JP3572437B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
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- F16H57/00—General details of gearing
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- F16H57/048—Type of gearings to be lubricated, cooled or heated
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- F16H57/049—Friction gearings of the toroid type
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両などに採用されるトロイダル型無段変速機の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から車両用の無段変速機として、一対のトロイダル状に形成された入力ディスク、出力ディスクを入力軸と同軸上に配設し、入出力ディスクに狭持、押圧される一対のパワーローラの傾転角(傾斜角)を変更することで任意の変速比を無段階に設定可能なトロイダル型無段変速機が知られており、このようなトロイダル型無段変速機のパワーローラは、傾転自在なトラニオンに偏心したピボットシャフトを介して回転自在に軸支される。そして、パワーローラは入出力ディスクによって大きな力で挟持押圧された状態で動力の伝達を行うため、転動面や軸受への潤滑及び冷却を確実に行う必要がある。
【0003】
そこで、ピボットシャフト側からパワーローラや軸受の潤滑及び冷却を行うものとして、例えば、特開平8−35552号公報、特開平8−291850号公報や実開平7−35847号公報等に開示されるものが知られている。
【0004】
これは、図5に示すように、トラニオン3は上下の端部側に回転軸3zと同軸の回転軸部3a、3bを形成する一方、これら回転軸部3a、3bの間には、パワーローラ1を収装すべく内周を凹状に形成する一方、入出力ディスクの外周方向に張り出したオフセット部3cから形成される。
【0005】
そして、パワーローラ1は所定量だけ偏心したピボットシャフト2に軸支されており、このピボットシャフト2は基端をトラニオン3のオフセット部3cで揺動可能に支持される一方、先端部に軸支されたパワーローラ1は軸C2まわりに回転する。
【0006】
パワーローラ1に背面側は、このオフセット部3cとの間に軸受部材としてボールベアリング8及び外輪7を介して回転自在に支持されており、ピボットシャフト2の先端側ではローラベアリング9を介して径方向に位置決めされる。なお、外輪7とオフセット部3cの間にはローラベアリング13が介装されて、パワーローラ1に加わるスラスト力を支持する。なお、ボールベアリング8にはリテーナ8aが設けられる。
【0007】
トラニオン3の下端にはロッド6bが連結されて、このロッド6bに連結した油圧サーボシリンダ6のピストン6aが、トラニオン3を軸(図中回転軸線3z)方向へ駆動することで、パワーローラ1は回転軸3zまわりに回動(以下、傾転という)し、入力ディスクと出力ディスクの接触半径を変化させることで変速比が連続的に変更される。
【0008】
なお、入出力軸C0を挟んで対向配置されたトラニオン3、3は、その上端側の回転軸部3a同士を揺動自在に支持されたアッパーリンク4によって相互に連結され、下端側の回転軸部3b同士も揺動自在なロアリンク5を介して相互に連結され、パワーローラ1、1に加わるスラスト力に抗してトラニオン3、3の回転軸3z、3z間の距離を一定に保持する。なお、アッパーリンク4は、ケーシング10に固設したアッパーリンクピボット40のピン41によって揺動自在に支持されて、同じくロアリンク5は、油圧サーボシリンダ6を収装したシリンダボディ(図中下部)に設けたロアリンクピボットによって揺動自在に支持される。
【0009】
ここで、パワーローラ1を軸支するボールベアリング8とパワーローラ1及び外輪7の転動面1a、7aの潤滑は、オフセット部3cを貫通する油路11から、ローラベアリング13側へ分岐した油路を介してピボットシャフト2の内部に形成された油路15へ導かれたオイルが、油路15とほぼ直交するとともに、ボールベアリング8と対向する位置でピボットシャフト2外周に開口したオイル供給孔16から噴射されることで、パワーローラ1と外輪7の間に介装されたボールベアリング8とパワーローラ1及び外輪7の転動面1a、7aが潤滑及び冷却される。加えて、油路15の先端部からはパワーローラ1をラジアル方向で軸支するローラベアリング9にもオイルが供給され、各部の潤滑と冷却を行っている。
【0010】
なお、油路11はトラニオン3の下部の回転軸部3b側に形成された油路12と連通して図示しない油圧源からオイルの供給を受け、また、オフセット部3cを貫通した油路11の両端にはノズル14、14がそれぞれ形成されて、アッパーリンク4、5と回転軸部3a、3bの連結部の潤滑を行っている。
【0011】
また、上記の他に、パワーローラ1と入出力ディスクの転動面の潤滑及び冷却を行うものとして、特開平9−292000号公報に開示されるものが知られている。
【0012】
これは、図5において、アッパーリンクピボット40の図中下端から、パワーローラ1、1の転動面へ向けてオイルを噴射するオイル噴射口17、17を設けたもので、アッパーリンクピボット40内に設けた油路18、19がオイル噴射口17、17とそれぞれ連通して、トラニオン3側の油路11、12と同様に、図示しない油圧源と油路18が連通して、オイルの供給を受けるものである。
【0013】
オイル噴射口17、17からパワーローラ1、1の転動面へ向けて噴射されたオイルは、パワーローラ1、1の転動面に付着して、入出力ディスクとの間の潤滑及び冷却を行うのである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のトロイダル型無段変速機にあっては、前記特開平9−292000号公報のように、オイル噴射口17、17から転動面へ向けて噴射されたオイルは、扇状に広がるため、その全量がパワーローラ1の潤滑及び冷却に利用されるわけではなく、噴射されたオイルの一部は、パワーローラ1以外の部材に付着した後、図示しないオイルパンへ落下するため、その分、オイルポンプ等の油圧源の効率が低下することになり、無段変速機に連結された原動機の出力を無駄に消費して、全体的なエネルギー損失を増大させていた。
【0015】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、パワーローラの転動面へ向けて噴射されたオイルを、効率よく利用して、油圧源及び原動機のエネルギー損失を低減することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、入出力ディスクの対向面に挟持されるとともに、トラニオンに設けられたシャフトで回転自在に支持されたパワーローラと、このパワーローラの背面とトラニオンとの間に介装された第1軸受部材と、前記シャフトとパワーローラとの間に介装された第2軸受部材と、前記パワーローラの転動面へ向けて潤滑油を供給する潤滑手段と、前記潤滑手段へ潤滑油を圧送する油圧源とを備えたトロイダル型無段変速機において、
前記シャフトの先端部には、潤滑手段に面して開口したオイル受けを設け、該オイル受けから第1または第2軸受部材の少なくとも一方へ潤滑油を案内する潤滑油路を形成する。
【0018】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記潤滑油路は、前記第1または第2軸受部材に面した位置で、重力方向に配設される。
【0019】
【発明の効果】
したがって、第1の発明は、潤滑手段からパワーローラの転動面へ向けて噴射された潤滑油のうち、オイルパン等へ落下する流量の一部をピボットシャフトに設けたオイル受けで捕集し、オイル受けから溢れた潤滑油によって、ピボットシャフトの第2軸受部材の潤滑を行うことができ、前記従来例では潤滑及び冷却に利用されていなかった潤滑油を利用することで、その分、オイルポンプ等の油圧源の効率を向上させることが可能となって、全体的なエネルギー損失を抑制することができ、また、潤滑手段へ供給する潤滑油流量を低減して油圧源の吐出流量を低減することができる。
【0020】
そして、オイル受けが捕集した潤滑油を、潤滑油路によって第1または第2軸受部材の少なくとも一方へ供給することで、これら第1または第2軸受部材への潤滑油流量を容易に増大することが可能となって、油圧源の容量を増大することなく潤滑及び冷却性能を向上することができ、あるいは、潤滑手段への潤滑油供給量を低減すれば、油圧源の容量を低減して無段変速機の小型化を図ることができる。
【0021】
また、第2の発明は、第1または第2軸受部材に面した位置では、潤滑油路を重力方向に向けたため、オイル受けで捕集した潤滑油を、特別な動力を必要とすることなく、円滑に第1または第2軸受部材へ供給することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は、前記従来例の図5に示したトロイダル型無段変速機に本発明を適用した一例を示し、同一のものに同一の図番を付して重複説明を省略する。
【0024】
図1において、ケーシング10の図中上部に設けたアッパーリンクピボット40には、前記従来例と同じく、対向配置されたパワーローラ1、1の転動面にオイルを噴射するオイル噴射口17、17(潤滑手段)が形成される。
【0025】
一方、パワーローラ1、1を軸支するピボットシャフト2、2の先端部2a、2aには、入出力軸C0を挟んで、オイル噴射口17、17に向けて開口した袋状のオイル受け30が固設される。
【0026】
このオイル受け30は、図2(A)に示すように、ピボットシャフト2の先端部2aに当接する円形の壁面35に、入力軸との接触を回避するため、図中上方に向かうほど対向するパワーローラ1側へ突出する袋部30aを円形の壁面35に固設する一方、この壁面35外周からローラーベアリング9(第2軸受部材)側へ向けて、ピボットシャフト2の先端部2a外周に嵌合する環状部30bを備え、環状部30bの所定の位置には、切り欠き30cが形成されて、環状部30bの内径をピボットシャフト2の先端部2aの外径よりも若干小さく設定して、嵌合させることで、ピボットシャフト2の先端部2aにオイル受け30を固設する。
【0027】
以上のように構成されて、次に作用について説明する。
【0028】
無段変速機の運転中には、アッパーリンクピボット40のオイル噴射口17、17からパワーローラ1、1の転動面へ向けて油圧源から供給されたオイルが噴射されるが、前記したように、噴射されたオイルは扇状に広がるため、パワーローラ1の転動面に到達しなかったオイルの一部が、オイル受け30に捕集される。
【0029】
捕集されたオイルがオイル受け30から溢れると、ピボットシャフト2の先端部2aから、ローラベアリング9へ流入してパワーローラ1をラジアル方向で軸支する軸受部材の潤滑を行うことができる。
【0030】
したがって、オイル噴射口17、17から転動面へ向けて噴射されたオイルのうち、図示しないオイルパンへ落下する流量の一部をピボットシャフト2の先端部2aに固設したオイル受け30で捕集して、ローラーベアリング9の潤滑に再利用することができ、その分、オイルポンプ等の油圧源の効率を向上させることが可能となって、全体的なエネルギー損失を抑制することができるのである。
【0031】
また、ローラベアリング9には油路15及びオイル供給孔21を介して油圧供給源からもオイルの供給を受けているため、オイル受け30からのオイル流量に応じて油圧供給源の吐出流量の低減や、他の潤滑部へのオイルの配分を増大することができる。
【0032】
なお、オイル受け30は、図2(B)に示すように、袋部30aを壁面35の上部に配置する一方、壁面35の下部に設けた貫通孔30dに図示しないボルトを螺合させて、ピボットシャフト2の先端部2aに固設してもよい。
【0033】
図3は第2の実施形態を示し、前記第1実施形態に示した、オイル受け30の袋部30aの下部から、ピボットシャフト2の内部を介してローラベアリング9へオイルを供給する油路31及びオイル供給孔32(潤滑油路)を設けたもので、その他の構成は前記第1実施形態と同様である。
【0034】
袋部30aに面した壁面35には貫通孔(図示せず)が形成されるとともに、ピボットシャフト2の先端部2aには、この貫通孔と連通する油路31がピボットシャフト2の軸方向に形成され、油路31の所定の位置からはローラベアリング9と対向する位置でピボットシャフト2の側面に開口するオイル供給孔32が、重力方向に向けて形成される。
【0035】
なお、油路31及びオイル供給孔32は、図1に示したように、油圧供給源に連通した油路15及びオイル供給孔21から独立して形成されるものである。
【0036】
したがって、オイル噴射口17、17から転動面へ向けて噴射されたオイルのうち、図示しないオイルパンへ落下する流量の一部を、ピボットシャフト2の先端部2aに固設したオイル受け30で捕集し、オイル受け30から油路31及びオイル供給孔32を介してピボットシャフト2の側面からローラーベアリング9の潤滑を行うことができ、パワーローラ1のラジアル荷重を支持するローラベアリング9の潤滑を、油路15及びオイル供給孔21を介して油圧供給源から圧送されるオイルによって行うのに加えて、オイルパンへ落下するオイルの一部によって行うことができ、前記従来例に比して、ローラーベアリング9の潤滑及び冷却のためのオイル流量を容易に増大することが可能となり、オイルポンプ等の油圧源の効率を向上させることが可能となる。また、オイル受け30から供給されるオイルの流量に応じて、オイル供給孔21からローラーベアリング9へ供給する流量を低減してオイルポンプ等の油圧供給源の小型化を図ることもでき、全体的なエネルギー損失を抑制することができるのである。あるいは、オイル供給量が同一の場合には、他の潤滑部へのオイル流量を増大して潤滑及び冷却性能の向上を図ることもできる。
【0037】
図4は第3の実施形態を示し、前記第1実施形態に示した、オイル受け30の袋部30aの下部から、ピボットシャフト2の内部を介してボールベアリング8(第1軸受部材)へオイルを供給する油路33及びオイル供給孔34(潤滑油路)を設けたもので、その他の構成は前記第1実施形態と同様である。
【0038】
袋部30aに面した壁面35には貫通孔(図示せず)が形成されるとともに、ピボットシャフト2の先端部2aには、この貫通孔と連通する油路33がピボットシャフト2の軸方向に形成され、油路31の所定の位置からはボールベアリング8と対向する位置でピボットシャフト2の側面に開口するオイル供給孔34が、重力方向に向けて形成される。
【0039】
なお、油路33及びオイル供給孔34は、図1に示したように、油圧供給源に連通した油路15及びオイル供給孔16(第1潤滑手段)から独立して形成されるものである。
【0040】
したがって、オイル噴射口17、17から転動面へ向けて噴射されたオイルのうち、図示しないオイルパンへ落下する流量の一部を、ピボットシャフト2の先端部2aに固設したオイル受け30で捕集し、オイル受け30から油路33及びオイル供給孔34を介してピボットシャフト2の側面からボールベアリング8の潤滑及び冷却を行うことができ、パワーローラ1のスラスト荷重を支持するボールベアリング8の潤滑及び冷却を、油路15及びオイル供給孔21を介して油圧供給源から圧送されるオイルによって行うのに加えて、オイルパンへ落下するオイルの一部によって行うことができ、前記従来例に比して、ボールベアリング8の潤滑及び冷却のためのオイル流量を容易に増大することが可能となり、オイルポンプ等の油圧源の効率を向上させることが可能となる。また、オイル受け30から供給されるオイルの流量に応じて、オイル供給孔16からボールベアリング8へ供給する流量を低減すれば。オイルポンプ等の油圧供給源の小型化を図ることもでき、全体的なエネルギー損失を抑制することができるのである。あるいは、オイル供給量が同一の場合には、他の潤滑部へのオイル流量を増大して潤滑及び冷却性能の向上を図ることもできる。
【0041】
なお、上記油路33から前記第2実施形態のように、ローラベアリング9へ向けて開口するオイル供給孔32を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すトロイダル型無段変速機の断面図。
【図2】オイル受けを示す斜視図で、(A)はピボットシャフトに嵌合する場合の一例を、(B)はピボットシャフトに締結する場合の一例を示す。
【図3】第2の実施形態を示し、トロイダル型無段変速機の断面図。
【図4】第3の実施形態を示し、トロイダル型無段変速機の断面図。
【図5】従来例を示し、トロイダル型無段変速機の縦断面図。
【符号の説明】
1 パワーローラ
2 ピボットシャフト
3 トラニオン
7 外輪
8 ボールベアリング
10 ケーシング
11、12 油路
15 油路
16 オイル供給孔
17 オイル噴射口
18、19 油路
21 オイル供給孔
30 オイル受け
31 油路
32 オイル供給孔
33 油路
34 オイル供給孔
35 壁面
Claims (2)
- 入出力ディスクの対向面に挟持されるとともに、トラニオンに設けられたシャフトで回転自在に支持されたパワーローラと、
このパワーローラの背面とトラニオンとの間に介装された第1軸受部材と、
前記シャフトとパワーローラとの間に介装された第2軸受部材と、
前記パワーローラの転動面へ向けて潤滑油を供給する潤滑手段と、
前記潤滑手段へ潤滑油を圧送する油圧源とを備えたトロイダル型無段変速機において、
前記シャフトの先端部には、潤滑手段に面して開口したオイル受けを設け、該オイル受けから第1または第2軸受部材の少なくとも一方へ潤滑油を案内する潤滑油路を形成したことを特徴とするトロイダル型無段変速機。 - 前記潤滑油路は、前記第1または第2軸受部材に面した位置で、重力方向に配設されたことを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
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