JP3572745B2 - クローラ式移動農機における走行伝動装置 - Google Patents

クローラ式移動農機における走行伝動装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クローラにより走行するコンバインやハーベスタのような移動農機の走行伝動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
このようなクローラ式の移動農機の進路を変更するには、3通りの方法がある。左右のクローラを互いに逆方向に回転するスピンターンと、一方のクローラに制動を掛けるピボットターンと、一方のクローラを他方のクローラと同一の方向にそれより低速で駆動する緩旋回すなわちマイルドターン(出願人の登録商標)である。
【0003】
本出願人は、これらの3通りの旋回モードを自在に選択できる走行伝動装置の改良を研究開発し、これを特願平6−261937号として出願した。
次にその走行伝動装置を図6を参照して説明する。
【0004】
102は、静油圧式無段変速装置(HST)のモータで、この出力側をミッションの入力軸103に直結する。
【0005】
入力軸103の左右に低速ギヤ104と高速ギヤ105を遊嵌し、両ギヤの中間に増速クラッチ106を装備する。増速クラッチ106はディスク形式のクラッチで、入力軸103の回転を低速ギヤ104または高速ギヤ105に伝える。
【0006】
107は中間軸で、その左右に固着する第1伝動ギヤ108と第2伝動ギヤ109に、それぞれ低速ギヤ104と高速ギヤ105を常時噛合する。
【0007】
110は変速軸で、これに作業速チェンジギヤ111と走行速チェンジギヤ112を遊嵌すると共に、作業速チェンジギヤ111に一体的に形成したマイルド伝動ギヤ113と走行速チェンジギヤ112の中間に、摺動子114を軸方向に移動可能にスプライン結合する。作業速チェンジギヤ111は中間軸107に固着した第3伝動ギヤ115に常時噛合し、また走行速チェンジギヤ112は第1伝動ギヤ108に常時噛合する。
【0008】
116はクラッチ・ブレーキ軸で、その左右にサイドクラッチ・ブレーキ117、118を装備する。クラッチ・ブレーキ軸116に遊嵌する第4伝動ギヤ119、第5伝動ギヤ120をサイドクラッチ・ブレーキ117、118に連結する。第4伝動ギヤ119と第5伝動ギヤ120の間に第6伝動ギヤ121をクラッチ・ブレーキ軸116に固着する。第6伝動ギヤ121には一体に回転する第7伝動ギヤ122を固着し、第7伝動ギヤ122は、変速軸110に固定する第8伝動ギヤ123に常時噛合する。
【0009】
124は第2伝動軸で、その左右にマイルド駆動ギヤ125と逆転ギヤ126を遊嵌し、マイルド駆動ギヤ125と逆転ギヤ126の間に切換ギヤ127を配設する。そして、マイルド駆動ギヤ125と逆転ギヤ126と切換ギヤ127とに相互に係合歯を形成する。切換ギヤ127は、スピン・マイルド出力ギヤ128に常時噛合し、スピン・マイルド出力ギヤ128はスピン・マイルド軸129に固着する。
【0010】
スピン・マイルド軸129には、切換クラッチ130、131を固着し、さらに切換クラッチ130、131の出力側に第7伝動ギヤ132及び第8伝動ギヤ133をそれぞれ遊嵌する。伝動ギヤ132、133には、一体に回転する第9伝動ギヤ134及び第10伝動ギヤ135を固着する。第9伝動ギヤ134は第4伝動ギヤ119に連結し、第10伝動ギヤ135は第5伝動ギヤ120に連結する。
【0011】
また、第7伝動ギヤ132に常時噛合する第11伝動ギヤ136を出力軸138に固着し、第8伝動ギヤ133に常時噛合する第12伝動ギヤ137を出力軸139に固着する。出力軸138、139によりクローラ軸140、141を介してクローラを回転する。
【0012】
図6の装置でピボットターンする場合の動力伝達経路は次のとおりである。
【0013】
先づ入力軸103の動力が、低速ギヤ104或いは高速ギヤ105を介して中間軸107に伝達し、さらに中間軸107から第3伝動ギヤ115を経て作業速チェンジギヤ111に、或いは中間軸107から第1伝動ギヤ108を経て走行速チェンジギヤ112に伝達する。
【0014】
マイルド伝動ギヤ113は作業速チェンジギヤ111に一体であるから、摺動子114がマイルド伝動ギヤ113に係合すると、変速軸110が回転する。その回転が、変速軸110の第8伝動ギヤ123から第7伝動ギヤ122を介してクラッチ・ブレーキ軸116に伝達する。
【0015】
ここで右に旋回するとした場合、旋回内側の右のサイドクラッチ・ブレーキ118を作動して、クラッチ・ブレーキ軸116から伝動ギヤ120への動力の伝達を遮断して、伝動ギヤ120へ制動を加える。これにより第10伝動ギヤ135、第8伝動ギヤ133、第12伝動ギヤ137、出力軸139及びクローラ軸141に制動力が伝達して右側のクローラ141を制動する。
【0016】
また、旋回外側については、クラッチ・ブレーキ軸116に伝達した動力が、左のサイドクラッチ・ブレーキ117から第4伝動ギヤ119、第9伝動ギヤ134、第7伝動ギヤ132、第11伝動ギヤ136、出力軸138及びクローラ軸140に伝達する。
【0017】
次に、スピンターンについて説明する。
【0018】
クラッチ・ブレーキ軸116に伝達した動力を第6伝動ギヤ121、逆転ギヤ126に伝達して、切換ギャ127を切換えて、スピン・マイルド出力ギヤ128を介してスピン・マイルド軸129に伝達する。この動力は旋回外側の動力に対して逆回転している動力である。
【0019】
スピン・マイルド軸129に伝達した逆回転の動力は、切換クラッチ130、131を介して第7伝動ギヤ132或いは第8伝動ギヤ133に伝達する。この逆回転の動力が第11伝動ギヤ136或いは第12伝動ギヤ137及び出力軸138或いは出力軸139を介してクローラ軸140或いは141を回転して旋回内側のクローラを逆回転する。
【0020】
次に緩旋回について説明する。
【0021】
ピボットターンと同様に中間軸107から第3伝動ギヤ115を経て作業速チェンジギヤ111に動力が伝達する。動力は作業速チェンジギヤ111に一体のマイルド伝動ギヤ113からマイルド駆動ギヤ125を経て切換クラッチ130、131に至る。そこで操向レバー(ステアリングレバー)を右か左に操作して、旋回内側の切換クラッチ130或いは131を接続することにより、出力軸138或いは139を他方の出力軸138或いは139よりも低速で回転させ、機体を緩旋回する。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
このように、図6の装置では、ピボットターンの場合、クラッチ・ブレーキ軸116にサイドクラッチ・ブレーキ117、118を備え、クラッチ・ブレーキ軸116から第4伝動ギヤ119或いは第5伝動ギヤ120とクローラ出力軸138、139を経て旋回内側のクローラ軸140、141に制動を掛ける。
【0023】
また、スピンターンの場合、スピン・マイルド軸129に切換クラッチ130、131を備え、クラッチ・ブレーキ軸116から第2伝動軸124、スピン・マイルド軸129、出力軸138、139、クローラ軸140、141を介して旋回内側のクローラを逆回転する。
【0024】
また、緩旋回の場合、マイルド駆動ギヤ125、第2伝動軸124、スピン・マイルド軸129、出力軸138、139、クローラ軸140、141を介して旋回内側のクローラを低速正回転する。
【0025】
以上のように3通りの進路変更するには、入力軸103、中間軸107、クラッチ・ブレーキ軸116、第2伝動軸124、スピン・マイルド軸129及び出力軸138、139を必要とする。このため、ミッションを小型化することが困難であり、重量が増大しコストも上昇する。
【0026】
また、3通りの進路変更を実行する際は、軸に掛かる負荷が大きいため、クラッチ・ブレーキ軸116とスピン・マイルド軸129を太くする必要がある。
【0027】
本発明は、3通りのターンモードが可能な移動農機において、そのミッションを可能な限り小型化し、ミッションの重量を低減することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明は、左右いずれか一方のクローラに制動を掛けるピボットターン、左右のクローラを互いに逆方向に回転するスピンターン、及び一方のクローラを他方のクローラと同じ方向で低速に駆動する緩旋回のうち、任意のターンモードを選択するクローラ式移動農機において、
制御軸には、ブレーキと左右一対のサイドクラッチを取り付け、さらに当該ブレーキを取付けた側とは反対側の端部にスピン・マイルド制御軸を取り付け、
このスピン・マイルド制御軸にスピン・マイルド切換クラッチを着脱自在に配設し、
入力軸の回転を低速正回転か逆回転に変換し、そのいずれかの回転をスピン・マイルド切換クラッチを経由して制御軸に伝達し
御軸の回転をサイドクラッチを介してクラッチ軸の左右一対の出力ギヤにそれぞれ伝達し、
左右一対の出力ギヤをクラッチ軸の直進ギヤに入り切り自在に接続し、
そして入力軸の回転を直進ギヤに伝達すると共に、制御軸の回転を出力ギヤを介してクローラの回転軸に接続してなることを特徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態例を図面に示して説明する。
【0030】
11はコンバインのクローラで、12L、12Rは左右のクローラ駆動軸を示す。13は刈取り部、14は脱穀部である(図1参照)。図2は、エンジン(図示しない)の動力を左右のクローラ11、11に伝動するトランスミッションの展開横断面図であり、また図3は、トランスミッションのギヤの接続を示す縦断面図である。
【0031】
エンジンの動力を入力プーリ15を介して静油圧式無段変速装置(HST)のポンプ16に入力し、HSTモータ17をHSTポンプ16に併設する。HSTポンプ16はHSTモータ17を駆動する
18は、トランスミッションの入力軸で、HSTモータ17の出力側に接続する。入力軸18に第1伝動ギヤ19を固着する。
【0032】
20は、入力軸18の下流に配設する変速軸で、変速軸20の外周に外周筒21を回転自在に嵌合する。外周筒21には、低速ギヤ22、中速ギヤ23及び高速ギヤ24をスプライン結合する。低速ギヤ22、中速ギヤ23及び高速ギヤ24は一体に回転し、図示しないフォーク部材により外周筒21上を横移動する。高速ギヤ24は、第1伝動ギヤ19に常時噛合する。
【0033】
外周筒21に、環状の凹溝を外周に形成したシフタ25を、スプライン結合すると共に、シフタ25に対抗して、変速軸20の右端部に刈取クラッチ26を配設し、刈取クラッチ26の入力側とシフタ25の間に爪クラッチを形成する。刈取クラッチ26の出力側は変速軸20に連結する。28はシフタ25を移動するシフタフォークである。
【0034】
また、変速軸20の右端にプーリ30を固定し、刈取クラッチ26を経てこのプーリ30より刈取部へ動力を伝達する。
【0035】
31は第1中間軸で、変速軸20の下流に配設し、第1中間軸31に第2伝動ギヤ32、第3伝動ギヤ33及び第4伝動ギヤ34を固着する。第2伝動ギヤ32を低速ギヤ22に噛合し、第3伝動ギヤ33を中速ギヤ23に噛合し、第4伝動ギヤ34を高速ギヤ24に噛合する。
【0036】
35は第2中間軸で、第1中間軸31の下流に配設する。第2中間軸35の中央に第5伝動ギヤ36を固着し、第2中間軸35の右端に第6伝動ギヤ37を固着する。第6伝動ギヤ37は第4伝動ギヤ34に常時噛合する。
【0037】
38は制御軸で、第2中間軸35の下流に配設する。制御軸38には、左端にブレーキ39、中央部に左右の爪クラッチ40、41を配設する。左右の爪クラッチ40、41の原動側を制御軸38に固着し、受動側を遊嵌する。そして、左右の爪クラッチ40、41の受動側に第8伝動ギヤ42と第9伝動ギヤ43をそれぞれ固着し、第8伝動ギヤ42と第9伝動ギヤ43は爪クラッチ40、41の受動側と一体に回転し、且つ横方向に一緒に移動させる。
【0038】
また、ブレーキ39はディスク形式で、ブレーキ本体44とブレーキケース45からなり、ブレーキ本体44は制御軸38に固着し、ブレーキケース45はミッションケースに固着する。ブレーキ39は、ブレーキ本体44側に一体のディスク(図示しない)と、ブレーキケース側に一体のディスク(図示しない)を交互に配置した構造である。
【0039】
46はクラッチ軸で、制御軸38の下流に配設する。クラッチ軸46の中央部に直進ギヤ47を固着し、左出力ギヤ48と右出力ギヤ49をクラッチ軸46に遊嵌する。また左出力ギヤ48と右出力ギヤ49は、直進ギヤ47と向かい合う面に直進ギヤ47と係合する係合歯をそれぞれ形成する。そして、左出力ギヤ48及び右出力ギヤ49をバネにより係合歯が係合する方向に付勢する。
【0040】
左出力ギヤ48に第10伝動ギヤ50を固着し、左出力ギヤ48は第8伝動ギヤ42に常時噛合して一緒に横移動させる。また、右出力ギヤ49に第11伝動ギヤ51を固着し、右出力ギヤ49に第9伝動ギヤ43を常時噛合して一緒に横移動させる。
【0041】
第10伝動ギヤ50と第11伝動ギヤ51に溝部を形成して、溝部に係合するピンを備えるフォーク部材52L、52Rをそれぞれ配設する。そして、第10伝動ギヤ50に第12伝動ギヤ53を常時噛合し、第11伝動ギヤ51に第13伝動ギヤ54を常時噛合する。第12伝動ギヤ53は左クローラ駆動軸12Lに固定し、第13伝動ギヤ54は右クローラ駆動軸12Rに固定する。
【0042】
次にスピンターン、緩旋回の動力伝達経路を有するギヤボックス55を説明する。
【0043】
56はスピン・マイルド軸で、第2中間軸35に連結して一体に回転し、スピン・マイルド入力ギヤ57をスピン・マイルド軸56にスプライン結合する。スピン・マイルド入力ギヤ57は図示しないフォークにより左右に移動する。
【0044】
58はマイルド中間軸でスピン・マイルド軸56の下流に配設し、第15伝動ギヤ59、第16伝動ギヤ60を固着する。
【0045】
61は、スピン・マイルド制御軸で、スピン・マイルド軸56の下流に配設して制御軸38と一体に連結する。スピン・マイルド制御軸61にスピン・マイルド切換クラッチ62を配設し、スピン・マイルド切換クラッチ62はディスク形式でクラッチ本体とクラッチケースからなる。
スピン・マイルド切換クラッチ62は、クラッチ本体側に一体のディスクとクラッチケース側に一体のディスクを交互に配置した構造である。クラッチ本体をスピン・マイルド制御軸61にスプライン結合し、クラッチケースに第17伝動ギヤ63を連結する。第17伝動ギヤ63はスピン・マイルド制御軸61に遊嵌する。
【0046】
ギヤボックス55を装着したトランスミッションでは、制御軸38の左端にブレーキ39を配設し、スピン・マイルド制御61の右端にスピン・マイルド切換クラッチ62を配設する。このようにトランスミッションの両端部に配設すると、ブレーキ39とスピン・マイルド切換クラッチ62が取り外せて修理ができる。
【0047】
また、ギヤボックス55は、トランスミッションから分割可能に構成する。これによりピボットターンのみ可能なミッションとギヤボックス55以外の機構が共通し、部品を共用できるので、ミッションの仕様に応じた生産が容易になりトランスミッションの生産の効率を上げることができる。同時に、ギヤボックス55のみ外してスピン・マイルド切換クラッチ62の保守管理を容易に行うことができる。
【0048】
次に動作を説明する。
【0049】
先ずコンバインが直進する場合を説明する。
【0050】
エンジンの動力がHSTポンプ16とHSTモータ17を介して入力軸18に伝達して、第1伝動ギヤ19と高速ギヤ24が回転する。そして、高速ギヤ24の回転と一体に低速ギヤ22と中速ギヤ23が回転し、図示しないシフタフォークにより低速、中速或いは高速に切換えることにより、第2伝動ギヤ32または第3伝動ギヤ33または第4伝動ギヤ34を介して第1中間軸31が回転する。
【0051】
第1中間軸31の回転が第4伝動ギヤ34から第6伝動ギヤ37を介して第2中間軸35が回転し、第2中間軸35の回転により第5伝動ギヤ36、直進ギヤ47が回転する。そして、直進ギヤ47に左出力ギヤ48と右出力ギヤ49が結合して、左出力ギヤ48から第10伝動ギヤ50、第12伝動ギヤ53を介して左側のクローラ軸12Lを回転すると共に、右出力ギヤ49から第11伝動ギヤ51及び第13伝動ギヤ54を介して右側のクローラ軸12Rを回転する。これにより左右クローラ11、11は同一速度で回転して機体が直進する。
【0052】
なお、スピン・マイルド軸56が回転するとき、スピン・マイルド入力ギヤ57は第15伝動ギヤ59か第17伝動ギヤ63に噛合し、いずれの場合も第17伝動ギヤ63が回転するが、スピン・マイルド切換クラッチ62は切りの状態であるため、第17伝動ギヤ63は空転するだけで、スピン・マイルド軸56の回転はスピン・マイルド制御軸61に伝達しない。
【0053】
次に、左方向のピボットターンを説明する。
【0054】
左フォーク部材52Lにより直進ギヤ47から左出力ギヤ48が離間して、左側のサイドクラッチ40が入りの状態になる。このとき右側のサイドクラッチ41は切りの状態にある。
【0055】
そして左ブレーキ39を作動することにより制御軸38を制動して、左サイドクラッチ40、第8伝動ギヤ42、左出力ギヤ48、第10伝動ギヤ50、第12伝動ギヤ53及び左側のクローラ軸12Lを介して左側のクローラ11を制動する。
【0056】
次に、左方向のスピンターンを説明する。
【0057】
この場合、第2中間軸35までは直進時と同様で、第1中間軸31の回転が第4伝動ギヤ34、第6伝動ギヤ37を介して第2中間軸35を回転する。そして、右側クローラ11への動力伝達経路は直進時と同じである。
【0058】
一方左側クローラ11への動力の伝達は、第2中間軸35と一体にスピン・マイルド軸56が回転して、図示しないシフタフォークによりスピン・マイルド入力ギヤ57と第17伝動ギヤ63を噛合することによりスピン・マイルド切換クラッチ62を介して制御軸38を回転する。
【0059】
このとき、左のサイドクラッチ40を入りにして右のサイドクラッチ41を切りにし、制御軸38の回転により左サイドクラッチ40及び第8伝動ギヤ42を介して左出力ギヤ48を回転する。左出力ギヤ48は直進ギヤ47から離間しており、左出力ギヤ48の回転を第10伝動ギヤ50、第12伝動ギヤ53を介して左クローラ軸12Lに伝達する。
【0060】
左方向のスピンターンの場合、左側クローラ11の動力伝達経路は、右側クローラ11の動力伝達経路に比較して、制御軸38が介在しているため、右側クローラ11の回転に対して逆回転している。
【0061】
一方、右側のクローラ11は、直進時と同一に回転するため機体は左方向へ旋回する。
【0062】
次に、左方向の緩旋回を説明する。
【0063】
第2中間軸35までは直進時と同様であり、右側の動力伝達経路は第2中間軸35の回転によりスピン・マイルド軸56が一体に回転する。図示しないシフタフォークによりスピン・マイルド入力ギヤ57と第15伝動ギヤ59を噛合し、マイルド中間軸58、第16伝動ギヤ60、第17伝動ギヤ63及びスピン・マイルド切換クラッチ62を介して制御軸38を回転する。
【0064】
左サイドクラッチ40を入りにして右サイドクラッチ41を切りにし、左サイドクラッチ40の原動側の回転により受動側を回転する。そして、第8伝動ギヤ42、左出力ギヤ48を回転して、スピンターンと同様に左出力ギヤ48を直進ギヤ47から離間する。これにより左出力ギヤ48の回転を第10伝動ギヤ50、第12伝動ギヤ53を介して左クローラ軸12Lに伝達する。
【0065】
緩旋回の場合、右側の動力伝達経路と左側の動力伝達経路のギヤ比の違いにより、左側のクローラ11が右側のクローラ11よりも進行方向同一でかつ遅く進むために、機体は左方向に旋回する。
【0066】
なお、以上左方向への旋回を述べたが右方向への旋回も同様である。
【0067】
以上のように、図2の例では、各ターンを実行する場合、それぞれ制御軸38に動力が伝達し、サイドクラッチ40、41により旋回側のクローラ11に制動を掛けたり、逆回転したり、減速正回転したりする。このため、図6の従来と比較してクラッチ・ブレーキ軸116或いはスピン・マイルド軸129を省略できるのでトランスミッションのケースを小型化できる。
【0068】
またスピンターンと緩旋回のように、制御軸38からクラッチ軸46に動力を伝達する場合、左右のサイドクラッチ40、41を制御軸38の中央に位置させることにより、ブレーキ39及びスピン・マイルド切換クラッチ62を含めた制御軸38の幅を狭くできる。また、第12伝動ギヤ53と第13伝動ギヤ54の間に直進ギヤ47及び出力ギヤ48、49を位置させることにより左右のサイドクラッチ40、41の幅を狭くできて、制御軸38の幅を狭くするのに寄与する。
【0069】
また、出力ギヤ48、49の上流で、左右のサイドクラッチ40、41を制御軸38に配設する。そして、制御軸38を高速回転側(低トルク側)にし、第8伝動ギヤ42と第9伝動ギヤ43を小型化でき、サイドクラッチ40、41をコンパクトにできる。同時に制御軸38が低トルク側であるためブレーキ39を作動する時の騒音が低減する。
【0070】
3通りの旋回とも制御軸38に負荷が掛かることになるが、制御軸38の強度だけを高めるだけでよく、トランスミッション全体の重量を軽減できる。
【0071】
ところで、従来のギヤボックス70(図4)は、入力軸71に第21ギヤ72を遊嵌し、緩旋回時に第21ギヤ72と噛合する第22ギヤ73をマイルド軸74に固着し、さらに第23ギヤ75をマイルド軸74に固着する。そして入力軸71の下流にクラッチ軸76を配設し、クラッチ軸76に第24ギヤ77とクラッチ78を固着する。第24ギヤ77は第23ギヤ75に常時噛合する。
さらにクラッチ78の出力側を第25ギヤ79に連結し、第25ギヤ79を出力軸80に固着する構造である。
【0072】
このギヤボックス70は、スピンターンのとき図4の実線の矢印のように伝達し、緩旋回のとき図4の破線の矢印のように伝達する。ここで、スピンターン及び緩旋回では動力は第24ギヤ77を介してクラッチ78に伝達する。
【0073】
一方、本発明のギヤボックス55では、スピン・マイルド切換クラッチ62のクラッチケースに第17伝動ギヤ63を連結し、図4の第24ギヤ77と出力軸8が省略されている。スピンターン及び緩旋回どちらも第17伝動ギヤ63に入力する。
【0074】
このように、本発明では、従来のギヤボックスよりも軸を一本減らすことができミッションの構成を簡略できる。
【0075】
また従来は、ピボットターンだけを実行する仕様(以下ピボット仕様)のトランスミッションと、ピボットターンのほかにスピンターン及び緩旋回も実行する仕様(以下スピン・マイルド仕様)のトランスミッションはそれぞれ別々に組み立てを行っていた。
【0076】
図2の例では、ピボット仕様にギヤボックス55を付加するだけで、スピン・マイルド仕様を組み立てることができる。
【0077】
ピボット仕様では、ギヤボックス55のあった位置のトランスミッションの側面に蓋85を覆う。そして、第2中間軸35と制御軸38の一端に螺刻部を形成し、スピン・マイルド軸56とスピン・マイルド制御軸61のそれぞれの一端を螺着する。スピン・マイルド軸56の他端はギヤボックス55のボックスケース86に軸支し、スピン・マイルド制御軸61の他端にスピン・マイルド切換クラッチ62を固着する。スピン・マイルド切換クラッチ62の片面は、クラッチケース87に取付ける。また、マイルド中間軸58の一端は、トランスミッションのケースの螺刻部に螺着する。他端は、ボックスケース86に軸支する(図5参照)。
【0078】
そして、ボックスケース86とクラッチケース87をネジ88により連結し、トランスミッション側面にギヤボックスを取付ける(図5参照)。
【0079】
このように、図2の例では、ピボット仕様とスピン・マイルド仕様でギヤボックス55以外はトランスミッションが共通であるから、仕様の変更が容易で部品も共用化でき効率よく部品管理ができる利点がある。
【0080】
【発明の効果】
本発明では、ピボットターン、スピンターン及び緩旋回を実行する場合、それぞれ制御軸に動力を伝達し、サイドクラッチにより旋回側のクローラに制動を掛けたり、逆回転したり、減速正回転したりする。このため、従来と比較してクラッチ・ブレーキ軸116或いはスピン・マイルド軸129を省略できるのでトランスミッションのケースを小型化できる。
【0081】
3通りの旋回とも制御軸に負荷が掛かることになるが、制御軸の強度だけを高めるだけでよく、トランスミッションの重量の軽減を図ることができる。
また、制御軸のブレーキを取付けた側とは反対側の端部にスピン・マイルド制御軸を取り付け、このスピン・マイルド制御軸に着脱自在にスピン・マイルド切換クラッチを配設する。よって、スピン・マイルド切換クラッチが取り外せて修理できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態例のコンバインの全体側面図である。
【図2】本発明の実施の形態例のコンバインのトランスミッションの展開横断面図である。
【図3】本発明の実施の形態例のコンバインのトランスミッションのギヤの接続を示す縦断面図である。
【図4】従来例のギヤボックスの伝達経路図である。
【図5】本発明の形態例のギヤボックスの分解側面図である。
【図6】従来のトランスミッションの縦断面図である。
【符号の説明】
11 クローラ
12L、12R クローラ駆動軸
18 入力軸
20 変速軸
31 第1中間軸
35 第2中間軸
38 制御軸
39 ブレーキ
40、41 左右のサイドクラッチ
46 クラッチ軸
47 直進ギヤ
48、49 左右の出力ギヤ
55 ギヤボックス
62 クラッチ

Claims (1)

  1. 左右いずれか一方のクローラに制動を掛けるピボットターン、左右のクローラを互いに逆方向に回転するスピンターン、及び一方のクローラを他方のクローラと同じ方向で低速に駆動する緩旋回のうち、任意のターンモードを選択するクローラ式移動農機において、
    制御軸には、ブレーキと左右一対のサイドクラッチを取り付け、さらに当該ブレーキを取付けた側とは反対側の端部にスピン・マイルド制御軸を取り付け、
    このスピン・マイルド制御軸にスピン・マイルド切換クラッチを着脱自在に配設し、
    入力軸の回転を低速正回転か逆回転に変換し、そのいずれかの回転をスピン・マイルド切換クラッチを経由して制御軸に伝達し
    御軸の回転をサイドクラッチを介してクラッチ軸の左右一対の出力ギヤにそれぞれ伝達し、
    左右一対の出力ギヤをクラッチ軸の直進ギヤに入り切り自在に接続し、
    そして入力軸の回転を直進ギヤに伝達すると共に、制御軸の回転を出力ギヤを介してクローラの回転軸に接続してなる走行伝動装置。
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