データとして演算表示する信号処理系とを備える
    ことを特徴とする異物等の欠陥の検出方法および検査装
    置において、該ステージ上の透明あるいは半透明基板上
    に形成された標準試料によって、あらかじめ採取した該
    照明系による照明光の試料上での照度分布にから、該検
    出器の検出出力の補正を行う手段を設けたことを特徴と
    する異物等の欠陥の検出方法および検査装置。
  12. 【請求項12】遮光膜、光半透過膜、あるいは光透過膜
    で形成されたパターンを有する透明または半透明基板試
    料の製造時、あるいは該試料の保管時、運搬時、使用時
    に用いられる該試料上に付着した異物等の欠陥を検出す
    る異物等の欠陥検出方法および検査装置において、前記
    を載置してX、Y、Zの各方向へ任意に移動可能なステ
    ージおよびその駆動制御系からなる検査ステージ部と、
    前記基板のパターン面に照明を行う高輝度な第1の照明
    系と、該第1の照明系による直接反射光および直接透過
    光は集光せず、基板から発生する散乱光および回折光を
    集光して、第1の検出器上に高分解能で結像する第1の
    検出光学系と、前記第1の照明系、第1の検出光学系と
    は別に、第1の照明系と比較して広い視野を照明する第
    2の照明系と、該第2の照明系による直接反射光および
    直接透過光は集光せず、基板から発生する散乱光および
    回折光を集光して、第1の検出光学系と比較して広い視
    野で第2の検出器上に結像する第2の検出光学系と、該
    検出器の検出出力をあらかじめ設定されたしきい値によ
    って、2値化して異物等の欠陥検出を判定し、該判定結
    果を前記基板試料上の異物等の欠陥データとして演算表
    示する信号処理系とを備えることを特徴とする異物等の
    欠陥の検出方法および検査装置。
  13. 【請求項13】遮光膜、光半透過膜、あるいは光透過膜
    で形成されたパターンを有する透明または半透明基板試
    料の製造時、あるいは該試料の保管時、運搬時、使用時
    に用いられる該試料上に付着した異物等の欠陥を検出す
    る異物等の欠陥検出方法および検査装置において、前記
    を載置してX、Y、Zの各方向へ任意に移動可能なステ
    ージおよびその駆動制御系からなる検査ステージ部と、
    前記基板のパターン面に透過照明を行う照明系と、該照
    明系による直接反射光および直接透過光は集光せず、基
    板から発生する散乱光および回折光を集光して、検出器
    上に結像する検出光学系と、該検出器の検出出力をあら
    かじめ設定されたしきい値によって、2値化して異物等
    の欠陥検出を判定し、該判定結果を前記基板試料上の異
    物等の欠陥データとして演算表示する信号処理系とを備
    えることを特徴とする異物等の欠陥の検出方法および検
    査装置において、被検査試料の屈折率、厚みに応じて、
    前記照明系の照明位置を補正する手段を設けたことを特
    徴とする異物等の欠陥の検出方法および検査装置。
  14. 【請求項14】上記照明系の照明位置補正手段は、照明
    系の光路を、被検査試料平面に対して平行に移動する機
    構であることを特徴とする、特許請求の範囲第13項記
    載の異物等の欠陥の検出方法および検査装置。
  15. 【請求項15】上記照明系の照明位置補正手段は、照明
    系の入射角度を変化させる機構であることを特徴とす
    る、特許請求の範囲第13項記載の異物等の欠陥の検出
    方法および検査装置。
  16. 【請求項16】上記照明系の照明位置補正手段は、照明
    系と被検査試料の間に、挿入される透明あるいは半透明
    基板であることを特徴とする、特許請求の範囲第13項
    記載の異物等の欠陥の検出方法および検査装置。
  17. 【請求項17】遮光膜、光半透過膜、あるいは光透過膜
    で形成されたパターンを有する透明または半透明基板試
    料の製造工程中、あるいは該試料の保管時、運搬時、使
    用時に用いられる該試料上に付着した異物等の欠陥を検
    出する異物等の欠陥検出方法および検査装置において、
    製造工程中のパターン形成状況、および異物等の欠陥の
    付着位置によって、異物等の欠陥の最小検出可能感度を
    異なるものとする異物等の欠陥検出方法および検査装
    置。
  18. 【請求項18】遮光膜、光半透過膜、あるいは光透過膜
    で形成されたパターンを有する透明または半透明基板試
    料の製造工程中、あるいは該試料の保管時、運搬時、使
    用時に用いられる該試料上に付着した異物等の欠陥を検
    出する異物等の欠陥検出方法および検査装置において、
    製造工程中のパターン形成前の検査時には最小検出可能
    感度をd0とし、パターンの形成後の検査時には最小検
    出可能感度をd1(d0≦d1)とする異物等の欠陥検
    出方法および検査装置。
  19. 【請求項19】遮光膜、光半透過膜、あるいは光透過膜
    で形成されたパターンを有する透明または半透明基板試
    料の製造工程中、あるいは該試料の保管時、運搬時、使
    用時に用いられる該試料上に付着した異物等の欠陥を検
    出する異物等の欠陥検出方法および検査装置において、
    製造工程中のパターン形成前の検査時には最小検出可能
    感度をd0とし、パターンの形成後の検査時には、遮光
    膜上に付着したの異物等の欠陥に対しては最小検出可能
    感度をd2とし、光半透過膜、あるいは光透過膜、ある
    いは膜の形成されない部位等の光透過、光半透過部分上
    に付着した異物等の欠陥に対しては最小検出可能感度を
    d3(d0≦d2≦d3)とした検出方法および検査装
    置。
  20. 【請求項20】多層の、遮光膜、光半透過膜、あるいは
    光透過膜で形成されたパターンを有する透明または半透
    明基板試料の製造工程中、あるいは該試料の保管時、運
    搬時、使用時に用いられる該試料上に付着した異物等の
    欠陥を検出する異物等の欠陥検出方法および検査装置に
    おいて、製造工程中のパターン形成前の検査時には最小
    検出可能感度をd0とし、中間層のパターンの形成後の
    検査時には最小検出可能感度をd1(d0≦d1)と
    し、中間層のパターンの上に成膜がなされ、パターン形
    成前の検査時には最小検出可能感度をd2(d2≦d
    1)とし、最終層のパターンの形成後の検査時には、遮
    光膜上に付着したの異物等の欠陥に対しては最小検出可
    能感度をd3とし、光半透過膜、あるいは光透過膜、あ
    るいは膜の形成されない部位等の光透過、光半透過部分
    上に付着した異物等の欠陥に対しては最小検出可能感度
    をd4(d2≦d4≦d3)とした検出方法および検査
    装置。
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